予算委員会第一分科会

1958-03-24 参議院 全177発言

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会議録情報#0
昭和三十三年三月二十四日(月曜日)
   午前十一時二十六分開会
  —————————————
 出席者は左の通り。
   主査      石坂 豊一君
   委員
           泉山 三六君
           大川 光三君
           後藤 義隆君
           下條 康麿君
           一松 定吉君
           中田 吉雄君
   担当委員外委員
           大谷 贇雄君
           矢嶋 三義君
  政府委員
   人事院事務総局
   管理局長    慶徳 庄意君
   内閣官房内閣審
   議室長兼内閣総
   理大臣官房審議
   長       吉田 信邦君
   総理府総務副長
   官       藤原 節夫君
   内閣参事官兼内
   閣総理大臣   吉兼 三郎君
   官房会計課長内
   閣総理大臣官房
   公務員制度調査
   室長      増子 正宏君
   総理府恩給局長 八巻淳之輔君
   南方連絡事務局
   長       石井 通則君
   公正取引委員会
   事務局長    坂根 哲夫君
   国家消防本部長 鈴木 琢二君
   宮内庁次長   瓜生 順良君
   皇室経済主管  高尾 亮一君
   行政管理庁行政
   管理局長    岡部 史郎君
   行政管理庁行政
   監察局長    高柳  保君
   北海道開発庁総
   務監理官    中平 栄利君
   北海道開発庁主
   幹       長谷 好平君
   自治庁長官官房
   会計参事官   松島 五郎君
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   最高裁判所長官
   代理者
   (事務総局総務
   局長)     關根 小郷君
   最高裁判所長官
   代理者
   (事務総局経理
   局長)     岸上 康夫君
   最高裁判所長官
   代理者
   (事務総局刑事
   局長)     江里口清雄君
  説明員
   総理府統計局総
   務課長     三浦 直男君
   自治庁財政局財
   政課長     柴田  護君
   自治庁税務局府
   県税課長    細郷 道一君
   自治庁税務局市
   町村税課長   鎌田 要人君
   会計検査院事務
   総局次長    小峰 保栄君
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  本日の会議に付した案件
○昭和三十三年度一般会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十三年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十三年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)
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石坂豊一#1
○主査(石坂豊一君) これより予算委員会第一分科会を開会いたします。
 昭和三十三年度総予算のうち、前回に引き続き、まず裁判所所管の部を議題として審査を続行いたします。ただいま最高裁判所から關根総務局長、岸上経理局長、江里口刑事局長、その他関係者が出席されております。
 なおこの際お諮りいたします。他の分科担当委員から質疑の御希望があります場合には、これを許可することにしております。これをあらかじめ御了解を得たいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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石坂豊一#2
○主査(石坂豊一君) 御異議ないと認めます。
 それでは質疑の順序によりまして発言を願います。
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大谷贇雄#3
○担当委員外委員(大谷贇雄君) この裁判所の裁判の問題についてお尋ねを申し上げます。
 承わりますると、裁判所におかれましては、裁判官の方々の人数が非常に少いというようなことから、裁判が遅延をいたす事例が非常に多いことでありますがその点に関しては、たとえば芦田均先生のあの昭電事件のごとき、延々十年間もこれの判決がなされず、せっかくの日本の前総理として、また非常なりっぱな政治家であられる芦田先生のようなお方が、その間非常な精神的な苦しみ、あたら才幹をお持ちになって、国家再建の重大時期にお尽しをいただけるようなこのお方が、その訴訟が延引をいたしたために御自身としては非常な苦痛をなめられて、いろいろと重大なる席においても発言を御遠慮をなさるというようなことで、個人としても非常なお苦しみである。また、社会、国家といたしましても、これは非常な国家的の私は損失であったと思う。従って、それらの訴訟事件に関しまして、もっとなぜ早くこの審理をいたされることができなかったのか。また、そういうような遅延をいたしておる事件というものが相当あると思う。その間の点につきまして、この際御説明をいただきたい、かように思います。
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關根小郷#4
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) ただいま大谷委員からのお問いの点、まことにごもっともで、遺憾の点がかなりあるかと思います。全般的に、最近におきまする裁判の審理期間その他につきまして簡単に申し上げますと、現在裁判所に係属いたします、かかりまする事件の総件数は、年間三百万件をこえております。それで、このうち、刑事訴訟なりあるいは民事訴訟なりの総件数が約一割の三十万件、その他は、いわゆるいろいろな訴訟事件その他の事件でございまするが、この三百万件をこえておりまする事件を扱っております裁判官の数は、全体で二千三百人。先ほど申し上げました事件の数は、戦前に比べましてはるかに上回っておりますにかかわらず、裁判官の数はその割にふえておりません。従いまして、どうしても裁判官が忙しいという事態が出て参っておりまして、まことに、事件によりましては遺憾なぐらいに延びておる事件がないとは申せないわけでございます。
