法務委員会

2018-05-31 参議院 全317発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成三十年五月三十一日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     元榮太一郎君     関口 昌一君
     櫻井  充君     榛葉賀津也君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     関口 昌一君     元榮太一郎君
     榛葉賀津也君     櫻井  充君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     山谷えり子君     三木  亨君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     三木  亨君     中西  哲君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         石川 博崇君
    理 事
                中西 健治君
                山田  宏君
                若松 謙維君
                有田 芳生君
    委 員
                岡田 直樹君
                中西  哲君
                福岡 資麿君
                三木  亨君
                元榮太一郎君
                柳本 卓治君
                櫻井  充君
                小川 敏夫君
                仁比 聡平君
                石井 苗子君
                糸数 慶子君
                山口 和之君
   国務大臣
       法務大臣     上川 陽子君
   副大臣
       法務副大臣    葉梨 康弘君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  山下 貴司君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   安東  章君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        青木勢津子君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      渡邉  清君
       警察庁長官官房
       審議官      小田部耕治君
       金融庁総務企画
       局審議官     水口  純君
       消費者庁政策立
       案総括審議官   井内 正敏君
       消費者庁審議官  東出 浩一君
       消費者庁審議官  福岡  徹君
       総務大臣官房審
       議官       篠原 俊博君
       法務大臣官房司
       法法制部長    小出 邦夫君
       法務省民事局長  小野瀬 厚君
       法務省刑事局長  辻  裕教君
       法務省人権擁護
       局長       名執 雅子君
       外務省領事局長  相星 孝一君
       文部科学大臣官
       房審議官     神山  修君
       文部科学大臣官
       房審議官     白間竜一郎君
       文部科学大臣官
       房審議官     下間 康行君
       文部科学大臣官
       房審議官     信濃 正範君
       厚生労働大臣官
       房審議官     吉永 和生君
       厚生労働大臣官
       房審議官     成田 裕紀君
       厚生労働省子ど
       も家庭局児童虐
       待防止等総合対
       策室長      山本 麻里君
       厚生労働省政策
       統括官      酒光 一章君
       農林水産大臣官
       房生産振興審議
       官        鈴木 良典君
       国土交通大臣官
       房審議官     馬場崎 靖君
       国土交通省航空
       局交通管制部長  飯嶋 康弘君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
この発言だけを見る →
石川博崇#1
○委員長(石川博崇君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、山谷えり子君が委員を辞任され、その補欠として三木亨君が選任されました。
    ─────────────
この発言だけを見る →
石川博崇#2
○委員長(石川博崇君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長小野瀬厚君外二十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
