外務委員会

1978-03-24 衆議院 全436発言

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会議録情報#0
昭和五十三年三月二十四日(金曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 永田 亮一君
   理事 大坪健一郎君 理事 奥田 敬和君
   理事 塩崎  潤君 理事 毛利 松平君
   理事 井上 一成君 理事 土井たか子君
   理事 渡部 一郎君 理事 渡辺  朗君
      石原慎太郎君    稲垣 実男君
      鹿野 道彦君    川田 正則君
      北川 石松君    小坂善太郎君
      佐野 嘉吉君    竹内 黎一君
      中山 正暉君    福田 篤泰君
      福永 一臣君    岩垂寿喜男君
      上原 康助君    木原  実君
      久保  等君    高沢 寅男君
      美濃 政市君    中川 嘉美君
      吉田 之久君    正森 成二君
      伊藤 公介君    楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        外 務 大 臣 園田  直君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
        内閣法制局第三
        部長      前田 正道君
        防衛庁防衛局長 伊藤 圭一君
        外務政務次官  愛野興一郎君
        外務省アジア局
        長       中江 要介君
        外務省アメリカ
        局長      中島敏次郎君
        外務省条約局長 大森 誠一君
        外務省条約局外
        務参事官    村田 良平君
        外務省国際連合
        局長      大川 美雄君
        資源エネルギー
        庁次長     大永 勇作君
        特許庁長官   熊谷 善二君
        特許庁特許技監 城下 武文君
        特許庁総務部長 勝谷  保君
 委員外の出席者
        外務省条約局外
        務参事官    山田 中正君
        外務省国際連合
        局外務参事官  小林 俊二君
        外務委員会調査
        室長      高杉 幹二君
    —————————————
委員の異動
三月二十四日
 辞任         補欠選任
  稲垣 実男君     北川 石松君
  木村 俊夫君     鹿野 道彦君
  河上 民雄君     岩垂寿喜男君
  久保  等君     上原 康助君
  高沢 寅男君     木原  実君
  佐々木良作君     吉田 之久君
  松本 善明君     正森 成二君
  伊藤 公介君     加地  和君
同日
 辞任         補欠選任
  鹿野 道彦君     木村 俊夫君
  北川 石松君     稲垣 実男君
  岩垂寿喜男君     河上 民雄君
  上原 康助君     久保  等君
  木原  実君     高沢 寅男君
  吉田 之久君     佐々木良作君
  正森 成二君     松本 善明君
  加地  和君     伊藤 公介君
    —————————————
三月二十四日
 許諾を得ないレコードの複製からのレコード製
 作者の保護に関する条約の締結について承認を
 求めるの件(条約第六号)(参議院送付)
 航空業務に関する日本国とイラク共和国との間
 の協定の締結について承認を求めるの件(条約
 第七号)
 日本国とイラク共和国との間の文化協定の締結
 について承認を求めるの件(条約第八号)(
 予)
 船員の職業上の災害の防止に関する条約(第百
 三十四号)の締結について承認を求めるの件(
 条約第九号)(予)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 千九百七十年六月十九日にワシントンで作成さ
 れた特許協力条約の締結について承認を求める
 の件(条約第五号)
 国際情勢に関する件
     ————◇—————
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永田亮一#1
○永田委員長 これより会議を開きます。
 千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
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高沢寅男#2
○高沢委員 私、特許協力条約について御質問をいたしたいと思います。
