オリンピック準備促進特別委員会
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会
会議録情報#0
昭和三十九年八月三十一日(月曜日)
午前十時四十七分開会
—————————————
委員の異動
六月二十六日
辞任 補欠選任
前田 久吉君 小西 英雄君
八月三十一日
辞任 補欠選任
田中 一君 戸叶 武君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 佐藤 尚武君
理事
河野 謙三君
西田 信一君
岡田 宗司君
委員
石井 桂君
小西 英雄君
小柳 牧衞君
田中 茂穂君
安井 謙君
山本 利壽君
戸叶 武君
中村 正雄君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
説明員
文部省体育局長 前田 充明君
参考人
オリンピック東
京大会組織委員
会事務総長 与謝野 秀君
オリンピック東
京大会組織委員
会事務次長 佐藤 朝生君
オリンピック資
金財団理事長 靱 勉君
オリンピック資
金財団事務局長 近藤 直人君
日本体育協会東
京オリンピック
選手強化対策本
部本部長 大島 鎌吉君
東京オリンピッ
ク記録映画総監
督 市川 崑君
東京オリンピッ
ク映画協会会長 田口助太郎君
日本放送協会東
京オリンピック
放送実施総本部
統轄本部副本部
長 岡本 正一君
オリンピック東
京大会組織委員
会報道部長 富永 正信君
—————————————
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○オリンピック東京大会準備促進に関
する調査
(記録映画に関する件)
(インドネシア参加問題に関する
件)
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この発言だけを見る →午前十時四十七分開会
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委員の異動
六月二十六日
辞任 補欠選任
前田 久吉君 小西 英雄君
八月三十一日
辞任 補欠選任
田中 一君 戸叶 武君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 佐藤 尚武君
理事
河野 謙三君
西田 信一君
岡田 宗司君
委員
石井 桂君
小西 英雄君
小柳 牧衞君
田中 茂穂君
安井 謙君
山本 利壽君
戸叶 武君
中村 正雄君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
説明員
文部省体育局長 前田 充明君
参考人
オリンピック東
京大会組織委員
会事務総長 与謝野 秀君
オリンピック東
京大会組織委員
会事務次長 佐藤 朝生君
オリンピック資
金財団理事長 靱 勉君
オリンピック資
金財団事務局長 近藤 直人君
日本体育協会東
京オリンピック
選手強化対策本
部本部長 大島 鎌吉君
東京オリンピッ
ク記録映画総監
督 市川 崑君
東京オリンピッ
ク映画協会会長 田口助太郎君
日本放送協会東
京オリンピック
放送実施総本部
統轄本部副本部
長 岡本 正一君
オリンピック東
京大会組織委員
会報道部長 富永 正信君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○オリンピック東京大会準備促進に関
する調査
(記録映画に関する件)
(インドネシア参加問題に関する
件)
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佐
佐藤尚武#1
○委員長(佐藤尚武君) ただいまからオリンピック準備促進特別委員会を開催いたします。
まず、委員の変更について御報告いたします。
本日、田中一君が辞任され、その補欠として戸叶武君が選任されました。
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この発言だけを見る →まず、委員の変更について御報告いたします。
本日、田中一君が辞任され、その補欠として戸叶武君が選任されました。
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佐
佐藤尚武#2
○委員長(佐藤尚武君) 次に、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
オリンピック東京大会準備促進に関する調査のため、東京都、日本放送協会、オリンピック東京大会組織委員会、東京オリンピック資金財団、日本体育協会等の関係者を参考人として御出席を願うことがあると存じまするので、本委員会において必要の際は、右関係者に参考人として出席を求めることとし、その人選及び手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →オリンピック東京大会準備促進に関する調査のため、東京都、日本放送協会、オリンピック東京大会組織委員会、東京オリンピック資金財団、日本体育協会等の関係者を参考人として御出席を願うことがあると存じまするので、本委員会において必要の際は、右関係者に参考人として出席を求めることとし、その人選及び手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
佐
佐
佐藤尚武#4
○委員長(佐藤尚武君) オリンピック東京大会準備促進に関する調査を議題といたします。
本日は、東京オリンピック記録映画に関する件等について調査を進めます。
なお、本件調査のため、委員長は、オリンピック東京大会組織委員会事務総長与謝野秀君、同事務次長佐藤朝生君、同報道部長富永正信君、東京オリンピック資金財団理事長靱勉君、同事務局長近藤直人君、東京オリンピック記録映画総監督市川崑君、東京オリンピック映画協会会長田口助太郎君、日本体育協会オリンピック選手強化対策本部本部長大島鎌吉君、日本放送協会東京オリンピック放送実施総本部統轄本部副本部長岡本正一君、以上の方々に参考人として御出席を願っております。
それでは、最初に御説明をお願いいたします。与謝野オリンピック東京大会組織委員会事務総長どうぞ。
この発言だけを見る →本日は、東京オリンピック記録映画に関する件等について調査を進めます。
なお、本件調査のため、委員長は、オリンピック東京大会組織委員会事務総長与謝野秀君、同事務次長佐藤朝生君、同報道部長富永正信君、東京オリンピック資金財団理事長靱勉君、同事務局長近藤直人君、東京オリンピック記録映画総監督市川崑君、東京オリンピック映画協会会長田口助太郎君、日本体育協会オリンピック選手強化対策本部本部長大島鎌吉君、日本放送協会東京オリンピック放送実施総本部統轄本部副本部長岡本正一君、以上の方々に参考人として御出席を願っております。
それでは、最初に御説明をお願いいたします。与謝野オリンピック東京大会組織委員会事務総長どうぞ。
与
与謝野秀#5
○参考人(与謝野秀君) オリンピック記録映画の製作に関する今日までの経過につきまして概略の御説明を申し上げます。
この記録映画は、ローマオリンピック大会が行なわれます前から監督の黒沢明氏をお願いするという方針が立てられておりました関係上、この制作も、東宝及び日映新社という両社に制作を委託されるということに大体内定しておったのでありますが、一方、黒沢監督が種々の都合から監督を引き受けることがむずかしくなったという事情がございました。また、他方、他のニュース映画六社から、日映新社一社に委託するのはおかしいではないか、国家的事業であるから全部で共同してやるべきだという声が上がりまして、東宝も、それではというので、みずから辞退されたわけでございます。
そこで、ニュース映画七社、日映新社を加えました七社に委託して制作を行ない、また配給に関しては、映画の五大会社の社長で構成している映画連盟というものがございまして、そこで研究していただく、こういう方針できまりまして、いよいよ東京オリンピック映画協会というものを七社で設立することになりましたが、これも、こういう重要なものを扱うわけでございますので、社団法人として認可を求めておりまして、ことしの一月に、この社団法人東京オリンピック映画協会は文部省から認可されたわけでございます。この間にも、すでに七社の報道、ニュース・カメラの人たちが東京オリンピックに備えまして、昨年十月行なわれた東京スポーツ大会でいろいろと撮影を行ないまして、研究をし、実験を進めてまいったわけでございます。
その後、映画協会が設立された後に、黒沢監督にかわる、どなたかいい監督はないかというので、いろいろ物色されたのでありますが、結局、大映の市川監督が総監督としてこれをお引き受けくださり、また同時に、技術監督として、日本のカラー映画の権威である碧川道夫氏が技術監督に就任されることにきまりました。また、当時映画協会の協会長であった田口助太郎さんが、他の職をすべてなげうって、これに専念してくださることになりました。プロデューサーということをお引き受けくださったわけでございます。その後、ことしになりまして、各競技場の室内の照明であるとか、その他いろいろ映画作製に必要な調査等を行なって今日までまいったのでありまして、また、シナリオライターに和田夏十氏以下のスタッフがきまりまして、大体シナリオの原本もでき上がったわけでございます。
