内閣委員会

1957-03-15 参議院 全145発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
昭和三十二年三月十五日(金曜日)
   午後一時二十六分開会
  —————————————
 出席者は左の通り。
   委員長     亀田 得治君
   理事
           上原 正吉君
           大谷藤之助君
           秋山 長造君
           竹下 豐次君
   委員
           松岡 平市君
           荒木正三郎君
           伊藤 顕道君
           田畑 金光君
           八木 幸吉君
  国務大臣
   国 務 大 臣 小滝  彬君
  政府委員
   調達庁長官   今井  久君
   防衛庁次長   増原 恵吉君
   防衛庁長官官房
   長       門叶 宗雄君
   防衛庁防衛局長 林  一夫君
   防衛庁教育局長
   事務取扱    都村新次郎君
   防衛庁人事局長 加藤 陽三君
   外務政務次官  井上 清一君
   外務大臣官房長 木村四郎七君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       杉田正三郎君
  説明員
   法務大臣官房秘
   書課長     津田  実君
   外務省欧米局第
   二課長     安川  壮君
  —————————————
  本日の会議に付した案件
○国の防衛に関する調査の件
 (強行軍による自衛隊員の死亡事件
 に関する件)
 (相馬ヶ原演習場事件に関する件)
○外務省設置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
  —————————————
この発言だけを見る →
亀田得治#1
○委員長(亀田得治君) これより内閣委員会を開会いたします。
 国の防衛に関する調査のうち強行軍による自衛隊員の死亡事件に関する件を議題に供します。
 まず本事件の責任者に対する処分について当局から御報告願います。
この発言だけを見る →
加藤陽三#2
○政府委員(加藤陽三君) 今回の事件につきましての処分につきまして御報告申し上げます。
 二月の五日、六日の広島県下、原村演習場附近におきまする第三管区の徒歩行進訓練において、隊員二人の死亡者を出しました件はまことに遺憾なことでございます。防衛庁といたしましては、その後当時の状況につきまして詳細に調査いたしました結果、先日次のような責任者の処分をいたした次第でございます。
 第三管区総監金山陸将減給一月十分の一、第三管区副総監衣川陸将補戒告、第三管区総監部幕僚長橋詰一等陸佐停職三日、同第三部長枦山二等陸佐減給一月十五分の一、第七普通科連隊連隊長吉田一等陸佐戒告、第二大隊長岡崎二等陸佐停職十日、第二大隊演習副大隊長河津三等陸佐停職三日、第二大隊演習人事主任八幡二等陸尉停職二日、第二大隊重火器中隊長中村二等陸尉戒告、第二大隊第四中隊長代理谷口三等尉戒告。なお金山陸将は第三管区総監を免ぜられ、陸上幕僚監部勤務を命ぜられました。岡崎二等陸佐は願いにより本官を免ぜられた次第でございます。
この発言だけを見る →
亀田得治#3
○委員長(亀田得治君) 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
この発言だけを見る →
田畑金光#4
○田畑金光君 処分について当局のなされた処置の報告がありましたが、三月八日本内閣委員会におきまして、責任問題あるいは処分について質したわけであります。その節当局といたしましてはすみやかに責任の所在を明らかにいたしたい。こういう御答弁がありまして、私たちもその結果を新聞等を通じて明らかにされることを待っておりましたが、内閣委員会の翌日、ある新聞で大きく処分問題の内容について報道があったわけです、ところがその後三月十二日の夕刊紙に違った処分の報道がなされたわけですが、このような重大な問題が事前に漏れたというか報道された。しかも内容等が大きく違っているわけです。この点のいきさつをまず伺っておきたいと思います。
この発言だけを見る →
小滝彬#5
○国務大臣(小滝彬君) 読売新聞がああいう想像記事を掲げたのでありまするが、これは全然私どもの方から出したものでもなく、その結果をごらんになってもおわかりの通り想像記事であったということが判明する次第であります。私どもはこの委員会においても申しましたし、他の委員会においても、きわめて近いうちに発表するということを申しましたために、夜非常におそく、朝三時に電話をしてこられた新聞の方もございます。しかしその後取調べましたところ、内部から出したものでもないようでありまして、従いましてそれは単に想像によって書かれたものでありまして、私どもの方で直接関係し、あるいは示唆を与えるというようなことはなかったものであると御承知を願いたいと存じます。
この発言だけを見る →
田畑金光#6
○田畑金光君 こういう重大な発表が、当局の方から何らかの形で漏らされるとか、あるいは当局の考えておる処分の内容等について、何らかの概要等の暗示がなければ、今お話のように、三月九日の読売等に、あういうふうに大きく取り上げられるはずはないと私たちは考えておるわけなんです。この点については遺憾なことだとこう思うわけでありますが、さて先ほどのいろいろ各人について処分について報告がなされましたが、この処分をなされるに当りまして、当局としてはどういう考え方のもとになされたか、とにかくこの処分の内容については、総括主宰者と申しますか、演習計画の立案に当った者、あるいは総裁に当った者等々については、比較的軽い処分で済まされておるが演習を直接指揮した指揮官その者については、非常に重いと申しますか、比較的重い処分をなしておる。こういうようなことでは今後の自衛隊の士気に影響する。あるいは自衛隊の今後の統帥上についても問題を残すであろう等々の批判が一般世上に出ておるわであります。この点につきまして、当局はどのようなお考えをお持ちであるか、これをお聞かせ願いたいと思います。
