総務委員会

2021-04-08 衆議院 全192発言

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会議録情報#0
令和三年四月八日(木曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 石田 祝稔君
   理事 橘 慶一郎君 理事 寺田  稔君
   理事 冨樫 博之君 理事 松本 文明君
   理事 務台 俊介君 理事 岡島 一正君
   理事 岡本あき子君 理事 國重  徹君
      安藤 高夫君    井林 辰憲君
      石田 真敏君    小倉 將信君
      金子万寿夫君    川崎 二郎君
      木村 哲也君    木村 弥生君
      佐藤 明男君    斎藤 洋明君
      杉田 水脈君    鈴木 淳司君
      田畑 裕明君    谷川 とむ君
      中曽根康隆君    古川  康君
      穂坂  泰君    宮路 拓馬君
      山口 俊一君    奥野総一郎君
      神谷  裕君    櫻井  周君
      田嶋  要君    高木錬太郎君
      松尾 明弘君    松田  功君
      道下 大樹君    山花 郁夫君
      桝屋 敬悟君    本村 伸子君
      足立 康史君    井上 一徳君
    …………………………………
   総務大臣         武田 良太君
   内閣官房副長官      坂井  学君
   総務副大臣        新谷 正義君
   総務大臣政務官      谷川 とむ君
   総務大臣政務官      古川  康君
   総務大臣政務官      宮路 拓馬君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  山本 英貴君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 檜垣 重臣君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  高原  剛君
   政府参考人
   (総務省情報流通行政局長)            吉田 博史君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長)            竹内 芳明君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  菊池  浩君
   政府参考人
   (出入国在留管理庁出入国管理部長)        丸山 秀治君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 土谷 晃浩君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君
   政府参考人
   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  寺門 成真君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君
   政府参考人
   (観光庁観光地域振興部長)            村田 茂樹君
   総務委員会専門員     阿部 哲也君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月八日
 辞任         補欠選任
  小倉 將信君     中曽根康隆君
  高村 正大君     木村 哲也君
同日
 辞任         補欠選任
  木村 哲也君     高村 正大君
  中曽根康隆君     小倉 將信君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)
     ――――◇―――――
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石田祝稔#1
○石田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官山本英貴君、警察庁長官官房審議官檜垣重臣君、総務省自治行政局長高原剛君、情報流通行政局長吉田博史君、総合通信基盤局長竹内芳明君、法務省大臣官房審議官堂薗幹一郎君、法務省人権擁護局長菊池浩君、出入国在留管理庁出入国管理部長丸山秀治君、財務省大臣官房審議官土谷晃浩君、文部科学省大臣官房審議官蝦名喜之君、文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官寺門成真君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君及び観光庁観光地域振興部長村田茂樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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石田祝稔#2
○石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
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石田祝稔#3
○石田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。斎藤洋明君。