石川博崇#3
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
この発言だけを見る →
石川博崇#4
○委員長(石川博崇君) 民法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。上川法務大臣。
この発言だけを見る →
上川陽子#5
○国務大臣(上川陽子君) おはようございます。
 民法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、公職選挙法の定める選挙権年齢が満二十年以上から満十八年以上に改められたことなどの社会経済情勢の変化に鑑み、民法が定める成年となる年齢の引下げ等を行うものであります。
 その要点は、次のとおりであります。
 第一に、現在二十歳とされている成年となる年齢を十八歳に引き下げることとしております。
 第二に、現在男性が十八歳、女性が十六歳とされている婚姻開始年齢について、男女とも十八歳にそろえることとしております。
 第三に、民法が定める成年となる年齢の十八歳への引下げに伴い、関係法律について所要の整備をすることとしております。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
この発言だけを見る →
石川博崇#6
○委員長(石川博崇君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →
中西健治#7
○中西健治君 おはようございます。自由民主党の中西健治です。
 重要な成年年齢引下げの法案のトップバッターとして質問に立たせていただきますので、まず、この成年年齢の引下げの意義などについてお聞きしていきたいというふうに思います。
 戦前に東京帝国大学教授・法学部長を務め、戦後も最高裁判所判事などの要職を歴任されました、民法、特に家族法の権威で家族法の父とも呼ばれました穂積重遠先生は、大正十年に刊行された「民法総論」の中で、成年期を繰り下げて、例えば満十八年としたらどうであろうかと記しておられます。
 ただし、こうも述べておられます。独立して社会生活をなすに堪える程度の思慮分別の成熟が人それぞれ異なっている以上、未成年者と成年者を画一的に区別することは実は不可能なのであり、それを強いてするから時に不当の結果を免れないと、こう述べておられます。成年年齢の在り方に関する議論が一筋縄でいかないことを明確に指摘しておられるところであります。
 この指摘から九十七年という月日がたち、百四十年ぶりに成年年齢が十八歳に引き下げられる、こうした議論が本格化したわけでありますけれども、未成年者と成年者を年齢という基準で単純に切り分けてしまうことが大変難しいということは変わりがないということではないかと思います。
 このことを踏まえた上で経緯を振り返ってみますと、成年年齢の引下げに至る直接の契機は、平成十九年に成立した日本国憲法の改正手続に関する法律、国民投票法の第三条において投票年齢を十八歳と定めた上で、附則第三条第一項で、「国は、」「選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする。」としたことにあります。これを受けて法制審議会成年年齢部会において議論が行われ、平成二十一年に十八歳に引き下げるのが適当であるとの最終報告書が提出されました。その後の平成二十六年の国民投票法の改正や平成二十七年の公職選挙法の改正に当たっても、民法を含む諸法令について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとするという同様の附則が定められております。
 前置きが少し長くなってしまいましたけれども、ここで重要なのは、国民投票法の当初案、与党案では、投票年齢が二十歳とされていたということであります。これに対して、当時の民主党から、投票年齢を十八歳とし、民法や公職選挙法についても検討を加える旨の提案がなされ、与党が修正に応じた結果十八歳が動き始めたということであります。
 すなわち、今般の成年年齢の引下げはまさに政治主導で進められてきたものであり、単に民法上の成年年齢を引き下げるということにとどまらない意義と意図があると思われますけれども、この点について、法務大臣の見解をお聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →
上川陽子#8
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員御指摘のとおり、今回の成年年齢の引下げにつきましては、日本国憲法の改正手続に関する法律の制定の際に附則で、民法においても法制上の措置を講ずるよう求める旨の規定が設けられたこと等を契機として議論がなされるようになってきたものでございまして、その意味では政治主導、まさに政治主導で進められてきたと、こうした御指摘についてはそのとおりであると認識をしております。
