本会議

1986-11-26 参議院 全60発言

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会議録情報#0
昭和六十一年十一月二十六日(水曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第十号
  昭和六十一年十一月二十六日
   午前十時開議
 第一 千九百八十六年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
 第二 特定地域中小企業対策臨時措置法案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 中小企業信用保険法及び特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 日本放送協会昭和五十九年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書
 第五 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、老人保健法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
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藤田正明#1
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、中央更生保護審査会委員に金平輝子君を、
 公安審査委員会委員に堀田勝二君、山内一夫君を、
 電波監理審議会委員に生田正輝君を、
 地方財政審議会委員に木下和夫君を
任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、中央更生保護審査会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
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藤田正明#2
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。
 次に、公安審査委員会委員、電波監理審議会委員、地方財政審議会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
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藤田正明#3
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも同意することに決しました。
     ─────・─────
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藤田正明#4
○議長(藤田正明君) この際、日程に追加して、
 老人保健法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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藤田正明#5
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。斎藤厚生大臣。
   〔国務大臣斎藤十朗君登壇、拍手〕
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斎藤十朗#6
○国務大臣(斎藤十朗君) 老人保健法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 人口の高齢化が急速に進む中で、増加の避けられない老人医療費を適正なものとし、国民がいかに公平に負担していくかということは、老人保健制度を長期的に安定したものとしていく上で不可欠の課題であります。
 また、今後急増すると予想される寝たきり老人等の要介護老人に対し、保健、医療、福祉を通じた総合的な施策の展開が求められております。
 こうした状況等を踏まえ、老人保健制度を幅広く見直すこととし、老人保健法等の一部を改正する法律案を第百四回国会に提出したところでありますが、継続審議となった後、第百五回国会において衆議院の解散に伴い廃案となり、成立を見るに至らなかったものであります。
 しかしながら、老人保健制度の改正は、今後の本格的な高齢化社会において、国民が安心して老後を託せる制度を確立するという観点から、極めて重要なものでありますので、ここに再度この法律案を提案し、御審議を願うこととした次第であります。
 以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一は、一部負担の改正であります。
 現在、外来の場合一月四百円、入院の場合二カ月を限度として一日三百円となっておりますが、これを改め、外来については一月千円に、入院については期限を撤廃して一日五百円に改定することといたしております。健康に対する自覚と適正な受診、さらには世代間の負担の公平という観点から、被用者保険本人や在宅療養者とのバランスも勘案して、定額制を維持しつつ、一部負担金の額の引き上げをお願いするものであります。
 第二は、加入者按分率の引き上げであります。
 昭和六十一年度は八〇%、昭和六十二年度以降は一〇〇%に引き上げることとしております。老人医療費につきましては、老人加入率の高い保険者ほど負担は重いものとなっており、各保険者間の老人医療費の負担の不均衡は一層拡大しております。このため、加入者按分率を引き上げ、どの保険者も同じ割合で老人を抱えるようにし、負担の一層の公平化を図ることといたしております。
 第三は、老人保健施設の創設であります。
 寝たきり老人等の要介護老人にふさわしい医療サービスと生活サービスを提供する施設として、老人保健施設を創設するとともに、この施設を利用する老人に対する新たな給付として、老人保健施設療養費を支給することとしております。
 以上のほか、特定療養費制度を導入するとともに、老人保健施設の創設に伴う医療法、社会福祉事業法の改正なども行うこととしております。
 また、国民健康保険法を改正し、正当な理由がないのに保険料を滞納している者に対し、給付を一時差しとめる等の措置を講ずることとしております。
 なお、この法律の施行期日は、本年十一月一日としておりますが、老人保健施設に関する事項は公布の日から一年六カ月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院におきまして次のとおり修正が行われております。
 その第一は、外来の一部負担金は八百円とすること、第二は、加入者按分率について、昭和六十二年度から六十四年度までは九〇%とすること、第三は、施行期日について、昭和六十一年十一月一日からとされていた部分については、昭和六十
一年十二月一日からとすることであります。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。拍手
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藤田正明#7
○議長(藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。千葉景子君。
   〔千葉景子君登壇、拍手〕
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千葉景子#8
○千葉景子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、総理並びに関係各大臣に質問をさせていただきます。
 まず、緊急の課題といたしまして、国民生活に大きな不安を投げかけている三原山噴火に伴う諸対策についてお伺いいたします。
 大島住民の皆様の突然の困難への遭遇に対し、心から御同情申し上げるとともに、一日も早い平常な生活への復帰を念願するものです。
 新聞の報道によれば、三原山の大噴火に相呼応するかのように、阿蘇山と桜島が活発に動き始め、桜島では巨大な噴石がホテルを直撃したとのことであります。これらを見るに、火山国である我が国では、地震対策とともに火山噴火の予知体制が確立されなければなりません。
 そもそも、大自然の力を人間の力で抑えつけることはできません。しかし、少しでも早く予兆を知ることができれば、それに基づく事前の対策を講ずることができます。専門家の所見によれば、予知のための国家予算を現在の数倍にふやせば、そして予知に携わる人と観測点を数倍にすれば、予兆はつかめるとのことです。このたびの噴火では被害は最小限に食いとめることができましたが、国民の生命と財産を守る国の責任を考えるとき、火山対策はその緊急性が迫られているのではないでしょうか。