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斎藤洋明#4
○斎藤(洋)委員 自由民主党の斎藤洋明です。
 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 政府提出の法案に関連いたしまして、質疑をしたいと思います。古川康総務大臣政務官及び政府参考人から御答弁をお願いしたいと思います。
 通告の順に従いまして質問したいと思います。
 本法改正で対処しようとしておりますインターネット上の誹謗中傷などによります権利侵害は、かつてはインターネット掲示板によるものが多かったと思いますが、今日ではSNSによるものもかなり多くの比率を占めていると思います。
 そこで、この法改正によりまして、特にSNSは海外のログイン型サービスが主流でありますが、そういった海外のログイン型サービスでありますとか、あるいは従来からあるインターネット掲示板などのプラットフォームの提供者への対応はしっかりできているものになっていると評価しておられるか、見解を問いたいと思います。
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古川康#5
○古川大臣政務官 お答えします。
 御指摘のように、最近では、ログイン型の海外SNSというものが増えてきております。フェイスブックやツイッターと言われるようなものでございます。
 こうしたものにおいては、システム上、実際に投稿を行った際の通信記録の保存は行われておりませんで、アカウントにログインしたときの記録だけが保存されているというケースが多いというふうに承知をしているところでございます。これは、現行法においては対象となっておりませんで、ここが問題だということでございました。
 そこで、本改正案では、発信者を特定するために必要とされる場合には、開示請求の相手方として、ログイン型サービスのアカウントにログインしたときの通信の媒介等した者を追加する、こうした規定を加えることによりまして、発信者の特定を可能とすることにしております。まさに、御懸念の点について対応が図れていると考えているところでございます。
 また、お尋ねがありましたが、改正案において、SNSにログインしたときなどの記録の開示請求の相手方でございますが、これはまさに、御指摘ございましたように、そのSNSを運営するいわゆるプラットフォーム事業者となるところでございます。
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斎藤洋明#6
○斎藤(洋)委員 御答弁ありがとうございます。
 特にSNSは、海外の事業者がサービスを提供している点で、従来、被害救済でいろいろな面でハードルが高いと言われてきましたので、しっかり対応できるように取組をお願いしたいと思います。
 SNSですと、いわゆるインフルエンサーの影響を受けた方々、いわゆる信者とかと呼ばれるような、SNSに参加している人たちがエコーのようにどんどんどんどん被害を拡大させる例もあります。そういった被害にしっかり対応していっていただきたいと思います。
 二点目にお伺いしたいと思います。
 今、海外事業者のお話もいただきましたが、特に、海外のプロバイダーに対して、手続を、しっかり法的に効力が発揮できるものとなっているか、それから、効力があったとしても実行できなければ意味がないわけで、その実効性の担保の手段はどのようになっておりますでしょうか。
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竹内芳明#7
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 本改正案におきましては、海外事業者であっても、日本国内に主たる営業所等を構えている場合には、本法案により創設される開示命令制度においても、我が国の裁判管轄が及ぶこととしております。
 また、日本国内に営業所等がない場合であっても、その事業者が我が国において取引を継続して行っている場合であって、申立てがその事業者の日本における業務に及ぶものである場合には、我が国の裁判管轄が及ぶこととしております。
 なお、民事訴訟法にも同様の趣旨の規定がございますので、現行法に基づいて開示請求訴訟を提起する場合におきましても、海外事業者に対する裁判管轄が認められているところでございます。
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斎藤洋明#8
○斎藤(洋)委員 しっかり実効性を担保していっていただきたいと思います。
 三点目にお伺いをしたいと思います。
 この法改正により導入される新たな裁判手続は、非訟手続によるものとされております。この非訟手続によることとした理由を改めてお伺いしたいと思います。
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古川康#9
○古川大臣政務官 今回、この新たな手続を非訟手続によるものとしたことについてでございますが、どのような手続であるべきかについて、総務省内に発信者情報の開示の在り方に関する研究会を設けまして、ここで有識者の先生方に御議論をいただきました。そうしたことを踏まえたものにしているところでございます。
 その考え方といたしましては、訴訟手続は、関係者の手続保障が手厚く図られる、こういうメリットがあるわけですが、一方で、裁判官の面前での口頭による審問の機会の付与が必要となるなど、一般的に当事者の時間や費用面の負担が大きくなってしまう、こうしたことにどうしてもなってしまうという議論がございました。
