法務委員会

2000-11-24 参議院 全191発言

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会議録情報#0
平成十二年十一月二十四日(金曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十七日
    辞任         補欠選任   
     脇  雅史君     岩崎 純三君
 十一月二十四日
    辞任         補欠選任   
     岡野  裕君     矢野 哲朗君
     吉川 芳男君     阿南 一成君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         日笠 勝之君
    理 事
                石渡 清元君
                久野 恒一君
                佐々木知子君
                江田 五月君
                魚住裕一郎君
    委 員
                阿南 一成君
                阿部 正俊君
                岩崎 純三君
                鴻池 祥肇君
                竹山  裕君
                矢野 哲朗君
                小川 敏夫君
                竹村 泰子君
                角田 義一君
                橋本  敦君
                福島 瑞穂君
                平野 貞夫君
                斎藤 十朗君
                中村 敦夫君
   衆議院議員
       発議者      麻生 太郎君
       発議者      杉浦 正健君
       発議者      谷垣 禎一君
       発議者      漆原 良夫君
       発議者      高木 陽介君
       発議者      熊代 昭彦君
   国務大臣
       法務大臣     保岡 興治君
   政務次官
       法務政務次官   上田  勇君
       文部政務次官   鈴木 恒夫君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   安倍 嘉人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       法務大臣官房長  但木 敬一君
       法務省民事局長  細川  清君
       法務省刑事局長  古田 佑紀君
       法務省矯正局長  鶴田 六郎君
       法務省保護局長  馬場 義宣君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○少年法等の一部を改正する法律案(衆議院提出
 )
○人権教育及び人権啓発の推進に関する法律案(
 衆議院提出)


    ─────────────
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日笠勝之#1
○委員長(日笠勝之君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十七日、脇雅史君が委員を辞任され、その補欠として岩崎純三君が選任されました。
    ─────────────
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日笠勝之#2
○委員長(日笠勝之君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 少年法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務大臣官房長但木敬一君、法務省民事局長細川清君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省矯正局長鶴田六郎君及び法務省保護局長馬場義宣君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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日笠勝之#3
○委員長(日笠勝之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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日笠勝之#4
