文部科学委員会

2018-04-06 衆議院 全146発言

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会議録情報#0
平成三十年四月六日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 冨岡  勉君
   理事 安藤  裕君 理事 神山 佐市君
   理事 亀岡 偉民君 理事 工藤 彰三君
   理事 鈴木 淳司君 理事 川内 博史君
   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君
      池田 佳隆君    石川 昭政君
      尾身 朝子君    大見  正君
      門山 宏哲君    木村 弥生君
      小林 茂樹君    下村 博文君
      田野瀬太道君    高木  啓君
      根本 幸典君    馳   浩君
      百武 公親君    船田  元君
      古田 圭一君    松本 剛明君
      三浦  靖君    宮内 秀樹君
      宮路 拓馬君    八木 哲也君
      櫻井  周君    日吉 雄太君
      山本和嘉子君    源馬謙太郎君
      長島 昭久君    西岡 秀子君
      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君
      平野 博文君    畑野 君枝君
      串田 誠一君    吉川  元君
    …………………………………
   文部科学大臣       林  芳正君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房長) 藤原  誠君
   政府参考人
   (文部科学省生涯学習政策局長)          常盤  豊君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育局長)          高橋 道和君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君
   政府参考人
   (文化庁次長)      中岡  司君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    宮嵜 雅則君
   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君
    —————————————
委員の異動
四月六日
 辞任         補欠選任
  上杉謙太郎君     三浦  靖君
  櫻田 義孝君     門山 宏哲君
  宮川 典子君     木村 弥生君
同日
 辞任         補欠選任
  門山 宏哲君     櫻田 義孝君
  木村 弥生君     宮川 典子君
  三浦  靖君     百武 公親君
同日
 辞任         補欠選任
  百武 公親君     上杉謙太郎君
    —————————————
四月六日
 学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(西岡秀子君紹介)(第七七二号)
 同(佐々木隆博君紹介)(第八〇六号)
 同(櫻井周君紹介)(第八〇七号)
 同(山本和嘉子君紹介)(第八四〇号)
 同(宮本岳志君紹介)(第八六六号)
 同(吉川元君紹介)(第八六七号)
 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(井出庸生君紹介)(第七七三号)
 同(下条みつ君紹介)(第八三九号)
 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(小川淳也君紹介)(第七七四号)
 同(階猛君紹介)(第八〇四号)
 同(長尾敬君紹介)(第八〇五号)
 同(土屋品子君紹介)(第八六四号)
 同(吉川元君紹介)(第八六五号)
 障害児学校の設置基準策定に関する請願(小川淳也君紹介)(第七七五号)
 国の責任による三十五人学級の前進、教育の無償化、教育条件の改善を求めることに関する請願(近藤昭一君紹介)(第八五一号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
     ————◇—————
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冨岡勉#1
○冨岡委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房長藤原誠君、生涯学習政策局長常盤豊君、初等中等教育局長高橋道和君、高等教育局長義本博司君、文化庁次長中岡司君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長宮嵜雅則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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冨岡勉#2
○冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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冨岡勉#3
○冨岡委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林茂樹君。
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小林茂樹#4
○小林(茂)委員 皆様、おはようございます。自由民主党の小林茂樹でございます。
 まず、本日は、このような質問の貴重な機会をいただきましたことを皆様方に御礼申し上げます。
 私の選挙区は、奈良市、生駒市、奈良一区でございます。地元の話題を少し冒頭申し上げながら、今回議題となっております著作権法の一部を改正する法律案について順次質問をしてまいります。
 先月、三月二十四日でございますが、私の地元奈良で平城京歴史公園が装い新たにオープンとなりました。池に浮かぶ遣唐使船がこの目玉でございます。これは、二〇一〇年の平城京遷都千三百年祭に続く第二弾の大きなイベントと言えるものでございますが、私が事務所を構えております近鉄奈良線大和西大寺駅、この駅が最寄り駅でございますが、この駅から会場の朱雀門ひろばまで実際には徒歩で二十分かかります。大きなイベントを行う際にはシャトルバスやバス、タクシー等も運行されるわけでありますが、少々時間がかかるということで、民間事業者が工夫をされまして、シェア自転車の導入が既に実験的に始まっております。
 歩くにはやや遠いということで、最寄りの西大寺駅と朱雀門前ひろばを往復するシェア自転車、さらには、この近辺にあります海龍王寺や法華寺、そういったところにも少し足を延ばすことが可能となっておりますが、このシステム、スマホで本人確認をする、そして料金についても、スマホで料金が課金されるというシステムである、どのぐらいの距離をどの方向に乗っていったかということまでがデータ化されていく、どんどん進化している、そういうシステムでございますが、IoT、全てのものがインターネットでつながるという意味においては、このシェア自転車システムも一つのIoTの実現化されたものであろうかと思っております。
 我が国は、IoT、ビッグデータ、人工知能、AIなどの第四次産業革命と呼ばれるイノベーションを通じてさまざまな社会的課題を解決するソサエティー五・〇の実現を掲げています。これを実現していく上で、新たな価値を生み出すために、我が国に眠っている情報をいかに活用していくかということが重要になります。その際、著作権で保護されている著作物についても、表現された価値の高い情報をさまざまな形で生かしていくことが考えられますが、著作権の取扱いが過度な制約にならないようにする必要があります。
 今回は、平成二十一年、平成二十四年に続く改正でございますが、一つのポイントは、どのようにこの過度な制約を明文化していくかということになろうかと思います。
 一方、我が国は、世界で活躍する著作者、クリエーターを多く輩出しており、漫画、アニメなどのコンテンツが多くの国で受け入れられています。産業構造の成熟した我が国においては、世界に誇る文化立国として、文化的潜在力を最大限に発揮できるようにし、文化を通じて新たな価値を創出していくことは、我が国の経済的な豊かさと精神的な豊かさの両方を獲得していくことにつながります。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、こうした我が国の文化的価値を発信していくチャンスでもあり、我が国の著作者、クリエーターの創造活動をしっかり守っていくということが重要となってまいります。
 著作権法の果たす役割は、大きく保護と利用の二点であります。まず、文化的財産である著作物を守り、適切に流通させる。そして、時代の変化に応じて利用環境を見直し、情報を価値あるものとして生かしていくことであります。その意味で、今回の柔軟な権利制限規定の整備は、経済と文化の両面から、我が国の競争力を高めるために重要な意味を持つものと考えられます。
 情報通信技術の進展に対応した新たな著作物の活用形態にも対応できるよう、著作者、クリエーターをしっかりと保護しつつ、適切に権利制限規定の柔軟化を図っていく、今回の改正がそのような改正でありますことが望まれます。
 それでは、早速質問に入ります。
 柔軟な権利制限規定、総論、各論、そして第四十七条の五にある軽微利用等とはどのようなものであるのか、そして教育の情報化の部分、大きくこのように分かれると思います。
 まず、政府案における柔軟な権利制限規定について、林大臣にお尋ねをいたします。柔軟な権利制限規定について、立法趣旨及び制度設計の考え方についてまずお聞かせください。
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林芳正#5