 総理、国を守るということは武器を持つことではありません。緑あふるる自然を愛し、何よりも人の生命を大切にし、お互いの人権を尊重し、平和を求め続ける社会をつくることです。これにこたえて誠実に謙虚に政治を行う政府があって初めて愛国心も生まれようというものです。火山対策についての総理の国民にわかりやすい御答弁をお願いいたします。
 次に、ただいま議題となりました老人保健法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係各大臣に御質問をいたします。
 現在、我が国は急速に高齢社会の道を歩んでおります。平均寿命も伸長し、二十一世紀には人生八十年時代が定着するものと思われます。今、私たちに課されていることは、老後に不安のない生活ができるようにするため、いかなる施策を講ずべきかを真剣に検討することではないでしょうか。しかるに、計画性のない行財政改革が進行し、特にマイナスシーリングでの予算編成に見られる防衛関係費の突出が社会保障予算に深刻な影響を与えております。
 ここ数年度の社会保障予算の編成は、老人医療の有料化、医療保険に見られる国庫負担の現役被用者に対する負担の転嫁、公的年金における給付水準の引き下げによる国庫負担減らし、各種の社会保険における国庫負担の繰り延べ、国庫補助率引き下げによる地方へのツケ回し等、全く長期的展望のないものであり、むしろ将来の社会保障予算の硬直化要因を積み重ねていると言わざるを得ません。社会保障予算について、現在のように一律削減の対象にし、しかも単年度主義による編成を行うことは、そもそもが無理であり、このような予算編成方法をとり続ける限り、次から次へと福祉の後退を余儀なくされてしまうのではないでしょうか。二十一世紀高齢社会に向けて増大する社会保障の財源をどのように確保していく考えでいるのか、この際、総理並びに関係大臣の明確な御答弁をお願いいたします。
 以下、具体的に改正案についてただしてまいりたいと思います。
 まず指摘しなければならないのは、患者の医療費一部負担の強化の内容とその理由であります。
 政府案は、通院の場合、現行の一月につき四百円を千円に、入院の場合、一日につき三百円を五百円にそれぞれ引き上げるというものであります。さらに、入院の場合については、負担は二カ月を限度としていましたが、今後は期限を取り払い、入院している限り負担させるというものです。したがって、一年間通して入院した場合、現行の十倍もの入院費を要することになります。そうでなくても、入院すれば、入院費用だけでなく差額ベッド代、付添看護料あるいはお世話料など、いわゆる保険外費用が患者の大きな負担となっているのが現実です。その額として、月々十万円以上払っている方が入院中の半数以上を占めるという報告もありますが、厚生省はこれらについて患者の側から情報を集め、調査する努力さえ怠っているのではありませんか。
 多くの老人は、加齢に伴って所得が減少するか、限りなくゼロに近づく場合が多いのが現実です。収入の大半が公的な年金だけだという老人も少なくありません。したがって、治療費一部負担の制度自身が老人及び家族に及ぼす影響は極めて大きく、事実、老人保健法施行直後、老人の受診率が急激に低下したことは明白なところです。現在でも何らかの形で受診を抑制している場合が多いことを高齢者の方々からお伺いいたします。
 衆議院でごくわずかの修正がなされたものの、結局はお年寄りの医療費負担をふやすだけの内容には変わりありません。国民の納得できる明確な御説明をお願いいたします。
 次に、本改正案で問題としなければならないのは、サラリーマンをねらい撃ちにした実質増税案だということです。
 患者負担分を除いた老人医療費財源のうち、七割に当たる各保険制度からの拠出金の算定方法の変更によって、サラリーマン各制度からの拠出分は、改正しない場合に比べて、六十二年度には実に四千三百億円もふえ、国庫負担は逆に三千九百億円も減るというものです。これを政府は負担の公平のためだと説明しています。負担の公平とは何でありましょうか。そもそも五十九年度に創設した退職者医療制度は、政府の見込みどおりの加入者を得られませんでしたが、政府はその見込み違いとなった数字を前提に五十九年度以降の国庫補助率を引き下げたため、国民健康保険財政に重大な影響を及ぼしていることは周知の事実です。この改正案は、事実上、政府の見込み違いをサラリーマンの保険で穴埋めさせるものにほかなりません。しかも、政府の見込み違いによる国民健康保険の財政影響を何で他の制度から補てんしなければならないのでしょうか。保険制度は、その保険集団の範囲に限って保険数理を組み立てるものであって、他の制度を支えることになれば、もはや保険とは性格を異にするものと言わざるを得ません。
 また、政府は、この改正のねらいが国庫負担の削減にあるのではないとたびたび説明しておりますが、老人医療費に占める国庫負担割合は、六十年度の四二%から六十二年度には三五%へと七ポイントも引き下がるのに対し、被用者保険側の負担割合は三〇%から四〇%へと一〇ポイントも増大するのであります。これでも国庫負担の減額がねらいではないと言うのでしょうか。
 この際、本改正の真のねらいは何なのか、退職者医療制度の見込み違いを他制度の拠出金で穴埋めすることの不合理性、保険制度に対する考え方、増税なき財政再建に反した隠れた増税であることなどについてどのように説明いただけるのか、政府の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、いわゆる中間施設として老人保健施設を創設することについてであります。
 寝たきり老人は現在でも全国で七十万人に達し、今後も高齢化に伴い、その数は確実に増加いたします。しかも、特別養護老人ホームの定員数は絶対的に不足しているため、家庭にとどまらざるを得ない場合が多く、その数二十五万人とも言われています。これは家庭における介護に深刻な
問題を招いています。そして、その際の介護者の約九割は女性であり、老人問題はイコール女性問題と言っても過言ではありません。女は母をみとり、夫をみとり、そしてその後みずからは孤独な晩年を迎えるという構造が、女性には三つの老後があると言われるゆえんです。さらに、介護者自身の高齢化により、介護そのものが困難な事態も生まれています。
 したがって、お年寄りや家族にとって今何よりも必要とされていることは、公的な責任に基づく地域介護システムの整備だと私は思います。そのシステムは、身体の不自由なお年寄りが、できる限り今暮らしている住まいから離れずに療養し、介護を受けられるようにするものでなければなりません。すなわち、在宅者訪問サービスを基本とし、介護施設は少なくとも小学校区に一つというように小規模で身近なものでなければなりません。
 しかし、このたび政府から提案された内容は、老人病院に比べて医師の数は三分の一、看護婦は二分の一というように、必要な医療は到底確保されそうになく、また中学校区に一つ、五十名とか百名とかの規模を想定しているのであり、地域介護の面からも不十分と言わざるを得ません。その上、本施設による病床数を昭和七十五年までには二十八万床設け、これによって老人医療費の伸びが二ポイント程度抑えられるという説明は、一体どのような根拠によるものなのでしょうか。中間施設構想は、本来高齢者が地域生活を継続し得るための施策として登場してきたものであり、ノーマライゼーションを実現することにこそ意味があるのではないでしょうか。
 最後に、医療以外の保健事業についてただします。
 老人保健法は、予防から治療、リハビリテーションに至る総合的保健事業の実施によって、老後における健康の保持と適切な医療の確保を目指すと説明されてまいりました。そして、五十七年度を初年度とする保健事業の五カ年計画が作成されましたが、計画と実績の乖離は甚だしく、かけ声倒れになっているのが現実です。例えば一般健康診査、胃がん・子宮がん検診とも目標の七〇%程度にすぎません。これは市町村のマンパワーの確保に問題があるのであり、例えば保健婦がたった一人しかいない市町村が今なお過半数を占めているのです。国民医療費と健康診査受診率との間には強い相関関係が認められるのであり、受診率の最も高い二十市町村と最も低い二十市町村との間には、年間一人当たりの医療費に八万円を超える差が見られることも統計上明らかになっているのではないでしょうか。今日までの計画と実績の乖離をどのように認識し、反省されているのか。また反省の上に立って今後どのように取り組む考えでいらっしゃるのか、この際、明らかにしていただきたいと思います。