 外務大臣もおいででありますが、事柄の性格上、特許庁長官に特に集中的に私はお尋ねをしたい、このように考えるわけであります。それから、言うまでもなく私、こういう特許の行政については全くの素人であります。したがいまして私の申し上げることで何か間違いがありましたら、ひとつ訂正もお願いしたい、こう考える次第であります。
 まず最初に、特許協力条約でありますが、一九七〇年六月にできているわけであります。現在は七八年でありますから、それから八年たっております。政府としては、特に特許庁としては、この協力条約に加盟をしようということでいま提案されているわけでありますが、この八年間、そのためのどういう準備を進めてこられたのか、なぜこの条約が七〇年にできてからいままで八年間もかかってきたのか、この辺の事情をまず最初にお尋ねをしたいと思います。
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熊谷善二#3
○熊谷政府委員 御指摘のとおり、この条約につきまして八年近くの期間がたっておるわけでございますが、各国とも、この条約を円滑に実施するために必要な国内体制の整備がいずれも必要でございました。これは日本のみならず、各国ともでございまして、この条約の発効を一日も早く念願している心においては変わりございませんが、今日までいろいろ準備が行われました。
 具体的に申しますと、たとえば先般の五十年の法改正、特許法改正が行われておりますが、これはこの条約に入るための一つの手段としまして、多項制の導入という問題を取り上げております。また物質特許制度の導入というものを取り上げておる、こういう改正も行われております。今日、私どもこの条約の批准をお願いいたしておりますが、同時に国内法でこれを受けとめるための新しい法案を別途御審議をいただくようお願いをしておるわけでございまして、これをもちまして完全に日本側の体制は整うというふうに確信しているものでございます。
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高沢寅男#4
○高沢委員 この八年間国内体制の整備でいろいろやってきた、これは当然そういうことだと思いますが、現在この特許協力条約にすでに加盟を済ませている国はどのような国があるでしょうか、それをお尋ねいたします。
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熊谷善二#5
○熊谷政府委員 署名を行いましたのは三十五カ国ございまして、批准書を寄託いたしましたのは十八カ国ございます。今日までのところ十八カ国でございますが、今後増大するものと思われます。
 主な国を挙げますと、二月末現在で批准いたしておりますのは、アメリカ、西ドイツ、スイス、イギリス、フランス、スウェーデン、ソ連、ブラジル、コンゴ、カメルーン等々でございます。特許大国と言われております国はいずれもすでに批准を完了いたしております。
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高沢寅男#6
○高沢委員 いまお聞きをいたしますと、すでに十八カ国が加盟の手続を完了しておる。その中には特許大国と呼ばれる国はもう皆入っている。日本も国際的には特許大国と呼ばれる一つに入るかと思うのですが、その日本がまだ加盟できていない。いまそのためのこういう国会審議であるわけですが、そういう状況を見ると、この八年間体制整備でいろいろやってきたとおっしゃる、そのとおりだと思いますが、やはり他の国に比べて加盟のための準備の進め方に立ちおくれがあったのじゃないか、こういうような感じが私するわけですが、いかがでしょうか。
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熊谷善二#7
○熊谷政府委員 御指摘の点もあろうかとは存じますが、私どもとしては最大限の努力を払ってまいったつもりでございます。本来ならば、あるいは昨年の通常国会の時点で御審議を賜るというようなタイミングであれば、当然この発効前に批准が行われておる事態になるわけでございますが、昨年の二、三月という時点におきましては、特許大国中批准をいたしておりますのはまだアメリカとイギリスだけでございまして、昨年の後半にかけまして各国の批准が逐次行われてまいった、こういう状況になっておるわけでございまして、確かにこの条約に基づきます業務開始が、一般的には六月と予定されておりまして、私どもは十月ごろを目途に加入を考えておるわけでございますので、若干のギャップが出ることは確かでございます。この点は私ども遺憾に存じておるわけでございまして、できるだけ早く各国で足並みをそろえて加盟をいたしたいという気持ちには変わりがなかったわけでございますが、若干の時期のずれが起きたことは遺憾に存じております。
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高沢寅男#8
