水産委員会

1954-09-06 参議院 全79発言

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会議録情報#0
昭和二十九年九月六日(月曜日)
   午前十時四十五分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     小林 孝平君
   理事
           千田  正君
   委員
           剱木 亨弘君
           高橋  衛君
           島村 軍次君
           森崎  隆君
  国務大臣
   外 務 大 臣 岡崎 勝男君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       岡  尊信君
   常任委員会専門
   員       林  達磨君
  説明員
   厚生省公衆衛生
  局環境衛生部長  楠本 正康君
   水産庁長官   清井  正君
   国立東京第一病
   院内科医長   小山 善之君
  —————————————
  本日の会議に付した事件
○水産政策に関する調査の件
 (ビキニ被爆訴件に関する件)
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小林孝平#1
○委員長(小林孝平君) 只今より水産委員会を開会いたします。
 ビキニ被爆事件に関する件を議題に供します。只今出席のかたは清井水産庁長官であります。なお安藤国務大臣並びに岡崎外務大臣は後刻見えられるはずであります。
 なおこの際第五福龍丸の無線長久保山愛吉君をお見舞に参りましたので、そのことを簡単に御報告申上げます。
 一昨日の委員会で皆さんの御賛同を得ましたので午後一時半私と千田委員、森崎委員が委員会を代表いたしまして東京第一病院に久保山君を訪問いたしました。もとより本人は面会謝絶となつておりますので院長室に坂口院長、栗山副院長、小山内科院長、熊取主治医に久保山君の母親しゆんさん、妻すずさん、長女みや子さんなどに親しくお見舞を申上げた次第であります。我々といたしましては、これらのかたがたに対しましてすでに原爆事件発生以来何十回か水産委員会を開いて一般の被害に対する損害補償の問題や患者に対する手当、医療費のこと、家族の生活援護のことなど政府を督励して来たこと、又最近に至つて久保山君の病状が悪化したということで、水産委員のかたがたが非常に心配されて、本日も特に水産委員会を開いて安藤国務大臣を初め、政府の各方面の係官の出席を求め久保山君の病状を中心にいろいろと検討を重ねたのでありますが、この結果皆さんの総意が期せずして先ずお見舞を申上げようということになりまして、我々が全員を代表してお見舞に伺いました。
 右の旨を我々三委員から屡々申述べまして慰問したのであります。これに対して母親しゆんさん及び要すずさんから、本当に感激した心からの謝辞が述べられまして、委員各位によろしくお伝え下さるようとのことでありまして、この点特に御報告申上げておきます。なお坂口病院長初め医師のかたがたから病状の経過についているくとお話がありましたが、大体新聞等に報道されている通りでありますので、特に申上げません。ただ奇蹟的に意識を取戻したということで、家族はもとより、病院当局も愁眉を開いておりますので、我々も共に喜び合つたわけでありますが、まだなかなか楽観を許さないことは言うまでもありませんので、くれぐも万全を期せられるように申上げて引揚げた次第であります。
 それから皆さんの御芳志は、お見舞として金一封を妻のすずさんに差上げておきました。この点御了承を願います。
 先ず最初に、この前の委員会で問題になりました、最近の漁獲物に放射能による汚染が相当認められまして、廃棄される漁獲物は相当多量にあるということでありますので、この状況について、水産庁当局から御説明を願いたいと思います。
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清井正#2
○説明員(清井正君) 廃棄の問題は、直接は厚生省でいたしておりますので、厚生省の係官からもなお正確にお話を申上げる機会があろうかと思うのでありますが、私が知つております限り御説明申上げたいと思います。御承知の通り只今我が国で南方から帰りましたまぐろ漁船について検査をいたしまして、一定限度以上のものを廃棄いたす措置をいたしておるのでございますが、初め四月、五月、六月とだんだん、だんだんと減る傾向をずつと示して参りまして、七月がずつとその一番最低というふうに考えられておつたのであります。例えて申しますというと、七月にはたしか千二百五十三貫の廃棄をいたしました。廃棄に相当する船は十七隻だつたと思うのでありますが、その後八月にいきますと、これ又少し上昇をいたして参りまして、八月一ぱいではたしか一万七千六百貫、三十隻に相当する分の廃棄があつたように報告を受けておるのであります。