法務委員会

1993-05-25 参議院 全138発言

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会議録情報#0
平成五年五月二十五日(火曜日)
   午前十時二分開会
    —————————————
   委員の異動
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     角田 義一君     峰崎 直樹君
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長         片上 公人君
    理 事
                下稲葉耕吉君
                真島 一男君
                竹村 泰子君
                猪熊 重二君
    委 員
                斎藤 十朗君
                鈴木 省吾君
                服部三男雄君
                平野 貞夫君
                山本 富雄君
                大脇 雅子君
                深田  肇君
                峰崎 直樹君
                矢田部 理君
                石原健太郎君
                紀平 悌子君
   国務大臣
       法 務 大 臣  後藤田正晴君
   政府委員
       法務大臣官房長  則定  衛君
       法務大臣官房審  森脇  勝君
       議官
       法務省民事局長  清水  湛君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務  泉  徳治君
       総局人事局長
       最高裁判所事務
       総局民事局長   今井  功君
       兼最高裁判所事
       務総局行政局長
   事務局側
       常任委員会専門  播磨 益夫君
       員
   説明員
       大蔵大臣官房企  清水  治君
       画官
       大蔵省証券局証
       券市場課公社債  東  正和君
       市場室長
       大蔵省証券局企  松谷 明彦君
       業財務課長
       国税庁調査査察  藤井 保憲君
       部調査課長
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○商法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係
 法律の整備等に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    —————————————
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片上公人#1
○委員長(片上公人君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十四日、角田義一君が委員を辞任され、その補欠として峰崎直樹君が選任されました。
    —————————————
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片上公人#2
○委員長(片上公人君) 商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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大脇雅子#3
○大脇雅子君 それでは私からお尋ねいたします。私の質問は、今回の社債制度の改正に関してであります。
 今回の社債法の改正は、長年にわたる社債法全面見直し作業の実現したものと言われておりますが、社債法全面見直し作業の経過について御説明ください。とりわけ銀行サイド、社債発行会社、社債引き受けの証券会社サイド、この各界の利害の調整が非常に錯綜して議論が紛糾したと聞いておりますが、この観点からしてどのような今日までの改正経過であったかお聞きしたいと思います。
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清水湛#4
○政府委員(清水湛君) お答えいたします。
 社債法の全面的な見直し作業というのは、実は昭和三十六年代に既に法務省としては手をつけたことがあるわけでございます。その理由といたしましては、社債の発行限度規制について法律でこれを決めておるというのは日本とその他の先進国ではイタリア、ベルギー程度のものである、諸外国ではこのような制約は一切ないというようなこと。それから、制約をするにいたしましても発行のときだけの制約でございまして、その後の追跡というようなことが一切何もない。また、企業が銀行から金を借りるということについては何らの制約がないというようなことから、このような規制の合理性というものについて早くから疑問が提起されていたわけでございます。
 そこで、法務省としても昭和三十六年に関係方面の意向打診をするというようなことをいたしたわけでございますけれども、まだまだ時期尚早ではないかというようなことがございました。その後、四十五年ごろから学者の方でもいろいろな研究会を組織して社債法制の研究に着手するというようなことはあったわけでございます。