○委員長(日笠勝之君) 少年法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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佐々木知子#5
○佐々木知子君 おはようございます。
 自民党の佐々木知子でございます。
 前回の参考人質疑を踏まえまして、幾つか御質問したいと存じます。
 まず、発議者の方にお伺いしたいんですけれども、前回、息子さんを亡くされた武るり子さんのお話というのが、非常に抑えておられただけにまた真実の重みを我々に改めて突きつけてくれたと私も非常に重く受けとめております。最終的には金銭で解決がつく財産犯罪などとは違いまして、何よりも貴重な人命が失われた場合にはもはや何をどうやっても取り返しがつかないということ、これは当たり前のことなんですけれども、本当に被害に遭った方というのはその重みを私たちに訴えかけてくれたと思います。
 今回の改正の大きな論点の一つというのは、第二十条の第二項、この新設規定によりまして、十六歳以上の少年が故意の犯罪行為によって被害者を死に至らしめた場合は原則逆送ということになっておりますが、そうしたもはや取り返しがつかない場合、何かをすることによっては取り返しがつく場合、それは同列には論じられない、そうした観点から設けられたものだというふうに理解いたしましたが、それでよろしいでございましょうか。
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杉浦正健#6
○衆議院議員(杉浦正健君) 佐々木先生のおっしゃるとおりでございます。自民党における検討過程でも、それから三党協議の過程においても、その点がいわば今回少年法の問題に取り組んだ原点と言ってよろしいかと思うんです。
 先生は武さんの例を申されましたけれども、衆議院でも別の被害者の方をお二方お呼びいたしました。それから、武さんの被害者の会ほか幾つか被害者の会がございますが、そういう方々から詳細に御意向を聴取したわけでございます。武さんを初め、いわゆる被害者の会をつくっておられる方々の大部分がかわいいお子さんを亡くされた方々でございます。
 そういう方々の声に耳を傾けておりますと、確かに先生がおっしゃったように命を亡くされた悲しみが根本なんですが、家庭裁判所の審判がいわば密室の中でございまして、何を審理しているのかわからない、傍聴もできない、記録も見られない。最近は被害者の方から事情聴取もされるようになりつつあるようなんですが、被害者の会の方々のころは、意見も聞いてくれない、結論も正しいかどうかわからない。つまり、少年には抗告権、いわば被疑者と申しますか非行少年の方は審判に対して不服を申し立てられるけれども、その審判の結果に対して被害者はおろかだれも抗告申し立てができない。そういう審判ではおかしいんじゃないでしょうか、私たちは知りたいんだ、何が起こったのか、うちの子供たちがなぜ、どういう過程で殺されたのか知りたいんだというのが出発点で、さまざまな今の家裁の審判手続に対する御不満を持っておられたわけでございます。
 原則逆送になりますと、もう先生方には釈迦に説法なんですが、何回も申し上げておりますが、起訴されます。そうしますと、公開の法廷で裁かれるわけであります。傍聴もできますし、場合によっては検察官が証人申し立てをすることもあるでしょう。意見を言う機会もあるでしょうし、記録も法律の定めで閲覧、謄写ができる、要するにわかるわけです。そういう公開の法廷で審理される、それによって被害者の皆様方の大部分の方が今持っておられる多くの不満が一気に解消するんじゃないかというのが原則逆送を考えた原点でございました。
 この法改正によりまして、家庭裁判所がまず裁量権を持っておられますから、逆送するかしないかは個々の事件について家庭裁判所が慎重に判断をされて、逆送するかどうか、被害者を死に至らしめた事件の場合でも逆送しない場合もあるわけなんですが、私は、家庭裁判所、最高裁がこの被害者の声に耳を傾けてきておられますから、何物にもかえがたい最愛の子を事件で奪われた被害者の声に耳を傾けていただいて、公開の法廷で裁くという方向に運用を変えていただけることを期待しておるわけであります。
 これは何度も申し上げましたが、刑事裁判所で審理を尽くした上で保護処分相当と認める場合は、五十五条ですか、家庭裁判所へ戻せるんですね。審理した結果、これは刑事処分より保護処分の方がいいと刑事裁判所の方で判断すれば保護処分に戻せるんですから、今まで移送決定がなされた例は皆無に近いと聞いておるんですが、公開の法廷できちっと裁いた上で裁判所が保護処分相当と認めれば家庭裁判所へ戻して適切な保護処分をするということもできる道は少年法上ございますので、戦後五十年の家庭裁判所の運用を、故意の犯罪行為によって死に至らしめた事件については原則として公開の法廷で裁く、それが少年の規範意識を高め、少年全体の非行が抑制される方向に働くことも期待いたしておるわけでございます。