○高沢委員 そういう立ちおくれのあったことは長官もお認めであるわけですから、今後は国際関係等も当然含めて、また日本の国内の特許行政という立場からいっても、その体制の整備ということで立ちおくれのないような御努力をひとつお願いしたい、こう思うわけであります。
 そこで、この条約の内容の質問に入るわけですが、まず大前提としてお聞きしたいことは、従来のわが国の特許の出願、これがどういうふうな状態にあるかをお尋ねしたいと思います。日本の特許を求めるという出願ももちろんありましょうし、それから日本の中から外国の特許を求める、こういう出願もありましょう、そういうふうな両面を含めて出願の状態がどんなような状態になっているか、それをまずお尋ねしたいと思います。
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熊谷善二#9
○熊谷政府委員 まず国内出願について御説明申し上げます。
 ラウンドの数字でございますが、特許、実用新案を含めまして件数は昭和四十五年が二十七万二千件、四十六年が二十二万八千件、四十七年が二十七万九千件、四十八年が二十九万二千件、四十九年が三十万六千件、五十年が三十四万件でございます。五十一年もほぼ同程度で、ここ二、三年はほぼ横ばいで推移いたしております。
 これに対しまして日本から外国への出願件数でございますが、昭和四十六年が二万八千件、四十七年が二万五千件、四十八年が三万一千件、四十九年が三万三千件、五十年が約二万六千件でございます。
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高沢寅男#10
○高沢委員 同じことを、今度はたとえばアメリカあるいはイギリス、フランス、西ドイツ、そういう国では、その国内出願というものがどういうふうな数になっているのか。そして、外国に対する出願がどういう数になっているか、そういう外国の実情がわかりましたらお知らせをいただきたいと思います。
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熊谷善二#11
○熊谷政府委員 一九七五年の数字でございますが、アメリカは対自国の出願は約六万四千件でございますが、対外国出願は九万三千件でございまして、外国出願の方が約四割四分方多いという実情でございます。ドイツにつきましては、自国出願が三万件、外国出願件数が六万件で、これは外国出願の方が国内の倍になっているわけでございます。同じくフランスも自国出願が二万二千件で、外国出願が二万三千件でございますから、これも約倍という状況でございます。これに対しまして、日本は約二割程度の比率である。これはいずれも特許に限っての数字でございます。
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高沢寅男#12
○高沢委員 いま数字をお聞きいたしましたが、アメリカなり西ドイツなりフランスなり、欧米諸国は自国出願よりも対外国出願の方が二倍とかいうふうな非常に多い比率になっておる。日本の場合には、自国出願に対して対外国出願は一割とか二割とかいうふうな、比率からすれば非常に少ない比率になっておる。
 今度の特許協力条約がそういう国際出願の便宜を図る、国際出願をやりやすくしようという趣旨である、こう見るとすれば、この条約の加盟によって受ける利益といいますかメリットは、日本ももちろんあるかもしれませんが、それよりも欧米諸国の方がはるかに大きいということが言えるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
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熊谷善二#13
○熊谷政府委員 二つの面からお答え申し上げたいと思います。
 一つは、従来日本の国内出願に対して外国出願の方が少ない、こういう点は、やはり言葉の制約という問題があったと思います。今回PCTに加盟いたしますれば、その言葉の制約について相当程度軽減されますので、非常にプラスになるという面があろうと思います。
 それから第二の問題は、最近の日本の技術レベルの向上によりまして対外国出願は逐次増加をいたしておるわけでございます。この十年間の推移を見ましても、外国から日本へ来る出願件数と日本から外国に出す出願件数を対比いたしますと、逐次日本側の件数が上がりまして、現在ではほぼ対等のレベルと申しますか、件数まで向上してまいっております。そういう意味で、いままで外国技術の導入に依存していた時期から、対等の交流の時代に入ってきている、これが今日の実態であると考えております。そういう意味では、外国に出願をしようという機運がますます起きている中でこのPCT条約に加盟することは、まさに時宜に適したことである、こういうふうに考えておるわけでございます。
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高沢寅男#14