 しかしながら、昭和四十九年の商法改正の際に、当委員会でもあったのでございますけれども、会社法の全面的な見直しをせよというような附帯決議がございまして、それに基づきまして実は法務省では会社法の根本改正作業というものに着手いたしました。そして、幾つかの問題点を整理いたしまして関係方面に照会したわけでございますけれども、その中で社債の発行限度規制というのはこれは現在の法制のもとにおいては余り意味がないし、このようなものは撤廃すべきである、撤廃できないにいたしましてもその枠を大幅に拡大すべきであるというような意見が出されてまいったわけでございます。
 企業の資金調達の方法の最もいわば原則的な形態といたしましては、新株発行という方法と社債による資金調達という二つの方法が明治以来基本的な制度としてあるわけでございますけれども、社債の発行についての需要が特に戦後非常に高まってきたというようなことが一つの背景にあるわけでございます。そういうような状況を踏まえまして、この社債発行限度規制をどうするかということが昭和五十年代非常に大きな問題になったわけでございます。
 そこで、法務省といたしましては、発行限度規制を撤廃するといたしましても、いろいろな外的な諸条件、あるいは商法の中にも社債権者保護という観点からいろいろな制度を研究、検討しなければならない、今すぐ社債限度の発行規制を撤廃するわけにはまいらないということで、御承知のように昭和五十二年に暫定的な措置法といたしま
して、社債発行限度暫定措置法という法律を国会において御承認をいただいたわけでございます。
 この暫定措置法というのは、さしあたって商法の発行規制枠の二倍までは社債を発行することができるというような形で、あくまでもさしあたっての暫定的な措置であるということでこのような法律がつくられたわけでございますが、その後私ども法務省といたしましては、本格的な発行限度規制を撤廃するとすればどのような諸条件が整備される必要があるかというようなことについての研究、検討を開始し、昭和六十年に入りまして法制審議会の正式な検討議題として審議を始めたわけでございます。
 そういう状況の中で社債権者の保護を図るための措置としてどういう条件が満たされればよいかということになるわけでございますが、一つには証券取引法上のディスクロージャー制度、社債を発行する場合の有価証券届け出書あるいは報告書等の制度は完備してまいりまして、大衆を相手とする社債発行についての証券取引法上の規制が非常に充実してきたということ、それからもう一つには社債についての格付制度というのが昭和六十一年以降日本においても非常に充実強化されてきたというようなこと、そういうような客観的な条件もかなり整備されてきたということを踏まえまして、今回の商法改正に見られますように、商法自体におきましても社債権者保護のための社債管理会社の設置を義務づけるというような面におきましてきちっとした制度的なものを保障する。
 もちろん、これまでも社債を募集する場合には募集を委託する会社、受託会社というのがございまして、この受託会社には実際上銀行がなっていたわけでございますけれども、これまでの受託会社というのは発行会社側の立場も兼ね、あるいは社債権者側の立場も兼ねるというような両面性がございましたので、今回の改正法におきましては銀行等の業務を社債権者の保護という一点に絞るということにいたしまして、社債管理会社の設置を義務づけるというような中身にすることによりまして今回のような発行限度規制撤廃というような結論に到達したわけでございます。
 もちろん、こういうような限度の撤廃を求める経済界あるいは証券界等の声もあるわけでございまして、また現実に社債の発行の事務にこれまでも携わってきた銀行あるいは証券界の立場というような意見もあるわけでございまして、このような各方面の意見を十分にしんしゃくしながら社債権者保護という商法の本来の観点を貫き通す、こういう意味におきまして今回のような改正案に私ども到達をいたした、こういうことになるわけでございます。
 以上でございます。
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大脇雅子#5
○大脇雅子君 経過はよくわかりましたが、その改正の中で銀行の側がどのような見解を表明し、社債発行会社がどのような見解を表明し、あるいは証券会社がどのような見解を表明して、その利害調整がどのように図られたかということについて再度お尋ねいたします。
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清水湛#6
○政府委員(清水湛君) これは法律論では実はないわけでございまして、法律的な立場としては、銀行とか発行会社の責任とか権限とか義務というのは非常に明確にされたというふうに私どもは考えているわけでございます。
 しかし、法律論ではございませんけれども、例えば発行限度を撤廃すると銀行借り入れが減少して銀行の企業に対する影響力が減殺されることになるのではないかというような意見を言われる方もございます。
 またしかし、現実に発行の社債の売買等の事務を取り扱う証券会社の方から見ますと、そういう社債市場がますます充実強化されることによりまして証券会社の業務も拡充強化される。つまり、社債市場が発行限度規制を撤廃することによって成熟をしてきて証券会社の業務を拡大するというような観点からのいろんな御意見というようなものももちろんあるわけでございます。
