地方行政委員会

1982-03-19 衆議院 全256発言

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会議録情報#0
昭和五十七年三月十九日(金曜日)
    午前十時六分開議
 出席委員
   委員長 中山 利生君
   理事 工藤  巖君 理事 染谷  誠君
   理事 宮下 創平君 理事 安田 貴六君
   理事 佐藤 敬治君 理事 松本 幸男君
   理事 大橋 敏雄君
      池田  淳君    臼井日出男君
      小澤  潔君    片岡 清一君
      北川 石松君    久野 忠治君
      左藤  恵君    塩谷 一夫君
      竹中 修一君    中村 弘海君
      五十嵐広三君    小川 省吾君
      加藤 万吉君    細谷 治嘉君
      部谷 孝之君    岩佐 恵美君
      三谷 秀治君    田島  衞君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     世耕 政隆君
 出席政府委員
        警察庁刑事局長 中平 和水君
        自治政務次官  谷  洋一君
        自治大臣官房長 石原 信雄君
        自治大臣官房審
        議官      小林 悦夫君
        自治省行政局選
        挙部長     大林 勝臣君
        自治省財政局長 土屋 佳照君
        自治省税務局長 関根 則之君
        消防庁長官   石見 隆三君
 委員外の出席者
        大蔵省主税局税
        制第一課長   滝島 義光君
        大蔵省主税局税
        制第三課長   真鍋 光広君
        資源エネルギー
        庁公益事業部業
        務課長     植松  敏君
        地方行政委員会
        調査室長    岡田 純夫君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び
 納付金に関する法律の一部を改正する法律案(
 内閣提出第一九号)
     ————◇—————
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中山利生#1
○中山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本幸男君。
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松本幸男#2
○松本(幸)委員 何か大臣が、参議院の予算委員会とか本会議とかにとられて中座をされるようでございますので、まず大臣にお尋ねをしたいと思いますが、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案等に関連をいたしまして、御質問申し上げたいと存じます。
 まず第一点は、序の口として、租税というものに対する基本的な考え方につきましてお尋ねをしたいと思います。
 国民の租税負担は、国税であるとあるいは地方税であるとを問わず、常に厳正に公平に、しかも合理的に賦課徴収をされなければならないと考えるわけでありますが、租税に対する基本的な考え方につきまして大臣のお考えを伺いたいと思います。
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世耕政隆#3
○世耕国務大臣 税金全般に対して、当然制度、執行の両面においてもその負担の公平が確保されねばならないことは、御指摘のとおりで言うまでもございません。特に、地方税においてもそうでございますが、この点については税制調査会の答申、さらには第二次臨時行政調査会の第一次答申においても指摘されているところであります。今後とも、特に非課税等の特別措置の整理合理化に意を用いながら、税負担の公平が確保されるように努めてまいらねばならないと存じております。
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松本幸男#4
○松本(幸)委員 基本的には当然そういうことであろうと思うのですが、現在行われております国税あるいは地方税、こういったものを通じまして、現行の租税制度のもとにおいて国民の租税負担が全く公平で、しかも合理的に行われているというように大臣はお考えでしょうか。
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世耕政隆#5
○世耕国務大臣 私の感じているところでは、比較的公平に行われていると存じております。
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松本幸男#6
○松本(幸)委員 比較的という、何に比較をするのかわかりませんけれども、一〇〇%でないというようなニュアンスでありますが、まあまあ公平であろうというお考えのようであります。しかし私どもとしては、端的に申し上げて現行の国税、地方税を通ずる税体制というもの、租税体系というものが、必ずしも公平妥当、合理的に行われているというようには考えていないわけであります。
 そういう基本的な考え方に基づいて、御承知のように先般も、いわゆる一兆円減税というものを五党で共同の提案として申し上げたところであります。この一兆円減税要求については七千億が国税、三千億が地方税、こういうことになっているわけであります。この一兆円減税要求につきましては、御承知のような経過を経まして、減税財源を含めて検討するという議長あっせんに基づいて、いま衆議院の大蔵の小委員会にいわばお預けのような形になっているわけでありますが、何か仄聞するところによりますと、預けられた大蔵委員会の小委員会の方では、一兆円減税といっても、七千億円の国税分だけについてその財源等を検討すれば能事足れりということであって、地方税の三千億までも検討することは所管外だというようなことを言われているやに聞くわけであります。
