法務委員会

2003-07-03 参議院 全299発言

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会議録情報#0
平成十五年七月三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月一日
    辞任         補欠選任
     南野知惠子君     青木 幹雄君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                荒井 正吾君
                市川 一朗君
                千葉 景子君
                荒木 清寛君
                井上 哲士君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                野間  赳君
                江田 五月君
                鈴木  寛君
                角田 義一君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   衆議院議員
       修正案提出者   山花 郁夫君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
   副大臣
       法務副大臣    増田 敏男君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中野  清君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   中山 隆夫君
       最高裁判所事務
       総局民事局長
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長  園尾 隆司君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   大野市太郎君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   山崎  恒君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       司法制度改革推
       進本部事務局長  山崎  潮君
       法務大臣官房長  大林  宏君
       法務大臣官房司
       法法制部長    寺田 逸郎君
       法務省民事局長  房村 精一君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判の迅速化に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○人事訴訟法案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
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魚住裕一郎#1
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る一日、南野知惠子君が委員を辞任され、その補欠として青木幹雄君が選任されました。
    ─────────────
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魚住裕一郎#2
○委員長(魚住裕一郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判の迅速化に関する法律案、民事訴訟法等の一部を改正する法律案及び人事訴訟法案の審査のため、来る八日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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魚住裕一郎#3
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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魚住裕一郎#4
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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魚住裕一郎#5
○委員長(魚住裕一郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判の迅速化に関する法律案、民事訴訟法等の一部を改正する法律案及び人事訴訟法案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、法務大臣官房長大林宏君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省民事局長房村精一君、法務省刑事局長樋渡利秋君及び法務省矯正局長横田尤孝君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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魚住裕一郎#6
○委員長(魚住裕一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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魚住裕一郎#7
