予算委員会公聴会
⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。
会
会議録情報#0
平成四年二月二十六日(水曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 山村新治郎君
理事 中山 正暉君 理事 原田昇左右君
理事 町村 信孝君 理事 村岡 兼造君
理事 村上誠一郎君 理事 串原 義直君
理事 野坂 浩賢君 理事 松浦 利尚君
理事 草川 昭三君
粟屋 敏信君 井奥 貞雄君
小澤 潔君 唐沢俊二郎君
倉成 正君 左藤 恵君
志賀 節君 戸井田三郎君
中谷 元君 村山 達雄君
柳沢 伯夫君 山本 拓君
井上 普方君 伊東 秀子君
加藤 万吉君 小岩井 清君
新盛 辰雄君 関 晴正君
筒井 信隆君 水田 稔君
元信 堯君 和田 静夫君
石田 祝稔君 日笠 勝之君
冬柴 鐵三君 児玉 健次君
三浦 久君 伊藤 英成君
中野 寛成君 楢崎弥之助君
出席公述人
野村総合研究所
研究理事 奥村 洋彦君
立教大学教授 和田 八束君
北里大学教授 坂上 正道君
慶応義塾大学総
合政策学部教授 丸尾 直美君
東京大学経済学
部教授 貝塚 啓明君
名古屋商科大学
国際経済学科
長・教授 板谷 茂君
出席政府委員
内閣官房副長官 近藤 元次君
総務政務次官 遠藤 武彦君
防衛政務次官 魚住 汎英君
経済企画政務次
官 田中 秀征君
沖縄開発政務次
官 鴻池 祥肇君
国土政務次官 前田 武志君
外務政務次官 柿澤 弘治君
大蔵政務次官 村井 仁君
大蔵省主計局次
長 田波 耕治君
大蔵省主計局次
長 涌井 洋治君
文部政務次官 松田 岩夫君
厚生政務次官 園田 博之君
農林水産政務次
官 二田 孝治君
通商産業政務次
官 古賀 正浩君
運輸政務次官 佐藤 敬夫君
郵政政務次官 笹川 堯君
建設政務次官 金子 一義君
自治政務次官 穂積 良行君
委員外の出席者
予算委員会調査
室長 堀口 一郎君
—————————————
委員の異動
二月二十六日
辞任 補欠選任
鹿野 道彦君 中谷 元君
戸田 菊雄君 元信 堯君
中野 寛成君 伊藤 英成君
同日
辞任 補欠選任
中谷 元君 山本 拓君
元信 堯君 戸田 菊雄君
伊藤 英成君 中野 寛成君
同日
辞任 補欠選任
山本 拓君 鹿野 道彦君
—————————————
本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成四年度一般会計予算
平成四年度特別会計予算
平成四年度政府関係機関予算
————◇—————
この発言だけを見る →午前十時開議
出席委員
委員長 山村新治郎君
理事 中山 正暉君 理事 原田昇左右君
理事 町村 信孝君 理事 村岡 兼造君
理事 村上誠一郎君 理事 串原 義直君
理事 野坂 浩賢君 理事 松浦 利尚君
理事 草川 昭三君
粟屋 敏信君 井奥 貞雄君
小澤 潔君 唐沢俊二郎君
倉成 正君 左藤 恵君
志賀 節君 戸井田三郎君
中谷 元君 村山 達雄君
柳沢 伯夫君 山本 拓君
井上 普方君 伊東 秀子君
加藤 万吉君 小岩井 清君
新盛 辰雄君 関 晴正君
筒井 信隆君 水田 稔君
元信 堯君 和田 静夫君
石田 祝稔君 日笠 勝之君
冬柴 鐵三君 児玉 健次君
三浦 久君 伊藤 英成君
中野 寛成君 楢崎弥之助君
出席公述人
野村総合研究所
研究理事 奥村 洋彦君
立教大学教授 和田 八束君
北里大学教授 坂上 正道君
慶応義塾大学総
合政策学部教授 丸尾 直美君
東京大学経済学
部教授 貝塚 啓明君
名古屋商科大学
国際経済学科
長・教授 板谷 茂君
出席政府委員
内閣官房副長官 近藤 元次君
総務政務次官 遠藤 武彦君
防衛政務次官 魚住 汎英君
経済企画政務次
官 田中 秀征君
沖縄開発政務次
官 鴻池 祥肇君
国土政務次官 前田 武志君
外務政務次官 柿澤 弘治君
大蔵政務次官 村井 仁君
大蔵省主計局次
長 田波 耕治君
大蔵省主計局次
長 涌井 洋治君
文部政務次官 松田 岩夫君
厚生政務次官 園田 博之君
農林水産政務次
官 二田 孝治君
通商産業政務次
官 古賀 正浩君
運輸政務次官 佐藤 敬夫君
郵政政務次官 笹川 堯君
建設政務次官 金子 一義君
自治政務次官 穂積 良行君
委員外の出席者
予算委員会調査
室長 堀口 一郎君
—————————————
委員の異動
二月二十六日
辞任 補欠選任
鹿野 道彦君 中谷 元君
戸田 菊雄君 元信 堯君
中野 寛成君 伊藤 英成君
同日
辞任 補欠選任
中谷 元君 山本 拓君
元信 堯君 戸田 菊雄君
伊藤 英成君 中野 寛成君
同日
辞任 補欠選任
山本 拓君 鹿野 道彦君
—————————————
本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成四年度一般会計予算
平成四年度特別会計予算
平成四年度政府関係機関予算
————◇—————
山
山村新治郎#1
○山村委員長 これより会議を開きます。
平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成四年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
御意見を承る順序といたしましては、まず奥村公述人、次に和田公述人、続いて坂上公述人の順序で、一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、奥村公述人にお願いいたします。
この発言だけを見る →平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、御出席の公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成四年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
御意見を承る順序といたしましては、まず奥村公述人、次に和田公述人、続いて坂上公述人の順序で、一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、奥村公述人にお願いいたします。
奥
奥村洋彦#2
○奥村公述人 御紹介にあずかりました奥村でございます。本日は、国際経済情勢に関しまして、我が国から見て重要な事柄と考えられる四つの問題を御報告さしていただきます。
世界経済は今大変重大な局面にございまして、日本がそれに深くかかわっておりますので、こうして御説明さしていただく機会をお与えくださいまして大変ありがたく存じ上げています。
第一の問題は、世界経済は今大きな歴史的な変革期にあり、対応を誤りますと重大な禍根につながるおそれがあるという点であります。アメリカの学者でキンドルバーガーという教授がおられますが、世界経済で力の移行期に危険なことが発生しからであると指摘しておられますが、今はまさにそうした時期に当たっていると思われます。
大きな変革が二つ進んでいます。一つは、アメリカの経済力の後退であります。もう一つは、東ヨーロッパと旧ソ連における体制の変更でございます。
まず、アメリカの経済力の後退につきましては、八〇年代にとりわけ目立ってまいりましたが、最初は、とりわけ八三年から八八年にかけましては、外国からの借金で支えられまして高度成長を図っていたために問題が糊塗されていましたが、八九年春以降、成長率がアメリカの潜在成長能力を下回ってくるにつれ、次第に表面化してまいりました。
例えば、製造業の国際競争力について見ますと、現在、家電でテレビをつくっているメーカーは一社にすぎません。シェアは一二%でございます。工作機械は、かつてはアメリカで使いますものほとんど自国で生産しておりましたが、現在は半分は輸入しなければいけない。世界におけるアメリカの工作機械のウエートは、第六位の六・七%に低下しているわけでございます。なお、日本の世界におけるシェアは二三%で、第一位でございます。自動車も、御承知のような事態になりまして、現在アメリカのメーカーは、自国のシェア、約三分の二に落ち込んでおります。こうした家電、工作機械、自動車における経済力の後退はよく知られているところでございますが、今、飛行機におきましても、ボーイング社の最新鋭の飛行機777をつくろうといたしますと、設計図上は二一%は日本製という事態になってきております。
アメリカでも競争力の弱体化につきましては、その原因が何によるものか種々議論されているところでございますが、決定的な点は、設備投資が現在一人当たり日本の半分しか行われていないという点でございまして、設備投資が行われない国では研究開発投資も行えない、したがって競争力も強くなれないという悪い循環に陥っているわけです。日米問題は、よく指摘されますが、こうしたアメリカの問題につきましては日本で問題にしているだけではございませんで、他のアジア諸国、中東諸国、ヨーロッパ諸国でも同様にアメリカの問題を指摘しているところであります。
アメリカについてはまだ後ほど触れさせていただきますが、世界の大きな変革のもう一つの点は、東ヨーロッパと旧ソ連の体制変更であります。このうち、東ヨーロッパにつきましては、現在はまだトンネルの中にありますが、次第にトンネルを抜け出る時期を模索する明るい段階に入りつつあります。旧ソビエト地区につきましては、東ドイツ、ポーランドの実験から、この後成長率が大きく落ち込み、失業率は恐らく二五%程度に達する可能性がありますので、旧ソ連につきましては、今後大きな問題になってまいります。社会主義体制から市場経済へ移行いたします場合に、これまでなかった流通、金融、情報通信、運輸といったインフラをまず整備しなければいけないわけですが、このインフラについては外国の民間の資金に依存するわけにはいきませんので、外国の公的な資金をまず取り入れてインフラをつくり、その後世界から民間の資金を招くという段取りが必要でございますが、現状ではまだ順調な展開を見ていないところであります。しかし旧ソ連、東ヨーロッパともに前進する以外道はないわけでございますので、今後数年にわたりましてかなり苦しい場面を経験して、中期的に明るい道につなげるものと位置づけておくことができます。
四つの問題をきょう申し上げようと思っておりますが、第一は、今申し上げた歴史的な大きな変革でありますが、第二の問題は、こうした大きな流れの中でことしの世界経済がどのように動いていくかという、足元の問題でございます。
現在、世界経済で明るい方向を向いている地域、低迷を続ける地域と、二分することができますが、このうち明るい方向を向いているものは、中東地域、東ドイツ、チェコ、ハンガリー、ポーランド地域といった旧東欧地域、そしてラテンアメリカのうちメキシコ、チリ、アルゼンチンといったところであります。しかし、こうした国は世界経済にとりまして中核になっている国とは必ずしも言えません。
世界経済の中核地或であります。アメリカ、ドイツ、旧ソ連地域は、ことしも低迷する状態が予想されるわけであります。とりわけアメリカについては大変懸念すべき状態にありまして、マイナス成長こそ脱しつつありますが、ことしアメリカに期待できる成長率はせいぜい一%前後でございます。
アメリカの成長率がなぜ低いのかにつきましては、表面的には消費者の政策に対する信頼がないとか、不動産不況、コンピューター不況だとか、あるいは州、地方政府も赤字に陥っているといったことが挙げられておりますけれども、これらはあくまで表面的な理由でありまして、アメリカ経済低迷の根因は、八三年から八八年にかけまして外国の借金を多く取り入れ、借金経済に陥る中で無理な高成長を図ってきたということであります。現在、その債務づけのまさに渦中にあるわけでございます。
ドイツにつきましては、旧東ドイツがかなり高い成長率になる。一部には一〇%近い高い成長を遂げるだろうという予測がございますが、これを織り込んだといたしましても、旧西ドイツを合わせたドイツ全域といたしましては、成長率は昨年の三%前後から、ことしは一%程度下がった二%程度しか財待できないという状態でございます。
私ども日本にとって、ドイツを見ます場合にもう一つ重要な問題は、ドイツの経常収支は昨年の赤字に続きましてことしもまた、米ドルにいたしますと百億ドルを超える赤字になるということでありまして、現在世界の各地が資金を求めているときに、ドイツからお金がたくさん出ていくということは期待できなくなっている点が日本にとっても重要な点でございます。旧ソ連につきましては多くのことが霧の中にあるわけですが、現在世界の金融市場で旧ソ連についてわかっていることは、今後二、三年ソ連の混乱は解消できないという点だけでございます。とりわけ、失業率が二五%程度まで上がってまいりますと、旧ソ連で二千万人を超える失業者が出るのではないかということになってまいりまして、こうした点をドイツを中心とする西側諸国は非常に恐れているわけであります。ドイツ・マルクに対して外国から投資が行われておりますけれども、もしソ連でこういった混乱が発生いたしますとドイツ・マルクも急落するのではないかというおそれすら抱かれているところであります。
このように、世界経済で明るい地域と低迷する地域とございますが、どちらかといいますと低迷する地域のウエートが高いわけでありますので、私ども日本の政策がこのバランスをとる上で大きなかぎを握ってまいります。
極めて今日的な問題で、アメリカの株高について一言触れさせていただきます。
現在ニューヨークの株価は続騰いたしております。しかし、アメリカ経済は大変な不振でございます。現在のニューヨークの株価は八五年ごろから上昇し続けたものでございますが、この七年間で約三倍の高さになっております。七年間で三倍もの高さに経済不振の中でアメリカの株価がなってきているということはかなり異様なことでございまして、世界的に政策を誤りますと、私どもが八七年に経験したようなことが起こらないとは言い切れない状態でございます。とりわけ今回のアメリカの株高は、アメリカ政府が思うように景気が回復いたしませんので短期の金利を非常に下げてまいりまして、二十七年前の一九六四年、強かったアメリカの水準まで短期金利を無理に下げております。現在アメリカで預金をいたしましても、預金金利はほとんど物価上昇率と同じくらい、つまり実質金利はゼロでございますので、個人の資金がかなり預金から株に移って株高が発生しておりますので、私どもはアメリカ経済は先行き明るいので株高になっていると必ずしも楽観視しておくことはできないわけでございます。
第三の問題といたしまして、このアメリカの構造的な低迷と日本とのかかわりについて申し上げたいと思います。
八〇年代に入りましてから日本は黒字を累積いたしました。今、八〇年から昨年に至るまでの日本の経常収支の黒字を足し合わせてまいりますと約五千二百億ドルの金額になりますが、この間、アメリカの経常収支の赤字の累計は八千九百億ドルに達したわけでございまして、現在日本とアメリカとで八〇年以降発生させました金融ギャップは一兆四千百億ドルを上回っております。私どもが、アメリカの債務、日本の債権ということで、両者の差額が八〇年以降一兆四千百億ドルに達していることを考えますと、アメリカ経済はなぜ容易ならざる事態に陥っているかがはっきりするわけでございます。
こうしたアメリカの債務の累積がなぜ可能であったか、なぜアメリカで八〇年代に外国の借金でもって高成長を図ることができたかということが現在のブッシュ大統領の政策を見ていく上で大事なポイントになるわけでございますが、この間、日本は本格的に外貨建て資産を蓄積する初めての段階でございましたので、初めはアメリカを中心にして積極的にジャパン・マネーを海外へ出していったわけでございます。しかし、八九年ころになりますと、日本の金融機関を初めとして日本の投資家はかなり腹いっぱい外貨建て資産を蓄積し終えた段階に入ってまいりまして、いわば外貨建て資産蓄積の第一段階から第二段階に移ってきたわけであります。
第一段階のときには、アメリカ政府は容易に外国の借金に依存して高成長を達成できましたが、ジャパン・マネーが第二段階に入りますと、アメリカ政府にとりましては簡単に外国の資金を取り入れて高成長を果たすことができなくなってまいりました。このことは、今アメリカの連邦政府とかアメリカの企業の借金状態を考えますとはっきりするわけでございます。今アメリカの連邦政府と民間企業のネットの借金残高をGNPで割ってみますと、現在は六六%、八〇年末には三三%でございましたから、八〇年代でほぼ倍増させました。朝鮮動乱を終えてからの四十年間で平和時最悪の借金状態に今アメリカは陥っているわけでございます。ジャパン・マネーは一時はこうしたアメリカの政策を助けていたわけでございますが、現在はそうすることができなくなっておりますので、アメリカにとりましては日本のお金とのかかわりで非常に困難な局面に入っている。