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佐々木知子#7
○佐々木知子君 被害者の方が真実を知りたいという気持ちは、私は検事をやっておりましてもう痛感いたしております。そして、何物にもかえがたい人命が失われた場合に匹敵するものとして、植物人間になった場合とかもう二度と治らないような重傷を負った場合というのもございます。そういうものも含めまして、真実を知りたいという被害者の叫びというのをぜひ刑事司法はこれから取り上げていかないといけないというふうに思っております。
 それから、先生も言われましたけれども、殺人だとか傷害致死だとかいいましても、いろんな情状がございます。例えば親殺しをやったとか、そういうような場合もございます。嬰児殺の場合もあります。それはケース・バイ・ケースで、原則は逆送だけれども、そうじゃなく保護処分になる場合も多々運用としてはあるということで、それはもう実務の感覚で私は適正になされるものだというふうに考えております。
 それから、もう一人の犯罪被害者である山口由美子さん、この方は御自身バスジャックによって重傷を受けた方でございました。御自身、多分非常に優しい方なのだろうと思いますし、また御自身の娘さんが不登校で悩んでおられたという現実の体験もございまして、加害者の少年に対しては厳罰は望んでいませんと優しいことをおっしゃっておられました。少年が心から反省して、一生かけて贖罪してくれることを望んでいるという御趣旨だったと思います。
 我が子をもう二度と取り返しのつかない形で惨殺されたような場合は別といたしましても、あるいはそういう寛大な気持ちになられる被害者の方も世の中には山口さんに限らずきっとおられることだろうと私は思っておりますが、ただ問題は、成人、少年に限らず犯罪者が真に更生するためには、みずからが犯した事実に率直にまず向き合うことがスタートだというふうに思っております。
 検事のときもそうでしたけれども、私たちが自白をとりたい、警察もそうですが、それはもちろん真実を究明する実体的真実主義ということはもちろんあります。それは第一次的なものだと申し上げても過言ではございませんが、ただ第二次的に、また並列的にありますのは、本当に心から反省をして立ち直ってもらうためには自分がやったことに向き合ってもらわなければならない、だから自白をとらないといけない、だからあなたのために本当のことを言いなさいよと。今の時点で、例えば自分がこういうことをやったのは被害者が挑発したからで、おれは悪くないんだとどこかに思っているとか、それとか共犯のAとかB、あいつが誘ったからで、おれは誘われてやったわけで悪いことはやっていないんだと。もしそういうふうな後ろ向きに思ったままでいるとすれば、成人も、もちろんこれは立ち直れずに再犯を犯すだろう、少年であれば、ましてや可塑性に富んだ今成長期なんですから、そういうふうなずるずるとした状態でこれから成長を続けていくようではまともな大人になれようはずがない、そしてまた必ずや再犯を犯すだろうと、私はそういうような気持ちで刑事司法に取り組んでまいりました。
 ですから、武さんの話にありましたけれども、被害者の少年は謝罪もしない。これは親もそうです。いろいろと弁解を繰り返している。それは親の立場としてはとてもいたたまれないでしょう。そして、彼らは恐らくそういうような形であっては更生などできようはずはないと。私はそれを非常に悲しいことだというふうに思いました。
 つまり、私は、事実認定の必要性というのは、厳罰化だなどとか非常に適切でない言葉をマスコミ等を初め使っていると思いますけれども、そうではなく、少年自身の改善更生のためにも必要不可欠だと確信しているんですが、それでよろしゅうございましょうか。
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麻生太郎#8
○衆議院議員(麻生太郎君) 基本的にはそのとおりだと思っております。事実認定をきっちりやるということは、これは何も被害者のためだけではないのであって、事実認定を主犯というか加害者の方にしっかり認めてもらうというところは、今、佐々木先生御指摘のとおり、少年が今後更生していくためにも大変大事なところだと思っております。
 加えて、事実認定がこのところ違っておるのではないかと。例の山形のマット死事件、あれ以来いろいろな話がよく出てくるところで、主犯と従犯が、主犯格とついていったのとが違ったり、いろいろ例はほかにもあるんだと思いますが、そういったことが幾つも出てきましたので、基本的に世間、世論というものの少年審判に関する事実認定に対して大丈夫か等々の疑念、いわゆる信頼を欠いているというところが非常に多くの問題なんだと思っております。