 しかし、このこと自体は行政府の責任ではなくて国会の問題でありますから、国会自体が処理をしていかなくてはならない問題でありますけれども、この一兆円減税につきましては単に三千億円の地方税の減税だけではなくて、当然所得減税ということになりますと、国税三税を算定の基礎としております地方交付税にも影響を及ぼしてくるわけであります。七千億円の減税に対する三二%の地方交付税と言えば、おのずからそこに数字が出てくるわけであります。五千億余になるわけであります。そういうことですから、当然地方自治体の行政をあずかる自治省としても、大蔵小委員会が検討するとはいいながらこれは無関心ではいられないはずであります。そういう意味から、この地方税三千億円の減税、そしてまた国税七千億円に伴う交付税の減額、こういったことについて自治省としては、責任者の大臣としてはどういうふうに考えておられるのか、ひとつ御所見を伺いたいということであります。
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世耕政隆#7
○世耕国務大臣 もし仮に一兆円減税を行う場合、それから地方税三千億円の減税に関連してその後の見通しはどうするか、処置はどうするか、こういうお尋ねでございました。
 まず第一番目に減税できるかどうかという問題ですが、地方財政の場合は、昭和五十六年度末において地方債の残高が約三十二兆円ございます。それから国からの借入金残高が約八兆円ございまして、合わせて総額約四十兆円の巨額の公債を抱えているという依然として厳しい状況にありますので、大幅な減税を実施できるような状況にないことは事実であります。
 次に、個人住民税についてでございますが、厳しい財政状況のもとではございましたが、昭和五十五年までは一般的な減税を行ってきたところでございます。また、五十六年度と五十七年度の両年度について、低所得者層に対する非課税措置による所要の税負担の軽減に努めているところでございます。
 それで国税の方で、先ほど御指摘のようなことがあった場合に、地方交付税の方にも減額になって影響してくるではないかという御指摘がございましたが、もし仮にそういう状況になったような場合には、地方団体に影響のないように、適切迅速な処置を行っていく所存でございます。
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松本幸男#8
○松本(幸)委員 まず三千億の地方税そのものの減税については、そういう環境にないという総理答弁とやや同じようなお答えがあったわけであります。まあ国税の減税に伴う交付税の減額については、これは当然措置していかなければならないというようなお答えでございましたが、私どもとしては、何としてもこの一兆円減税をやっていただかなくちゃならないという立場からいまの御答弁を伺いますと、必ずしも明確ではありませんが、賛成しがたいということのようであります。先般の渡辺大蔵大臣の予算委員会等における答弁でも、何かこれは国会のことだから、そちらで決まれば四の五の言うことはできない、国権の最高機関の国会が決めれば、もうこれは言うことを聞くも聞かないもないというようなせりふの御答弁があったようでありますけれども、いまの自治大臣のお答えというのはやはり同じように、国会が決めればそれはもうとやかく言う筋のものではない、こういう大蔵大臣のお考えと大体同様なものなんでしょうか。
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世耕政隆#9
○世耕国務大臣 そのように御理解いただいて結構だと思います。
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松本幸男#10
○松本(幸)委員 私どもとしては、先ほども申し上げておりますように、今日の日本の税制が公正ではない、その公正ではない税制に基づいて賦課される租税負担が公平ではない、こういう考え方を持っております。独断になるかもしれませんけれども、大多数の国民も、日本の税体系あるいは税制に対してきわめて厳正公正なものであるというようには考えていないのではないか。そのことが、つまりクロヨンだとかあるいはトーゴーサンとかいうことが言われてすでに久しいわけでありますが、そういう言葉になってあらわれているのではないかというように考えるわけであります。
 そこで、今回私どもが、所得税減税、特に中心となるのは給与所得者に対する課税が国民全体の中で均衡を失しているのではないか、給与所得者に対する課税がきわめて厳しいものになっているのではないかという考え方から、この減税要求が出されてきたというように思うわけでありますが、給与所得者に対する苛斂誅求的な厳しい税の根源というものを考えてみますと二つあるのじゃないか。一つは、まず給与所得者のみを対象として行われる源泉徴収制度と、それに伴う経費控除に相当すると言われております給与所得控除、この二つの点からきわめて過酷な課税が給与所得者に行われるという結果になっているんではないか。もちろん、不公平税制という場合に、その他にもいろいろ問題があると思いますけれども、いわゆる給与所得者のみを対象として考えた場合には、源泉徴収制度とそれに伴う給与所得控除、この二つが不公平を生ずる最大の原因ではないかというように考えるわけであります。
 そこで、わが国の税制というのは、原則的には本来申告納税制度、これが本則といいましょうかたてまえといいましょうか、そういうものだろうというように私は理解をしているわけであります。そういう中で給与所得者だけ、納税者でない雇用主に源泉徴収義務を負わせて強制的に課税をする。強制的にと言うと語弊があるかもしれませんけれども、課税をするというところに問題があると思うわけでありまして、ある意味では法のもとに平等だと言われる国民の権利という面から考えますと、一方において給与所得者だけが源泉でいやおうなしに、それはもう四の五の言わずにどんどん取られている。その他の所得者については、一応申告納税というものを原則としている。こういう点から考えますと、この源泉徴収制度そのものについて、やはり国民の基本的な権利という立場からも考え直す必要があるのではないかというように思うわけであります。