○林国務大臣 現在、我が国では、ビッグデータや人工知能等の第四次産業革命に関する技術を活用したイノベーションの創出が大いに期待をされておるところでございますが、現行法の権利制限規定には、委員からも今お話がありましたように、要件が一定程度具体的に定められているものがございまして、その要件から外れるような新たな利用方法が生まれた場合に、著作権侵害となるおそれが指摘されてきたところでございます。
 こうした状況を受けまして、産業界等から、イノベーションの創出のため、新技術を活用した新たな著作物の利用にも権利制限規定が柔軟に対応できるようにすることが求められてきた、こういうことから、抽象度を高めた柔軟性のある権利制限規定を整備することとしたものであります。
 検討に当たりましては、文化審議会におきまして、我が国の企業等の法令遵守意識や、国民の著作権に対する理解の程度、我が国の損害賠償制度を始めとする司法制度、環境等を踏まえ、規定の柔軟性を高めることは我が国にどのような効果と影響を及ぼすこととなるか、立法府と司法府の役割分担はどのようにあるべきか等という観点から検討を行ったところでございます。
 その結果、文化審議会では、現在の日本の諸状況を前提といたしますと、将来の変化への柔軟な対応を可能とすることと、法の明確性、予測可能性を確保するということのバランスをとるために、複数の規定による多層的な対応を行うことが最も望ましいとされたところでございます。
 今回の改正案では、文化審議会のこのような検討結果を踏まえまして、権利者に及び得る不利益の度合い等に応じて行為類型の分類を行った上で、そのうち、通常、権利者の利益を害さない行為類型、それから権利者に与える不利益が軽微な行為類型について、産業界等から寄せられたニーズに対応可能であり、かつ、適切な柔軟性を備えた規定を整備することといたしました。
 具体的には、まず、通常、権利者の利益を害さない行為類型につきましては、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用や、電子計算機における著作物の利用に付随する利用等を広く権利制限の対象とする規定、新第三十条の四、新第四十七条の四でございます。
 それからもう一つは、権利者に与える不利益が軽微な行為類型については、著作物の所在検索サービスや情報分析サービス等、電子計算機による情報処理の結果の提供の際、著作物の一部を軽微な形で提供する行為を広く権利制限の対象とする規定、新第四十七条の五を整備することとしたところでございます。
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小林茂樹#6
○小林(茂)委員 さまざまな時代の変化に対応する産業界からの要請があった、もともと、元来そういう課題があったということであります。
 大変複雑、難しい構造でありますので、ちょっと私も資料を用意させていただきまして、委員にお配りをいたしております。資料の一にそのあたりが表現をされているかと思いますが、今回の改正案に盛り込まれている柔軟な権利制限規定、これを整備することによって、我が国にはどのような効果が生まれることを見込んでいるのか、お聞かせください、林大臣。
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林芳正#7
○林国務大臣 今回の改正案は、AIやビッグデータを活用したイノベーションにかかわる著作物の利用ニーズのうち、著作物の市場に大きな影響を与えないものについて、相当程度柔軟性を確保する形で、著作物の利用の円滑化を図るものとなっております。
 具体的には、今回の改正案によりまして、委員がお示しいただいた資料にもございますが、例えば、AI開発のための深層学習、サイバーセキュリティー確保のためのソフトウエアの調査、解析、書籍の検索サービスなど多様な情報の所在の検索サービス、また論文の剽窃の検証サービスなどコンピューターによる情報解析の結果を提供するサービスなど、通常、権利者に不利益を及ぼさないもの、若しくは権利者に及ぼし得る不利益が軽微なものにとどまる形で、著作物の利用行為が行われるさまざまなサービス等の提供が可能となるところでございます。
 今回の改正によりまして、第四次産業革命のためのイノベーションに我が国の企業が安心してチャレンジできる環境が整うことになります。我が国の産業競争力の強化に大きく資するものになる、こういうふうに考えております。
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小林茂樹#8
○小林(茂)委員 イノベーションの創出のために権利制限規定の柔軟化を図っていくという議論の中では、しばしば、インターネット情報検索サービスについて、国産のサービスが育たず、米国のグーグルが日本において大きなシェアを占めることとなった主な要因として、日本の著作権法の不備があったことが指摘されています。また、近年では、論文剽窃検証サービスについても、著作権法のために日米のサービスに優劣がついているとの指摘がございます。