又最近ときどき廃棄をいたしておるようでありますが、そういうふうに七月にずつと下つて参りましたのが、八月になつて又上り気味になつたという傾向でありまして、今までの廃棄総数は大体において六万七千貫くらい廃棄をいたしておりまして、その該当する船は三百三十一隻ということになつおるのであります。ただこれが廃棄数は六万七千貫でありますが、検査総数量に対してどのくらいの割合になつておるかということでありますが、これ又厚生省より詳しくお話があろうか思いますが、私のところでわかつております。数字は、大体四月が〇・五%、五月が〇・一八%、六月が〇・三五%というような傾向でありまして、七月以降ちよつと数字ははつきりしておりませんが、いずれにいたしまても〇・二%か〇・三%、そのくらいのものではなかろうかと想像をいたしておるのであります。
 先般俊鵬丸が調査して参りました直後に簡単な報告をいたしてありますが、そのときにおきましては、いわゆる北赤道流が一番汚染度が強くて、次いで南部の赤道反流、次いで南赤道流、こういうような順序であるという程度の報告は申上げてあるのでありますが、この廃棄いたしてあります漁船り漁獲物その他等を調べましても、非常にまちまちでございますが、大体北赤道流乃至赤道反流を通ずるトラック島附近で獲つたものが相当多い、こういうようなことが言われておるのであります。いわゆる現地から大分西側でのります。そこら辺が大体北赤道流と外道反流との潮目になつておるような川で、割合にプランクトンの発生の多い所で魚群も集まる、こういうように専門家は言つておるのでありますが、そういうようなことが報じられておるのであります。魚も大体その種類にいたしましても、大体きはだとか、或いはばしようかじき、或いはくろかわじ、というようなものが主なものでありまして、大体においてそういつた赤道流を中心とし、その赤道反流大部分が被爆現地から西側のほうに多いというようなことが大体の現象のようであります。併しこれ又一般的にこうだろうということもなかなか推定することはうずかしいのでありまして、目下俊鵬丸の調査結果も検討いたしておることでありまして、なお九月一ばいかからなければ正確な結論も出しかねるというような状況でありますが、とにかく最近若干多い傾向になつておる。そこで我々の中の専門家の話では、恐らくこれはいわゆる放射能を持つたプランクトンを餌料とする魚を通じてのやはり影響であろう、こういうようなことを考えておるようであります。いずれにしろはつきりしたことを申上げられないのは甚だ残念でございますが、大体そんなようなことではなかろうかというふうに、水産庁における専門家は考えておるのであります。いずれ又厚生省のほうからも正確なお話があろうかと思いますが、私どもの考えております一端を申上げて御了解を得たいと思います。
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千田正#3
○千田正君 俊鵬丸が帰つて来てから、最近新聞紙上に伝えられるところによるというと、俊鶴丸の乗組員も、相当放射能によつて身体の状況が芳ばしくない、肝臓障害など見受けられるらしいというようなことが伝えられておりますが、俊鵬丸の乗組員の体の調子等によつても、診察、その他病院等においてそういう診療に入つたかどうかというようなことも、我々は疑問にしておるのですが、農林省としては、乗組員の一応の身体検査、並びにその後の体の調子如何によつては、何とか考えなければならないというふうに考えておられますか、或いは何かそういうことに対して処置をとつておられますか。
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清井正#4
○説明員(清井正君) 只今千田委員からお話がございました過日新聞紙上に一部あつたのでありますが、私も実はその新聞を見まして、早速調査いたしたのであります。俊鶴丸の航行中の調査につきましては、すでに御報告申上げておりましたが、専門家もおりましたし、医者も乗つておつたのであります。専門家の調査によりますと、殊に環境衛生担当の専門家の調査によりますと、空気の汚染も、雨水の汚染も問題とするに足らない、全然危険はないという結論だつたのであります。それから同行いたしておりました医者も、四回か五回それぞれ定期的に検査をいたしたのでありますが、何らの異状はないということで実は帰つて参つたのであります。我々といたしましては、万が一のこともあろうかと思いまして、いわゆる外部からのいろいろ入つて参りますものを漉す装置、気密装置というものを船の中に装置して参つたのでありますが、そういうことをする必要も全然ない、全然これは問題なかつたというのが結論になつております。ところが中に病人が出たというようなことが新聞に見えましたので、早速関係のところと相談いたしたのであります。確かに工合悪い人も一人二人あつたということはあるそうでありますが、果してそれが肝臓障害であるのか、或いは障害にいたしましても、どういう原因であるのかということは、全然わからないのであります。多少体の調子が悪いということはある、こういうことであります。