また同時に、この映画関係を、撮影を担当する人たちと協議するために、組織委員会の中に記録映画委員会をつくりまして、各方面の権威者に入っていただきまして、また、各競技場と非常に密接な関係があるものでありますから、記録映画制作連絡協議会というものを、各競技団体の代表一名ずつと、この映画協会のスタッフ及び組織委員会のスタッフでつくりまして、打ち合わせを行なっております。
すでに、撮影はいろいろな点で始まっておるのでありますが、今般ギリシャへ聖火を受け取りに行きました一行にも記録映画の人たちが同行しておりまして、すでにギリシャから途中の映画を撮影している、こういう状況でございます。
また、今月に入りましてから、田口プロデューサーの補佐として東宝の谷口千吉監督が就任され、また、音楽の担当に黛敏郎氏が就任され、いろいろ陣容を整えて遺憾なきを期しているわけでございます。
ただ、まだ未定になっておりまする部分は、その配給の問題で、五大映画会社の社長同士の話し合いで大体話がついておるのでありますが、まだこまかい点で最後の打ち合わせというところまでいっておらない。こういうのが現状でございます。
以上、簡単でございますが、概括的に御報告いたします。
この発言だけを見る →この記録映画は、ローマオリンピック大会が行なわれます前から監督の黒沢明氏をお願いするという方針が立てられておりました関係上、この制作も、東宝及び日映新社という両社に制作を委託されるということに大体内定しておったのでありますが、一方、黒沢監督が種々の都合から監督を引き受けることがむずかしくなったという事情がございました。また、他方、他のニュース映画六社から、日映新社一社に委託するのはおかしいではないか、国家的事業であるから全部で共同してやるべきだという声が上がりまして、東宝も、それではというので、みずから辞退されたわけでございます。
そこで、ニュース映画七社、日映新社を加えました七社に委託して制作を行ない、また配給に関しては、映画の五大会社の社長で構成している映画連盟というものがございまして、そこで研究していただく、こういう方針できまりまして、いよいよ東京オリンピック映画協会というものを七社で設立することになりましたが、これも、こういう重要なものを扱うわけでございますので、社団法人として認可を求めておりまして、ことしの一月に、この社団法人東京オリンピック映画協会は文部省から認可されたわけでございます。この間にも、すでに七社の報道、ニュース・カメラの人たちが東京オリンピックに備えまして、昨年十月行なわれた東京スポーツ大会でいろいろと撮影を行ないまして、研究をし、実験を進めてまいったわけでございます。
その後、映画協会が設立された後に、黒沢監督にかわる、どなたかいい監督はないかというので、いろいろ物色されたのでありますが、結局、大映の市川監督が総監督としてこれをお引き受けくださり、また同時に、技術監督として、日本のカラー映画の権威である碧川道夫氏が技術監督に就任されることにきまりました。また、当時映画協会の協会長であった田口助太郎さんが、他の職をすべてなげうって、これに専念してくださることになりました。プロデューサーということをお引き受けくださったわけでございます。その後、ことしになりまして、各競技場の室内の照明であるとか、その他いろいろ映画作製に必要な調査等を行なって今日までまいったのでありまして、また、シナリオライターに和田夏十氏以下のスタッフがきまりまして、大体シナリオの原本もでき上がったわけでございます。
また同時に、この映画関係を、撮影を担当する人たちと協議するために、組織委員会の中に記録映画委員会をつくりまして、各方面の権威者に入っていただきまして、また、各競技場と非常に密接な関係があるものでありますから、記録映画制作連絡協議会というものを、各競技団体の代表一名ずつと、この映画協会のスタッフ及び組織委員会のスタッフでつくりまして、打ち合わせを行なっております。
すでに、撮影はいろいろな点で始まっておるのでありますが、今般ギリシャへ聖火を受け取りに行きました一行にも記録映画の人たちが同行しておりまして、すでにギリシャから途中の映画を撮影している、こういう状況でございます。
また、今月に入りましてから、田口プロデューサーの補佐として東宝の谷口千吉監督が就任され、また、音楽の担当に黛敏郎氏が就任され、いろいろ陣容を整えて遺憾なきを期しているわけでございます。
ただ、まだ未定になっておりまする部分は、その配給の問題で、五大映画会社の社長同士の話し合いで大体話がついておるのでありますが、まだこまかい点で最後の打ち合わせというところまでいっておらない。こういうのが現状でございます。
以上、簡単でございますが、概括的に御報告いたします。
佐
市
市川崑#7
○参考人(市川崑君) いま与謝野さんから御説明になったように、着々と記録映画の構想は固まりつつあるんでありますけれども、私といたしましては、予算その他の点は、何も心配しておりませんのです。ということは、その方面のことは、与謝野さんとか、プロデューサーの田口さんとかに、もうおまかせして安心しておりまして、いま、この映画をどういう意義ある映画にするか、そのことに専心しているのが現状であります。ただ、少し事務的に、機材その他がまだ手元に入手できませんので、この辺をもう少し促進していただきたいというふうに思っております。
予算の点その他のことで心配はないというのは、厳密に言って、足りないいろいろな問題はあると思うのですが、私は、そのことにあまり頭を散らさないで、そのことは田口さんのほうにおまかせして、自分は制作のほうに現在かかりたいと思っております。簡単ですが……。
この発言だけを見る →予算の点その他のことで心配はないというのは、厳密に言って、足りないいろいろな問題はあると思うのですが、私は、そのことにあまり頭を散らさないで、そのことは田口さんのほうにおまかせして、自分は制作のほうに現在かかりたいと思っております。簡単ですが……。
佐
河
河野謙三#9
○河野謙三君 オリンピックをわずか四十何日の間近に控えまして、きょう御出席いただきました参考人の各位、非常に御多忙のことは承知しながらも、なおかつ、きょう御出席いただきました私の気持ちといたしましては、私が言うまでもありません。オリンピック開催時に直接各競技場に入りまして見物ができます国民というものは、国民全体から見ればわずか一%か二%にすぎません。でありますから、この場に臨みますと、準備も大体できたようでありますから、特に重点を置いていただきたいのは、オリンピックに直接触れることのできない大多数の国民に、いかにしてオリンピックの零囲気を味わってもらうか。これは私は非常に大事だと思う。お考えになっておると思う。その意味で、記録映画というものは、いま与謝野さんがお話しのように、いろいろな紆余曲折を経て、ここにスタッフが構成されたんでありますけれども、私は、思い切って、かかる金はかける、施設すべきものは施設する、人員等も、IOCの規定によりまして制約はあるようでありますけれども、できるだけ人員もより多くの人を配置して、りっぱなものをつくっていただきたい、こういう気持ちでございます。
その意味で、いま市川さんから構想についてあまり具体的にはお触れくださいませんでしたが、この機会に、市川さんは市川さんなりに、技術者として、予算その他のことは別問題にして、自分は予算にかまわず、大多数の国民のために喜ばれる、満足してもらえるような記録映画というものはどういうふうにしてつくる、どうしたらいいだろうということを、ひとつ、あらためて構想を伺えば非常にしあわせだと思います。
この発言だけを見る →その意味で、いま市川さんから構想についてあまり具体的にはお触れくださいませんでしたが、この機会に、市川さんは市川さんなりに、技術者として、予算その他のことは別問題にして、自分は予算にかまわず、大多数の国民のために喜ばれる、満足してもらえるような記録映画というものはどういうふうにしてつくる、どうしたらいいだろうということを、ひとつ、あらためて構想を伺えば非常にしあわせだと思います。
市
市川崑#10
○参考人(市川崑君) いま河野さんからおっしゃいましたように、私も、オリンピックの全貌というものは、とにかく科学が進歩しまして、テレビその他で——あるいは実際に競技場に行ってごらんになる方もあるわけですけれども、ほんとうの意味のオリンピックの全貌というものは、この記録映画にとどめを刺さすんじゃないか。しかもなお、記録映画はそういうところにキーポイントがあると、私もそう信じて、いま制作の構想を練っておるわけなんですけれども、映画と申しますのは具体的に何かを発言せいと言われましても、たいへん感覚的で、そしてたいへん創造的なものですから、でき上がってごらんになっていただくまでは、ああだこうだと私の口から申すのも、たいへん弁解がましくなりますんで、必ずやそういう意義ある作品をつくるという信念でいまやっておりまして、その意味において、一つの記録映画じゃない創作、つまり映画としての生命がある作品にこれを仕上げたいと思っています。何か具体的なことを申し上げても、やや専門的になると思いますんで、具体的な問題は、田口さんのほうからでも説明していただいたほうがいいんじゃないかと思います。