 これらの指摘について、政府としてはどのように捉えておられますでしょうか。
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中岡司#9
○中岡政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、インターネット情報検索サービスの発展と著作権法との関係につきましては、今般の文化審議会における検討に際しまして、あわせて検証をさせていただきました。
 その結果、昨年、平成二十九年の文化審議会著作権分科会の報告書の中で、まず、我が国でこのサービスに関する権利制限規定が整備された二〇一〇年の相当前の一九九〇年代から、日本の企業等におきまして、著作物の複製等を伴うロボット型の検索エンジンの事業が実施されておりました。これらは、権利者の事前の許諾を得ていたとは認められていないということがございます。また、事業の実施当時、日本のロボット型の検索サービスの事業者におきまして、著作権法との関係を問題視していたという事実は確認されておりません。また、文化庁に対します法改正要望も二〇〇七年になるまで寄せられていないという事実がございます。さらに、国内の検索サービス事業者は、二〇〇〇年代に自社サービスから米国産の検索エンジンとの提携に切りかえを行っているところ、その理由といたしまして、米国産の検索エンジンの技術力を評価した旨を掲げている等の事実が指摘されたところでございます。
 そして、この報告書におきましては、こうした前提となります事実認識の誤認があるということや、インターネット検索サービスの我が国の発展の経緯等の事実から、権利制限規定がなかったことが我が国における検索エンジンサービスに全く影響がなかったとまで断ずることはできないにしても、米国産の検索エンジンが我が国において大きなシェアを占めた要因を権利制限の未整備に帰する合理性を見出すことはできなかったとされておりまして、この報告書で指摘された事実に基づくそのような評価には合理性があるものと考えております。
 また、議員お尋ねの論文剽窃検証サービスの件でございますけれども、米国におきましては、同サービスを利用する学校の生徒の論文をデータベースに蓄積することにつきましてフェアユースと認められた事案がございますが、出版物や学会誌など、市場に提供されている著作物につきましてフェアユースと認められた事実があるとは承知はしておりません。
 例えば、米国企業によるサービスでございますアイセンティケイトでは、出版社との提携によりまして五千万件、文献データベースとの提携で一億一千万件の文献を論文剽窃サービスのために用意しているとされておりまして、我が国との比較におきまして、こういった米国のサービスにおけるデータベースの充実は、主に契約によって実現されているものと考えられております。
 いずれにいたしましても、検索エンジンサービスや論文剽窃検証サービスを始め、国民生活の利便性の向上に寄与するサービスであって、かつ権利者に及ぼす不利益が軽微なものにつきまして、適切な明確性を確保しつつ、将来のサービスの発展に対応できるような柔軟性のある権利制限規定を整備していくことは重要だと考えております。
 そのため、今回の改正案におきましては、著作物の所在検索サービスや情報解析サービス等における軽微な著作物の利用を幅広に対象とする権利制限規定を整備することといたしております。
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小林茂樹#10
○小林(茂)委員 明文化をしていくという方向だということでございます。
 少し法律の条文に入ってまいります。改正法の三十条の四、これは資料の二につけさせていただきました。改正案第三十条の四の部分でございます。大体二行目から三行目あたりに書かれておるわけで、その部分でございます。柔軟な権利制限規定の個々の条文について、具体的な内容を聞いてまいります。
 まず、改正案三十条四の規定の趣旨と、著作物に表現された思想又は感情の享受とはどのようなことを意味するのか、教えてください。
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中岡司#11
○中岡政府参考人 お答え申し上げます。
 この三十条の四の中に享受という文言が入っておりますけれども、ある行為がこの三十条の四に規定をいたします著作物に表現された思想又は感情の享受に当たるか否かは、著作物等の視聴等を通じまして、視聴者等の知的又は精神的欲求を満たすという効用を得ることに向けられた行為であるか否かという観点から判断されるものでございます。
 著作権法の制度のもとでは、著作物に表現されました思想又は感情の享受を目的としない行為につきましては、著作物に表現された思想又は感情を享受しようとする者からの対価回収の機会を損なうものではなくて、著作権法が保護しようとしている著作権者の利益を通常害するものではないと考えられるために、当該条項につきましては、原則として、権利制限の対象とすることが正当化できるものと考えられております。