○委員長(魚住裕一郎君) 裁判の迅速化に関する法律案、民事訴訟法等の一部を改正する法律案及び人事訴訟法案を一括して議題といたします。
 三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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佐々木知子#8
○佐々木知子君 おはようございます。自民党の佐々木知子でございます。
 私に与えられた時間は十五分ということで、常よりもっと早口になるかもしれませんけれども、御容赦くださいませ。
 まず、司法制度改革の一つの柱である裁判の迅速化法案が出てきたということでございます。裁判といいますと一般に長く掛かると思われているわけですが、実は必ずしもそうではなくて、地裁第一審通常訴訟について見れば、刑事事件、これは平成十三年の数値ですけれども、九二・四%の事件が六か月以内で終わっております。一年以内で見たら九八・二%、つまりほとんどが一年以内で終わっているということで、それほど長く掛かっているわけではない。二年を超えるのはわずかに〇・四%。ただし、五年を超えるものというのが〇・一%ございまして、三十六人という数になります。殊に、オウムはまだ終わっておりませんけれども、特に首謀者に関しましては。世間の耳目を集める事件が長く掛かる傾向にあるために、世間では一般に裁判は長く掛かるというイメージがございます。
 また一方、民事事件につきましても、六か月以内に六二%が終わっておりまして、一年以内で見ますと約八〇%が終わっております。ただし、一方、二年が超えるものについても七%という数値になります。五年を超えるものも〇・七%で千百七十六件、これはかなりの数ではないかと思われます。これまた医事関係訴訟や知的財産訴訟などが一般に長く掛かっている傾向があるようでございます。
 古今東西、裁判の遅延は裁判の否定であるという格言がございます。実際に、迅速でないから裁判には訴えず、暴力団に頼んじゃおうかなというようなことも世間では間々行われておるようでもございます。
 今回、司法制度改革に関連して提出された裁判の迅速化法案は、見てみますと、第一審の訴訟手続については二年以内のできるだけ短い期間内にこれを終結させることを目標としておりますが、具体的な方策としてはどのようなことを考えておられるのか、法務大臣にお伺いいたします。
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森山眞弓#9
○国務大臣(森山眞弓君) この法律案は、第一審の訴訟手続について二年以内のできるだけ短い期間内に終局させることなどを目標といたしまして、言わば裁判の迅速化に関する総論を定めるものでございます。具体的な方策は別途講じられることを予定しているわけでございます。
 民事関係につきましては、一緒に御審議いただいております民事訴訟法の一部改正法案におきまして、計画審理の推進、証拠収集手段の拡充などが、また人事訴訟法案において人事訴訟の家庭裁判所への移管などが規定されております。
 また、刑事関係につきましても、充実した争点整理のための新たな準備手続の創設、証拠開示の拡充、公判の連日的開廷、裁判所の訴訟指揮の実効性の担保などの具体的方策が検討されているところでございます。
 さらに、法曹人口の大幅な増加や、裁判所、検察庁の人的体制の充実などの体制の整備につきましても、現在、政府におきまして、司法制度改革推進計画に従いまして必要な取組を行っているところでございまして、また最高裁判所や日弁連におかれましてもそれぞれ積極的に必要な取組が行われているものと考えております。
 この法案が成立しました場合には、さらに本法案の趣旨や最高裁判所による検証の結果も踏まえまして必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
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佐々木知子#10
○佐々木知子君 司法制度改革の一環として市民の司法参加ということも要請されているようでございます。
 日本では、現在、検察審査会のみが市民の司法参加ということになっておりますけれども、今回は、ある一定限度の刑事裁判について一般市民が参加する裁判員制度ということを現在検討しているようでございますが、素人が裁判に参加する以上、これは今までのプロフェッショナルだけがやっていた裁判とは違いますから、様々な手だてが考えられないといけないということになります。例えば、書面審理だけであればやはり難しいでしょうから、証人尋問を活用するとか、それからやっぱり事前の準備、計画審理というようなことも大変になると思います。
 まずは、裁判は早く終わらなければならない。プロフェッショナルであるからいつまでもずっと、五年前の事件でも何かずっとそれは記憶しておかなければいけませんけれども、一般市民がちょっと前にあった事件を覚えておいてくれといったってこれは無理な話で、すぐにもやってしまわなければもう実際上は難しいということになりますから、そういう要請としても裁判は迅速であらねばならない、こういうことでございますね。
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森山眞弓#11
○国務大臣(森山眞弓君) おっしゃるとおりでございまして、裁判員制度の導入に当たりましては、公判が可能な限り連日継続して開廷される、真の争点に集中した充実した審理が行われるようにするということが必要でございまして、刑事裁判の迅速化を図る必要があるというふうに私も思います。
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佐々木知子#12
○佐々木知子君 さて、二つ目の民事訴訟法等改正法案の中身は多岐にわたっております。