 それでは、この刑事訴訟あるいは民事訴訟事件の処理につきまして、どのぐらい期間を要するのかということを簡単に申し上げますと、全体の統計を見ますると、その割におそくなっておりません。それはなぜかと申しますと、ただいま申し上げました、三百万件をこえております事件のうちでも、複雑な事件というのは割合に少いのでございまして、簡単な事件につきましては、かなり早い。でありまするから、複雑な事件、簡単な事件を合せまして、民事につきましては、大体一年以内に片づくものが七五%、百件のうち七十五件、刑事につきましては、それよりも早く、六カ月以内に片づくものが八〇%、百件につきまして八十件という割合でございます。ただいまお話がございました、元首相の芦田さんの事件等におきまして、事件発生以来十年、確かに仰せの通りだと思いますが、こういう複雑きわまる事件につきましては、ただいまも申し上げました、刑事につきましての八十件の残りの二十件、百件を全体といたしまして二十件は、六カ月をこえるということになりまするが、そのうちに入るのでございまして、非常に長くかかりました点については、遺憾な点がございます。ただ、この芦田事件に関する限りは、御承知の通り、非常にむずかしい内容を持っておりまして、この事件に弁護をされました弁護士の方も相当たくさんおられ、糾明に糾明を重ねられた結果、あの無罪ということになったのでございまして、しかも、一審で無罪であるにかかわらず、検事控訴がございまして、さらに高等裁判所ですっかり調べ直すという手続でやったわけでございます。これはなぜかと申しますと、御承知のように、あの事件は、旧法事件——古い刑事訴訟法によりまする事件でございまして、いろいろな要素が加わりまして、あれだけの長い期間を要したのでありまするが、内容が非常にむずかしくて、ここに一松先生がおられますが、おそらく御承知だと思いまするけれども、記録の厚さというものは非常なもので、いかにその事件が複雑であったかということを物語っておるわけでございまして、まあ今となりましては、一審二審であれだけの糾明をいたしたために、上告ということもなく終ったわけでございまして、ただ、今後ともああいった有名な事件につきまして、一そう審理を早めるためにあらゆる方途を講じたい。こういう考えでおります。
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大谷贇雄#5
○担当委員外委員(大谷贇雄君) 今承わりますると、事件数は戦前に倍して非常な増加をする、しかも裁判官の方は事件数の増加に比してそれほどふえておらぬということでありますが、従って裁判官の方々の御担当の件数というものはまあ非常に多いだろうと思うのです。これは一体どのくらいあるのですか。一人で……。
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關根小郷#6
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 今大谷委員のお問いでございますが、この裁判官一人当りの負担件数は、訴訟事件だけに限りまして一年に二百件をこえております。そのほか、先ほど申し上げました訴訟以外の事件というものが、それを加えますと非常に莫大な数に上るわけでございます。
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大谷贇雄#7
○担当委員外委員(大谷贇雄君) そこで裁判官の方々の御労苦というものは、私どもも非常な敬意を表し、また実際御同情を実は申し上げておる。しかしながら、芦田さんのような場合におきましてですよ、有名な事件ということだから、早く終れということでなしに、少くとも、国家の元首相であったというような人のこの事件というものは、黒になるか白になるか、そのことは裁判官の御判定でありまするけれども、やはりすみやかに処理をしていただくということが、国民の裁判所に対する私は信頼感を増すものである。おそらく芦田さんの事件に十年もかかったということについては、なるほど承わるというと、書類がもう非常に膨大であったということで、しかもこの間、承わるというと、担当のお方はたった一人であった。従って、非常な御苦心をされたことと思うのです。しかしながら、ああいう重大な事件を一人のお方が、しかも裁判所には人がなくて自分で書かれるというようなことをなぜ一体しておられるのか、なぜもう少し人手というものを充足なさらぬのか。その点を一つ承わりたい。
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關根小郷#8
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) 今大谷委員のお問いの中に、一人で芦田事件を担当したというお話でございましたが、これはあるいはこの前の御説明が足りなかったと思いますが、一つの部でございまして、三人の裁判官が担当しております。そのほかに補充裁判官として一名加わりまして四人でありまするから、法律の上で三人を要求しておるそのほかに、補充の陪席裁判官一名を加えたのでございますので、あの事件に関する限りは裁判官の数は十分だったわけなんです。しかし、そのほかにいろいろな事件を担当しておりまする関係から、いろいろ長くなるということがございました。ただああいった事件になりますると、四人の裁判官が担当いたしましても、今お話がございました、白か黒かという非常に微妙な段階になりますると、あらゆる点を調べまして、むしろ被告人は無罪なりという確信を持って判決をするまで進むわけでございますので、早く進めた結果、もし有罪になるようなことがあってはとんでもないことになる。微に入り細にわたって審理を尽さなければならない。そういったところから、ああいった長引いた結果になったわけでございます。