○高沢委員 日本の経済の中での二重構造という問題が論議されていることはもう熊谷長官も御承知かと思いますが、この特許という面においても、今度の特許協力条約へ加盟することで利益を受けるという立場、資本の力が強い、そういうふうな立場で特許の外国への出願を出そうという、そういう人たちと、それから、特許の関係でいろいろやっている人たちの中の多くはそういう資本の力が強いものではなくて、むしろ中小企業であるとか、資本の関係でも力の弱い個人であるとかいうような立場から見れば、この条約のメリットというものはないということになるのじゃないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
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熊谷善二#15
○熊谷政府委員 日本の出願の状況を見ますと、中小企業と個人、まあ町の発明家という方々が国内出願では約五〇%程度を占めておるわけでございます。これに対しまして日本人の外国出願の状況を見ますと、この方々は大体二割前後ではないかというふうに考えております。確かに外国出願の方はウエートが低いという状況でございます。中小企業の方々が、この厳しい経済の中で今後自立的に生きていき、また発展していくためには、優秀な技術を持つということが何よりも大きい経営戦略でございまして、私どもは、この中小企業の方々の発明の育成ということにつきましては、今後とも大いに力を入れていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
 この特許制度自体が大企業、中小企業の間で、一方において中小企業に不利に働くのではないかという御指摘の点につきましては、制度上いろいろな制度が担保されておりまして、たとえば特許権を中小企業には実施させないとか、そういった問題があった場合には裁定制度がとられておるわけでございます。また不当な取引と申しますか、地位を利用した不当な行為ということにつきましては不正競争防止法あるいは独占禁止法によりまして必要なチェックを行うことになっておるわけでございまして、この特許法制の中で中小企業問題ということはそれなりの十分な配慮が行われておると私は考えております。
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高沢寅男#16
○高沢委員 特許に伴ういろいろな制度や行政、その面での中小企業への保護、いま御説明もありましたが、私はそれとともにたとえば通産省なりあるいは科学技術庁なり、そういうふうなところで総合的な立場で、中小企業に対する援助強化の政策も大いに今後拡大していただきたい、こう考える次第であります。
 次へ進みまして、今度はその特許協力条約に入ることによるメリットの具体的な面でありますが、たとえば言葉の問題とかあるいは手数料や料金やそういうふうな面とか、こういう具体的な面でこの条約に入るメリットというのはどういうものがあるのか、それをひとつ御説明を願いたいと思います。
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熊谷善二#17
○熊谷政府委員 まず第一に、日本の特許庁がこの条約に基づきます国際調査機関になるという前提で私ども本件加入のメリットを考えているわけでございますが、その場合に日本語の使用が可能になりまして、日本語によります国際出願を特許庁が受け付けました場合に、出願者の希望いたします各国の特許庁に出願がなされたと同様の効果を持つことになっております。従来はそれぞれの希望する特許庁に参りまして手続をとらなければならなかった、こういう点は非常に簡便化されるということになるわけでございます。
 第二に、従来はいわゆるパリ同盟条約に基づきます優先権の効果を与える規定が一年間与えられておりまして、今回は翻訳書の提出が二十カ月以内に出すということになりますので、約八カ月の手続の繰り延べの余裕ができるということになるわけでございます。
 さらに、この機関におきまして行われます国際調査報告、これにつきまして特許庁の方から出願人に先行文献調査を行った報告書が送られてまいりますので、それによりましてこの出願を将来にわたって継続していくかどうかということにつきましての判断ができる、そういう材料が出願者に与えられるということは非常に有益なことでございまして、場合によりますと出願を取り下げる、もうすでに先行文献があることがわかった以上は取り下げるということになりますと、それに伴う労力、費用というものは従来に比して軽減されることは明らかでございます。
 それから、この条約の中には、ジュネーブの国際事務局におきまして国際公開を行うという制度がございます。この国際公開はパンフレットの形式で各国に頒布され、一般の方々の閲覧に供せられる形になるわけでございますが、世界各国でどういうものが出願されているかということを承知することができる、こういうことになるわけで、この点もこの条約の大きなメリットかと考えております。
