法務委員会

2009-04-07 衆議院 全151発言

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会議録情報#0
平成二十一年四月七日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 山本 幸三君
   理事 大前 繁雄君 理事 桜井 郁三君
   理事 塩崎 恭久君 理事 棚橋 泰文君
   理事 谷畑  孝君 理事 加藤 公一君
   理事 細川 律夫君 理事 大口 善徳君
      赤池 誠章君    稲田 朋美君
      近江屋信広君    河井 克行君
      木村 隆秀君    笹川  堯君
      杉浦 正健君    平  将明君
      長勢 甚遠君    萩山 教嚴君
      早川 忠孝君    町村 信孝君
      武藤 容治君    盛山 正仁君
      森山 眞弓君    矢野 隆司君
      柳本 卓治君    石関 貴史君
      小宮山泰子君    篠原  孝君
      中井  洽君    古本伸一郎君
      松木 謙公君    山田 正彦君
      神崎 武法君    保坂 展人君
      滝   実君
    …………………………………
   法務大臣         森  英介君
   法務副大臣        佐藤 剛男君
   法務大臣政務官      早川 忠孝君
   最高裁判所事務総局刑事局長            小川 正持君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    倉吉  敬君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    大野恒太郎君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 北野  充君
   法務委員会専門員     佐藤  治君
    —————————————
委員の異動
四月七日
 辞任         補欠選任
  清水鴻一郎君     盛山 正仁君
  河村たかし君     松木 謙公君
  中井  洽君     小宮山泰子君
同日
 辞任         補欠選任
  盛山 正仁君     清水鴻一郎君
  小宮山泰子君     中井  洽君
  松木 謙公君     篠原  孝君
同日
 辞任         補欠選任
  篠原  孝君     河村たかし君
同日
 委員河村たかし君が退職された。
    —————————————
四月七日
 刑事訴訟法の一部を改正する法律案(第百六十四回国会衆法第一三号)の提出者「河村たかし君外二名」は「高山智司君外一名」に訂正された。
四月七日
 国籍選択制度の廃止に関する請願(第四二九号)及び成人の重国籍容認に関する請願(第四三四号)は「河村たかし君紹介」を「石関貴史君紹介」にそれぞれ訂正された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案(内閣提出第三七号)
     ————◇—————
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山本幸三#1
○山本委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長倉吉敬君、法務省刑事局長大野恒太郎君、外務省大臣官房審議官北野充君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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山本幸三#2
○山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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山本幸三#3
○山本委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局小川刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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山本幸三#4
○山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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山本幸三#5
○山本委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平将明君。
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平将明#6
○平委員 自由民主党の平将明です。きょうはよろしくお願いをいたします。
 本日は、外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律案について質問をさせていただきます。