 成年年齢の引下げは、国民投票の投票権年齢や公職選挙法の選挙権年齢が十八歳と定められ、国政上十八歳以上の者を大人として見るとの判断がされたという政策的な流れの中に位置付けられるものではないかと、こんなふうに考えております。十八歳、十九歳の若者に参政権という権利を与えるとともに、私法上も大人として扱うことにより、これらの者が責任ある立場で積極的に社会に参加することを促進し、ひいては我が国の将来を活力あるものにすることにつながるというふうにも考えるところでございます。
 また、成年年齢の引下げによりまして、十八歳、十九歳の者は自ら就労して得た金銭などを自らの判断で使うことができるようになるほか、自ら居所を定めたり、また希望する職業に就いたりすることができるようになるということでございまして、未成年であることが欠格事由とされている様々な職業にも就くことができるようになるものでございます。これは、若者の自己決定権、これを様々な場面で尊重をするというものでありまして、若者にとりまして大きな意義があるものというふうに考えております。
この発言だけを見る →
中西健治#9
○中西健治君 民法は、我々が社会生活を送る上で必要とされる基本的なルールを定めているわけでありますけれども、人々は、自分の財産の範囲内であれば自由に契約を結び処分してよいという、いわゆる契約の自由という思想に支えられております。この思想が非常に重要で、契約を締結するかどうか、誰と契約をするのか、どのような内容の契約を締結するか、どのような契約の方法を取るのかなどを決定する自由が認められているということによって、我々は、職業や居住地、売買するもの、さらには何を学ぶのかなどといったことに関して好きな選択ができるということになります。言い換えれば、自分の生き方を自らの判断で選択できる私的自治の原則が定められ、認められているということであります。
 一方、これはあくまで成年の話でありまして、未成年となるとこの原則が逆転いたします。未成年者の契約には親権者などの同意が必要であり、もし本人が勝手に契約をしてしまっても、親権者や後見人などが取り消すことが可能となっております。つまり、未成年と規定されることによって、生き方を選択できる自由が大幅に制限されているということになります。未成年者であっても成年と同様の基本的人権を有していることを考えると、これは大きな問題なのではないか、未成年者の自己決定権に関しては最大限尊重されるべきではないかというふうに思います。
 もちろん、例えば小学生、中学生であれば、本人を保護するということで理解が得られると思いますけれども、高校を卒業するような年齢の人の自由をそのような形で制限することに対しては、果たして広い理解が得られるのかは疑問であると常々思っております。したがって、今大臣が御答弁されたとおり、十八歳、十九歳の人たちを独立した一個の人間として位置付けて、一人前の大人として扱うべきであると考えるところであります。
 ただし、穂積教授がおっしゃるとおり、十八歳で切るのがよいのか二十歳がよいのか、はたまた十五歳がよいのかと、こういうことは永遠の課題であるとも言えるかとも思います。先ほど申し上げたとおり、そこを政治的に十八歳で区切ったからには、その結果生じるであろう負の側面について政策的な対処を講じるのは政治の責任ということになるかと思います。
 まず、この改正が国民にどう受け入れられているのかという点に関して、平成二十五年の内閣府の世論調査によりますと、契約を一人ですることに関する賛否では、反対が七九・四%、賛成は一八・六%にとどまっております。ただ、この調査を細かく読むと、反対している人の中に、条件が整えば賛成という方がかなり多く含まれており、合算すると六〇%が賛成又は条件付賛成となっております。また、年齢階層別で見ると、若年層に賛成が多いという傾向も現れております。この点に関して、政府の見解をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
小野瀬厚#10
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、内閣府が平成二十五年に実施しました世論調査では、反対した者の中にも、法的な物の考え方を身に付けるための教育の充実や消費者保護の施策の充実という前提が整えば成年年齢を引き下げてもよいという意見が相当程度含まれておりまして、このような意見の者と賛成の意見の者を合わせますと六〇%に達しております。このことは、成年年齢の引下げについて国民の理解を得るためには、これらの施策の更なる充実強化を図るだけではなく、政府全体でこのような施策に取り組んでいることについて広く国民への周知を図ることが必要であることを示しているものと考えております。
 また、平成二十五年十月の世論調査の結果によりますと、成年年齢の引下げに賛成又はどちらかといえば賛成とした者の割合は若い年齢層で高く、年齢層が高くなるにつれて減少するという傾向が見られることも御指摘のとおりでございます。さらに、前提が整えば成年年齢を引き下げてもよいという意見の者と賛成の意見の者を合算した割合も、若い年齢層で高い傾向が見られます。
 こうした結果は、若年者の方が年齢層の高い者よりも積極的に社会に参加することを肯定的に捉えている、そういうことを示しているものと考えております。
この発言だけを見る →
中西健治#11