 であるとするならば、今回行っていかなければならないものがより迅速性を求められる、そういったことを考えたときには、訴訟手続によらず非訟手続によることによって迅速な被害者救済に資するものにつなげていきたいという考え方の下に、このようなことになったものでございます。
 今回、この改正案におきましては、非訟手続を採用することによりまして、書面での審理を可能とするなど、こうした事案に係る裁判の審理を簡易迅速に行うことができるようになっております。
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斎藤洋明#10
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。
 迅速な被害者救済という趣旨が全うできるように、改正後、この施行をした場合に、しっかりその後のフォローアップもお願いしたいと思います。
 従来は、訴訟手続の中で、しかも、事実上二段階の裁判を経なければいけないという、非常にハードルが高かったわけで、その点は大きな前進だと思いますので、あとはフォローアップをしっかりお願いして、依然として、当然一定の時間と手続のコストはかかるわけでありますし、実際やってみたらまだまだ何か課題が出てくるかもしれませんので、それは成立した場合の課題として是非受け止めていただきたいと思います。
 続きまして、四点目に、非訟手続が導入されるわけですが、この本法改正により導入される非訟手続の裁判の管轄はどのようになっているか、お尋ねしたいと思います。
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竹内芳明#11
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 新たな発信者情報開示制度における裁判管轄は、民事訴訟法における規律を参考としており、プロバイダーの主たる営業所等の所在地を管轄する地方裁判所となります。これは、相当な準備をして訴える原告と不意に訴えられる被告の立場の調整の観点から、原告は被告の法廷に従うとするのが民事訴訟法の原則であることによっております。
 また、開示命令事件は専門性が高いということから、相手方の所在地が東日本の場合には東京地方裁判所、西日本の場合には大阪地方裁判所にも裁判管轄を認める等の規定を設けております。
 改正法における新たな規律として、発信者情報開示について一体的手続を可能とするために、被害者がSNS事業者等に開示命令及び提供命令の申立てをした上で、通信事業者等に開示命令の申立てをした場合には、同一裁判所の管轄に専属するものと規定をしております。
 これらの規定を踏まえまして、被害者の選択により、裁判管轄が定まることとなります。
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斎藤洋明#12
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。
 この非訟手続の管轄につきましては、様々議論があったかと思います。
 インターネット上の誹謗中傷が起こりやすい理由として考えてみますと、一つは、一見して匿名性が高いように見える、実際には匿名でも何でもないんですが、一見して匿名性が高いように見えること。それから、テキストを打ち込んでアップするだけという意味では、ほかの手段による伝統的な誹謗中傷のやり方に比べて簡単であること。それから三番目に、これが一番大きい原因の一つじゃないかと思いますのが、地理的な距離がハンデにならないということがあると思います。東京で炎上している事案にどの地方からでも書き込める、あるいは、逆もまたしかりであります。
 これに対して、従来、被害者が訴訟手続によって被害回復を図ろうとしても、管轄によって地理的なハードルがあるという課題はあったと思います。これは、訴訟手続の民事の一般原則に従っていますので、依然として残るわけですが。
 そこで、非訟手続の管轄についてお尋ねしたわけですが、非訟手続としていただいたことによって手続がある程度リモートでできるという意味では、一定の評価ができる、一定の前進であると思います。ただ一方で、今申し上げたような、誹謗中傷する側は簡単なんだけれども、訴えた側の被害救済にはなかなかコストがかかるという課題は依然として残ると思います。
 ただ、これは恐らくほかの質問者からもあるかと思いますが、そもそも、原則、インターネット上の言論は自由であるべきですので、そこは緊張関係があると思いますが、被害者救済という観点からは、この管轄の問題につきましても、引き続き、是非、役所としても関心を持って検討していただきたいと思います。
 では、最後、五点目の質問を申し上げたいと思いますが、電気通信に関する技術の進展は非常に急速でありまして、権利侵害の様態も刻一刻と変わっていると思います。私、冒頭で申し上げましたが、かつてはインターネットの誹謗中傷といえば掲示板によるものが専らでありましたが、今、SNSによるもの、それから若年化しているというようなことが見られると思っています。
 その意味では、総務省には、この法改正に限らず、不断の努力をお願いしたいと思いますが、現状認識と今後の取組についてお尋ねしたいと思います。
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古川康#13
○古川大臣政務官 お答えします。
 斎藤委員から御指摘ございましたように、まさに、インターネット技術そのものというのは、もう日々秒速で進歩をしているところでございまして、今回の改正案をもって終わりとするのではなく、不断に、それを常に、どういう状況になっているのかについて見直しをすることが総務省として求められていると思っております。これからも引き続き、そうした取組をしっかり続けてまいります。