 以上で質問を終わるに当たり、一言申し上げます。
 人間は、高齢者であるがゆえに憲法に規定する生存権、生活権、平等権が保障されない状況に置かれることがあってはなりません。老人福祉法二条には「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、かつ、健全で安らかな生活を保障されるものとする。」と明記されています。この「安らかな生活」こそは人間らしい生活であり、だれもが迎える高齢期においてこれが保障されることは、国民すべての願いであります。ぜひこの国民一人一人の願いを心にしっかり受けとめた誠意のある御答弁をお願いいたします。拍手
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
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中曽根康弘#9
○国務大臣(中曽根康弘君) 千葉議員にお答えをいたします。
 まず、火山噴火予知体制の問題でございます。
 今般の三原山の噴火に際しまして、災害を受けられました皆様方に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。政府といたしましても、これが救援措置等につきまして万全を尽くす所存でございます。
 予知体制の問題でございますが、我が国の活火山については、昭和五十八年に火山観測研究の拡充強化、予知手法等の開発研究の推進及び予知体制の強化に関する方針を決めた火山噴火予知計画に基づき、大学及び関係行政機関の協力による観測、研究が推進され、体制を整えておるところでございます。しかし、今回の災害を教訓といたしまして、よく分析、検討いたしまして、今後とも噴火予知体制の充実強化に努めてまいる所存でおります。
 社会保障予算の問題でございますが、国の財政が厳しい中で、今までさまざまな制度改革や財政上の工夫をしながら社会保障の予算を編成してまいりました。今後とも人口の高齢化等に伴い多額の当然増が生ずるものと考えられますが、厳しい財政事情の中で、引き続き国民の福祉の水準を守っていくための具体的方策について幅広い観点から検討を加え、社会保障予算の確保に努めてまいります。
 社会保障の財源の問題でございますが、高齢化の進展や年金の成熟化に伴い増大する社会保障の経費を賄うための財源を将来にわたりいかにして確保するかは、制度の安定を図る上で極めて重要な課題であると考えております。
 社会保障経費の大宗をなす年金及び医療については、社会保険方式が定着しておりまして、社会保険料を中心とする現行の負担の仕組みは基本的に維持すべきものであると考えております。
 いずれにせよ、国の財政制度にも、社会保障の今後の進め方にも関係する問題でありますので、幅広い角度から検討してまいりたいと思います。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。拍手
   〔国務大臣斎藤十朗君登壇、拍手〕
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斎藤十朗#10
○国務大臣(斎藤十朗君) まず、一部負担についてのお尋ねでございますが、一部負担は健康への自覚と適正な受診という観点からお願いしているものでございまして、また現在四兆円を超える老人医療費のうち、お年寄りの方が負担していただいている額は約一・六%でございます。世代間の負担の公平という観点も極めて重要であります。
 今回このような観点から一部負担の引き上げをお願いしておりますが、その額につきましては、年金や高齢者世帯の所得の水準から見て、無理なく御負担いただけるものと考えております。
 また、保険外負担につきましては、昨年全国の老人病院に対する調査を行ったところであり、その調査結果は実態を反映したものと考えております。今後ともこの調査結果を踏まえ、さらに実態の把握に努めてまいる所存でございます。
 なお、保険外負担については、従来からその負担を適正な範囲のものとするなど指導、是正に努めており、今後ともその指導の徹底を図ってまいります。
 患者負担の増大と受診率との関係についてでありますが、御指摘のように、老人保健法施行直後の昭和五十八年に外来の受診率は低下いたしましたが、一方、一件当たり日数の増加があり、これは一つの医療機関でじっくり受診する傾向のあらわれと考えております。
 今回の一部負担の改正に当たっては、お年寄りが払いやすい定額制を変えることなく、外来の一部負担金については月の初めに一回払えばよいという現在の仕組みを維持しており、必要な受診の抑制とはならないものと考えております。
 次に、加入者按分率についてのお尋ねでございますが、今回の加入者按分率の引き上げは、各医療保険制度間の老人加入率の格差による負担の不均衡を是正し、どの保険者も同じ割合で老人を抱えることにより、老人医療費の一層の公平な負担を図るものでございます。
 これにより被用者保険の拠出金は増加し、国保の負担が軽減されることとなります。またその結果として、国保に対する国庫負担が減額されますが、これは老人医療費を国民すべてが公平に負担
するという制度の基本理念に沿ったものであり、退職者医療の穴埋めや実質増税といったものではないことを御理解いただきたいと思います。
 また、拠出金は保険制度と性格を異にするのではないかというお尋ねでございますが、老人医療費を国民全体で支えるという観点から、共同事業として、皆保険下における各医療保険制度の拠出により負担するという仕組みで老人保健制度が創設されたものであることを御理解をお願いいたしたいと思います。
 次に、老人保健施設についてのお尋ねですが、この施設の医療サービスは、病状安定期の寝たきり老人等に対する看護、介護等の比較的定型的なものが中心であり、これらのサービスに加えて生活サービスも適切に行うため、十分なスタッフを確保する考えでございます。
 また、老人医療費については、現状のまま推移すれば、年率一〇%程度で伸びると見込まれますが、老人保健施設の計画的整備が実現すれば、在宅対策の強化と相まって、いわゆる社会的入院が是正され、その場合には老人医療費の伸びは年率で約二ポイント程度低下するものと見込まれております。
 老人保健施設とノーマライゼーションの理念との関係でありますが、老人保健施設につきましては、入所された寝たきり老人等の家庭復帰を目指すとともに、短期入所ケアやデイケアなどの在宅サービスも実施できるようにし、地域社会において寝たきり老人等のニーズにもこたえられるような施設としたいと考えております。
 次に、保健事業についてのお尋ねでありますが、保健事業につきましては、これまで第一次計画に基づき事業を実施し、脳卒中や胃がん等の死亡率の減少が見られるなど着実に成果を上げておりますが、健康診査については、都市やその周辺では一般に受診率が低い傾向が見られております。
 このため、厚生省におきましては、第二次五カ年計画において魅力ある健診づくりや都市部についての対策の強化を図る等、受診率の向上に努めてまいりたいと考えております。
 市町村のマンパワーの確保についてでございますが、第一次五カ年計画に基づき、保健婦の増員等を着実に図ってきたところであり、おおむね目標を達成されるものと考えております。なお、既に約七割の市町村において複数の保健婦が設置されております。
 来年度以降も、保健婦を初めとするマンパワーについて、事業量に見合った増員を計画的に進めてまいりたいと考えております。
 また、健康診査の受診率と医療費との関係につきましては、人口規模が同程度の市町村では、一般健康診査の受診率が高いほど一人当たり老人医療費が低い傾向が見られ、老人保健事業は長期的には老人医療費の適正化にも資するものと考えております。
 以上でございます。拍手
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
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宮澤喜一#11
○国務大臣(宮澤喜一君) 高齢化社会の進展に伴いまして、国民経済の中で社会保障に要する経費が増大するということは不可避なことでございます。しかも、我が国におきましては、二十一世紀に向かいまして活力ある福祉社会を形成してまいらなければならない。この道は避けることのできない重要な課題でございます。
 そこで、私どもとしましては、ただいまから社会保障制度が長期にかつ安定的に機能し得るようなものにしておかないといけないというふうに考えておりまして、将来を展望しながら、給付の面あるいは負担の面で制度の整備を行っておるわけでございまして、ただいま御審議を願っております法案も、私どもといたしましては、そのような努力の一環と考えておるわけでございます。