この発言だけを見る →河
河野謙三#11
○河野謙三君 それでは、もうすでに記録映画はスタートしておるんでありますから、それぞれ内部的にいろいろな具体的な打ち合わせも進行しておると思いますが、田口会長の立場で、いま市川さんの構想に基づいて録記映画をほんとうに国民に満足してもらうようなものをつくるために、何か不足しておる資材とか、または予算とか、その他、もしこれがあったならば、こうしてくれたならば、というようなものがございましたならば、進んでひとつ御発表いただきたいと思います。
この発言だけを見る →田
田口助太郎#12
○参考人(田口助太郎君) お答えいたします。
映画というものは、かければ幾らでもかかります。劇映画の場合でも、まあ一千万くらいから何億とかける映画、外国にいけば何十億もかける映画というようなものがあります。したがって、映画は、予算面から見ると制限がないというような性格の商品であります。あるいは、芸術といいましょうか。したがって、ある程度の限界は当然守らなければならない。
しかし、日本の国民に出して、あるいは私たちがいままで記録映画をずっと見まして、「民族の祭典」が最高である。その後ずいぶんできておりますけれども、あれが最高である。これは、私自身ばかりでなく、監督以下全部が、今度の映画をつくるについて見まして、そして全員一致の意見で、いままでずっと幾つもつくられたけれども、あれが最高である。あれがつくられてから二十八年、あらゆる科学技術は進歩しておりますし、芸術も相当いろいろな方面に発展しておる。それが二十八年後に少しも古さを感じないし、りっぱな映画である。しかし、日本も映画国としては世界に一、二を争う技術を持っておる国でありますので、映画技術的には決して「民族の祭典」に劣るようなものをつくりたくない。あれ以上のものをつくりたいという考えでスタッフ一同ががんばっております。しかし、そういう「民族の祭典」を上回るものということになりますと、なかなか現在の——あの当時は、国が予算をおかまいなしでやりましたので、相当現在の金に直せばかかったと思います。いま、あれほどはかけられないのですが、一番問題になるのは、私たちは、予算が少ないために、リハーサルが一回きりできなかった。選手強化というものは数年前からやっておりましたけれども、私たち映画をつくる側も選手と同様に強化しなければならないと思います。選手が新しい世界記録をつくるために、人類の持つ、人間の持つ最高のエネルギーを出すと同様に、われわれ映画人自身も、あの瞬間は選手に負けない技術と精神力を爆発させなければならない、そのためには訓練期間が非常に少なかった。昨年の国際スポーツ大会に技術的テストをやりました。それに基づいていろいろ反省をいたしました。しかし、それの完成後は、予算の都合上ストップ、全員解散というような状況でありまして、ほんとうにわれわれが動き出したのは、二月になって、事務局を入れて二十名くらいとなり、七月になってそれが五名ふえた、八月一日、十六名ふえた、この九月に二十名ふやす、九月十五日に三十八名ふやす、それから本番時になりまして、十月一日から百八十六名を動員する、こういう計画でやっております。したがいまして、ほんとうの意味の訓練期間というものは、大部分が十五日間の訓練であの映画をつくると言わなければならぬ、これでは、なかなか人件費その他がオーバーであるというようなことで、私は、会長の立場とすれば、一日も早く訓練をしたい。最高時には三百人の人間を出すのでありますから、これらのチームワークとか技術というようなものの準備に相当万全を期するために、予算があれば、もっと早く選手強化と同じくらいにやってみたかったと考えております。予算面としては、もうここまで来ては、あまり期待できませんが、しかし、われわれは、予算があれば、一カ月でも期間を早めて、十月一日と言わず、半月でも一カ月でも早く全員集合してもらって訓練をしたいというのが私の希望であります。
もう一つ大きく心配されるのは、現在でも、監督と責任者である私とがいろいろ議論をし、今後本番時になってくると、相当大きくけんかをしなければならないであろうと覚悟しておりますのは、フィルムの問題であります。
フィルムは、現在予算では十万三千メーターでございまして、仕上がった作品から見ますと、二十三倍であります。ニュース映画は大体十倍ぐらいの損耗率でありますが、二十三倍というような、よけいとるというようなことで、十万三千メーターの予算でやっている。したがって、普通の映画づくりの常識から見ますと、非常に多いというような感じを受けられると思いますし、またわれわれも、二十三倍あればというふうに考えておりました。しかし、これを競技別に割ってみたり、それから機械台数で割ってみたりしますと、非常に少ないということが言えると思います。
たとえば、今度準備いたしました機械は、アイモと申しまして、よく議会などでも手持ちでやっている機械でございます。これが、ピーク時は三日間でございますが、四十六台出ます。これは、全部ニュース七社から借り上げて出る機械でございます。それからアリフレックスと申しまして、大体それより大きい機械でございますが、これが四十七台ピーク時に出ます。それからハイスピードはこれは非常に高いものでございますので、小さいハイスピードだけ二台買って、あとは劇会社からそれぞれ一台づつ貸してもらう計画を立てまして、総計いたしますと約百台になる機械がピーク時に出ます。しかし、これはピーク時でありまして、毎日それだけの機材が出るというものではありませんで、これを平均して大体半分というふうに私は考えてみまして、平均して、アイモが二十三台、アリが二十四台、ハイスピードは、これは七台が全部出ますが、日数が少ない。
アイモが二十三台、半分にしまして、一分間に大体二十七・五メートル回ります。したがって、一つのアイモの機械で六分間一日に平均回してもらうといたしますと、五万六千九百二十五メートル要ります。アリフレックスは、平均して半分の二十四台にいたしまして、一日十二分回してもらうといたしまして十一万八千八百メートル要ります。ハイスピードは、アリ、アイモの五倍の速度で大体回す計画でありますので、十二分間に一台の機械が千六百五十メートル回ってしまいます。したがって、十二分間回すということは、一台の機械で一万一千五百五十メートル回る。これは七日間ぐらい予定しておりますが、それだけでも八万八百五十メートル。総計いたしますと、二十五万六千五百七十五メートル。
一つの機械が、平均いたしまして、一番多いので十二分、少ないので六分というような、非常にこれは常識で考えられないような分数きり回せない。それでも予算の二倍半はかかってしまう。一つの機械が六分間、一日じゅうに六分間ということは、これをどう制限するか。一台の機械で四時間も五時間も回すメイン・キャメラもあります。また、マラソンのように、沿道で一分間で済むものもありますが、とにかく、フィルムが多くなければいいものはできないというので、いろいろ苦心しておりますが、なかなかこの点が、監督とプロデューサーの私とが、予算面でこれからも相当やり合わなければならない。ほんとうの芸術的良心に従ってやるとすれば、おそらくそういう要求以上のものが出るであろう。しかし、日本の財政その他の面から見て、現段階では、既定分の十万三千メートルで、三千メートルぐらいはすでに使っておりまして、本番には十万メートルぐらいという点で、この点が、理想の映画をつくるということについては、私としては非常に心配であるということを現在考えております。
大きなよりよい映画——機械台数も、ぶっつけ本番でございまして、機械台数が非常に多いということが、フィルム量を多くする原因であります。劇映画の場合には一台の機械で大体できる。したがって、ピーク時には百台近くの機械を出すというようなやり方がフイルム量をたくさん費す。予算の面から機械台数を減らそうかという考えも持ちましたが、しかし、ぶっつけ本番、いついかなるときにどんなことが起きるかわからない。監督のイメージどおりに、劇映画ならば、監督が、泣いてくれとか笑ってくれ、悲観そうなかっこうをしてくれということは注文がつきますが、今度の場合は世界一流の大スターでありますけれども、残念ながら、われわれ映画人の要求するようなポーズはしてくれません。したがって、機械を相当方々に据えまして、単なるいわゆる記録ではない、非常に創作的な、永遠に残るものというような考えでいきますと、機械台数を制限いたしますと、シャッターチャンスを落とす。あるいは監督のイメージに遠いものがとれてしまうという形で、大体場所その他の制約から、これだけは置けるという数は各競技団体から了承を受け、準備、設定をする場所等も獲得をしている点から出た数字でございますが、しかし、この点も、機材をこのまますると、六分から十二分というほどきり、平均に回せないというような状況である。それでもあれですから、現在の予算からいくと、大体二分から四分、平均いたしますと。全体の機械台数の半分の機械が十五日間動くとして、現在のフィルムから見ますと、二分から四分くらいが一台平均の回し量であるというようなことで、非常にさびしく心配する点だと思います。