 また、発行会社の方からいたしますと、社債の発行規制というものが余りにも厳しいために、現実には社債を発行しようといたしましても、もういわば発行枠が商法の限界あるいは暫定措置法の限界ぎりぎりまできてしまって社債を発行することができない、有効かつ効率的な資金調達ができないというような会社が実はかなり出てまいったわけでございまして、そういうような発行企業体の方から見ますとできるだけ早くこのような規制を廃止してほしい、こういうことに当然のことながらなるわけでございます。
 総じて経済界の方では、銀行の中には先ほど申しましたような意見も若干ございましたけれども、このような発行規制というものはある意味におきましては官が民を法律によって縛るというような一種の規制であって、このようなものは先進諸外国においてもない制度であるから一日も早く廃止して、自由な経済市場の中で社債権者の保護というものを図りながら社債市場を育成すべきであるというような考え方が一般的な考え方だというふうに私どもは承知しているわけでございます。
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大脇雅子#7
○大脇雅子君 企業の長期資金調達の方法として確かに新株の発行ないしは社債ということが大きな意味を持っているということはわかるわけですけれども、社債権者保護の立場から考えますと、現行規定の「最終ノ貸借対照表ニ依リ会社ニ現存スル純資産額」というこの規制というものはその保護の役割というものを果たしてきたのでしょうか、こなかったのでしょうか。
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清水湛#8
○政府委員(清水湛君) 御指摘のように、商法の規定によりまして最終の貸借対照表による純資産額を超えて募集することはできないということは、私どもはそれなりに意味がある規定であるとこれまで考えていたわけでございます。
 特に、非常に不良な資産内容の会社が大量に社債を発行して実際上それを償還しないという形でいわば大衆社債権者に被害を与えるというようなことを少なくとも発行の段階において防ぐという意味におきましてはそれなりの効用を果たしてきたというふうに評価できるものと考えるわけでございます。
 問題は、しかしながら社債権者保護というものが、このような非常にトラスチックな法律の規制というものがなければ社債権者の保護というものは図れないものであるかどうかということが問題になるわけでございまして、社債権者の保護という観点からるる申しましたように証券取引法上の諸制度の完備だとか、あるいは社債格付制度の充実強化だとか、そういうようなもろもろの外的な諸条件、あるいは商法に社債権者保護のための強力な措置を講ずるということであれば法律的にトラスチックな規制をするというようなことがなくても社債権者の保護は十分に図れる、こういうふうに考えられているわけでございます。
 したがいまして、そういうような条件を整備したからこの二百九十七条の規定を廃止してもいいということになったわけでございまして、この二百九十七条がこれまでそれなりに有効な働きをしてきたということは、これは否定することができないというふうに私どもは考えているわけでございます。
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大脇雅子#9
○大脇雅子君 そういたしますと、この発行限度枠を撤廃するといういわば一つの条件の整備というものが市場にできたということのようですが、それは例えば先ほど言われました社債管理会社の設置とか、あるいは証券取引法によるディスクロージャー制度の整備とか、あるいは社債格付機関の発展等による市場原理の成熟というようなことが御説明の中にいろいろされているわけですけれども、そのほかにありますか。大体この三点ということでよろしゅうございますか。
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清水湛#10
○政府委員(清水湛君) その三点でよろしいかと思います。
 現実に社債を発行するという場合には大衆を相手にするわけでございまして、社債を公募するということになりますと大変厳しい証券取引法上の規制というものが現在ございますし、社債の信用度をはかる格付制度というものも毎日の新聞に、例えば日本経済新聞等には発行済みの社債につい
ての格付が公表されておりますし、そういうようなものによりまして社債権者になった者もこれから社債権者となろうとする者も十分に保護されるような体制ができ上がっておると言っていいのではないかと思います。
 それに加えまして、社債管理会社、これは専ら社債権者のための制度として社債管理会社というものの設置を義務づけて、その権限も強化すると同時に責任も重くするというようなことでございますので、御指摘のようなその三点によりまして社債権者の保護は図られるというふうに私どもは考えているわけでございます。
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大脇雅子#11
○大脇雅子君 それでは、社債管理会社に関して御質問いたしたいと思います。
 まず、社債管理会社というのは、銀行、信託会社、担保附社債信託法第五条の免許を受けた会社というふうにされております。銀行というのはわかるわけですが、この信託会社というのは現在何か事例がありますでしょうか。それとも、銀行と並べて信託会社と書かれている意味があるのでしょうか、お尋ねいたします。
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清水湛#12