而も担当の岩に聞きますと、自分としてはこれは全然放射能による影響とは思わない、ただ慣れない人が長期間船に乗つて苦労したのでありますから、いろいろその間に疲労等がありまして、それが或る程度残つておるということはあろうかと思われる、いずれにしろ専門家に診てもらつたらどうかということを注意しておいたということであります。私も、そういうことであればよく注意して、診てもらつたらいいだろうと思つております。又その後私どもも俊鶴丸の全乗組員に注意いたしております。専門家のほうにも注意いたしまして、若し工合が悪いということであれば、すぐ報告をよこせということを俊鶴丸の船長に言つておりますけれども、何も報告しておりません。一度念を押しましたが、皆元気であつて何ら異状がないということで、その点安心いたしておるのであります。ただ御承知の通り船の設備も十分いたしましたし、お医者さんも中に乗つてしよつちゆう検査いたしましたけれども、全然異常はないということであります。又検査そのものの結果におきましても、空気中も雨水も殆んど危険がない、問題になるほどでないということでありましたので、その点は一応私は安心いたしておりますけれども、何しろ大勢のかたが長い間葉つておられた結果、多少でも体の工合が悪いということであれば、これは必要によつては検査するということも必要ではないかというふうに私は感ずるのであります。そこで注意は怠つておりません。ただ放射能による影響とは考えておりません。併し病人に対してはお話の通り、我々は俊鵬丸を派遣した責任者でありますから、よく注意しなければならんということで、こういうようにしよつちゆう注意は怠らずにおりますが、放射能による影響とは現在のところ全然考えておりません。
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千田正#5
○千田正君 それから只今その後の問題になつたあとにおける廃棄の問題、或いはその他について御報告がありましたが、一昨日の委員会において安藤国務大臣が、いわゆる政府の立替払といいますか、或いは国内処置として神奈川県及び静岡県の焼津、三崎等に対する漁業関係の損害に対する特別融資の枠を一億数千万決定したけれども、どうも現地の連中が受取らない、いろいろな問題が受入態勢がなつておらないというようなことについて、私から長官に改めてお尋ねした結果は、とにかく政府側のそうした金は現地の要望とは非常にかけ離れておる、それから又いろいろな現地における市場関係、或いは生産者と取扱業者との間の複雑な事情の下に政府の対策を受入れられるような状況になつておらないという御説明でありますが、ややその点は了解するといたしましても、これは今後ともこの問題は相当、あえて静岡、神奈川のみならず、全国に陸揚げされるところの土地としての被害の問題があると思います。これは水産庁として当然十分なる行政指導をやらなくちやならないと思うが、その点に対して今後の見通しを聞いておきたいという点と、一つは一体こういう状態になつて来ているのはどういう原因か。早く言えば二十五億数千万というものをこのたびの損害としてアメリカ側に通報しておる。それに対してアメリカ側が日本に補償するということに対しての金顧の明示がはつきりしておらない。一体日本側がそれならばはつきりした線はどこだという点においても政府は我我に対して幾度となく我々の質問に対しても明示しておらない。誠にこの点は不明瞭である。こういう点から言いまして先般も水産庁長官並びに農林大臣に対して一体この損害をどれだけのことを要求しておるのか、どういうふうな折衝の過程にあるのか詳しい資料を出して頂きたいということを委員長を通じて申入れておつたはずでありますが、この点が甚だ不明瞭である。それで我々はこの委員会において審議するに際しましても二十五億数千万という一体それだけの損害の基礎がどうなのかという点が甚だ不明瞭で審議の過程において遺憾な点がありますので、これは一応はつきりして頂きたい、こう思うのであります。外務大臣もお見えになつたようでありますから、一応その点の質問に対するお答えはあとに又更に尋ねる点もありますので、追加したときにお答えを願つておきたいと思います。
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小林孝平#6
○委員長(小林孝平君) 只今外務大臣が見えられましたので、外務大臣から原爆実験の補償問題に関する日米交渉の経過について御説明を承わりたいと思います。と申しますのは、一昨日安藤国務大臣から大体のことは承わりましたのでありますが、責任者である外務大臣から詳細に承わつて質疑を行なつたほうがよろしいかと思いますから、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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岡崎勝男#7