○中西健治君 高齢者が若者に対して否定的であるという傾向というのは、何も今に始まったことではないというふうに思います。今どきの若い者はなっとらん、わしの若い頃にはという落書きがピラミッドの天井にもあると、こんなような話、まあ、これちょっと定かかどうかは分かりませんけれども、あと、古代ローマの遺跡からも、今どきの若い者はと嘆く文章が見付かっているということであります。また、これは紙面という形できちんと記録が残っておりますけれども、戦前の新聞などを見てみますと、この頃の若い男たちは頼りない、この頃の青年には気概がなくなった、近頃の学生は道義心や犠牲的精神が欠乏している、こうしたものを戦前の大新聞はこぞって書き立てていたということであります。今回の調査にも若干その傾向は現れているんではないかと感じている次第であります。
 ただ、百四十年の長きにわたって二十歳を成年年齢とし、大人と子供を区別してきたことが国民の間に深く定着してきていることもまた事実であり、この調査結果は真摯に受け止めるべきものであると考えております。しかし、その一方で、若者を一人前の大人として処遇し、社会参加の機会を与えるという政策の方向性はしっかり維持していくべきものであるというふうに思います。
 公職選挙法の改正によって、平成二十八年の参議院選挙と昨年の衆議院総選挙では、十八歳、十九歳の若者が実際に投票を行いました。このことは国民に十八歳成年の意識を浸透させる契機となったのではないかと思われますが、この点に関して法務省としてはどう評価しているのか、若しくは、そのような変化が見られているのか見られていないのか、これについて見解をお伺いします。
この発言だけを見る →
小野瀬厚#12
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、選挙権年齢が十八歳と定められ、前回の衆議院議員総選挙、二十九年の、昨年の十月実施でございますけれども、この総選挙を含めまして、実際に十八歳、十九歳の者による選挙が実施されたことは、若者の社会参加を促すという政策的な流れが国民に定着し、そのような流れの一環として十八歳成年という意識が浸透する契機の一つになったものと考えております。
 十八歳、十九歳の者による選挙が実施されたことによる意識の変化につきましては、前回の衆議院議員総選挙に関する数値は現時点で詳細を把握しておりませんが、平成二十八年七月の参議院議員通常選挙に関するものを申し上げますと、選挙の前後で、当事者である十八歳、十九歳の者が選挙権年齢を十八歳とすることを良いことだと評価する割合が六八%から七九%に増加したとの調査結果がございます。また、選挙後に政治に対する意識を調査したところ、多くの若者の声が集まれば若者の望む政治が行われると思うようになった、あるいは、政治を自分のこととして考えるようになったといった回答が上位を占めるという結果も出ております。
 このことは、選挙権の行使を通じて若年者の間に社会に積極的に参加することを肯定的に捉える機運が生じていることの表れであり、若年者の大人としての自覚を促す効果が発揮されたことを示すものと言うことができると、そのように考えております。
この発言だけを見る →
中西健治#13
○中西健治君 これまでの二回の選挙においては、若者の間では積極的に捉える意見が多いということが紹介されたということだと思います。
 負の側面という点に関しては、本件に関する法務省のパブリックコメントでも消費者被害に関する懸念が多数寄せられました。特に、未成年者取消し権が失われることによって、十八歳、十九歳といった現在の未成年者の保護機能が低下するとの指摘が多数あります。
 重要な論点ですので、未成年者取消し権がどれくらい使われているのか、データがないか、客観的な数値がないのか探してみましたけれども、やはり必ずしも裁判に持ち込まれるわけではなくて、民対民の間で解決される、これが行使されるケースもあって、信頼のおけるデータというものは見付かりませんでした。
 一方、平成二十一年の法制審民法成年年齢部会では、消費生活専門相談員の方、これ、岡田ヒロミさんという方ですけれども、未成年取消し権を使うケースはそれほどはありませんと、十八歳に引き下げたから被害が拡大するということは現場の人間としては違和感がありますという趣旨の発言をされておられます。
 この点に関する見解をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
小野瀬厚#14
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 法制審議会民法成年年齢部会における調査審議の過程では、消費生活相談員である同部会の委員から、ただいま御紹介があったような趣旨の指摘がされているところでございます。これは消費生活相談の現場の実態を踏まえた重要な指摘であるというように受け止めております。
 もっとも、衆議院法務委員会におきます参考人質疑におきましては、同じく消費生活相談員である参考人から、未成年者取消し権は悪質な消費者被害に対する防波堤になっている、こういったような指摘もされておりまして、未成年者取消し権が未成年者の消費者被害を防ぐ役割を果たしてきたこともまた重要であると受け止めております。