○政府委員(清水湛君) 御指摘のように、信託会社というのは信託業法に基づきまして営業免許を受けて信託業務を営む会社ということになっているわけでございます。
 このうち信託業務について免許を受けると同時に銀行業を兼営するものを信託銀行というふうに称しているということになるわけでございますが、現在、銀行以外で単体で信託業務を行う信託会社というのはないというふうに聞いているわけでございます。したがいまして、実際問題としては銀行がこの社債管理会社になるということになるわけでございます。
 現実には存在しませんけれども、信託業務だけを行う信託会社というものも、これは信託業法の厳しい要件のもとにその免許を受け、かつ主務大臣の指導監督のもとに他人の財産の管理、処分を行う。信託会社というのは、要するに他人の財産を預かりまして、それを当該他人のために管理をしてその収益を当該他人なり第三者に還元するという、いわば財産を預かって運用する会社でございますので、そういうようなものにつきまして主務大臣の厳しい指導監督があるということでございます。現存はいたしませんけれども、当然この信託会社も社債管理会社としての適格性を持ち得るというふうに私どもは考えているわけでございます。
 先ほど申しましたように、現実の業務はそのような信託業法に基づき営業免許を受けている信託銀行ということになるわけでございます。もちろん、その他の銀行もこのような営業免許を受けるということができることになっております。
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大脇雅子#13
○大脇雅子君 そうしますと、現存しない信託会社、それが信託業法によれば主務大臣の免許を受けて信託業を営む会社と定義されて存置されておる。現実には信託銀行という形で信託業務は行われていた。「信託会社」というこの文言を残すことの意味ですが、これは将来銀行以外に信託会社を設置する予定というか、それを予測しておられるのかどうかということについてお尋ねしたいと思います。
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清水湛#14
○政府委員(清水湛君) 信託業法という法律があるわけでございまして、信託専業の会社というものが法律上存在し得るということでございます。それについて免許を与えるかどうか、これは主務大臣は大蔵大臣でございますので私どもがその見通しについて云々することはちょっといかがかとは思いますけれども、理論的な問題としては将来そういう信託会社というものが免許を受けてそういう業務を営むことになる可能性はあるというふうに考えているわけでございます。
 実は、現行法におきましても、社債の募集の受託会社になれる会社というのが法律で決まっているわけでございまして、これは商法の中には規定はございませんけれども、商法中改正法律施行法という法律がございまして、その五十六条に社債募集の受託会社として資格のあるものは銀行と信託会社というふうに実はなっているわけでございます。沿革的に社債関係については銀行と信託会社ということになっておりますものでございますから、それを商法の中にそのまま受け継いで書き込んだという経緯もあるわけでございますけれども、将来の問題としては、先ほど申し上げましたように、純粋に信託業だけを営む信託会社というものもこれはあり得るというふうに、私どもは法律がある以上そういうものもあるのではないかというふうに考えているわけでございます。
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大脇雅子#15
○大脇雅子君 社債管理会社というのは社債権者のために存在するということで、いわば社債の対公衆性ということを考えますと、やはり社債管理会社の資格というのは厳格でなければならない。それが銀行の一つの業務として信託業務を行うということと、全く信託会社として独自のそういった業務を行うということでは、担保的なというか、債権者の保護ということに関しては違うのではないか。現存しないような規定を置くということについては、将来に疑義を残すことになるのではないかというふうに考えたので質問するわけです。
 そういう実存しないということで概念が非常に不明確である「信託会社」という文言を法律の整合性だけを考えて設置するということはいかがかと思うのですが、どのようにお考えでしょうか。
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清水湛#16
○政府委員(清水湛君) 信託業務というのは非常に大事な業務と申しますか、財産を預かりまして、信託の目的に従ってその財産の管理、処分をする。例えば土地信託なんという言葉がございますけれども、信託銀行に土地を信託して、その土地の貸し付け、管理等を銀行に任せて、その収益を信託者が受けるというようなことが今行われているわけでございますが、多くの場合には銀行業務と密接なつながりがありますので、先ほど申しましたように銀行が兼営をするという形になっているのではないかと思います。これは私ども実はよくわかりませんけれども。
 そういう意味で、信託業というものが銀行業務とは離れた形で独立て経営可能、独立て採算がとれるというようなことになってくればそういったものも当然出てくるわけでございます。もちろん、その場合には信託事業を営むに相ふさわしいものとしての主務大臣の免許を受け、その指導監督のもとに業務を行うということになるわけでございますから、それはそれで銀行と同じように信用ができるし、管理能力もあるというふうに思うわけでございます。
