日米防衛協力のための指針に関する特別委員会

1999-05-11 参議院 全268発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成十一年五月十一日(火曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十日
    辞任         補欠選任
     本岡 昭次君     木俣 佳丈君
     高野 博師君     益田 洋介君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     木俣 佳丈君     浅尾慶一郎君
     小泉 親司君     宮本 岳志君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         井上 吉夫君
    理 事
                鈴木 正孝君
                竹山  裕君
                山本 一太君
                若林 正俊君
                齋藤  勁君
                柳田  稔君
                日笠 勝之君
                笠井  亮君
                山本 正和君
    委 員
                市川 一朗君
                加納 時男君
                亀井 郁夫君
                木村  仁君
                世耕 弘成君
                常田 享詳君
                長谷川道郎君
                橋本 聖子君
                畑   恵君
                松村 龍二君
                森山  裕君
                矢野 哲朗君
                依田 智治君
                吉村剛太郎君
                浅尾慶一郎君
                伊藤 基隆君
                石田 美栄君
                木俣 佳丈君
                久保  亘君
                佐藤 泰介君
                千葉 景子君
                寺崎 昭久君
                前川 忠夫君
                荒木 清寛君
                福本 潤一君
                益田 洋介君
                緒方 靖夫君
                筆坂 秀世君
                宮本 岳志君
               日下部禧代子君
                田  英夫君
                田村 秀昭君
                月原 茂皓君
                椎名 素夫君
                山崎  力君
                島袋 宗康君
   衆議院議員
       修正案提出者   赤城 徳彦君
       修正案提出者   大野 功統君
       修正案提出者   中谷  元君
       修正案提出者   丹羽 雄哉君
       修正案提出者   遠藤 乙彦君
       修正案提出者   佐藤 茂樹君
       修正案提出者   山中あき子君
       修正案提出者   東  祥三君
       修正案提出者   達増 拓也君
       修正案提出者   西村 眞悟君
   国務大臣
       内閣総理大臣   小渕 恵三君
       法務大臣     陣内 孝雄君
       外務大臣     高村 正彦君
       大蔵大臣     宮澤 喜一君
       文部大臣
       国務大臣
       (科学技術庁長
       官)       有馬 朗人君
       厚生大臣     宮下 創平君
       農林水産大臣   中川 昭一君
       通商産業大臣   与謝野 馨君
       運輸大臣
       国務大臣
       (北海道開発庁
       長官)      川崎 二郎君
       郵政大臣     野田 聖子君
       労働大臣     甘利  明君
       建設大臣
       国務大臣
       (国土庁長官)  関谷 勝嗣君
       自治大臣
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)    野田  毅君
       国務大臣
       (内閣官房長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       野中 広務君
       国務大臣
       (金融再生委員
       会委員長)    柳沢 伯夫君
       国務大臣
       (総務庁長官)  太田 誠一君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  野呂田芳成君
       国務大臣
       (経済企画庁長
       官)       堺屋 太一君
       国務大臣
       (環境庁長官)  真鍋 賢二君
   政府委員
       内閣審議官
       兼中央省庁等改
       革推進本部事務
       局次長      松田 隆利君
       内閣官房内閣安
       全保障・危機管
       理室長
       兼内閣総理大臣
       官房安全保障・
       危機管理室長   伊藤 康成君
       内閣法制局長官  大森 政輔君
       内閣法制局第一
       部長       秋山  收君
       内閣法制局第二
       部長       宮崎 礼壹君
       防衛庁長官官房
       長        守屋 武昌君
       防衛庁防衛局長  佐藤  謙君
       防衛庁運用局長  柳澤 協二君
       防衛庁人事教育
       局長       坂野  興君
       法務省刑事局長  松尾 邦弘君
       法務省入国管理
       局長       竹中 繁雄君
       外務省総合外交
       政策局長     加藤 良三君
       外務省アジア局
       長        阿南 惟茂君
       外務省北米局長  竹内 行夫君
       外務省欧亜局長  西村 六善君
       外務省経済局長  大島正太郎君
       外務省条約局長  東郷 和彦君