 先ほどお述べになりました計画審理の推進、証拠収集手段の拡充、そして専門委員制度の創設というのも挙がっております。そして、特許権等関係訴訟事件の専属管轄化及び簡易裁判所の機能の充実、こういうことでございまして、これまた裁判の迅速化法案が要請する訴訟手続等の整備の一環を成すものと考えるわけですけれども、時間が限られている関係上、このうちの専門委員制度の創設についてだけ伺いたいと思います。
 これもまた、ある意味では市民の司法参加という側面も持っているのではないかと私は思っているわけですが、これはどういう制度であって、どのような事件においてその関与を想定しておられるのでしょうか。これは民事局長、お願いいたします。
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房村精一#13
○政府参考人(房村精一君) 今回の民事訴訟法案で設けようとしております専門委員制度でございますが、これは、現在、非常に専門的な知見が問題となる事件が増えております。典型例としては、医療過誤であるとか建築紛争、あるいは例えば金融関係でも非常に新しい金融商品が出てまいりますので、そういう専門知識を要する事件が増えている。こういう事件に対しまして、裁判官がその分野について専門的な知識を持っている人を専門委員としてその事件の審理に関与をしていただいて、その知識を活用しながら適切な審理が行えるようにしようと、こういう趣旨の制度でございます。
 活用される場面としては、訴訟の中のまず主張整理の段階、この段階でそういった専門委員の意見を聞きながら適切な争点整理あるいは当事者との進行協議を行う。次に、証拠調べの段階に入りますと、例えば証言の中に出てきた専門用語、そういうものの意味を明瞭にしてもらう、こういうような点で専門委員を活用するということが考えられますし、さらに和解を試みる場合にも、和解案について専門的立場からの意見を述べてもらって、より充実した和解案を作成していくというようなことが考えられると思っております。
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佐々木知子#14
○佐々木知子君 ありがとうございます。
 裁判もどんどん多岐にわたっておりまして、一般に裁判官ないし法曹はどちらかというと理系に弱い方が多うございまして、医事関係にしても、それから今お述べになりました建築関係でも実はさっぱり分からないというようなことが間々ございます。やはり、そういう専門委員制度というのを活用していくことが、裁判を迅速化させるだけではなくて公正、そして正しい裁判ということに必要不可欠というふうに思っておりますので、是非これは活用していただきたいと思うわけなんですけれども。
 ただ、公平性、中立性を確保すること、これは私は非常に難しいと思うのです。例えば、医療関係訴訟というのになりますと、そのお医者さんが選んだ専門委員がどちら側に例えばコネクションを持っているとか、同じ大学出身者であるとか、学会がどうだとか、結構、人的な関係などもございまして、なかなか不利な証言というんですか、供述ができないというようなことも実際間々あることも私は承知しております。
 ですから、専門委員制度を導入するのは非常に結構なんですけれども、実際の運用においてどのようなことを手当てを考えておられるのか、それについてお伺いしたいと思います。
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房村精一#15
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、この専門委員は裁判に関与をいたしまして裁判官に直接意見を述べるという立場でございますので、その公平性、中立性の確保が重要な問題だと思っております。
 今回の制度を採用するに当たりましては、そういうことから、まず専門委員が当事者の親族であるなど一定の事由がある場合には当然に排除されるという除斥の制度、また公正な職務執行を妨げる可能性を示す一定の事由がある場合に排除できる忌避の制度、これは裁判官についても設けられている制度でございますが、これを専門委員にも当然に適用するという形で制度を作っております。
 また、専門委員の意見につきましても、当事者のいる期日で口頭で述べるか、あるいは書面で意見を述べてもらうという形で、必ず専門委員が述べた意見を当事者が知り得るようにして、当事者が適切にこれに反論の機会を得られるようにということを考えております。
 また、その専門委員の指定に当たっても当事者の意見を聞いた上で行う、あるいは、そもそも専門委員を手続に関与させることについて当事者双方が不必要だというような場合にはその関与の決定を取り消すと、こういうような制度的手当てを講じまして公平性、中立性を確保できるものと考えております。
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佐々木知子#16
○佐々木知子君 もう一つ出ております人事訴訟法案で、これは明治三十一年にできたままでこんなに旧仮名遣いで難しい法律だったのだなと、今回やっと平易な、特別に平易でもないですけれども、そういうふうに改まるのだなということを、認識を新たにしたわけですけれども、それは、家庭裁判所の機能の拡充による人事訴訟の充実・迅速化を図ることで民事司法制度をより国民に利用しやすくさせるものであり、これまた、やはり裁判の迅速化法案による訴訟手続等の整備の一環を成すものと思われますが、時間の関係上、この中にある参与員というのだけお伺いしたいと思います。
 今までも家庭裁判所には調停委員というものがございまして、これは随分活用されておられますけれども、ここにいる参与員というのは、調停委員とどう違うのかあるいは同じなのか、その資格はどういうものになるのか、それについてお答え願いたいと思います。