 私、今不正確なままそういうことを申し上げては恐縮でございますけれども、もともと信託法理というのは、英米法で非常に盛んに発達した法理でございまして、アメリカとかイギリス等におきましては遺産の管理というようなものを専門にする信託会社もあるというようなことが言われているわけでございまして、そういう意味での信託専業の会社があるというような話も聞くわけでございます。これは実は不正確な知識でございますからもし間違っていたらお許し願いたいと思いますけれども、日本でもやはり将来の問題として財産信託というようなことが行われるようなことになるのではないかと。その場合における信託専業会社というものが必要になって、しかもそれは大蔵大臣の免許であり、銀行と同様な指導監督がされるということになるわけでございますので、今の段階で実在しないからそのような会社についてこれを法律上も除外をしておくというのはいかがかと。
 今までの商法の中にも、商法中改正法律施行法でございますけれども、そういう形で信託会社というものが昭和十三年以来入っておるというような経緯も実はあるわけでございまして、そういうような面から今回もこのようなことにいたしておるということでございます。その辺いささか、現存しない会社について規定を置くというのはどうかという御指摘はまことにごもっともな面があると私実は思うのでございますけれども、そういうような事情も踏まえて今回の改正法でも前例を踏襲しておるということで御理解をいただければ幸いだと思うわけでございます。
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大脇雅子#17
○大脇雅子君 この社債管理会社に銀行以外の業界、例えば保険会社なども担当できるように拡大するという議論があったと聞きますが、それは現在保険会社というのはここに入っていないわけですが、どのような議論がなされたのでしょうか。
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清水湛#18
○政府委員(清水湛君) これは大蔵省とも御相談しなければならない問題でございますけれども、保険会社についても社債管理会社としての適格性を認めよという意見があるということは私ども承知いたしております。
 この問題については、実は大蔵省の保険審議会で保険業法の改正問題の一環として議論がされているというふうに聞いております。そういう問題がある程度はっきりした形で結論が出るということになりますと、私どもの方といたしましても、保険会社の実態というものを見きわめた上で、債権管理会社としての資格を与えるかどうかということについて当然議論をするということになるものと考えております。
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大脇雅子#19
○大脇雅子君 社債管理会社には社債の管理をするということで公平誠実義務と善管注意義務と二つの義務が規定されておりますが、この公平誠実義務と善管注意義務の内容、そしてそれぞれに違反した場合の責任というものについて御説明いただきたいと思います。
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清水湛#20
○政府委員(清水湛君) 社債管理会社につきましては、御指摘のように公平誠実義務と善良な管理者としての注意義務を尽くさなければならない、こういう規定を置いているわけでございます。
 それぞれ同じような内容を持つものではないかというようなことも考えられるわけでございますけれども、特に公平誠実義務というのは、社債というのは多数の一般公衆から募集をするものでございますが、そういう場合に社債権者の間で不公平な扱いをしてはならない、社債権者はすべて公平に管理会社としては扱わなければならない、そのことを特に強調する必要がある、こういうことから、社債権者のために公平に事務を処理するという意味におきまして公平誠実義務というような規定を置いたわけでございます。
 それからもう一つは、社債管理会社というのは、その資格上銀行がその地位につくことになると思います。これは今までも社債募集の受託会社については農林中央金庫を含めました銀行、広い意味での銀行がすべて募集受託会社になっていたわけでございますが、今後ともそのような実態は変わらないというふうに私どもは考えております。
 そういうような銀行等は、管理会社であるとともに、みずからも発行会社に対して貸し付けをしておる、融資をしておるというようなことはございます。そういう場合に社債権者の債権の回収事務と自分の貸し金の回収事務というものが競合することになるわけでございますが、そういうような場合につきましても、自分の貸付債権だけを先に回収して社債権者の方は知らないよというような意味での不公平な取り扱いということは許されない、あくまでもみずからと社債権者との関係においてもやはり公平な執務をすべきである、こういう意味でいわば一般規定としての公平誠実義務の規定を置いたわけでございます。
 それから、社債管理会社は善良な管理者としての注意義務を負うという、これは本来なら民法の委任契約に基づく受任者の当然の義務でございます。しかしながら、社債管理会社と社債権者との間には契約関係はございません。法律上の義務として社債権者のために種々の権限を行使していろんな行為をしなければならない、こういうふうになっているわけでございます。もしこれが直接の委任関係があるということでございますと、当然善良な管理者としての注意義務というのは出てまいるわけでございますが、あたかもその委任関係があるというふうに同視いたしまして、一般の義務として善良な管理者としての注意義務を負うということにいたしたわけでございます。