 まかり間違って、少年が罪を犯していないのにもかかわらず、誤ってそっちが主犯かのごとく決められて再審もできない等々の話が非常に大きな問題にもなると思っていますので、基本的には、やっぱり罪を犯した少年に罪というか人を殺した等々の現実としっかり向き合ってもらって、その上で、今御指摘にあったように本人がさらに更生をしていくためにもこの種の事実認定、事実としっかり向き合った上でというところが一番基本的なところだと思っておりますので、今御指摘のあったところが本法改正に当たりまして事実認定におきましては一番大事なところだと考えております。
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佐々木知子#9
○佐々木知子君 参考人の弁護士の方から、検察官は社会的に耳目を集めている事件、自分たちが立ち会いたい事件を選んで立ち会うのだというような御趣旨の発言がありました。検察官は公益の代表者でありまして、そういうことを言われると私は非常に心外だと思いますし、まず私人起訴というのが原則にございまして、日本の場合は検察官がそれを独占したということで、検察官は被害者の立場を代弁するものであるということも当然のことでございます。
 確かに、以前の法務省改正案では検察官の請求によっても立ち会えるというふうになっていたと思いますけれども、今回の改正では、二十二条の二第一項によりましてはっきりと、家庭裁判所が「その非行事実を認定するための審判の手続に検察官が関与する必要があると認めるときは、決定をもつて、審判に検察官を出席させる」というふうになっております。
 つまり、検察官はあくまで審判の協力者であって、その検察官の出席を要求するのは家庭裁判所の裁量にかかっている、こう理解してよろしいわけですね。
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麻生太郎#10
○衆議院議員(麻生太郎君) 今読まれましたとおり、今回の改正法の第二十二条の二というところが一番のポイントになっていると思いますが、主宰をいたしますのはあくまでも家庭裁判所、いわゆる裁判官側でありまして、検察官側は自分で選択権があるわけではなく、裁判所側にあるというように御理解いただいておりますが、そのとおりだと思っております。
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佐々木知子#11
○佐々木知子君 では、続きまして法務省にお伺いしたいと思いますが、前田雅英教授から詳しい統計数字を示されて、少年犯罪は現実にふえているのだ、凶悪化しているのだとの指摘がございました。これに対して、別の参考人からは、いやふえていない、したがって立法事実はないのだとの意見提示もございました。
 この点につきましてはこれまで何度も質疑を繰り返されてきたところだとは思いますが、ここで再度確認しておきたいと存じます。
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上田勇#12
○政務次官(上田勇君) ただいま御質問にありましたように、少年犯罪の動向についていろいろな意見が示されたところなんですが、これは比較する年次の問題であるとかいろいろな見方があるのは事実でありますが、私どもとしての考えを統計数字をもとに若干御説明させていただきたいというふうに思います。
 まず、少年刑法犯全体の検挙人員は昭和五十八年がピークでございました。それ以降ずっと減少してきたわけでありますが、平成七年を境に再度増加の傾向に転じまして、平成九年には二十万人を突破いたしまして、平成十一年の検挙人員というのが二十万一千八百二十六名という数字になっておりますので、平成九年以降この二十万を超える数字で推移しているところでございます。
 そして、特にその中でも凶悪犯であります殺人、強盗、放火及び強姦の凶悪犯の検挙人員について見ますと、これも平成七年を境に増加の傾向に転じまして、二千人を大きく超えております。平成十一年では二千四百十名ということになっております。
 平成十一年について見ますと、少年刑法犯全体の検挙人員というのは対前年に比べまして若干減少しているんですけれども、凶悪犯の検挙人員というのは増加しております。また、対人口比、これは十歳以上二十歳未満の人口に対する検挙数の比率でありますが、これで見てみますと平成二年以降一貫して増加の傾向にありまして、なおかつ当時の平成二年が人口比が〇・〇六であったのに対しまして平成十一年には〇・一七ということで、人口比で見てみますとより顕著な傾向があらわれております。
 少年による凶悪犯罪を罪名別に見ると、特に強盗犯の増加が著しく、平成十年からは千人台後半に及んでおりまして、平成十一年には千六百四十人余りとなっているほか、殺人犯も平成十年からは百人を超えて平成十一年には百十一人を数えるなど、凶悪化の傾向が認められるというふうに考えておりまして、こうした事態は大変憂慮すべき状況にあるというふうに考えております。
 また、低年齢化の問題についてもいろいろな御議論があったんですが、平成七年を境に年少少年による交通関係業過事件を除く刑法犯の検挙人員も増加傾向にある上、年少少年による殺人事件の検挙人員が平成七年以降十人台を維持し、平成十一年には十六人を数えるというところでございます。