グリーンスパン・アメリカ中央銀行の総裁に当たる方が十二月十八日になりまして初めて、アメリカは債務づけに陥っているので思うように景気回復ができないとお話しされているわけでありますが、私どもにとって注意すべきことは、こうした借金をし過ぎるとおかなか経済回復はうまくいかないということを昨年の十二月十八日になって初めて議会で中央銀行総裁に当たる方がお話しされるという状態でございます。
第四の最後の点でございますが、このような世界経済、とりわけアメリカ経済の構造的な問題を念頭に置いて、世界最大の債権国であります日本の国際的責務について一言申し上げたいと思います。
日本は今、世界経済の中で大変高いウエートを占めており、かつ金融面ではほとんど最大の債権国になっているわけでございますから、世界経済に対しては日本は重大な責任があります。日本経済は自由な貿易と自由な資本移動という戦後のガット・IMF体制、そして変動相場制のもとで繁栄しているわけでありますから、このような舞台が変わるような事態に持っていくのは日本にとっても望ましくないわけでありますが、現在、世界の物差しで正本を見ますと、日本とアメリカの間で、先ほど申し上げましたように巨額の一兆四千百億ドルを超える金融ギャップがある。その上に日本の経済成長率は現在実力以下に低迷してきておりまして、かつ経常収支の黒字が七百億ドルを超えるという状態でございますので、私どもは一九二〇年代に当時の債権国アメリカが誤った政策をとって世界経済が混乱した、こういった経験を十分学んで日本の経済政策を適切に運営して、アメリカ及び世界経済を助けるといった姿勢もぜひ必要になってきているのではないかと思います。
どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →世界経済は今大変重大な局面にございまして、日本がそれに深くかかわっておりますので、こうして御説明さしていただく機会をお与えくださいまして大変ありがたく存じ上げています。
第一の問題は、世界経済は今大きな歴史的な変革期にあり、対応を誤りますと重大な禍根につながるおそれがあるという点であります。アメリカの学者でキンドルバーガーという教授がおられますが、世界経済で力の移行期に危険なことが発生しからであると指摘しておられますが、今はまさにそうした時期に当たっていると思われます。
大きな変革が二つ進んでいます。一つは、アメリカの経済力の後退であります。もう一つは、東ヨーロッパと旧ソ連における体制の変更でございます。
まず、アメリカの経済力の後退につきましては、八〇年代にとりわけ目立ってまいりましたが、最初は、とりわけ八三年から八八年にかけましては、外国からの借金で支えられまして高度成長を図っていたために問題が糊塗されていましたが、八九年春以降、成長率がアメリカの潜在成長能力を下回ってくるにつれ、次第に表面化してまいりました。
例えば、製造業の国際競争力について見ますと、現在、家電でテレビをつくっているメーカーは一社にすぎません。シェアは一二%でございます。工作機械は、かつてはアメリカで使いますものほとんど自国で生産しておりましたが、現在は半分は輸入しなければいけない。世界におけるアメリカの工作機械のウエートは、第六位の六・七%に低下しているわけでございます。なお、日本の世界におけるシェアは二三%で、第一位でございます。自動車も、御承知のような事態になりまして、現在アメリカのメーカーは、自国のシェア、約三分の二に落ち込んでおります。こうした家電、工作機械、自動車における経済力の後退はよく知られているところでございますが、今、飛行機におきましても、ボーイング社の最新鋭の飛行機777をつくろうといたしますと、設計図上は二一%は日本製という事態になってきております。
アメリカでも競争力の弱体化につきましては、その原因が何によるものか種々議論されているところでございますが、決定的な点は、設備投資が現在一人当たり日本の半分しか行われていないという点でございまして、設備投資が行われない国では研究開発投資も行えない、したがって競争力も強くなれないという悪い循環に陥っているわけです。日米問題は、よく指摘されますが、こうしたアメリカの問題につきましては日本で問題にしているだけではございませんで、他のアジア諸国、中東諸国、ヨーロッパ諸国でも同様にアメリカの問題を指摘しているところであります。
アメリカについてはまだ後ほど触れさせていただきますが、世界の大きな変革のもう一つの点は、東ヨーロッパと旧ソ連の体制変更であります。このうち、東ヨーロッパにつきましては、現在はまだトンネルの中にありますが、次第にトンネルを抜け出る時期を模索する明るい段階に入りつつあります。旧ソビエト地区につきましては、東ドイツ、ポーランドの実験から、この後成長率が大きく落ち込み、失業率は恐らく二五%程度に達する可能性がありますので、旧ソ連につきましては、今後大きな問題になってまいります。社会主義体制から市場経済へ移行いたします場合に、これまでなかった流通、金融、情報通信、運輸といったインフラをまず整備しなければいけないわけですが、このインフラについては外国の民間の資金に依存するわけにはいきませんので、外国の公的な資金をまず取り入れてインフラをつくり、その後世界から民間の資金を招くという段取りが必要でございますが、現状ではまだ順調な展開を見ていないところであります。しかし旧ソ連、東ヨーロッパともに前進する以外道はないわけでございますので、今後数年にわたりましてかなり苦しい場面を経験して、中期的に明るい道につなげるものと位置づけておくことができます。
四つの問題をきょう申し上げようと思っておりますが、第一は、今申し上げた歴史的な大きな変革でありますが、第二の問題は、こうした大きな流れの中でことしの世界経済がどのように動いていくかという、足元の問題でございます。
現在、世界経済で明るい方向を向いている地域、低迷を続ける地域と、二分することができますが、このうち明るい方向を向いているものは、中東地域、東ドイツ、チェコ、ハンガリー、ポーランド地域といった旧東欧地域、そしてラテンアメリカのうちメキシコ、チリ、アルゼンチンといったところであります。しかし、こうした国は世界経済にとりまして中核になっている国とは必ずしも言えません。
世界経済の中核地或であります。アメリカ、ドイツ、旧ソ連地域は、ことしも低迷する状態が予想されるわけであります。とりわけアメリカについては大変懸念すべき状態にありまして、マイナス成長こそ脱しつつありますが、ことしアメリカに期待できる成長率はせいぜい一%前後でございます。
アメリカの成長率がなぜ低いのかにつきましては、表面的には消費者の政策に対する信頼がないとか、不動産不況、コンピューター不況だとか、あるいは州、地方政府も赤字に陥っているといったことが挙げられておりますけれども、これらはあくまで表面的な理由でありまして、アメリカ経済低迷の根因は、八三年から八八年にかけまして外国の借金を多く取り入れ、借金経済に陥る中で無理な高成長を図ってきたということであります。現在、その債務づけのまさに渦中にあるわけでございます。
ドイツにつきましては、旧東ドイツがかなり高い成長率になる。一部には一〇%近い高い成長を遂げるだろうという予測がございますが、これを織り込んだといたしましても、旧西ドイツを合わせたドイツ全域といたしましては、成長率は昨年の三%前後から、ことしは一%程度下がった二%程度しか財待できないという状態でございます。
私ども日本にとって、ドイツを見ます場合にもう一つ重要な問題は、ドイツの経常収支は昨年の赤字に続きましてことしもまた、米ドルにいたしますと百億ドルを超える赤字になるということでありまして、現在世界の各地が資金を求めているときに、ドイツからお金がたくさん出ていくということは期待できなくなっている点が日本にとっても重要な点でございます。旧ソ連につきましては多くのことが霧の中にあるわけですが、現在世界の金融市場で旧ソ連についてわかっていることは、今後二、三年ソ連の混乱は解消できないという点だけでございます。とりわけ、失業率が二五%程度まで上がってまいりますと、旧ソ連で二千万人を超える失業者が出るのではないかということになってまいりまして、こうした点をドイツを中心とする西側諸国は非常に恐れているわけであります。ドイツ・マルクに対して外国から投資が行われておりますけれども、もしソ連でこういった混乱が発生いたしますとドイツ・マルクも急落するのではないかというおそれすら抱かれているところであります。
このように、世界経済で明るい地域と低迷する地域とございますが、どちらかといいますと低迷する地域のウエートが高いわけでありますので、私ども日本の政策がこのバランスをとる上で大きなかぎを握ってまいります。
極めて今日的な問題で、アメリカの株高について一言触れさせていただきます。
現在ニューヨークの株価は続騰いたしております。しかし、アメリカ経済は大変な不振でございます。現在のニューヨークの株価は八五年ごろから上昇し続けたものでございますが、この七年間で約三倍の高さになっております。七年間で三倍もの高さに経済不振の中でアメリカの株価がなってきているということはかなり異様なことでございまして、世界的に政策を誤りますと、私どもが八七年に経験したようなことが起こらないとは言い切れない状態でございます。とりわけ今回のアメリカの株高は、アメリカ政府が思うように景気が回復いたしませんので短期の金利を非常に下げてまいりまして、二十七年前の一九六四年、強かったアメリカの水準まで短期金利を無理に下げております。現在アメリカで預金をいたしましても、預金金利はほとんど物価上昇率と同じくらい、つまり実質金利はゼロでございますので、個人の資金がかなり預金から株に移って株高が発生しておりますので、私どもはアメリカ経済は先行き明るいので株高になっていると必ずしも楽観視しておくことはできないわけでございます。
第三の問題といたしまして、このアメリカの構造的な低迷と日本とのかかわりについて申し上げたいと思います。
八〇年代に入りましてから日本は黒字を累積いたしました。今、八〇年から昨年に至るまでの日本の経常収支の黒字を足し合わせてまいりますと約五千二百億ドルの金額になりますが、この間、アメリカの経常収支の赤字の累計は八千九百億ドルに達したわけでございまして、現在日本とアメリカとで八〇年以降発生させました金融ギャップは一兆四千百億ドルを上回っております。私どもが、アメリカの債務、日本の債権ということで、両者の差額が八〇年以降一兆四千百億ドルに達していることを考えますと、アメリカ経済はなぜ容易ならざる事態に陥っているかがはっきりするわけでございます。
こうしたアメリカの債務の累積がなぜ可能であったか、なぜアメリカで八〇年代に外国の借金でもって高成長を図ることができたかということが現在のブッシュ大統領の政策を見ていく上で大事なポイントになるわけでございますが、この間、日本は本格的に外貨建て資産を蓄積する初めての段階でございましたので、初めはアメリカを中心にして積極的にジャパン・マネーを海外へ出していったわけでございます。しかし、八九年ころになりますと、日本の金融機関を初めとして日本の投資家はかなり腹いっぱい外貨建て資産を蓄積し終えた段階に入ってまいりまして、いわば外貨建て資産蓄積の第一段階から第二段階に移ってきたわけであります。
第一段階のときには、アメリカ政府は容易に外国の借金に依存して高成長を達成できましたが、ジャパン・マネーが第二段階に入りますと、アメリカ政府にとりましては簡単に外国の資金を取り入れて高成長を果たすことができなくなってまいりました。このことは、今アメリカの連邦政府とかアメリカの企業の借金状態を考えますとはっきりするわけでございます。今アメリカの連邦政府と民間企業のネットの借金残高をGNPで割ってみますと、現在は六六%、八〇年末には三三%でございましたから、八〇年代でほぼ倍増させました。朝鮮動乱を終えてからの四十年間で平和時最悪の借金状態に今アメリカは陥っているわけでございます。ジャパン・マネーは一時はこうしたアメリカの政策を助けていたわけでございますが、現在はそうすることができなくなっておりますので、アメリカにとりましては日本のお金とのかかわりで非常に困難な局面に入っている。
グリーンスパン・アメリカ中央銀行の総裁に当たる方が十二月十八日になりまして初めて、アメリカは債務づけに陥っているので思うように景気回復ができないとお話しされているわけでありますが、私どもにとって注意すべきことは、こうした借金をし過ぎるとおかなか経済回復はうまくいかないということを昨年の十二月十八日になって初めて議会で中央銀行総裁に当たる方がお話しされるという状態でございます。
第四の最後の点でございますが、このような世界経済、とりわけアメリカ経済の構造的な問題を念頭に置いて、世界最大の債権国であります日本の国際的責務について一言申し上げたいと思います。
日本は今、世界経済の中で大変高いウエートを占めており、かつ金融面ではほとんど最大の債権国になっているわけでございますから、世界経済に対しては日本は重大な責任があります。日本経済は自由な貿易と自由な資本移動という戦後のガット・IMF体制、そして変動相場制のもとで繁栄しているわけでありますから、このような舞台が変わるような事態に持っていくのは日本にとっても望ましくないわけでありますが、現在、世界の物差しで正本を見ますと、日本とアメリカの間で、先ほど申し上げましたように巨額の一兆四千百億ドルを超える金融ギャップがある。その上に日本の経済成長率は現在実力以下に低迷してきておりまして、かつ経常収支の黒字が七百億ドルを超えるという状態でございますので、私どもは一九二〇年代に当時の債権国アメリカが誤った政策をとって世界経済が混乱した、こういった経験を十分学んで日本の経済政策を適切に運営して、アメリカ及び世界経済を助けるといった姿勢もぜひ必要になってきているのではないかと思います。
どうもありがとうございました。拍手
山
和
和田八束#4
○和田公述人 和田でございます。
私は財政、税制の方を専門にやっておりますので、本日は予算全般につきましてその問題点と見ておりますところを申し上げまして、若干私の意見も申し上げたいと思います。
平成四年度予算でございますが、いわゆるバブル経済崩壊後の状態のもとで、かなり苦しいといいますか、財政状況のもとで編成されているように思うわけであります。
そこで、財政の現在における課題といいますと、景気対策でありますとか、あるいは生活大国への基礎づくりでありますとか、あるいは世界状況の変化に伴う軍縮という課題でありますとか、あるいは国際貢献でありますとか、こういうふうな非常に大きな問題があるわけですけれども、これらの課題のどれが重点であるかということは必ずしも見えてこないところがあるのですが、それ以上に、これからの財政の方向づけといいますか、これについての内容がはっきりしないという点が非常な不安感を抱かざるを得ないというふうに思うわけであります。
最近十年ぐらいの財政の動向を見てまいりますと、いわゆる財政再建というのが八〇年代以来大きな課題でありましたけれども、これに対して、八〇年代におきましてはいわゆる中曽根行革というのが行われまして、主として公共事業の抑制を初めとする経費の削減、それから行政改革というのが行われまして、これらによって財政再建への方向がとられたということであります。必ずしもこれによって一挙に国債の減額というのが実現したわけではないわけでありますけれども、九〇年代の初めになりますと、いわゆるバブル経済によりまして税収入が非常に潤ってまいりまして、それによって公債依存度が低下するという非常にラッキーな状態になったわけであります。それに伴いまして、公共投資が一挙にふえる、あるいは福祉政策もかなり以前に比べまして増加するというふうなことになりまして、一応財政にとっては見通しができてきたように見えたわけですけれども、昨年から本年になりまして急速に税収入が鈍化いたしまして、今日に至った。
これから先一体どうなるのか、再び経費削減によりましてこれを乗り切るのか、あるいは財政再建の見通しを、計画をここで変えるのかというふうなことが、一つの岐路といいますか、選択の岐路に現在立たされていると思うわけです。あるいは増税というふうな考え方も成り立つわけですが、これを一体どちらにいくのかということであります。
結果的にはかなり大幅な公債発行が行われまして、昨年、平成三年の公債発行が五兆円余りであったのに対して、七兆円以上ということでありまして、主として公債発行が税収の鈍化といいますか減少というものをカバーする、こういう形になったわけであります。今後これが、昨年策定されました財政の長期見通しによりまして平成七年度までに公債依存度を五%程度にするというふうな、こういう一つの見通しというものが実現できるのかどうかということにつきましては非常な危うい感じを持つわけでありまして、その点が本年度予算において一つの不安材料ということになると思うわけであります。