大体私の会長としての立場で、今後見通され、現在不便を感じておると思うものは、以上のものが大きなものであると思います。
この発言だけを見る →映画というものは、かければ幾らでもかかります。劇映画の場合でも、まあ一千万くらいから何億とかける映画、外国にいけば何十億もかける映画というようなものがあります。したがって、映画は、予算面から見ると制限がないというような性格の商品であります。あるいは、芸術といいましょうか。したがって、ある程度の限界は当然守らなければならない。
しかし、日本の国民に出して、あるいは私たちがいままで記録映画をずっと見まして、「民族の祭典」が最高である。その後ずいぶんできておりますけれども、あれが最高である。これは、私自身ばかりでなく、監督以下全部が、今度の映画をつくるについて見まして、そして全員一致の意見で、いままでずっと幾つもつくられたけれども、あれが最高である。あれがつくられてから二十八年、あらゆる科学技術は進歩しておりますし、芸術も相当いろいろな方面に発展しておる。それが二十八年後に少しも古さを感じないし、りっぱな映画である。しかし、日本も映画国としては世界に一、二を争う技術を持っておる国でありますので、映画技術的には決して「民族の祭典」に劣るようなものをつくりたくない。あれ以上のものをつくりたいという考えでスタッフ一同ががんばっております。しかし、そういう「民族の祭典」を上回るものということになりますと、なかなか現在の——あの当時は、国が予算をおかまいなしでやりましたので、相当現在の金に直せばかかったと思います。いま、あれほどはかけられないのですが、一番問題になるのは、私たちは、予算が少ないために、リハーサルが一回きりできなかった。選手強化というものは数年前からやっておりましたけれども、私たち映画をつくる側も選手と同様に強化しなければならないと思います。選手が新しい世界記録をつくるために、人類の持つ、人間の持つ最高のエネルギーを出すと同様に、われわれ映画人自身も、あの瞬間は選手に負けない技術と精神力を爆発させなければならない、そのためには訓練期間が非常に少なかった。昨年の国際スポーツ大会に技術的テストをやりました。それに基づいていろいろ反省をいたしました。しかし、それの完成後は、予算の都合上ストップ、全員解散というような状況でありまして、ほんとうにわれわれが動き出したのは、二月になって、事務局を入れて二十名くらいとなり、七月になってそれが五名ふえた、八月一日、十六名ふえた、この九月に二十名ふやす、九月十五日に三十八名ふやす、それから本番時になりまして、十月一日から百八十六名を動員する、こういう計画でやっております。したがいまして、ほんとうの意味の訓練期間というものは、大部分が十五日間の訓練であの映画をつくると言わなければならぬ、これでは、なかなか人件費その他がオーバーであるというようなことで、私は、会長の立場とすれば、一日も早く訓練をしたい。最高時には三百人の人間を出すのでありますから、これらのチームワークとか技術というようなものの準備に相当万全を期するために、予算があれば、もっと早く選手強化と同じくらいにやってみたかったと考えております。予算面としては、もうここまで来ては、あまり期待できませんが、しかし、われわれは、予算があれば、一カ月でも期間を早めて、十月一日と言わず、半月でも一カ月でも早く全員集合してもらって訓練をしたいというのが私の希望であります。
もう一つ大きく心配されるのは、現在でも、監督と責任者である私とがいろいろ議論をし、今後本番時になってくると、相当大きくけんかをしなければならないであろうと覚悟しておりますのは、フィルムの問題であります。
フィルムは、現在予算では十万三千メーターでございまして、仕上がった作品から見ますと、二十三倍であります。ニュース映画は大体十倍ぐらいの損耗率でありますが、二十三倍というような、よけいとるというようなことで、十万三千メーターの予算でやっている。したがって、普通の映画づくりの常識から見ますと、非常に多いというような感じを受けられると思いますし、またわれわれも、二十三倍あればというふうに考えておりました。しかし、これを競技別に割ってみたり、それから機械台数で割ってみたりしますと、非常に少ないということが言えると思います。
たとえば、今度準備いたしました機械は、アイモと申しまして、よく議会などでも手持ちでやっている機械でございます。これが、ピーク時は三日間でございますが、四十六台出ます。これは、全部ニュース七社から借り上げて出る機械でございます。それからアリフレックスと申しまして、大体それより大きい機械でございますが、これが四十七台ピーク時に出ます。それからハイスピードはこれは非常に高いものでございますので、小さいハイスピードだけ二台買って、あとは劇会社からそれぞれ一台づつ貸してもらう計画を立てまして、総計いたしますと約百台になる機械がピーク時に出ます。しかし、これはピーク時でありまして、毎日それだけの機材が出るというものではありませんで、これを平均して大体半分というふうに私は考えてみまして、平均して、アイモが二十三台、アリが二十四台、ハイスピードは、これは七台が全部出ますが、日数が少ない。
アイモが二十三台、半分にしまして、一分間に大体二十七・五メートル回ります。したがって、一つのアイモの機械で六分間一日に平均回してもらうといたしますと、五万六千九百二十五メートル要ります。アリフレックスは、平均して半分の二十四台にいたしまして、一日十二分回してもらうといたしまして十一万八千八百メートル要ります。ハイスピードは、アリ、アイモの五倍の速度で大体回す計画でありますので、十二分間に一台の機械が千六百五十メートル回ってしまいます。したがって、十二分間回すということは、一台の機械で一万一千五百五十メートル回る。これは七日間ぐらい予定しておりますが、それだけでも八万八百五十メートル。総計いたしますと、二十五万六千五百七十五メートル。
一つの機械が、平均いたしまして、一番多いので十二分、少ないので六分というような、非常にこれは常識で考えられないような分数きり回せない。それでも予算の二倍半はかかってしまう。一つの機械が六分間、一日じゅうに六分間ということは、これをどう制限するか。一台の機械で四時間も五時間も回すメイン・キャメラもあります。また、マラソンのように、沿道で一分間で済むものもありますが、とにかく、フィルムが多くなければいいものはできないというので、いろいろ苦心しておりますが、なかなかこの点が、監督とプロデューサーの私とが、予算面でこれからも相当やり合わなければならない。ほんとうの芸術的良心に従ってやるとすれば、おそらくそういう要求以上のものが出るであろう。しかし、日本の財政その他の面から見て、現段階では、既定分の十万三千メートルで、三千メートルぐらいはすでに使っておりまして、本番には十万メートルぐらいという点で、この点が、理想の映画をつくるということについては、私としては非常に心配であるということを現在考えております。
大きなよりよい映画——機械台数も、ぶっつけ本番でございまして、機械台数が非常に多いということが、フィルム量を多くする原因であります。劇映画の場合には一台の機械で大体できる。したがって、ピーク時には百台近くの機械を出すというようなやり方がフイルム量をたくさん費す。予算の面から機械台数を減らそうかという考えも持ちましたが、しかし、ぶっつけ本番、いついかなるときにどんなことが起きるかわからない。監督のイメージどおりに、劇映画ならば、監督が、泣いてくれとか笑ってくれ、悲観そうなかっこうをしてくれということは注文がつきますが、今度の場合は世界一流の大スターでありますけれども、残念ながら、われわれ映画人の要求するようなポーズはしてくれません。したがって、機械を相当方々に据えまして、単なるいわゆる記録ではない、非常に創作的な、永遠に残るものというような考えでいきますと、機械台数を制限いたしますと、シャッターチャンスを落とす。あるいは監督のイメージに遠いものがとれてしまうという形で、大体場所その他の制約から、これだけは置けるという数は各競技団体から了承を受け、準備、設定をする場所等も獲得をしている点から出た数字でございますが、しかし、この点も、機材をこのまますると、六分から十二分というほどきり、平均に回せないというような状況である。それでもあれですから、現在の予算からいくと、大体二分から四分、平均いたしますと。全体の機械台数の半分の機械が十五日間動くとして、現在のフィルムから見ますと、二分から四分くらいが一台平均の回し量であるというようなことで、非常にさびしく心配する点だと思います。
大体私の会長としての立場で、今後見通され、現在不便を感じておると思うものは、以上のものが大きなものであると思います。
河
河野謙三#13