 それからもう一つ、全般的に裁判官の数をふやしたらいいじゃないか、これはできれば毎年ふやしていくのが一番いい策かと思いまするけれども、何と申しましても裁判官の待遇その他から申しまして、給源がなかなかむずかしい。現在毎年大体大学を卒業いたしまして、国家試験司法試験を通りまして、さらに二年間研修所で修習いたしまして、裁判官の卵と申しますか、判事補という地位を獲得する方が大体七十名ぐらいでございます。これが一番の裁判官の給源になっておりまするが、理想と申しますれば、やはり弁護士、検察官からも裁判官になっていただく、弁護士からなっていただくというのが一番理想的な形だと思いますが、何と申しましても、一たん弁護士をおやりになりますると、収入の点で裁判官の待遇以上のものがあるというところから、なかなか裁判官になっていただくということができない。でありまするから、いずれは裁判官の待遇を上げていただくというようなことに御協力をいただきまして、あわせて弁護士からも裁判官になっていただく道を開くということを、国会におきましてもお考えいただきたい、こういう考えでおります。
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大谷贇雄#9
○担当委員外委員(大谷贇雄君) まあ御事情はよくわかりまするが、私は先般も芦田先生の会合にも数回出まして、その御心境きわめて淡々たるもので、青天白日の身になられまして、淡淡として、人生の修業であったという御述懐でありまして、まことに敬意を表したのでありますが、そのことを承わるにつけても、こういう事件というものは、御苦心は多いであろうけれども、ぜひとも一つすみやかに御処理をいただくことをお願いをいたしたいと思うのです。
 なおこれは私どもに関係をした事件でありまするが、これまた今日まで三カ年間すでに経過をいたしておりまするけれども、いまだにこの準備審理がなされただけで、公判等が行われておらぬ事件があるのであります。それは御承知の通り、昭和二十八年の四月に執行をされました参議院議員の通常選挙におきまして、国の選挙管理の手落ち、すなわち当時宇垣一成元大将が第一位で当選をなさいました。私は第五十位の、六年議員のどんじりで当選いたしました。そのあとに続いて八木秀次、柏木庫治、楠見義男という人が三年議員として当選をいたしたのであります。しかるに栃木県の佐野市という町におきまして、選挙管理委員会が氏名の掲示板に、次点の平林君の党派が日本社会党とあるべきものが日本共産党と書いてあった。四十カ所ばかりの投票所の入口にあった。これは一時間ばかりで発見をされて、すぐ訂正をしたわけであります。そこでこの平林君は、もしそういう誤記がなかったならば、当然自分は当選できたものであるということで、全国区選挙無効の訴訟を起したのであります。そこで全国区の宇垣一成さん初め五十三名の者が全部、万が一にも訴訟がその通りになるものとすれば、全部やらんならぬというような事態の一大事件が起ったわけであります。そこで、従って私ども関係者の者は、万が一にも裁判所が選挙無効であると、こういう判決になりまするならば、一たん議席を得ました者が失格をしてしまう、こういう国会議員としての重大なる実は影響を持ちまするので、全国の有権者諸君に対しましても、はなはだ申しわけのないことに相なるということで、関係者はもとよりのこと、全国民がこの訴訟の結果というものを、関係しておりまする者はかたずをのんで実は見守っておったわけであります。その間において、万が一にも宇垣一成さん初め五十三名が全部やらんならぬということになると、大へんなことだというので、佐野の有権者数を割って、あそこで再選挙をしても影響せぬというような者だけをやるという、万一そういう場合にはやるということを、これは国会においてこういうふうな規定を作られ、私どもはなはだ遺憾千万だと思っております。関根久藏さんも、私どもも、八木さんもみんな反対したのですけれども、無理押しにそういうことになってしまった。そこでその一年半というものは、当選したのやら当選せぬのやらわからぬという状態に置かれまして、その間の苦痛というものは、ほんとうにこれは経験なさらぬあなた方ではおわかりにならない。とにかく、まないたの上に乗せられたコイみたいなもので、いつぶった切られるかわからぬというような状態に置かれたわけです。しこうして弁護士の牧野良三先生も、自治庁の沢田竹治郎さんも、そんなべらぼうなことは——裁判所はちゃんとして公正な判断をお下しになって、そういうことはありません。こういうことで一縷の望みを、牧野さんやら沢田さんの激励の辞にみんな一応そうかいなあと思って、そうあって願いたいということでおった。ところが一年半たって再選挙ということになってしまって、あの狭い所で、ことに私は何も縁故はない、たった八票しかないのです。そういう行ったこともなければ聞いたこともない所で、再選挙を行わなければならぬということで、ほんとうに精神的に何ともかんとも言えない苦しみをなめました。関根久藏さんにしても、八木秀次さんにしても、柏木さんにしても、また楠見さんにしてもその通り、というようなことで再選挙が始まったわけでありますが、この裁判所が下された判決をかれこれ言うわけではございません。しかしながら前代未聞の全国区選挙というものに関して管理者が、選挙管理委員会がそういう間違いをして、常識で考えてそれほど影響力のなかったと思われる者が選挙無効で私どもは失格をしてしまったわけです。国会議員の議席を失ってしまったのです。そこでもう一ぺんやり直さなければならぬ、こういう事態が起りまして、それぞれの関係者は非常な実は苦しみをなめたのであります。ことに楠見君のごときは、無言の抵抗をいたした、信頼ができない、こういう判決を下されるということについては信頼ができない。しかもこの佐野の市民というものは、選挙権を二へん行使するのである、投票権を二へん行使することになるということであって、しかも小さな地区のものが、全国民から選ばれた、寄託を受けて当選をしておる者が、一部分の所で、しかも役所が聞違えたために再選挙をしなければ失格をしてしまう、そうして再選挙をしなければならぬ。かくのごときことは断じて承服ができないということで、楠見君は無言の抵抗を示しまして、御承知の通り、彼は立候補をしなかったのであります。かくのごとき重大なる影響をもって全国を震憾させた事件であるのでございます。幸いにいたしまして、私は八票が開いて四千六百票もちょうだいして、関根さんよりも上へずっと上ってしまって、見ず知らずの所で、さすがにどうも関東の義侠心のある人々だと私は感謝をしたことでありまするが、とにもかくにも、もう一年半の精神的な苦痛というものは、ほんとうにもう耐えがたいものでございました。私は以後半年以上にわたってその過労のために実は病気をしてしまった。関根さんはああいうことさえ起らなければ選挙違反などということは起らずして、この間の恩赦があったから済まされたようなものだが、非常な苦心をされた。八木さんも当選をなさった。柏木君も当選をした。楠見君は先ほど申すようなことで、立たなかった。そこで平林君は当選をしました。そういうようなことでありまして、これは一体選挙管理委員会というものが、これまた実は人が足らぬということがあるが、しかしながら、きわめて疎漏であったために、大事な党派の誤記をいたした、こういうことのために、選挙管理委員会はわれわれに対して一言のわび言も申さない、当然のことのように思っている。はなはだ遺憾千万だ。