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大脇雅子#21
○大脇雅子君 社債管理会社というのは、大体その会社のメーンバンクがなるということになろうかと思うんですが、そうしますと、そのメーンバンクがみずからの貸付金とそれから社債管理会社として社債権者のためのいわば善良な管理者としての注意義務ということが基本的には成立するかなということは極めて疑問に思うわけです。法律の改正を読みますと、そういう双方代理がきわまったときには特別代理人を置くとか辞任をするとかいろんな規定があるわけですけれども、社債権者の保護ということがメーンバンクが管理会社として貫徹できるかどうかということは実際上非常に疑問に思うわけですが、その点はどんな議論がなされたんでしょうか。
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清水湛#22
○政府委員(清水湛君) これまでもこれは法律上任意でございましたし、また社債募集の受託会社というのは銀行がなるわけでございますけれども、従前の社債募集の受託会社というのは、発行会社のいわば代理人的な立場もとると同時に社債権者の代理人的な立場もとるという中間的な存在であったわけでございます。
 今回、社債管理会社というのは社債権者のため、専ら社債権者のための機関であるというふうにその性格を純化したわけでございますけれども、しかし社債権者のために社債の償還手続を行い、同時にみずからの貸付債権も回収しなければならないという立場におきましては、これは従来の社債募集の受託会社としての銀行のありようと全く違わないわけでございます。
 そういう状況で、これまで例えば社債募集の受託会社がみずからの債権の弁済を先とし、社債権者の社債の償還を役としたというようなケースがあったかどうかというようなことにつきましては、そのようなことは私どもは承知していないわけでございます。少なくとも企業が大衆から大口の社債を募集しながらその社債が償還できないということは大変なことでございまして、それは企業のメーンバンクである銀行にとりましても恐らく大変不名誉な出来事であろうと思います。
 そういう意味で、メーンバンクでありながら同時に社債の管理会社としては恐らく社債権者の社債の償還のために全力を尽くすということは、もう今までの実際から申しましても当然のことであるし、銀行に私どもはそういうことは期待することができるというふうに考えているわけでございます。
 ただしかし、そういう精神論だけではこれは法律論にはなりませんので、御指摘のように特別に利害関係が対立する場合の特別代理人の選任とか、あるいは発行会社が危機的な状況に陥ったときに銀行が自分の貸付債権の回収に走ったために社債が償還されなくなったというようなことが起こりますと、これはやっぱり銀行に責任をとってもらう、銀行の方で損害賠償と申しますか、そういう責任を社債権者に対して負う、こういうような法律上の手当てというものは今回の社債法の社債権者保護措置としてこの中に盛り込んでいるわけでございます。
 基本的にはメーンバンクである銀行が企業の経営状況を常時監視する、場合によっては裁判所の許可を得まして銀行が発行企業の財産状況を調査するというような権限まで与えまして、社債権者の社債の償還が少なくともされなくなるというようなことにならないように私どもとしては銀行は全力を尽くしていただける、またそれが銀行の本来の責務ではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
 くどくなりますけれども、そういう精神論だけではなくて法理的にも銀行の責任というものを今回の社債法の中で明らかにしておるということでございます。
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大脇雅子#23
○大脇雅子君 現在では、発行会社が社債の償還ができなかった場合には、任意であれ社債の発行に携わった銀行が実際上、精神的と今表現されましたけれども、償還をしてきたわけですよね、負担をして。それをさらに強めたとおっしゃる意味は、私としては、何か特別代理人の選任とか辞任の規定を設けてともかく自分の信用の維持のために、償還義務はないけれども、発行会社にかわって償還義務を現実に果たしてきた銀行の言ってみれば負担軽減を図った逆の意味のようにとられな
くもないんですけれども、実際上自分の募集した社債の償還ができないことに対する法的責任とおっしゃると、それは何でしょう。公平誠実義務の違反ということなんでしょうか、善良な管理者の注意義務の違反ということなんでしょうか。どこの義務を法的義務と言われているんでしょうか。
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清水湛#24
○政府委員(清水湛君) 具体的に発行企業が償還不能の状態に陥ったというときに銀行がかわって社債権者に償還をする義務という、これはそういうような意味での義務はないわけでございます。あくまでも善良な管理者の注意義務を尽くして企業が償還できるような状況にあるのかないのかというようなことについて銀行としては常時注意を尽くすということが必要でございましょうし、私先ほど申し上げましたのは、発行企業体が償還不能のような状況に陥る、そういうときにまず自分の銀行の貸し金債権だけを回収してしまう、そのために社債の償還ができなくなってしまったというような、一定の法律上の要件はございますけれども、そういうような場合については銀行が責任を負うという特別規定はございますけれども、一般的に社債の償還が不能になったから社債管理会社がかわって償還義務を負うということにはならないわけでございます。