 最小限少なくとも納税者である給与所得者が、雇用主に源泉徴収を委任するか、委任して源泉徴収をしてもらうということをみずからの意思によってやるか、あるいは私は自主申告でいたします、みずから申告をいたします、そういう選択の自由というものは給与所得者にあってもいいのではないか。ところが、いまの法のたてまえは、雇用主に源泉徴収義務を課して、もしそれを怠ったような場合、それに違背したような場合は、税法としては、三年以下の懲役とかあるいは百万円以下の罰金とか大変厳しい罰則を設けております。私が申し上げたいのは、そういう意味で、少なくとも源泉徴収制度が不公平の元凶といいますか根源の一つであるとすれば、そこにやはり選択する自由というものがなければならない、あるべきだ、こういうように思うわけでありますが、その点につきましてひとつ大臣のお考えを伺いたい、こういうことでございます。
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関根則之#11
○関根政府委員 源泉徴収制度につきましていろいろとお話があったわけでございますが、私ども、国税と同じでございますけれども、国税、地方税を通じまして、税収の確保というのはきわめて重要な問題であるわけでございます。特に、その税収の確保をできるだけ効率的に最小の経費で行っていく、確保していくという方策を考えていかなければいかぬ。その際に、源泉徴収制度というのはきわめて有力な有効な方法であるわけでございまして、確かに源泉徴収をする企業サイドにとっては相当な事務量を課することにはなりますけれども、それをもし企業サイドでやらなかった場合にだれがやるのか。かわって役所がやるということになりますと、それなりの手間もかかるわけです。国民経済的に考えますと、やはり一つの効率的な、知恵のある方法ではないかというふうに考えているわけでございまして、との源泉徴収制度について、基本的にこれを変えていくということは考えていない、これを維持していきたいと思っておる次第でございます。
 御提案のございました申告と源泉徴収との選択制というようなお話もあったわけでございますけれども、現在でも一千万超の収入のある人は源泉徴収をされたほかに別途申告をしなければいかぬ、そういうような制度もあるわけでございまして、せっかくの御提案ではございますが、全く最初からそれを選択制にしてしまうことについては、いささか問題があるのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
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真鍋光広#12
○真鍋説明員 給与所得者に対します源泉徴収の問題は、国税にとりましても大変重要な問題でございますので、一言補足させていただきたいと思います。
 若干整理させていただきますと、現在の給与所得につきましての申告納税といいますか納税制度がどういうふうになっておるかと申しますと、ただいまちょうと御指摘ございましたけれども、御承知のとおり、給与収入が一千万を超えるという方については確定申告をお願いする、こういうことになっておるわけでございます。また、給与所得あるいは退職所得以外の所得が年間二十万円を超えるというふうな方々も、確定申告をお願いすることになっておるわけです。
 一方、医療費控除であるとか雑損控除であるとか寄附金控除、さらにまた、住宅を取得した方についての税額控除でございます初年度についての住宅取得控除、こういった方々は、給与所得者でございましても確定申告をしなければそういったメリットが得られないということになって、こういう方々は確定申告をされることになるわけでございます。
 ただいま申しました方々以外の多くの給与所得者につきましては、御指摘のとおり源泉徴収をされまして、年末調整をもちまして、国税とのかかわりでは納税関係は終わりということになるわけでございます。
 しかしながら、ただいま税務局長からも御説明ございましたように、源泉徴収制度というものは徴税側にとりましても非常に便利な制度でございますと同時に、納税者の方々にとっても非常に便利な制度である、手数がかからない制度であるということでもあると思います。そういうことでもございまして、欧米諸国でも広くこれが採用されておるということでございます。フランスにはそういった制度がございませんが、アメリカ、イギリス、ドイツにおきましては、給与所得者につきまして源泉徴収制度がとられておるわけでございます。
 また、わが国におきましても昭和十五年以来源泉徴収制度がとられていまして、そういった意味合いでは日本の社会に深く定着しておるというふうに考えておるわけでございます。そういうことでございまして、私どもとしましては、源泉徴収制度というものにつきましてはそういった趣旨がございますので、ひとつ御理解賜りたいと考えておるわけでございます。
 次に、そういった源泉徴収制度のもとで給与所得者が不利になっておるのではないかというふうな御指摘であったと思います。それに関連しまして、給与所得控除があるいは低いのではないかというふうな御指摘であったと思います。それにつきましては、現在の給与所得控除は昭和四十九年に非常に大幅な改善をいたしました。その背景といたしましては、確かに今日も言われておりますように、どうもサラリーマンの方が税負担が実質上重いのじゃないかという話もございましたし、さらにまた、資産所得に対してやはり勤労所得といったものはそれなりの評価をしなければいかぬじゃないかという声もあったと思います。
 そういったことを背景としまして、昭和四十九年に今日の給与所得控除の大枠、枠組みというものができたわけでございますが、そのときの思想はどういうことであったかと申しますと、特に低所得者層における負担の軽減を重視するという観点もございまして、給与収入が小さくても一定額の控除、五十万円ということでございますけれども、一定額の控除を保障するという定額控除制度が設けられましたと同時に、控除率も、従来は最低、スタートが二〇%ということでございましたけれども、この際に四〇%というところからスタートしまして、順次三〇、二〇、一〇ということで、現在は一千万超は五%ということになっておりますけれども、給与収入の増加に応じて逓減するという仕組みになったわけでございます。