       厚生省健康政策
       局長       小林 秀資君
       厚生省生活衛生
       局長       小野 昭雄君
       農林水産省経済
       局長       竹中 美晴君
       通商産業省貿易
       局長       佐野 忠克君
       運輸省航空局長  岩村  敬君
       海上保安庁長官  楠木 行雄君
       労働大臣官房長  野寺 康幸君
       自治大臣官房総
       務審議官     香山 充弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間に
 おける後方支援、物品又は役務の相互の提供に
 関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間
 の協定を改正する協定の締結について承認を求
 めるの件(第百四十二回国会内閣提出、第百四
 十五回国会衆議院送付)
○周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保
 するための措置に関する法律案(第百四十二回
 国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案(第百四十二
 回国会内閣提出、第百四十五回国会衆議院送付
 )
○参考人の出席要求に関する件

    ─────────────
この発言だけを見る →
井上吉夫#1
○委員長(井上吉夫君) ただいまから日米防衛協力のための指針に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、本岡昭次君及び高野博師君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君及び益田洋介君が選任されました。
 また、本日、小泉親司君が委員を辞任され、その補欠として宮本岳志君が選任されました。
    ─────────────
この発言だけを見る →
井上吉夫#2
○委員長(井上吉夫君) 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の三案件を一括して議題とし、日米防衛協力のための指針に関する集中審議を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →
依田智治#3
○依田智治君 おはようございます。自由民主党の依田智治でございます。
 総理以下、各大臣、また衆議院の方からも御苦労さまでございます。
 きょう、ここへ来るに先立ちまして、依田氏はちょっと熱中すると声が物すごく早口になると、歌も早口が得意なものですから。それと、専門家でもございませんが、多少専門をかじった者としては、難しいことを易しく言うのが本来の専門家だ、こういうことでございます。そちらにも相当な専門家がおられますので、きょうはひとつわかりやすく、きょうも総括的集中ということで一日テレビがございます。国民の皆さんに、本当にガイドラインとは何だと、この法律というのは本当に我々のためになる法律なのか、このあたりを本当にわかりやすくやってみたい、こんな感じでおりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 衆議院でもう既に、この一覧表を見せてもらいましたが、公聴会、中央、地方も含めて八十時間やられている。当院においても昨日、終日やった。もう大体だれが立っても問題点は出尽くしているなという感じがするわけです。
 結局、この法律は、国の安全保障、危機管理にとって極めて重要な法律である、平和を確保するための極めて重要な法律だというように位置づけるか。一方、戦争へ戦争への法律、戦争法案、アメリカの戦争に加担する法案とか、自治体や国民を戦争に動員する極めて危険な法案だ、こういう二つの見方があるわけでございます。
 結局これは、国の安全保障、危機管理というものをどう考えるのかという、その基本のスタートにおいて違いがあるのではないか。私はいつも質問に立つと同じようなことを言うんですが、三点だけ、きょうは審議全体に通じる共通の問題なので、私はぜひ言わせていただきたい。
 その一つは、自分の国は自分で守るということが独立国家としてのまさに基本なんです。それで、国の任務として防衛があるわけです。後に防衛省の話もしますが、しかし、国が自衛隊をつくって、自衛隊が一生懸命訓練しても、それだけでは国は守れないわけです。結局、国の構成要素たる自治体、国民、これが一体になってその国を守るという気持ちがあってこそ、その国というものは守られる、この基本ですね。この周辺事態法案第九条、国以外の者の協力、当たり前のことです。大分遠くだけれども火事がある。風向きや乾燥によってはこっちまで燃えてくるぞというときに、これは家主の仕事だなんと言っている暇はないわけです。やはり全部一体となって重要な問題と位置づける。この法案を、そういう国だけではなくて自治体も含め、国民も含め、極めて重要な法律だということで位置づける、この問題が一つ。
 そうはいっても、一国だけでいかに防衛力を整備したって国は守れない。そうすると、国連があり、今NATOが問題になっていますが、そういう地域の安保があり、アジア地域ではARFというのがあるけれども、必ずしもまだ安全保障では機能していない。そうなってくると、二国間の防衛協力関係というのが国家の存立にとって極めて重要だ、こういうことなわけです。
 そう考えた場合に、我が国はアメリカとの同盟という道を選んでいる。そして、同盟というのは、私が言うまでもなく、我が国が日露戦争をやったときにイギリスと日英同盟をやっていた。バルチック艦隊がどっと来るときに、長い航海だからどこかの港に寄らなきゃいかぬ。そういうときに、港へ寄って良質の石炭を補給し、隊員が休養する、そしてまた出ていく。それが続いてこそ、そのサポートがあってこそ戦える。ところが、当時は英国は参戦こそしなかったけれども、側面から、ソ連艦隊が来てもあれを貸すなというようなことで、ソ連はさんざん苦労して日本海に来たときはくたくたになっていた。
 ここにロジスティックサポート、要するに補給の重要性というのはそこにある。戦闘に参加しないまでも、それをサポートする行動というのはいっぱいあるわけで、我が国のこの法律というのも、戦闘区域と一線を画する。わかりにくいけれども、我が国は政策としてそういう方針でこの法律をつくっていく。これも立派な考え方である。
 そういうことで、基地を提供すること自体が既に同盟関係において一方に味方しているわけですから、アメリカの戦争に加担する法律じゃなくて、アメリカとの同盟関係をより強固にするための法律だ、ここの位置づけが重要じゃないか。