この発言だけを見る →
小滝彬#7
○国務大臣(小滝彬君) これを発表するに当りまして、詳細な点の説明を、新聞にいたしましてもほかにいたしましても、掲載もしてございませんし、そうした点は略しておきまするけれども、大体私の考え方を申し上げたいと存じます。
 こういう犠牲者を出しました以上、もちろんその責任を明らかにしなければならない、そこで、ただ単に監察隊とかあるいは調査関係の人を出すのみでなく、御承知のように警務隊も派していろいろ証人を調べ、またこれらの関係者を取調べまして、慎重に調査いたしました結果、最も公平なる処分をいたしたいという気持で進んだことは、これまでも申し上げておる通りでございます。御指摘のように結果的に見ますると、計画面の者が比較的処分が軽く、実施の面の方に重くなっておるということになっておりまするが、これは実は実情によってこういうような処分をいたしたのであります。総監は、なるほど計画の最高責任者でありまして、その面においては当然責任を負うべきであり、平素部下を訓練しておる責任者でもございますので、その点は十分考慮に入れたのであります。しかしこの方針そのものというものは昨年も実施いたしておったところであり、また事実今年も現場に行って相当詳細に調査をした上で企画いたしたのとあります。しかもまたこの実施に関しましては、もし雨でも降ったらやめてもよろしい、あるいはこの競争に際しては規律が最も大事である、速力はすべてではないというような点にも指示を与えておるのであります。ただ、しかしこの計画面についても、よく考えてみますると相当なる考慮をもって慎重なる準備をもって行われたものではあるけれども、競争の形でこれほど速い距離をやった、しかもそれが去年やって成功しておるけれども、特に今年度と昨年度と違っておりますのは、各連隊から選抜された大隊を出したので、よけい競争意識をそそるいうな糸口を作ったことに責任があるというような意味において、総監を処分いたしたのでありまするが、とにかく大きな部隊の指導者である者が減俸になり、しかも現地部隊から陸上幕僚監部に転任させられるということは、そういう職務にもかんがみまして、相当な処罰であるというように私どもは考えておるのでございます。
 次に、総監よりも幕僚長の処罰の方か重いんじゃないかという感じもあるであろうと思いまするが、幕僚長は、ただ単に専門家として総監を補佐してこの計画に参画したのみならず、当時は実は統裁官として現地において指揮いたしておるのであります。その際もし雨が降ってこれはやめようかという際に、あるいはこれを思いとどまるとか、あるいはもう少し雨のやむのを待つということをやったら、あるいはこういう犠牲者は出ないで済んだかもしれないとも考えられまするし、現地で統率しておりまする以上、最初の連隊、次の連隊のみならず最後の問題を起しました連隊の方に当ってみても、これはあまり激励が行き過ぎたら、それを直接現場で制止することもできた立場にあるのでありまして、計画面のみならず実施面、統裁の面においても責任があるということも考えなければならないのでありまして、詳細は人事局長からさらに御説明さしてもよろしいんですが、そういう意味において幕僚長の方が、より大きな責任をこの行進に関しては持っておったというような判断で、三日の停職ということにいたしたのでございます。
 なお、これまで新聞紙上において、あるいは私の存じ上げておる方からいろいろ批判されておりますのは、この問題を起しました大隊長に対する処分が過酷ではないかということでございますが、しかしよくこの問題を検討してみますると、総監の立てた計画においても指揮者が適当な措置をとったならば、あれほど隊伍が乱れるとか、あるいは社会党の一部の方からは、これは暴行罪に当るんじゃないかというような御指摘もありましたが、こういうことなしに、りっぱに犠牲者も出さずに行進を続け得たんではないかというようにも考えられるのであります。何となれば、最初に出発いたしました第十五連隊は、なるほど速度においては二時間近くもおそかったけれども、一人の落伍者も出すことなく、りっぱに規律正しく目的地へ到達しておる。またその次の連隊におきましては、なるほど落伍者は十名出した、しかしその際には、統率者の方が一々当ってみて、十人を落伍せしめたというような事構もあるようでありまして、これの方も速力は最後の岡崎大隊長が率いていたのよりはおそいの、でありまするが、とにかくりっぱにこの行進を終了いたしておるのであります。でありまするからこの計画というもの必ずしも、そこに指揮者としての十分なる良識を用いたならば、もっと規律正しく行進も行われ得たのではないかと考えます。しかもまたここに当って、従来新聞でも指摘せられましたし、衆参両院の委員会等でも指摘されましたようないろいろな事件、これは私どもよく調査してみますると、一部で言われまするような犯罪を構成するようなものではなくして、激励が度を過ぎてそうしてそれが一部から相当な非難を受け、また事実妥当性を欠いておったというような点のあるということも、私ども率直に認めたものでございまして、そういう意味においてこの実施面、時にこの問題を起しました部隊の方が、これは目撃者もございまするし、一番大きな責任者であるというような判断から、ただいま人事局長が説明したような処断をいたしたのであります。しかしながら、士気を阻喪するようなことがあってはいけませんので、今後の訓練も十分やらなければならないからして、そういう点も考えまして、今申しましたように処分に差をつけ、調査の結果、一番責任が重大であるという者により重い処罰をしたというような経過でございます。