 いずれにしましても、法務省といたしましては、消費生活相談の現場から寄せられる様々な御指摘をしっかりと受け止め、成年年齢の引下げによって消費者被害が拡大することがないようにする施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
この発言だけを見る →
中西健治#15
○中西健治君 今日は資料を配付させていただいておりますけれども、資料の一枚目、消費者庁の平成二十九年版消費者白書で、若者の消費生活相談件数の推移を見てみますと、どの年齢層でも過去十年間に大幅に減少しております。これは、消費者庁始め多くの方の努力の結果として評価をしたいと思います。
 ただ、これ御覧いただきますと、十五歳から十九歳の千人当たりの相談件数が直近二・七であるのに対して、二十歳から二十四歳が六・四、そして二十五歳から二十九歳が六・〇と、二十歳を境に数値が大きく上昇しているのが見て取れます。この数字からは、二十歳から十八歳に成年年齢を引き下げると被害が低年齢化するとの推測が成り立たないわけではないということではないかと思います。他方、二十歳になって自分でいろいろな契約をする、つまり、一人の大人としての活動が活発化したことによって、相談する機会、相談件数が増えたということも考えられるのではないかと思います。
 消費者庁の見解をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
福岡徹#16
○政府参考人(福岡徹君) 消費者庁でございます。
 委員御指摘の消費者白書のデータでございますが、全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談情報につきましてまとめたものでございます。委員御指摘のとおり、そのデータからは、十代後半の方についてのものよりも二十代前半の方についての相談がより多い傾向が見られるところでございます。
 その要因でございますが、二十歳代の方からの相談内容を見ますと、例えば住居の賃貸借契約など、世帯ベースで発生する消費生活上の契約についての相談が目立つところでございます。これは、例えば学生から社会人になるときなど、新生活が始まるタイミングで独り暮らしを始める若者が多いため、仮に実家で生活していたときは保護者が対応していたような契約を独り暮らしの中では当事者として判断するようになる、そういった中でトラブルに発展して消費生活センター等へ相談しているケースが多く見られるものと、そういうふうに認識してございます。
この発言だけを見る →
中西健治#17
○中西健治君 社会人になったことによってそうした問題が起きてきて相談件数が増えているということを今御指摘いただいたということだと思います。
 今般の消費者契約法の一部を改正する法律案では、社会生活上の経験不足を不当に利用した場合、不当な勧誘行為として契約を取り消し得るとしております。例として、就活中の学生に、その不安を知りつつ、あなたは一生成功しないと告げ就職セミナーに勧誘するですとか、消費者の恋愛感情を知りつつ、契約してくれないと関係を続けないと勧誘することなどが示されており、主に若年者を意識したものだということが分かります。ただ、この改正自体は必要でありますけれども、そもそも契約相手の経験不足に乗じて損害を与える取引は、被害者の年齢とは関係なく、きちんと規制していくべきものだと思われます。
 資料の二枚目を御覧いただければと思います。
 二枚目の上段のグラフですが、これは年齢別の消費生活相談件数、これ、若年層だけではなくて出ているわけでありますが、これを見ると、何も若年層だけがこの相談件数突出しているわけではないということが分かります。その意味で、今回の改正というのは、成年年齢引下げを契機として、消費者被害防止策を一段と強化するものと捉えるべきものだと考えております。
 しかしながら、若者には若者特有の弱点があるということも事実ではないかと思います。その点に着目した消費者保護対策こそが必要なのではないかと思います。
 これが資料二の、この今の資料の下段のグラフなんですけれども、これを見てみると、強く勧められると断れない人の割合、これが十五歳から十九歳で明らかに高くなっているということが分かります。幼少期から、親の言うことをきちんと聞きなさい、先生や大人の言うことを聞きなさいと言われて育つことを考えると、この結果は推測ができないものでもないということではないかと思いますが、ここに若者特有の問題があると考えるべきなのではないかと私は思っております。強く勧められることがポイントになる商法というのは、キャッチセールスですとかデート商法ですとかマルチ商法など、こういったものですが、この被害が特に若者に多いとされる理由はこの辺りにあるのではないかと思います。強く勧められると断れないというところにあると。
 そこで、今後の対策の一つとして、不招請勧誘の禁止について是非お考えいただきたいと私は思っております。
 不招請勧誘の禁止、これ、聞き慣れない方もいらっしゃると思います。簡単に言いますと、頼みもしないのに営業に来るな、売りに来るなと、こうしたことであります。もっと正確に言いますと、具体的な商品やサービスを特定して、その説明や勧誘を受けたいという意思をあらかじめ業者に伝えて初めて、自宅などへの来訪を要請している者以外に対する勧誘を禁止する。だから、それはそうした要請をして初めて勧誘ができると、こうしたことであります。