 あと一つ。演説ばかりぶっていて申しわけないですが、きょうの基本ですから話しているわけです。もう一つは、軍事というものを戦後日本というのは忌避する傾向がある。例えば我々の体でがん、がんなんというものは、聞くのも嫌だと思ったっていつかしらはなっているかもしれない。こんな演説をしているとどこかに発生するかもしれません。そういう点を考えると、嫌だけれどもこれに対して対決して、予防のために最善を尽くすと同時に発生したらあらゆる手だてを講ずる。軍事というのもそうです。いかに外交努力をしても、なお軍事に頼らざるを得ないときがある。そこをどうするのか。安全保障というもの、軍事というのは、それがすべてではないけれども不可欠の要素だ。
 したがって、ガイドライン法案だって、周辺で武力紛争が起こっているというのは、もう戦争が起こっているかもしれない、そういうときにどういう対応をするか、こういうことですから、場合によったら軍事と関係しているんです。関係法案なんです。しかし、独立国家としてそれを忌避できない。しかし、それをさらに拡大しないように、また我が国にも波及してこないようにするためにどういう手だてが憲法のもとであるのか。これが我が国の直面している問題である。
 そういう意味で、今回の三つの法案、先ほど委員長が長々読まれましたが、非常に長い法律で、法律名だけ聞いていてもどういう法律かわからぬ。周辺事態法案、ACSAというアメリカとの関係で物品等を供与する法案と、邦人を輸送するときに飛行機だけじゃだめなので船も使いましょうと。当たり前だ。船というのは甲板とかその他に乗せれば相当乗るんです。飛行機は定数があるから乗れない。そういう当然のこんなことを戦後五十年になって今ごろどうしてやっているのか、こういうぐらいな法律ですから、私はぜひこの法律は通さなきゃいかぬ、こんな感じでおります。
 そこで、総理。これから第一問ですが、総理大臣の基本的要件の第一として私が挙げたいのは、国家安全保障、危機管理というものに対して的確な識見を持つということじゃないか。この大勢の中でも、将来総裁を目指そうという人はそういう国家安全保障観というものを政治家として心にしっかりと確立しておくことが大変重要である。そういう点から、総理、今回のガイドライン関連法案というものをどのように総理自身認識しておられるか、この点をまずお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
小渕恵三#4
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま依田委員から、日本のあるべき姿の中でいかに我が国の国民の生命と財産を守っていくかにつきまして委員の御見解をお示しいただきまして、ある意味ではそのことに尽きるのではないかというふうに考えておりまして、まず自分の国は自分で守らなければならない、これは基本でございまして、その意思なくしてみずからの国を守り得ないというふうに思っております。そのためには国民の理解と協力を得なければならないという御指摘もまたそのとおりだろうと思います。
 がしかし、防衛の面で我が自衛隊、精強でかつ訓練が行き届いておりますけれども、しかし多くの外敵といいますか外国からのかりそめにも侵略というようなことがあった場合には、それに相対するには、自国の防衛力とともに、アメリカとの安全保障による協力によりましてその抑止力を持つということが極めて大切だと。そういう意味では、今、委員の御指摘と全く私自身同じ考え方に立脚いたしておると思っております。
 そこで、しばしば私は対話と抑止ということを申し上げておるわけですが、これは単に北朝鮮に対するだけでなくして、国際社会に対しましてもこのことは極めて重要なことだと思っておりまして、対話ということは、先ほどのお話の中でいえば外交によって他の国との関係を極めて友好に持していく、そしていやしくも我が国が攻撃されることのないように、また諸外国との友好親善のうちに我が国の立場をそうした脅威にさらされないようにいたしていくことが極めて重要でありまして、外交的手段、いわば対話により国際社会における我が国の立場を明らかにしていくということは必要だと思います。
 一方、同時に、常に備えあれば憂いなしということはこれまた古今東西、国の存立にかかわることでありますから、そうした意味での抑止的効果ということも常に考えていかなきゃならない。そこで、先ほど第三の日米安保につきましてその実効性を極めて強固にし、その抑止力に対して極めて有効的に対処すべきというのが今回のガイドラインの趣旨だろうと思っております。
 そういう意味では、いろいろ言われておりますように、いわゆるアメリカとの協力がかえって日本の安全に大きな危惧をいたす、極端な言葉で言うと戦争法案だなどということは全くあり得ないわけでありまして、まさに日本の平和と安全を確保する意味での法律である、こういうことをぜひ国民の皆さんにも再三御理解いただく努力をいたしながら、この法律について御成立をさせていただき、その実効性を上げさせていただきたいと、こう念願しておるところでございます。
この発言だけを見る →
依田智治#5
○依田智治君 ありがとうございました。
 そこで次に、この法案についてガイドライン関連法案とかいろいろ言われておるわけですが、皆さん、国民の中にもガイドラインという言葉は非常に際立ってきて、私なんか、依田さん、ガイドライン大変だね、ところでガイドラインて何ですかと、こういうような言葉をよく聞かされるわけです。それで今回、大分古くなったガイドラインを新しくして新しいガイドラインをつくっていく、そのうちの周辺事態に関する部分を法案化したというのがこの周辺事態関連法案なわけですね。
 そこで、外務大臣が適当かと思いますが、外務大臣、聞いている国民の皆さんにひとつこのガイドラインというものはどういうものなのか。これは条約じゃないんですよね。指針と言っている。それを今度法律にしよう、こうしているわけですが、ガイドラインとはそもそもどういうものであって、旧ガイドラインのどういう点がぐあいが悪くなったというのか、古くなったので新しく今回のガイドラインをつくったのか。このあたり、ちょっと今回の法案との関係で、ポイントを絞ってわかりやすく御説明していただくとありがたいと思います。
 よろしくお願いします。
この発言だけを見る →
高村正彦#6
○国務大臣(高村正彦君) 日米安保条約に基づく日米安保体制でございますが、過去四十年間、我が国及び極東に平和及び安全をもたらしただけではなくて、アジア太平洋における安定と発展のための基本的枠組みとして有効に機能したところでございます。
 この点につきましては、九六年の日米安保共同宣言におきましても、日米安保体制が二十一世紀に向けてアジア太平洋地域において安定的で繁栄した情勢を維持するための基盤であり続けることを再確認しているところでございます。
 このような共同宣言を踏まえて、平成九年九月に日米両国政府が公表した新たな日米防衛協力のための指針は、冷戦終結後も日米安保体制のもとでより効果的かつ信頼性のある日米協力を行うため、日米防衛協力のあり方に関する一般的な大枠及び方向性に関する考え方を取りまとめて政治的な意思の表明として発表した文書でございます。
この発言だけを見る →
依田智治#7
○依田智治君 今、政治的意思の表明ということでございますが、旧ガイドラインと新ガイドラインの違いという点はどこにあるのか、この点を聞いたんですが、答弁漏れになっています。