 そうした大幅控除の中には、背景としましてはただいま申しましたように、単にその勤務に伴う必要経費の概算的な控除という思想、これは主たる思想でございますが、それ以外にもやはりこういった給与所得控除という仕組みを通じまして、給与所得者とその他の所得者との負担の調整を図るというような意味合いも考慮しながら、このように大幅に拡大したという背景があるわけでございます。
 今日におきましては、たとえば給与収入三百万円の場合は給与収入の三五%、給与収入が一千万である場合には二〇・五%が給与所得控除ということで控除されますので……(松本(幸)委員「内容の説明はいいから、それが妥当であるか、改正するかしないかを答弁してもらえればいいんだ」と呼ぶ)すでに非常に高い水準にあるというふうにひとつ御理解を願いたいと思います。
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松本幸男#13
○松本(幸)委員 答弁が長いと、質問の時間がなくなってしまいますので少しやきもきしているんですけれども、源泉徴収制度につきましてはいまのお答えで、要するに経済効率といいましょうか便利さといいましょうか、そういったこと、あるいは源泉徴収を希望して、その方が自分でやるよりもめんどうくさくないからというような点もあると思います。
 しかし、先ほど申し上げたように、法のもとに平等であるという人権的な立場からすれば、これは少なくとも選択の自由というものは、そうしてほしいと雇用主に委任をして、私がやるんではめんどうくさいから雇用主にやってもらいたいということであればそれは当然ですけれども、少なくとも選択の自由というものは留保されてもいいんじゃないか、これが私の趣旨でございますが、これは、片や人権の問題であり片や経済効率とか便利さとか、こういうもののぶつかり合いですから、そこをどうするかという問題だろうと思うのです。私の主張としては、権利意識としては、やはり全体的にどちらをとるかということは選択に任せるべきだということでありますが、それはこれで結構でございます。
 ただ、現在の源泉徴収制度がいろいろな意味でなかなか改正できないということになりますと、たとえば公務員のスト権をとるかわりに人事院を置いて給与の改定を勧告するという代償措置があると同様に、源泉徴収義務制度を存続するとすればいわばその代償として、いまもちょっと御説明がありましたけれども、いわゆる給与所得控除というものについて最大限の考慮を払わなければならないというように私は考えるわけです。
 その内容につきましては、いま御説明があったとおりでありますけれども、日本の所得税制は、御承知のように超過累進税率というものを適用しているわけでございます。これは、国税でも地方税でも同じでありますけれども、所得課税における超過累進税率の適用ということと給与所得者に対する給与所得控除、これは高額になれば逓減をするという逆累進の方式をとっているわけです。逆累進と言うと、少し言葉が妥当でないかもしれませんけれども、その目的が低所得者をなるべく保護すると言うと、これも語弊があるかもしれませんけれども、そういう目的でやっているんだ、こういうことでそれ自体はわかるのでありますが、一方で所得に応じての超過累進税率を課して、高所得者に対してはそれ相応の税金を徴収をしているわけです。
 そういう中で、この部分についても同じような考え方で低所得者を優遇するという考え方だろうと思うのですけれども、経費という問題を対象に考えた場合に、これは率直に申し上げて、高額所得になればなるほどそれなりの必要経費というものは増大をしていく、これはむしろ常識だと思うのです。低所得者における必要経費よりもやはり高額所得を受ける人の方が、まあ冠婚葬祭の費用を含めて、あるいはおつき合いの費用を含めて、経費というものは非常にかさんでいくということになるんではないか。そういう趣旨からいきますと、この高額所得者には経費控除を少なくするという物の考え方、発想についても、やはり一考を要するものがあるんではないかというように私は考えるわけなんです。
 そこで、現行の四〇%、三〇%、二〇%、一〇%、こういう四段階になっておりますいわゆる経費控除、これの算定の根拠というのはどういうものであるのか。たとえば百五十万以下は四〇%の経費控除である、一千万以上は一〇%である、こういうように経費控除率というものを定めた根拠はどこにあるのか、ひとつ大蔵の方からでもお答えいただきたいと思います。
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真鍋光広#14
○真鍋説明員 御指摘のとおり現行の給与所得控除は、給与収入の増加に応じまして控除率が徐々に低下するという構想になっておるわけでございます。これは、通常勤務に伴います費用は、収入の増加に応じて何がしか増加はいたします。さはさりながら、必ずしも比例的に増加するものではないということを考慮したものでございまして、税制調査会の答申にも指摘されておりますけれども、そういった仕組みをつくっておるわけでございまして、気持ちといたしましては、論理的に幾らが何割の控除でなければならないということはございませんけれども、財政状況であるとかあるいは給与所得者の状況等々を勘案して、このように決めておるわけでございます。
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松本幸男#15
○松本(幸)委員 いまのお答えでは、財政状況等をも考慮して決めるということですけれども、それでは基本的な考え方が誤っているんではないかというように私は思います。これはあくまでも、源泉徴収をされる給与所得者の給与所得控除というのは、申告納税をする給与所得者以外の経費控除と整合性を持って、それに見合った形で算出をされなければならない性格のものだ、このように私は理解いたします。ということからいきますと、いまの御答弁では満足をいたしません。それでは、いわゆる給与所得者以外の一般の個人、法人を含めての事業者の所得における、あるいは収入における経費控除の実態がどういうものであるのかということになるわけであります。