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房村精一#17
○政府参考人(房村精一君) 参与員と調停委員でございますが、これは、まず職業裁判官以外の者が裁判所における手続に関与する、その意見を言うという点では共通でございます。そのねらいも、要するに国民の良識をそういう裁判手続に反映させるということでございますが、この調停委員の方は、裁判官と一緒になりまして自ら調停委員会の一員となって調停を主宰すると、こういう立場でございますが、今回、拡充しようとしております参与員は、裁判官の言わば諮問機関として、裁判所の諮問機関として裁判官に対して意見を述べると、こういう点でその果たすべき役割が相当違っているということでございます。
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角田義一#18
○角田義一君 民主党・新緑の角田でございます。
 裁判の迅速化に関する法律案についてやや総論的なことをお尋ねをし、民事訴訟あるいは人事訴訟あるいは迅速化の各論については江田先生の方からまたいろいろお尋ねがあると思います。
 私は、この裁判の迅速化に関する法律案、原案ですね、修正される前の、ばっと目を通しましたときに、まあ大体法律というのは味もしゃしゃりもないんだけれども、これほど風格も品格もない法律というのはないなというのが私の率直な第一印象ですね。
 こういう法律がなぜ出てきたのか、なぜこういうものを作らにゃいかぬのかと、その背景の事情からまず御説明いただきたいと思うんですよ。
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山崎潮#19
○政府参考人(山崎潮君) まず、裁判の実態の事実認識について、まず申し上げます。
 審理期間につきましては、実務の努力で徐々に短くなってきているということでございますけれども、平成十三年の民事通常事件、訴訟事件の第一審の平均審理期間八・五か月でございます。そのうち審理期間が二年を超えたものが七・二%、件数でいうと一万数千件になるわけでございます。それから、刑事の通常訴訟事件の第一審の平均審理期間三・三か月でございます。審理期間が二年を超えたその人員〇・四%、二百数十名ということになるわけでございます。
 このように、我が国の裁判は全体として確かに相当の迅速化が徐々に徐々に図られてきているということでございますけれども、やはり当事者間に争いがあって人証調べをするような事件、あるいは複雑、専門的な事件、あるいは国民が注目する重大事件等におきまして、やはり依然として長期間を要するものが少なくないという認識にまず立つわけでございます。これで本当に国民が納得するかなという点が出発点になるわけでございます。そういう問題意識からスタートをしたということでございます。
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角田義一#20
○角田義一君 小泉総理の悪口を言うと罰が当たるというから、私は人の悪口は言わないが、本当のことだけは申し上げておいた方がいいと思います。
 この司法制度改革の本部長をやっておられますな、総理大臣はね。それで、しかるべき公の席上で、裁判、何しろ一審、二年以内にやっちまえと、こういうことを発言されたというのを新聞で見ました。私はそれを読んで、えらいことを言う総理大臣だなと。何でもかんでも、裁判、一審を二年でやっちまえばいいんだというのは、随分乱暴なことを言う人だな、この人はと。これは悪口じゃないですよ、本当のことだから。乱暴なことを言うなと思った。刑事裁判、民事裁判、全然本質は違うと思うんですがね。
 と同時に、さっきあなたはおっしゃったけれども、確かに長期化する裁判はあるんだけれども、国民はそういうものだけ見ていれば何か裁判はうんと長くなっているように思うかもしれぬけれども、実際はそうでもないと。
 何かこの、国民迎合と言ってはちょっと、いささか物の表現きついかもしれぬが、大衆受けするというか、市民受けするというか、そういう発言をして、それにのっとって、偉い人がみんな寄ってたかってそれを受けてこの法律を何か作り上げたような感じがしてしようがないんだけれどもね。どうですか。
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山崎潮#21
○政府参考人(山崎潮君) この問題のきっかけは、今御指摘がございましたけれども、その前に、私どもの本部に顧問会議というものが有識者八名で構成されておりますけれども、顧問会議でまず顧問の中からこの声が上がったということが最初のきっかけでございます。それに呼応いたしまして総理大臣も、その二年以内に終局できるようにすべきであるという御意見をいただいたわけでございます。これがきっかけになったということは間違いございません。
 で、これは、そういうことをきっかけに事務局の方で最終的にどういうふうな判断をするか、それが必要なものだったら必要なものとして法案として考えるという、そういうことで事務局の方に投げられたということでございます。私どもの方でその提言等を受けまして考えたのが先ほどの実態でございます。
 これは、それほどじゃないじゃないかという方もかなりおられるわけですね。大部分は二年以内に終わっているじゃないかと、こういうふうに御指摘があるわけでございますけれども、ただ、私はそこの事実認識が若干違っておりまして、これは委員、釈迦に説法だと思いますけれども、事件、発生いたしまして、多分、まず近所の方々に相談したり知り合いに相談して、まず解決しない。そこで何か月かたつわけですね。それから弁護士さんのところへ行く。それで和解とかをいろいろ話合いをしてみるけれども、駄目だと。これは、本当は裁判を起こすというのはかなりの勇気が要るわけでございますので、そこで何か月かあってやっと裁判になるということで、そこまでには一年からあるいは場合によっては二年まずたっているだろうと思うんですね。