○国務大臣(岡崎勝男君) この交渉は非常に長引いておりますが、前にも当委員会で申上げたように、非常にはつきり区別はしておりませんけれども、大きな見方としては直接損害、間接損害と称すべきものがあり得るわけであります。アメリカ側は直接損害については完全なる補償をする意向ありということであります。間接損害のほうについては、どれが間接損害かということはこれは又別問題でありますが、そうしてアメリカ側としてはその内容にまで非常に立入つて議論をする必要はないと考えておるのであります。従つて日本政府が仮に直接損害であると言つた場合に、その項目が果して直接損害であるか間接損害であるか、非常にかけ離れてもう非常に極端な間接損害のほうのような項目を入れて来れば別でありますが、その境目になつているようなところであなるらば、あえてそれがどちらかということは問わないという気持を持つておるようであります。又これも前に申上げた通り、日本側から提出しました計算の基礎はいろいろありましよう。が仮に額が合意された場合には、それは日本政府に渡すのであつて、その初めに提出した計算の基礎通り分配してくれとかいうような中身まで立入る必要はない、つまり分配のほうはこれは又別の観点から政府の考え方でやつてもらつて差支えないということであります。そうしてアメリカ側としては成るべく早く、そうして最終的に解決をいたしたいということを再三申して来ております。これに対しまして日本側としてはまだ部内にいろいろ意見がありまして、これ多いに越したことはないわけでありましようけれども、ここまでがという限度が非常にはつきりしているわけでないのであります。併しもう随分たつておりますから、この際は早く解決したほうがよろしいと考えておりまして、部内の意見調整に努めております。現在はそういうことであります。
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千田正#8
○千田正君 この前の委員会におきましても外務大臣からいろいろ御所信のほどは伺つておりましたが、その後病院に入院しておる患者の状態の変化等だつれて新聞或るはラジオを通じて報ぜられた結果、国民感情は対米感情というのが非常に余り芳ばしくない状況になつて来ておる。聞くところによれば、吉田首相は外遊される、而も親善使節としておいでになるという前にこういう問題が悪化の方向に向かいつつあるがごとき感を受けるのは誠に我々としては遺憾に思うのでありますが、この間一日のワシントンAPの報道によつて新聞紙に掲げられたうちに、アメリカ側は補償の法的責任はないのだ、日本側の要求に対しては好意的なことによつてまあ要求に応える、こういうようなことを国務省筋側から示唆的な発表をしておるというようなことを新聞の報道は報じておるのでありますが、これは非常に我々から見るというと奇異な感じを受けるのであります。独立した日本として当然先般来岡崎外相を初めとしまして外交の折衝に当られた方方がこれはやはり損害補償の形式を以て堂々と自主外交を続けておられると我々は確信ておるのでありますが、アメリカ側の考え方は補償の法的な責任はないのだ好意的な支払であるというような観点に立つておるとするならば、今後の日米間の感情というものはむしろ悪化に向かうのじやないかという憂慮に堪えないという我々は考えを持つておるのですが、その点の見解は外務大臣としてはどうお考えになつておられるか。
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岡崎勝男#9
○国務大臣(岡崎勝男君) 私は新聞の報道はいろいろまちまちであつて必ずしも正確と言えない場合があろうかと思つております。又おつしやるような新聞の報道は国務省が発表したということは一言も言つていないのであります。誰かの意見がそういうことになつておつたかも知れんけれども、或いはそうでなかつたかも知れん、その点はわからないのであります。でこれを一一追究する必要は私はないと思う。現にアメリカ政府は公式の代表者を通じて遺憾の意を表しておるということは、すでに責任を認めておるということであります。これに対する補償を行うということは額は別として筋道としては当然のことで、又先方もそう考えておる。我々の交渉はその点何ら問題になつたことは一つもありません。
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千田正#10
○千田正君 他の委員からいろいろ御質問があると思いますが、私はただ一点、非常に今後の日本の水産の行政の上からいつて考えて見なければならない、慎重に考えなければならないという点がありますので、この際外務大臣から率直な御意見を伺つておきたいと思うのは、このままでアメリカ側は原水爆実験をよすというようなことは言つおらない。しばく或いは来年も原爆の実験をやるかも知れない、やらないということは言つていないのでありまして、当然やるだろうと我々は推測されるのでありますが、そうした場合本年と同じような日本の漁民が被害をこうむるかも知れない、或いはより以上の損害が伴うかも知れないし、又それによつて場合によつてはあの方面におけるところの漁業を中止しなければならない段階に入るかも知れない。