○河野謙三君 私は、この段階にきて、記録映画撮影を今後理想的に進めていく以上において、いろいろ問題がまだ残っていることはよくわかったのですが、私がいまさら言うまでもなく、オリンピックの意義は、オリンピックを通じて世界各国に日本をよく理解してもらうという大きな目的もあるわけです。ところが、世界各国からこのオリンピックを、日本に来て直接見ていただく方は当初予定したよりも少ないようだ。かりに予定どおり来ても十数万の人ではないか、十万以内の人だということになりますと、どうしても、この記録映画を通じて、フィルムを通じて、世界に日本をよく理解してもらうという積極性が私はなくちゃいかぬし、その点に少し積極性が足りないと思う。同時に、前段申し上げましたように、国内を見ましても、九千数百万の国民の中で、オリンピックに直接触れることのできる人はわずか一%か二%ということになりますと、国民の血税によって、計算のしようによっては一兆ないし二兆という大がかりな準備をしてオリンピックを開催した、ところが、オリンピックが終わってみたら、大多数の国民には、オリンピックは何であったかわからぬということでは、私は相すまぬと思う。そういう意味合いで、私は、ここに与謝野さんもおられますが、もし希望される資材その他ございましたら、私は積極的にこれには協力すべきであると思うのですがね。
この機会に、ちょっと横道にそれますが、私は、しかもこの金は出しっぱなしではないと思う。記録映画をつくって、これは記録映画をただで方々にくれてやるわけではないでしょう。一体記録映画をつくったあとの処理、処分というものは、どうされるか。いずれ、これは売るのでしょう。考えようによっては、かりに五億、十億かけましても、その金は一時立てかえであって、すぐに五億、十億の金は回収されるものだと思う。この記録映画に投ずる金というのは、予算上は、一体組織委員会なり資金財団のほうは、どういうふうにお取りになっているか。出しっぱなしではないでしょう。そういうことを考えますと、金をかけてりっぱなものをつくれば、りっぱなものが高く売れる、高く貸せるというのでありますから、何もここで、大体間に合っていると市川さんおっしゃいますけれども、田口さんの話を聞きますと、必ずしも間に合ってないというようなことで、この機会に、もう少し私は、田口さんなり市川さんの立場を離れて、組織委員会なり文部省なり、記録映画についてどういうふうな考え方を持っておられるか、これを私は伺いたいと思うのですがね。
この発言だけを見る →この機会に、ちょっと横道にそれますが、私は、しかもこの金は出しっぱなしではないと思う。記録映画をつくって、これは記録映画をただで方々にくれてやるわけではないでしょう。一体記録映画をつくったあとの処理、処分というものは、どうされるか。いずれ、これは売るのでしょう。考えようによっては、かりに五億、十億かけましても、その金は一時立てかえであって、すぐに五億、十億の金は回収されるものだと思う。この記録映画に投ずる金というのは、予算上は、一体組織委員会なり資金財団のほうは、どういうふうにお取りになっているか。出しっぱなしではないでしょう。そういうことを考えますと、金をかけてりっぱなものをつくれば、りっぱなものが高く売れる、高く貸せるというのでありますから、何もここで、大体間に合っていると市川さんおっしゃいますけれども、田口さんの話を聞きますと、必ずしも間に合ってないというようなことで、この機会に、もう少し私は、田口さんなり市川さんの立場を離れて、組織委員会なり文部省なり、記録映画についてどういうふうな考え方を持っておられるか、これを私は伺いたいと思うのですがね。
与
与謝野秀#14
○参考人(与謝野秀君) ただいまの河野先生の御意見、ごもっともでありまして、実は、私も同じことを言って、今日まで予算獲得に、大蔵省なり文部省なりにお話ししてまいっておるわけでございます。実は、田口さん、市川さんがお引き受けくださった後も、こういう機材が足りない、こういう照明が要るというような御要求がありまして、従来の予算をはみ出したようなときでも、できるだけ御希望に沿うように今日まで努力してまいりました。また、河野さんのおっしゃるように、これは何もただでみんなにくれてやるものでなくて、回収できる金だというのは、まさにそのとおりなのでございますが、かりに三億かけましたときに、これで三億全額回収できるかどうかというところが、やはり見通しが立たないもので、ある程度はマイナスになる面も出てくるのじゃないかということはあるのでありますが、全額ただになるというようなことはないのでありまして、イタリアの例を見ましても、いまごろになってようやく黒字に近くなってきたというような実情もございます。私どもとしては、田口さん、市川さんのほうからいろいろな御希望がありますと、できるだけこれを実現するために今日まで努力いたしてまいりましたし、予算上も、当初の予定よりだいぶふえたという面もございまして、今後も、どうしてもこれがなければむずかしいという御注文がありましたなら、また研究して一緒に御相談したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
この発言だけを見る →河
河野謙三#15
○河野謙三君 そうしますと、記録映画に対する予算は、あくまでも予算であって、記録映画に投ずる金につきましては相当弾力性を持ってお考えになっておる、こういうことですか。
この発言だけを見る →与
与謝野秀#16
○参考人(与謝野秀君) いままでの予算は、御承知のように、政府の補助及び東京都の補助、それから一般民間から受ける寄付、こういう三本立てになっていたわけでございます。政府の補助を受ける面のほうは、もう予算で、すっかりきまっているわけでございますが、ただ、民間の資金というようなもので、まだ考慮するなり、予備費というものが、まだわずかながらございますので、それを流用するというような方法はまだ残っている、こういうわけでございます。
この発言だけを見る →河
河野謙三#17
○河野謙三君 それから、市川さんに今度はまた伺いたいのですがね、記録映画の構想を私は伺ったのですが、実は、私があなたの口から構想を伺いたかった一面は、記録映画というと、すぐ先ほどお話のあった「民族の祭典」を思い出すのですが、あれは、われわれも若いころに見まして非常に感激したのですが、しかし、あの「民族の祭典」は、記録映画としてはりっぱでありましたけれども、一スポーツマンとして、スポーツの技術を観察する点から見ますと、価値がないのですよ。ところが、これは文部省でもひとつ——お考えになっておると思うけれども、記録映画に——見る人がですね、二いろあると思うのです。いわゆる記録映画で満足される人と、これからのスポーツを愛好する青少年各位、これが、スポーツの技術というものを、今後のオリンピックを通して技術映画というような観点から、ひとつ記録映画をお考え願って、いわゆるしろうと向きと、くろうと向きと、こういう二つの面が私は望ましいと思う。いつまでも、何か国際試合があるたんびに、日本の二十年、三十年前の古い選手が外国に行って、そうしてコーチ団を編成して外国へ行って、高い旅費を使って、そして見てくる。これは非常に意義のあることですが、これだけでは、次のメキシコで開かれるオリンピック大会を控えましても、その次を控えましても、これから大いにスポーツの選手を育成しなきゃならぬ。対象は、いまの高校、中学の生徒です。これらの生徒には満足いかないわけですよ。そこで私は、幸い今度東京でオリンピックが開かれ、世界の一流中の一流という選手が一堂に会するという機会に、記録映画と平行して、技術映画という観点から何か一つ残してもらいたい、こういうように思うのですが、市川さんの構想の中に、少し欲ばっておりますけれども、そういう構想も含めての何かお考えがございますか。
この発言だけを見る →市
市川崑#18
○参考人(市川崑君) いま、そのお答えをする前に、ちょっと申し上げておきたい点がございますが、私が先ほど予算のことは心配ないというように申し上げたのは、もう心配だらけでしてね。私がそれを考えますと、もう演出のほうができないというような状態なものですから、もうそんなことじゃ、お金のことは知っちゃいない、そう自分で思っているわけです。そのほうの心配はむしろ田口さん、それから与謝野さんにしていただく。私はむしろ創造的なものをやるというようなことを申し上げたので、どうぞ。足りているということではないのです。
それから、いまおっしゃった、そのやや学術——いい意味での学術的な面ですね。そういう面も十分現在考えております。あくまでもこの映画は、私も切めて経験するのですけれども、記録映画とは言い切れない、もう少しスポーツという、まことに天真らんまんな人間の運動、人間のつまり一番素朴な動き、そういうものを通じて、やはり学術的——ということばはすごく変なんですけれども、いい意味でのわれわれができない、若い人のみができる、そういう人間の大きな機能、そういったものを重点的に描いていきたいと、私はそう思っております。