 以上です。
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佐々木知子#13
○佐々木知子君 ありがとうございました。
 ちなみに、私が調べたところによりますと、強盗がふえているというのは、主におやじ狩りなどを主体とする何とか狩りというのがふえているということでございます。何かゲーム感覚で手軽に気軽に小遣い稼ぎをするというのがそういうような形であらわれると。ちなみに、おやじ狩りのおやじと認定されるのは、心理技官の話によりますと、二十五歳以上がおやじと認定されているようでございます。
 昔は不良少年の小遣い稼ぎというと恐喝ということでカツアゲだったんですが、それがなぜ強盗になったかというと、一つすごくおもしろい指摘が調査官などからございます。それはコミュニケーションが下手になったからではないか。カツアゲというのは、おまえ金持っているだろう、おいちょっと貸せよとか何かこういうコミュニケーションが要るんだけれども、そういうことができなくなって、ばっと襲ってばっととる、そういうふうな強盗のパターンの方が気軽で簡単にできる、そういうふうになってきているのではないかというおもしろい指摘がございました。コミュニケーション能力が落ちてきているというのは、少年に限らず全体的な傾向だろうというふうに思っております。
 続きまして、観護措置期間についてお尋ねしたいと存じます。
 法務省の改正案では二週間ずつ更新して最長十二週間となっておりましたが、今回の改正では、それがやはり二週間ずつ更新して最長八週間ということで短縮されております。つまり、この間に、事実が争われているケースであれば、数々の証拠調べ等、成人の公判に匹敵する審理に加えまして、少年ですから調査官による社会調査、そして鑑別所における心身の鑑別、こういうものをも全うしなければならないだろうというふうに考えますが、そうしますと非常にこれは短いのではないか。成人の場合でも、事実が争われている事件というのは御存じのように数年かかるような事件も多々見られます。
 ですから、果たしてうまくいくのだろうかというふうに危惧するわけですけれども、これは本当に大丈夫だというふうにお考えでしょうか。
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古田佑紀#14
○政府参考人(古田佑紀君) 御指摘のとおり、少年審判における観護措置期間が四週間ということから、これまで非常に共犯者の多い事件などにつきましては家庭裁判所でいろいろな工夫を凝らしてこられたわけですが、それにしてもそこで適正な審判をするのには非常に多くの努力を要する、いろんな意味で困難があると。そういうふうなことから、政府提出法案では十二週間まで延長が例外的に可能としたわけでございます。しかしながら、現在四週間のところを一気に十二週間まで延長するということについてはいろんな御意見があり、与党間で御調整の結果、八週間ということにされたものと承知しております。
 もちろん、どの程度観護措置期間が必要かということにつきましてはそれぞれの事件によってさまざまではございますが、いずれにいたしましても現在の四週間に比べればより審理というものがやりやすくなる効果があることは間違いないわけでございまして、引き続きその運用状況を見ながら検討をしていきたいと考えております。
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佐々木知子#15
○佐々木知子君 ぜひ八週間の間で全うしていただきたいというふうに思います。
 同じく弁護士の参考人から、起訴状一本主義や伝聞法則の適用のある当事者主義ではなく職権主義的構造である審判で少年を裁くのは少年にとって成人以上の不利益であって、以下云々とありましたけれども、子どもの権利条約に違反するおそれがあるのではないかと。その際、少年を普通に刑事裁判所で裁く他の諸国は対審構造だから問題がないのだという旨の発言がございました。
 これは私は非常に誤解に基づいていると思うんですけれども、英米法系ではない大陸法系の国の刑事裁判というのは、これは成人も少年も、少年も少年裁判所あるいは裁判所の少年部というところで成人と同様に対審構造で裁かれるわけですけれども、裁判官が全捜査記録に目を通しているんですね。そして、もちろん伝聞法則もない。つまり、日本の審判と同じ構造になっているんです、その意味においては。
 なぜ日本が起訴状一本主義で伝聞法則が適用があるかといえば、戦前は日本も職権主義的でやっておりましたので適用がなかったんですが、戦後、アメリカの当事者主義を取り入れてここは継ぎはぎになったということでございまして、なぜ起訴状一本主義や伝聞法則があるのかといえば、陪審員という素人裁判官向けに予断を持たせないという趣旨からこういうふうになったと。プロフェッショナルな裁判官にとっては本当はこれは必要はないのではないかということも言われておりますが、そういうようなことを私が言ってもあれですから、法務省の刑事局長にちょっと説明していただきたいと存じます。