 これは、申告納税をされる方々の経費控除というものが千差万別でありますし、御商売によってもあるいは規模によってもいろいろ違うわけですから、これを統計的にとらえた資料というものを私も持っておりませんし、恐らく大蔵の方でも、この統計を出すということはなかなか至難なことではないかというように思うわけです。したがって推測の域を出ないわけですが、個人にしろ法人にしろ、申告納税をする事業者の所得における経費というのは、とても給与所得のような四〇とか三〇とか二〇、一〇といったような程度のものではなくて、これはあくまでも推測ですけれども、いわゆる粗利益に対する経費控除というのは、恐らく七〇、八〇にもなっているのではないか。
 まあ、一つの具体的な事例として申し上げますと、決して個人事業者からよけい税金を取れという趣旨で申し上げるわけではないので誤解をしないでいただきたいのですが、たとえば店舗と住宅とが一緒になっている御商売の方、これらの経費控除については、いわゆる事業に要する経費としての控除であるのか、あるいは家計として支出をされるべき経費であるのかということがなかなか判然としない部面があるわけです。特に光熱水道費あるいは車両費、こういったものについては、公私混同と言うとこれも大変語弊がありますけれども、事業と自分の私生活とがもう一体になってしまって、それが全部経費控除として行われる、こういう仕組みになっているわけです。
 そういう点から考えますと、これは給与所得者における経費控除に相当するこの四〇、三〇、二〇、一〇の給与所得控除額よりもはるかに高いものが、経費控除として申告納税の場合には認められている。青色申告等の場合には経費として記帳すれば、広告宣伝費とかあるいは交際費といったような形で、資本金その他によって一定の制限のあるものは別といたしまして、他の経費についてはまあまあのところ——まあまあのところと言うと、これまた語弊がありますけれども、出せば、余り文句も言わずに、調査もされずに認められる、こういう青色申告制度でありますから、そういう意味からいうと、要するに給与所得者の経費控除に相当する給与所得控除と、事業所得における申告納税の際の経費控除というものは、後者の方がはるかに大きいのではないか。
 たとえば社会保険診療における二千五百万円以下七二%、五千万円以上五二%というのであっても、これはやはり一つの経費控除のたぐいでありますし、あるいは各種の租税特別措置の中でも広い意味での経費控除、つまり収入に対する課税所得金額を少なくする、こういう意味合いの租税特別措置によるそれぞれの控除というものは、そういう性格のものではないかというように考えるわけでありまして、そういう意味からいうと、さっきもお話しのような、経済的に考えてもということでこの経費控除率というものが、適当と言うと悪いですけれども決められておるということについてはきわめて不合理で、もう少し事業所得者の経費控除がどのくらいのものであるかということを、困難であってもかなり正確に捕捉して、それに見合うだけの給与所得者の経費控除というものを考えてもらわなければいけないというように思うわけですけれども、その辺についてはどう考えておりますか。
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真鍋光広#16
○真鍋説明員 ただいま給与所得控除の割合を決めます際の理由といたしまして、私の方から財政事情や所得者の負担水準の状況等から判断するというようなことを申しまして、必ずしも他のたとえば事業所得者等とのバランスの話を申すのを忘れましたものですから御指摘があったと思います。私どもとしては、そのあたりも勘案して現在の水準に定めたというふうに考えておるわけです。
 そこで御指摘の、要するに事業者の場合に、内と外といいますか、店と家計が一緒になるじゃないかという御指摘のところがございます。さらに御指摘のございました、青色の場合にはそこのところが、帳簿をつけておるのでうまくいけるけれどもということでございました。そういうことでございまして、私どもも青色制度をやはりどんどん推進していかなければいかぬということで努力いたしております。
 一方におきまして、課税の公平を確保するために、白色の大口につきましては、いろいろ重点的にやっていく等の努力をしておるわけでございます。現実の問題といたしまして、店舗と住居が一緒になっておるというような場合には、経費その他につきましてもそれを案分して考えるとか、そこのところはうまくバランスがとれるようにいろいろ考えておるということでございます。
 さらに最後に一点、経費率等がいろいろ違うじゃないかということがございました。そこのところも大事なポイントでございます。業種によって経費率が違うという問題はございますけれども、業種の中ではバランスがとれるように十分注意してやっていくというふうにやっていっております。
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松本幸男#17
○松本(幸)委員 事業者所得における経費控除というのは、これは一人一人が申告するんですから、もう全部異なるということになりますので、統計的にはむずかしいと思うのですけれども、やはり税務行政の立場からすれば、ある程度業種ごとにでもいわゆる経費率というものの大筋があって、それに基づいて税務行政というものが行われているんじゃないかというように考えますと、事業者所得における経費控除率の、きちっとしたものは出ないかもしれませんけれども、おおよそのものがおわかりになっておりましたらひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
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真鍋光広#18