この発言だけを見る →
田畑金光#8
○田畑金光君 時間がないようですから、なるべく簡潔にお尋ねいたしますが、この処分は、どの範囲の首脳部で協議なされて結論を出されたのであるか。お伺いする趣旨は、陸上幕僚長等々の意見も、処分に当っては聴取されたのか。あるいはさらに一般的に申しますと、このような事例、事件の処分に当っては、制服である首脳部だけでやられるのか、それとも非制服の首脳部でやられるのか。あるいは制服の意見等も聞いてやられるのか、あるいは両者の合議の上に立ってこのような場合の処理というものはなされるのか。世上伝えられるところによりますと、この処分問題をめぐって、防衛庁の中では特に制服側と非制服側の中に、処分の内容についても、あるいは重く処罰するか、あるいは軽くするか、こういうようなこと等々についても相当論議がかわされたように承わっておりますが、これらの点について一つ経過をもう少し掘り下げて長官から承わっておきたいと思います。
この発言だけを見る →
小滝彬#9
○国務大臣(小滝彬君) 私から答弁をしろということでございまするから、私の知っておることを申し上げます。
 元来、こういう処分はすべて長官が責任を持ってやるべき制度にはなっておりません。事件によりまして、階級に応じてそれぞれその処分をいたし得ることになっておりまするけれども、これだけ世間をお騒がせしたし、重大視されていることでありまするから、この処分は私として責任を持ってやったというふうに御了解願いたいと思います。ただしこの処分に当りましては、陸上幕僚長の方からも、陸上の幹部の方の意見をまとめてまず出してもらって、局内であと参事官を集めまして、庁議を数回にわたりまして開いて、そしてこれを決定したのであります。その際陸上幕僚幹部内において、あるいはかっての軍人であった人とか、そしてそうでない人との間にあるいは意見の違った点があったかもしれません、併しながらこれは、ただかつ軍人だったからというようなこととか、あるいはかつて文官出身であったからということではなくして、見る角度から、重点の置きどころのいかんによって違うことがあり得るものであります。違うところがあればこそ会議をして、最も公正なところに持っていくというのが、責任ある者の当然とるべき措置であろうと思いまするので、私の受けました印象からいたしまするならば、特にこれは制服だから軽くしろとか、あるいは文官であるから重くしようとしたというような感じは、やり方は全然なかったものと了解いたしまするし、私がまたそういう制服の人、あるいは文官の人を集めまして、私の部屋で協議いたしましたときにも、そういう出身の違いによっての見解の相違などというものは絶対になくして、いろいろな角度から皆が真剣に検討してくれましたので、私はその結果につきましては、私自身が責任を持つつもりでありまするが、その経過においては今御指摘のような事実はなかったことを申し上げておきたいと存じます。
この発言だけを見る →
田畑金光#10
○田畑金光君 今のような長官の答弁の通りであるならばけっこうでありますけれども、しかし私たちは自衛隊の今日の構成を見ました場合に、今の答弁を素直に受けていいかどうかということは、我々自身も相当疑問を持つわけであります。しかしながらこのことは、折に触れ、また問題によっては、将来とも表面化することもありましょうが、今の長官の答弁は答弁として、そのような方向に部内の行政指導を進めていただきたいと考えるわけです。
 同時に私はこの間局長からも、この事件の真相についていさい報告がなされましたが、特に千頭君、あるいは岸上君が、あのような悲惨な形で倒れたわけです。そして私はあの経過を聞いて不思議に思うことは、当然医官というものもいるはずです。またその援護と申しますか、医療班等についても十分の配置となされておるというような、この間の報告でありましたが、当然そのような医療班も整備され、医官もついておりますならば、あれだけ悲惨な最後というものはなかったと、こう思うわけなんです。ところが残念なことには、結果においてああいう始末に終った。またこの事件の処分の内容等においても、医官等については何ら表面に出てきていない。こういうようなことを考えたとき、これは医官の仕事とか、任務とか、あるいは行軍の場合における役目、こうこういう点についても、相当それは考えさせる点があるのではなかろうかと、まあ考えるわけなんです。
 私はちょうど手元にこの二人の最後に立ち会われたというか、最後に立ち会われたのじゃない、もうすでに息を引き取っておりますから、これは診療所でありますか、西条町の診療所にかつぎ込まれた、その国立広島療養所、厚生技官医師の立ち会いのときの診断と申しますか、これが診断書があるわけなんです。これを私は長官にこの際読んで、いかにこの問題が人命軽視と申しますか、まことにわれわれとしては想像を絶する姿であるか、これをよく聞いていただきたいとこう思うわけです。これは最後に立ち会われた、最後というよりも、もうかつぎ込まれたとき立ち会われた佐々木ヨリ子というお医者さんですね。内容を読んでみますと、「二月六日正午頃内科外来主任看護婦より意識不明の急患ですとの連絡あり直ちに処置室へ行った。衣服はずぶぬれで腹臥位にて担架で運ばれていた。脉膊は触れず呼吸及び心臓は停止し、瞳孔は散大し、顔面及び胸部には死斑あり、四肢の硬直は中等度にあった。」