 そこで私どもはこの遺憾な事態に関しまして、われわれはもう精神的に肉体的に、あるいは物質的にも非常な苦しみをなめたにつきまして、私どもは金銭が欲しいのではない。私どもは選挙管理事務に従う者がほんとうに細心な周密なる注意を払うということは、これはもう大事な問題であって、今年は総選挙も近い。また来年になりまするというと、県知事あるいは県会議員、市会議員等の選挙が行われて、次から次へ選挙が行われる。従って、選挙管理事務に従いまする者は、はなはだ御苦労でありまするけれども、細心なる注意をいたしていただかなければならぬのであって、再びかくのごときあやまちを犯してもらいたくない。こういう考えと、しこうして、また私ども五名の者が非常な苦しみをなめたということについては、これは国家の責任である。国家がそういうあやまちを犯した以上は、当然これは謝意を表すべきものであるということで、これは主として柏木君が主張をいたしまして、私どももまたその通りということで、五名の者は、ことに楠見君のごときは、ああいうことさえ起らなければ当然任期はまだ一年半あったのだ。それがああいうことのために失格をしてしまった、こういうことでありますから、これは当然慰謝料というようなものは要求すべきである、こういうことで楠見君は二百三十七万円、そのほかの者は百何万円というような慰謝料を一つ国家が支払うべきものである。これはもうこの一年半の苦痛、並びに楠見君の問題に関しては、これは失格をしてしまって議席を、全国民から信頼を受けて当選した者が失格をしてしまった。こういうことに関しまして、二つの点から選挙管理の粛正ということ、さらに注意を要するということ、さらにまた、こういう国なり国の委任を受けたものがあやまちをして、そうして国民がそのために塗炭の苦しみをなめて、しかも知らぬ顔をしているというようなことは正しきことではない。筋道を明らかにすべきものであるということで、損害賠償の要求を、告訴をいたしたのでございます。これに関しまして、先ほど来申しまするように、すでに三年も経過をいたしている今日、その公けの審理が進められておらないということにつきましては、この際私どもは、私ども五名の者ばかりではない、これはこういうことがこのまま延引しているということに関しましては、私は、国民としても早くこれは処置すべきものであるということの要望が強いのでありまして、この際その点につきましての私は御所信を伺っておきたい、かように思うのであります。
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關根小郷#10
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) ただいまお話しの訴訟の点でございますが、特に大谷委員も原告となっておいでになり、損害賠償の請求額といたしましても六百万円をこえておりまして、相当な事件でございます。これは、国を被告といたしました損害賠償請求事件で、民事の事件でございまして、原告側にも相当な弁護士の方がおつきになり、国の方も相当な代理人の方がついておられる。それでありますので、普通ならば、今お話しのように長くかかることはございません。ところが、この事件を内容にわたって私どもから申し上げるわけに参りませんが、経過を申し上げますると、訴えが出されましたのが三十一年の七月でございますが、その後、事件の内容が相当な問題でございますので、民事の手続にきめられておりまする準備手続に付したわけでございます。準備手続は、御承知のように、原告と被告の間の争いの争点と申しますか、どこに一番大きな問題が含まれるのかということをお互いに整理するわけでございます。これは争点の整理と申しておりますが、これに相当の日時を要したわけでございます。これは、あるいは大谷委員御承知かと思いますが、記録をごらんになればおわかりかと思いますが、いずれもこの準備手続におきましては、原告なり被告なりの弁護人の方が準備が足りないというので延ばしてくれという御要望がある。そういうことが重なりまして、大体七回ばかりは原告側の準備のために、あるいは被告側の準備のためということで延びております。これは裁判所は、それをそんなに待てないということで、準備手続を終える、終結すると申しますか、そういうことはできないわけではございませんが、原告の方で訴えを起しておきながら、しかも原告の代理人の方が延ばしてくれというときには、それを延ばすのが大体の傾向でございまして、審理を尽すためにはやむを得ない場合が多いのでございまするので、昭和三十一年の七月に起きましたこの事件は、その後八回にわたりまして準備手続を重ねております。その間今お話しのように、ちっとも口頭弁論も開かれてないじゃないかというお話、これはごもっともだと思いますが、その間準備をいたしておったわけでございまして、決して事件が進んでいなかったわけではございません。そういたしまして、本年になりまして準備手続が終りまして、本年の二月十三日口頭弁論が開かれたわけでございます。この口頭弁論は、御承知のように公開の法廷でいたしますが、ここで従来準備手続で定めました争点を公けの法廷で双方の弁護人が述べられる、今後は証拠調べに入る、こういう段階に入っているわけでございます。でありますので、この事件に関する限りは、双方の代理人の方が準備を尽された結果延びたのではないか、こういうふうに考えられるのでございまして、一般的に申しまして、もう少し早く準備ができれば、もっと早く口頭弁論へたどりつくと申しますか、公開の審理ができたわけでございます。
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大谷贇雄#11