 このところグローバル化が急速に進んでおりますので、日本企業が外国の国家と取引をする事例が急速にふえていると思います。このような流れの中で、外国との間に生じた民事的な紛争について、どのような場合に日本の裁判所で解決できるかといったことを規定したのがこの法律案だと思いますが、グローバル化はどんどんどんどん進んでいくわけでありますので、民間企業の国際的な活動を後押しするためにも、早くこういった立法をしなければいけないと思っております。
 そこで、まずお伺いしたいのは、この法律案の提出に至った経緯について、国際問題に特にお詳しい副大臣にお伺いをいたします。
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佐藤剛男#7
○佐藤副大臣 おはようございます。
 ただいま平先生から御指摘がございましたように、グローバル化の関係でこの法律案を提出するわけでございます。御指摘のありましたように、最近のグローバル化の流れを受けまして、日本の企業も外国と取引をする事例がふえております。そのような中で、外国との間で生じた民事的な紛争について、日本の裁判所で解決できる場合を想定したものが、先生御指摘のように、この法律案でございます。
 至った経緯を少々お話し申し上げたいと思います。
 国際法の流れでは、国が他の国の民事裁判権に属するかどうか、服するかどうかという点については、原則として国は他の国の民事裁判権に服さないという絶対免除主義という考え方と、それから、一定の場合には国であっても他の国の裁判権に服する、制限免除主義というんですが、そういう二つの考え方があります。
 かつては、絶対免除主義が国際的に支配的な立場でございました。しかし、その後、国家の活動範囲そのものが拡大してまいりまして、国が、外交、防衛といったことだけじゃなくて、一般私人と同じように、他の国の会社や私人との間でごく一般的な商業取引等をすることが非常に多くなってきたわけでございます。そうなりますと、この種の取引まで他の国の民事裁判権から免除されるとするのは相当ではないということになったわけでございます。そこで、制限免除主義が多くの国において採用されるようになりました。
 そういう中、平成十六年、国連総会におきまして、制限免除主義に立ちまして、国及びその財産が他の国の民事裁判権に服すべき範囲等を明らかにする国連の国家免除条約が採択されまして、我が国も、約三年前、二年数カ月前ですが、平成十九年の一月に署名いたしました。
 また、我が国の最高裁判所も、平成十八年七月二十一日の判決において、これは大審院判決を覆すものでありますが、制限免除主義の立場に立つことを明らかにしたわけでございます。
 しかしながら、この判決によって、いかなる場合に外国が我が国の民事裁判権に服するかということについてすべて明らかになったわけではありません。そこで、この点に関しまして国内法を有していなかった日本としまして、外国がいかなる場合に我が国の民事裁判権に服するのかについて明らかにすべく、本法律案を先生御指摘のようにここに提出するに至ったわけでございます。
 以上でございます。
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平将明#8
○平委員 国際的な流れや日本の国内の判例、そういった流れの中でこういった法律案が出てきたということだと思います。
 この法律、すぐに整備をしなければいけないと思いますが、今よりもはるか前からグローバル化というのは進んでいて、多分多くの民間企業が、外国の政府、外国等とさまざまな取引をしてきたんだと思います。これまで日本の裁判所は、外国との間に生じた民事的紛争についてはどのような判断をしてきたのかといったことを法務大臣政務官にお伺いをいたします。
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早川忠孝#9
○早川大臣政務官 お答え申し上げます。
 これまで我が国の裁判所では、具体的な事案ごとに国際慣習法に照らしまして、外国が我が国の民事裁判権から免除されるか否かが判断されてまいりました。すなわち、昭和三年の大審院の決定でありますけれども、外国国家は原則として我が国の民事裁判権に服することを免除されるという、いわゆる絶対免除主義の立場に立つことを明らかにしております。以来、この考え方が維持されてきたわけであります。
 この大審院の考え方に従いまして、我が国の下級審の裁判例でありますけれども、日本の企業が外国に対してコンピューターの売買代金相当額の支払いを求めた場合であっても、外国は裁判権から免除されるという国際慣習法があるものと判断されまして、日本の企業の訴えを却下する、こういう裁判例があったところであります。
 ところが、平成十八年の七月の二十一日に、最高裁判所は、昭和三年の大審院の判断を変更いたしました。外国国家は、私法的ないし業務管理的な行為については、原則として我が国の民事裁判権に服するという、いわゆる制限免除主義の立場に立つことを明らかにしたものであります。
 しかし、この判決によって、外国国家が我が国の民事裁判権に服する場合と示された私法的ないし業務管理的行為の具体的内容がすべて明らかとなったわけではありません。したがいまして、外国と取引等をする私人や企業にとりましては、外国と紛争となった場合に日本の裁判所で裁判をすることができるのか否かについて、依然として不明確な状況が残っていたところであります。
 以上であります。
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平将明#10