公債発行につきましては、これを建設国債だけで賄うのか、あるいは特例公債の発行にするのかというふうな問題が景気対策とも絡んで議論されたわけでありますけれども、同時に、歳出面におきましては国債費が年々かなりの額、本年の予算でいいますと十六兆円以上になっておりまして、その割合が二三%弱というふうなことでありまして、これは長期的にかなり予算の圧迫材料になるということは言うまでもないわけであります。
したがいまして、現在の予算の状況を見ますと、予算全体に占める一般歳出の割合というのは五割強というふうなことでありまして、実際に国民が財政によっていろいろなサービスなり受益を受ける度合いというのは、一般会計の外見的な大きさに比べまして非常に小さいということであります。こういう状態がかなり長期的に続くということは非常な不安でありまして、一時的に公債の増発というのは財政上やむを得ない、あるいは景気対策的な意味もあるというふうに考えましても、長期的に見まして、このような財政状態が長く続く、あるいは公債の累積が百七十兆円を超えるというふうなこういう状態は、やはり国民経済的に見ましても、あるいは財政の状況からいいましても非常に不安な状態でありまして、早期に改善が行われるということが必要ではなかろうかと思うわけでございます。
その点につきましてまた後で申し上げることにいたしまして、次に税制改正について意見を申し上げたいと思うわけですが、税制改正につきましては既に抜本的税制改正というのが行われまして、この抜本改正の内容というのはかなり社会的、経済的にも定着してきたところもあるわけで
ありますけれども、なおいろいろな点で抜本改正の仕上げをするとか、あるいは見直しが必要であるということは言うまでもないと思うわけであります。
抜本改革のスローガンといたしましては、資産、所得、消費の負担のバランスというふうなことも言われたわけでありますけれども、必ずしもそれが最近において改善されているというふうには言えないわけであります。殊に、給与所得者といいますか、サラリーマンの納税者数というのは年々ふえておりますし、それからいわゆる直間比率という点から見ましてもほとんど目立った改善というものはないわけでありまして、やはりサラリーマンを中心としたところの所得税負担というものは低下しているとは言えないわけでありまして、次第に上昇傾向にあると言っていいと思うわけであります。抜本改革から既に何年かたっておりますので、ここでやはりサラリーマン減税といいますか、これを行う必要というのは極めて大きいというふうに言えるわけであります。
その点、本年は例えば地価税が施行されるわけでありますけれども、この地価税の収入は一部を減税に充てるというふうなことも言われていたわけでありますけれども、そのような地価税収入を見込んだところのサラリーマン減税というものが実現しなかったというのは、かなりそういう給与所得者にとっては落胆する結果になっていると思われるわけであります。
それに対して相続税は、評価の改定などもありまして、それに伴う相続税の課税評価の適正化というのですか、これに伴ってその調整ということで減税が行われ、さらに小規模宅地等にかかわる課税の特例なども拡充されて、相続税については唯一減税の対象になっているわけでありますけれども、もともと相続税といいますのは、資産の不平等といいますか、こうしたものを是正するということで、あの狂乱地価上昇というふうなもとでの地価対策の一環としてもかなり重視されたわけでありまして、それがこのような相続税評価の見直しということに実現された向きもあるわけでありまして、そのようないきさつからいいますと、かなりほかの税項目に比べまして相続税の減税というのは過大ではないかという感じがするわけであります。
ここでやはり相続税の持っております資産の公平という観点を維持するということでいえば、若干この評価の改正によって負担の増加という結果になる部分もあるわけでありますけれども、さらに大きな相続税の目的ということからいいますと、かなり過大な減税になっているのではないかというふうな感じがいたしまして、ここのところやはり私といたしましては、給与所得者に対する減税というのが非常に必要であったのではないかというふうに思うわけであります。
それで、全体として増税が行われたということは、税収の減少に伴う歳入の問題からいいまして一つの対応ではあったかと思うわけでありますけれども、やはり財政のあるべき姿ということでいいますと、安易に増税で収支を償うというのではなくて、歳出の面での見直しというものを十分に思い切って行うということが必要ではないかと思うわけであります。
しかしながら、現在の財政の歳出のあり方からいいますと、かつて公共事業費を長期にわたって抑制したというふうなことを再び行うということは事実上できないわけでありますし、また、社会資本の充実というものが特に必要になってきているということが言えるわけであります。あるいはまた福祉、社会保障予算というものは、高齢化社会を控えましてこれを抑制するということは、これも不可能なことであります。
そういうふうにして見ますと、なかなか、歳出の抑制、削減とかあるいは財政に直結するような行政改革といいましても、すぐに効果があるようなものがあるというふうには思われないわけであります。
その中で唯一、一つの歳出削減の面での期待が持たれる部分というのは防衛費ではなかろうかと思うわけでございます。
従来、防衛費につきましてはいろいろな問題がありまして、必ずしも削減というところに直結しなかったわけでありますけれども、今日は防衛費をめぐる環境といいますのは、国際状況の変化でありますとか、あるいは国際的な貢献でありますとか、そういうふうな観点からいいましても非常に条件が整ってきているわけでありまして、今後、歳出面における合理化あるいは歳出の抑制というふうな観点からいいましても、唯一期待のできるのが防衛費ではなかろうかと思いますので、中期防の見直しでありますとか、あるいは定員の削減等も含めまして、防衛費をいかに削減するかということが歳出面においては一つの重要なポイントになるのではなかろうかと思うわけであります。
それからもう一つ、この予算において理解が非常にしにくいという部分でありますけれども、NTT株の収入による事業というのがありまして、これは、従来一兆三千億円ぐらいこれが充当されていたわけでありますけれども、本年はその財源の裏づけがなくなったということで、主としてBタイプ、いわゆるBタイプと言われる部分でありますけれども、この部分につきましては建設国債を発行しているということであります。そのことによりまして、表面的に公共事業費がかなり前年に比べて一般公共としては増加するとか、あるいはその分につきましての公債金収入がふえるというふうな結果になっておりまして、結局NTTの収益事業といいますのも一般公共と一体的に行われてきたわけでありますので、いきなりこれを一兆円以上削減するということも公共事業の確保という点からいうと問題があるということはよく理解できるわけでありますけれども、しかし、従来NTTの収入というものがあって、それを国民に還元するということで行われてきたわけでありますけれども、どうも非常にわかりにくいわけでありますし、今日のように建設国債で財源の裏づけをしなければならないということになってまいりました以上、このNTT事業のあり方というのも、もとに戻しまして一般公共の中に含めるというふうなことでないと非常にわかりにくいのではないかという感じがいたしますので、一つの検討事項ではないかと思うわけであります。
最後になりますが、以上のようなことで、私は、現在の財政問題で非常に重要者のは、やはりバブル経済崩壊後の今後、どのような方向づけをしていくのかということでありまして、これを国民の目によくわかるように示していただくということが大事だと思うわけであります。
その点からいいまして、一つのあり方といたしましては、やはり長期財政計画というのを本格的なものを一つ立てる必要があろうかと思うわけであります。今までは収支見通しということで一つの試算が行われたりいたしましたけれども、もう少しはっきりした形で、何といいますか、一定の成長率のもとでの歳入の見通しというものを明確にするということと同時に、財政バランスを、収支バランスを長期で考える。
いわゆる単年度主義でやりますと、この年度に歳入が不足いたしますと公債を増発する、逆に、バブル経済時のように税収入がかなり豊富に入ってまいりますと、それを単年度で歳出化するというふうなことになってしまいますので、やはり従来の経済の状況からいいましても数年という区切りで変動があるわけでありますので、地方財政などではそういうものに対応するために一つの基金を設けて財政の調整をやっておるわけでありますので、国家財政におきましてもそういう手法というものが必要ではなかろうかというふうに考えますので、ひとつ御検討をいただければ幸いだということであります。
それからもう一つは、財政状況が非常によくない、あるいは赤字である、国債を発行しておりますので赤字であるということになりましても、これは一般会計について言えることでありまして、財政といいますのは特別会計それから政府機開会計全体を通じて存在しているわけであります。
で、これら全体を見てみますと、必ずしも一般会計で見るような歳入不足といいますか、問題があるのかどうかということであります。
昨年の政府予算が出た段階での新聞報道などによりますと、一般会計では不足しているけれども特別会計では非常に剰余金などがあるんだ、全体で二十六兆円にも達しているというふうな新聞報道がありまして、私も全体を見ることはできなかったわけでありますけれども、特別会計の幾つかを見てみますと、不用額というのが非常に多い、一割ぐらいを占めている特別会計が幾つかあります。それから剰余金収入というのがかなりありまして、四割ぐらいに達している特別会計もあるというふうなことでありまして、一般会計こそ非常に厳しい状態でありますけれども、これを総合的に見ていく必要があるのではないかというふうに感じますので、ひとつ特別会計、一般会計を通ずる財政の見直しというものが必要ではなかろうかというふうに感じましたので、その点を申し上げまして終わりにいたしたいと思います。どうも失礼しました。拍手
この発言だけを見る →私は財政、税制の方を専門にやっておりますので、本日は予算全般につきましてその問題点と見ておりますところを申し上げまして、若干私の意見も申し上げたいと思います。
平成四年度予算でございますが、いわゆるバブル経済崩壊後の状態のもとで、かなり苦しいといいますか、財政状況のもとで編成されているように思うわけであります。
そこで、財政の現在における課題といいますと、景気対策でありますとか、あるいは生活大国への基礎づくりでありますとか、あるいは世界状況の変化に伴う軍縮という課題でありますとか、あるいは国際貢献でありますとか、こういうふうな非常に大きな問題があるわけですけれども、これらの課題のどれが重点であるかということは必ずしも見えてこないところがあるのですが、それ以上に、これからの財政の方向づけといいますか、これについての内容がはっきりしないという点が非常な不安感を抱かざるを得ないというふうに思うわけであります。
最近十年ぐらいの財政の動向を見てまいりますと、いわゆる財政再建というのが八〇年代以来大きな課題でありましたけれども、これに対して、八〇年代におきましてはいわゆる中曽根行革というのが行われまして、主として公共事業の抑制を初めとする経費の削減、それから行政改革というのが行われまして、これらによって財政再建への方向がとられたということであります。必ずしもこれによって一挙に国債の減額というのが実現したわけではないわけでありますけれども、九〇年代の初めになりますと、いわゆるバブル経済によりまして税収入が非常に潤ってまいりまして、それによって公債依存度が低下するという非常にラッキーな状態になったわけであります。それに伴いまして、公共投資が一挙にふえる、あるいは福祉政策もかなり以前に比べまして増加するというふうなことになりまして、一応財政にとっては見通しができてきたように見えたわけですけれども、昨年から本年になりまして急速に税収入が鈍化いたしまして、今日に至った。
これから先一体どうなるのか、再び経費削減によりましてこれを乗り切るのか、あるいは財政再建の見通しを、計画をここで変えるのかというふうなことが、一つの岐路といいますか、選択の岐路に現在立たされていると思うわけです。あるいは増税というふうな考え方も成り立つわけですが、これを一体どちらにいくのかということであります。
結果的にはかなり大幅な公債発行が行われまして、昨年、平成三年の公債発行が五兆円余りであったのに対して、七兆円以上ということでありまして、主として公債発行が税収の鈍化といいますか減少というものをカバーする、こういう形になったわけであります。今後これが、昨年策定されました財政の長期見通しによりまして平成七年度までに公債依存度を五%程度にするというふうな、こういう一つの見通しというものが実現できるのかどうかということにつきましては非常な危うい感じを持つわけでありまして、その点が本年度予算において一つの不安材料ということになると思うわけであります。
公債発行につきましては、これを建設国債だけで賄うのか、あるいは特例公債の発行にするのかというふうな問題が景気対策とも絡んで議論されたわけでありますけれども、同時に、歳出面におきましては国債費が年々かなりの額、本年の予算でいいますと十六兆円以上になっておりまして、その割合が二三%弱というふうなことでありまして、これは長期的にかなり予算の圧迫材料になるということは言うまでもないわけであります。
したがいまして、現在の予算の状況を見ますと、予算全体に占める一般歳出の割合というのは五割強というふうなことでありまして、実際に国民が財政によっていろいろなサービスなり受益を受ける度合いというのは、一般会計の外見的な大きさに比べまして非常に小さいということであります。こういう状態がかなり長期的に続くということは非常な不安でありまして、一時的に公債の増発というのは財政上やむを得ない、あるいは景気対策的な意味もあるというふうに考えましても、長期的に見まして、このような財政状態が長く続く、あるいは公債の累積が百七十兆円を超えるというふうなこういう状態は、やはり国民経済的に見ましても、あるいは財政の状況からいいましても非常に不安な状態でありまして、早期に改善が行われるということが必要ではなかろうかと思うわけでございます。
その点につきましてまた後で申し上げることにいたしまして、次に税制改正について意見を申し上げたいと思うわけですが、税制改正につきましては既に抜本的税制改正というのが行われまして、この抜本改正の内容というのはかなり社会的、経済的にも定着してきたところもあるわけで
ありますけれども、なおいろいろな点で抜本改正の仕上げをするとか、あるいは見直しが必要であるということは言うまでもないと思うわけであります。
抜本改革のスローガンといたしましては、資産、所得、消費の負担のバランスというふうなことも言われたわけでありますけれども、必ずしもそれが最近において改善されているというふうには言えないわけであります。殊に、給与所得者といいますか、サラリーマンの納税者数というのは年々ふえておりますし、それからいわゆる直間比率という点から見ましてもほとんど目立った改善というものはないわけでありまして、やはりサラリーマンを中心としたところの所得税負担というものは低下しているとは言えないわけでありまして、次第に上昇傾向にあると言っていいと思うわけであります。抜本改革から既に何年かたっておりますので、ここでやはりサラリーマン減税といいますか、これを行う必要というのは極めて大きいというふうに言えるわけであります。
その点、本年は例えば地価税が施行されるわけでありますけれども、この地価税の収入は一部を減税に充てるというふうなことも言われていたわけでありますけれども、そのような地価税収入を見込んだところのサラリーマン減税というものが実現しなかったというのは、かなりそういう給与所得者にとっては落胆する結果になっていると思われるわけであります。
それに対して相続税は、評価の改定などもありまして、それに伴う相続税の課税評価の適正化というのですか、これに伴ってその調整ということで減税が行われ、さらに小規模宅地等にかかわる課税の特例なども拡充されて、相続税については唯一減税の対象になっているわけでありますけれども、もともと相続税といいますのは、資産の不平等といいますか、こうしたものを是正するということで、あの狂乱地価上昇というふうなもとでの地価対策の一環としてもかなり重視されたわけでありまして、それがこのような相続税評価の見直しということに実現された向きもあるわけでありまして、そのようないきさつからいいますと、かなりほかの税項目に比べまして相続税の減税というのは過大ではないかという感じがするわけであります。
ここでやはり相続税の持っております資産の公平という観点を維持するということでいえば、若干この評価の改正によって負担の増加という結果になる部分もあるわけでありますけれども、さらに大きな相続税の目的ということからいいますと、かなり過大な減税になっているのではないかというふうな感じがいたしまして、ここのところやはり私といたしましては、給与所得者に対する減税というのが非常に必要であったのではないかというふうに思うわけであります。