 また、あわせまして、こうした取組をしている、今回の本改正案の施行によってこれまでよりは様々な形で誹謗中傷に対する対応がしやすくなるということを、それを必要とする方にしっかりお届けをするということをしていただかなければならないと思っています。
 関係者の方とこれまでにも何回か様々な意見交換をさせていただきましたが、被害を受けた方々とお話をしていても、こうした総務省の取組がまだまだ知られていないというところがあります。しっかりとこうしたことについても情報を必要とする方にお届けをしていく、この強い気持ちを持って届けていかなければならないと考えております。
 以上であります。
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斎藤洋明#14
○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。
 政務官、御答弁ありましたとおり、特に被害者の方々から実際にお話を伺うというのは非常に重要だと思っておりまして、是非、今後ともそういう配慮をお願いしたいと思います。
 インターネットは社会公共のインフラでありますから、インフラは本質的に全ての人に無差別に開放されていなければいけないので、そういった大原則とこの誹謗中傷への対処というのは本質的にジレンマを含んでいますので、非常に難しい課題であるとは思うんですが、是非、総務省の専門性をもって継続的に取り組んでいっていただきたいと思っています。
 特に、この電気通信技術ということに関しましては、地理的なハンデですとか、あるいは情報の即時性という意味で従来大きなハンデがあった地方に大きなチャンスをもたらすものでもあると思っています。地方自治のスペシャリストである古川政務官には、是非、地方のためにこの電気通信技術を生かすような政策を引き続き頑張って取り組んでいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 以上で私の質問を終わります。
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石田祝稔#15
○石田委員長 次に、國重徹君。
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國重徹#16
○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。
 インターネット上の誹謗中傷や人権侵害、これによって傷ついている人は少なくありません。精神的に追い込まれて、自ら命を絶つ人もいます。被害者の迅速な救済とともに、被害を未然に防止するための実効性ある対策が必要であります。
 昨年五月、我が党は、インターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策検討プロジェクトチームを立ち上げまして、私がその座長の任を受けました。
 プロジェクトチームでは、現行の法制度や相談体制の実態把握、また、諸外国の対応などに関する調査を行ったほか、プロバイダー事業者や関係団体、ネット上の誹謗中傷案件を数多く担当してきた弁護士、さらに、情報法に精通した憲法学者、こういった方々と意見交換を行い、多角的な検討を重ねてまいりました。そして、これらを踏まえた提言を、昨年六月下旬、当時の総務大臣、法務大臣に申入れをいたしました。
 今日の私の質疑は十五分ということでありますので、細かな質疑はできませんけれども、私どもが申し入れた提言には、二十項目以上にわたる具体策を掲げております。是非、この提言、そして、昨年九月に総務省が打ち出したインターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージ、この着実な実行をまずは強くお願い申し上げたいと思います。
 その上で、本改正案についての質疑に入ります。
 匿名であっても誰かの人権を傷つける投稿をした場合には、その発信者を特定をして、民事上の損害賠償請求や刑事上の責任を問う、このことはこれまでも行われてきました。そして、その際に匿名の発信者を特定するための根拠となってきたのが、約二十年前に成立をしたプロバイダー責任制限法であります。
 しかし、現行法では、発信者を特定するために、一般的に、少なくとも二回の裁判手続が必要となります。時間もコストも労力もかかる、負担が非常に大きい、これが実態であります。そのために泣き寝入りをせざるを得ない被害者も少なくありません。
 そこで、迅速な被害者救済の観点から、本改正案では、一回の裁判手続で発信者を特定できる新たな裁判手続を創設しておりまして、高く評価をいたします。
 他方で、発信者の表現の自由や通信の秘密も重要であります。匿名表現であっても、それが正当な表現である場合には、その匿名性が暴かれるようなことがあってはなりません。
 そこで、本改正案について、発信者の利益を保護するための適正な手続はどのように確保されているのか、お伺いいたします。
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竹内芳明#17
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のように、発信者の表現の自由やプライバシーの利益等を確保していくことは大変重要と認識しております。このような発信者の利益を保護するための仕組みにつきましては、本改正法におきましても維持されております。