ただし、これはおそらく相当——いま田口さんがおっしゃったように、その一面でもフィルムが相当必要になってくるだろうということは事実ですね。ということは、あらゆる角度から、あらゆる尺数でそのスポーツ競技をそのままとらなきゃならない、そういうふうになると思うのです。ですから、やはりこれは予算が足りないわけですね、きっと。笑いですから、もうあまりぼくは発言したくないわけなんですね、もう現在の状態では。まあ、ことばの上では、意義ある作品をつくると申し上げるわけですけれども、しかし、何事にもワクがあるわけですから、そのワクの中で最高とするものをつくろうと、自分では腹をきめてはいるのですけれども、まあ、あと足りない、足りない、そのあとのことは、与謝野さん、田口さんのほうでよろしくアレンジしていただきたいと、私はそう思っているのです。で、そのスポーツというそのものは、やはり映画の構成上どうしても重要視されてきますし、おっしゃるような形で、きっと入ってくると思います。
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ただし、これはおそらく相当——いま田口さんがおっしゃったように、その一面でもフィルムが相当必要になってくるだろうということは事実ですね。ということは、あらゆる角度から、あらゆる尺数でそのスポーツ競技をそのままとらなきゃならない、そういうふうになると思うのです。ですから、やはりこれは予算が足りないわけですね、きっと。笑いですから、もうあまりぼくは発言したくないわけなんですね、もう現在の状態では。まあ、ことばの上では、意義ある作品をつくると申し上げるわけですけれども、しかし、何事にもワクがあるわけですから、そのワクの中で最高とするものをつくろうと、自分では腹をきめてはいるのですけれども、まあ、あと足りない、足りない、そのあとのことは、与謝野さん、田口さんのほうでよろしくアレンジしていただきたいと、私はそう思っているのです。で、そのスポーツというそのものは、やはり映画の構成上どうしても重要視されてきますし、おっしゃるような形で、きっと入ってくると思います。
河
河野謙三#19
○河野謙三君 文部省の体育局長に伺いますがね。御承知のとおり、スポーツの普及に一番大切なことは、施設と指導者の養成ですね。まあ、施設は遅々として進まぬけれども、文部省のお骨折りで、全国にプールがどんどんできたり、競技場ができたり、いろいろしております。また、各自治体も、それぞれ国体を通じまして、施設の充実をはかっております。
ところが、指導者の養成というものは、あなたのほうでやっておられるけれども、なかなか中途はんぱな指導者ばかりで、指導者らしい指導者はいないですよ。早い話が、迷惑千万だろうけれども、今度東京大会やるたって、相変わらず、われわれとあまり年代の変わらぬ織田君、南部君、田島君だのを引っぱり出してこなければ、それ以外に指導者はいないじゃないですか。そういうことを考えましても、指導者の育成ということは非常にスポーツの振興に大事だと思うのです。
そうすると、私の理想から言えば、今度のオリンピックを通じまして、技術的な映画をうんと金をかけてつくって、そうしてNHKも非常にお骨折願っておりますが、全国の高校大会とか、中学校の対抗とか、いろいろ大会ありますね。この方面に非常にスポーツ熱が盛んになってまいりましたが、私は、今度のオリンピックで技術映画をつくって、その技術映画を、全国の中学校、高等学校くらいは、一本ずつ全部これを届ける。大した金ではないと思う。これによって、私は指導者の育成というものは一ぺんに解決するというくらいに思っているのですよ。あなたのほうじゃ、毎年指導者育成というような種類で予算を組んでおられるが、なかなか大蔵省はがんとして出さない。出さないわけですよ。何だかピントが合わないのです、あなたのほうでやっている指導者育成という予算は。だから、具体的に、今度のオリンピックを通じて技術映画というものを作製して、これだけで全部片づくわけではありませんが、画期的な指導者育成ということにこれを通じて寄与すればいいじゃないか、そう思うのですが、それについて、あなたのほうでは、今度の記録映画について何か御意見ございますか。
この発言だけを見る →ところが、指導者の養成というものは、あなたのほうでやっておられるけれども、なかなか中途はんぱな指導者ばかりで、指導者らしい指導者はいないですよ。早い話が、迷惑千万だろうけれども、今度東京大会やるたって、相変わらず、われわれとあまり年代の変わらぬ織田君、南部君、田島君だのを引っぱり出してこなければ、それ以外に指導者はいないじゃないですか。そういうことを考えましても、指導者の育成ということは非常にスポーツの振興に大事だと思うのです。
そうすると、私の理想から言えば、今度のオリンピックを通じまして、技術的な映画をうんと金をかけてつくって、そうしてNHKも非常にお骨折願っておりますが、全国の高校大会とか、中学校の対抗とか、いろいろ大会ありますね。この方面に非常にスポーツ熱が盛んになってまいりましたが、私は、今度のオリンピックで技術映画をつくって、その技術映画を、全国の中学校、高等学校くらいは、一本ずつ全部これを届ける。大した金ではないと思う。これによって、私は指導者の育成というものは一ぺんに解決するというくらいに思っているのですよ。あなたのほうじゃ、毎年指導者育成というような種類で予算を組んでおられるが、なかなか大蔵省はがんとして出さない。出さないわけですよ。何だかピントが合わないのです、あなたのほうでやっている指導者育成という予算は。だから、具体的に、今度のオリンピックを通じて技術映画というものを作製して、これだけで全部片づくわけではありませんが、画期的な指導者育成ということにこれを通じて寄与すればいいじゃないか、そう思うのですが、それについて、あなたのほうでは、今度の記録映画について何か御意見ございますか。
前
前田充明#20
○説明員(前田充明君) たいへん有意義なお話を伺ったのでございますが、記録映画からちょっと申し上げたいと思うのでございますが、記録映画は、組織委員会におきましては、憲章に基づきましておつくりになる。いま、おつくりになるものが、実際に競技の技術的な立場からいいまして非常に役立つかどうかという問題から出発しておられるのでございますが、「民族の祭典」において技術的な点で欠けるところがあるというようなお話もございましたのですが、そういう場合もあるかと思うのですが、私どもの感じから申しますと、「各種目の決勝を撮影した完全な映画によって、競技大会が永久に記録されるよう」、こういうことが憲章の中にうたってございまして、そういうことは、芸術的におとりになるとしても、憲章の精神は無視するわけではないと思うのでございます。
かような意味で、ある程度はもちろん役立つであろうと思っておりますが、憲章の中に、さらに「各国際競技連盟は、当該種目の技術的な十六ミリ映画を撮影して、学校、競技者クラブ、あるいは、その他同様の非公開の観客に対して、有料で上映することができる。」と書いてあるわけでございまして、こういう国際スポーツ競技連盟の関係の方は、競技場へ入って撮影をすることは許されておるわけでございます。したがって、そういう十六ミリ映画をつくるということはいいわけでございます。現に、これは私まだよく確かめておりませんが、国際陸連その他一、二の国際団体は十六ミリ映画をとる予定をしているというようなことをちょっと聞いておりますが、これは全く「技術的な十六ミリ映画」と初めから書いてあるわけでございます。相当役立つものができるのではないかと思っております。
で、私ども文部省のほうから申しますと、競技場へそうどんどん撮影者が入りますと、競技のじゃまになるわけでございます。そういう意味で、憲章でこういう許される範囲の人を一々書いてあるわけでございまして、したがって、まあ現状では、私ども文部省がそういう映画をとる計画は特に実は持っておりませんが、しかし、こういう国際競技連盟等、その競技場へ入る資格のある人たちが大いにそういうものをとってもらうということについては非常にけっこうなことだと思っておる次第でございます。
この発言だけを見る →かような意味で、ある程度はもちろん役立つであろうと思っておりますが、憲章の中に、さらに「各国際競技連盟は、当該種目の技術的な十六ミリ映画を撮影して、学校、競技者クラブ、あるいは、その他同様の非公開の観客に対して、有料で上映することができる。」と書いてあるわけでございまして、こういう国際スポーツ競技連盟の関係の方は、競技場へ入って撮影をすることは許されておるわけでございます。したがって、そういう十六ミリ映画をつくるということはいいわけでございます。現に、これは私まだよく確かめておりませんが、国際陸連その他一、二の国際団体は十六ミリ映画をとる予定をしているというようなことをちょっと聞いておりますが、これは全く「技術的な十六ミリ映画」と初めから書いてあるわけでございます。相当役立つものができるのではないかと思っております。
で、私ども文部省のほうから申しますと、競技場へそうどんどん撮影者が入りますと、競技のじゃまになるわけでございます。そういう意味で、憲章でこういう許される範囲の人を一々書いてあるわけでございまして、したがって、まあ現状では、私ども文部省がそういう映画をとる計画は特に実は持っておりませんが、しかし、こういう国際競技連盟等、その競技場へ入る資格のある人たちが大いにそういうものをとってもらうということについては非常にけっこうなことだと思っておる次第でございます。
河
河野謙三#21