この発言だけを見る →
高村正彦#8
○国務大臣(高村正彦君) 旧ガイドラインにおきましては、主に我が国に対する武力攻撃に際しての日米の対処行動に関する事項等に関する記述が中心でありました。これに対して新指針におきましては、我が国に対する武力攻撃の際の日米の対処行動に加えて、新たに我が国の平和と安全に特に着目し、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える周辺事態に際しての日米協力に関する事項等が盛り込まれているわけでございます。
 現在、国会でお諮りしている指針関連法案等は、このような新指針の実効性を確保するために、周辺事態に対応して我が国が実施する対米協力を含む措置を定めるものであります。御審議を得て、早期に成立することを期待しているわけでございます。
この発言だけを見る →
依田智治#9
○依田智治君 旧ガイドラインはそういう研究をしようということで始まり、共同作戦研究とかいろいろな研究を日米間でやったわけです。ただ、これを実行に移すという形で法律をつくるという発想はなかったわけです。それは研究の指針であった。ところが、今度のガイドラインというのは、今外務大臣から話がございましたように、周辺事態についても、旧ガイドラインでは極東について研究しましょうということになっていたのが研究しなかった。今度のガイドラインは詳細にこれについて規定している。しかもあと一つ大きな特徴は、これを各政府はそれぞれ主体性を持って実効あるようにこれを、正式なもので読みますと、「政策や措置に適切な形で反映することが期待される。」という文言がガイドラインに入っているということは大変に重要なことであって、それだけ日米同盟関係というものがそういう実際の協力、現実の協力まで来ているということが非常に重要だ、それを今回政府は主体的立場で法案化している、こういうことじゃないか。
 そこで、このガイドラインというもの、これは旧ガイドラインができたのは昭和五十三年ですから、日米安保条約が改定になったのも一九六〇年、六〇年安保と大騒ぎになった。大分たってから、やっと旧ガイドラインの研究だけが始まったわけです。そうしてみると、安保条約というのは相当な長い歴史の中で、実際上、こういうガイドラインもなくて日米協力なんてどうやっていたのかという時代もあったわけです。
 ガイドラインの重要性というのをクローズアップする意味で防衛庁長官にお伺いしますが、そういうのがなかった以前というのはどういう形で防衛協力がなされておったのか。この点を御報告いただきたいと思います。
この発言だけを見る →
野呂田芳成#10
○国務大臣(野呂田芳成君) 昭和五十三年に旧ガイドラインが策定される以前におきましても、昭和三十五年に締結されました日米安保条約及びその関連取り決めに基づきまして、我が国の施設・区域の提供、米軍からの装備品の供与等の協力がなされたところであります。
 しかしながら、今お話しのように、旧ガイドライン策定前においては日米の防衛面における協力体制に関する研究協議のようなものは行われておらなかったわけでありまして、その結果、例えば我が国に対して武力攻撃が発生した場合に、日米両国が協力してとるべき措置の具体的内容や範囲は不分明な状態でございました。
 そこで、こうした面の改善を図るために、旧ガイドラインにより日米防衛協力のあり方についての基本原則を確立し、以後、これに基づく共同作戦計画を中心とする具体的な研究を行ってきたところである、こういう次第でございます。
この発言だけを見る →
依田智治#11
○依田智治君 こうして眺めてきますと、安保条約ができて間もないころは自衛隊もそれだけの実力もないし、ほぼ米軍に頼っておれば済んだ、そういう国際情勢でもあった。ところが、だんだん国際情勢も複雑化し、そういうことだけではやはり国の安全が確保できないという状況の中で旧ガイドラインができ、研究をし、さらに研究だけではなく実行に移していくということが極めて重要だ、こういうことになり、今回の法案があるわけです。
 そこで、次にこのガイドラインを研究しましょうというのは、クリントンさんが来て橋本総理と、これは平成八年ですね、日米安保共同宣言というのがなされた。
 安保条約というのは、東西対立の中でソ連等を目標にしてつくっていた法律だからもう意味がないんじゃないかというような意見もある中で、いや、我が国の安全のみならず、アジア太平洋地域の安全にとっても極めて重要なものなんだと。これは安保上、当時、再定義だとか、今までよりも新たな意味をふやす再定義だという意見も出ましたが、我々は、もともと安保条約というのは我が国の安全並びにアジア極東、ひいては世界の安全に対して重要なものとしてこれがあったということで、この重要性を今日の情勢下において再確認した。私は、この安保共同宣言というのは、そういう意味では大変に重要な同盟関係におけるきずなを深めるスタートとして極めて重要なものだ、こう位置づけておるわけです。
 そこで、これは総理にお伺いしますが、そういう点に立って、安保共同宣言、こういうものの意義づけ、それと今回のガイドラインとの関連等についての総理の御見解を一言お願いします。
この発言だけを見る →
小渕恵三#12
○国務大臣(小渕恵三君) これまた依田委員御指摘のとおりでございまして、平成八年の四月に、日米安全保障共同宣言は、冷戦後も依然として不安定性、不確実性が存在している認識のもとで、日米安保条約に基づく日米安保体制の重要な意義を改めて確認し、二十一世紀に向けた日米同盟関係のあり方について内外に対する意思を明らかにいたしたものでございます。したがいまして、現在国会にお諮りいたしております周辺事態安全確保法案等は、同共同宣言を踏まえて、平成九年九月に日米両政府が公表した新たな日米防衛協力のための指針の実効性を確保するためのものでございまして、日米安保共同宣言が指針関連法案等にとり重要な意義を有することについては、依田委員御指摘のとおりであると思っております。
 日米安保条約が吉田首相によって調印されて以降、六〇年の安保改定、七〇年の自動延長と時代は下ってきたわけでございます。六〇年のときもそうでしたが、これは従来、法的な根拠その他につきましても日本としてもきちんとした対応をしなきゃならぬ、またアメリカとしても事前協議その他の条項を導入して、それぞれの時代に即して変化をしてきたわけでありますが、改めて冷戦後の国際情勢の中で、今なおこの北東アジアにおける看過できない状況にかんがみまして、再びきちんと日米間がしっかりとこの実効性を上げるために、従来の上に新たなる観点に立って対処しようといたしたものが今回の処置であるということでありまして、これが通過をいたし、実施いたしてまいりますれば、必ず日米間のより一層の信頼を深め、そしてその効果が発揮できるものと、こう認識しておるところでございます。
この発言だけを見る →
依田智治#13
○依田智治君 ありがとうございました。