 というのもなんですが、もう御記憶にないかもしれませんが、十年ほど前に外国為替証拠金取引に関係するトラブルが急増して、大きな社会問題となりました。次のページの資料を御覧いただければと思います。
 かなり執拗な営業を電話や訪問などでこの外為業者というものが行いまして、そして苦情件数というのが三千件に、この赤いグラフですけれども、まで上りました。そこで、平成十七年に、当時の金融先物取引法、現在の金融商品取引法によって不招請勧誘というのが禁止をされました。そうしましたら、年間三千件を超えていた相談件数がたった一年で十分の一にまで減ったということになりました。その後もこの証拠金取引の口座数というのは順調に伸びているんです。その中でも、こうした苦情件数、相談件数というのはそんなに増えていないということが、この不招請勧誘の禁止というのが効果があったということを示しているわけであります。
 この不招請勧誘の禁止という措置というのは、非常に強い効果をこのように持つ反面、商行為の自由を束縛するという面もありますので、府令ですとか省令ですとかでは発動が難しく、やはり法律を改正しなければいけないということになりますのできちんと議論をしなければいけませんが、強く勧められると断れない若い人を守るという趣旨には最もかなった対策なのではないかと私は思っております。
 もちろん、クーリングオフ制度というのがあることは承知しておりますけれども、クーリングオフは八日間ということでありますので、初めて引っかかった、ちょっと言葉は悪いですけれども、引っかけられた若者の熟慮期間としてはいかにも短いということではないかと思います。
 商品類型ですとか対象年齢などをきちんと定めた上で不招請勧誘の禁止を行うことを今後の課題として是非提案したいと思いますけれども、それについての御意見をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
東出浩一#18
○政府参考人(東出浩一君) 委員御指摘のキャッチセールスですとかマルチ商法でございますけれども、特定商取引法上、訪問販売あるいは連鎖販売取引ということで規制の対象になっております。
 この特定商取引法でございますけれども、平成二十八年に改正が行われておりまして、違反事業者に対しては業務停止命令というのを行いますけれども、これの期間が最大一年から二年と延長されております。また、業務停止命令を受けた会社の役員等に対しまして、業務禁止命令ということで、別の会社をつくって同じような商売をやるというのを禁止するという命令を新しくつくっております。それから、刑事罰の強化というような、悪質業者に対しましては対策強化が盛り込まれたところでございまして、この改正法は昨年の十二月から施行されたところでございます。
 消費者庁といたしましては、同法を厳正かつ適切に執行することによりまして、若年層を含む消費者被害の防止に一層積極的に取り組んでいくこととしております。
 御指摘の不招請勧誘規制でございますけれども、この二十八年の特定商取引法の改正をするに先立ちまして消費者委員会でいろいろ御議論が行われまして、その際に、この不招請勧誘規制についても議論の対象になっておりますのですけれども、委員間の意見の一致を見なかったということになったというふうに承知をしております。
 ということでございますので、まずは悪質事業者への対応強化策を盛り込みました改正法を厳正に執行すると、それから、あわせて、再勧誘の禁止等の法令遵守の徹底の取組を着実に進めていくということが重要であるというふうに考えております。
この発言だけを見る →
中西健治#19
○中西健治君 平成二十八年の改正の当時は意見の一致を見なかったのかもしれませんけれども、今回は、民法の改正という大改正をするということで大きな変更が加えられるわけでありますから、是非とも今後の、まあ一年、二年を見てということになるかもしれませんけれども、これも、再び若年層に関してどうした対策を取れるものかという中で、検討課題として入れていっていただきたいと私は思っているところであります。
 こうした対策もしていかなければいけないんですが、大事なこととして消費者教育ということが挙げられると思います。十八歳になる前にきちんと消費者教育、さらには法教育が必要だという問題意識の下に指導要領が改訂されて、消費者庁が「社会への扉」という冊子を作って教育の現場での活用を推進していると承知しております。
 私も内容を見させていただきました。クイズから始まって、具体的なケースをイラストをたくさん使って明示しており、非常に分かりやすい教材となっているというふうに思います。ただ、高校の教育現場からは、どうしても受験対策に時間を取られがちである、さらには、この新しいテーマを生徒に教えるところまで個々の教員がきちんと自分のものにできていないなどという声も聞こえてきております。
 これには私、若干思い当たる節がありまして、これもちょっと古い話で恐縮ですが、一九九〇年代に話題になりました連載漫画で「ナニワ金融道」というものがありました。この「ナニワ金融道」で、商品先物業者に勧められるままに投資をして大損をするというのが小学校の教頭先生ということでありました。別にやゆするわけではないんですが、当時、学校の先生は純粋な人が多いから、ああいう海千山千の営業マンに引っかかるとひとたまりもないんだよなと思って読んだわけでございます。あの漫画の著者もその点を意識して小学校の教頭先生を被害者としたストーリーを描いたのではないかと思っている次第であります。