○河野謙三君 それは、あなたの御意見は非常に消極的でいかぬですよ。もう少し、国民体育の向上、スポーツの振興を責任を持って預かっておる文部省の体育局長がですよ。私が前段申しましたように、スポーツの振興に大事なことは、施設と指導者なんです。いかにして指導者を養成するか。この手段において、私はいまの技術映画というのが一番いいと思う。私も、それは、オリンピック憲章で許された範囲というものがあって、今度の場合は、陸上に、ドイツの技師かなにかが二名来てやるということだけだと聞いておる。まだほかにもあるかもしれぬが、私はそういうふうに聞いておる。それだって、陸上に二名だけの、ドイツのどういう人が来るか知らぬけれども、もう少し日本のスポーツ界としての観点から、こういう技術をぜひ記録に残しておきたいというものがあるはずですよ。それを、オリンピック憲章に違反しちゃいけませんけれども、オリンピック憲章の許される範囲内においてですよ、積極的に技術映画を残そうと思えば、何か方法があると思う。
そこで伺いますが、与謝野さんね、オリンピック憲章で許された範囲で、NHKのあれは入りますね。取材班は入りますね。それから記録映画は入りますね。このどっちかで、もう少し技術映画に重点に置いた取材というものをやる方法を積極的に私は御検討願うべきだと思うのですがね。私は、かく申しますのは、スポーツが好きですから、NHKのオリンピック、アワーというのをしょっちゅう見ております。私は、あれは技術的な面からやや満たされておると思う。しかし、遺憾ながら、NHKの取材を見ておりましても、いわゆる今度日本に集まって来るような一流の選手、これが必ずしも満たされていない。かりに満たされましても、いわゆるオリンピック大会を控えまして、本物のところは、真剣勝負のところはなかなか出てこないわけです。ですから、もし市川さんのほうでやられる記録映画に技術映画というものを並行してできないならば、NHKのほうで、それを何か取材班のほうにいまから準備して、そのほうの支度をしてもらうとか、もしそれがオリンピック憲章としていけないなら、堂々と許された記録映画の範囲において、そういうものをひとつ並行してつくってもらうということを、組織委員会なり文部省は積極的にあっせんすべきですよ。私はそう思う。
ただ私は、市川さんできるとおっしゃったけれども、技術面でちょっと心配するのは、私は百姓のせがれですから、百姓の例を申しますよ。たとえば、品評会で一等になった牛、品評会で一等になった豚、これを少し新聞社の写真マンに何かちょっととってもらいたいと言いますと、大体頭のほうからとるのですよ。ところが、ほんとうの酪農家、ほんとうの養豚家というものは、頭のほうはとらないのです。乳房を中心にしてとる。きたないことばだけれども、しりのほうをとる。けつの骨格をとる。こういうことですわね。まあ、あなたのほうは、そう言っちゃ何だけれども、やはり頭のほうから、目つきなり鼻つきをぐあいよくとる。こういうことだと思うんだ。ところが、やはりスポーツの専門家になりますと、いわゆる技術映画的なものになりますと、牛の例で言えば、乳房を中心にしてとるとか、けつのほうの骨格を中心にとるということになるのだけれども、その技術者というものは、あなたのほうでいまから間に合うかどうか。その点は、NHKのほうは、わりあいによく、いままで取材班で、そのほうの訓練もできておる人もお持ち合わせのように伺っておりますし、また持っていなければ、あのオリンピック・アワーで出てくる、ああいうふうな技術映画というものはわれわれ見るわけにいかない。見ている、現に。
そこで、私は、いずれにしても、NHKでもよし、記録映画のほうでもよし、オリンピック憲章に違反しないで、この技術映画を後世のスポーツを愛好する青少年に残す。また、あわせて、日本のスポーツの指導者を育成するために何としても私は残してもらいたいと思う。これには与謝野さん反対ないでしょう。ただ賛成というだけではなく、積極的に私は賛成してもらいたい。ただ、そうするにはどうすればよいかということを御検討済みなら、御検討の結果を御発表願いたいし、もし、これから研究しようとするなら、研究するでもいい。ただ、とにかくこれはやろうという気持ちになってもらわなければならないと思う。その点について御意見を私は伺いたいと思います。
この発言だけを見る →そこで伺いますが、与謝野さんね、オリンピック憲章で許された範囲で、NHKのあれは入りますね。取材班は入りますね。それから記録映画は入りますね。このどっちかで、もう少し技術映画に重点に置いた取材というものをやる方法を積極的に私は御検討願うべきだと思うのですがね。私は、かく申しますのは、スポーツが好きですから、NHKのオリンピック、アワーというのをしょっちゅう見ております。私は、あれは技術的な面からやや満たされておると思う。しかし、遺憾ながら、NHKの取材を見ておりましても、いわゆる今度日本に集まって来るような一流の選手、これが必ずしも満たされていない。かりに満たされましても、いわゆるオリンピック大会を控えまして、本物のところは、真剣勝負のところはなかなか出てこないわけです。ですから、もし市川さんのほうでやられる記録映画に技術映画というものを並行してできないならば、NHKのほうで、それを何か取材班のほうにいまから準備して、そのほうの支度をしてもらうとか、もしそれがオリンピック憲章としていけないなら、堂々と許された記録映画の範囲において、そういうものをひとつ並行してつくってもらうということを、組織委員会なり文部省は積極的にあっせんすべきですよ。私はそう思う。
ただ私は、市川さんできるとおっしゃったけれども、技術面でちょっと心配するのは、私は百姓のせがれですから、百姓の例を申しますよ。たとえば、品評会で一等になった牛、品評会で一等になった豚、これを少し新聞社の写真マンに何かちょっととってもらいたいと言いますと、大体頭のほうからとるのですよ。ところが、ほんとうの酪農家、ほんとうの養豚家というものは、頭のほうはとらないのです。乳房を中心にしてとる。きたないことばだけれども、しりのほうをとる。けつの骨格をとる。こういうことですわね。まあ、あなたのほうは、そう言っちゃ何だけれども、やはり頭のほうから、目つきなり鼻つきをぐあいよくとる。こういうことだと思うんだ。ところが、やはりスポーツの専門家になりますと、いわゆる技術映画的なものになりますと、牛の例で言えば、乳房を中心にしてとるとか、けつのほうの骨格を中心にとるということになるのだけれども、その技術者というものは、あなたのほうでいまから間に合うかどうか。その点は、NHKのほうは、わりあいによく、いままで取材班で、そのほうの訓練もできておる人もお持ち合わせのように伺っておりますし、また持っていなければ、あのオリンピック・アワーで出てくる、ああいうふうな技術映画というものはわれわれ見るわけにいかない。見ている、現に。
そこで、私は、いずれにしても、NHKでもよし、記録映画のほうでもよし、オリンピック憲章に違反しないで、この技術映画を後世のスポーツを愛好する青少年に残す。また、あわせて、日本のスポーツの指導者を育成するために何としても私は残してもらいたいと思う。これには与謝野さん反対ないでしょう。ただ賛成というだけではなく、積極的に私は賛成してもらいたい。ただ、そうするにはどうすればよいかということを御検討済みなら、御検討の結果を御発表願いたいし、もし、これから研究しようとするなら、研究するでもいい。ただ、とにかくこれはやろうという気持ちになってもらわなければならないと思う。その点について御意見を私は伺いたいと思います。
与
与謝野秀#22
○参考人(与謝野秀君) 先ほどIOCの憲章で場内に入って撮影できる人がきまっているということがございましたが、実はこれは国際競技連盟がきめるのでございまして、特に国際陸上競技連盟は非常にむずかしいことを言って、われわれの記録映画班にも一人しか入場を許してくれなかったのであります。ところで先ほど話が出ました国際陸連がみずからとります十六ミリの技術映画は、二人場内に入って撮影できる。こういうことになっておりますので、われわれとしては一人ではどうしてもそういうあれがとれないので、先般、日本の陸連の代表たちがロンドンへ行きましたときに、ぜひ記録班の増員方を要請してくれということで、結局、やぐらを立てて、やぐらの上に二人乗るまでは許してやるというようなことで、増員を認められたようなわけでございまして、なかなかNHKのほうとしても、技術的に大勢の人を使ってこれをとるということがむずかしい競技場もあろうかと思うのであります。今度は、国際競技連盟から十六ミリの記録映画をとるためによこす団体は国際陸連、国際体操連盟、馬術連盟等、四つしかないのであります。この四つは、またそれをもらい受けて利用できるのだと思います。私としては、この技術映画を組織委員会として積極的にとるという計画は持っていないのでありますが、先ほど田口さんからお話がありましたように、ともかく二十三倍というフィルムがとられるわけであります。おそらく最後の構成に利用されないで残される二十三倍のフィルムの中には、やはり競技に関連しての参考になるものもあろうかと思うのでありまして、そういうものをむだにせずに、各競技ごとにいろいろ役立てさせてもらうような方法を考えるということはできるのではないかと、こういうふうに考えております。