これが千頭氏です、「更に午后二時頃内科外来主任看護婦より又意識不明の急患ですとの連絡あり、直ちに外科外来室に行った。衣服はずぶぬれで横臥位にて担架で運ばれて居た。すでに脉膊はふれず呼吸、心臓は停止し、瞳孔は散大して居り、四肢の硬直は著明ではなかった。(岸上氏)午后五時頃私に死亡診断書を作製して呉れる様、依頼があったが、すでに死体であるため、その死因は臨床上推定困難であると考へたので作製をことわった。尚本死体には同隊の医官が随行していたのでその方で作製するのが本旨と考へた。尚岸上氏を運び込んだ時は、患者は未だ氏名も確認されていなかった模様であり、顔面には帽子がかぶせてあった。随行した隊員が帽子を取除け、上衣のポケットから身分証明書を取り出し氏名を確認した。帽子を取り除いた時『これだこれだ、綱をつけて引っ張られ、尻を叩かれ乍ら歩いてゐた奴は』とつぶやいてゐたことを見聞した。附添って来た医官は尚隊内に数名の重症者があると語っていた。昭和三十二年二月十九日広島県賀茂郡寺西町寺家五一三国立広島療養所厚生技官(医師)佐々木ヨリ子」同時に外科外来主任看護婦森田亀子、あるいはこの療養所の研究検査科、厚生技官藤原増男、病理細菌手飯田三百男等々から当時の模様を詳細に書いた文書が私の手元に屈いているわけであります。こういうような悲惨なこの事件の内容というものを十分長官の方には報告なされて、こういうような報告を御承知の上で先ほどのような処分をなされたのであるかどうか。あるいはまた今後のこういう極端な人命軽視の措置に対しまして、長官から先般抽象的には御答弁を私は伺いましたが、今後具体的に演習、訓練等の面にどのようにこの教訓を生かそうという御方針であるのか、あらためてお尋ねしておきたいと考えます。
この発言だけを見る →
小滝彬#11
○国務大臣(小滝彬君) いろいろその当時の事情は調査いたしましたし、また衆議院側からも今御指摘になりましたような事実などについてもお知らせいただいた次第であります。先ほどから申しまするように、非常に妥当性を欠いて、とにかく勝とうということのためにこういう無理のある行進をしたということを、私どもはそれを率直に認めたものでございます。ただ医官についてお話がございましたが、私もいろいろ調べて見ますると、医官が直接そういうことを責任を持ってやるという組織になっていない。結局この大隊長以下の幹部が隊員の健康管理あるいは救護措置についての配慮が足りなかったというようになっておりますので、今後はこういう場合には、医官の方が統裁官、そこの指揮官の要求によって動く、そうでない場合は後尾についているというやり方でなしに、医官をもっと積極的に活用するような方法でも考えなければならないと考えまして、この点を注意いたしておるのであります。私はその発表の際にも申しました通り、今後もこういう訓練は十分行わなければならないが、しかし今度の事故にもかんがみまして、人命の尊重というものを基礎として科学的精神、合理性を持った運営をしなければならぬということを申しておりまするが、これについてはもっと具体的にいろいろ指示もしなければならないと思うのであります。幸いにしてこの次の日曜にも、陸上関係の各地の部隊長が皆集まって参りますので、みんなにもよく私の気持を伝えると同時に、事務的には内局の方でもすでにこうした点を検討さしておりますが、一体にこうした事件が再発することのないように具体的な措置を考慮中でございますので、これを今後実施することによって一つの目安とし、事前に防ぎたいという考えで進んでおるのでございます。
この発言だけを見る →
田畑金光#12
○田畑金光君 私は先ほどの質問の中で医官を持ち出しましたが、医官について責任をとらせるとか、処分をするとかいうふうに受け取られたら、非常な誤解でありまして、軍隊組織の中における医官とか経理官、あるいは技術官等々の地位と任務というものがどうであるかということは、私も十分承知しているわけであります。ただ私はやはり新しい今後の自衛隊というものが、逆コースの昔の古き軍隊に戻る今の情勢としてはそういう危険性があるわけです。特にいかなる環境であれ、いかなる職場であれ、団体においても人命を尊重するということが基本的な立場であるといたしますならば、このような演習等において当然医官の医学的な見地、見解、あるいは要請等というものが十分取り入れられ、尊重されるような、そういう内容であり機構でなければならない、また運用でなければならぬ、こういうふうに考えているわけです。そういう面に各段の私は留意をお願いしたい。
 特にまた私は関連してお尋ねしたいことは、この問題はなるほど行政処分としては先ほど発表されたような処分が行われましたが、業務上の過失罪を構成するかしないか、こういう問題が残されようと思っておるわけです。この処分発表の直後の小滝長官の談話として、新聞で拝見いたしましたがこういうことを言っておられます。「事件の処分についていろいろ意見が寄せられていたが、防衛庁としてはこれまでの調査の結果では業務上の過失とは思わない。ただこうした点についてはすでに検察庁に資料を提供してあるので、今後検察庁で検討されることになるだろう。」こういうように割り切って発表されておるわけであります。
 ところがもう一つの新聞等によりますと、警備隊の方では捜査の資料を整えて地検に一切送った、こういうようなことが出ておるわけであります。このことが要するに業務上の過失致死罪を構成するかしないかという、また一般刑法上の観点から究明する必要があってこういう措置をとられたと思うわけでありますが、長官の談話の内容と警備隊が送検した事実というものとにはいささか食い違いがあるように考えておりますが、送検されたという事実を考えましたときに、問題のいかんによっては一般刑法上の業務上の過失致死罪を構成すると考えますが、この点についての見解を承わっておきたいと思います。