 あくまでも推測の域を出ないのですが、小学校、中学校、高校、大学とずっと学校という環境にあって、卒業後、そのまま教員としてまた学校というある種の閉ざされた特殊な空間に入って社会人としての生活を送っているため、生々しい商取引などの現場の話には若干苦手意識を持っている方が教員の中には多いんではないかというふうに思っております。
 したがって、この件に関しては、消費者教育に関して、教師の取組というのは当然なのですが、それを補完する手だてを講じるべきなんじゃないかと思います。既に消費者教育コーディネーターなど外部のリソースの活用が始まっていると聞いていますけれども、現状についてお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
下間康行#20
○政府参考人(下間康行君) お答え申し上げます。
 消費者として主体的に判断し、責任を持って行動できるようにするためには、高等学校における消費者教育は極めて重要であると考えております。
 このため、文部科学省におきましては、委員御指摘のとおり、平成十六年に制定された消費者基本法や平成十七年に決定された消費者基本計画を踏まえまして、平成二十一年度に改訂した高等学校学習指導要領において消費者教育に関する内容の充実を図ったところでございます。
 これによりまして、現状でございますけれども、高等学校では、公民科において消費者に関する問題を学習する際に、高金利問題、多重債務問題などを扱い、消費者としての権利や責任について考察させたり、家庭科において契約、消費者信用及びそれらをめぐる問題などを取り上げて具体的に扱い、消費者として適切な判断ができるようにするなどの学習が行われているところでございます。
 さらに、委員御指摘のとおり、本年二月に関係省庁において決定された若年者への消費者教育に関するアクションプログラムを受けまして、今年度から二〇二〇年度までの三年間の集中強化期間におきまして、消費者庁作成の高校生向け消費者教育教材「社会への扉」の活用を全国的に促進すること、また、消費者教育コーディネーターも活用し、実務経験者の外部講師としての活用を推進することなどの実践的な消費者教育の取組を着実に進めることとしております。
 文部科学省といたしましては、学習指導要領に基づいて消費者教育を引き続きしっかりと行っていくとともに、消費者庁を始めとする関係省庁と連携いたしまして、消費者教育の更なる充実に向けて取り組んでまいります。
この発言だけを見る →
中西健治#21
○中西健治君 これは通告しているわけではありませんけれども、今私がお話しした、学校の先生というのはこうした商取引などについて若干苦手意識を持っているのかとか、そうしたことについて、文科省は何かコメントめいたものというのは持っていらっしゃいますか。
この発言だけを見る →
下間康行#22
○政府参考人(下間康行君) 備えがございませんが、学校における消費者教育の充実を図るためには、それを教える教師の指導力の向上を図ることは重要であるというふうに認識をしております。
 大学における教員養成におきまして、例えば高等学校の公民科や家庭科に関係する科目において消費者教育の内容が取り扱われているものと承知をしてございますが、まだまだ十分ではないところもあろうかと思います。その上で、現職教員に対する研修といたしまして、各都道府県教育委員会等におきまして、消費者行政担当部局等とも連携をしながら、それぞれの地域の実情に応じた研修を実施しているものと承知しているところでございます。
この発言だけを見る →
中西健治#23
○中西健治君 問題になっているのはデート商法とかですので、そこら辺はやはり生々しい現実もしっかり認識しておいてもらいたいと、こういうふうに思うところであります。
 こうした高校における消費者教育のほかに、私、大学での消費者教育というのも大切なんじゃないかなというふうに思います。というのも、高校を卒業したその日から、大学生になって、若しくは就職して、毎日の生活が、そのものが全く違ったものになっていくわけであります。独立した個人としての行動が求められるようになってくるということになります。しかも、全員、周りは十八歳以上ということになってまいります。野球でいえば、一軍に上がっていきなりベンチ入りするということになるんだろうというふうに思いますけれども。
 したがって、高校のときだけではなくて大学で消費者教育を行う。特に、大学に入った人たちはもう十八歳以上ですから、自分の喫緊の課題として、目の前の課題として捉えやすいということになるんではないかと思いますが、より教育効果が高くなるというふうに思いますが、大学での消費者教育ということについてはどのような見解をお持ちでしょうか。
この発言だけを見る →
信濃正範#24
○政府参考人(信濃正範君) 大学生は社会との関連も深まりますし、経済活動の範囲も広がりますことから、高校段階までの消費者教育、これは今御答弁申し上げたとおりですが、これに引き続きまして、大学においても消費者教育を続けることが重要であるというふうに考えております。