それで、全体として増税が行われたということは、税収の減少に伴う歳入の問題からいいまして一つの対応ではあったかと思うわけでありますけれども、やはり財政のあるべき姿ということでいいますと、安易に増税で収支を償うというのではなくて、歳出の面での見直しというものを十分に思い切って行うということが必要ではないかと思うわけであります。
しかしながら、現在の財政の歳出のあり方からいいますと、かつて公共事業費を長期にわたって抑制したというふうなことを再び行うということは事実上できないわけでありますし、また、社会資本の充実というものが特に必要になってきているということが言えるわけであります。あるいはまた福祉、社会保障予算というものは、高齢化社会を控えましてこれを抑制するということは、これも不可能なことであります。
そういうふうにして見ますと、なかなか、歳出の抑制、削減とかあるいは財政に直結するような行政改革といいましても、すぐに効果があるようなものがあるというふうには思われないわけであります。
その中で唯一、一つの歳出削減の面での期待が持たれる部分というのは防衛費ではなかろうかと思うわけでございます。
従来、防衛費につきましてはいろいろな問題がありまして、必ずしも削減というところに直結しなかったわけでありますけれども、今日は防衛費をめぐる環境といいますのは、国際状況の変化でありますとか、あるいは国際的な貢献でありますとか、そういうふうな観点からいいましても非常に条件が整ってきているわけでありまして、今後、歳出面における合理化あるいは歳出の抑制というふうな観点からいいましても、唯一期待のできるのが防衛費ではなかろうかと思いますので、中期防の見直しでありますとか、あるいは定員の削減等も含めまして、防衛費をいかに削減するかということが歳出面においては一つの重要なポイントになるのではなかろうかと思うわけであります。
それからもう一つ、この予算において理解が非常にしにくいという部分でありますけれども、NTT株の収入による事業というのがありまして、これは、従来一兆三千億円ぐらいこれが充当されていたわけでありますけれども、本年はその財源の裏づけがなくなったということで、主としてBタイプ、いわゆるBタイプと言われる部分でありますけれども、この部分につきましては建設国債を発行しているということであります。そのことによりまして、表面的に公共事業費がかなり前年に比べて一般公共としては増加するとか、あるいはその分につきましての公債金収入がふえるというふうな結果になっておりまして、結局NTTの収益事業といいますのも一般公共と一体的に行われてきたわけでありますので、いきなりこれを一兆円以上削減するということも公共事業の確保という点からいうと問題があるということはよく理解できるわけでありますけれども、しかし、従来NTTの収入というものがあって、それを国民に還元するということで行われてきたわけでありますけれども、どうも非常にわかりにくいわけでありますし、今日のように建設国債で財源の裏づけをしなければならないということになってまいりました以上、このNTT事業のあり方というのも、もとに戻しまして一般公共の中に含めるというふうなことでないと非常にわかりにくいのではないかという感じがいたしますので、一つの検討事項ではないかと思うわけであります。
最後になりますが、以上のようなことで、私は、現在の財政問題で非常に重要者のは、やはりバブル経済崩壊後の今後、どのような方向づけをしていくのかということでありまして、これを国民の目によくわかるように示していただくということが大事だと思うわけであります。
その点からいいまして、一つのあり方といたしましては、やはり長期財政計画というのを本格的なものを一つ立てる必要があろうかと思うわけであります。今までは収支見通しということで一つの試算が行われたりいたしましたけれども、もう少しはっきりした形で、何といいますか、一定の成長率のもとでの歳入の見通しというものを明確にするということと同時に、財政バランスを、収支バランスを長期で考える。
いわゆる単年度主義でやりますと、この年度に歳入が不足いたしますと公債を増発する、逆に、バブル経済時のように税収入がかなり豊富に入ってまいりますと、それを単年度で歳出化するというふうなことになってしまいますので、やはり従来の経済の状況からいいましても数年という区切りで変動があるわけでありますので、地方財政などではそういうものに対応するために一つの基金を設けて財政の調整をやっておるわけでありますので、国家財政におきましてもそういう手法というものが必要ではなかろうかというふうに考えますので、ひとつ御検討をいただければ幸いだということであります。
それからもう一つは、財政状況が非常によくない、あるいは赤字である、国債を発行しておりますので赤字であるということになりましても、これは一般会計について言えることでありまして、財政といいますのは特別会計それから政府機開会計全体を通じて存在しているわけであります。
で、これら全体を見てみますと、必ずしも一般会計で見るような歳入不足といいますか、問題があるのかどうかということであります。
昨年の政府予算が出た段階での新聞報道などによりますと、一般会計では不足しているけれども特別会計では非常に剰余金などがあるんだ、全体で二十六兆円にも達しているというふうな新聞報道がありまして、私も全体を見ることはできなかったわけでありますけれども、特別会計の幾つかを見てみますと、不用額というのが非常に多い、一割ぐらいを占めている特別会計が幾つかあります。それから剰余金収入というのがかなりありまして、四割ぐらいに達している特別会計もあるというふうなことでありまして、一般会計こそ非常に厳しい状態でありますけれども、これを総合的に見ていく必要があるのではないかというふうに感じますので、ひとつ特別会計、一般会計を通ずる財政の見直しというものが必要ではなかろうかというふうに感じましたので、その点を申し上げまして終わりにいたしたいと思います。どうも失礼しました。拍手
山
坂
坂上正道#6
○坂上公述人 坂上でございます。
本日は、平成四年度の予算案の審議に関連をいたしまして、医療の問題につきまして見解を述べる機会が与えられまして、大変光栄に、またうれしく存じております。六年間、病院長それから看護学部長を併任いたしました体験も交えまして見解を述べさせていただきたいと思います。
まず、私どもの国の医療の現状でございますけれども、戦後の公衆衛生対策、それから経済の発展、それから社会基盤の充実というようなものが裏づけになったと思いますが、加えまして医療技術の進歩によりまして、私どもの医療の状況というのは世界的に見て第一級の数字になっております。
数字が一つの論理でございますので、数字を申し上げますと、御存じのように平成二年に寿命が男性において七十五・七、女性において八十一・五というのはまさに世界一であります。それからなお誇るべきは乳児の死亡率でございまして、これが四・六ということでございまして、まさに世界最低であります。ちなみにアメリカが九、ドイツが七でありますから、これは大変な数字でございます。
それから医療の制度でございますが、現在提供されております医療内容は欧米諸国と比べて遜色のない水準にあると思います。この水準に達しているという内容は、医療のアクセシビリティーと申しますか、医療を受けやすいというその安易さ、それから医療の水準、それから医療保険の適用範囲が非常に広い、こういうことが言えようかと思います。
ただし、ここで申し上げたいことは、医療費でありますが、これは国民医療費という言葉が俗な言葉であるそうでありますけれども、かって五年前に平成元年を二十二兆二千億というふうに読んでおりましたけれども、実績が二十兆六千九百億でございました。すなわち一兆五千億ぐらい、単純な俗を言葉で申し上げますと抑え込まれているわけでありまして、そのことがよいことか悪いことか、またどこに原因があるのか、それから何らかのひずみをそれがいざなっていないかということは考えるべき問題であります。ちなみに平成二年は二十一兆七千二百億というふうな想定でございますけれども、これが予想値からどのくらい、また単純に申し上げる言葉では抑え込まれるかということは、数字上の一つの分析すべき問題であろうかと思います。
次に、医療を取り巻くさまざまな情勢の変化でありますが、当然御存じのように疾病構造が変化をいたしまして、感染症から成人病、非感染性の慢性疾患に疾患構造が変化をいたしまして、現在の三大死因は悪性腫瘍、それから脳血管障害、循環器疾患の三つでありまして、これが三大死因であります。したがいまして、がんの問題その他を伴いまして、入院生活の長期化というようなことが問題であります。なおかつ、御案内のように、人口の高齢化によりまして、老人医療というものが大きなウエートを占めてまいりました。これが在宅医療につながる問題、それから末期医療における医療のあり方ということにつきまして大きな問題を投げかけているわけであります。
国民の側から見ますと、医療ニーズの多様化が起きてまいります。したがって、多様な医療に対応する必要が医療機関にも必要であります。それと同時に、根本的に治療中心から予防、リハビリというようなことで、医療概念に変化が生じてまいりました。
これを担うべき医療技術でありますが、医療技術につきましては、先端高度技術というものが医療分野にも応用されまして、いわゆる脳死、臓器移植というようなことが問題になりましたことは御存じの点であります。しかしながら、高度技術が医療に応用されるということに伴いましては、それを制御する人間的な配慮というものが必要でありまして、したがって、医療が人間的な温かみを持つこと、医の心というものが尊重されまして、医療担当者と患者との間の会話、コミュニケーション、信頼関係が成り立つということが極めて大事な問題になったと思います。これがインフォームド・コンセントという言葉、これを説明と同意というふうに日本医師会は訳しておりますが、要するに患者さんに対して十分な情報を提供いたしまして、そして同意を得ながら医療を進めるという医療が近代の医療では必要であるというような変化をいたしているわけであります。
それから、それに対応する医療機関の整備でありますが、これは量的な整備に関しましてはほぼ目的を達しているだろうというふうに言うことができます。すなわち、ベッドが既に百二十六万床ございますが、これは医療計画制度の導入による病床規制というようなことを行ってみますと、現在数字におきまして十万床既にオーバーしておりますので、量的には目的を達しているということが言えるかと思います。しかしながら、なお僻地問題その他がございまして、同じように健康保険の費用を払いながら、また税金を納めながら、僻地の方々が医療を受けられないということは大変問題でありまして、量の充実の中に僻地問題などの医療の偏在という問題を問題にいたしたいというふうに存じます。
それから、質的な充実でございますが、これは、先ほど申し上げましたように、人口の高齢化、疾病構造の変化、あるいは医療技術を取り入れるというようなことでございますが、このために、現在存在しております量的には満ち足りました医療施設機能というものを体系化いたしまして、医療資源を有効に使うという意味から、医療を適切に提供できる体制の整備ということが必要であろうかと思います。これが、議会で継続審議になっております医療法の改正という問題につながるかと思いますが、この医療機能の体系化というものは時間のかかる問題ではありましょうが、私は早速に手をつけるべき問題であろうというふうに考えております。
それから、医療を支える医療従事者の対策でありますが、これは医者の問題につきましては、御存じのように一県一医大というような問題で医師がたくさん養成されまして、既に平成二年、人口十万に対して百七十一というレベルに達しておりますので、医師は既に十分な量に達しているということが言えようかと思います。むしろ平成七年に向かいまして一〇%削減という手が打たれておりまして、これは医師の養成のために必要な一つの計画であろうというふうに存じております。
しかしながら、この数のそろいました医者におきましても、やはり質の向上ということは問題でございまして、私も医学教育を行う立場からいいましても、今後の医者のあり方に関しましては、大変重大な問題があると思っております。すなわち、現在の若い医者は臓器専門というものに向かいまして、人間全体がわかるという医者になっていかないおそれがあります。もちろん臓器専門家の存在も必要ではございますけれども、そういう能力を持つと同時に、全人的な医療が行えるという医者の養成が必要であろうというふうに存じます。そういう意味では、医学校を卒業いたしました直後の初期臨床研修というものは極めて大事であるというふうに存じております。これが、インターン廃止以後、努力規定のままとどまっておりまして、臨床研修の制度の整備がおくれているということにつきましては、大事な問題でありまして、今後充実させる必要があるということを痛感いたしております。
それから、ナースの問題でありますが、看護職は非常に大事な仕事でございまして、皆様が御病気になってごらんになればすぐわかることでありますが、医師と患者との間に立ちまして、その両方の中間の位置を担ってくれる、しかも病者の傍らにありまして常にケアをしてくれるのは看護職であります。ケアという言葉は、ギリシャ語のカーラーから来たそうでありまして、カーラーというのは悲しみをともにするという共感の意をあらわします。そういう意味におきまして、ナースが患者の傍らに常にいてくれる、そして共感をしてくれるというところから医師もまた医療情報、患者の情報をとらえることができるわけでありまして、大事な位置にある職であるということを強調いたしたいと思います。
国でもこの需給計画は計画を立てておられまして、平成二年度末では八十三万人というような数でございますけれども、この計画に対しましては、なお十万近い不足がございまして、看護婦の数の充実ということは大事な問題であります。ちなみに、平成十二年、紀元二〇〇〇年には百十六万人へ持っていこうというのが第四次につくられましたナースの養成計画であります。
このナースの確保に当たりましては、医療が非常に高度化している、今後在宅ケアが進むであろうという環境の変化に対応いたしまして、質の高い看護職員の確保が大切であるというふうに存じます。さりながら、若年人口というものはいよいよ減少するわけでございまして、その中からナースのマンパワーを確保するということは大変な問題でありまして、いわゆる三Kというようなイメージの語る言葉が巷間言われておりますけれども、その辺の解決をぜひする必要がある。これによりまして、看護婦不足による医療機能が落ちるということのないようにしていただきたいと思います。
この点につきましては、この予算案を拝見させていただきますと、大幅な予算の増がなされておりまして、今回の医療費の改定におきましても、引き上げ五・〇のうち看護関連に二・六%というような改定がなされておりますことは評価することができると思います。しかし、これが先ほどのキャンペーンに動かされまして単発的になされたということではなくて、ぜひ中長期的な視点に立ちまして、看護婦の養成、待遇の改善ということを進めるようにお図りをいただきたいと存じております。
なお、しかし、この看護業務の中には改善すべき点も種々ございまして、現在は厚生省の中の検討会に私も参加いたしておりますが、業務そのもののあり方の改善ということにつきましては、なお工夫を凝らしてまいりたいというふうに存じております。
総括いたしますと、現在日本の医療というものは、数の上においての充実はなされておりますけれども、質の上での充実というものが考えられるべきであるということになろうかと思います。
以上をもちまして、私の公述を終わらせていただきます。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、平成四年度の予算案の審議に関連をいたしまして、医療の問題につきまして見解を述べる機会が与えられまして、大変光栄に、またうれしく存じております。六年間、病院長それから看護学部長を併任いたしました体験も交えまして見解を述べさせていただきたいと思います。
まず、私どもの国の医療の現状でございますけれども、戦後の公衆衛生対策、それから経済の発展、それから社会基盤の充実というようなものが裏づけになったと思いますが、加えまして医療技術の進歩によりまして、私どもの医療の状況というのは世界的に見て第一級の数字になっております。
数字が一つの論理でございますので、数字を申し上げますと、御存じのように平成二年に寿命が男性において七十五・七、女性において八十一・五というのはまさに世界一であります。それからなお誇るべきは乳児の死亡率でございまして、これが四・六ということでございまして、まさに世界最低であります。ちなみにアメリカが九、ドイツが七でありますから、これは大変な数字でございます。