 このため、新しい三十条の四におきましては、この趣旨が妥当する場合を広く権利制限の対象とするべく、著作物に表現される思想又は感情をみずから享受し又は他人に享受させることを目的としない場合を権利制限の対象とするものでございます。
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小林茂樹#12
○小林(茂)委員 映画を例に挙げます。
 人を感動させるような映像表現の技術の開発を目的とする、こう言えば、多くの一般人を招待して映画の試験上映会を行うことも可能となるのでしょうか。まさしく、へ理屈のようでありますが、享受目的とそうでない場合の境界が曖昧だと、実際は映画を楽しんでいるような場合も権利者に無断で使われてしまい、著作物のビジネスを阻害することにならないでしょうか。いかがでしょうか。見解をお聞かせください。
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中岡司#13
○中岡政府参考人 お答えいたします。
 委員、具体的な事柄に即して、この三十条の適用関係についての御質問だと考えておりますが、ある行為が、著作物に表現された思想又は感情を享受する目的で行われたものか否かの認定は、最終的には司法の場での具体的な判断となりますけれども、その認定に当たっては、行為者の主観に関する主張のみが考慮されるわけではなくて、実際の利用行為の態様や利用に至る経緯などの客観的、外形的な状況も含めて総合的に考慮されるものと考えられます。
 この点、仮に、行為者が、技術開発の試験のために映画を上映していると称していたとしても、客観的、外形的な状況を踏まえますと、当該映画の上映を通じて、視聴者等の知的、精神的欲求を満たすという効用を得ることに向けて上映行為が行われているとするのであれば、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない行為には当たらないとの認定がなされるものと考えられます。
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小林茂樹#14
○小林(茂)委員 権利は守られるというふうに解釈をいたしました。
 新第三十条の四では、大量の写真等の著作物を用意してAIに学習させることが権利制限の対象になると理解しておりますが、この規定によって、これから先進的なAIの開発に取り組もうとする企業の法的なリスクを解消するものとなることを期待しております。
 そこで、一点確認いたします。
 AIの開発については、AIが学習するためのデータの収集と学習用のデータを用いたAI開発を複数の事業者の協業、分業で行うニーズがあると聞いておりますが、AI開発を行う第三者にデータを提供することも今回の改正案では可能となるのでしょうか。
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中岡司#15
○中岡政府参考人 お答えいたします。
 委員お配りの資料の一番の上のポンチ絵にかかわるような話になるわけでございますけれども、著作権法の目的は、通常の著作物の利用市場であるところの人間が享受するための市場における対価回収機会を確保することにあると考えられますことから、今般の第三十条の四における享受は、人が主体となることを念頭に置いて規定をしております。すなわち、人工知能、AIが学習するために著作物を読むなどすることは、本条に言う著作物に表現された思想又は感情を享受することには当たらないものとの前提で規定を設けているところでございます。
 したがいまして、人工知能、AIの開発のための学習用データとして著作物をデータベースに記録する行為は、著作物に表現された思想又は感情を享受することを目的としない行為に当たって、本条による権利制限の対象となるものと考えられます。
 また、収集した学習用データを第三者に、これは連携してやっていく場合でございますけれども、第三者に提供していく行為につきましても、当該学習用データの利用が人工知能の開発という目的に限定されている限りは、著作物に表現された思想又は感情を享受することを目的としない著作物の利用に当たって、本条による権利制限の対象となるものと考えております。
 もっとも、適法性を確保するためには、データの提供に当たりまして、データの提供者が提供を受ける者に対しまして、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的として使用されることがないようにあらかじめ確認をしているということが求められるものと考えられます。
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小林茂樹#16
○小林(茂)委員 可能となるということでございます。
 続いて、新聞記事を資料三につけさせていただきました。「サイバー攻撃対策」という表題がございますが、この新聞記事、わかりやすく説明されておりますので、参考につけさせていただきました。