この発言だけを見る →
小滝彬#13
○国務大臣(小滝彬君) 二人の犠牲者も出したことでございまするし、またその際に相当暴行が行われたのじゃないかというような疑いもありましたので、実態調査をしましたり、あるいは業務上の過失致死というような点もありはしないかというので、われわれの方ではできるだけの調査をいたしたのでありますが、しかし防衛庁における調査の結果といたしましては、これは刑法上の犯罪というところまではいっていないような判断を持ったのであります。しかしながらこれはこういう致死者も出したことでありまするし、こういう刑法上の関係というのは検察庁で最終的に取り調べられなければならないものでありまするからして、私どもが調べましたあらゆる資料を検察庁へ差し出しまして、検察庁の最終的な判断を求めることにいたしたのであります。新聞にはわれわれの方ですでにそういう判断を確定しているかに出ておりましたが、それは事実に反するのでありまして、これは検察庁の方へ、そういう重大性にもかんがみ、書類を一切送致したということでありまして、私どもはそういうふうに判断をいたして最終的な判断を下したという意味ではございませんので、そのように御了承願いたいと存じます。
この発言だけを見る →
田畑金光#14
○田畑金光君 まあ時間がないようですから最後にお尋ねいたしますが、この種事件は、先般来の報告にありましたように、競技といいますか競争意識、これを鼓吹して結局無理があのような形になって現われたと思うんです。要するに、行進の競技、行進の競争、こういうことから出て参ったと思うのでありますが、こういうような形の訓練あるいは訓練の強行というのは、特に昔の日本の陸軍等において激しかった事例でありますが、今後自衛隊の訓練等において、行進の競技とか競争とかこういう点等については、どういうような角度から対処されようとする方針であるか、承わっておきたいと思います。
この発言だけを見る →
小滝彬#15
○国務大臣(小滝彬君) 実は、私も就任早々でありましたが、この一ヵ月間にいろいろと各地の部隊の様子も聞いておるのでありますが、これまでのところ競争の形でやったのは第三管区だけのようであります。基本的な指示に従いまして、そうしてそういう形式等はまあ部隊で考えるというようになっておりまする、競争の場合はどうしなければならぬという相当詳細な訓令も出しております。が、少くともこういう非常に長い距離のものをあのような格好で競争させるということは、どうも私のまことに乏しい知識でありまするが、いろいろ調べたところでは弊害を生ずるんじゃないかと思います。ことにこの前の行進については規律とかあるいは速力とか、いろいろ採点の方法もありまするけれども、かりにこういう競争をまあこれは距離についても考慮すべきところがあるでしょうが、かりにやるということになれば、もっと規律というところに重点を置くべきであって、規律も一点、速力も一点ということになれば、あるいは速力を非常に重要視するとか、落伍者の数が多いのは減点になるとすれば、無理をしてでも落伍させないようにするという弊害も生じて参りますので、今御指摘の点は、まさしく私の頭の中で考えておる問題でございまするので、田畑さんの趣旨も大体私もわかるのでありまして、これはもう少し方法を変えなければならぬというので、せっかくその方向に考慮を進めております。
この発言だけを見る →
秋山長造#16
○秋山長造君 お急ぎのようですから、簡単に。先ほどの長官のお言葉の中にもありましたが、なぐったりけったりしたということの説明で、これはなぐるとかけるとかいうことでなしに、まあ激励が少し度が過ぎたというような御説明があった、これは前にも、人事局長からそういうお話があったと思うんですけれども、これは、ただ単に激励が過ぎるということとは質の違う問題じゃないかと思う。長官は旧軍隊時代の軍隊生活をされたかどうか知りませんが、まあ私自身四年ばかり兵隊勤めをやった経験から考えた場合、これはもう回りくどい説明でなしに、こういうことを聞いただけで実にぴったりくるんですよ。全く手に取るようにその場面の光景というものは想像がつくんですけれども、私が一番おそれるのは、今の自衛隊の特に実地訓練なんかに当っておるのは、ほとんど全部旧軍人だと思う。その旧軍人が今度自衛隊へ入る場合には、昔の考え方はさらりと捨てて本当に民主的な軍隊の幹部という心がけで入っておるということは、しばしば当局から聞かされることですけれども、しかし、これは、自分がかって士官学校なり何なりで受けた教育というものが間違っておったのだ、というように徹底して考える人は少いのじゃないかと思うのです。自分らたちの受けた教育がやっぱり一番いい教育だったという気持というものは、なかなかそう簡単に通り一ぺんの訓辞を聞いたくらいで抜けるものじゃないと思うのです。別にその人たちを私は憎むわけでも何んでもないですけれども、事実を言っている。そういう人たちが訓練の衝に当って、しかも年ごろの屈強の若者ばかりが、大勢外部の社会から隔絶された世界で団体生活をやっているわけですから、これはどうしても勢い非常にぎごちないというか殺伐な雰囲気というものになりがちだということも想像がつく。現に以前の軍隊では激励するという言葉にかえて、気合いを入れるという言葉が使われておった。ところが、今の自衛隊だって、やっぱり激励というような言葉はあまり使われていない。やっぱり非公式には気合いを入れるという言葉が使われておる。その気合いを入れるという内容は、これはやっぱりなぐる、けるです。なぐるけるということが別名気合いを入れる。