この発言だけを見る →河
河野謙三#23
○河野謙三君 かりにその記録映画のほうで、記録映画と同時に技術映画をひとつあわせてつくれるということになった場合に、これは予算は二つになるのでしょうね。記録映画の予算、技術映画の予算、しかしいまは記録映画の予算だけだ、この技術映画の目的に沿うような映画をつくる場合には、また別にひとつあなたのほうは予算化しなければならない、こういうことになると思うのです。そうなった場合に、ここですぐと言っても無理かもしれませんが、目の子算で一体どのくらいの予算を必要としますか。
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田口助太郎#24
○参考人(田口助太郎君) 憲章にいう技術映画と、河野委員の言われる技術映画とはちょっと違う。日本の次代の人にほんとうのスポーツの技術を勉強させるのだ、それをテキストに使うのだというような観点の映画というようなものは、この記録映画としては考えておりません。もちろん中にはありましょうけれども、先ほど申しましたとおり市川氏はアップ、アップ、顔をねらっておりまして、おしりのほうからとるというような考え方でとっておらない。したがって、根本的には技術映画は偶然には入るでありましょうけれども、ねらってはおらない。ほんとうの意味の技術映画というものを安くつくるには十六ミリで早くから準備すればよかったかもしれませんけれども、現時点ではなかなかできない。そこで、私たちが、協会でどうしたらできるかということを考えると、フィルムを五万メーターぐらいもらって、人間は大体さっき申しましたとおりで、ピーク時は機械を全部で百台ぐらい入れております。これは、陸上については、全体のフィルムの大体半分ぐらいを使う予定ですから、ほとんどいろいろな角度からとれる。しかし、その他の競技になりますと、本には長々と書いているようですが、オリンピック憲章に基づきまして、先ほど前田局長が言いましたが、必ず一つは入れるといいますが、その長さは一分でも一秒でもかまいません。極端に言いますと、陸上競技といいましても、憲章からいって、百メートルだけとっても憲章違反ではない。また、これを百何十種目全部をとるというようなことは、これはもう売る映画、大衆に見せる映画という範疇には私は適さないと思います。したがいましてフィルムの面から見ましても、三十メーターぐらいきりとらないと初めからきめている競技種目もたくさんあります。それでも足らないといっているのでありますから、とにかく三十メーターぐらい、全体で一分少々ぐらいきりとらない、そういう競技もある。決勝だけで、それきりない。そういうふうに、わずか一分足らずで何台かの機械でやるというものですから、技術的な映画になるというものは、陸上競技以外にはほとんどないと言っても私はいいのじゃないか。そこで、どうしたらいいのだと申しますと、技術映画はこの時点では場所が中心となって問題になる。人が問題になる。機材が問題になる。そこで、これらの点を考えますと、私たちの協会は、すでに先ほど申しましたようにカメラのポジションを確保しております。この地点からでは技術映画としてねらう点がちょっと不足するけれども、まあまあ大体いける。したがって機材のほうは何一つ買わなくても済む。人間のほうもニュース会社のカメラマンは大体スポーツはほとんど毎週のようにやっていますから、ある程度わかる。それに、各競技団体の役員、指導者とディスカッションしていけば、別の形の映画は、最後に編集できるだろうと思います。そのためにはまずフィルムを確保しておかなければだめだ、私たち協会でやりますときは、これは白黒でもいいのですけれども、現場で使い分けはできませんので、天然色でやっておく。そうしますと、目の子算でフィルム代が大体千六百万ぐらいかかります。人件費、機材費は要りません。フィルム代だけ千六百五十七万ぐらい要る予定であります。それから今度は、そのとったものを編集していく。各競技団体が二十団体ありますが、全部をやるかどうかは別といたしまして、一競技団体に三十分ぐらいの技術映画をつくるといたしますと、そのあとから加工する費用が大体二百万近くかかると思います。二十団体ぐらい全部やるといたしますと、約四千万かかる。合計五千五、六百万はかかる。しかし、これは、機材、人件費は全部ただで済むという前提でありますから、何びとが十六ミリでやってもこの値段ではできないであろうという点で、私は、やれば十分できるというふうに思います。しかし監督が、そういうものを一緒にやると自分のイメージがぶちこわされるから、ちょっと困るのだという意見だと、これはわれわれは、重点が記録映画でありますから、心配して監督とも相談したのですが、いやいや、技術映画の技術の中にもりっぱな芸術性の出るものもあるのだから、フィルムが許せばぜひやりたい。初めから一分間ぐらいしかとらないとか、使うのは何秒というような前提に立たずに、フィルムさえあればとってもらっておいたほうが、記録映画としてもプラスだという監督の意見でありますので、私もこの点は真剣に考えて、文部省なり、OOCなりに考えてもらって、まず最初に約千五、六百万円のフィルム代を出してもらえば、われわれの与えられたポジションで、人件費も機材も楽にできるという確信を持っております。あとはそれを各競技団体がどう確保するか。いろいろあるでしょうが、大体二百万円くらいあったならば、一つの競技団体についてはできる。二十全部つくるとしても四千万円くらいで確保できるというふうに考えますので、河野委員のおっしゃるようなことは、やってできないことはないと思います。
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河野謙三#25
○河野謙三君 与謝野さんなり靱さんにひとつ伺いたいのですが、私が技術映画というものをこれだけ強く申し上げるようになった動機は、うわさに聞きますと、これは靱さんなり与謝野さんの耳に入っておると思いますが、先ほど与謝野さんの、技術映画を今日こういう組織でスタートするまでの経過の御説明の中に出てまいりました日映新社ですか、そういう会社に組織委員会から数千万円の金を出して、技術映画の作製を依頼しておるという話を聞いております。ところが、それはいいんですけれども、私が聞いておるのでは、その内容は日本の選手の従来の強化合宿、その他オリンピック準備の過程における選手の活動、それからオリンピックが始まりました場合の対象は、あくまでもこれは日本の選手である。こういうふうに聞いておるのですが、私はそれは全然意味がないとは申しませんけれども、それだけ技術映画についての御関心があるならば、なぜこの世界の一流選手が一堂に会したときに、世界の選手を対象にして技術映画を作成することに積極的にならないのかどうかということに、疑問を私は持つのですが、何か日本のある映画会社に数千万円の金を出してそういうものを依頼したとか、委託したとかいう話がありますが、これはデマですか、全然ございませんか、そういう事実は。
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与謝野秀#26
○参考人(与謝野秀君) 私も初めて伺うのでありますが、これは体育協会のほうの選手強化本部というところで、過去においても、ただいまお話の日映新社に何か映画をつくってもらって好評を博したという例もあるものでありますから、おそらく体育協会のほうにそういう希望があるのかもしれませんが、私どもノー・タッチでございまして、これについては存じません。
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靱
靱勉#28
○参考人(靱勉君) 私も全然聞いておりません。それから、なお、資金財団の立場といたしましては、御案内のように、組織委員会、体協のオリンピック関係につきましては、政府なり東京都なりの補助金もついておりますので、総合しまして、財団としましては、文部省のほうの監督を受けておるわけでございます。すべて話のまとまったもので、財団としてはどの程度配分するかということがきまってくる次第でございまして、私どものほうが組織委員会、体協なりと直接かってにふやしたり減らしたりするというようなかっこうには相なっておりません。
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河野謙三#29
○河野謙三君 与謝野さん、数十万円、数百万円ならいいけれども、数千万円という金です。そういう金は、体育協会があなたのほうに予算の使途の内容の何らの説明もなしに、かってにそういうものの配分ができるのですか。体育協会はやっているかもしらぬけれども——私は、知らぬとおっしゃいますけれども、体育協会というものは、金をもらって、その金の使途につきましては、何千万円単位までも組織委員会に説明を要しないのですか。私は、これはおかしいと思う。そんなに体育協会がかってに使えるものじゃないと思う。文部省、そんなことをもしあなた知らないのなら、とんでもないことです。前田さん知っていますか。
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