 衆議院の方でも、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の効果的な運用に寄与し、」というのを目的の中に入れたという修正がなされたわけで、私がるるきょう述べてきたそういう思いもあり、こういう規定が入ったのだろうと、こう想像しており、大いに賛成しておるわけでございます。この点について、どなたか代表者で結構ですから、この周辺事態法案との関連において、安保条約の重要性、それから共同宣言の重要性というものをお聞かせいただければありがたいと思います。
この発言だけを見る →
大野功統#14
○衆議院議員(大野功統君) 依田先生は御専門家でいらっしゃいますから、御質問の中に既にお答えがあったのではないかと思いますけれども、九六年の日米共同宣言、これはもう時代認識は総理からお話がございました。いわば日米安全保障条約、日米の同盟関係が大事であって、その同盟関係によって二十一世紀のアジア太平洋の安全と平和を確保していこう、こういうことでガイドラインをつくりましょうと、いわば試合開始のキックオフをやっている、こういうことだと思います。
 それから、新ガイドライン、九七年でございますが、これもお話が出ておりました。これは、今までのガイドラインが日本有事を主にし、また極東有事ということで考えられておりましたけれども、平素から行われる協力、日本有事、それから周辺事態の協力、こういう分野において協力していきましょうという、いわば政治的なコミットメントをやっている。そして最後に出てきておりますのが、そのキックオフに続いて政治的コミットをやって、それから指針の実効性を確保するためにそれを法制化している。いわば一連の流れで具体化が始まっている。それはいわば二十一世紀における日米安保条約の、あるいは同盟関係と言っていいかと思いますけれども、友好がいかに大切かということを再確認というか法制化している、こういうことと私どもは理解しております。
 そこで、今、依田先生からお話のありました日米安保条約の有効な運用に資しと、こういうような文言を加えたことでありますが、これは私は日米安全保障条約とガイドライン法案の関係をきちっとうたって、そしてさらに日米安保条約が大事なんだということを再確認している、このように理解しております。
この発言だけを見る →
依田智治#15
○依田智治君 日米安保共同宣言がなされたときもそうですが、こういう法案の審議等を通じて、アメリカの世界戦略等に追従するとか、アメリカ主導で日本の主体性がないような発言がいろいろあるわけでございますが、私は先ほど三原則の一つに自分の国は自分で守る、自分の国の防衛政策というのは自分の頭で考えるということが極めて重要だと、こういうことを述べたわけです。
 日米安保共同宣言が出る前年の七年十一月に、これは総理等も中心になり安保会議等でも大変な議論をしたあげく、我が国政府として閣議決定した新しい防衛計画の大綱というのが我が国の防衛政策の基本としてつくられておる。これを詳細に読んでいただけば、既にその中に、これまでは我が国に限定小規模な攻撃があったとき、それにどう対処するかというような観点だけに集中して物を考えていたが、それではだめだ。テロを初めいろんな状況が起こり得る。それに対して独立国家としてどう考えていったらいいかということについて、これもまた旧防衛計画の大綱というものを見直して新しい大綱ができ、その中でこの周辺地域における事象に対して対応するという問題についても既に我が国としての基本方針を述べられている。その基本に立って安保共同宣言があり、今日のガイドラインから関連法があるんだということをしっかり確認しておく必要がある。
 そういうことで、防衛庁長官に、旧大綱から新大綱になり、今の我が国の防衛政策の基本になっておるこの新防衛計画大綱、その中でこの周辺事態法との関連においてどういう方針が述べられているのか、このあたりをわかりやすく説明していただければありがたいと思います。
この発言だけを見る →
野呂田芳成#16
○国務大臣(野呂田芳成君) 今お話のございました平成七年十一月に策定されました防衛大綱と前大綱との違いは、まず新防衛大綱の今後の防衛力の役割といたしまして、主たる任務である「我が国の防衛」の項に加えまして、「大規模災害等各種の事態への対応」、それから大事なことでありますが、「より安定した安全保障環境の構築への貢献」、こういうものを挙げております。日米安保体制についても、将来に向けての日米安保体制の意義及びその信頼性の向上を図り、これを有効に機能させていくための具体的取り組みの重要性について整理して述べているところであります。
 御指摘の我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合につきましては、防衛大綱においては、「憲法及び関係法令に従い、必要に応じ国際連合の活動を適切に支持しつつ、日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用を図ること等により適切に対応する。」、こういうふうに記述されているところであります。
 このように、防衛大綱は、冷戦終結後の国際情勢や自衛隊に期待される役割の変化等を踏まえまして、今後の我が国の防衛力のあり方についての新たな指針として策定されたものとして意義あるものと考えているところであります。
 私どもは、かかる防衛大綱のもと、今後とも積極的に防衛政策を推進してまいりたいと考えております。
この発言だけを見る →
依田智治#17
○依田智治君 防衛庁長官が今御報告くださいましたように、この大綱の中に既に今日の法案の中にある「我が国周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態」、何回か耳にしたこの表現は、既に我が国の大綱の中で表現され、それに基づいて今日まで来ておる、この点を我々としても認識しておく必要があるのじゃないか。
 本来は大綱から始まってずっとガイドライン、法律となるところを逆に来たのは、やっぱりそういう意味を認識する意味で来たわけですが、そういう点からしても今回の法案というのは我が国の安全保障にとって私は大変重要である、これは一刻も早く通す必要があるのじゃないかということ。
 さて、この法案をつくっただけで事足れりというのじゃなくて、この法律をさらに実効性あるものにするためには相互協力計画というか、これに基づく相互協力というものをどういう形でやるか。もう既にいろいろ研究は日米双方でやっているわけですが、日本有事の場合の共同作戦計画とともにそういうものをしっかりつくって、総理もしっかりとそれを確認してそしてシビリアンコントロールというものをしっかりやる、それで初めてこれが確定されるわけです。
 そういう意味で、安全保障、危機管理という視野に立った我が国の政策というものがしっかりしたシビリアンコントロールのもとにしっかりとなされるように、これは我々としても留意していく必要がある、この点を考えておる次第でございます。
 次に、やはり憲法との問題です。この法律について戦争法案だという以外に、私のところに何かいろいろ紙が来たりして憲法違反の法律と、こういう憲法との関係というものを一回ここでクリアしておく必要があるのじゃないか。