そこでそうした場合に日本側として考えなければならないのは、殊に水産関係でありますが、ああいう方面で操業ができないとすれば、漁業の操業転換を考えなければならない。御承知の通り日本海方面から支那海に亘つては到底漁業の転換の参方法は考えられない。東南アジアは遠くして容易でない。残されておるのはやはり太平洋、太平洋のうちでも私はこういうような問題が起きて来るというと、さけ、ますというような方面に操業の転換を考えざるを得ない方向に持つて行かなければならない。そういう場合において先般安全保障条約を結ぶ前に、すでに大臣が御承知の通りのいわゆる日米カナダの漁業条約によつて魚族の資源保護という一つの道義的な条約が結ばれてありますが、これはまあ魚族の資源保護であるけれども、我々としては魚族ばかりではない、人間の資源さえも断たれる虞れがある今日に至つてはむしろ将来において日米カナダの漁業条約に或る程度の変更を外交折衝しなければならないのじやないかというふうにまでも押詰めて考えておるのですが、将来太平洋の実験の行われるところの範囲の危険区域内に操業ができない場合においては、或いはそうした面において日米カナダの条約に対しても一応の改変方を申出でなければならないような状況に立ち至るというふうに考えられまずので、そういうようなことについては大臣はどういうふうにお考えになつておられますか。
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岡崎勝男#11
○国務大臣(岡崎勝男君) これは私からとかくの意見を言うほどの知識もありませんが、原則的に言えばお話のようなことも考えられるわけであります。ただこれは水産当局等で果してそういうような余計な、仮りにさけ、ますを獲つて国内で捌けるか、外国で捌けるか、仮に捌けるとしても、そういう一種類のものに依存するということの善し悪し、つまりまぐろ等でなく、ほかに変るということの善し悪しはいろいろ専門的に研究しなければならんと思いますが、果してそれがお話のようなことであれば、つまり転換すべきであるという議論であれば、これは条約の改変ということも考え得ないことはないと思つております。これはまあ専門家の研究の結果に待つよりいたし方ないと思います。
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小林孝平#12
○委員長(小林孝平君) ちよつと外務大臣にお尋ねいたしますが、大体最終的に決定が間近いということでございますが、そのアメリカから出す八十万ドルとか、百万ドルとかいう、その金の性質はどういうふうに考えたらよろしいのですか。これは単に見舞金という程度のものですか、或いはこの被害に対する補償金というような形で出ておるものですか。どういうふうに考えたらいいのですか。
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岡崎勝男#13
○国務大臣(岡崎勝男君) これはもう形から言えば補償であります。ただ非常に細かく言いますと、そんな必要はないかも知れませんが、いよいよ金を受取つて日本側で配分する場合は、補償である種類のものと、見舞金である種類のものと出て来るかも知れません。アメリカから来る場合は補償金という形でございます。
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小林孝平#14
○委員長(小林孝平君) そこでお尋ねいたしたいのは、私はアメリカから来る場合は一括して掴み金式に来る、日小政府はどう使つてもいい、こういうふうにして出て来るのでありますかり、そういうことでありますと、日本政府は今度は見舞金と補償金というふりに分類して、独自の立場でやるのですけれども、非常に困難が生ずるのではないか。こちらは二十五億という損害を出しておるのに、僅か一割余りしか出て来ないというような場合に、非常に困難な事態が出て来るのじやないか。アメリカがこれとこれに対して出すのだというふうにアメリカの責任でやつてくれれば問題はないのですけれども、いよいよこれは決定した場合、非常に紛糾するのじやないかと思いますが、如何ですか。
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岡崎勝男#15
○国務大臣(岡崎勝男君) それは私の言い方がはつきりしなかつたかも知れませんが、日本側から要求しておるものの中で、これとこれを払うということで、アメリカ側はそれで結局幾らになるということになるわけであります、ですから計算の基礎ははつきりしておる。ただアメリカ側でもその通り払わなければいかんと主張するものではない。その間に多少の事情の変化もありましようし、早急の計算であとで計算し直さなければならん場合もありましようから、必ずしも一銭一厘その計算の基礎通りにせよということを要求しておるのじやない、こういう意見であります。
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小林孝平#16