○担当委員外委員(大谷贇雄君) そこでもし、まあ原告の方の準備が足らぬということで要求されたにしましても、私はやはり裁判所としては大いに督促をしていただいて、こういうような人民を苦しめるような、そうして筋道を通さぬというような事件はなるべくすみやかにこの審理を一つお願いしたいと思います。そこでその間において私は、これはもう裁判所側に言うべきことじゃないが、沢田竹治郎という弁護士はもと自治庁側の弁護士であったから、従って今回の原告側の弁護士になることは不適格だというような、だからやめろと言わぬばかりのことも言われたといわれる。これは沢田さんから直接聞きました。はなはだけしからぬ話だと私は思っております。しかも自治庁の方ではこういう大事件は、これがあれするというと、今後国から損害賠償をどんどん出さなければならぬから、これは取り下げをしてくれということを私に実は申したのです。はなはだけしからぬです。私はこれは他の委員会におきまして、あくまで糾明をしなければならぬと思うのです。われわれ五名の者を政府のやり方によって、間違いによって失格をせしめ、国会議員は国民の代表として国民から選ばれたものである。それを失格せしめるというようなことは、これはもう実に重大な問題であるが、そういうことが起った。それに対して政府の委託を受けておる選挙管理委員会というものが何らのわび言一つ言わずに、しこうしてその担当の関係者でありまする自治庁の者が、これは重大事件だからして一つ取り下げをしてくれというようなことを言うがごときに至っては、私はこれはあくまで糾明しなければならぬと思うのです。また沢田弁護士が今まで政府側の弁護士であったから、今度はこの事件の弁護士になることは不適格である、かくのごとく言うがごときに至っては、私はかくのごとく誤れる権利を行使せんとするがごとき政府の態度に対しましては、これは私はあくまで糾明しなければならぬと思うのです。しかし、これは今日この裁判所の皆様方に申す筋合ではありませんので、他の機会においてこの点につきましては糾明したいと思うのであります。その間にそういうようなことで延引をした一つの間接的な理由にもなったのではないかと実は想像をいたすのであります。これはわれわれ自民党、緑風会、また社会党の超党派的な問題であり、国会議員全体の問題でざいまして、政府の誤まれる処置によりまして国会議員が失格をして、再び見ず知らずの小さな所で再選挙をしなければならぬというようなことに関しましては、これはたとえば関根さんが埼玉県でもう一ぺんやり直しをやるというなら、これは大したことはないでしょう、私が愛知県でもう一ぺんやるというなら大したこともないでしょうが、何も見ず知らずの、聞いたこともなければ行ったこともない、そういう所で再選挙を行うということに関しましては、私どもの精神的苦痛というものは、ほんとうにはかるべからざる状態でございました。従ってこういう苦しみをなめざるを得なかったことに関しましては、これはまあ運命のめぐり合せと思います。思いますけれども、やはり国家がそういうあやまちを犯した以上は、これに対しましての処置をするということは当然のことでありまするがゆえに、私は極力一つ裁判所におかれまして、早い御処置をお願い申し上げたいと思う次第でございます。
 なお一点。今日の日本経済新聞を見ますると、判検事が不足で、全国約五百七十に上りまする簡易裁判所、また五百の区の検察庁が作られたけれども、最近裁判官や検察官の人数不足で、裁判所に行ってみても本日休業の札がかけられているということで、あなたの方としましては、この簡易裁判所という、これはもう国民としては非常な近くにあって、非常に便宜をはかつてもらっている。またこれは皆さん方の方におきましても、昭和二十二年にそういう建前から裁判所法の施行の際にお置きになったわけでありまするが、判事さんや検事さんがきわめて足らぬ。こういうようなことから開店休業になっておる。しこうして、またあなた方でこれはやめちまおうかというような御意見もあるやに新聞は報じておりまするが、この間の事情について伺いたいと思います。
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關根小郷#12
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) ただいま大谷委員のお問いの簡易裁判所の五百七十全国にございますうち、ある程度の簡易裁判所につきまして、裁判官がおらない。これはたしかに事実でございます。ただこれらの簡易裁判所におきましては、一年に数件というようなところもございまして、そういうところに判事一人を置くということは、全体の負担量から申しまして、経済に反すると申しますか、やむを得ない措置として許されるのではないか。これは先ほど来申し上げておりますように、判事の充員が完全にできますれば、十分に行き届くわけでありまするが、それができない現状におきましては、ある程度やむを得ない。ただ今お話がございましたように、開店休業の看板が出ておるとお話がございましたが、これはそうではなくて、その近くの簡易裁判所で扱っているわけでございます。そういうところを開店休業ということで申されたのではないかと思いますが、できる限り私どもとしましても、判事の充員に努めまして、そういうことのないようにしたいと思いますが、一面簡易裁判所であまり事件がないところは、また廃止統合といった問題も起きるわけでございます。そういう問題はいずれ法律も改正になりますので、法務省と相談いたしまして、今検討中でございます。
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大谷贇雄#13