 そこで防衛庁長官、今度周辺事態法案では、日米両国が主体的にする行動、米軍を支援する行動、実際に自衛隊なり米軍が運用面で協力する、こういう三つのことが規定されている。その中でやはり我が国が実施する以上、現行憲法というものの範囲内でやるということが常に念頭にあって法律というのはつくられておるんですが、この周辺事態関連法案における協力と憲法上の限界というようなものについてどのような認識のもとにこの法案が策定されているか、まず防衛庁長官にお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
野呂田芳成#18
○国務大臣(野呂田芳成君) 政府案に基づきまして実施することを想定しておりました後方地域支援、後方地域捜索救助活動、それから船舶検査活動は、それ自体は全く武力の行使には該当しない、またこれらの活動をやる場合には後方地域等を設定して実施区域を定めてやるのでありまして、米軍の武力の行使との一体化の問題を生ずることは想定されておらない、そういう意味で憲法との関係で問題を生ずることはない、私どもはそう考えております。
 したがって、政府案に定められていた規定に従いまして行われる御指摘の活動について、憲法上の限界が問題になるということはないものと考えております。
この発言だけを見る →
依田智治#19
○依田智治君 そこで、法制局長官にお伺いしますが、我が国憲法上認められておる自衛権、そもそも自衛権というのはどういうものなのか。
 いわゆる独立国家が存立する以上、自衛権というのがなければ独立国家として存在し得ないわけですから、自衛権とはそもそも何なのか。それから、憲法上認められておる自衛権というのはどうなのかということについての正式の見解を、ここでお話しいただくとありがたいと思います。
この発言だけを見る →
大森政輔#20
○政府委員(大森政輔君) まず、お尋ねの第一点である自衛権とはいかなる概念であるかということでございますが、一般に国家に対する急迫不正の侵害があった場合に、その国家が実力をもってこれを防衛する権利、このように説かれているところでございます。
 なお、御承知のとおり国連憲章の五十一条におきましては、今述べましたような自衛権、すなわち個別的自衛権のほかに集団的自衛権という概念を認めております。この場合の集団的自衛権と申しますのは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が攻撃されていないにもかかわらず実力をもってこれを阻止することが正当化される地位という意味で使われていると理解しているところであります。
 次にお尋ねの、では我が日本国憲法との関係では一体どうなのかということでございますが、御承知のとおり日本国憲法は、いわゆる戦争等を放棄し、また戦力はこれを保持しないというふうに規定しているわけでございますが、これによりまして我が国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されていないというふうに考えられているところでございます。すなわち、その理由にわたるわけでございますが、憲法前文がいわゆる平和的生存権を有することを確認しているということを踏まえますと、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとり得ることは国家固有の権能の行使として当然であり、憲法九条がこれを禁止しているとは到底考えられない、これは有名な最高裁判所の砂川事件判決においても確認しているところでございます。
 したがいまして、我が国に対して武力攻撃があったという場合におきましては、平和と独立を維持回復するため、すなわち換言しますと、我が国を防衛するために必要最小限度の実力を行使する、またそのための裏づけとなる自衛のための必要最小限度の実力を保持するということは、もとより憲法の否定するところではない、このように解しているところであります。
 大体以上のとおりでございます。
この発言だけを見る →
依田智治#21
○依田智治君 関連してもうちょっと聞こうとしておることがあるんですが、この周辺事態法における我が国の行動、今、法制局長官、国家に対する急迫不正の侵害があった場合に実力をもって阻止する、そういう事態じゃないわけで、そうなると、この周辺事態法における我が国の行動というのは、広い意味での自衛権の発動でもない、個別的自衛権の発動でもない、集団的自衛権の発動でもないとなると、結局これはどういう行動なのか。
 言うなれば、国家安全保障のために独立国家として必要な措置をとり得ることは当然なので、自衛権の発動まで至らないが独立国家としてとる必要な行動、こういうことなのか、ここらあたりの性格をどのように解しておられるか、ちょっと法制局長官。
この発言だけを見る →
大森政輔#22
○政府委員(大森政輔君) お尋ねの件につきましては、結論から申し上げますと、後段で言及をされたような意味であろうということでございますが、敷衍して申し上げますと、周辺事態と申しますのは、我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態ではございますけれども、いまだ我が国に対する現実の武力攻撃が開始されている事態ではない。したがいまして、自衛権を発動できる要件を満たしているわけではございません。
 この法案に基づき実施することを予定している後方地域支援等の活動、これは先ほど防衛庁長官からも答弁がございましたように、それ自体は武力の行使に該当しないと。また、その活動が米軍の武力の行使との一体化を生ずるものではないというふうに繰り返し説明したところでございまして、この法案が予定している行動と申しますのは、自衛権の発動としての活動でないということは明らかでございます。
 他方、我が国は、先ほど申し上げましたように、平和的生存権を確認する前文とか、あるいは生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利を最大限に尊重すべきことを規定する憲法十三条の規定等の趣旨からいたしまして、我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うして、これらの責務を果たすことができるように憲法の定める範囲内で必要な措置をとり得る、これは主権国家固有の権能の行使として当然のことでございます。
 これは狭い意味の自衛権の問題にとどまらない問題でございまして、周辺事態において法が予定します後方地域支援活動等は、以上に述べました考え方に従いまして、国のとるべき政策の選択として、我が国の平和と安全を確保する観点から、日米安保条約の目的達成に寄与する米軍に対して、憲法九条が禁止する武力の行使等に当たらない限界内で主権国家固有の権能に基づく行動として行うものであるということが説明できようかと思います。
この発言だけを見る →
依田智治#23