○委員長(小林孝平君) そういたしますと、今おつしやつたところによれば、アメリカの八十万ドル、或いは百万ドルという金は、アメリカの出す場合ははつきりした計算の根拠の上に立つて出しておる、日本もそれを大体認めて受取る、こういうことになりますと、今後のこういう事件の際の補償の問題は、この基準によつて行われても差支えないということを日本が認めたことになるのですか。
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岡崎勝男#17
○国務大臣(岡崎勝男君) 必ずしもそうはなりません。そのためには仮に今後実験があるとした場合に、我々としては正確なる科学的の調査の結果に基いて、事前にいろいろ交渉をいたすべきと考えております。
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小林孝平#18
○委員長(小林孝平君) もう一つお尋ねいたしますが、先般外務大臣は原爆実験に協力する、その協力というのはできるだけ被害がないように、あつた場合は完全な補償をしてもらうということを前提にして実験をしてもらう、こういう意味であるということをおつしやつたのでありますが、今後はこの程度の、今回のような補償の程度で以て日本は完全な補償とお考えになるのかどうか、この程度ならば実験を継続しても差支えないということをお考えになるのですが、その点お伺いいたします。
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岡崎勝男#19
○国務大臣(岡崎勝男君) これは非常に誤解がありまして、実験協力という点が新聞に盛んに今日なんかもたくさん私の名前が出ておるようですが、ですから考え方を先ず念のために申しますと、私は原爆等の破壊兵器については、これは国際管理をいたすべきものだと固く信じております。従つてこれが第一義であつて、これに各国とも全力を尽すべきものである、こう考えております。併しながら残念なことには、今の実情はいわばこの力の平衡した上に立つての平和であつて、必ずしも各国共にお互いに理解して平和を維持するというところには実は実情も私は残念ながら行つていないと思います。従つてこの力の平衡が破れるという場合には、恐るべき戦争もこれは起らないとも保証できないわけであります。従つて一方の陣営が水爆の実験をしておる場合に、他方の陣営が水爆の実験をできないということになつて、力の平衡が破れる場合には或いは非常に人類の多数の上にこういう恐るべき爆弾が落ちないともこれは言えないわけでありますから、従つて非常に多くの、いわば世界の人類の安全のためには甚だ残念であるけれども、一方の陣営が実験を行なつておれば、他方の陣営も実験を行わざるを得ないであろうという非常に消極的の意味であつて、それをこの原爆実験協力というようなところだけを引出して宣伝されることは私は非常に迷惑に感じておる。そこでこういう場合におきましても、先ずあすこでやらなければならんという理窟もないわけであつて、その破壊力の大きさその他非常にいろいろなことがありましようから、なかなか場所の選定は困難でありましようけれども、先ずできるだけは他に適当の場所があるかどうかを調べなければならん、どうしてもあすこでなければならんという場合におきましても、先般の実験の被害によつているくの点が考慮されるのじやないか、この前の被害に対する補償が如何ようであろうとも、これは私は前例にはならんと思います。又私自身も必ずしも仮に話がついたとしても満足すべき補償であると考え得ない場合が多かろうと思うのであります。今後は科学的調査の結果を待たなければなりませんけれども、これに基いて十分なる補償、殊に人命等に対する危害はこれは絶対ないように方法を考えなければならないというつもりでおります。
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小林孝平#20
○委員長(小林孝平君) もう一点お尋ねいたしますが、そういうふうな科学的調査に基いて十分なる賠償金額というものが決定した際に、今回のことはきまつたから仕方がないが、そういうものがおわかりになりましたら、日本としてはこういうような賠償をやらさる限り実験を継続してもらつては困るということくらいは言つてもいいと思うのですが、外務大臣はおやりになるお考えがございますか。
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岡崎勝男#21
○国務大臣(岡崎勝男君) つまり私が先般申したのは、十分なる賠償なり補償なりが前提となるということであります。その前提が満たされざればこれは別の考えが出て来ざるを得ないと思います。
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小林孝平#22