 文化庁の回答では、三十条の四では、ソフトウエアの調査、解析も今回の柔軟な権利制限の対象となるということでしたが、最近、サイバーアタックにより巨額のビットコインの流出が起こったとの報道もございました。社会の情報化の進展によって社会のさまざまな活動がネットワークを介して行われるようになっております今日において、サイバーセキュリティー技術の向上は、企業や個人のみならず、国家安全保障の観点からも重要であります。
 サイバーセキュリティー対策のために、ソフトウエアの調査、解析の過程で、ソフトウエアのいわゆるリバースエンジニアリング、つまりコンピューター用の言語を人間が理解できる言語に変換する処理を行う、このことは今回の柔軟な権利制限の対象となるのか、どのように条文を解釈したらいいのか、教えてください。
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中岡司#17
○中岡政府参考人 お答えいたします。
 改正案の取りまとめに先立ちまして、制度設計のあり方につきまして文化審議会で審議を行いました。平成二十九年の審議会の著作権分科会の報告書におきましては、表現と機能の複合的性格を持つプログラムの著作物、これにつきましては、対価回収の機会が保障されるべき利用は、プログラムの実行などによるプログラムの機能の享受に向けられた利用行為であると考えられると整理されております。
 改正案におきましては、これを踏まえまして法制化を行ったものでございまして、委員御指摘のリバースエンジニアリングと言われるようなプログラムの調査、解析目的のプログラムの著作物の利用は、プログラムの実行などによってその機能を享受することに向けられた利用行為ではないと評価されるものでございますので、新三十条の四の著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用に該当するものと考えております。
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小林茂樹#18
○小林(茂)委員 AI開発を始め、著作物の市場を害さないさまざまなニーズに対応できることは望ましいと思います。
 一方、利用できる範囲が大幅に広がることによって、現在想像できないようなさまざまな行為も可能となってしまい、その中には、著作権者に不測の不利益を及ぼすようなことも出てくることにはならないでしょうか。
 今回の柔軟な権利制限規定が予測の難しい将来の状況変化に柔軟に対応するためのものであるならば、著作権者に許諾なく利用できる範囲を広げるという方向だけでなく、著作権者の利益を守るという方向でも柔軟な仕組みとしていく必要があると思いますが、これについてはいかがでしょうか。
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中岡司#19
○中岡政府参考人 お答えいたします。
 新第三十条の四におきまして権利制限の対象となります著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない行為につきましては、著作権法が保護しようとしている著作権者の利益、すなわち、著作物に表現されました思想又は感情を享受しようとする者からの対価回収機会を通常害するものではないというものと考えております。そのために、当該行為によりまして権利者の利益が不当に害されることは基本的にはないものと考えております。
 もっとも、技術の進展等がございまして、現在想定されない新たな利用態様があらわれる可能性もございますし、著作物の利用市場もさまざま存在いたしますので、新三十条の四が対象とする行為によりまして著作権者の利益が不当に害されることがないように、著作権者の利益が不当に害されることとなる場合はこの限りではないとのただし書きを設けております。
 このただし書きによりまして、著作権者の利益を不当に害する行為につきましては権利制限の対象とならないものと考えておりますので、将来の状況変化によりまして著作権者に不利益を与えることがないように十分に配慮した制度となっているものと考えております。
 このようなただし書きを置くことは、著作権の制限に当たりまして著作者の正当な利益を不当に害しないこと等を条件とすべき旨を定めております国際条約でございますベルヌ条約等の要請に応えるという観点からも必要なものと考えております。
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小林茂樹#20
○小林(茂)委員 安全面が用意されたということです。
 これに関連して、例えば、情報解析を行う者に利用してもらうために、販売されているデータベースを購入せずに無断で利用するということは認められるのでしょうか。教えてください。
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中岡司#21
○中岡政府参考人 お答えいたします。