○担当委員外委員(大谷贇雄君) そこで今の問題にいたしましても、先ほど来のお話にいたしましても、この判事の方の負担件数が非常に多いということは、結局人員が不足であるということに帰すると思います。またこの簡易裁判所のお話を聞いてふっと思ったのですが、先般も名古屋の柳橋のところにある簡易裁判所に行きました。これは明治五年の学制発布のときどきらいに建ったようなまことにもう陰惨というか、何というか、当今文明開化の世の中に珍しいような、文化財の指定を受けるような建物の中に、スチームもなければ、ストーブもなければ、判事さんも調停員の人も、火ばちをかかえてやっていなさる。まことにお気の毒にたえなかったのであります。調停員の人などのごときは全く名誉職でもって、非常な御尽力をいただいておるのにかかわらず、そういう待遇の状態、これはもう何とか改築をしていただかなければいかぬということを痛切に私は感じたわけであります。これらについても、人の問題といい、施設の問題といい、先ほどのお話では、国会の協力を頼むという仰せでありまするが、これは、あなたの方といたしまして、承わりまするというと、法務委員会におきましては、ほんとうを言うと、これは担当大臣がおありのところは大臣がどんどん行って、大蔵省に予算を折衝して、大いに獲得するということでありまするけれども、裁判所の方としましては、なかなか御苦心が多かろうと思うのですが、従って、法務委員会で大いに超党派的に御協力を申し上げておるということを承わって、非常に力強く感じたわけでありまするが、この点については、もっと積極的に一つ予算の獲得をしていただいて、裁判がふえるということは、訴訟がふえるということは、これはあまり感服したことじゃない。少い方がよろしい。しかしながら、起った以上はやはり大岡越前守じゃないが、名裁判をしていただく。そのためには、人間の力に限りがありまするから、やはり人をふやしていかなきゃならぬ、また環境をよくしていかなきゃならぬ、かように思うわけでありますが、それらについての一つ御所見を承わっておきたいと思います。
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岸上康夫#14
○最高裁判所長官代理者(岸上康夫君) ただいま予算、人員等につきまして、非常に御理解のある御発言をいただきまして、私どももかねがねその点、予算の点につきましては、法務委員会等にも実情をお話し申し上げて、非常な御援助をいただいておる状況でございます。ただいま簡易裁判所の庁舎のお話が出ましたが、ちょっと一言申し上げておきますと、簡易裁判所は全国で五百七十制度上ございます。そのうち約半数は、所在地の本庁なり支部の建物に同居しておりますので、これもひどいものもございますが、従来から使っておるのを使っておるのでございますが、残りの半数の二百八十六カ所ほどは、終戦後一時に全国に設置がきまりましたのでありますが、庁舎は全然ない。いずれも地元のあいているような建物を、地元の協力をお借りして始めたという状況でございます。その後、最高裁判所が発足しましてからあと、毎年予算に簡易裁判所の新営費を認められてきたのでございますが、現在なお全国的に申しますと、約八十カ所ほどの独立の簡易裁判所は、庁舎の新営ができないということで、ただいまお話のような非常にひどいといいますか、ほとんど裁判所の体をなさないというような所にいずれもおるのでございます。最近は毎年数カ所ずつは新営の予算が入っておりまして、三十三年度も、一昨日説明申し上げましたように、数カ所入っておるわけでございますが、これでは、この調子ですと、十年以上かかるという状況でございますので、私どもといたしましても、この点につきまして、さらに今後一そう努力をいたしまして、国会方面においても御好意ある御配慮をお願いいたしたいというふうに考えておるのでございます。
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大谷贇雄#15
○担当委員外委員(大谷贇雄君) どうか一つその点に関しましても、せっかく御努力を願いまして、私どもも御協力を申し上げることにやぶさかではございません。とともに、御苦労の多い裁判官の増員並びに庁舎改善等に一つ極力お進め願いたい、かように思います。
 なおまた、先ほどの損害賠償請求事件等に関しましては、これのみではない、全体の裁判というものの極力早く処置がされまして、国民の苦痛をなおしていただくように一つお願いをいたしたい、かように思います。
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大川光三#16
○大川光三君 ただいまの大谷委員の御発言に関連をいたしますので、二、三簡単にお尋ねをいたしたいと思います。
 ただいま大谷委員から、訴訟遅延に関していろいろ実例をおあげになりまして、審理促進ということを強く主張されましたが、これは全く私ども同感でございまして、平素、われわれ法務委員は法務委員の立場から、訴訟促進ができるように側面から御協力は申し上げておるのであります。ことに裁判所の方でも、審理促進という面から、最高裁判所機構改革に関する法律案をお出しになったり、また、第一審強化方策についても、御苦心のあることは、よくわかるのでありますが、たまたま、ただいまの大谷委員の御発言に関連いたしまする選挙無効訴訟にからんだ問題でありますが、これはおそらく国家賠償法の規定に基いての損害賠償訴訟だと思うのであります。ところが、ただいまの大谷委員の御発言の通り、われわれ常に訴訟に携わっております者は、この裁判が民事の事件であり、あるいは準備手続、原告、被告の立証等のために延びるということは、一応わかります。けれども、それでは私はいけないと思うのであります。従って、現在の実際問題としての係属されておる訴訟の促進はもとよりでありまするけれども、根本的に国家賠償法というものを改めてこなければならぬのではないか。御承知の通りに国家賠償法では、いわゆる公務員の故意、過失という点で、国家が賠償の責に任ずると、こうなっておりますが、これではいけない。だれが聞いても、選挙無効によって関係の候補者が非常な損害、迷惑をこうむったということは明らかです。ただ、しかし、国家賠償法で公務員に過失があったか、あるいは故意があったかというところで逃げておる。だから私は、こういう明らかな事件については、故意、過失じゃなしに、無過失責任に問えるのだということに改めてこなければならぬと常々から思っております。本日の新聞でございましたが、見ますると、この国家賠償法を改めるという案があったやに聞くのでありますが、果して当局でそういう立案の準備があるのかどうか、この機会に伺いたいと思います。
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關根小郷#17
○最高裁判所長官代理者(關根小郷君) ただいま大川委員のお問いの国家賠償法の改正問題ですが、これは、私どもは政府側ではございませんので、あの記事、本日の朝日かと思いましたが、出ておりましたもとを存じません。しかし、裁判所側であれについてどういう意見を持っておるかというお問いがあるといたしますれば、まあ、これは個人的な意見になるかと思いますが、やはり国家賠償法につきましては、少くとも無過失賠償の方向に進むべきではないか。今、お話がございました大谷委員の、選挙に関しまする御苦痛等を慰謝するために、国家は選挙管理委員会の過失とか故意とかいうことを問題にせずに、これは損害賠償をすべきだという議員は、これは一般国民といたしましても、納得できる考え方じゃないかと思うのであります。ただ、今は何と申しましても、過失を要求されておりますので、その点は非常にめんどうかと思いますが、将来の方向といたしましては、われわれ個人的な意見を申し上げますれば、そういった方向に向うべきではないかというふうに考えております。