 それから、今回言っているものは、一審の裁判は二年以内ということを言っているだけでございまして、じゃ、一審で全部終わるのかというと終わらないものもかなりあるわけでございまして、そうなりますと控訴審に参ります。そこでまた時間が掛かる。じゃ、そこで終わったとしまして、じゃ、今度は執行に移るというときにまた時間が掛かる。
 これ、相対的に考えると、事件が発生してその当事者が一応その事件が解決して新たな気持ちで再スタートをするというまでに四、五年は掛かってしまう実態であるという私、認識でございまして、これは幾ら何でも現在の時代を考えると長過ぎるだろうということが我々のこの立法に向けた最初のきっかけ、気持ちはそこにあるわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。
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角田義一#22
○角田義一君 私は、その法律をずっと見てつくづく思うのは、確かに司法制度改革というようなものが大きな時代の流れになっておるなということは私のような年寄りでも分かりますけれども、守旧派でも分かりますが、何としても、何というのかな、効率一点張りだな、何でも即席ラーメン作るような格好でどんどんやっちまえばいいんだというような風潮、それが今の司法界にもあるように思えて、私は本当に実は憂慮しておる一人ですよ。何で、裁判の迅速化法案というものが必要なのかね、私には一向にいまだ、今日質問していても分からない。党議拘束があるからこれ賛成しないわけにはいかないんだけれども、党議拘束なけりゃ反対の急先鋒に立ちたいような心情なんですよ、実はね。後でいろいろその理由を説明しますけれども、お尋ねしますけれども。
 そんな心境でおるんですが、まず一つ聞きますが、失礼だけれども、民事裁判の本質というのは一体どういうふうに理解しているんだ、山崎さんは。
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山崎潮#23
○政府参考人(山崎潮君) かなり哲学的な問題になろうかと思いますけれども、私、若干自分の経験を言わせていただきます。
 大分前でございますけれども、高等裁判所で事件、二年ぐらい見ておりました。このときに感じたのは、控訴審まで来る当事者、相当に疲れております。精神的にも非常に疲れている。どうにか自分の、何というんですか、投げどころと言うとおかしいんですけれども、負ける方はそれなりに理屈が付くところを与えてほしいと、それを望んでいるわけでございます。それを裁判官がどういうふうにそういうものを与えていくかということが裁判官の仕事になるわけでございますが、それでも乗らない方もおられまして、最後まで突っ張りますという方もおられます。それは選択の問題でございますから、それはよろしいわけでございます。
 そこで感じたのは、やはり裁判というのは権利の病気なわけでございまして、やはり病気は病根を早く取って治して元気に世の中に戻っていただくというのが裁判の使命だろうと思います。そうなりますと、一審でももう相当に疲れて、本当にこの方はそういう、こういう問題がなければ相当に常識的な行動をする方ではないかと思われる方が、裁判が長引くことによって相当に精神的にもおかしくなり掛かっていると、こういう状態はやはり看過できないということでございまして。
 それから、刑事でも同じでございます。これは、事件が発生をいたしまして、その被害者がおられるわけです。それから、被害者だけではなくてそれを見ている国民の方がおられるわけでございまして、やはり社会秩序に対する病気でございます。ですから、病根は早く取り除いて、それから社会がどういうふうにその犯罪に対応した方がいいかということを決着した上でそういう対応を考えていくと、こういうことが重要なわけでございまして、ですから、そういう意味では裁判は当事者の納得もございますし、それからやはりやることはやった上で早めに治療をしてあげなければならないと。これが私は裁判の使命であるというふうに考えております。
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角田義一#24
○角田義一君 あなたは現場におったときに非常に有能な裁判官だということは私もよく聞き及んでおりますし、現に有能な裁判官でしたよ。それで、民事裁判の今本質についてあなたの御説明聞いておりまして、理解できるところと理解できないところもあるんだが、やっぱり民事裁判は、私も若干の経験ありますけれども、私的紛争のこれは解決ですから、その場合にそれは余りにも時間が掛かり過ぎるということはいかがなものだとは思うが、しかし時間の効用というのかな、時の効用というのかな、そういうものも実は事件を解決する上ではあるわけで、当事者というのは最初はもうかあっとなっちゃって、これはもう大げんかするんだけれども、ある程度冷静になって、そして審議を進めていく上で、その人情の機微に触れた裁判長がおれば、余り官僚的な裁判長ではどうしようもないけれども、統計ばっかり気にするような裁判官じゃだめなんだけれども、本当に人情がよく、機微がよく分かった裁判官であれば、自分でいろいろ調べて、そして適当なタイミングを見て和解を勧告をし、いい和解案を出すというようなこともできるわけで、それには時間というものが及ぼす作用というかな、そういうゆとりというか、そういうものもやっぱり一面あっていいと私は思っておるんですが、またなきゃならぬと思うんですね。