 著作権者の利益を不当に害することとなる場合に当たるか否かは、他の規定、先ほどの三十五条の第一項等と同様に、著作権者の著作物の利用市場と衝突するか、あるいは将来における著作物の潜在的市場を阻害するかという観点から、最終的には司法の場で具体的に判断されることになります。
 この点、現行の四十七条の七でございますが、これは、電子計算機による情報解析のための複製は、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的とするものではなくて、著作権者の利益を通常害するものではないと考えられたことから、原則として権利制限の対象とすることとする一方で、情報解析を行う者の用に供するために作成されましたデータベースの著作物を複製する場合には、この当該複製が、当該データベースの提供に関する別途市場がございますので、その市場と衝突をし、著作権者の利益を不当に害することとなる可能性が高いと考えられましたことから、例外的に権利制限規定を適用しないこととした趣旨であると考えられます。
 新三十条の四におきましても、このような考え方は基本的には変わらないものと考えられますことから、著作権者が自己が著作権を保有する大量の著作物を容易に情報解析できる形で整理したデータベースを提供している場合に、当該データベースを情報解析を行う目的で著作権者に無断で複製する等する行為は、当該データベースの提供に関する市場と衝突するものとして、著作権者の利益を不当に害することとなる場合に当たるものと考えております。
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小林茂樹#22
○小林(茂)委員 第四十七条の五を話題といたします。
 インターネットで無償で一般公開されている著作物だけでなく、市販の書籍などの商業的な著作物も対象となっているということですが、過度な利用がなされた場合、著作物の市場を大きく損なうことにならないか、教えてください。
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中岡司#23
○中岡政府参考人 四十七条の五についてのお尋ねでございます。
 四十七条の五におきまして、著作物の外部への提供、提示は、所在検索サービスや情報解析サービス等の目的上必要な限度で行うということがございますし、また、その結果の提供等に付随する利用であるということ、さらに、軽微な利用であること、そして、権利者の利益を不当に害しないこと等の要件を満たした場合にのみ権利制限の対象となります。
 一番目と二番目の要件によりまして、著作物の提供は、検索により求める情報を特定したり、その所在を明らかにしたりするための情報を提供する行為や情報解析の結果を提供する行為の目的上必要な限度、すなわち、サービス利用者がこうした情報処理の結果が自己の関心に沿うものであるか否かを確認できるようにしたり、その信憑性、信頼性を証明したりする上で必要な場合に、その限度で情報処理の結果の提供等に付随して行われるものに限定をされまして、こうした目的を離れて独立して著作物の提供を行うことは認められません。
 また、三つ目、四つ目の条件、軽微な利用である、あるいは利益を不当に害しないという要件によりまして、表示される著作物の質、量等の面でも軽微なものであって、かつ権利者の利益を不当に害しないものに限られます。
 これらの要件によりまして、形式的には、所在検索や情報解析の結果とともに著作物が表示されるサービスでありましても、その表示等が一般的に利用者の有している当該著作物の視聴にかかわる欲求を充足することになって、そのオリジナルの著作物の視聴等に係る市場に悪影響が及ぶような場合は、例えば、言いかえれば、いわばコンテンツ提供サービスと評されるような場合につきましては、本条の権利制限の対象とならないものと考えております。
 このように、新四十七条の五におきましては、著作物の市場等に悪影響が及ぶような場合は権利制限の対象とならないように、十分な制度的な担保が図られてくるものと考えております。
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小林茂樹#24
○小林(茂)委員 検索結果提供のことでございます。
 軽微な利用といった、これまで存在しなかった要件が設定されていますが、軽微利用は、現行四十七の六にある必要と認められる限度と同様のものであり、現在適法とされているインターネット検索のための結果の提供が、改正によって違法になるということはございませんか。
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中岡司#25
○中岡政府参考人 現行の四十七条の六でございますが、インターネット検索サービスを対象とした規定でございまして、URLの検索結果の提供のために必要と認められる限度で著作物の送信を認める旨が規定されております。
 この条は、既に広く提供されておりました当該サービスにつきまして、当該サービスにおける著作物の利用の態様を踏まえて、その適法性を明確化するために制度の整備を行ったものでございます。