 そのような過程におきまして、財政もまたその負担を免れることはできません。我が国の財政にとりまして、二十一世紀を展望いたしますと、この問題があるいは最も大きな課題であるかとすら思われるほど大きな問題であると思っておりまして、そのためには、私ども今、財政改革、いろいろの努力をいたしておりますが、財政改革そのものは、これだけが目的ではございませんけれども、財政の対応力を回復しておきませんとこのような難しい問題に対処できない、そういう気持ちもございまして財政改革をいたしておるわけでございます。
 と同時に、現在、我が国の経済はかなり低迷をしておると思いますが、内外の環境が変わりまして、もう少し我が国の経済が正常に運営されますと、かつてのようなことはありませんでも、もう少しいわゆる給付力であるとか、あるいは負担力であるとか、そういうものが大きくなり得る、それだけの日本の経済は潜在力を持っておると私は考えますので、将来のことを展望いたしますと、経済の運営もやはり一つ大事な課題ではないかというふうに考えるわけでございます。
 それから当面のことでございますけれども、先ほど社会保障といったような予算は、いわゆる一律削減そのものの対象にするのは無理ではないかというお話がございました。確かに社会保障予算は、国の主要経費の中では毎年最大に増加を続けておる項目でございます。そして、おっしゃいますように、その中でもいわゆる年金の成熟化に伴います増、これがそもそも削減ができない性格のものでございますことは言われるとおりでございますから、マイナスシーリングの中でもこれはいわゆる例外増の経費として認めております。またそうするより方法はないわけでありまして、六十二年度におきましては、六十一年度に比べまして五千二百億円程度の増が見込まれるわけでございます。一律削減の対象にするのは無理だろうと言われますのはそのとおりでございまして、そのようにまた扱っております。
 それから最後に、単年度主義のもとでこの社会保障計画を遂行していくことは無理だろうというお話がございましたが、ただいま申し上げましたように、この社会保障の問題は、これから将来にわたっての問題の性格が極めてはっきりいたしておりますから、毎年の予算の都合であっちへ行ったりこっちへ行ったりするわけにはまいらない性格のものでございます。そこで、私どもとしては、長期のスケジュールを持ちながら、その年その年の問題を単年度として御審議を願っておる、決してその都度その都度であれこれするようなわけにはまいらない、またそういうことはいたしておらないつもりでございますが、そういう意味では、この問題は、財政にとりましては、殊に改革路線にあります財政にとりましては、非常に大きな負担でありますこともまた事実でございます。拍手
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藤田正明#12
○議長(藤田正明君) 中野鉄造君。
   〔中野鉄造君登壇、拍手〕
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中野鉄造#13
○中野鉄造君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました老人保健法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 初めに、今回の三原山爆発により避難されている大島住民の皆様方に衷心よりお見舞いを申し上げます。
 政府としては、火山噴火予知連のコメントを十分踏まえ、さらに予知体制の強化に取り組んでいただくとともに、教育、医療問題等、東京都と綿密な連絡をとり、万全の態勢をとっていただくよう強く要望いたします。
 次に、質問に入りますが、今日、我が国は欧米先進国をはるかに上回るスピードで高齢化が進んでおります。厚生省人口問題研究所の今年八月の推計によりますと、六十五歳以上の人口は今から三十五年後には三千二百万人に達し、全人口のうちほぼ四人に一人が高齢者という超高齢社会が到来するものと見込まれます。しかしながら、この長寿社会が高齢者にとって住みよい、暮らしよい
場となるか否かは、これからの政治、行政の容易ならざる課題であります。
 総理は、今回の所信表明の中で、「二十一世紀初頭に到来する本格的な長寿社会において、経済社会の活力を維持しつつ、国民が長い人生を安心と生きがいを持って過ごすことができるようにする」ことが「国政上の重要な課題であります。」と言われました。しかし、政府がこれまで実施してきた施策、これから実施しようとしている施策を考えてみますと、果たしてこの重要な課題が前向きに解決されているのか甚だ疑問であります。
 すなわち、これまでに健康保険本人の十割給付の廃止と定率負担の導入、国民健康保険の国庫補助率の引き下げと相次ぐ福祉切り捨てが続き、さらに今回の老人保健法の改悪案。これら一連の制度改正の流れは、結果的に、一言で言えば、それは国民への負担の押しつけであり、国庫補助の減少はそのまま国の責任意識を軽くすることにほかならず、国民に多大な不安を与えつつあります。そこで、まず最初に、医療費における国民の負担という見地から、本年六月に閣議決定されました長寿社会対策大綱について触れたいと思います。
 この大綱は、「人生八十年時代にふさわしい経済社会システムの構築を図るもの」とされておりますが、大綱とはいえ全体として甚だ抽象的であります。特に、社会保障制度の中核である医療保険については、「現行医療保険制度の基本的枠組みを維持しつつ、給付と負担の公平化を図る。」とありますが、保健・医療・福祉サービス等の部門と異なり、ここには文面の語句でさえも、充実とか強化、そういった言葉さえも全く用いられておらず、単に「医療に係る国民の負担を将来にわたり適正な水準に維持する」云々が言われているのみであります。したがって、医療保険の部門に関する限り、長寿社会対策大綱と呼ぶよりも、むしろ長寿社会における政府財政対策大綱と呼ぶのがふさわしいのではないかという思いがいたします。したがいまして、今回のこの老人保健法の改正案並びにこうした国民負担強化路線を前にして、どうして国民は安心と生きがいを持って老後を過ごすことができますか。総理の所見をお伺いいたします。
 次に、本法案の具体的な問題に関して関係大臣にお尋ねいたします。
 第一点は、一部負担金の引き上げについてであります。
 昭和五十八年度以降最近までの消費者物価上昇率は五%に満たず、老人一人当たり医療費の増加率も五十八年度から六十一年度にかけて二割強にすぎないと見込まれており、何がゆえに原案の外来を二・五倍、一年間入院すれば負担金が十倍という大幅な引き上げになるのか、全く理解に苦しむのであります。昭和六十年の厚生省の国民生活実態調査によれば、全国の高齢者世帯のうち多少ともゆとりのある世帯は一割強にすぎません。衆議院において外来の一部負担金が減額修正されたとはいっても、老人世帯にとって負担の強化であることには変わりありません。今日、各家庭において、ただでさえ若い世代に気兼ねがちな卑屈な思いをしながら生活している老人が少なくありません。特に、所得のない老人にとり医療費の支出増は大変な苦痛であります。厚生省が従来から言われてきた一部負担については無理のない範囲にとどめるということについて、何をもって無理がないと言うのか。このような老人の立場に立った現実からあえて目をそらし策定された今回の案ではないのか。厚生大臣及び大蔵大臣の所見を求めます。
 第二点は、加入者按分率の引き上げについてであります。
 政府原案では、現行の四四・七%からわずか二年で一〇〇%にしようとしております。この最終目標につきましては、制度間の負担の公平という立場から理論的には理解できるのでありますが、一体、政府は、前回の老人保健法案の審議の結果、老人保健制度の実施に伴う保険者の負担増が著しく大きくならないための取り扱いがなされた経緯をどの程度考慮したのでありましょうか。厚生大臣は衆議院の本会議において、医療保険制度の財政状況の大きい変化が今回の見直しの重要な根拠である旨の答弁をしております。これについて、私は、衆議院において加入者按分率の引き上げのテンポを緩やかに措置されたことは一応認めるものであります。しかし、退職者医療の見込み違いによる国庫補助の減少が国民健康保険財政の赤字の大きな原因であるのに、保険者間の財政調整に関してこのような改正を行い、国庫補助を削減するのは問題ではないでしょうか。厚生大臣及び大蔵大臣の所見をお伺いいたします。
 もとより産業構造の変化、高齢化の進行等により、国民健康保険の財政の安定を保つことが困難になりつつあることは十分承知しております。だからこそ、国民健康保険については医療費支出の適正化や保険料の付加の合理化、さらには国庫補助率の改善等を含めた抜本的制度改正の検討こそ急務ではないかと思いますが、あわせてお考えをお尋ねいたします。