おそらくこの死の行軍でたたいた、けったというのは、気合いを入れた、こういうことだろうと思う。この気合いを入れるということが私は結果的には非常におそろしい効果が出てくるのじゃないかというように思うのですがね、まあ旧軍隊の当時は、そういうことがあまりしばしば表面化したために、あるいは戦陣訓が出されたり、機会あるごとに師団長会議、連隊長会議等でえらい人がそういうことのないようにという訓辞をされたりなんかして、そうして上の人のところまで出てくるということはまああるいはなくなったかもしれんけれども、しかし実際には気合いを入れるということはひんぱんに、もう日常茶飯であるかのごとく行われたことも事実です。そういうことになって参りますと、もう全く「真空地帯」じゃありませんけれども、民主的な軍隊の建設ということを目ざしておられる自衛隊も、実質的にはやっぱり真空地帯になってしまうのじゃないか。こういうように考えてきますと、私は最近直接間接見聞きするのですが、文民優位の原則がやはり実質的にはくずれつつある、そうしてもっぱら職業軍人の発言権が強まりつつあるというようなこととも関連をして、今の自衛隊の将来ということに対して非常な不安と心配を感ぜざるを得ない。今度の事件で、長官は、自衛隊の訓練あるいは統率のあり方というようなものを根本的に再検討されるというお考えのようですけれども、根本的と言っても、ただ部隊長を集めて訓辞されるということでは、私はきわめて不十分だと思う。そういう点についてよほど深刻にしかも訓練の実情に即してお考え直しにならないと、私は、もう非常なあらぬ方向に進んでしまうおそれが多分にあると思う。その点について、ただいま田畑委員にお答えになったわけですけれども、どうもその程度のお答えでは私どもも納得して引き退るという気持にはなれない。で、それらの点について、気合いを入れるというようなことが実際に行われておるということを、幹部の人は一体承知されているのかどうかということからまず御答弁を願いたい。
この発言だけを見る →
小滝彬#17
○国務大臣(小滝彬君) 私どもの説明がまずかったかもしれませんが、制裁というような意味でやったのではないけれども、行き過ぎがあったということは認めるという意味で申したつもりでございます。もちろん、昔の部隊にはいい点もありましたが悪い点もあったので、そういう悪い点を持つようになっては大へんでありますから、十分教育の面にも力を、これまでの先任者の方も入れてこられたようでありますが、さらにこの点については、十分全部に行きわたってそういうことをさせないような教育が一層必要であろうかと思いますので、その点は十分努力しなければならぬと思います。ただ普通の自衛隊員に接触いたしますのは、何としても昔で言えば大尉とか少尉の、今で言えば一尉とか二尉、三尉とかいうような人たち、こういう方面は昔の軍隊にいた人は非常に減って参りました。たとえば陸上自衛隊の全部を例にとりましても、将官級は依然として昔の人が多いのですけれども全般で見れば約二割くらいになっておるのですから、下の方は新しい教育を受けて入ってきた人が大部分である。またよく申すことでありますが、とにかく今の自衛隊は昔と違って国民のほんとうの信頼がなければ、そうでなくともいろいろと批判がされておるのに、ますますもって大手を振って歩けないというようなことになる。そうして志願制度であるというような点もありますから、昔のようになぐる、けるというようなことであればりっぱな人も入ってこない。またそうなれば、現在でも下の者といえどもそれに対するいろいろ是正を求める方法も十分認められておりますし、公正審査会とかいろいろの組織もありますので、前よりはそういう可能性はよほど減っておるのであります。こうした制度と同時に精神的の面でそういうことをさせないようにいろいろな角度から注意いたしまして、そうした危険がもしあるとすれば、絶対にそういうことにならないようにこの事件を契機といたしましてそうした傾向を根絶させるということに最善を尽したいと考えます。
この発言だけを見る →
秋山長造#18
○秋山長造君 もう一つ端的にお伺いしますが、簡単に。防衛庁の幹部にしてもあるいは自衛隊の幹部の方で、自分の部下の部隊の中に私的制裁といわれるようなものが、暗々裏に行われるというようなことを承知されても、あるいはそのままこのくらいなことは、ということで黙認されておるような傾向はないですか、いかがですか。
この発言だけを見る →
増原恵吉#19
○政府委員(増原恵吉君) 非常に大切な点で御質問をいただきました。私ども最初に警察予備隊で発足いたしましたときに、旧軍隊における一つのよくない点としまして、やはり私的制裁、気合いを入れるという問題を最も重点として取り上げました。最初警察予備隊で発足しました七万五千の際に、その点は当時の総監でありました林総監以下部隊としての指揮に当ります全体の者も、その点を最も平素のしつけの問題としては重点に取り上げまして、絶対に部隊内でいわゆる私的制裁、気合いを入れるということをやってはならないということをかたく具体的に取り上げまして、自後努力をいたしたわけでございます。私自身もその点は折に触れて具体的に十分に目をみはったつもりでございます。当時私どもいろいろなソースからそうした情報を取って事態の推移を見ておりましたが、私どもの観察をしました限りにおいて、警察予備隊出発以来の実情として、いわゆる私的制裁としての気合いを入れるということはまずないという状態を、私どもは観察をいたしまして、これは自衛隊の出発としては私は非常にいいことであり、ぜひこれを続けていかなければならぬということを信じたわけでございます。ただこのたびの非常に不幸な事件を契機として、私どももその後だんだん部隊が大きくなり、現地統轄方面の整備につれまして、そういう日常の問題から少しく、うとくなつたようなうらみがあったわけでございまするが、今回の事件を契機として、残念ながら若干そういう気配が再び出かかっているのではないかという心配は十分にいたしております。しかしこの点は先ほど長官も申されましたように、私どもとしては絶対に自衛隊内に出してはならないことであると深く信じますので、これは単に一片の訓示をするということではならぬことは仰せの通り、十分日常のしつけと訓練を通しまして、そういうものを部隊内から根絶をしていきたいというふうにかたく考えるわけでございます。