それから医療の制度でございますが、現在提供されております医療内容は欧米諸国と比べて遜色のない水準にあると思います。この水準に達しているという内容は、医療のアクセシビリティーと申しますか、医療を受けやすいというその安易さ、それから医療の水準、それから医療保険の適用範囲が非常に広い、こういうことが言えようかと思います。
ただし、ここで申し上げたいことは、医療費でありますが、これは国民医療費という言葉が俗な言葉であるそうでありますけれども、かって五年前に平成元年を二十二兆二千億というふうに読んでおりましたけれども、実績が二十兆六千九百億でございました。すなわち一兆五千億ぐらい、単純な俗を言葉で申し上げますと抑え込まれているわけでありまして、そのことがよいことか悪いことか、またどこに原因があるのか、それから何らかのひずみをそれがいざなっていないかということは考えるべき問題であります。ちなみに平成二年は二十一兆七千二百億というふうな想定でございますけれども、これが予想値からどのくらい、また単純に申し上げる言葉では抑え込まれるかということは、数字上の一つの分析すべき問題であろうかと思います。
次に、医療を取り巻くさまざまな情勢の変化でありますが、当然御存じのように疾病構造が変化をいたしまして、感染症から成人病、非感染性の慢性疾患に疾患構造が変化をいたしまして、現在の三大死因は悪性腫瘍、それから脳血管障害、循環器疾患の三つでありまして、これが三大死因であります。したがいまして、がんの問題その他を伴いまして、入院生活の長期化というようなことが問題であります。なおかつ、御案内のように、人口の高齢化によりまして、老人医療というものが大きなウエートを占めてまいりました。これが在宅医療につながる問題、それから末期医療における医療のあり方ということにつきまして大きな問題を投げかけているわけであります。
国民の側から見ますと、医療ニーズの多様化が起きてまいります。したがって、多様な医療に対応する必要が医療機関にも必要であります。それと同時に、根本的に治療中心から予防、リハビリというようなことで、医療概念に変化が生じてまいりました。
これを担うべき医療技術でありますが、医療技術につきましては、先端高度技術というものが医療分野にも応用されまして、いわゆる脳死、臓器移植というようなことが問題になりましたことは御存じの点であります。しかしながら、高度技術が医療に応用されるということに伴いましては、それを制御する人間的な配慮というものが必要でありまして、したがって、医療が人間的な温かみを持つこと、医の心というものが尊重されまして、医療担当者と患者との間の会話、コミュニケーション、信頼関係が成り立つということが極めて大事な問題になったと思います。これがインフォームド・コンセントという言葉、これを説明と同意というふうに日本医師会は訳しておりますが、要するに患者さんに対して十分な情報を提供いたしまして、そして同意を得ながら医療を進めるという医療が近代の医療では必要であるというような変化をいたしているわけであります。
それから、それに対応する医療機関の整備でありますが、これは量的な整備に関しましてはほぼ目的を達しているだろうというふうに言うことができます。すなわち、ベッドが既に百二十六万床ございますが、これは医療計画制度の導入による病床規制というようなことを行ってみますと、現在数字におきまして十万床既にオーバーしておりますので、量的には目的を達しているということが言えるかと思います。しかしながら、なお僻地問題その他がございまして、同じように健康保険の費用を払いながら、また税金を納めながら、僻地の方々が医療を受けられないということは大変問題でありまして、量の充実の中に僻地問題などの医療の偏在という問題を問題にいたしたいというふうに存じます。
それから、質的な充実でございますが、これは、先ほど申し上げましたように、人口の高齢化、疾病構造の変化、あるいは医療技術を取り入れるというようなことでございますが、このために、現在存在しております量的には満ち足りました医療施設機能というものを体系化いたしまして、医療資源を有効に使うという意味から、医療を適切に提供できる体制の整備ということが必要であろうかと思います。これが、議会で継続審議になっております医療法の改正という問題につながるかと思いますが、この医療機能の体系化というものは時間のかかる問題ではありましょうが、私は早速に手をつけるべき問題であろうというふうに考えております。
それから、医療を支える医療従事者の対策でありますが、これは医者の問題につきましては、御存じのように一県一医大というような問題で医師がたくさん養成されまして、既に平成二年、人口十万に対して百七十一というレベルに達しておりますので、医師は既に十分な量に達しているということが言えようかと思います。むしろ平成七年に向かいまして一〇%削減という手が打たれておりまして、これは医師の養成のために必要な一つの計画であろうというふうに存じております。
しかしながら、この数のそろいました医者におきましても、やはり質の向上ということは問題でございまして、私も医学教育を行う立場からいいましても、今後の医者のあり方に関しましては、大変重大な問題があると思っております。すなわち、現在の若い医者は臓器専門というものに向かいまして、人間全体がわかるという医者になっていかないおそれがあります。もちろん臓器専門家の存在も必要ではございますけれども、そういう能力を持つと同時に、全人的な医療が行えるという医者の養成が必要であろうというふうに存じます。そういう意味では、医学校を卒業いたしました直後の初期臨床研修というものは極めて大事であるというふうに存じております。これが、インターン廃止以後、努力規定のままとどまっておりまして、臨床研修の制度の整備がおくれているということにつきましては、大事な問題でありまして、今後充実させる必要があるということを痛感いたしております。
それから、ナースの問題でありますが、看護職は非常に大事な仕事でございまして、皆様が御病気になってごらんになればすぐわかることでありますが、医師と患者との間に立ちまして、その両方の中間の位置を担ってくれる、しかも病者の傍らにありまして常にケアをしてくれるのは看護職であります。ケアという言葉は、ギリシャ語のカーラーから来たそうでありまして、カーラーというのは悲しみをともにするという共感の意をあらわします。そういう意味におきまして、ナースが患者の傍らに常にいてくれる、そして共感をしてくれるというところから医師もまた医療情報、患者の情報をとらえることができるわけでありまして、大事な位置にある職であるということを強調いたしたいと思います。
国でもこの需給計画は計画を立てておられまして、平成二年度末では八十三万人というような数でございますけれども、この計画に対しましては、なお十万近い不足がございまして、看護婦の数の充実ということは大事な問題であります。ちなみに、平成十二年、紀元二〇〇〇年には百十六万人へ持っていこうというのが第四次につくられましたナースの養成計画であります。
このナースの確保に当たりましては、医療が非常に高度化している、今後在宅ケアが進むであろうという環境の変化に対応いたしまして、質の高い看護職員の確保が大切であるというふうに存じます。さりながら、若年人口というものはいよいよ減少するわけでございまして、その中からナースのマンパワーを確保するということは大変な問題でありまして、いわゆる三Kというようなイメージの語る言葉が巷間言われておりますけれども、その辺の解決をぜひする必要がある。これによりまして、看護婦不足による医療機能が落ちるということのないようにしていただきたいと思います。
この点につきましては、この予算案を拝見させていただきますと、大幅な予算の増がなされておりまして、今回の医療費の改定におきましても、引き上げ五・〇のうち看護関連に二・六%というような改定がなされておりますことは評価することができると思います。しかし、これが先ほどのキャンペーンに動かされまして単発的になされたということではなくて、ぜひ中長期的な視点に立ちまして、看護婦の養成、待遇の改善ということを進めるようにお図りをいただきたいと存じております。
なお、しかし、この看護業務の中には改善すべき点も種々ございまして、現在は厚生省の中の検討会に私も参加いたしておりますが、業務そのもののあり方の改善ということにつきましては、なお工夫を凝らしてまいりたいというふうに存じております。
総括いたしますと、現在日本の医療というものは、数の上においての充実はなされておりますけれども、質の上での充実というものが考えられるべきであるということになろうかと思います。
以上をもちまして、私の公述を終わらせていただきます。ありがとうございました。拍手
山
山
中
中谷元#9
○中谷委員 三人の先生方には、お忙しいところ国会までお運びいただきまして、将来に対します適切な御提言を賜りまして、まことにどうもありがとうございました。
歴史におくれる者は歴史によって罰せられると申しますけれども、日本の政治や経済もこういった世界の中でおくれてはならないと思っておりますけれども、まず第一に、奥村先生にお伺いをさしていただきます。
今世界は力の移行期にあるということで、非常に、東西の冷戦後の状況を見てみますと、湾岸戦争でもわかりますとおり、やはりアメリカの政治経済が世界の平和秩序維持のためにはなくてはならないということで、日本もアメリカの政治経済を積極的にバックアップしていこうという方針で臨んでいるわけでありますけれども、先ほど先生のお話の中で、もはやこのジャパン・マネーが飽和状態に来ているということで、グリーンスパンさんも、債務づけで経済改革はもはやうまくいかないというふうな状況で、低金利で株を上げる政策をしているということにしておりますけれども、果たしてこの株が下がればどうなるかという心配もありますので、今後のこのアメリカ経済は果たしてどうなるかということと、それから日本の現状を見てみますと、非常に今までのパターンでいきますとバブルが崩壊すると景気が悪くなって、そうなると国内よりもむしろ外国へ輸出をする、そうなると外圧が高くなって日本の金利を下げて結局またバブルが起こってしまうというようなことで、これからバブルがまた復活するんじゃないかという心配がありますけれども、このような世界経済の中で日本経済はどのような方針で進んでいくのかという点について、二点お伺いさせていただきます。
この発言だけを見る →歴史におくれる者は歴史によって罰せられると申しますけれども、日本の政治や経済もこういった世界の中でおくれてはならないと思っておりますけれども、まず第一に、奥村先生にお伺いをさしていただきます。
今世界は力の移行期にあるということで、非常に、東西の冷戦後の状況を見てみますと、湾岸戦争でもわかりますとおり、やはりアメリカの政治経済が世界の平和秩序維持のためにはなくてはならないということで、日本もアメリカの政治経済を積極的にバックアップしていこうという方針で臨んでいるわけでありますけれども、先ほど先生のお話の中で、もはやこのジャパン・マネーが飽和状態に来ているということで、グリーンスパンさんも、債務づけで経済改革はもはやうまくいかないというふうな状況で、低金利で株を上げる政策をしているということにしておりますけれども、果たしてこの株が下がればどうなるかという心配もありますので、今後のこのアメリカ経済は果たしてどうなるかということと、それから日本の現状を見てみますと、非常に今までのパターンでいきますとバブルが崩壊すると景気が悪くなって、そうなると国内よりもむしろ外国へ輸出をする、そうなると外圧が高くなって日本の金利を下げて結局またバブルが起こってしまうというようなことで、これからバブルがまた復活するんじゃないかという心配がありますけれども、このような世界経済の中で日本経済はどのような方針で進んでいくのかという点について、二点お伺いさせていただきます。
奥
奥村洋彦#10
○奥村公述人 お答えさしていただきます。
ただいまの中谷先生の御質問の第一は、日本からお金がアメリカへ入らなくなっていることと、アメリカの政策、アメリカ経済の先行きについてでございますが、ジャパン・マネー自体は現在世界最大の対外資産を持っている、豊富な量を誇っているわけでありますし、また、ことしを考えますと、日本の経常収支の黒字は七百億ドル程度出ようかと思いますので、日本のお金自体は豊富にございます。
しかし、これまで、とりわけレーガン大統領のときのように日本のお金が簡単にアメリカへ入っていく状態にあるかといいますと、当時とは違って、現在の日本の投資家は外貨建て金融資産、とりわけドル建ての金融資産をかなり多く持っておりますので、よほど魅力がないとアメリカへは入りにくくなっております。この点が現在のアメリカの政策の手足を縛ってきているというふうに考えます。アメリカの経済は二%から二・五%成長する実力がありますけれども、ことしアメリカに期待できるところは一%程度のプラス成長になろうかと思いますので、アメリカにとってはことしも実力を下回る成長率で低迷を余儀なくされるのではないかと判断いたしております。
第二の点は、こういった世界とのかかわりでの日本の政策、とりわけ日本で金利を下げた場合にどういう結果になるだろうかという点であろうかと思いますが、日本経済が一九八六年から八九年へかけまして過剰なマネーの供給が行われ、いろんな資産の値段が暴騰いたしました。その後、過去一年半ばかりかけましてこの過剰なお金を吸い上げてまいりましたので、私はきょう時点では日本経済に過剰なお金はほぼなくなってきていると考えております。したがいまして、これからはお金の量は正常な部分、今回政府でお立てになられました新年度の経済成長率三・五%を目指す運営にふさわしいお金の量の増大に変えていきませんと政策目標は達成されないわけでございますから、これからは本腰を入れて通貨の量を正常な伸びに戻す必要があると思います。
そうした場合にまた土地など資産の値段が上がってくるのではないかということでございますが、私はそのおそれはないと思います。過去数年、資産価格が暴騰いたしましたのは、ただ金利が低かったから暴騰したということではございませんで、一部でお金を取り入れてきて銀行に預金いたしますと、かえって預金金利の方が調達コストを上回って、したがってマネーがふえ過ぎたという嫌いがございますが、現在はそういう金利体系にはなっておりませんので、ここでマネーをふやしあるいは金利を下げましても、また資産価格の暴騰を引き起こすということにはならないと思います。
どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →ただいまの中谷先生の御質問の第一は、日本からお金がアメリカへ入らなくなっていることと、アメリカの政策、アメリカ経済の先行きについてでございますが、ジャパン・マネー自体は現在世界最大の対外資産を持っている、豊富な量を誇っているわけでありますし、また、ことしを考えますと、日本の経常収支の黒字は七百億ドル程度出ようかと思いますので、日本のお金自体は豊富にございます。
しかし、これまで、とりわけレーガン大統領のときのように日本のお金が簡単にアメリカへ入っていく状態にあるかといいますと、当時とは違って、現在の日本の投資家は外貨建て金融資産、とりわけドル建ての金融資産をかなり多く持っておりますので、よほど魅力がないとアメリカへは入りにくくなっております。この点が現在のアメリカの政策の手足を縛ってきているというふうに考えます。アメリカの経済は二%から二・五%成長する実力がありますけれども、ことしアメリカに期待できるところは一%程度のプラス成長になろうかと思いますので、アメリカにとってはことしも実力を下回る成長率で低迷を余儀なくされるのではないかと判断いたしております。
第二の点は、こういった世界とのかかわりでの日本の政策、とりわけ日本で金利を下げた場合にどういう結果になるだろうかという点であろうかと思いますが、日本経済が一九八六年から八九年へかけまして過剰なマネーの供給が行われ、いろんな資産の値段が暴騰いたしました。その後、過去一年半ばかりかけましてこの過剰なお金を吸い上げてまいりましたので、私はきょう時点では日本経済に過剰なお金はほぼなくなってきていると考えております。したがいまして、これからはお金の量は正常な部分、今回政府でお立てになられました新年度の経済成長率三・五%を目指す運営にふさわしいお金の量の増大に変えていきませんと政策目標は達成されないわけでございますから、これからは本腰を入れて通貨の量を正常な伸びに戻す必要があると思います。