 まず、発信者情報開示請求権の要件として、権利の侵害があったことが明らかなとき及び損害賠償請求権の行使の必要その他開示を受けるべき正当な理由がある場合という現行法における要件を維持しておりますので、発信者の権利を不当に侵害する開示がされることはございません。
 また、開示請求を受けたプロバイダー等は、原則として、発信者に当該開示請求に関する意見を聞かなければならないこと、発信者が開示に同意しないときはその理由を述べるよう求めること、発信者情報の開示を受けた者及び提供命令により発信者情報の提供を受けたプロバイダー等は、当該発信者情報をみだりに用いてはならないこと等としており、発信者の利益保護に十分な配慮がなされております。
 加えて、プロバイダーによる意見照会に対して開示請求に応じるべきでない旨の意見を述べた発信者に対しては、新たな裁判手続に基づく裁判所の開示命令があった際に、プロバイダーからその旨を通知することとされておりまして、発信者の利益を保護するために、今まで以上の配慮がなされているところでございます。
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國重徹#18
○國重委員 発信者の利益を保護するために、今まで以上の配慮がなされているということでありました。
 次に、削除等の取組に関してお伺いいたします。
 一つ一つの書き込みそれ自体は権利侵害に当たらない誹謗中傷であったとしても、それらが多くの人によって集中的になされたような場合、被害者が受ける精神的苦痛というのは一つの権利侵害に当たる書き込みよりも大きいことは十分あり得ます。権利侵害の投稿だけではなく、それに至らない、規約違反となる誹謗中傷の書き込みがあった場合にも、被害者保護の観点から、その内容に応じて、削除や非表示、アカウントの停止などが適切かつ迅速に行われることが重要であります。
 しかし、私も実務に携わっている多くの弁護士に話を聞きましたけれども、現実には、被害者から通報を受けても、高度に秘匿性の高いプライバシー侵害の書き込みを始め、極めて問題のある投稿を漫然と放置しているプロバイダーが一部見受けられます。被害者の受けるダメージは余りにも深刻です。
 利用者の投稿に連動した広告収入などの収益を得ている以上、プロバイダーは、これに応じた社会的責任として、削除等の自主的な対応手続を明確化する、そして、これに基づいた適切で迅速な対応を取るべきであります。
 そこで、これに関する事業者の取組の現状はどうなっているのか、また、この実効性を高めるために運用の透明性を確保することも重要と考えますけれども、どのように透明性を確保していくのか、武田総務大臣にお伺いいたします。
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武田良太#19
○武田国務大臣 総務省では、昨年九月に策定した政策パッケージに基づきまして、本年二月に開催された有識者会議において、プラットフォーム事業者から、まずは、誹謗中傷などに関する削除件数、また透明性レポートの公開状況、日本における削除要請に対応する体制などについてヒアリングを行いました。
 ヒアリングの結果、削除要請への対応体制など日本における対応状況について、国内事業者は公開する一方、一部の海外事業者は一部非公開とするなど、対応に一定程度の差が見られました。
 今後は、有識者会議において、プラットフォーム事業者による取組が適切に行われているか、また、効果が十分に上がっているか、透明性の確保が十分に図られているかといった点を御議論いただき、夏頃までに、事業者による取組の効果検証を行っていただく予定となっております。
 総務省としては、引き続き、政策パッケージに基づき、プラットフォーム事業者による削除などの対応及び透明性向上の促進に努めてまいります。
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國重徹#20
○國重委員 まずは事業者の自主的な取組に期待をしたいと思います。その上で、仮にその取組が不十分であれば、これは不本意ではありますけれども、削除等の対応手続、その運用の透明性の確保、これらに関する法制化も私は検討せざるを得ないと思っておりますので、そのようなことにならないように、事業者の皆さんには是非適切な自主的な取組を進めていっていただきたいと思います。
 次の質問に入ります。
 法務省の人権擁護機関は、被害者からの申告を端緒として、権利侵害に当たるネット上の投稿の削除要請をプロバイダー等に行っております。この削除要請は、本省の確認を得た上でなされたものでありまして、高い専門性と慎重な判断に基づくものであります。にもかかわらず、削除対応率は六割台にとどまっていると聞いております。
 この削除要請の実効性を高める取組が重要と考えますが、削除要請の現状と課題、これに対する取組をお伺いいたします。
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菊池浩#21
○菊池政府参考人 お答えいたします。
 インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件の処理について、平成三十年一月から令和二年十月までの約二年十か月間に処理をした五千二百二十三件について確認をしたところ、五千二百二十三件のうち削除要請を実施したものは千二百三件であります。そして、削除要請をした千二百三件のうち一部なりとも削除されていることが確認できたものは八百十九件であり、率にいたしますと約六八%となっております。