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古田佑紀#16
○政府参考人(古田佑紀君) ただいま御指摘のとおり、刑事裁判のシステムにおきましても大陸法系と英米法系はそれぞれかなり大きく違っているところがあるわけでございます。
 大陸法系の場合は、ただいま御指摘のとおり、基本的に裁判所が事件の取り調べを進めていくという職権主義という構造をとっており、この方が実体的真実という面を発見するということに役立つという考えでいるものと思われる次第です。
 この場合には、ただいま委員御指摘のとおり、もちろん捜査記録はすべて裁判官のところに送付され、裁判官がそれを見ながら必要な取り調べを進めて有罪か無罪かということを判断していくというのが基本的な原則であると認識しております。また、御指摘のように、いわゆる伝聞法則につきましても、大陸法系では伝聞法則による証拠の制限というのはないというふうに認識しているわけでございます。
 そういうことで、刑事裁判という責任追及をする場合に、どういう制度がふさわしいかというような面も含めて刑事裁判の訴訟手続についていろんな工夫があるわけですが、手続の性質などに照らしていろんな制度があり得るものと考えております。
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佐々木知子#17
○佐々木知子君 イギリスの刑事責任年齢は十歳であると。マーダー、いわゆる殺人、それからマンスローター、日本でいえば傷害致死に該当するかと思いますけれども、そんなにきっちりと分けるような法制ではないのですが、それであれば十歳でもう全く成人と同様に裁かれて、そして、あそこは死刑は廃止しておりますが、そのかわりに終身刑というのがございます、無期刑がございます。もう無期刑しかございませんので、殺人イコール無期刑ですので、十歳の少年二人が、九三年のこれはバルガー事件という有名な事件ですけれども、無期刑で基本的に終身、刑務所に入れられるという判決が下っておりますし、フランスは十三歳、ドイツは十四歳、刑事責任年齢に達している以上は普通に裁判所で裁かれるというような審理体制をとっております。どちらかというと、日本が非常に例外的な運用の仕方をしているということでございます。
 今までの審議を通しまして、私はこれはちょっと理論というか議論の土壌がずれているんじゃないかなと思うんですけれども、非行を生んでいるのは、少年犯罪が凶悪化もしているんだったら、それは少年法の問題ではなくて教育などの問題であるというようなことを言われる方があります。
 もしかしたらそれはそうなのかもしれませんが、教育をどうするかというのは、これは法律の問題ではなくて、およそ少年法の問題ではなくて、教育自体の問題としてそれは真剣に考えていかなければいけないことだと思いますが、社会の規範としてある少年法ないしその刑事司法、そういうものをどうするかというのはまた別個の次元として法律家ないし立法に携わる者は考えていかなければいけないというふうに思っておりますので、今回の少年法改正は本当に一歩でございまして、またよりよい少年法を考えていくべきものだというふうに思っております。
 これで私の質問を終わらせていただきます。
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小川敏夫#18
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。
 まず最初に、当法務委員会で今週の火曜日、二十一日に、少年の矯正施設、愛光女子学園と関東医療少年院、それから練馬にあります東京少年鑑別所、この三施設を視察してまいりました。
 そこで私が感じたことは、この少年の更生のための施設あるいは諸施策は非常に有効に機能しているんではないかという点でございます。あそこで従事しております職員の方々は大変に熱心に少年の更生のために頑張っておられます。私たちが見に行ったからそこだけうまくやっているということは決してないようで、中におります少年を見ますとよくそのことがわかりました。例えば鑑別所ですと、まだ身柄を拘束されて間もないということから大変に厳しい表情をしておりますが、少年院に行きましてだんだん教育の期間を経るとともにその表情にあらわれた性格の素直さというものがよくわかるというような状況をまさに見て感じました。
 そこで私が思うのは、今の少年の更生のためのこうした施設、あるいはもっと翻って、少年の更生を第一に考えている少年法というものは非常によく機能しているし、これまでも機能してきたんではないか、こういうふうに思っております。