○依田智治君 衆議院の方の修正で、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」というのが周辺事態の定義に追加された。そこで、これは自衛隊法七十六条に防衛出動の規定がございますが、括弧の中に、「外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。」というのがあって、おそれがあれば防衛出動できるよと。これは、よくよく見てみると大分気を使って書いているなと。「そのまま放置すれば」というのがついており、「我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれ」ということだから、これは自衛権の発動する事態じゃないなと。しかし、ほっといたら大変なことになるよという事態だと、だから我が国の平和と安全にとって極めて重要な事態なんだと。これをかみ砕いてみると非常によくわかる。私はあえてこんなことを入れなくてもと思っていましたが、今つらつらと読んでみますと割合わかりやすくなっているのかなと。
 そこで、衆議院の修正案提出者の方は、この自衛権との関係、それからこれをここへ入れた思いというか、これはどこにあるのか、この点をどなたか代表して御報告いただければと思います。
この発言だけを見る →
大野功統#24
○衆議院議員(大野功統君) まず、自衛隊法七十六条との関係でございます。
 七十六条も確かに「おそれ」という言葉があるわけでございますが、おそれといった場合、一つの例で御説明いたしますと、武力攻撃というのは相手国の意図がある、これが一つ。もう一つの条件は、能力あるいは軍事的展開と言っていいかもしれません。意図と能力がある。意図も明白、能力もはっきりしている、しかし現実の武力攻撃はない、これはおそれだと思うんです。
 でも、ここに書いてあります「そのまま放置すれば」「武力攻撃に至るおそれ」、これはどちらかあるいは両方とも灰色という状態じゃないか。相手の意図はわからないけれども軍事展開がある、こういう場合があろうかと思います。その場合にはやはり外交努力で相手の意図のところを真っ白にしていかなきゃいけない、こういうことだと思います。
 したがいまして、明らかに七十六条の「おそれ」と、「そのまま放置すれば」「武力攻撃に至るおそれ」は違う、つまり武力行使にならない、自衛権の問題ではない、こういうことでございます。
 それからもう一つ、実際にどうしてこういうことを入れたのかということでございますけれども、例示的にわかりやすくするということでございます。例示的に、我が国の安全と平和に重要な影響を与える事態の代表的な例がこういうことじゃないかということで、代表的な例を掲げることによりましてこの周辺事態というのをわかりやすく説明している、わかりやすく説明するためにこういう文言を入れさせていただいたということでございます。
この発言だけを見る →
依田智治#25
○依田智治君 ありがとうございました。
 次に、先ほど法制局長官、集団的自衛権の関係ないという話がございましたが、きのうも夜遅く私の宿舎にある年輩の女性の方から電話があった。自分の息子を再び戦場に送らないでくださいと。こっちも、あした質問があると思って早く寝たら夜中にリーンと電話がかかるから、また何か嫌な報告や連絡でもあったら大変だと思ったら、そんな電話がかかってきた。何ですか、それはと言ったら、今のガイドライン法案、また戦争に息子が送られることになると。そんなことをどこに書いてあるんですかと言ったら、後方地域支援と言うけれども、後方地域というのは兵たんですよ、どこかで聞いた言葉ですが、そういうようなことで、これはまさに一体だ、だから戦争に加担することになる、こういうことを盛んに言ってきて、いろいろな弁護士会その他からの文書等も来ておりますが、そういう部分が非常に多い。
 そこで、この後方地域支援、戦闘区域と一線を画すということで、しっかりと区分けして補給なりなんなりする。さっき日露戦争の際のいろんな補給の重要性の話をしましたが、そういうことと集団的自衛権の行使とは違うんだという点を、法制局長官、ひとつ御説明いただければありがたいと思います。
この発言だけを見る →
大森政輔#26
○政府委員(大森政輔君) まず、集団的自衛権とはいかなる概念であるかということでございますが、これは先ほども申し上げましたように、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国は攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止することを正当化される地位、このように説明されるのが通常でございます。
 したがいまして、この武力攻撃を実力で阻止するということでございますから、この実力で阻止するというのは武力を行使して阻止するという意味を持つわけでございます。
 そこで、今審議をいただいている法案に基づく後方地域支援等がその武力行使に当たるのかどうかということがポイントになってくるわけでございますが、これはもう今までも繰り返し御説明いたしておりますように、要するに今この法案で実施することを予定している後方地域支援等の活動と申しますのは、それ自体武力行使に当たらない、これは内容を十分お知りいただければすぐに御理解いただけることであろうと思います。
 すなわち、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍に対する補給とか輸送とか修理あるいは医療、通信等というのが支援の内容でございますから、これ自体がその武力の行使に当たるということは、よもやだれもお考えにはならないであろう。
 したがいまして、問題なのは、そういう行為が米軍の行う武力行使と一体化して、やはり評価としては我が国も武力行使をしているということになりはしないかという御疑問に対してであろうと思います。
 この点につきましては、今までもるる御説明申し上げておりますように、まずそれを行う場所というのがいわゆる後方地域である。後方地域と一般的に言ってしまうものですから余り印象がはっきりしないわけでございますが、この後方地域と申しますのは、法案ではっきりと定義しておりますように、「我が国領域並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空の範囲」、こういうことでございますので、そういう後方地域内で行われるということであり、しかも事態は刻々と変化するわけではございますけれども、それに対応して実施区域の指定の変更とか活動の中断、一時休止についても規定している。
 したがいまして、そういう意味における後方地域内においてのみ行うということが現実にも確保、担保される仕組みになっている。このような仕組みのもとにおける後方地域支援と申しますのは、米軍の武力行使との一体化の問題を一般的に生ずるものではないということでございます。
 そういうことになりますと、我が国が武力を行使して武力攻撃を阻止するという部分が生ずる余地がないわけでございますから、我が国が集団的自衛権を行使するに至るという心配は一切生じないということは、これは詳しく説明すればだれでもおわかりいただけることではなかろうかと思う次第でございます。
この発言だけを見る →
依田智治#27
○依田智治君 今詳しく説明していただいたんですが、必ずしもこれはわかりやすいとも思わないんです。私も実はそう思っているんです。