 具体的には、インターネット検索サービスにおきましては、検索結果といたしまして、ウエブサイトのタイトルやURLとともに、そのウエブサイト内の文章を数行程度、いわゆるスニペット表示をする、あるいはサムネイルと呼ばれる小さなサイズに縮小された画像を表示したりすることが慣行として行われておりました。
 現行の四十七条の六は、インターネット検索サービスの目的が、著作物の提供自体を目的とするものではなくて、利用者に著作物の所在情報を提供することによってオリジナルのウエブサイトへ誘導することを目的とするものであることと、それから、さきに申し上げましたけれども、著作物の利用態様を踏まえますと、このサービスのために必要な限度で行われる著作物の表示は軽微なものにとどまりますことから、著作権者の利益に悪影響を及ぼさないと判断をし、権利制限を行ったものであると考えられます。
 したがいまして、現行四十七条の六に規定する、インターネット検索サービスにおけるURLの検索結果の提供のために必要と認められる限度の利用は、新四十七条五の軽微の要件を満たすものと考えております。
 なお、四十七条の五におきましては、インターネットにアップされている情報に限らず、書籍とか映画とか音楽など、幅広い種類の著作物の検索サービス等を新たに権利制限の対象とするものでございまして、必要と認められる限度と書いただけでは、サービスの慣行も存在しない中で、著作物の表示が軽微なものにとどまることが担保されなくなってしまうことから、軽微という要件を明記することとしたものでございます。
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小林茂樹#26
○小林(茂)委員 話題をかえますが、著作者に対して一定の対価を還元する、これを補償金というんですが、この補償金の徴収及び分配、どのような団体が担うのか、あるいはこの補償金額はどのようにして決定されるのか、教えていただきたいと思います。
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林芳正#27
○林国務大臣 教育の情報化に関する権利制限規定の整備も盛り込んだところでございますが、学校の非営利教育機関における著作物利用の円滑化を図るために、授業の過程で使用するための著作物の複製と複数の教室を中継して行う遠隔合同授業のための公衆送信、これは権利制限の対象となっており、無許諾で著作物の利用を行うことができますが、Eラーニング等のための著作物の公衆送信は権利制限の対象となっておらないわけでございます。三十五条でございます。
 このため、Eラーニング等のための著作物の公衆送信について、権利処理上の課題等から円滑に著作物の利用が行えないとして、教育関係者から権利制限規定の整備等が要望されておりました。これを受けて、今般の改正案では、学校その他の非営利教育機関の授業の過程で行われる著作物の公衆送信のうち、現行法上、権利制限規定の対象となっていないものについて、一元的な窓口への補償金の支払いを条件として、新たに権利制限の対象とするものでございます。
 これにより、教育機関でのICT活用教育において、一定の補償金により権利者の得るべき正当な対価を還元しながら、円滑に著作物が利用できるようになり、ICT活用教育の推進及び文化の発展に資することが期待をされておるところでございます。
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小林茂樹#28
○小林(茂)委員 最後の質問になりますが、教育の情報化の推進に関連して、教育政策の観点から質問いたします。
 特別支援学校に通う子供たちはさまざまなハンディキャップを抱えていますが、そうした特性を持つ子供たちの学びを豊かなものにするために、ICTの活用は有効なものと考えますが、文部科学省の取組、考え方について林大臣に伺います。
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林芳正#29
○林国務大臣 特別支援教育におきまして、それぞれの障害の状態や特性等に応じてICTを活用するということは、各教科や自立活動等の指導においてその効果を高めることができる点で極めて有用であると考えております。
 公立学校におけるICT環境整備につきましては、教育のICT化に向けた環境整備五カ年計画、これは二〇一八年から二〇二二年度まででございますが、この計画に基づきまして、三クラスに一クラス分程度の学習者用コンピューターの整備に必要な経費も含めまして、単年度千八百五億円の地方財政措置を講じることとされております。
 さらに、文科省において、ICTを含めた支援機器等の教材の活用に関する調査研究、また、ICTを効果的に活用した指導方法に関する実践研究、教科書デジタルデータを活用した拡大教科書、音声教材等の普及促進等に取り組んでおるところでございます。
 引き続き、特別支援教育におきましてICTが効果的に活用されるよう、必要な取組を行ってまいりたいと思っております。
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