 例えば、大学におきましては、これは課内授業、課程の授業ですけれども、消費者教育に関する授業科目が設けられている。ある大学では、一年次に必修ということで、悪徳商法への対処方法、こういったものを教えている例がございます。また、授業外では、学生に対するガイダンスですとか学生相談等を通じて、消費者トラブルやその対処方法に関する啓発など、これは八五%近い大学で消費者問題に関する何らかの取組が行われているということでございます。
 また、文部科学省におきましては、各大学に対しまして、消費者教育の一層の推進、あるいは消費者被害の防止のための情報の周知を目的とする通知を送付しまして対応を求めるということですとか、学生支援業務を担当する教職員を対象にしまして様々な機会に啓発、こういったことを行っております。
 またさらに、先ほどの答弁にもありましたけれども、アクションプログラムの中に、大学に関連しまして、例えば大学等と消費生活センターとの連携の強化、あるいは大学等における消費者教育の指針の見直しなどを行うということが掲げられております。また、この指針につきましては、今、六月を目途に見直すべく検討を進めているという状況でございます。
この発言だけを見る →
中西健治#25
○中西健治君 こうした取組を是非拡充していっていただきたいと思います。
 次に、女性の婚姻年齢の引上げについてお伺いしたいと思いますけれども、今回の改正では成年年齢の引下げに注目が集まっていますけれども、女性の婚姻年齢は十六歳から十八歳に引き上げられることになります。民法は、婚姻開始年齢についての規定をこのように設けているわけでありますけれども、これはどのような趣旨で定められているのか、また、諸外国では婚姻開始年齢についてどのように定められているのか、これについてお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
小野瀬厚#26
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 婚姻開始年齢が定められている趣旨でございますが、身体的、社会的又は経済的に未熟な段階で婚姻することは、早期の婚姻破綻につながりやすいなどその者の福祉に反するおそれがあるため、未熟な若年者の保護の観点からその婚姻を禁ずるものであるというふうに理解されております。
 諸外国の婚姻開始年齢でございますけれども、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダなど、日本を除きますG7各国では婚姻開始年齢に男女差を設けておりません。そして、ドイツ、フランス、イタリアにつきましては、婚姻開始年齢を原則十八歳としております。また、アメリカやカナダにつきましても、州によっては異なりますものの、多くの州で婚姻開始年齢を十八歳としているというふうに承知しております。
この発言だけを見る →
中西健治#27
○中西健治君 婚姻開始年齢が男女間で異なるというのは、これは極めて特殊なことであったということだろうというふうに思いますので、今回同一にするということ、これは是非ともすべきことであったというふうに思います。
 今回、成年年齢の引下げを議論するに当たって、より多くの人々が好きな生き方を自分の判断で選択できる方向を目指すべきだという方向性を打ち出しているというふうに私は考えておりますけれども、この女性の婚姻開始年齢を引き上げる、この引き上げるということというのは、女性の婚姻する自由を害する、制限するということにならないのかと、そうした若干の疑念もありますが、これはいかがでしょうか。
この発言だけを見る →
小野瀬厚#28
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、女性の婚姻開始年齢を引き上げて男女とも十八歳にするということは、一面におきましては、現行制度と比較しますと、女性につきましては十六歳、十七歳で婚姻することができないということになりますので、そういう面で女性の婚姻の自由を制限する、こういう面があるというふうには思っております。
 しかしながら、若年者の婚姻につきましては、一般に早婚の場合に破綻につながりやすいといった指摘もされておりまして、具体的には、十六歳、十七歳の女性の離婚率が他の年代と比べて相当に高いものと推定されるといったような事情もございます。
 婚姻開始年齢を定める趣旨は、先ほど申し上げましたとおり、未熟な若年者の婚姻を禁止し、若年者を保護することにあるということでございますが、こういったような制度趣旨に照らしますと、十八歳未満の者の婚姻を一律に禁止するといたしましても、必要かつ合理的な規制としてやむを得ないものと考えられるというふうに思っております。
この発言だけを見る →
中西健治#29
○中西健治君 十六歳未満というのは理解を得られない、論外ということじゃないかと思いますが、婚姻年齢が十六歳の時代であれば子供ができたことを理由に結婚することができた女性が十八歳まで婚姻を待たされることになり、その間はシングルマザーであり、子供は嫡出子でない状態に置かれるのではないかと思います。その間の子供の身分に関して何らかの救済策があるのか、また、現在、十六歳、十七歳の女性の婚姻数が年間どの程度あるのか、お伺いいたします。
この発言だけを見る →
← 戻る