 最後に、先ほど先生すでに御指摘ございましたが、特に日本の中小企業にとりまして、ただいままで申しました出願の手続の繁雑さあるいは費用の問題、また語学の問題等々ございますので、とりわけ情報に不足をしがちである中小企業にとりましては、今回はいろいろな材料が提供されることによりまして中小企業がとりわけ役に立つものと考えておるわけでございます。
 ちなみに、この条約に加盟する際に、アメリカでも同様、国会で審議が行われましたわけでございますが、アメリカにおきましても大統領が議会に対してメッセージを出された中に、特にこの条約の加盟は中小企業者また町の発明家に役立つと思うということが記されておりまして、この点は各国にとりましても大体同様な事情があろうかというふうに存じております。
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高沢寅男#18
○高沢委員 いま長官の御説明では、日本の特許庁が国際調査機関になるという前提での御説明もあったわけでありますが、そこで国際調査機関の問題でお尋ねをしたいと思います。
 条約の第十六条の(2)、ここには「単一の国際調査機関が設立されるまでの間に二以上の国際調査機関が存在する場合には、」云々、こうなっておりますが、この国際調査機関というものは将来はたとえばジュネーブに置かれる、そういう単一の調査機関というものができる予定になっているのかどうか、また、それまでの間、加盟する各国の幾つかの特許庁が調査機関ということに指定をされてやる機関はそれは一種の暫定機関であって、本来、将来は単一のそういう調査機関ができるということになるのか、その辺の見通しといいますか、この条約ではどういうふうな考え方になっているのか、それをお尋ねしたいと思います。
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熊谷善二#19
○熊谷政府委員 条約にはいま先生御指摘のとおりの規定がございますが、究極の目的として、単一の国際機関の設立ということは一つの理想として考えておるわけでございます。これは先行文献の調査という面に限られるわけでございますのでまあ一種の調査機関でございますが、将来こういった単一の機関ということも予想いたしまして条約に規定してあることは事実でございますが、現在私どもの判断といたしましては、いろいろ技術的な問題あるいは資金的な面、あるいは政治的な面もございまして、単一の国際機関の設立がいつごろ実現するといった具体的なスケジュールは現在できておりませんで、当面は一応将来の理想という形で掲げてあるものというふうに理解をいたしております。
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高沢寅男#20
○高沢委員 そういたしますと、とにかく当分の間というものは幾つかの国の特許庁が国際調査機関としての役割りを果たしていくということになると思うのですが、いまの条約の第十六条の(3)の(c)のところで国際調査機関に選定される要件というものが出されております。この(3)の(c)を受けた規則の中の第三十六規則のところでは、「国際調査機関の最小限の要件」ということで、調査機関になるためには「調査を行うために十分な技術的資格を備えた常勤の従業者を百人以上有していなければならない。」とか「調査の目的のために適正に整備された第三十四規則に定める最小限資料を所有していなければならない。」とか、あるいはまた「所要の技術分野を調査することができる職員であって少なくとも第三十四規則に定める最小限資料が作成され又は翻訳された言語を理解する語学力を有するものを有していなければならない。」とか、こういうふうな国際調査機関になるための条件というものが規定されておりますが、わが国の特許庁は国際調査機関になるためのこういう最小限の条件というものの整備はされているのかどうか、この点についての長官の所見をお尋ねをいたします。
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熊谷善二#21
○熊谷政府委員 私どもは、国際調査機関になるための条約上の要件は十分充足しているというふうに考えております。日本の特許庁は各国の特許庁と比較いたしまして、機構の点でアメリカ、ドイツに次ぐ人員を擁しております。御参考までに申し上げますと、アメリカは約三千名、ドイツは約二千五百名、日本は約二千三百名でございますが、この組織は、特許庁として世界で最も大きい組織でございまして、日本の特許庁は世界で第一級のレベルであるということが国際的な評価になっていると確信いたしております。
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高沢寅男#22
○高沢委員 次に、国際予備審査の規定が条約の中にあります。この規定が設けられた目的は一体何かということ、国際予備審査をやる機関はどういう仕組みになるのか、それから、日本の特許庁は国際予備審査機関との関係でどういうふうな立場になるのか、このことをまずお尋ねしたいと思います。
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熊谷善二#23