そうした場合にまた土地など資産の値段が上がってくるのではないかということでございますが、私はそのおそれはないと思います。過去数年、資産価格が暴騰いたしましたのは、ただ金利が低かったから暴騰したということではございませんで、一部でお金を取り入れてきて銀行に預金いたしますと、かえって預金金利の方が調達コストを上回って、したがってマネーがふえ過ぎたという嫌いがございますが、現在はそういう金利体系にはなっておりませんので、ここでマネーをふやしあるいは金利を下げましても、また資産価格の暴騰を引き起こすということにはならないと思います。
どうもありがとうございました。
中
中谷元#11
○中谷委員 どうもありがとうございました。
それじゃ和田公述人にお伺いをさしていただきますけれども、先ほどのお話の中で、唯一予算で削れるのは防衛費が削れるというふうなお話がありましたけれども、一体防衛費のどの面が削れるのかということでありますが、例えば、北海道なんかでも地域経済の活性化のために社会党の先生方も駐屯地部隊を削らないでくれというようなお声も上げていただいているということでありますけれども、この点と、それからもう一つは、地方にあるような基金を国に積んだらいいというふうに言われておりましたけれども、国は非常に財政的に厳しくて現在金がないわけでありますけれども、国債を出してまでも基金を積めというふうにおっしゃるのでしょうか、その点につきましてお伺いをいたします。
この発言だけを見る →それじゃ和田公述人にお伺いをさしていただきますけれども、先ほどのお話の中で、唯一予算で削れるのは防衛費が削れるというふうなお話がありましたけれども、一体防衛費のどの面が削れるのかということでありますが、例えば、北海道なんかでも地域経済の活性化のために社会党の先生方も駐屯地部隊を削らないでくれというようなお声も上げていただいているということでありますけれども、この点と、それからもう一つは、地方にあるような基金を国に積んだらいいというふうに言われておりましたけれども、国は非常に財政的に厳しくて現在金がないわけでありますけれども、国債を出してまでも基金を積めというふうにおっしゃるのでしょうか、その点につきましてお伺いをいたします。
和
和田八束#12
○和田公述人 最初のお尋ねでございまして、防衛費ということを申し上げたわけでありますけれども、歳入項目をいろいろ見てみますと、最近公共事業費がやはり増加傾向を回復してきているということでありますし、それから社会保障費も一定の規模を維持しているということで、この辺は一般歳出の中では大きな費目になっております。今後、この歳出面の合理化、見直しというふうな対象が一体どこにあるのかということになりますと、やはり唯一防衛費ではなかろうかというふうに見ておるわけであります。
しかし、これは単年度で幾らということを申し上げているわけではなくて、やはり長期的な方向の中で、例えば、中期防の見直しとかあるいは定員のあるべき姿というふうなことの中で、従来の増加方向だけということではなくて、国際的な状況も踏まえて考えてみるならば、この辺が財政の、といいますか、一般歳出の中での見直しの一番中心になるのではないかということを今申し上げたわけであります。
お尋ねにもありましたように、一部やはり、何といいますか、自衛隊によって地域経済が、貢献といいますか、潤っているというふうな、いわゆる基地経済といいますか、これは自衛隊だけではなくて米軍の基地なども含めてあるわけでありますが、これはなかなか基地経済からの脱却ということは以前から地域経済の中でも言われてきておりまして、基地経済というのは、非常に経済としては単純になって基地にだけ依存するということになりますので、いろいろな産業のバランスをとった経済開発ということが非常に必要になってまいりまして、そういう点からやはり地域の人たちの努力というものが必要なわけでありまして、基地がなくなったら非常に困るというのは、これは私はその地域住民の皆さん方全体の意向がどうかということはかなり疑問に思えて、これも短期的にはそういう状況も出てくるかもしれませんけれども、やはり今後長期的なあり方としては十分に考えていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
それから、基金の点でありますが、そういうふうな、これも単年度で、本年無理に積み立てるというのじゃなくて、逆でありまして、今年などはどちらかというと基金が仮にあるとすれば取り崩す年度になるわけでありまして、かつてのように歳入が比較的順調に増加したというときに基金を積み立てるということでありまして、恐らく不況期というのは二年とか三年とか、こういうふうな期間で続きます。それから好況の時期というのはその次に二年なり三年なり、まあ今回の好況は非常に長く続いたわけでありますけれども、こういうふうな大体五年とか六年を周期にいたしまして好況と不況とが入れかわるということでありますと、好況期に一定の基金を積み立ててそして不況期においてそれをある程度取り崩して使うというふうな、こういう考え方でありまして、これを好況期における収入を全部使い切ってしまって後で国債はまた増発するということになりますと、これはいつまでたっても国債依存財政から脱却できないのではないかということで申し上げたわけでありますので、ぜひ検討していただければというふうに思います。
この発言だけを見る →しかし、これは単年度で幾らということを申し上げているわけではなくて、やはり長期的な方向の中で、例えば、中期防の見直しとかあるいは定員のあるべき姿というふうなことの中で、従来の増加方向だけということではなくて、国際的な状況も踏まえて考えてみるならば、この辺が財政の、といいますか、一般歳出の中での見直しの一番中心になるのではないかということを今申し上げたわけであります。
お尋ねにもありましたように、一部やはり、何といいますか、自衛隊によって地域経済が、貢献といいますか、潤っているというふうな、いわゆる基地経済といいますか、これは自衛隊だけではなくて米軍の基地なども含めてあるわけでありますが、これはなかなか基地経済からの脱却ということは以前から地域経済の中でも言われてきておりまして、基地経済というのは、非常に経済としては単純になって基地にだけ依存するということになりますので、いろいろな産業のバランスをとった経済開発ということが非常に必要になってまいりまして、そういう点からやはり地域の人たちの努力というものが必要なわけでありまして、基地がなくなったら非常に困るというのは、これは私はその地域住民の皆さん方全体の意向がどうかということはかなり疑問に思えて、これも短期的にはそういう状況も出てくるかもしれませんけれども、やはり今後長期的なあり方としては十分に考えていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
それから、基金の点でありますが、そういうふうな、これも単年度で、本年無理に積み立てるというのじゃなくて、逆でありまして、今年などはどちらかというと基金が仮にあるとすれば取り崩す年度になるわけでありまして、かつてのように歳入が比較的順調に増加したというときに基金を積み立てるということでありまして、恐らく不況期というのは二年とか三年とか、こういうふうな期間で続きます。それから好況の時期というのはその次に二年なり三年なり、まあ今回の好況は非常に長く続いたわけでありますけれども、こういうふうな大体五年とか六年を周期にいたしまして好況と不況とが入れかわるということでありますと、好況期に一定の基金を積み立ててそして不況期においてそれをある程度取り崩して使うというふうな、こういう考え方でありまして、これを好況期における収入を全部使い切ってしまって後で国債はまた増発するということになりますと、これはいつまでたっても国債依存財政から脱却できないのではないかということで申し上げたわけでありますので、ぜひ検討していただければというふうに思います。
中
中谷元#13
○中谷委員 どうもありがとうございました。
それじゃ最後に、坂上先生にお伺いさしていただきますけれども、医療も量より質の時代というふうなことで、大きい見地に立ってのお話でありましたけれども、お医者さんの問題でありますけれども、最近若いお医者さんが、もうお医者さんも飽和状態になっているということでなかなか新規開業が難しいということでありますけれども、そもそも自由社会の世界において、能力がある人がそれぞれの自分の才能を生かすというのが自由社会の理想でありますけれども、こういった若いお医者さんに生きがいと夢を持たせるようなこれからの、地域医療計画なんかもありますけれども、医療計画という中でこういった自由開業ができるような道が開けるかどうかという点についてのお考えをお聞かせいただきたいということと、それから、今病院の統廃合なんかも非常に地方では進んでおりますけれども、果たして小さな診療所を各地にたくさんつくっていく方向で進むのか、それとも、交通が便利になったので大きな総合病院を町につくって統廃合を進めていくかというふうな選択を迫られている地方自治体が多いわけでございますけれども、そういった点につきまして、どっちの方向の方がいいのかという点をお聞かせいただきたいと思います。
この発言だけを見る →それじゃ最後に、坂上先生にお伺いさしていただきますけれども、医療も量より質の時代というふうなことで、大きい見地に立ってのお話でありましたけれども、お医者さんの問題でありますけれども、最近若いお医者さんが、もうお医者さんも飽和状態になっているということでなかなか新規開業が難しいということでありますけれども、そもそも自由社会の世界において、能力がある人がそれぞれの自分の才能を生かすというのが自由社会の理想でありますけれども、こういった若いお医者さんに生きがいと夢を持たせるようなこれからの、地域医療計画なんかもありますけれども、医療計画という中でこういった自由開業ができるような道が開けるかどうかという点についてのお考えをお聞かせいただきたいということと、それから、今病院の統廃合なんかも非常に地方では進んでおりますけれども、果たして小さな診療所を各地にたくさんつくっていく方向で進むのか、それとも、交通が便利になったので大きな総合病院を町につくって統廃合を進めていくかというふうな選択を迫られている地方自治体が多いわけでございますけれども、そういった点につきまして、どっちの方向の方がいいのかという点をお聞かせいただきたいと思います。
坂
坂上正道#14
○坂上公述人 御質問いただきましてありがとうございました。
まず、ドクターの新規開業の問題でございますけれども、多分皆様方のお目にとまっております医師の分布の統計として、三十五歳のところに山がありまして、これが勤務医である、それから六十のところに山がありまして、これが実地医家であるというようなことがお目にとまっていると思うのですが、平成元年度の医師の実態調査が出まして、ちょうど三十五ぐらいの山のところに実地医家の小山がちょっとでき始めているんですね。ですから、これは自然現象として勤務医が飽和状態に達しましたので、やや流れて開業医の数の峰が小さいけれどもでき始めつつあるという実態でございます。ただし、これがどういうふうな新規開業しているかということは問題でございまして、やはり開業のための資金が困難であるということは一つの問題であろうと思います。したがいまして、ビル診とかあるいはグループ診療というような形で開業が行われているのかもしれませんが、数字まで整った実態はよく私も存じません。
今後は、先ほどのお尋ねでございますが、やはり診療所というものは家庭医機能を持った立場でどうしても必要なものであって、病院がどんどん拡大するという方向だけではいけないと思います。それから病院にとりましても、先ほど申し上げましたように、やはり高度医療を行う場所とそれから慢性疾患を扱う病院というようなものが分けられるべきでありまして、そういう機能分化をいたしませんと、すべての病院がすべて充実して、すべて高度医療も何もかもやるというようなことは、医療資源の使い方からしてむだであろう。したがって、病院の体系化、機能の分化が必要であるというふうに存じます。
ありがとうございました。
〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕
この発言だけを見る →まず、ドクターの新規開業の問題でございますけれども、多分皆様方のお目にとまっております医師の分布の統計として、三十五歳のところに山がありまして、これが勤務医である、それから六十のところに山がありまして、これが実地医家であるというようなことがお目にとまっていると思うのですが、平成元年度の医師の実態調査が出まして、ちょうど三十五ぐらいの山のところに実地医家の小山がちょっとでき始めているんですね。ですから、これは自然現象として勤務医が飽和状態に達しましたので、やや流れて開業医の数の峰が小さいけれどもでき始めつつあるという実態でございます。ただし、これがどういうふうな新規開業しているかということは問題でございまして、やはり開業のための資金が困難であるということは一つの問題であろうと思います。したがいまして、ビル診とかあるいはグループ診療というような形で開業が行われているのかもしれませんが、数字まで整った実態はよく私も存じません。
今後は、先ほどのお尋ねでございますが、やはり診療所というものは家庭医機能を持った立場でどうしても必要なものであって、病院がどんどん拡大するという方向だけではいけないと思います。それから病院にとりましても、先ほど申し上げましたように、やはり高度医療を行う場所とそれから慢性疾患を扱う病院というようなものが分けられるべきでありまして、そういう機能分化をいたしませんと、すべての病院がすべて充実して、すべて高度医療も何もかもやるというようなことは、医療資源の使い方からしてむだであろう。したがって、病院の体系化、機能の分化が必要であるというふうに存じます。
ありがとうございました。
〔委員長退席、中山(正)委員長代理着席〕
中
中
小
小岩井清#17
○小岩井委員 お三人の先生方、きょうはお忙しい中をお運びいただきましてありがとうございました。
最初に和田先生にお伺いをいたしたいというふうに思います。
経済企画庁は昨二月二十五日に月例経済報告を出しました。昨日のことですから若干この内容を申し上げますけれども、この月例経済報告によると、
我が国経済については、需要面では、個人消
費は基調として堅調である。住宅建設は減少傾
向にあるが下げ止まりの動きがみられる。設備
投資は総じて根強いものの、伸びが鈍化してい
る。産業面をみると、在庫は増加傾向にあり、
鉱工業生産は弱含み一進一退で推移している。
企業収益は総じて減少しているものの、依然と
して高い水準にある。企業の業況判断には、減
速感が広まっている。雇用面をみると、有効求
人倍率がやや低下しているものの、労働力需給
は引締まり基調で推移している。このように、
我が国経済は、景気の減速感が広まっており、
インフレなき持続可能な成長経路に移行する調
整過程にある。
政府は、内需を中心とするインフレなき持続
可能な成長経路への円滑な移行を図るため、き
め細かに経済運営に努めてきたところである
が、引き続き内外の経済動向を注視し、適切か
つ機動的な経済運営に努めることとする。となっております。平成四年度の政府の経済見通しは、実質経済成長率三・五%、名目五%であります。しかし主要民間研究機関の五十四機関の平均については、実質三%、名目四・五%を予測しています。これはいずれも政府経済見通しより厳しく低成長を予想しているわけでありますけれども、昨日、二月二十五日発表の月例報告並びに政府の経済見通しと主要反間研究機関五十四機関の経済見通しを踏まえてお伺いをしたいわけでありますけれども、現在の景気、そして景気の先行きをどう見ているか、あわせて、景気対策をどうするか、そして、平成四年度日本経済全般の動向をどう見るか、これを伺いたいと思います。あわせて、このようなことを踏まえて平成四年度予算案はどういう評価になるのか、この点についても先生からの御意見を伺いたいと思います。
この発言だけを見る →最初に和田先生にお伺いをいたしたいというふうに思います。
経済企画庁は昨二月二十五日に月例経済報告を出しました。昨日のことですから若干この内容を申し上げますけれども、この月例経済報告によると、
我が国経済については、需要面では、個人消
費は基調として堅調である。住宅建設は減少傾
向にあるが下げ止まりの動きがみられる。設備
投資は総じて根強いものの、伸びが鈍化してい
る。産業面をみると、在庫は増加傾向にあり、
鉱工業生産は弱含み一進一退で推移している。
企業収益は総じて減少しているものの、依然と
して高い水準にある。企業の業況判断には、減
速感が広まっている。雇用面をみると、有効求
人倍率がやや低下しているものの、労働力需給
は引締まり基調で推移している。このように、
我が国経済は、景気の減速感が広まっており、
インフレなき持続可能な成長経路に移行する調
整過程にある。
政府は、内需を中心とするインフレなき持続
可能な成長経路への円滑な移行を図るため、き
め細かに経済運営に努めてきたところである
が、引き続き内外の経済動向を注視し、適切か