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大川光三#18
○大川光三君 その点はその程度でわかりますが、いま一つ、裁判官が非常に不足をいたしておる、それがためにやむなく訴訟が遅延するのだということに関して、本年度のいわゆる予算を通じて考えてみますると、昭和三十三年度においては判事を五十九人、判事補を五十七人合計百十六人の判事、判事補の増員計画で予算を請求されたにもかかわらず、結局は判事補二十名の増員に要する予算しか承認されなかったというこの問題でありますが、一体当初要求されておりまする判事五十人、判事補五十七人というこの要求の基礎は、どういうところから出ておったのでしょうか、伺いたいのです。
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岸上康夫#19
○最高裁判所長官代理者(岸上康夫君) これは一審強化を実現するための方策といたしまして、全国の八大都市におきまのて、一審事件の合議でやれる事件を現在よりも相当ふやしたい、で非常に大ざっぱかもしれませんが、その八大都市におきます一審事件につきまして、刑事事件は全体の二五%、それから民事の事件につきましては、一五%については合議体、すなわち三人の裁判官で審理ができるようにしたいということを方針にいたしまして、それから現在の裁判官一人当りの負担件数は幾らかということを、これは最近の実績に基きまして出しました。そうして三十三年度の民事及び刑事訴訟事件の予想件数というものを一方に想定いたしまして、それではじきますと、現在の人員ではどうしても不足であり、ちょうど裁判官の負担件数からみてやり得るためには、今申しました判事五十九名、判事補五十七名という裁判官が必要だと、こういう計算でございます。
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大川光三#20
○大川光三君 御説明で一応わかりますが、私どもの考えでは、この要求されておった百十六人という判事、判事補は絶対必要な数であるというように固く信じておる。絶対確保しなければならぬ数である、それが一審強化にもなり、訴訟の促進にもなるのだ、こう私は信じておるのです。そこで、たまたま予算面でほとんど八〇%まで予算を削られておるということについて、裁判所側としては、特別に何かこの絶対必要数を確保するに必要な予算の獲得に特別の尽力をされたということはあるのですか。また裁判所はそれができぬとすれば、どういう方法をもっていけばいいのかということを、あわせて御説明をいただきたいと思います。
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岸上康夫#21
○最高裁判所長官代理者(岸上康夫君) ただいまの御質問でございますが、私どもといたしましては、もとより今申しました方法で計算いたしました人数がなければ、今申しました民事事件について一五%、刑事事件について二五%という審理はできない。で、現在はじゃあどうしておるかと申しますと、これも大ざっぱでございますが、刑事事件では大体一審の一〇%ぐらい、それから民事では二%ないし三%程度の事件しか合議体でやっていない。あとは単独体、すなわち一人の裁判官でやっておる、こういうことになるわけでございます。そこで訴訟の迅速とそれから適正のためには、少くとも今申しました二五%あるいは一五%については合議体が必要だ、こういうことを私どもは確信して要求をいたしたのでございますが、何分これは大蔵省側の考え方からと言いますか、申し分から言いますと、とにかく今までそれで一応やってきておる、なるほど訴訟はおくれておることは向うもわかっておるのでございますが、とにかくやってきておるということと、一方増員が、定員の増ということは、これは原則としてやらないという建前なんだという強い線があるということで、非常に困難だ、で、その裁判所の方の言い分はわからないでもないが、とにかく今まで何とかやってきているのだから、そういう一挙の増員ということはとうていだめだといふうなことで、結局私どもでもこれは最後まで強く事務的には主張をし、さらに私どもの方の総長等も国会方面の方々にもいろいろその点につきましてはお話しを申し上げて、御協力をお願いいたして参ったのでありますが、結局先日申しました二十名ということが最後で、これ以上どうにもならないということで、やむなくことしはそれで折れた。しかもこの二十名というのも一番最後の段階になってやっと認めたというような状況でございます。私どもの力が足りないということは十分私ども認めておるのでございますが、ことしはそういうふうな経過で不満足ながら承知したという状況でございますが、さらにこの点につきましては、今後、将来にも引き続きまして、この増員の予算を獲得するように努力を続けていきたいというふうに考えております。
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大川光三#22
○大川光三君 まあ今御説明のように、大蔵省その他の関係が、裁判所はどうにか今日までまかなっておるから増員ということが認められないのだという、その考え方が私はいかぬと思う。率直に申しまして、先ほど大谷委員が例をあげて切々として訴えられておることは、こういう現状がいけないのだということなのです。それをどうにかまかなっておるからということで増員しないということになれば、今後芦田事件とか、その他の事件が続出してくることもやむを得ないという考え方に帰すると思いますので、一歩も前進せぬです、これは。そこでわれわれも今後機会あるごとに審理の促進ということに協力いたしますが、裁判所としてもそうお上品にかまえないで、相当心臓強く予算獲得に邁進されるように私は希望いたします。
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矢嶋三義#23