 法務省の人権擁護機関では、事案を精査した上で削除要請に及んでいるところであり、削除が確認される割合を少しでも上げていくことが課題であると認識しております。
 そこで、総務省とともに、プロバイダー事業者等との意見交換の場である実務者検討会を継続的に開催したり、総務省が開催するプラットフォームサービスに関する研究会に出席させていただくなどしております。また、こうして複数の事業者等が参加する場のほか、個々の事業者等と個別に協議、意見交換を行うなどもしておるところでございます。
 委員御指摘のとおり、法務省の人権擁護機関による削除要請は違法性を慎重に判断して行っているところであり、事業者等との意見交換等の場を通じて、しかるべき判断を経て削除要請がなされていることをプロバイダーに示し、理解を得ることなどを通じて実効性の確保に努めてまいりたいと考えております。
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國重徹#22
○國重委員 是非よろしくお願いします。
 削除要請への対応率、事業者ごとにかなりのばらつきがありますけれども、法務省の人権擁護機関による削除要請は、先ほど局長の方からもございました、高度の専門的見地から、しかも慎重に、また謙抑的に行っているものですから、それを踏まえて、事業者の皆さんには真摯に向き合っていただきたいと思います。
 また、ネット上の誹謗中傷に関する被害者の相談というのは増加傾向にありますが、その相談にしっかりと対応できる人権擁護機関の体制強化、人員の確保も是非よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、適切な任意開示の促進に関してお伺いいたします。
 発信者情報の開示に関しまして、例えば、公共性に関わらない一般個人に対する誹謗中傷、また、通常は明らかにされることのない私人のプライバシー侵害、住所とか電話番号とか、こういったプライバシー侵害、こういった権利侵害が明白な場合には、裁判外での適切な任意開示が進むような環境整備を行うべきであります。
 この点、今月五日に、一般社団法人セーファーインターネット協会は、権利侵害明白性ガイドラインを公表し、権利侵害明白性ガイドライン相談窓口を設置しております。任意開示に向けた大きな前進と評価をいたします。
 一方で、プロバイダー責任制限法の逐条解説には、裁判所の判断に基づく場合以外に開示を行うケースは例外的との記述があることから、実務上、発信者の同意がない限り、リスク回避の観点から、プロバイダーが裁判外で任意に発信者情報を開示することは極めてまれであります。また、権利侵害の明白性が責任阻却事由の不存在の立証まで含むのかが逐条解説で明らかではないため、違法性阻却事由の不存在を前提にすることを明記することも必要と考えます。
 適切な任意開示の促進に向けて、総務省として、プロバイダー責任制限法の逐条解説の書きぶりの見直しを含め、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
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竹内芳明#23
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 総務省では、昨年九月に策定いたしました政策パッケージにおきまして、裁判外開示の促進について取り組んでいくこととしております。
 具体的には、事業者による開示要件の判断に資するよう、プロバイダーに助言を行う民間相談機関の充実、裁判手続において開示要件に該当すると判断された判例等をガイドラインに集積することなどの民間事業者による取組を総務省として支援していくこととしております。
 また、委員から御紹介のありましたように、セーファーインターネット協会におきまして、今月五日に権利侵害明白性ガイドラインが策定、公表され、また、相談を受け付けるための相談窓口が設置されたと承知をいたしております。総務省としては、こうした取組についてもしっかり支援をしてまいりたいと考えております。
 また、今回の法改正の内容も踏まえまして、逐条解説の見直しが必要と考えておりますので、裁判外開示の扱い、権利侵害の明白性の具体化につきましても、御指摘も踏まえながら、適切に対応してまいります。
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國重徹#24
○國重委員 正当な表現は守りながら、誹謗中傷や人権侵害となるようなネット上の表現は適切に抑止をしていく、そのための総合的な取組を是非着実に進めていっていただきたい、このことをお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。
 ありがとうございました。
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石田祝稔#25
○石田委員長 次に、松尾明弘君。
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松尾明弘#26
○松尾委員 立憲民主党の松尾明弘です。
 私からも、今審議されておりますプロバイダー責任制限法について質問をさせていただきます。
 これまでの議論の中でも触れられていたとおり、このプロバイダー責任制限法に関連する発信者情報の開示は、発信者の表現の自由をどのように守っていくのかという問題と、その書き込まれた情報によって権利が侵害されている被害者の救済をどのように図っていくのかという、非常に難しいバランスを取らなければいけない問題であると私も認識をしております。