 第三点は、保健事業についてお伺いいたします。
 私は、政府が六十一年度予算に対前年度比三六%増の予算を計上した努力を認めるにやぶさかではありません。しかしながら、保健事業の問題は実績であります。例えば五十九年度における一般健康診査は、予算人員の七割、胃がん検診は五割という実施状況であります。また大都市における検診の受診率は、胃がんを例にとると、そのほとんどが三ないし七%の低位にあります。このような保健事業の実施状況の改善のために、政府はどのような対策を講ずる考えでありますか、お伺いいたします。
 第四点は、老人保健施設についてであります。
 我が党は、基本的には現今の核家族化現象のもとでは、その必要性自体は認めるものであります。しかし、ここで言う老人保健施設は、医療を行う施設であるにもかかわらず、医師の施設管理責任が明確でないなど、医療法に反する疑いがある。また特別養護老人ホームとの機能の区分が明確でないこと、病院でないのにそのベッドが医療計画上の病床に算入されること等、現行の医療及び福祉に関する制度上の位置づけが不明確かつ不十分であります。さらに、施設療養費を定額制にすることは、いわば医療の請負制であり、現行医療制度に反するのではないか。この種の施設については高齢者が食い物にされるおそれはないのか、こういった問題等まだまだ審議を要する点が多々あります。これらの点について大臣の所見をお伺いいたします。
 以上、私は若干の項目にわたって質問をいたしましたが、本法案はいわゆる老後の安心と生きがい対策にはほど遠い、しょせんは単なる財政対策に終始したものであり、現在の老人を物心ともにますます窮地に追い込むと同時に、働き盛りの国民はさらに負担を強いられ、いたずらにみずからの老後生活への不安と政治に対する不信を増幅するにすぎない改悪案であると言っても過言ではありません。以上の点を強く主張し、政府の社会保障施策への猛省を促して、私の質問を終わります。拍手
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
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中曽根康弘#14
○国務大臣(中曽根康弘君) 中野議員にお答えをいたします。
 長寿社会対策大綱は財政対策ではないかという御質問でございますが、本格的な高齢社会における社会保障は、制度面では公平、公正なものであり、負担面では適正水準にすることが必要でございます。特に、負担の公平と制度の長期的な安定性を確保することが喫緊の急務になっております。
 長寿社会対策大綱におきましては、年金、医療、保険、住居、教育、雇用等諸般の対策を実行しようとしておりまして、政府もそれを今実現しつつあるところでございます。
 今回の法案は、医療費の適正化あるいは医療保
険制度における給付と負担の公平化ということも考えて行ったものでございまして、単なる財政対策ではございません。老人保健というものを考えまして、これが公平でかつ長期安定的に持続させるような考えに立って改正案を整えたものでございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。拍手
   〔国務大臣斎藤十朗君登壇、拍手〕
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斎藤十朗#15
○国務大臣(斎藤十朗君) まず、一部負担の引き上げについてのお尋ねでございます。
 人口の高齢化が急速に進む中で、老人医療費の増加は避けられない状況にあります。
 現在、四兆円を超える老人医療費のうち、お年寄りの一部負担は約一・六%であり、残りの大部分は若い世代の負担に負っている実情にあります。このため、増加の避けられない老人医療費をお年寄りも若い世代も公平に負担するという観点から今回の改正をお願いしているものでございます。年金や高齢者世帯の所得の水準から見て無理なく負担いただける額であると考えております。
 次に、老人保健制度の加入者按分率につきましては、法制定時においては、保険者間の共同負担方式を初めて導入することなどから、加入者按分率を五〇%以下とすることが適当と判断され、法律の附則で法施行後三年を目途に見直しを行うこととされていると承知しております。
 今回の加入者按分率の引き上げは、医療保険間の老人加入率の格差の拡大、給付と負担の公平化を目指す医療保険の一元化の方向づけがなされたことなどの状況の変化を踏まえ、老人加入率の格差による負担の不均衡を是正し、老人医療費を公平に負担するという制度の基本理念の徹底を図る観点から行うこととしたものでございます。
 また、国庫補助につきましては、医療保険間の負担の公平を図る結果、国保の拠出金負担が軽減されることに伴って減少するものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 次に、国保の問題であります。国保の抜本的な制度改正の検討についてのお尋ねでありますが、老人保健法の改正により、老人医療費の負担の公平化を図った上で、医療保険制度の一元化の展望を踏まえ、将来にわたり国保が安定的に機能するよう幅広く財政基盤の強化策を検討してまいる所存でございます。
 次に、保健事業についてのお尋ねであります。健康診査の受診率は全国的に見て毎年着実に伸びておりますが、都市部やその周辺では、一般に受診率が低い傾向が見られております。
 このため、厚生省におきましては、第二次五カ年計画において循環器疾患、肝疾患、がん等につきまして魅力ある健診づくりを図るほか、都市部についての対策の強化を図るなど受診率の向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、老人保健施設についてでありますが、この施設は、寝たきり老人等の家庭復帰を目指し、医療と生活の両面のニードに積極的に対応するものであり、老人慢性疾患の専門的治療を行う老人病院、生活の場の提供を目的とする特別養護老人ホームとは機能を異にするものであります。
 老人保健施設のベッドにつきましては、医療機能もあわせ有するものでありますので、医療計画上、一定の補正係数を乗じて既存の病床にみなすこととしております。
 施設療養費につきましては、医療サービスの内容が比較的定型的なものであることから定額制としておりますが、必要な医療の確保には十分配慮したいと考えております。
 また、必要なサービスと利用料の適正な水準の確保により、寝たきり老人等が安心して療養できるようにいたしたいと考えております。
 以上でございます。拍手
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
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宮澤喜一#16
○国務大臣(宮澤喜一君) 既に厚生大臣からお答えになられたとおりでございますが、一部負担の見直しの問題でございますが、世代間の費用負担の公平化を図る、それから、たとえお年寄りではありましても、御自分の健康について御自分でも配慮をお願いしたいといったような気持ちから、まあ無理のない範囲と思いますものをお願いをいたしておるわけでございます。
 それから、按分率の問題でございますが、これは段階的に引き上げをする。その結果、加入率の低い保険者は負担がふえるわけでございますけれども、組合健保等を見ておりますと、全体の財政状況からしますと、保険料率の引き上げを行わなくても吸収が可能であるという見通しでいたしておるものでございます。
 それから、国民健康保険でございますが、先般お認めをいただきました補正予算におきまして、この老人保健法改正案の成立の遅延に伴いまして生ずる負担増、これは国保特別交付金七百四十億円でございますが、これを追加計上いたしまして運営の安定化に配慮いたしておるところでございます。
 以上でございます。拍手
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藤田正明#17
○議長(藤田正明君) 沓脱タケ子君。
   〔沓脱タケ子君登壇、拍手〕
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沓脱タケ子#18
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、老人保健法等改正案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 私は、まず冒頭に、緊急な問題として、伊豆大島の三原山の災害に関し、我が党は、全島民の皆様方に心からお見舞いを申し上げ、同時に、政府に対して、被害者の皆様方に対し適切かつ十分な緊急対策をとるように、まず強く御要望を申し上げるものであります。