○平委員 時代の流れとともに判断も変わってきたということだと思いますし、個別事例ごとに判断をしてきたということだと思います。非常に不安定で、想定、予想がなかなかできなくて、企業としては動きにくいということだと思います。今後ますます一般企業がグローバルに展開をしていく、また、経済が成熟していきますと、どんどんどんどんニューフロンティアに進出をしていかなければいけないんですが、そういうところに行けば行くほど政府が信用できないということにもなると思います。
 それでは、この法律ができることによって、外国と取引する日本の企業にとってどういうメリットがあるのか、法務当局にお伺いをいたします。
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倉吉敬#11
○倉吉政府参考人 ただいま委員御指摘のとおりでございまして、企業の立場というのは非常に不安定で予測がつきにくい、この問題について、そういう状況にございました。
 この法律ができることによりまして、国際的にも受け入れられやすいルールに基づいて、いかなる場合に外国が日本の民事裁判権に服するのかということについて明らかになり、外国及び私人の予見可能性、私人は私企業も含みますが、の予見可能性が確保されることになるものと考えております。
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平将明#12
○平委員 できるだけ早くこの法律を成立させていかなければいけないと思います。
 それでは、ちょっとわかりやすく具体的な例を挙げて御説明をいただきたいと思います。
 この法律案は、外国との間に生じた民事的な紛争について、どのような場合に日本の裁判所で裁判をすることができるかということを定められているわけですけれども、例えば、ちょっとさっき話が出ましたけれども、日本の電機メーカーが外国政府に大量のパソコンを納入する、そういったこともよくある話だと思いますが、その外国もしくは政府がその代金を払ってくれない、これも何か途上国ではよくありそうな話だと思います。そういった場合、日本企業は日本の裁判所で裁判をすることが可能になる、そういうことでしょうか、法務当局にお伺いをいたします。
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倉吉敬#13
○倉吉政府参考人 まさにそのとおりでございます。
 この法律案の第八条になりますが、商業的取引、ここは定義規定を括弧して入れておりまして、物品の売買、役務の調達及び金銭の貸借など民事または商事に係る事項についての契約または取引、こうしておりますが、これに関する裁判手続について、外国は原則として日本の民事裁判権に服する、こうしております。パソコンの売買契約というのは物品の売買契約ですから、この商業的取引に該当するため、当該売買契約の相手方である外国は日本の民事裁判権に服することになります。
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平将明#14
○平委員 それでは、引き続きお伺いをいたしますが、日本の企業あるいは国民が外国に対して日本の裁判所で裁判をして勝訴判決を得たとします。そうすると、今度は、その勝訴判決に基づいて、現実に外国が持っている財産に対して強制執行をしていくという話になります。大事なのは、判決が出た後にちゃんと回収できるかどうかといったところが極めて重要な話になってくると思います。仮に、日本の裁判所で日本の企業また国民が勝訴判決を得ることができた、しかしながら、その判決を実効性あるものにするためには、その外国の有する財産に対して保全処分や民事執行をすることが認められることが重要だと思います。
 この点について、この法律ができる前、今までは、日本において外国の有する財産に対する保全処分や民事執行を行うことができたのかどうか、法務当局にお伺いをいたします。
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倉吉敬#15
○倉吉政府参考人 ただいまの御指摘の点、大変大事な問題でありますが、これまで、国際法上一般に、外国の有する財産に対する強制的な措置は原則的に認められておりません。また、今まで、外国がその有する財産に対する保全処分や民事執行の手続について我が国の民事裁判権から免除されるか否か、あるいは免除されない場合があるとすればどのような場合か、いかなる要件で免除されないのかという点について規定した国内法はございませんでした。しかも、この点についての明確な最高裁判所の判例もなかったという状況でございます。
 したがいまして、例外的に外国の有する財産に対する民事執行を行うことができるのかについては個別の事案ごとの裁判所の判断にゆだねられる、こういうことになりまして、あらかじめこれについて当事者が見通しを持つということは困難な状況にあったと承知しております。
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平将明#16
○平委員 裁判権とあわせて、実際に保全処分や民事執行するといったことが予見が難しいという状態であったということだと思います。
 それでは、この法律案が国会で可決をされて法律として成立をし施行された際には、外国の有する財産に対する保全処分や民事執行について今までと何が変わっていくのかといったことをお伺いしたいと思いますが、外国の有する財産に対する保全処分や民事執行を行うことができるようになるのかどうか、法務当局にお伺いをいたします。