○担当委員外委員(矢嶋三義君) 実は私皇室費並びに宮内庁費について質問したいと思いまして、第四分科会から参ったわけでありますけれども、ちょっとあとになりましたので、せっかくですから二、三点ごく簡単なことを伺わせていただきたい。
 まずお伺いしますが、百二十九ページに、司法修習生手当というのが出ておりますが、私伺いたい点は、司法修習生の志望者ですね、言いかえますならば、質は向上しつつあるかどうか、そういう点伺いたいと思います。
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岸上康夫#24
○最高裁判所長官代理者(岸上康夫君) 司法修習生は、御承知のように司法科試験を及第といいますか、パスいたしました者につきましては、本人の志望によりまして、原則として司法修習生に採用するという建前でやっておるわけであります。健康上等の理由で欠格になる方は別でございますが、原則として採用する毎年大体人数は三百名前後でございます。それが二年間修習いたしまして、さらに二回試験と申しておりますが、それをパスした者の中から今度は裁判官、検察官あるいは弁護士にそれぞれ志望によりまして採否を決定する、裁判所につきましては、採否を決定するということになっております。で、私は実は直接の所管でございませんので、御質問の、質がよくなったかどうかという点については、はっきりした断定的なことは申し上げかねますが、聞いておりますところによりますと、新制大学になりましてから、結局大学における法律的な専門知識、あるいはその他の裁判官あるいは法曹に必要な教養知識というものは、旧制時代に比していささか落ちたというふうに伺っております。しかし、まあ具体的には存じておりませんので、どの程度か詳しいことはわかりかねますが、要するに、小学校から大学までを通じて、教育期間が旧制時代に比して一年ですか減っております関係等から、一言でいえば、学力がやや落ちたというふうに見られておるようでございます。
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矢嶋三義#25
○担当委員外委員(矢嶋三義君) この裁判官の質並びに研修ということは、私は社会が複雑化し、進展していけばいくほど非常に重要なことだと思うのです。自然科学、社会科学の方面におきましても、大学院の充実ということが非常に緊急な問題として強く要望されているわけでありますが、司法修習生の方は、先ほどお話がありましたように、パスした人が二年間お入りになるわけで、りっぱな素質の人を確保するためには、この二年間の手当というものを相当考慮する必要があると思う。で、今度の国会に出された予算でも、科学技術の振興という立場からは、大学院の博士課程等に対しては一万円程度の願わくば無償給与、その研究費を補助すべきだという声もあったわけですけれども、五百円程度に予算は削減されているようです。それらを勘案するときに、私は裁判官というものはずいぶん地味な職業で、そういえば失礼かもしれませんが、今の若い者にとってはなかなかぴったりこないところがあるのじゃないかと思うのですね。それだけに司法畑へ優秀な人が希望を持って志望していくというような道を開くためには、この二年間の期間における手当等については相当の考慮を払う必要があると、かように私は考えているわけなんですが、それに皆さん方どういう御見解を持っているか、承わりたいと思います。
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岸上康夫#26
○最高裁判所長官代理者(岸上康夫君) 司法修習生の手当は、来年度の予算につきましては、本俸月額一万二千八百五十円ということで、そのほかに扶養手当、暫定手当、そういうもの、それからまた寒冷地手当、そのほかに期末手当、勤勉手当、なお寒冷地に勤務する期間中は寒冷地手当というふうなものも普通の一般の公務員と同じように受けておるわけであります。で、これでいいか、これで少いかどうかという点は、いろいろ見方によってもちろん御意見もあろうかと存じますが、ただいまのところ私どもの方といたしまして、これで一般に比べて著しく低いというふうにも考えてはおりません。まあまあこの程度でいいんじゃないかということで、大体この金額は公務員のベ—スアップがありますときには、それと同じ率でスライドと申しますか、同じ率でずっと増額されてきております関係もありまして、まあまあこの程度でやむを得ないのじゃないかという程度の見解でございます。
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矢嶋三義#27
○担当委員外委員(矢嶋三義君) その点わかりました。
 次、伺いますが、最高裁判所の項に報償費が五十一万二千円、要求されているわけです。高等裁判所、地方裁判所には報償費の要求がないわけですが、この最高裁判所の報償費の五十一万二千円というのはどういう使い方をなさっておられるのかという点と、先ほど申し上げましたように、高等裁判所、地方裁判所にそういうものを要求されないのはどういうわけなのか、御説明いただきたい。
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岸上康夫#28
○最高裁判所長官代理者(岸上康夫君) ただいま御指摘の報償費は、これは全国の裁判所で仕事をしていただいております調停委員でございますね、この調停委員が毎年何名か選ばれまして、報償を受けるのでございます。その関係の経費というのがここに上っております報償費でございます。従って、この金で結局全裁判所に関係していただいております調停委員の報償をまかなうという関係でございますので、特に高等、地方の方には入っていないというわけでございます。
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矢嶋三義#29
○担当委員外委員(矢嶋三義君) 先般予算委員会の総括質問で報償費の説明を大蔵大臣に求めましたところが、大蔵大臣は高度の機密云々というような答弁をなさって、報償費の中でも幾らも種類があるのではないかということを反問したのでございますが、大蔵大臣にはそれに対して明確なる答弁をしなかったのでございますが、お宅の報償費というのは機密云々というのは全く関係ないわけですね。
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