 さて、私は、本法案が会期末になって本院に送付され、しかも、委員会の審議日もないままで本日の本会議に付されたことに対し、参議院改革の本旨にももとるものとして強く抗議するものであります。
 総理、あなたの最も親しいレーガン政権のもとで、近年、未熟児の出産が激増していることを御存じですか。その原因は、核軍拡の一方で、小さな政府の名で進められた社会保障費のカット、特に、貧困層に対する食糧援助の打ち切りによる妊婦の栄養不足やヘルスセンターの多数の閉鎖の結果がもたらしたものであります。この事実は、社会保障の切り下げが社会的に弱い人々にどれほど大きな打撃を与えることになるかを示しております。総理、あなたもこのわだちを歩みつつあります。あなたは、戦後政治の総決算の名のもとに大軍拡と大企業優先の政治を推し進める一方で、社会保障制度の全面的な改悪を進めているからであります。
 老人保健法について言えば、政府は三年前、自助と連帯、すなわち自分の健康は自分で守れ、必要な費用は国民が連帯して負担せよという、憲法二十五条と老人福祉法を空洞化する理念を持ち込み、老人医療の有料化を強行いたしました。そして、さらに本法案による改悪を突破口にして、健保本人への二割負担の強行、国民健康保険の改悪と解体など、いわゆる福祉切り捨ての第二ラウンドを進めようとしているのであります。
 お年寄りを福祉切り捨ての矢面に立たせ、過酷な負担を押しつける本法案の強行は、お年寄りの医療と年金を大事にする福祉社会を建設するという、さきの選挙での総理自身の公約をも真っ向から踏みにじるものではありませんか。明確な御答弁を求めます。
 この中曽根内閣の政治姿勢は、本法案の内容にも明確にあらわれております。その第一は、お年寄りの負担を大幅に引き上げる問題であります。
 今日の老人世帯の暮らし向きは、政府の調査を見ましても、横ばいないしは低下しており、老齢福祉年金や国民年金受給者の大部分が月額三万円前後というもとで、年金や恩給を主な暮らしの糧としている老人世帯が実に六割にも上っているのが実態であります。政府は必要な受診を抑制するものではないと答弁しておりますが、このようなもとで患者負担を大幅にふやすということは、所
得の低いお年寄りなど、本来、最優先に福祉の手を差し伸べなければならない人たちほど医療から遠ざけられるのは当然であります。まさに弱者切り捨ての政治姿勢を端的に示したものと言わざるを得ないではありませんか。御見解をお伺いしたいと思います。
 患者の負担増によって力ずくで受診を抑えようとするようなやり方ではなく、老人医療費の無料化を復活させ、早期受診の機会を保障するとともに、リハビリや保健事業を拡充することこそが、国民の健康を守り真の医療費支出の軽減につながる道ではありませんか。
 さらに、長時間超過密労働と遠距離通勤が働く人々の心身をむしばみ、慢性化した疾病が老後にまで及んでいる現状から見ましても、週休二日制の実現や労働時間の短縮が、今国民の健康を守る上でも国民医療費の軽減にとっても緊急の課題となっていると思いますが、あわせて御所見をお伺いしたいのであります。
 第二は、加入者按分率を変更し、被用者保険の拠出金を大幅にふやそうという問題であります。
 この本質は、国の負担だけは大幅に削りつつ、国民同士による痛み分けの形で財政調整を押しつけるものであります。これでは到底労働者の納得が得られないのは当然であります。制度の長期的安定の確保を口にするのであるならば、まず国庫負担を大幅に増額し、老人医療への国の責任を果たすとともに、他の先進資本主義諸国に比べてみましても、国内の中小企業の負担比率に比べてみましても、著しく低い大企業の社会保障費負担を適正に引き上げることによって制度の安定を図るべきではありませんか。この点について明確な答弁を求めます。
 第三は、老人保健施設の新設についてであります。
 寝たきりのお年寄りは年々増加の一途をたどっており、特別養護老人ホームなど入所のできる施設の増設は広範な国民の願いとなっているのであります。しかし、本法案に言う「老人保健施設」は、このような国民の期待を逆手にとった安上がりの施設づくりをねらったものであり、お年寄りの人間的尊厳を保障するにはほど遠い施設になるでありましょう。
 加えて、問題は、高額の自己負担の上にさらに基準以上のサービスを望むときには、自由契約でさらに高額の差額を支払わせ、処遇に格差を持ち込むということを公認することになっているわけであります。これでは、政府みずから我が国の社会福祉・社会保障制度を変質、崩壊させる道を開くことになるではありませんか。断じて許せないと思うのです。御答弁を求めます。
 第四に、国民健康保険料滞納者への保険証の取り上げ、保険給付の一時差しとめという制裁措置についてであります。
 そもそも、国保財政への国庫負担を大幅に切り下げ、九割もの自治体に国保料の引き上げを余儀なくさせ、滞納者を急増させてきた政府の責任を棚上げにして滞納者に制裁措置を強行するとは、全く不当なやり方ではありませんか。政府は、制裁措置は悪質滞納者のみにとどめると答弁しておりますが、現在でも既に少なくない自治体で国保料収納率の引き上げを名目にいたしまして滞納者への保険証送付が不当にも差しとめられており、専ら低所得の方々がその対象とされているのであります。新しい保険証が手元にないために受診がおくれ、通院即入院という事例も各地にあらわれているのであります。このような国民の生命を脅かすような制裁措置を法的に認めるということは、国民皆保険制度を突き崩すことになるではありませんか。明確な御答弁を求めます。
 総理、あなたは今、百円玉を四つしっかりと握りしめて病院を訪れるお年寄の心情がおわかりになりますか。長年社会に貢献されてきたお年寄りには、それにふさわしい政治の光を当てるのが当然ではありませんか。この立場から見ても、本法案は憲法第二十五条と老人福祉法の理念を踏みにじる許しがたい悪法であります。今こそ軍事費を削って医療福祉を守るときです。私は、断固として本法案の廃案を実現するために奮闘することを申し上げて、質問を終わります。拍手
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
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中曽根康弘#19
○国務大臣(中曽根康弘君) 沓脱議員にお答えをいたします。
 まず、三原山の噴火対策につきましては、万全を期してやる決心でございます。
 次に、今回の老人保健制度の改正は、人口の高齢化が進む中で、増加の避けられない老人医療費を国民全体が公平に負担するシステムを確立して、制度の長期的な安定を図るものであります。
 なお、一部負担の見直しを含めて、公平で安定した老人保健制度の確立は、自由民主党の選挙公約でもあったのでございます。
 次に、老人負担の増加の問題でございますが、世代間の負担の公平という観点から、一部負担の引き上げをお願いしておりますが、老人の方が払いやすいように、若い人とは異なる定額の一部負担といたしておりまして、年金や高齢者世帯の所得の水準から見て、必要な受診を抑制する程度の額ではないと考えておるものであります。
 次に、無料化の問題でございますが、老人保健制度を長期的に安定したものとするためには、健康に対する自覚と適正な受診、世代間の負担の公平という観点から、適正な一部負担がぜひとも必要であり、無料化を復活する考えはございません。
 また、壮年期からの健康づくりを進める保健事業については、今後ともその一層の推進を図ってまいる所存でございます。
 労働時間の問題でございますが、労働時間の短縮は、高齢化等が進展する中で、労働者の健康の確保と生活の充実を図るなどの観点からも重要でありますので、週休二日制の普及等に努める所存でおります。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。拍手
   〔国務大臣斎藤十朗君登壇、拍手〕
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斎藤十朗#20
○国務大臣(斎藤十朗君) まず、患者負担についてのお尋ねでありますが、総理からも御答弁をいただきましたとおり、今回の一部負担の改正は、増加の避けられない老人医療費をお年寄りも若い人も公平に負担するシステムを確立し、老人保健制度を長期的に安定したものとするためぜひとも必要なものと考えております。
 今回の改正では、お年寄りが支払いやすい定額制を維持し、外来については、月の初めに一回だけ支払えばよい現在の仕組みは変えないこととしております。年金や高齢者世帯の所得の水準から見て無理なく御負担いただけるものであり、必要な受診を抑制するものではないと考えております。無料化を復活する考えはございません。