 それで、まず提案者に私は基本的なことをお尋ねしたいんですが、現行の少年法、いわゆる少年の更生ということを中心にした今の少年法あるいはそれを実行しておりますそうしたさまざまな少年院等の施設、これは私は非常に有意義に機能していると思うんですが、提案者はその点はどのようにお考えなのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
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麻生太郎#19
○衆議院議員(麻生太郎君) これは何と比較するかが一番難しいところだとは思います、再犯率を基準にされてみたり、いろいろな基準のとり方があるのだとは思いますけれども。
 私どもも、総じて少年院等々そこらの保護観察施設における少年への矯正の方法、またその他の社会の規範との関係の教育等々が幾つか幼年時代に欠落していたとか、またそういった環境に全くなかったとか、いろいろなそれまでの育った環境の違いもあるんだとは思いますけれども、他の人と一緒に生活をしていくという基本的なところ、人間はひとりじゃないんだということでみんなと一緒にやっていかなきゃいかぬということ等々の、生活を送るために必要最小限度、必要最低限の教育等々を施す、与えることに関しましては、今の少年院並びに鑑別所はかなりうまくいっている方だと、私どももそう思っております。
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小川敏夫#20
○小川敏夫君 この改正案につきまして被害者の立場ということが提案者の方からたびたび強調されておるんですが、この愛光女子学園等に行きましてお話を聞いたところ、少年の約半数は両親が離婚を経験しているということでございました。
 そうしたことをヒントに考えますと、少年が非行を犯すといっても、非行を犯すために生まれてきた人間は私はいないと思います。やはりそこの非行に至るまでにさまざまな家庭の影響あるいはその他少年を取り巻くさまざまな環境によって非行に走らされてしまった、本当に普通の恵まれた環境の中ですくすくと心身ともに成長するということの環境に恵まれなかったという、非常に少年から見れば選ぶことができない環境に置かれた、そうした環境が少年を非行に追いやっている部分があるんではないか。
 そういうふうに考えますと、私は、非行に走ってしまうような環境に置かれたということの意味においては、その少年もそうした社会環境、さまざまな環境の被害者ではないかというような見方もできると思うんです。そうであれば、犯罪の被害者ということの観点も必要ですが、しかし非行に走るような環境に置かれてきたそうした少年に対する、被害と私は言葉づけましたが、そういう立場も考慮しなければならないと思うんですが、こういう私の考え方について提案者はどうでしょうか。
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麻生太郎#21
○衆議院議員(麻生太郎君) 同じ環境に育って、両親の離婚もなく家庭も裕福、そういった状況において少年犯罪を犯す人もいれば、今離婚を例にとられましたけれども、そういった愛情深く育ててもらえない家庭環境に育ったにもかかわらず立派にやっている少年もいる。これは実は種々さまざまなんだと思っております。
 少なくとも同じ環境に育って、片方はそういった状況が悪くてもちゃんとやっている少年に対して、そうじゃないからといって少年が人を殺す。理由は何かといえば、何となくむしゃくしゃしていた等々、故意とはいえその内容は殺す経験をしてみたかったなんというのもありましたけれども、そういうのを含めて私どもからいえば信じられないようなことになっておりますが、そういった社会の状況、その少年を取り巻く状況が悪かったから罪を犯したという点に同情する余り、まともにやっている少年に対しての罪を、まあ命を奪う等々の極めて重大な社会犯罪、大きな犯罪を犯したときにはそれ相当の罰を受けるというのは私どもは基本的なところだと思っておりまして、私どもは、同じような条件であったにもかかわらずその少年によって、殺した方の人権というものと同時に殺された側のことも考えねばならぬところだと思っております。
 私どもは少年の更生をさせるというのは大変大事なところだとは思っておりますけれども、そういった人様をあやめる等々の大きな罪を犯したときはそれに伴っての罰を受けるというのが私どもの基本的な考え方であります。
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小川敏夫#22
○小川敏夫君 非行に及びました少年につきまして、その少年個人にすべての責任を負わせるということではなくて、少年に非行に及ばせたそうした環境もやはり考えなければいけないんではないかと私は思います。