 ただ、政府はそういう方針で、実力行動に直接参加しない、戦闘に兵を送らない、兵といっても自衛隊ですが、戦闘に自衛隊を送らない、そしてまた、それとまさに密接不可分みたいな行動はとらない、こういう方針でやっておるんだと。それを、ここから先は集団的自衛権にかかわるがここから先はならないという説明はなかなかわかりにくいんじゃないかと思います。このあたりはまた私は憲法問題としてしっかりと議論していく必要があると思いますので、ここではこの程度にとどめます。
 そこで、防衛庁長官にちょっとお伺いします。我が国は戦闘行為に自衛隊を送らない、これは当たり前、そういう政策をとっておる。また、支援する場合でも、この周辺事態法の別表第一に三つばかり例外が備考欄に書いてありますね。「物品の提供には、武器(弾薬を含む。)の提供を含まない」ということ。あと一つは、「物品及び役務の提供には、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備を含まない」。さらに、「物品及び役務の提供は、公海及びその上空で行われる輸送(傷病者の輸送中に行われる医療を含む。)を除き、我が国領域において行われる」。こういう備考欄がついておる。
 これは、この法律で、我が国は直接戦闘にかかわらないし、直接戦闘に極めて近接した行動はとらないということですみ分けしている、こういうことだというように私は解釈しているんですが、集団的自衛権との関係で、やはりこういうことをやると集団的自衛権に踏み込むおそれがあるからということでこういう除外をしたのか、どういう理由でこれが除外されているのか、この点を御報告いただければありがたい。
この発言だけを見る →
野呂田芳成#28
○国務大臣(野呂田芳成君) この法案の別表第一の備考には、今お話がございましたとおり、「物品の提供には、武器の提供を含まない」、「物品及び役務の提供には、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備を含まない」、「物品及び役務の提供は、公海及びその上空で行われる輸送を除き、我が国領域において行われる」ことがそれぞれ規定されておるわけでございますが、これらは、いずれも米軍からの要望がなく、このような支援を我が国が行うことが想定されないことからその旨を明記したというのが真相でございます。
 我が国の行う活動と憲法との関係につきましては、個別の事態に即して慎重に判断する必要がありますけれども、今申し上げたように、我が国が行うことが想定されず、法案上も明文で支援対象から除外されているものにつきましては、御指摘の集団的自衛権の不行使のような憲法との関係を仮定の議論に基づいて申し述べることはこの際差し控えたいと思います。
この発言だけを見る →
依田智治#29
○依田智治君 憲法の関係、特に集団的自衛権、先ほどちょっと法制局長官でしたかどなたか、国連憲章五十一条にも個別的、集団的自衛権というものは独立国家は持っておるということが述べられておりますし、日本国との平和条約をつくったときにもそれは第五条の中に入っておる。さらに、御承知のように、今問題になっている日米安保条約前文、これにも「両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、」ということが述べられておりますし、日ソ共同宣言でも触れられておる。
 こういうことで、独立国家として当然なんです。これは一国が攻められたときに最小限守っていればいいというだけの時代と違って、世界がまさにグローバルな共存関係にあるときにおいては、やはりお互いに、同盟国がやられたら自分の国もやられる可能性があるという点も含めながら総合的に考えていかなきゃ国家は存立できない、こういう時代になってきておるわけです。
 そこで、総理。これは法制局長官よりも総理に聞いておいた方がいいのじゃないかと思うんですが、これは政治という立場で考えた場合に、占領下、国家として日本は潜在的に個別的自衛権も集団的自衛権も持っているといったって、武器もないし、アメリカが占領しておるから何かあればアメリカが守ってくれるというときは何の必要もなかった。独立国家になってもなお日本の自衛隊がまだまだひとり歩きももちろん部分的にもなかなか実力が示されない時代というのは、それはそういう自分の国を守るだけでもできないというような状態の時期もあった。それが今やこういう国際情勢の中でミサイルが飛んでくるかもしらぬ、国が攻められたときに、それで相手の国をぶっつぶすようなICBMを持っちゃいけませんよということになると、これで果たして国が守れるのか。
 こういう点等も考えていきますと、憲法に認められる自衛権、これはもう国際的にも認められる自衛権、集団的、個別的、すべて日本も持っている。しかし、政府解釈のこれまでの問題は、必要最小限の自衛権、ここは私も賛成しているんです。憲法のこういう条項で言う以上、必要最小限の自衛権。そして、我が国の場合、個別的自衛権についても必要最小限、自分の国が攻められておるときでも必要最小限の自衛権という考えに立っているわけです。
 例えば、ミサイル時代に、ミサイルが飛んでくる、これは相手の基地をたたく以外に方法がない。しかし、我が国がもしそれをたたく手段として戦略爆撃機とかICBM、大陸間弾道弾とか攻撃的空母を持っていってばっと基地をたたく以外にないというときに、そういうものを持つのは我が国の自衛の範囲を超える、こういうことになってくると、これは果たして国を自衛する気があるのかということになるわけです。
 そしてしかも、ここから先は、問題は、集団的自衛権というものは、ましてや集団的自衛権は一切認められない、こういう考えに立っているわけですが、国家が存立する以上、個別、集団自衛権というのは両方あり、必要最小限の集団的自衛権、私はある意味においては武力抗争、紛争が起こったときにロジスティックサポートをするというのは一種のそういうサポート行動だと思うんです。そこのところ、ここからここまでは集団的自衛権だが、ここから先は違うと。なかなか国民的にもすみ分けがわかりにくい。
 こういう点を考えると、我が国は憲法上必要最小限の集団的自衛権も行使し得る、しかし過去の歴史その他の問題もあり、我が国は政策として行使を控える、控えているんだ、これならわかるんです。そうすると今回の法律だって明快だ。戦闘区域と一線を画する地域まではやるという政策をとっておる。それが発進中というと何か戦闘に参加したような感じになるからそれは控えるということで御理解を賜っておる、こういうことなら非常にわかりやすい。
 だから、そのあたりを、これはちょっと集団的自衛権の問題について、集団的自衛権はすべてノーという考え方は独立国家としておかしいんではないか。これを議論していても時間がなくなっちゃいますから、私は、この際、早く憲法調査会等をつくって真剣に議論して、独立国家としてしっかりとした方策を考える、こういうことが大変重要じゃないか、こう思います。
 総理、政治の最高責任者として、それから行政の最高責任者、自衛隊の最高指揮官という立場もある総理がこのあたりをどう考えられるか、一言御見解をお伺いしたい。
この発言だけを見る →
← 戻る