 また、壮年期からの健康づくりを目指し、予防やリハビリテーションを一貫して行う保健事業は、長期的には老人医療費の適正化につながるものでありまして、今後、第二次五カ年計画において一層の充実を図ってまいる所存でございます。
 老人医療に対する国庫負担につきましては、国として医療費の二〇%相当分の負担を行っているところであり、この割合は今回も変わっていないところでございます。
 老人保健制度は、各医療保険制度の共同事業として実施されているものでありますが、これは老人にかかる医療費を各保険者が公平に負担するという発想で組み立てられているものであり、企業の規模や負担能力の相違を考慮して負担を設定しているものではないわけでございます。
 今回の改正においては、この趣旨を徹底させることとしているものであり、これによって負担の公平が図られ、老人保健制度の長期的安定が実現されると考えております。
 老人保健施設につきましては、そのサービス水準についても運営基準で担保するとともに、食費等の利用料についてもガイドラインを設け、適正な水準とする考えでございます。
 次に、国保の保険料滞納者に対する措置についてのお尋ねでありますが、今回の措置は、国保被保険者の資格そのものを奪うものではございません。保険料滞納の状況に応じ、特に悪質な滞納者に対して、最小限必要な措置として給付を一時差しとめるにすぎないものであり、国民皆保険制度を突き崩すものではないと考えております。
 以上でございます。拍手
    ─────────────
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藤田正明#21
○議長(藤田正明君) 勝木健司君。
   〔勝木健司登壇、拍手〕
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勝木健司#22
○勝木健司君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました老人保健法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係各大臣に対し質問を行うものであります。
 今、我が国はかつてないほど大きな試練にさらされようとしております。世界に例を見ない急速な高齢化の進行がそれであります。
 人口高齢化の基準であると言われます老年人口率七%がその倍の一四%になるのに、アメリカでは七十五年、スウェーデンでは八十五年、フランスでは百十五年と、他の諸国がゆっくりと高齢化していったのに対し、日本はわずかに二十五年という短期間のうちに高齢化が進行いたします。この驚くべき事実を前にして、今、政治に求められているものは、来るべき高齢化社会に向けてどういう姿勢でこのことに取り組んでいくかということであります。年金、医療はもとより、雇用問題、住宅問題、公共施設など高齢化に向けた総合的な対策を講じていかなければなりません。またお年寄りを大切にする心や、お年寄りや身障者が若い人や健常者と一緒に生活することが当然であるという考え方、いわゆるノーマライゼーションの普及など教育的観点からの対応も必要であると考えるものであります。
 まず、総理に、高齢化社会に向けてどういう姿勢で臨もうとされておられるのか、その御所見を明らかにしていただきたいのであります。
 私は、今回の老人保健法等の改正案を見る限り、目先の財政効果にとらわれ過ぎて、長期的な展望を持たないものと考えざるを得ません。ここ数年の政府・自民党の政策は、行政改革イコール・マイナスシーリングという誤った認識のもとに予算が編成され、その結果、当面の財政事情によって福祉の後退、国民負担の増大を行ってまいりました。本案もまたその延長線上に位置づけられるものであります。
 もとより、私は行政改革を否定するものではありませんし、高齢化とともにある程度の負担が増大することもまた避けられないと考えるものであります。しかし、行政改革というものは効率的な行政体制によって生じた財源を、福祉とか教育など国民生活の向上に寄与することを目的とすべきでありまして、決して政府みずからの経済政策の失敗によって生じました歳入欠陥を穴埋めするためのものであってはなりません。また国民に負担を求めるのならば、将来の社会保障の姿と負担の水準というものを明らかにした上で、国民の理解を求めることがまず必要であると考えますが、総理はいかがお考えであるのかお聞かせいただきたいのであります。
 次に、本案に関する問題点につきまして幾つかお尋ねをしてまいります。
 まず、一部負担の引き上げについてであります。
 衆議院におきまして修正が行われ、七十歳以上のお年寄りにつきまして、外来一月四百円を千円にしようという政府案が一月八百円に改められました。しかし、これでもなお倍の引き上げであり、お年寄りが一人で幾つもの医療機関にかかっている現実を考えれば、外来で一月八百円の一部負担はなお急激に過ぎると考えるものであります。
 また、入院につきましても、一日三百円を五百円にし、しかも二カ月の限度を撤廃しようとするものであります。お年寄りの入院にかかわる費用のうち、いわゆるお世話料等の保険外負担は月五万円とも言われております。その上に加えて、このような負担増が行われれば、月額二万七千二百円にすぎない老齢福祉年金では老後の生活を支えていくことはできません。このような急激な形での負担増は絶対に避けるべきであると考えますが、厚生大臣の御所見をお聞きしたいのであります。
 次に、加入者按分率の引き上げについてお伺いいたします。
 加入者按分率につきましても、衆議院におきまして若干の修正が行われましたが、この修正内容では極めて不十分であると言わなければなりません。今回の按分率引き上げにつきまして、政府は、財政調整による負担の公平を理由に挙げておりますが、本当のねらいは、問題を抱える国保財政を他の被用者保険、言ってみればサラリーマンと企業に肩がわりさせようというものであります。このことは、現在、円高による不況で厳しい対応を迫られております企業と、そこに働く勤労者に対する形を変えた増税であると考えますが、大蔵大臣並びに厚生大臣の御見解はいかがでありましょうか。
 また、とりわけ、加入者按分率を一〇〇%とすることは到底容認することはできません。このことは、おのおの保険制度がみずからの保険に所属する老人の医療費につきまして自己責任を負わなくてよいということにもなり、医療費適正化などの経営努力を否定することになりかねません。按分率一〇〇%を法案から削除すべきであると考えますが、総理からの明快な御答弁をお願いしたいのであります。
 現在、被用者保険は黒字傾向にありまして、六十年度決算を見ましても、健保組合二千九百六十七億円、政管健保三千十億円の黒字をそれぞれが出しております。このことはおのおの組合のたゆみない経営努力の結果によるものでありまして、当然その黒字分は加入者に還元すべきであります。こういう見地から、被用者保険の家族給付率の改善を図るべきでありますが、その意思がおありかどうか、厚生大臣にお伺いをいたします。
 次に、国民健康保険につきましては、市町村が経営主体となっていること、低所得者層が大半を占めていることなどによる財政の不安定性、被用者保険との保険料負担の不均衡、医療費適正化の不徹底などの問題を抱えております。この際、経営主体や国保制度の概念の再検討などを含め、国民健康保険制度の抜本的見直しを図る必要があると考えますが、厚生大臣並びに自治大臣はいかがお考えでありましょうか、お伺いをいたします。
 次に、老人保健施設につきましてお尋ねをいたします。
 人口の高齢化に伴いまして、寝たきり老人の数は年々増加し、昭和七十五年には百万人を超えると言われております。こうした寝たきり老人に対する対策など非常に重要であると考え、今回、政府が提案し、取り組もうとする姿勢については一応の評価をするものでありますが、その進め方につきまして問題があると考えます。
 政府は、まず法案を成立させ、その後の審議会で施設の機能、施設基準等を設定することにしておりますが、これは順序が逆であると言わなければなりません。老人保健施設を将来の高齢化社会を支える基幹的施設として位置づけるのであれば、研究調査費をつけまして、二、三年のパイロット計画を立てて実験的に行ってみた後に、確固たる見通しのもとに法律をつくるべきであると考えますが、このことにつきまして総理の御所見を承りたいのであります。
 また、財源措置につきまして、従来の措置費と受益者負担というものを医療保険と受益者負担へと大転換するということは、保険財政上、重要な問題ではないかと考えるのでありますが、厚生大臣はどうお考えでありましょうか。