 ところが、この法律ができて、二年以内で何でもやっちまえばいいんだということになると、ヒラメ裁判官というんで、ヒラメ裁判、上ばっかり見ている、最高裁の方ばっかり、最高裁の人来ているのかな、ヒラメ裁判官というんで上ばっかり見ている裁判官がそういうことを全然考慮しないで、何しろ二年以内にやらなくちゃいけないんだという、金科玉条にやられたんでは私は一番迷惑するのは国民だと思うんですよ。山崎さん、どう思う。
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山崎潮#25
○政府参考人(山崎潮君) ただいまの御指摘、私も共感できるところ十分にございます。やはり、裁判、紛争の解決とともに、それなりに、これ裁判ですから勝ち負けは当然あるわけでございますけれども、負けた方もそれなりにやむを得ないと、ある程度納得ということですね、これが必要であるというふうに私も思っておりまして、そのために若干時間を要するということもそれは当然、解決のためには必要な時間というふうに考えられるわけでございます。
 今回の法案におきましても、この法案は充実した手続、やることをやった上で迅速化をいたしましょうということでございまして、やることをやった上でということは法文の中にも三か所きちっとうたわれているわけでございまして、それを前提にして裁判を行っていくということでございますので、この法の趣旨はきちっと徹底をして裁判官にも、各裁判官にもそれが前提であるということです。これを十分分かってやっていただくということ、これを期待しているところでございます。
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角田義一#26
○角田義一君 この法案の閣法の原案には「充実」という言葉はなかったんだよね。「迅速」だけなんですよ。「充実」というのは衆議院でいろいろ議論して、議員の皆さんがこれを入れたんだけれども、私が許し難いと思う、許し難いというのは余りちょっと言葉がきついな、よく分からないのは、なぜ原案に「充実」という言葉が入らないんだい。最初から「迅速」だけで、「充実」という言葉があなた方当局は入れていないじゃない。出すときになぜ「充実」という言葉が入らなかったか、そこを糾弾したいんだ、僕は。糾弾したいんだよ。どういうふうに説明する、しますか。
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山崎潮#27
○政府参考人(山崎潮君) ただいまの御指摘は、確かにこの法律の一条、法律の「目的」ですね、そこのところに「充実」という文言がなかったことはそのとおりでございます。議員修正でここに加えられたという経緯がございます。
 ただ、私どもの法案といたしまして、その充実した手続が必要であるということは、例えば二条の一項、「充実した手続を実施すること」ということで入っておりまして、これによって行われるものというふうにしておりますし、それから六条はこれは「裁判所の責務」でございますけれども、ここでも裁判所は充実した手続を実施することによりということで、私どももそこは十分に意識しながらその法文の中に入れさせていただいたということでございます。
 じゃ、なぜこの一条に入れなかったのかということだろうと思いますが、これはその法文は、この法律は全体として充実した手続をやった上で裁判を迅速化させていくと、迅速化させるためにはどのようなシステムが必要かということを問う法律でございます。ですから、それぞれに皆、責務を掛けながら裁判を検証して、その検証の結果、やっぱりこれじゃ二年以内にできないという、そういう結論が出てきて、どこに問題があるかということになれば、そこには新たな施策を講じていくと。それでまたやってみると。また、更に検証をして、それでまた結論を出してみて足りないところは手当てをと。これを何回か繰り返していきましょうという裁判の迅速化をし、言わばシステム化する法律ということでございますので、そこでその迅速化ということを端的に前に出したということでございます。
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角田義一#28
○角田義一君 あなた一流の理論を展開されるんだがね。
 先ほどの話を聞いていると、当事者の納得ということを言いますね、民事裁判の一番大事なことだと。私もそのとおりだと思いますよ。納得をさせにゃいかぬと。それは刑事裁判はそういう要素ありますけれども、特に民事の場合は両当事者が納得するということが大事なんだけれども。
 当然、あなた方のお手元にも行っていると思いますが、日本弁護士連合会が「裁判の充実・迅速化のために」というので資料集というのを私どもにくれたので目を通しましたところですが、司法制度改革審議会が二〇〇〇年に行った民事訴訟利用者調査によれば、民事裁判に満足したという人は勝訴した人を含めて一八・六%しかいないというんだよ。五分の一以下ですよ。これの数字を見て私はびっくりしたんですが、こういう満足した、要するに納得していないということは、勝っても負けてもですよ、これしかいないんだよね。百人のうち二十人以下ですよ。
 これ、どういうところに原因があると思います。
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山崎潮#29
○政府参考人(山崎潮君) ここでまとめられているもの、理由を読みますと、例えば審理過程に対する評価、それから裁判官に対する満足度とか弁護士に対するもの、それから訴訟の費用に関するもの、そういうような点にいろいろ不満があるということでございますけれども、これで端的にこの中で明確に言われておりませんけれども、私はやはり物によっては時間が掛かり過ぎるということですね、これも不満の一つではないかというふうに推測しているわけでございますが、いろいろな要因が重なり合っているというのが実態であろうというふうに思っております。
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