 時間の関係もありますので、法務省の方にお尋ねしますが、私はそうした意味で現在の少年院あるいは鑑別所は非常に有効に機能していると思うんです。この点について、当然のこととは思いますが、今のこの少年の保護と矯正という観点におきましてさらに力を注いでいただきたいと思っておりますが、その点、法務省のお考えをお聞かせください。
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鶴田六郎#23
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。
 少年矯正につきましてはこれまでも個々の少年の特性に応じてそれぞれ処遇方法あるいは教育内容等をいろいろ工夫し、またその制度の体系化とかいろいろ考えてやってまいりましたけれども、引き続き個々の少年に対する教育の必要性に応じた処遇の個別化を一層推進しまして適切に対応していきたいと考えております。
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小川敏夫#24
○小川敏夫君 あと、東京少年鑑別所におきまして今少年の非行問題に関して一般相談、ここは練馬ですので、ねりま青少年心理相談室と、このような施設というか施策を用いて、その収容されている少年の鑑別だけでなくて、地域住民の、あるいは地域社会のそうした少年非行問題に対処しているというようなお話をお伺いしまして、私は非常に前向きで有意義なあり方ではないかと思っております。私は練馬に住んでおりますが、この東京少年鑑別所がそのような相談室を開いていること自体それまで知りませんでした。
 ですから、こうした有意義な前向きな方策はさらに進めるとともに、やはり地域に対する広報というものも含めて充実していただきたいと思っておりますが、その点についてお考えをお聞かせいただければと思います。
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鶴田六郎#25
○政府参考人(鶴田六郎君) お答えいたします。
 ただいま委員の方から御指摘がございましたように、少年鑑別所は主として家庭裁判所から観護措置決定によって送致されました少年を収容して資質鑑別を行うのが主な職責となっておりますけれども、こうした専門的な知識等を活用しまして地域社会における少年の健全育成に資することも一つの仕事であろうということから、これまでもいろいろそういった一般社会から少年にかかわる鑑別とか相談、その多くは生活診断とかあるいは運転適性検査等でございますが、中には非行あるいは家出とかいうことに対していわゆる心理相談というようなことで応じてきたわけでありますけれども、引き続きそういった面についても努力していきたいというふうに考えております。
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小川敏夫#26
○小川敏夫君 次に、検察官関与あるいは事実認定の問題について触れさせていただきます。
 私は、検察官関与という問題について考えますと、どうしても今回のこの改正案の制度で不安をぬぐい去ることができない。
 その一つは、一つというか根本は、観護措置期間というものを短ければ短いほどいいということで最長八週間にしておるわけです。
 先ほど佐々木委員の質問にもありましたが、成人の事件であれば二年も三年もかかるというものを、少年であるがゆえに非常に急いで、観護措置期間も短くして、その間に解決するんだということでした。そういう意味で、少年の身柄拘束が短いということそれ自体は非常に好ましいことだと思うんですが、ただそうして観護措置期間を短くして、その短い間にすべてを仕上げるために少年に不利益な形で、すなわち短い期間に検察官を関与させて少年に十分な防御とか弁解の機会を与えないで一気に強圧的に事実を決めてしまうんじゃないか、すなわち少年に非常に不利益な形で審判が進んでしまうのではないかというような不安を抱いております。
 そうした観点から質問をさせていただきますが、まず細かい事実関係で提案者にお伺いしますが、検察官関与をするこの検察官ですが、これは捜査に関与した、すなわち少年を直接取り調べをした検察官が今度は家庭裁判所に行ってそこに立会するということも可能なわけですね。
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麻生太郎#27
○衆議院議員(麻生太郎君) 調べた検察官が裁判所でもということですね。可能です。
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小川敏夫#28
○小川敏夫君 それから、検察官が複数関与することも可能なわけですね。
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麻生太郎#29
○衆議院議員(麻生太郎君) あり得るとは思いますけれども、基本的には一人だと思っております。
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