○真鍋説明員 何分事業者、業種、業態、多様でございまして、地域的にも差がございます。御指摘の事業所得者についての経費控除率が一本の形であるというわけではございません。また、業種、業態によってそれぞれ違ってまいりますので、一応の平均的なものを私どもは内々持ってはおりますけれども、それは一応の平均であり何であるということでございまして、必ずしも公表するというようなものではございませんので、公表いたしておりません。
 いずれにしましても経費の話は、私どもといたしましては、とにかくかかった費用のうち収入を生み出すために直接必要である、あるいはその他合理的にその経費とみなしていいと認められるものについて、つまり適正なものについてそれを経費として見ていくということで、厳正な執行に努めておるということでございます。
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松本幸男#19
○松本(幸)委員 この点では最後に要望しておきますけれども、給与所得者に対する給与所得控除、この控除率が妥当なものであるかどうかということについて説得性を持たせるためにも、一方の事業者所得における、これは仕事量としては膨大なものになるかもしれませんけれども、少なくともできないことじゃないわけです、申告納税されたものを分類し、分析をしていけば、これはもう業種別にでもあるいは所得階層別にでもできるものです。ただ、膨大な作業であるということだけのことでありますけれども、一方において給与所得者の給与所得控除が妥当なものであるということに説得力を持たせるためにも、やはり一方の事業者所得の経費控除がどの程度のものであるのかということは明確にする必要があると私は考えますので、今後の課題としてひとつ十分御検討いただきたいというように思います。
 前段の税の問題につきましては以上で終わりまして、次に議題になっております地方税に関連をいたしまして、何点か御質問をしたいと思うのです。
 まず第一番には、今回の税法改正には載っておりませんけれども、いわゆる個人の道府県民税であります。私は昨年も申し上げまして、たしか検討いたしますというお答えをいただいているような記憶があるわけでありますけれども、これはもう御承知でしょうから内容はあえて申し上げません。個人の道府県民税が、昭和三十七年度以降現行の課税標準率になって、すでに二十一年間が経過をしているわけであります。
 先ほども申し上げたように、国税である所得税あるいはまた地方税である市町村民税、国税については十九段階でございましたか、市町村民税については十三段階のいわゆる超過累進税率の適用になっている。これはつまり、所得課税に対する超過累進税率適用という原則に基づくものだろうと思うのですが、その中でひとり同じ所得課税である道府県民税については、昭和三十七年以来二十一年間もそのまま据え置かれているということについては、これはきわめて不合理ではないかという感じがするわけでありますが、これにつきまして、今回の地方税制の改正の中で何か検討されたのかされなかったのか、まずお伺いしたいと思います。
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関根則之#20
○関根政府委員 税率構造をどうするかという問題につきましては、私ども常々検討課題として勉強を続けてきているところでございます。そういう一般的な意味におきましては、都道府県民税の税率構造につきましても検討はいたしました。しかし、現実の問題といたしましての五十七年度の税制改正に、この問題は成案という形では出てきていないわけでございます。
 もうすでに先生御指摘いただいておりますし、何遍も御議論をいただいておりますので、わざわざ繰り返す必要はないのかもしれませんけれども、私どもとしては、都道府県民税につきましては地域住民が広く都道府県に要する経費を分任をしていただく、こういう性格の税でありまして、所得税のように、所得の再分配というものに相当なウエートを持っておる税とは、ちょっとその性格が違うんだという考え方を持っているわけでございます。しかし、仮に道府県民税の税率を多少累進度を強めていくということになりますと、市町村民税の税率をそのまま置き、所得税の税率もそのままにしておいて、都道府県民税だけ累進度を高めますと、これは一種の増税になるわけでございますから、ほかの税との調整をどういう形でやっていくのか、それをやはりかみ合わせた形でやっていきませんと、簡単に片のつく問題ではないわけでございます。
 今後ともそういった税源の配分でありますとか、あるいは国税、地方税を通じます税制の全般的な見直し、そういう課題の中におきましては都道府県民税の税率につきましても当然検討対象になってくるというふうには考えておりますけれども、いま直ちにこれを変えるということについての結論を持っているわけではないわけでございます。
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松本幸男#21
○松本(幸)委員 私は、別に道府県民税について増税しろと言っているわけじゃないのです。これを改正すれば、個々にはふえるものもあり減るものもあるという形での調整が当然出てくると思いますけれども、絶対額としての道府県民税を総枠としてふやすというのがつまり増税であって、個別にふえたり減ったりというのは、これはある意味では増税ということではない。要するに、負担の調整ということだろうと思うのです。そういう意味で、この道府県民税がむしろ増税になるかもしれないというよりも、ほうっておくことの方が低所得者に対して——先般、自然増税というのは違っているということを言いましたけれども、この場合にはまさに自然増税なんですよ。それがだんだん強くなっていく。直すよりも、むしろほうっておいた方が低所得者の増税が強化されていく、こういうことになると思いませんか。そういう意味で、この道府県民税が二十一年間もそのままになっているということについては、不合理だというようにはお考えになりませんか。
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関根則之#22