 そういうようになったことについて銀行として十分に注意義務を尽くさなかった、善良な管理者としての注意義務を尽くさなかったというようなことによってもしそういう事態が生じたということでございますと、別途それは銀行の損害賠償責任の問題として解決される、こういうことになるわけでございます。このことは現在の現行法における社債発行についての受託会社としての銀行の責任についても同じである、こういうふうに思うわけでございます。私ども現実の問題として、しかしながらこれまでもどういう形をとるにせよ、社債が償還されないで社債権者が大変な不利益を受けたというような事例はないというふうに承知しているわけでございます。
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大脇雅子#25
○大脇雅子君 くどいようですけれども、銀行はみずから貸し付けをするときには担保をしっかりとっているわけでありまして、そのみずからの貸付金と社債の保全というのを平等、対等に扱うといっても、担保をとった貸付金というのは別枠になるわけですよね。そうなると、現実にはそういう公平誠実義務、善良管理者の注意義務といっても何ら社債権者の保護ということにはつながらないのではないかというふうに思うわけですけれども、いかがですか。
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清水湛#26
○政府委員(清水湛君) 社債管理会社が別途銀行として発行企業に貸し付けをしておる、その際に銀行として担保をとる、抵当権、根抵当権を設定するということはよくあるわけでございまして、その場合には当然のことながら担保権の優先的な効力によりまして銀行は優先弁済を受けることができる、こういうことになるわけでございます。
 しかし、同時に社債発行についての社債の管理会社として、そういうような企業体の中で発行企業が社債を償還し得るような財務体質になっているかどうかというようなことについて、銀行としてはこれはやはり善良な管理者の注意義務を持って対応する。必要に応じて、裁判所の許可がこれは必要でございますけれども、発行企業体の財産状況を債権管理会社として調査をする、こういうふうな権限も与えられているわけでございますから、そういうような権限を適切に行使することによりまして社債権者の保護を図る、こういうことが期待されているわけでございます。
 少なくともメインバンクというような立場になりますと、発行企業の財務状況というものについては常時いろんな情報を得る立場にございますので、総合的な立場から銀行として社債権者保護のために適切な行動がとられるであろうし、また銀行を監督する立場にある大蔵省におきましてもそのような点についての配慮は十分にされるものと私どもは期待しているわけでございます。
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大脇雅子#27
○大脇雅子君 その社債権者の保護という点について、社債管理会社に対する管理、監督というものは担当省庁としても十分御配慮いただきたいというふうに申し上げたいと思います。
 次に、証券取引法によるディスクロージャー、いわゆる企業内容の開示制度というものの現況とその機能、果たしている機能についてお尋ねいたしたいと思います。
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松谷明彦#28
○説明員(松谷明彦君) ディスクロージャー制度は、資本市場におきまして適正な企業評価が行われるための前提といたしまして、多数の市場参加者に対し企業評価に必要かつ十分な情報を提供する、こういう極めて重要な機能を有しているわけでございます。また、投資家の市場に対する信頼を確保し、また市場への参加を促進していくためにもディスクロージャー制度の充実は重要な課題であると私どもは考えております。
 近年におきましては、以上のような投資家保護の観点から、昭和五十二年には連結財務諸表の作成を新たに義務づける、さらにまた中間財務諸表の作成を新たに義務づけるということにいたしました。また、昭和五十八年にはリスク情報の開示、そして昭和六十二年には企業集団の状況の開示、あるいは資金収支表、研究開発活動の開示といったようなことを含めまして、近年におきましては例えば事業の種類別、所在別等のセグメント情報の開示、あるいは訴訟が提起され、あるいはそれを解決した場合には臨時報告書の提出を義務づけるといったことでありますとか、さらにはまた市場性ある有価証券につきましては平成三年から時価情報の開示等を義務づけるなど、投資家に理解しやすいようなディスクロージャー制度の充実に努めているところでございます。
 今後とも私どもといたしましては、ディスクロージャー制度の重要性にかんがみまして、さらなるディスクロージャー制度の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
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大脇雅子#29
○大脇雅子君 そうしますと、社債を買うといった場合に、この証券取引法によるディスクロージャー制度を社債を購入する者としてはどのように利用できるでしょうか。
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