この発言だけを見る →
亀田得治#20
○委員長(亀田得治君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
この発言だけを見る →
亀田得治#21
○委員長(亀田得治君) 速記をつけて下さい。
この発言だけを見る →
秋山長造#22
○秋山長造君 今の点はあとで増原次長にもう少しお尋ねをいたしますが、長官にお伺いしたいことは、今度の事件はたまたま新聞でいろいろ出たから、こういうように国会でも取り上げたり、皆さんの方でも非常に慎重に取り組んでおられるからまあいいんですけれども、これは死に至らした事件ですが、死に至らないまでもこれに類した事件、まあ先ほどの私的制裁というようなものが相当高じて、そのためにけが人を出したというような事件、あるいはさらに今度は逆に部下が上官を傷つけた、あるいはけんかをして何とかしたというような事件、こういうような事件を長官は全然他に御存じないですか。
この発言だけを見る →
小滝彬#23
○国務大臣(小滝彬君) いや、承知いたしております。上官をスパナか何かでなぐってそれでそのためにその上官がなくなったという事件も先月中旬かに起りまして、非常に遺憾なことだと思います。
 そうしてまた部隊の規律に関する事件につきましては、これは従来は長官の方には報告しなくて済んでおったかもしれませんが、私は決して答弁の便宜上やりますというのではなくて、私自身の考え方では皆さまから御指摘までもなく、そこにあったのでありますから、漏らさずにわかる限りのものは知らしてもらっておりますので、そういうことのあったこと、あるいは北海道、あるいは九州辺で二、三そうした事件のあったことも承知いたしております。
この発言だけを見る →
秋山長造#24
○秋山長造君 今のスパナか何かで殺したという事件はどういう事件ですか。これはまたはなはだ重大な……。
この発言だけを見る →
亀田得治#25
○委員長(亀田得治君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
この発言だけを見る →
亀田得治#26
○委員長(亀田得治君) 速記を始めて。
この発言だけを見る →
加藤陽三#27
○政府委員(加藤陽三君) ただいま長官がお述べになりましたのは、先月の十五日でございますが、午前七時五分から十分ごろ大分県の中津駐屯地教育隊におきまして、第十九普通科連隊第三大隊第九中隊第二小隊所属の一等陸士の熊谷定美君が、同小隊の陸士長、一階級上のものでございますが、末松久君を刺殺したという事件でございます。これは当日の午前八時に警衛隊が交替することになっておったのでございますが、警衛隊の交替にあたりましては、管理運用規定によりましてストーブの掃除をすることになっておったのでございます。そこで被害者の末松君が加害者の熊谷君にストーブの掃除を命じました。熊谷一士は同僚の津川という者と一緒にストーブの掃掃を行おうとしたのでございますが、煙突が破損しておりましたので、清掃及びその接合をあと回しにいたしまして二人で朝食に参りました。朝食後、熊谷君が警衛所に入りまして、鍵の保管箱の横にありましたドライバーを持ってストーブ掃除中に、末松士長が参りまして、まだ修理ができないのか、できなければできないように初めから言えと、こういうふうに問詰をいたしました。熊谷君は交替までまだ時間があればできるというふうに反発をいたしております。これに対して末松君は大きなことを言うとのされるぞと言うなり、熊谷君のほおを平手でなぐったのであります。そこで不穏の状態のまま末松君は退去いたしましたが、その直後、熊谷君はストーブを土間にけ飛ばしまして、そのときに一曹の警衛任務者が控室に七、八人おりましたので、二、三名がストーブを起して清掃にかかったのであります。熊谷君も煙突を外に持ち出して清掃を行い、警衛所の控室に入ろうとしたところ、たまたま控室に帰り、憤激しながらほうきを持って清掃をいたしておりました末松君が、熊谷君の頭部と顔面をほうきの柄をもって二、三回なぐったのであります。そのため熊谷君は末松士長の胸ぐらを、取りまして、煙突修理のため所持しておりました、ドライバーを左手に持ちまして末松士長ののどを刺したのでございます。こういう事件がございました。
この発言だけを見る →
秋山長造#28
○秋山長造君 今たまたま承知した事件なんですが、この末松士長が大きなことを言うとのされるぞと、こう言ったというのですが、こののすということもやっぱり旧軍隊の言葉なんですよ。まあ気合いを入れるとかのすとか、幾らでもありますが、私わずらわしいからもう言いませんが、相当これに類することがあっちこっちであると思うのです。これはほんとうに今のうちにこういう根を徹底的に切っておかなかったら、手がつけられないことに私はなってくると思う。手がつけられないことになった後に、どんなに国会で皆さんとの間にこの論争をやってみても、また長官や次長がどんなにやかましい訓示をされても、これはとても及ばぬ事態になるのじゃないかと思うのです。この点は増原の次長、自衛隊育ての親という立場ですが、増原次長はどういうようにお考えになっておるのか。この事件そのものについてどうお考えになって、どういう処理をされたのかお伺いしたい。同時に、全般的な問題としてこれをどういうように再検討していかれようとするのかということ。