○関根政府委員 先ほども申し上げましたように、都道府県民税の税率そのものが全体としてそれほど高いものではない。二%、四%という形で、非常に低い税率でまんべんなく広く県民に負担分任をしていただこう、こういう税でございますから、そういう低い税率の中で取られている絶対額をもう一回所得に応じて累進度を持たしてやる意味が果たしてそれほどあるのかという問題も、別途あるんだろうと私は考えております。しかし、そうは言いましても、決してこれは一切検討しないのだということを申し上げておるわけではございません。先ほども申し上げましたように、常にこういう問題も含めて、税率構造全体の問題として今後とも私どもはやっていきたい。いまのものが不合理であるのかというと、一概に絶対不合理であるとは思っておりません。しかし必ずしも、全然問題がないというふうに言い切っているわけでもないわけでございます。
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松本幸男#23
○松本(幸)委員 国税が全くの応能原則に基づく所得課税で、地方税については必ずしも、所得課税であっても応能だけではなくて、多少地域性を持たした応益の原則が加味されるものだ、こういうことについては私もかねがね承知はしております。しかし地方税といっても、市町村民税については超過累進という所得税にやや見合った税率の適用がある。都道府県民税についてはいまのようなお話ですけれども、そういうことで広く地域全体の受益に対応してやるというなら、何で百五十万円以下二%、百五十万円以上四%というような二段階制を設けるのか。所得に応じて一定の税率で、たとえば固定資産税のように、あるいはその他の税のように所得の区分をして、百五十万円以下は二%でございます、百五十万円以上は四%でございます、そういう意味がなくなってしまうのではないか。たとえば、その中間の三%というものをとって、もう道府県民税は全部三%である、百五十万の所得であろうと一千万の所得であろうと三%である、こういうことでもいいんじゃないか、こういう理屈にもなってくると思うのです。
 そこで、百五十万円以下二%、百五十万円以上四%というふうに定めたのは、これはやはり所得の区分に応じて負担を多少違えるという考え方に基づいているものだと思うのです。ところで、昭和三十七年に百五十万以下二%、百五十万以上四%と決められた当時の所得の状態というのは、いわゆる勤労者所得の場合には、当時は年収三十万八千五百円程度でしたか、ところが昭和五十六年度になりますと、すでに三百万を超えているわけです、賞与を含めての年間の全勤労者の平均収入総額が。大体八倍以上になっているわけです。三十七年当時課税所得金額が百五十万というと、これはその時点では相当の高額所得者だったと思うのです。それを境にして二%と四%というふうに分けた。
 相当の高額所得者までが二%で済んで、さらにそれ以上の高額所得者が四%だというふうに定めたときの基準というものにかなり合理的な根拠があるとすれば、二十年もたった今日、当時三十万八千五百円ぐらいの年収であった勤労者が今日ではもう三百九万五千円だったですか、になっているわけです。そういう状態になっているのに、依然としてこの道府県民税については三十七年当時のままで置くというようなこと、もうほとんどの人が、いま税務局長の言うように、結果的には同一税率と同じようなことになりかねない姿に現実はなっているのですけれども、二段階にしているということに合理性があり、三十七年当時百五十万を境にして二%と四%と分けたときに合理的な根拠というものがあったとすれば、いわゆる社会経済情勢の大変化に伴っての今日の実態から考えれば、もう不合理であるということは私が指摘するまでもないところだと思うのです。
 だから当然、くどいようですけれども、私は都道府県民税全体の総額を、税率を上げて増額しろということを主張しているわけではないのです。三十七年当時の負担を今日に引き直して、同じ負担になるような改正を行うべきではないか、こういうことを主張しているわけなんですが、そういうお考えにはなりませんか。
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関根則之#24
○関根政府委員 お話はそれなりによくわかるつもりでございますけれども、先生がおっしゃいますように、いまの時点でたとえば四%、二%の分界点を少し上へ上げてくるということになりますと、これは税収の減につながるわけでございまして、減税をすべきであるという議論からすればむしろ当然のことであるわけですが、一定の与えられた税システムで、そこから私どもの言う自然増収というのが出てくる、そういうものを財源の当てにいたしましてまたいろいろな財政計画も組まれてくるわけでございます。そういう意味におきまして、お話はわかりますけれども、ある時点にできた税率構造というものは、貨幣価値なり物価なりあるいは経済の状況、収入の状況に応じて、常に実態的にできたときと同じように変えていかなければならないのだ、そういう理論もあるいはあるかと思いますけれども、私どもとしては、常にそういうふうに制度そのものを動かしていかなければならぬというふうにも必ずしも考えていない。その制度がそのままに置かれましても、いろいろな社会的な影響は及ぼすにしても、それがそれほど大きな弊害にはならないという場合には、それなりにある一定期間据え置いてもいいのではなかろうかというふうに考えている次第でございます。
 いま、すべて百五十万超になってしまっておるのではないかというような感じのお話もあったわけでございますが、確かに百五十万以下の人のウエートというのはだんだん少なくなってはおりますけれども、昭和五十六年度で、七〇%の方々が百五十万以下の分類になっております。三〇%の方が百五十万超ということで四%の税率を適用されるということでございますから、この二段階に分けておるその分け方としての百五十万というのは、まだそれほど社会実態からかけ離れてはいないというふうに私どもとしては理解をしているわけでございます。
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松本幸男#25