つ機動的な経済運営に努めることとする。となっております。平成四年度の政府の経済見通しは、実質経済成長率三・五%、名目五%であります。しかし主要民間研究機関の五十四機関の平均については、実質三%、名目四・五%を予測しています。これはいずれも政府経済見通しより厳しく低成長を予想しているわけでありますけれども、昨日、二月二十五日発表の月例報告並びに政府の経済見通しと主要反間研究機関五十四機関の経済見通しを踏まえてお伺いをしたいわけでありますけれども、現在の景気、そして景気の先行きをどう見ているか、あわせて、景気対策をどうするか、そして、平成四年度日本経済全般の動向をどう見るか、これを伺いたいと思います。あわせて、このようなことを踏まえて平成四年度予算案はどういう評価になるのか、この点についても先生からの御意見を伺いたいと思います。
和
和田八束#18
○和田公述人 お尋ねでございますが、あらかじめお断りいたしたいのは、私は経済分析、経済見通しの方は必ずしも専門家ではございませんで、適切なお答えができるよう準備というのは必ずしも持っておりませんので、また別の公述人の方でその辺の専門家の方がいらっしゃいましたら改めてお聞きいただければというふうに思います。ただ、財政、予算面に限って私も政府の経済見通し等は一応拝見をいたしましたし、他の経済機関等の経済見通しというのも一応は目を通しているわけであります。
今おっしゃったようなあれでありますけれども、私は、政府の経済見通しで一番需要項目で大きく出ていたのは、民間住宅投資ではなかったかと思います。ここのところで三・五%という数字が出ておりまして、他の経済機関などの三%あるいはそれ以下に比べて大きく出ているのはその辺ではないかと思うのです。その辺で判断いたしますと、住宅建設はここのところやや低迷をしておりまして、地価動向というふうなことも関係するのでしょうけれども、本年じゅうに政府見通しで考えたほどこの民間住宅投資が拡大するかどうかという点については私も疑問を持っておりますので、他の条件がそんなに変わらないとすれば、政府見通しほどの成長率はかなり難しいのではないかというふうに思っておりますが、これはまだ本年度というのは先のことでありますので、いろいろな諸条件というのが不確定だと思っておりますがあるというふうには思います。
ただ、そういう経済と財政との関係でありますけれども、経済に対する財政の役割というのをどう見るかということでありまして、従来は、主として景気後退期において、需要面において財政の役割というのが非常に大きく見られることがありまして、特に、公共投資とかあるいは減税というふうなことが有効な手段であるというふうに言われておりまして、では公共投資はどうであったのかといいますと、公共投資が不況対策的に特にふえたということは本年の場合にはないと思いますけれども、昨年度以来かなりの水準に達しておりますので、公共投資面からの需要としては私は一応十分にあるのではないかというふうに考えます。
それから、減税という面でいいますと、これは減税による景気への効果というのはほとんどない。個人消費というふうなお話が今もございましたけれども、個人消費はやややはり落ち込んできているのではないかという見通しからいいますと、私は、先ほどの意見のところでも申し上げましたように、サラリーマンを中心とした減税というものの必要性がやはりあったのではないかというふうに見ておるわけであります。
この発言だけを見る →今おっしゃったようなあれでありますけれども、私は、政府の経済見通しで一番需要項目で大きく出ていたのは、民間住宅投資ではなかったかと思います。ここのところで三・五%という数字が出ておりまして、他の経済機関などの三%あるいはそれ以下に比べて大きく出ているのはその辺ではないかと思うのです。その辺で判断いたしますと、住宅建設はここのところやや低迷をしておりまして、地価動向というふうなことも関係するのでしょうけれども、本年じゅうに政府見通しで考えたほどこの民間住宅投資が拡大するかどうかという点については私も疑問を持っておりますので、他の条件がそんなに変わらないとすれば、政府見通しほどの成長率はかなり難しいのではないかというふうに思っておりますが、これはまだ本年度というのは先のことでありますので、いろいろな諸条件というのが不確定だと思っておりますがあるというふうには思います。
ただ、そういう経済と財政との関係でありますけれども、経済に対する財政の役割というのをどう見るかということでありまして、従来は、主として景気後退期において、需要面において財政の役割というのが非常に大きく見られることがありまして、特に、公共投資とかあるいは減税というふうなことが有効な手段であるというふうに言われておりまして、では公共投資はどうであったのかといいますと、公共投資が不況対策的に特にふえたということは本年の場合にはないと思いますけれども、昨年度以来かなりの水準に達しておりますので、公共投資面からの需要としては私は一応十分にあるのではないかというふうに考えます。
それから、減税という面でいいますと、これは減税による景気への効果というのはほとんどない。個人消費というふうなお話が今もございましたけれども、個人消費はやややはり落ち込んできているのではないかという見通しからいいますと、私は、先ほどの意見のところでも申し上げましたように、サラリーマンを中心とした減税というものの必要性がやはりあったのではないかというふうに見ておるわけであります。
小
小岩井清#19
○小岩井委員 ありがとうございました。
奥村先生にお伺いしますが、先ほど国際経済情勢について四点にわたって詳細に御説明いただきましてありがとうございました。その国際情勢四点を踏まえて、ただいま私和田先生に御質問しましたことに関連をして、日本経済に対する影響並びに具体的対応について、この点についてお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →奥村先生にお伺いしますが、先ほど国際経済情勢について四点にわたって詳細に御説明いただきましてありがとうございました。その国際情勢四点を踏まえて、ただいま私和田先生に御質問しましたことに関連をして、日本経済に対する影響並びに具体的対応について、この点についてお伺いしたいと思います。
奥
奥村洋彦#20
○奥村公述人 お答えさしていただきます。
先ほど小岩井先生御紹介の経済企画庁の文言の中に、内外の動向によく注意してという箇所がございまして、私は今回の場合は、とりわけ海外の動き、特に世界経済の中心であります。アメリカが何十年ぶりかの困難な局面に対応していることによく注意する必要があると思います。日本経済の中だけを見ていれば、日本経済は依然として潜在的な成長能力は四%程度ございますし、企業もやる意欲がありますので、これまでマネー経済の後、建て直しのために信用の量を圧縮してこられた適切な政策のもとで、地価も十分下がった、また過剰なお金もなくなってきたと思いますので、これから新年に入りましてからは、とりわけ世界経済の動きに注意して正常な通常の中立的な政策に直していくことが必要だと思います。
私は、そうした政策に直された場合には、九二年度の経済成長率といたしましては三%程度の成長を期待できるのではないかと思いますが、政策を十分転換しない場合には成長率は三%を切ってくる可能性も十分あると思います。一番の項目は、先ほど小岩井先生が消費から住宅設備、在庫等々挙げられましたうちで、私は民間の設備投資について一番危惧しているところであります。現在、経営者の方は実力はあるし意欲もあるわけでございますが、何せ何十年ぶかりの地価、株価の暴落の直後で、通貨の量がまた極端に伸び悩んでおりますので、非常に不安心理に駆られて新年度を迎えようという状態でございますので、こうした経営者の方の心理を考えますと、設備投資を喚起するような政策というのがさらに必要になってくるのではないかと思います。
この発言だけを見る →先ほど小岩井先生御紹介の経済企画庁の文言の中に、内外の動向によく注意してという箇所がございまして、私は今回の場合は、とりわけ海外の動き、特に世界経済の中心であります。アメリカが何十年ぶりかの困難な局面に対応していることによく注意する必要があると思います。日本経済の中だけを見ていれば、日本経済は依然として潜在的な成長能力は四%程度ございますし、企業もやる意欲がありますので、これまでマネー経済の後、建て直しのために信用の量を圧縮してこられた適切な政策のもとで、地価も十分下がった、また過剰なお金もなくなってきたと思いますので、これから新年に入りましてからは、とりわけ世界経済の動きに注意して正常な通常の中立的な政策に直していくことが必要だと思います。
私は、そうした政策に直された場合には、九二年度の経済成長率といたしましては三%程度の成長を期待できるのではないかと思いますが、政策を十分転換しない場合には成長率は三%を切ってくる可能性も十分あると思います。一番の項目は、先ほど小岩井先生が消費から住宅設備、在庫等々挙げられましたうちで、私は民間の設備投資について一番危惧しているところであります。現在、経営者の方は実力はあるし意欲もあるわけでございますが、何せ何十年ぶかりの地価、株価の暴落の直後で、通貨の量がまた極端に伸び悩んでおりますので、非常に不安心理に駆られて新年度を迎えようという状態でございますので、こうした経営者の方の心理を考えますと、設備投資を喚起するような政策というのがさらに必要になってくるのではないかと思います。
小
小岩井清#21
○小岩井委員 ありがとうございました。
坂上先生にお伺いします。先ほど詳細に医療問題についての御説明をいただきましてありがとうございました。
そこで、高齢化社会到来と言われているわけでありますけれども、六十歳以上の労働力の活用について伺いたいんですが、引退したナース並びに六十歳以上のホームヘルパーについて人材を確保していく必要があるんではないかと思いますけれども、その辺のお考え方を伺いたいと思います。
この発言だけを見る →坂上先生にお伺いします。先ほど詳細に医療問題についての御説明をいただきましてありがとうございました。
そこで、高齢化社会到来と言われているわけでありますけれども、六十歳以上の労働力の活用について伺いたいんですが、引退したナース並びに六十歳以上のホームヘルパーについて人材を確保していく必要があるんではないかと思いますけれども、その辺のお考え方を伺いたいと思います。
坂
坂上正道#22
○坂上公述人 御質問をありがとうございました。
このヤングシルバーの労働力への問題というのは私の専門外でございますけれども、今後のヘルスマンパワーの確保という点から見ましても、六十歳以上の者を含めた労働人口の中で何%確保できるかという計算をしたいぐらいでございまして、六十歳から六十五歳の間の人材の活用ということは重大な問題だと思います。それに伴う施策としては、ヤングシルバーの方々が生涯教育においてどういう訓練を受けてその仕事に達し得るかということ、それから、健康なそういうヤングシルバーを医学、医療の面であらかじめつくれるような医療を行っておくということが大切であろうというふうに存じます。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →このヤングシルバーの労働力への問題というのは私の専門外でございますけれども、今後のヘルスマンパワーの確保という点から見ましても、六十歳以上の者を含めた労働人口の中で何%確保できるかという計算をしたいぐらいでございまして、六十歳から六十五歳の間の人材の活用ということは重大な問題だと思います。それに伴う施策としては、ヤングシルバーの方々が生涯教育においてどういう訓練を受けてその仕事に達し得るかということ、それから、健康なそういうヤングシルバーを医学、医療の面であらかじめつくれるような医療を行っておくということが大切であろうというふうに存じます。
ありがとうございました。
小
小岩井清#23
○小岩井委員 どうもありがとうございました。
続いて和田先生にお伺いいたします。
先ほど先生の御説明にもございましたけれども、特例国債依存からの脱却、以前からの財政再建の目標が達成できましたのは、バブルで税収が予想以上にふえたり、NTT株が高額で売却できたりしたからだと思うのです。政府の財政運営の成果とはこれは単純には言えないというふうに思います。
今度の財政目標、一九九五年度までに国債依存度を五%まで引き下げる、この点について決定したと思ったら来年度は建設国債の増発で事実上これは困難に陥っています。政府はそれに固執をしているようでありますけれども、先ほど先生もおっしゃられました、単年度の財政のつじつま合わせに懸命になるよりも、単に国債依存度の数字というものだけではない、長期的観点から財政をどうするのか、そして生活向上のための財政をどう運営するのか、この構想をすべき今その時期に来ているのではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
この発言だけを見る →続いて和田先生にお伺いいたします。
先ほど先生の御説明にもございましたけれども、特例国債依存からの脱却、以前からの財政再建の目標が達成できましたのは、バブルで税収が予想以上にふえたり、NTT株が高額で売却できたりしたからだと思うのです。政府の財政運営の成果とはこれは単純には言えないというふうに思います。
今度の財政目標、一九九五年度までに国債依存度を五%まで引き下げる、この点について決定したと思ったら来年度は建設国債の増発で事実上これは困難に陥っています。政府はそれに固執をしているようでありますけれども、先ほど先生もおっしゃられました、単年度の財政のつじつま合わせに懸命になるよりも、単に国債依存度の数字というものだけではない、長期的観点から財政をどうするのか、そして生活向上のための財政をどう運営するのか、この構想をすべき今その時期に来ているのではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
和
和田八束#24
○和田公述人 財政再建計画につきましては、私も先ほども申し上げましたけれども、御意見、そのとおりだと思います。やはり単年度での均衡といいますか、財政運営といいますか、そういうことではなくて、やや長期的に考えて本格的にやりませんと、現在の国債の、何といいますか重荷というのは、これはもうかなり重大であるというふうに思います。
特にことしの場合には、ややその辺の見通しがなくて七兆円の国債発行が行われたということは非常に不安な感じをいたします。特に、建設国債で全部新規発行をしたわけでありますけれども、これで建設国債の充当の、それに対応する歳出面なわけですけれども、これがもうほとんど一〇〇%近くなっているのではないかと思うのですね。平成三年度の場合にはまだすき間が若干ありまして、補正予算の場合も建設国債で対応できたわけですけれども、本年の場合、この経済見通しがどうなるかわかりませんけれども、最終的にまあ補正予算で税収の減額補正というふうなことになった場合には、これは見合いの建設国債の発行はほとんどできないというふうなぎりぎりのところではなかろうかと思うわけであります。
したがいまして、むしろ建設国債で全部発行するのではなくて赤字国債、特例債の方がむしろ財政の弾力性という点ではベターではないかというふうな意見も、我々の財政学の仲間などでもそういう主張があったわけでありますが、私も、長期の財政運営の中で考えるならば、すべて建設国債の方がベターだということではなくて、特例債の運用というのもあり得るというふうに考えるわけでありますけれども、これはあくまでも、そういう長期的な財政の弾力性の確保ということを前提にして言えることでありまして、したがいまして、今後の財政運営からいいますと、自然増収の基金化でありますとか、それからもう少し根拠の明確な財政の見通しといいますか計画化というものを早期に立てる必要があるのではないか、こういうふうに考えているわけであります。
この発言だけを見る →特にことしの場合には、ややその辺の見通しがなくて七兆円の国債発行が行われたということは非常に不安な感じをいたします。特に、建設国債で全部新規発行をしたわけでありますけれども、これで建設国債の充当の、それに対応する歳出面なわけですけれども、これがもうほとんど一〇〇%近くなっているのではないかと思うのですね。平成三年度の場合にはまだすき間が若干ありまして、補正予算の場合も建設国債で対応できたわけですけれども、本年の場合、この経済見通しがどうなるかわかりませんけれども、最終的にまあ補正予算で税収の減額補正というふうなことになった場合には、これは見合いの建設国債の発行はほとんどできないというふうなぎりぎりのところではなかろうかと思うわけであります。