 それから先ほど、そういうことのないように教育をやっていきたいということですが、こういうことが高じていきますと、しまいには一ぺんや二へんなぐられると腹が立つけれども、朝から晩までなぐられると、もう不感症になってしまって、少々なぐられても何ともないくらいで、ああ夕立が来たということくらいであきらめてしまう。そういうことを繰り返しているうちにだんだんばかになっておらにゃ勤まらぬ、こういうようなことになる。そうしていわゆる人間性というものはすかり抜けてしまった特殊な世帯という意味で、真空地帯というようなことに私はなってくるものだろうと思う。だから今日の自衛隊が昔の軍隊と違って、いわゆる特攻精神だとか竹やり精神だとかいうようなこととは質と次元を異にした、科学的、合理的なやはり質の軍隊でなければ、またそういう軍隊を育てようとこうされている以上は、そういう軍隊教育における合理性、あるいは科学性の涵養とか、あるいはさらにもっと広く言えば、人間性の涵養というような点について、具体的にどういう方法を今日までとって来られたか。またこういうできごとにかんがみて、今後そういう点をどのように具体的に展開していかれようとしているのか、これらの点についてさらにお伺いしたい。
この発言だけを見る →
増原恵吉#29
○政府委員(増原恵吉君) ただいま御報告をしました事件は、事柄の性質上検察当局で事件を今扱っておりまして、検察当局の事件究明に従って強制処分をもちろん付随してやるようになると思いまするが、検察当局の捜査の結果に待つという、この事件自体は加害者についてはそういう態度でございます。しかし部隊につきましては、これは中津で起りましたが中津には教育隊がおりまして、その警衛のための人員が足りないので、久留米の方から派遣をしてくる部隊であった。親元の部隊に対しては、さらに具体的にそういう問題についての注意を厳重にいたしたわけでございます。
 基本的な問題としては、先ほども私考え方の基本は申し述べたつもりでありまするが、秋山委員仰せの通り、われわれの育てていきまする自衛隊というものは、民主主義の基本に立ちまして、基本的人権の尊重ということが考え方のものの基盤でございます。防衛庁法、自衛隊法というものの組織自体がそうした趣旨をもって一貫をいたしております。基本的な問題は国会の承認を経た、この自衛隊法、防衛庁法によってこれは、その条章をしかるべき所についてお読みをいただけば、基本的人権を尊重した上に、しかし国の防衛に当るという実力部隊としての訓練をやっていくという趣旨を一貫をいたしておるわけでございます。そうして当初部隊を作りまするときに、先ほども申し上げましたように、いわゆる私的制裁というふうなものを絶対に部隊内に芽ばえさしてはいけないということで、これはほんとうに具体的にいろいろな点で留意をしまして、部隊を御視察いたただくと大体の空気を私は察知しいただけると思いますが、そういう意味においては、現在の自衛隊は各志願によって入りました者が、基本的人権という点については、十分明るい、明朗な、伸び伸びした形で勤務しているということは私申し上げられると思います。外部の方々が視察をされましても、旧軍隊というものを知っておられる方は、その点については一様にそうした感じを受けるということを私どもにも話していただいておるわけであります。この、いわゆる私的制裁というようなものは、当初私は、いわゆる絶無の形で出発し得たというふうに、一応私どもはいろいろ観察をして考えておるのでありまするが、しかし最近の事情を、いろいろ具体的事実から判断をしてみても、先ほども申し上げましたように、いかんながらそうした面が、若干非常に好ましくない萌芽を現わしておるのではないかということを率直に心配をいたします。この点はいわゆる部隊の総監部、幕僚監部の幹部一同といたしまして、そういう事態を容認するという考えを持っておる者はございません。上級幹部には先ごろ減給がありましたが、いわゆる旧軍人出身の人が多いわけでありますけれども、そういう諸君もこれを容認するという立場をとっておる者は私はないと考えております。やはり部隊生活、階級的な上下の関係、きびしい訓練、一応部隊というところで世間と隔たった生活、先ほども御指摘になったような傾向が、ややもするとそうした私的制裁を生むという心配を表わしてきたのではないかということを心配するわけであります。これは一層上級幹部一同がさらに思いを改めまして、そうした点の絶無を期するということをさらに再確認をいたしますとともに、日々の行動、訓練、しつけの際に徹底してそういう点を実行 実施できるようにやっていくよりほかに私は手はないと思います。しかし構成その他の面においても考えるべきものはもちろん考えなければなりませんが、公正審査会その他の措置も、従前ありませんでした措置が現在は講じられておりまして、具体的な事例として、懲戒を受けしました者が公正審査会へ訴え出て、再審査の上、前の措置が軽減をされたというふうな措置も相当にあるという次第で、現在の一般の隊員がただいろいろ気合を入れられて、やむを得ず黙っているという雰囲気は、昔に比べても非常に少いということは、まあ明瞭に言えるわけであります。そうした個人々々の自覚ともちろん相待ちまして一部隊の指揮統率に当っている者がそうした雰囲気を絶対に起させない。萌芽があればこれを善処するということで、十分にこれからの日々を気をつけていくより、これの絶滅の方法はないというふうに考えます。
この発言だけを見る →
← 戻る