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倉吉敬#17
○倉吉政府参考人 この法律案が法律として成立、施行された際には、一定の場合には外国の有する財産に対する保全処分または民事執行を行うことができるということが明確になります。
 すなわち、外国は、原則として、その有する財産に対する保全処分及び民事執行の手続について、我が国の民事裁判権から免除されております。これは第四条でございますが、したがって、原則として、外国の有する財産に対して保全処分及び民事執行をすることはできないということになります。
 しかしながら、外国がその有する財産に対して保全処分または民事執行をすることについて、幾つかの場合には免除されないということをこの法律は明記しております。第一は、条約その他の国際約束、第二は、仲裁に関する合意、第三は、書面による契約等の方法、この三つの方法によりまして明示的に同意した場合、この場合には、当該外国は、この保全処分または民事執行の手続について、我が国の民事裁判権から免除されません。これがまず最初の問題です。
 次に、外国がその有する財産を保全処分または民事執行の目的を達することができるように指定しまたは担保として提供した場合、これはちょっとわかりにくい表現ですが、担保として出す、典型的なのは抵当権を設定するということになろうかと思いますが、こういう場合には、当該外国は、当該財産に対する当該保全処分または民事執行の手続について、我が国の民事裁判権から免除されない。当たり前といえば当たり前のことでありますが、それからさらに、ここは大事なところですけれども、外国の同意等が今言ったような類型で全くないという場合でありましても、外国は、当該外国の有するいわゆる商業用の財産等に対する民事執行の手続については、我が国の民事裁判権から免除されない、こういうふうになっております。
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平将明#18
○平委員 ありがとうございました。
 保全処分や民事執行については今までは個別に判断をしてきた、それを国内法において明確にする、企業が活動しやすくするということにつながるんだと思います。
 実際に、それでは、日本企業が外国政府の有する財産に対して民事執行をすることができる道を確保しておかないと、企業としてはリスクヘッジにならないと思います。実際に勝訴判決が出ても、事前にそういうリスクをヘッジしておかないと、なかなかうまくスムーズに事が運ばないと思います。
 そこでお尋ねいたしますけれども、法律案によると、日本企業がリスクをヘッジするために外国政府の有する財産に対して民事執行をすることができるということですが、日本企業または個人、中心は企業になると思いますけれども、具体的などのような方策をとればいいのか、その辺を法務当局にお伺いいたします。
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倉吉敬#19
○倉吉政府参考人 御指摘のとおりでありまして、先ほど、いわゆる商業用の財産であれば強制執行できるんだということが法律に書いてある、この案に書いてあると申しました。
 しかし、現実には、商業用だけのために持っている財産というのは実は限られるわけであります。日本に外国が財産を持っていると仮にいたしましても、例えば遊休不動産を持っている、およそその国家目的としては使っていないような不動産とか、それから商業用の取引だけのために特定した預金口座、こんなものでもない限り、判決をもらっても、後から押さえようとしても、ないということになります。
 それでは不十分じゃないかということになるわけでして、そうすると、むしろあらかじめ、そこは今委員の御指摘のとおりでございます、リスクヘッジをしておくということが一番大事だ。そのことが今この法律案の中で、あらかじめ同意を得ている場合とか、それから担保として提供させておく場合というのが明記されております。だれが見ても、ああ、それを最初にやっておけばいいんだ、こういうことになるわけでございます。
 それで、まず、外国と取引をする際などに、その有する財産に対する強制執行をすることについての、これは明示的な同意が要ると法律上なっています。これは条約にそうなっているからなんですが、その明示的な同意を書面による契約によってあらかじめ受けておく。そうすると、もうこれは確実であります。
 それから、さらには、先ほどちょっと私も申し上げましたが、強制執行の目的とすべき財産について指定を受けておく。これは一番確実なのは抵当権の設定を受けるということでございますが、こういうことをあらかじめしておけば確実である。そのことがこの法律に明記されているからよくわかるということになります。
 なお、強制執行の手続というのは、これは委員が御承知のとおりでございますが、我が国の司法権の発動であります。この我が国の司法権というのは、我が国の領域内にのみ及ぶというものでありますので、日本国外にある外国の有する財産に対して強制執行をするということはできません。したがって、外国から強制執行することについての明示的な同意を得る場合及び強制執行の目的とすべき財産について指定を受けておく場合、このいずれの場合にも、我が国の領域内にある外国の有する財産についてこの措置をあらかじめとっておく必要がある、こういうことになります。
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平将明#20