 この法案に関する、非常に核心的な、大所高所に立った話は今されましたので、少し私の方から細かい話も伺いたいなというふうに思っております。
 発信者情報の開示手続を行う、これを実際に行っている実務家の方々から話を聞いていても、一番大切になるのがやはり時間だと。発信者情報の開示命令、これに対しては、手続を取っても一定の時間、これまではかかってしまっていて、仮に裁判所の方から開示命令が出たとしても、相手方の通信事業者が通信履歴、いわゆるログですね、これを保存していなければ絵に描いた餅になってしまうので、とにかく時間が非常に重要なんだというふうなことを皆さん異口同音におっしゃっています。
 発信者情報開示請求制度の実効性を上げるという観点、この時間軸を考えると、今回の法改正のように、手続を簡便化して迅速に進むというのはもちろん一つの方向でもあります。それと同じく、通信履歴、ログの保存期間について少し現在よりも延ばす、そうすることによって被害者救済につなげていくというのも一つの考え方としてはあり得るのではないかなというふうに思っております。
 その中で、通信事業者が通信履歴をどのように記録をしていくべきかというところについては、総務省の告示である電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン、この第二十三条の方に規定がされているというふうに認識をしております。
 まず、総務省の方に、今私が申し上げたこの個人情報保護に関するガイドライン、これが、発信者情報開示、この法制の全体の中でどのような位置づけがされていて、意義を持っているのかという点についてお伺いします。
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竹内芳明#27
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 通信記録は、インターネットユーザーの個人情報であるとともに、通信の秘密に属する情報でもあるため、厳格な取扱いが求められるものでございます。
 そこで、プロバイダーによる個人情報の取扱いに係る指針であります電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン及びその解説におきまして、課金、料金請求、苦情対応など業務の遂行上必要な場合には通信履歴の記録ができる旨を定め、接続認証ログについては、一般に六か月程度の保存は認められるとする一方、記録目的に必要な範囲を超えてはならず、その記録目的を達成したときは速やかに当該ログを消去しなければならない旨を定めております。
 このように、被害者救済のためにプロバイダーが業務上の必要を超えてログ保存することについては、ログが通信の秘密及びプライバシーに関わる情報であることとのバランスをいかに確保するかという点で課題があるものと考えております。
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松尾明弘#28
○松尾委員 今最後におっしゃったとおり、いかにこのバランスを確保するのかという問題は非常に重要な観点だと私も思っていまして、そのバランスを取るという意味合いで、今、標準的には六か月程度は保有は認められても、それ以上については認めるべきではないというような書きぶりがされているというふうに理解をしています。
 しかし、やはり社会は変わってきている、いろいろな技術も変わってきている中で、その六か月というのも、客観的な合理性があるわけではなくて、多分、様々な社会情勢、バランスを取って決めている期間ではないかなと思っています。一度決めたら不変というものではなくて、様々な状況の変化に応じて変わっていくべきものであるというふうに思っています。
 先ほど私が申し上げたとおり、やはり、ログの記録期間、保存期間というものが非常に重要な意味合いを持っている、これを考えると、今ここは、改めて検討するべきポイントではないかなというふうに思っています。
 通信事業者がログを保存するというのも、一から十まで全部保存していくとやはり大変だというのはあるとは思います。ただ、様々な保存をするための機器であったり記憶媒体というものの価格は非常に下がっていますので、記録をすること自体のコストというのは多分低下をしている。
 今回の法改正でもあるように、情報によって権利を侵害された人に対する救済というものの社会的なニーズというものは上がっているということを考えると、このログの保存期間についても、今の六か月から延ばしていくということも検討する値はあるのではないかと考えているのですが、その辺り、いかがでしょうか。
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竹内芳明#29
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申しましたように、やはりこれは、バランスを取った上で、どこが最適解かということを考えていくことが重要と考えております。
 また、ログを長期保存するということは、一方で、例えばサイバーセキュリティー上の問題であったり、新たなリスクをもたらす、コストのみならず、リスクについても出てくるという面についても配慮が必要と考えております。
 また、委員御指摘のように、被害者救済につなげていくという観点では、今回御提案させていただいております法律改正案におきまして、こういったログがなくなることがない、そういった手続を提案させていただいているところでございます。
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