○松本(幸)委員 どうも論議がかみ合わないようですけれども、いまのお答えにはなかなか納得できない。年収三十万円当時、百五十万以上と以下と分けたときと、二十一年もたって年収が三百万にもなった時点で同じように、当時決めたとおりの百五十万以下と以上というような区分が合理的なものだ、妥当性のあるものだというふうには絶対に考えないわけなんです。当時の百五十万というのは、私の試算によれば、いまでは課税所得金額七百五十万程度になるのではないか、推算ですから正確ではないかもしれませんけれども。昭和三十七年に百五十万以下は二%でございますよと決めたのを今日引き直すと、年収七百五十万以下は二%でございますよと言わなければ、当時といまとは合わない、こういう考え方です。
 しかし、なかなか論議がかみ合わないようですし、時間も余りありませんから、これ以上のお答えは結構です。ただし主張といたしましては、いま申し上げたような不合理があるというように私はあえて強調いたしておきますので、ぜひその辺を含めて御検討いただきたいというように思います。
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関根則之#26
○関根政府委員 先生は十分御承知だとは思いますけれども、この百五十万という金額はいわゆる粗収入ではございませんで、課税金額でございますので、諸控除を全部差っ引いた後の課税額であるわけでございます。したがって、課税最低限というのは、年々控除が上がってまいりまして相当な額に達しておるわけでございますから、生で粗収入での百五十万の比較という問題ではない。それなりに控除額が上がってきているということを御承知ではありましょうが、そういうことになっているわけでございます。
 なお、引き続き検討すべきであるというお話でございますけれども、最初にも申し上げましたように、私どもとしてもこういう問題について、国税、地方税、特に市町村民税との兼ね合い等について、引き続き検討はしてまいりたいというふうに考えております。
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松本幸男#27
○松本(幸)委員 あえて申し上げますが、いまの税務局長の御答弁、百五十万円が全くの年間収入ではなくて、当然各種控除が行われた所得課税金額であるということは、私も承知をしております。
 その上に立っての計算としても、いま申し上げたように、今日では七百五十万円ぐらいになるんじゃないか。それからまた、仮に各種控除をした場合にどのくらいになるかという計算も出てくるかと思いますけれども、いずれにしても、常識的に考えて、二十年間たった以上、当時決めたことが——これは率とかなんとかじゃなくて金額ですからね。たとえば百五十万というものが、当時の状況としてそれが正しいんだ、合理的なんだ、こういって決めた以上は、それが今日そのままの金額でいるというようなことは、率なら別ですよ、どうしても納得いかないわけですけれども、ひとつ十分御検討いただきたいと思います。
 次に、今度改正の対象となっております個人住民税のいわゆる非課税限度額の引き上げの問題につきまして、これは昨年の特例に続いて本年は二回目でありますけれども、昨年の税法改正によっても五十六年度限りの措置、こういうことが附則の条項にうたわれているわけです。
 私どものとり方からすれば、一兆円減税に対する解釈の違いじゃありませんけれども、五十六年度限りということは、もう五十七年度はやらないんだな、こう素直に解釈するわけなんです。ところがそうではなくて、当時の百七十五万何がしという課税最低限というのは今年度限りだという解釈も一方では成り立つわけでありまして、何かその辺がはっきりしませんけれども、いずれにいたしましても、こういった課税最低限を引き上げずに、据え置いたままで非課税限度額を毎年引き上げていくというようなことは、きわめて変則的な特例措置だというように理解をしているわけですけれども、これをこれからもずっと続けていくようなおつもりでいるのかどうか、まずお答えいただきたいと思います。
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関根則之#28
○関根政府委員 非課税限度額を昨年、五十六年度限りの措置として設け、また五十七年度税制改正については、五十七年度限りの措置として、金額は多少動かしましたが、この制度を持つということにつきましては、私どもも、あくまでも特例的な制度であるというふうに考えているわけでございまして、これを将来とも恒常的な制度としていつまでも維持をしていくということは考えていないところでございます。
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松本幸男#29
○松本(幸)委員 それは当然であろうと思います。しかし、にもかかわらず、五十六年度限りの措置であるとされたものが、五十七年度もまたまた同じような形で措置をされる。これは言うまでもなく、本税といいましょうか、国税それ自体の改正が行われませんから、地方税としてはやむを得ないということにもなろうかと思いますけれども、いずれにしても、変則的な措置であるということには間違いないと思います。
 しかも、この非課税限度額の引き上げ措置をとらなければならない原因が、いわゆる生活保護基準額を、課税最低限といいますか非課税の線が下回ってしまうというような結果で、生活保護基準のスライド上昇に伴って、それに引っ張られて、その後追い的な形でこれを改正する、こういうような形に実際はなってきているわけですね。
 それで、今度の生活保護基準、一級地の標準四人世帯で百七十五万三千円ということで、何か先日いただいた資料を拝見いたしますと、今度の非課税限度額が百八十八万五千円、こういうことになるから、いわゆる一級地における四人の標準世帯の生活保護基準支給額百七十五万三千円よりも、なおかつ十三万円ほどよけいになるのだからという説明をされているわけですけれども、生活保護基準が上がってそれよりも課税最低限が下がってしまうから非課税限度額を引き上げるんだ、こういう措置というのは、まことにどうも税制の面から考えますと、大変不合理だというように考えるわけですけれども、そのことについてはどういうふうにお考えになっておられますか。
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