 以上、数点にわたり御質問してまいりましたが、本法案は国民の合意を得られないまま、当面の財源対策のみを考えた安易な負担転嫁であると
言わざるを得ません。これはまさに福祉ビジョンの欠如を示すものであります。さきにも申しましたように、急速な高齢化社会を迎えようとしている我が国にとりまして、今こそ将来安心して生活できる社会のあり方というものを示すべきときであると考えます。そこで私は、この際しっかりとした二十一世紀に向けての長期的展望に立った総合福祉ビジョンを総理に明確に示していただきたいのであります。
 本法案は、幾つもの重要な問題点を含んでおります。将来の高齢化社会をしっかりと見据えて万全の対策を講じていくことが望まれている今日、拙速を避け、十分な審議、検討を行うべきであることを申し添えまして、私の質問を終わります。拍手
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
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中曽根康弘#23
○国務大臣(中曽根康弘君) 勝木議員にお答えをいたします。
 まず、高齢化社会に向けての政治姿勢でございますが、二十一世紀初頭の長寿社会において、人生八十年時代にふさわしい経済社会システムの構築を目指しまして、雇用・所得保障、健康・福祉、学習・社会参加、住宅・生活環境等に関して政府が講ずべき施策の指針として、先般、長寿社会対策大綱を策定したところでございます。
 この大綱に示された指針に従いまして各般の施策を積極的に推進する考え方であり、その際、高齢者と若年世代との交流を強め、世代間の連帯と活力に満ちた地域社会の形成を図ることが必要であります。御指摘のような教育的な観点からの対応も必要であると考えております。
 次に、社会保障の問題でございますが、今回の改正は、長期的に安定した老人保健制度の確立を目指すものであり、単なる財政対策ではありません。
 社会保障については、長寿社会対策大綱に示された基本方向に沿って施策の具体化を図ることとしておりますが、その長期的な負担水準がどの程度となるかについては、経済の動向や医療の技術進歩など不確実な要因が多くありまして、あらかじめ予測することは困難でございますが、臨調答申にもありますように、国民負担率を西欧水準からかなり低い水準にとどめたい、こういう目標で努力はしているつもりでございます。
 次に、按分率の問題でございますが、今回の加入者按分率の引き上げは、各医療保険間の老人加入率の格差による負担の不均衡を是正し、老人医療費の公平な負担を実現するためのものであります。
 加入者按分率を一〇〇%としても、各保険者の一人当たりの老人医療費を基礎として拠出金が算定されておりますので、保険者の経営努力や医療費の適正化努力はきちんと反映されるような仕組みになっております。
 老人保健施設の制度化の手順の問題でございますが、老人保健施設の制度化に当たって必要な事項は、関係審議会の御意見を踏まえて今回の改正法案に盛り込んでおります。
 施設や人員等の細則についても、既に厚生省の考え方をまとめて明らかにしております。
 なお、今後予定しているモデル事業は、これらの技術的、具体的細則を定めるために実施するものでもあり、手順を踏んだものと考えております。
 総合福祉ビジョンの御質問でございますが、二十一世紀の本格的な長寿社会に備え、社会保障について国民の期待と信頼にこたえることのできる揺るぎない制度を確立することが必要であると考えます。
 政府においても、人生八十年時代にふさわしい経済社会システム構築のために長寿社会対策大綱の策定を行ったところであり、この基本方針に従いまして総合的かつ効果的に今後とも施策を推進する考えでおります。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。拍手
   〔国務大臣斎藤十朗君登壇、拍手〕
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斎藤十朗#24
○国務大臣(斎藤十朗君) まず、一部負担についてのお尋ねでありますが、今回の一部負担の引き上げは、既にお答えいたしましたとおり、増加の避けられない老人医療費をお年寄りも若い人も公平に負担するという観点からお願いしているものでございます。
 今回の改正では、お年寄りが払いやすい定額制を維持し、外来については月の初めに一回だけ支払えばよい現在の仕組みは変えないこととしており、また年金や高齢者世帯の所得の水準や受診の実態から見て無理なく御負担いただけるものと考えております。
 また、今回の加入者按分率の引き上げについては、既にお答えいたしましたように、老人保健制度の基本理念に沿って、長寿社会にふさわしい公平な負担のシステムを確立するという観点から行うものでございまして、被用者保険への肩がわりや企業や勤労者に対する実質増税ではないということで御理解をいただきたいと思います。
 次に、近年、黒字基調にあります被用者保険の家族給付など給付のあり方については、医療保険制度の一元化の展望を踏まえ、関係審議会において検討していただくよう御相談してまいりたいと考えております。
 次に、国保の抜本的な改革についてのお尋ねについては、先ほど中野議員にお答えしたとおりでございますが、将来にわたり国保が安定的に機能するよう幅広く財政基盤の強化策を検討してまいる所存でございます。
 最後に、老人保健施設の費用負担につきましてでございますが、社会保障制度審議会の建議に沿って、看護、介護も含めた医療サービスは老人医療と同様に保険財源を中心として給付し、生活サービスは利用者負担としているものでございます。
 以上でございます。拍手
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
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宮澤喜一#25
○国務大臣(宮澤喜一君) 按分ということそのものの考え方に反対だというお立場からの御質問であったわけでございますけれども、先ほど厚生大臣も言われましたように、どの保険者も同じ率で老人をいわば抱えていくという考え方、それはそれで私は一つの哲学ではないかと思っておりまして、そういうものとしてこの問題を御提案いたしておるわけでございます。御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 それから、今度の措置でサラリーマンに対する実質増税になるのではないかということでございましたが、組合健保について見ます限りは、全体としては保険料率の引き上げを行いませんでも吸収できるというふうに考えておりまして、その点は実質的な負担ということにはならないというふうに私どもとしては考えております。拍手
   〔国務大臣葉梨信行君登壇、拍手〕
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葉梨信行#26
○国務大臣(葉梨信行君) 国保制度の抜本的見直しについてお答え申し上げます。
 国民健康保険制度は、約四千五百万人の被保険者を擁します医療保険でございまして、国民皆保険の最も大きな部分を支えているものであります。したがいまして、その安定的な運営を維持することは、国民全体の医療を保障していく上で極めて重要な意味を有していると考えている次第でございます。
 医療保険であります国保につきましては、今後とも保険料・税と国庫補助負担金によって運営されることが基本でございますけれども、高齢化社会を迎え、今後医療保険制度全体の幅広い見直しの中で国民健康保険制度のあり方を検討していく必要があろうと考えている次第でございます。拍手
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藤田正明#27
○議長(藤田正明君) これにて質疑は終了いたしました。
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藤田正明#28
○議長(藤田正明君) この際、日程に追加して、
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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藤田正明#29
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。栗原国務大臣。
   〔国務大臣粟原祐幸君登壇、拍手〕
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