したがいまして、むしろ建設国債で全部発行するのではなくて赤字国債、特例債の方がむしろ財政の弾力性という点ではベターではないかというふうな意見も、我々の財政学の仲間などでもそういう主張があったわけでありますが、私も、長期の財政運営の中で考えるならば、すべて建設国債の方がベターだということではなくて、特例債の運用というのもあり得るというふうに考えるわけでありますけれども、これはあくまでも、そういう長期的な財政の弾力性の確保ということを前提にして言えることでありまして、したがいまして、今後の財政運営からいいますと、自然増収の基金化でありますとか、それからもう少し根拠の明確な財政の見通しといいますか計画化というものを早期に立てる必要があるのではないか、こういうふうに考えているわけであります。
小
奥
奥村洋彦#26
○奥村公述人 私は特に財政の専門家じゃございませんので詳しいお答えはお許しいただきたいんですが、今日本の政府の資金繰り状態といいますか債務の状況というのは、アメリカに比べた場合には非常に身軽でございます。金融の世界は、だれかがお金を借りだれかが貸すという世界でございますから、世界全体を見て、日本だけお金をためていってうまくいくということはございませんので、日本の個人の貯蓄率は依然として老齢化社会を控えて非常に高い貯蓄率を維持しているわけでありますし、日本の企業部門も、かつてのような高度成長ではございませんので、かってほどは企業の資金の不足というのは大きくはなってまいりませんので、このときに余りにも財政の資金状況に固執いたしますと、日本と世界との関係ではかなり困難な問題が発生するのではないかと思います。
もう一点は、私は、今日本の企業は実質経済成長率四%を達成する意欲も能力もありますので、そういった成長率にしていけば財政も自然と改善してまいりますから、成長率が低いまま財政だけ改善しようということになりますとまさに悪い循環、縮小均衡に入りますので、そうしたことはぜひ避けていただいた方がよろしいのではないかと思います。
この発言だけを見る →もう一点は、私は、今日本の企業は実質経済成長率四%を達成する意欲も能力もありますので、そういった成長率にしていけば財政も自然と改善してまいりますから、成長率が低いまま財政だけ改善しようということになりますとまさに悪い循環、縮小均衡に入りますので、そうしたことはぜひ避けていただいた方がよろしいのではないかと思います。
小
小岩井清#27
○小岩井委員 ありがとうございました。
続いて、地方財政との関連について和田先生にお伺いをしたいと思いますが、問題点五点ほど指摘をしてお考えを伺いたいと思います。
一点は、一兆円以上の余剰が見込まれるということにして地方交付税が八千五百億円、国に貸し付ける形で減額をされて、国の財源不足を補てんをしていますね。これはただにこういうことではなくて、国と地方の権限を見直して現行の交付税率や補助金制度を再検討して、国と地方間の財政構造を考えた措置をとるべきではないかというふうに思うわけでありますけれども、この点が第一点であります。
二点は、地方財政計画の骨格となる地方財政収支見通しによりますと、地方財政の歳入規模七十四兆三千七百億円、対前年四・九%増としているわけでありますけれども、これは前年の所得に課税をするという、これは住民税そうなっていますね、ということになるとすれば、バブルの崩壊の影響はもろに出るというふうに思うんですね。したがって、次年度以降大きな影響が出るんではないかというふうに思われますけれども、この点についての御意見も賜りたいと思います。
それからさらに地方財政について、一般財源の占める割合について、確かに増加は今いたしておりますけれども、公共投資基本計画、公共投資十カ年計画並びに日米構造協議によって四百三十兆円の投資をするわけでありますけれども、これらを踏まえた形で地方の単独投資事業経費を対前年一一・五%増と拡充をして、これまた地方財政に肩がわりさせていることについて、この点についてどうお考えになるかということであります。
そして四点目ですけれども、地方の単独事業を伸ばして公共投資を拡充するという一方、地方債計画では前年より三・七%減少させております。また歳出においても、国保、国民健康保険ですね、国保事務費や義務教育費の一部で国が負担していた一千五百億円ほどを、これは今度は地方負担にしている。高齢化対策についても地方にすべて任しているということについて、これは地方財政の硬直化の要因をつくっているのではないかというふうに思いますけれども、この点についてもお考え方を伺いたい。
五点目としては、生活関連枠二百億円の配分、これについては目立った変化は見られておりません。新設の臨時特別枠でも省庁別配分シェアはそのままであります。下水道整備、ごみ処理などの補助については、これまた未整備の自治体を重点にしておりますから、特に地方都市に傾いている。土地の高騰した大都市近郊都市については、そういう面からいうと整備の水準に大きくおくれが出てくるのではないか、こういうふうに考えられますけれども、以上五点、地方財政との関連で指摘をいたしましたけれども、これらについての先生のお考えを伺いたいと思います。
この発言だけを見る →続いて、地方財政との関連について和田先生にお伺いをしたいと思いますが、問題点五点ほど指摘をしてお考えを伺いたいと思います。
一点は、一兆円以上の余剰が見込まれるということにして地方交付税が八千五百億円、国に貸し付ける形で減額をされて、国の財源不足を補てんをしていますね。これはただにこういうことではなくて、国と地方の権限を見直して現行の交付税率や補助金制度を再検討して、国と地方間の財政構造を考えた措置をとるべきではないかというふうに思うわけでありますけれども、この点が第一点であります。
二点は、地方財政計画の骨格となる地方財政収支見通しによりますと、地方財政の歳入規模七十四兆三千七百億円、対前年四・九%増としているわけでありますけれども、これは前年の所得に課税をするという、これは住民税そうなっていますね、ということになるとすれば、バブルの崩壊の影響はもろに出るというふうに思うんですね。したがって、次年度以降大きな影響が出るんではないかというふうに思われますけれども、この点についての御意見も賜りたいと思います。
それからさらに地方財政について、一般財源の占める割合について、確かに増加は今いたしておりますけれども、公共投資基本計画、公共投資十カ年計画並びに日米構造協議によって四百三十兆円の投資をするわけでありますけれども、これらを踏まえた形で地方の単独投資事業経費を対前年一一・五%増と拡充をして、これまた地方財政に肩がわりさせていることについて、この点についてどうお考えになるかということであります。
そして四点目ですけれども、地方の単独事業を伸ばして公共投資を拡充するという一方、地方債計画では前年より三・七%減少させております。また歳出においても、国保、国民健康保険ですね、国保事務費や義務教育費の一部で国が負担していた一千五百億円ほどを、これは今度は地方負担にしている。高齢化対策についても地方にすべて任しているということについて、これは地方財政の硬直化の要因をつくっているのではないかというふうに思いますけれども、この点についてもお考え方を伺いたい。
五点目としては、生活関連枠二百億円の配分、これについては目立った変化は見られておりません。新設の臨時特別枠でも省庁別配分シェアはそのままであります。下水道整備、ごみ処理などの補助については、これまた未整備の自治体を重点にしておりますから、特に地方都市に傾いている。土地の高騰した大都市近郊都市については、そういう面からいうと整備の水準に大きくおくれが出てくるのではないか、こういうふうに考えられますけれども、以上五点、地方財政との関連で指摘をいたしましたけれども、これらについての先生のお考えを伺いたいと思います。
和
和田八束#28
○和田公述人 大変難しい広範囲なお尋ねでございまして、最初の方は国と地方の財政関係でありますが、平成四年度予算とのかかわりでいいますと、予算編成の幾つかのポイントというのがあったわけですけれども、その中のかなり大きな部分として地方交付税をどれだけ削減できるかというのが歳出入バランスの一つの大きなポイントであったと思います。
その結果、今のお話のように八千億円程度国が借りるという形で事実上一般会計ベースでは削減が行われるということになったわけでありますけれども、しかし、事実上それが直ちに地方財政全体にとっての地方交付税の減に結びつくかといいますと、交付税譲与税特別会計というクッションを置いて出ていく。いわゆる入り口ベース、出口ベースというふうなことを言っておりますけれども、そういう関係で見ますと何とかつじつまが合っているというふうな、こういうことのように私は見ているわけでありまして、何といいますか、一つの政治算術的な結末ではなかったか、こういうふうに見ているわけであります。
しかし、長期的あるいは基本的な問題で考えますと、今のお話にもございましたように、やはり国と地方の関係の見直しとかあるいは財源の再配分とか、こういう大事な問題がある、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。特に最近では単独事業費が非常に地方サイドではふえておりますし、それから公共事業等の、あるいは高齢者対策というふうな面をとりましても、地方財政の役割が増大しているということはそのとおりでありますけれども、役割の増大とともにやはり財政負担もふえてきているということでありまして、そういうふうな状況を見てみますと、やはり、特に市町村における財源の確保ということが重要な大事な問題ではなかろうかというふうに思うわけであります。
地方交付税でいいますと、基準財政需要額をどういうふうに計算するかということが交付税額を非常に大きく左右してまいりまして、私は、単独事業がふえるあるいは地方の単独の施策がふえるということは、これは歓迎すべきことだろうと思うのですけれども、それによるところの一般財源の確保という点からいいますと、やはり基準財政需要額をもうそういう新しい動向に即して見直していくという、そういう地方の独自な施策とか、あるいは単独事業も含めてこれを拡大していく、あるいは、実際の一般財源の支出とそれからこの交付税サイドにおける基準財政需要額の計算というものができるだけ近くなるように計算をしていくというふうなことでやってもらいたいというふうに思っております。
バブル経済の崩壊によるところの税収面への影響ということは、これはまあ私は国ほどの影響があるかどうかということはちょっと問題だろうと思いますし、また地方財政の方でいいますと、固定資産税の評価の見直しとかいうようなことがありますので、それほど大きな影響があるというふうには考えられないわけですけれども、しかしこれも、地方財政といいましてもいろいろ格差がありまして、府県と市町村では大分違いますし、それから地域によっても違いがありまして、都道府県の中でも東京都のようなところはかなりその影響が大きくて、本年の東京都予算というのは相当基金の取り崩し等を行って編成したというふうな、こういう事実から見ますと、大都市財政に与える影響というのは非常に大きいと思います。
したがいまして、これからの地方財政のあり方ということを考えますと、一律に地方財政を扱うというのではなくで、大都市あるいは府県、それから市町村、それから過密地域、過疎地域というふうな、比較的その地域の実態に応じた、何といいますか、一律ということではなくてきめの細かい制度上のあり方ということを考えていく必要があるのではないかというふうに思います。
この発言だけを見る →その結果、今のお話のように八千億円程度国が借りるという形で事実上一般会計ベースでは削減が行われるということになったわけでありますけれども、しかし、事実上それが直ちに地方財政全体にとっての地方交付税の減に結びつくかといいますと、交付税譲与税特別会計というクッションを置いて出ていく。いわゆる入り口ベース、出口ベースというふうなことを言っておりますけれども、そういう関係で見ますと何とかつじつまが合っているというふうな、こういうことのように私は見ているわけでありまして、何といいますか、一つの政治算術的な結末ではなかったか、こういうふうに見ているわけであります。
しかし、長期的あるいは基本的な問題で考えますと、今のお話にもございましたように、やはり国と地方の関係の見直しとかあるいは財源の再配分とか、こういう大事な問題がある、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。特に最近では単独事業費が非常に地方サイドではふえておりますし、それから公共事業等の、あるいは高齢者対策というふうな面をとりましても、地方財政の役割が増大しているということはそのとおりでありますけれども、役割の増大とともにやはり財政負担もふえてきているということでありまして、そういうふうな状況を見てみますと、やはり、特に市町村における財源の確保ということが重要な大事な問題ではなかろうかというふうに思うわけであります。
地方交付税でいいますと、基準財政需要額をどういうふうに計算するかということが交付税額を非常に大きく左右してまいりまして、私は、単独事業がふえるあるいは地方の単独の施策がふえるということは、これは歓迎すべきことだろうと思うのですけれども、それによるところの一般財源の確保という点からいいますと、やはり基準財政需要額をもうそういう新しい動向に即して見直していくという、そういう地方の独自な施策とか、あるいは単独事業も含めてこれを拡大していく、あるいは、実際の一般財源の支出とそれからこの交付税サイドにおける基準財政需要額の計算というものができるだけ近くなるように計算をしていくというふうなことでやってもらいたいというふうに思っております。
バブル経済の崩壊によるところの税収面への影響ということは、これはまあ私は国ほどの影響があるかどうかということはちょっと問題だろうと思いますし、また地方財政の方でいいますと、固定資産税の評価の見直しとかいうようなことがありますので、それほど大きな影響があるというふうには考えられないわけですけれども、しかしこれも、地方財政といいましてもいろいろ格差がありまして、府県と市町村では大分違いますし、それから地域によっても違いがありまして、都道府県の中でも東京都のようなところはかなりその影響が大きくて、本年の東京都予算というのは相当基金の取り崩し等を行って編成したというふうな、こういう事実から見ますと、大都市財政に与える影響というのは非常に大きいと思います。
したがいまして、これからの地方財政のあり方ということを考えますと、一律に地方財政を扱うというのではなくで、大都市あるいは府県、それから市町村、それから過密地域、過疎地域というふうな、比較的その地域の実態に応じた、何といいますか、一律ということではなくてきめの細かい制度上のあり方ということを考えていく必要があるのではないかというふうに思います。
小
小岩井清#29
○小岩井委員 ありがとうございました。
時間が迫りました。最後に御質問いたしますが、和田先生、また恐縮でございます。
先ほど削減できる唯一のものは防衛費だというふうに先生おっしゃられました。千六百五十八億円増、三・八%増ですね。これは政府は抑制したと言っているのですけれども、抑制じゃなくて、世界の流れは軍縮ですから、したがって削減をしていくべきだというふうに思いますね。ですからその点について、これはこの防衛費を増大をさせていく、要するに抑制であってもふえていることは間違いありませんから、増大をさせていくという時期は、世界情勢、世界の流れの中からも、先ほど世界経済、奥村先生おっしゃいましたけれども、世界全体の流れの中からもこれはもうそういう時期は終わったんじゃないか、増大査定は。この辺の御認識を伺いたいというふうに思います。
それからあわせて、その世界的変化を本格的に受けとめるということで、中期防の見直しをして日本も軍縮にしていく、軍縮の模索をするという、そういうことが必要ではないかと思いますけれども、その点について先生のお考え方を伺いたいと思います。
この発言だけを見る →時間が迫りました。最後に御質問いたしますが、和田先生、また恐縮でございます。
先ほど削減できる唯一のものは防衛費だというふうに先生おっしゃられました。千六百五十八億円増、三・八%増ですね。これは政府は抑制したと言っているのですけれども、抑制じゃなくて、世界の流れは軍縮ですから、したがって削減をしていくべきだというふうに思いますね。ですからその点について、これはこの防衛費を増大をさせていく、要するに抑制であってもふえていることは間違いありませんから、増大をさせていくという時期は、世界情勢、世界の流れの中からも、先ほど世界経済、奥村先生おっしゃいましたけれども、世界全体の流れの中からもこれはもうそういう時期は終わったんじゃないか、増大査定は。この辺の御認識を伺いたいというふうに思います。
それからあわせて、その世界的変化を本格的に受けとめるということで、中期防の見直しをして日本も軍縮にしていく、軍縮の模索をするという、そういうことが必要ではないかと思いますけれども、その点について先生のお考え方を伺いたいと思います。