○委員長(小林孝平君) だからそういう前提に立つてやつても差支えない、やるのもやむを得ないというお考えならば、あらかじめ十分なる補償、今回のような不十分の補償ではなく十分なる補償をやるということがきまらなければ、少くとも原爆の実験は中止してもらいたいということくらいはやつてもいいように考えるのです。それは外務大臣の今の御説明ではそういうふうになるのですが、如何でございましよう。
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岡崎勝男#23
○国務大臣(岡崎勝男君) 私もそう者えております。
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小林孝平#24
○委員長(小林孝平君) そういたしますと、その科学的な資料ができ上れば、アメリカに向つて次の実験は少くともこの科学的な調査に基いた補償をやることを前提にしてやつてくれ、それができない限り実験をやつてもらつては困るということを正式に申出られるわけでございますか。
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岡崎勝男#25
○国務大臣(岡崎勝男君) これは補償問題だけじやないのであつて、予防措置、いろいろありましよう、これらをすべてこれが俊鵬丸一隻の調査で十分であるかどうかはこれもちよつとわかりませんけれども、今少くとも俊鶴丸の調査の完成を早くしてもらうように我々希望しておるのでありまして、これに基きまして、先ず人命等の安全の措置、それから漁区の、一体どれだけ離れれば安全であるかというような問題、魚食べて……、その他いろいろのことがありましよう。又値段の値下りというようなこともありましようが、値下りなどはまあこれは科学的な調査ということにはならんと思いますけれども、科学的調査ばかりでもない、科学的調査は勿論必要でありますが、国民の感情とかいろいろありましようから、これらを総括して十分なる安全措置が行われることが前提であると、こう考えております。
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千田正#26
○千田正君 今の委員長のお尋ねに関連するのですが、この問いろいろ、これも大臣から言えば真偽のほどはというふうなことを言われるかも知らんか、新聞紙上に伝えるところによると、例えばアメリカ側は八十万ドルぐらい直接損害を補償する、そういう面において、八十万ドルぐらいのものを払う意思があるということでありますか、ところが療養中の久保山さんの状態は危殆に瀕している。不幸にして若しも最初の犠牲となるようなことがあつた場合においてはそういうことではできない、安藤国務大臣あたりは百万ドルを要求しておるというように新聞にはいろいろの説が掲げられておりまりが、最初の先ほど大臣のおつしやつ日本の損害賠償に対する要求のうち不幸にして死亡した場合というふうはことも考慮に入れて要求されておりますですか、或いはそうした不幸な事態が生じた場合には改めてそういう問題は問題として別に考えて更に要求するというお考えで現在は折衝の過程にあるのですか、その点はどうですか。
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岡崎勝男#27
○国務大臣(岡崎勝男君) こういう不吉なことは考えたくはないけれども併し仕事としてはやはりそういうことも考慮に入れなければならんという問題で、一応はそういう考慮を持つた計算をいたしております。併しこれは何といいますか、役所で普通例えば政府が国民に対して全然国民のほうに無過失の被害を与えたというようなときにどうするかという基準がおのずからあるわけであります。それに基いた計算でありますから、こういう点特別の場合の考慮がどれだけ入つているかということになると多少の問題はあるわけでございます。従つて久保山氏のような事件が起りますと、この点は更に考慮をもう一遍して十分検討する必要があるというので、関係者も検討いたしておるわけであります。併し一応の計算はその中に入つております。
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千田正#28
○千田正君 そうしますと、まあ今の折衝の段階においては慎重にそういう面も考慮して交渉しておる。将来まあそういう不幸な予期しないようなことがあつても日本の外交として飽くまで自主的な精神に則つて、そういう場合はそういう場合として臨機の処置の外交を続けて行くという、こういうはつきりしたお考えがあるわけですか、その点はどうですか。
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岡崎勝男#29
○国務大臣(岡崎勝男君) いや、私の言うのは一応こういう不吉の場合のことも考えた計算ではあるけれども、現に実際にそういうことが起りそうになると又感情の問題とかいろいろあつてそれでは足らんという場合もありましようからして、こういう点を考慮して更に増額をするなり何なりの話も考えて行きたいと、こう思つております。
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