○熊谷政府委員 国際予備審査という条項が入れられましたのは、主として発展途上国に対する特許面での協力という意図からつくられたものでございます。発展途上国におきましては法制の整備あるいは審査官の質、資料の整備等々が必ずしも十分ではございません。そういう場合に、この予備審査機関となった機関が、出願についてのある種の判断をレポートにいたしまして、それを発展途上国において利用していただこうということになるわけでございます。ある種の判断と申しますのは、条約によりますと、その出願が新規性があるかどうか、あるいは進歩性を持っておるかどうか、あるいは産業上の利用可能性があるかどうか、こういった点についての判断を予備審査機関がいたしまして、それを記録として発展途上国の方々に利用していただく、それによって発展途上国におきます審理を促進することが期待されておる、こういう趣旨でございます。
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高沢寅男#24
○高沢委員 その機関はどうなりますか。
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熊谷善二#25
○熊谷政府委員 失礼しました。特許庁としましては、この発展途上国に対する協力という大きな目的に賛同いたしておりまして、国際調査機関になりますと同時に、この国際予備審査機関にもなりたいという意図を持っておるわけでございます。
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高沢寅男#26
○高沢委員 要するに、発展途上国が特許の出願を受けたときに、その出願を判断するために必要ないろいろな材料というふうなものを予備審査の中で援助しよう、こういうねらいだというふうにいま御説明を受けたわけですが、条約三十五条の「国際予備審査報告」の中で、「国際予備審査報告には、請求の範囲に記載されている発明がいずれかの国内法令により特許を受けることができる発明であるかどうか又は特許を受けることができる発明であると思われるかどうかの問題についてのいかなる陳述をも記載してはならない。」こういうふうな注意書が決められておりますが、こういうことをわざわざ条約で記載したのはどういうねらいを持っておるのか、御説明を願いたいと思います。
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熊谷善二#27
○熊谷政府委員 各国におきます最終判断はそれぞれの主権に属するものでございまして、特許性があるかどうかということについてこの予備審査報告が何らかの意味でも拘束的なものであってはならないということに対する配慮から特許性ということについては記述をせず、先ほど申しましたように新規性等々の記述を行いまして、記録的にはその範囲にとどめるわけでございますが、これは発展途上国等におきますそれぞれの国内官庁の独立性と申しますか、自主性を尊重するたてまえから、そういった注意書がなされておるというふうに理解をいたしております。
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高沢寅男#28
○高沢委員 特許を出願しているケースの、たとえば新規性とか進歩性とか、産業上の有益性とかいうふうなことについては、一定の判断を発展途上国に対する援助として出してやる、しかし特許性についての判断は触れない、これはたてまえとしてはわかるが、実際上そういう使い分けができるものなのかどうか、これを御説明願いたいと思います。
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熊谷善二#29
○熊谷政府委員 これはそれぞれの予備審査報告書を受けました国がどのようにこの報告を利用するかという心構えにかかってくるかと思うのでございます。条約三十三条にも、新規性、進歩性、産業上の利用可能性に対する判断も、予備的かつ拘束力のない見解を示すということがはっきり記されております。そういう意味で、この報告を受け取った国におきまして、この資料をどのように利用するかということによって違いが出てくると思うのでございます。この国際予備審査という判断は、あくまでも条約上だけに決められました判断基準でございまして、各国のそれぞれの国内法を拘束するものではないわけでございますので、それぞれ国内法との関連におきましての利用の仕方はまちまちになる場合もあろうというふうに存じております。したがいまして、体制の整備が十分でない国におきましては、この判断は事実上参考とされることが非常に多いということになろうと思いますが、ある程度整備されておる国におきましては、国内の判断はあるいは独自性が強くなるということがあろうと思います。これはケース・バイ・ケースによって違いが出るものかと存じます。
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