○平委員 大変スムーズに質問が進みまして、用意をした質問がすべて終わりましたけれども、あとまだちょっと時間がありますので、ではちょっと私の方の意見を言わせていただきたいと思います。
 まず一つは、これからどんどんグローバル化社会が進んでいく中で、特に日本はアジアにフォーカスを当てて、アジアを今まで外需と見ていたものを、まさに疑似内需としてとらえて経済活動をしていかなければいけないと思います。そういった中で、アジアはさまざまな国がありますから、これからそういう政府に対して、例えば日本の電気機器、パソコンや何かも含めて、また環境技術、そういったものを民間企業が政府と取引をしていくという可能性はどんどんふえていくんだと思うんですね。
 今お答えいただきましたけれども、では、どうヘッジをするのかといったときに、途上国と言っていいかどうかわからないですけれども、そういう国が日本で持っている資産をちゃんと保全できるように、担保で出せと言ったって、僕は出さないと思いますよ、その途上国の政府が契約するとき。ではNECのパソコンを二千台買ってくれと、あるアジアの国に言って、でもあなたのところは信用できないから日本国内で持っている資産を出せと。これはやはり力関係の問題があって、なかなかできないと思います。しかしながら、やはり紛争をしたときにどういう解決の仕組みがあるか、その環境を整備しておくというのはこれはすごく大事なことなので、急速にやっていかなければいけないと思います。
 あわせて、企業サイドに立てば、こういった司法のシステム、環境を整えるのと同時に、例えば裁判というのはやはり大変な話だから、事前に貿易保険みたいなものを掛けておいてヘッジをしておくということも必要でしょうし、それを特にアジアにフォーカスを当てて、やはりカントリーリスクの高い国にさらに我々は深掘りをしていかなければいけないので、そういうところを政府が支援をしていくというのがまず大事なんだと思っております。
 あと、きのうたまたま、この質問をすることになったので友人の国際弁護士とちょっといろいろなお話をして、今実務上何が問題なのかという話をしたら、若干それるかもしれませんが、訴状を外国に送達するときに非常に時間がかかる、この法律でも送達の件が載っておりますけれども、これは外国等、政府に限らず個人に対しても、民民に対してもそうなんですけれども、これを何とかしてほしいという意見が非常に強くありました。
 これはちょっと資料をいただいたんですが、アメリカなんかは中央送達という形をとると十二カ月、中国も六カ月かかるということであります。だから、大体半年とかかかる、半年以上かかるというイメージを持っていて、そうすると、指定をした口頭弁論期日までに送達が完了しないと初めからやり直しをしなければいけない、これを改善してほしいという要望が現場で非常に強くありまして、その解決方法としては、実はこれは条約にかかわることだからそんな簡単にできませんということだと思います。
 民訴条約及びヘーグ送達条約にかかわることであるので、時間がかかると思いますが、これからどんどんグローバルな経済というものが進んでいくわけでありますので、そのスピードに合わせて国際的な司法の環境も整えていかなければいけないと思いますので、問題意識として、条約にかかわることでありますけれども、新たな送達の国際的な枠組みをぜひ日本がリーダーシップをとってやってほしい。
 二つ目は、とはいうものの、条約というと大変たくさんの国々が関与するから時間がかかると思います。それならせめて二国間で、貿易量の多い二国間で協約を結ぶということをぜひやってほしいということでありました。
 例えば、日本はアメリカ、イギリスとは領事契約の締結をしているということで、これは普通のパターンで行くよりも、さっき言いました中央送達という形が、多分、訴えて、日本の裁判所に行って外務省に行くんですかね、それでまた向こうの外務省に行って向こうの裁判所に行く、こう何段階か経るんでしょうけれども、中央送達だとアメリカは十二カ月かかるんだけれども、領事送達という形を使えば三カ月と劇的に短くなる。中国も、中央送達だと六カ月かかるんだけれども、領事送達だと四カ月で済むということでありますので、こういった二国間の、特に貿易量の多い国に対してはぜひそういうことを整えていただいて、企業が何か問題が起きたときに、国際ということで果てしない時間がかかる、時間がかかって、それも、またこれを見ると、期日に間に合わないと最初からやり直しということだと、なかなかやはり海外に出にくいと思います。
 今、FTAとか統一経済圏を視野に入れてとか、経済産業分野ではいろいろな話が進んでいますけれども、その下支えとして、やはり司法の環境をグローバルに整えていくということも、ちょっとこっちはおくれがちになりますから、急いで国家としてはやっていかなければいけないし、まさにアジア・ゲートウェイの国家としてやっていく以上は、日本がリーダーシップをとってそういう司法環境をつくっていかなければいけないと思いますので、ぜひそういったことを今後の課題として取り組んでいただければと思います。
 ちょっと早いですけれども、終わります。ありがとうございました。
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山本幸三#21
○山本委員長 次に、神崎武法君。
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神崎武法#22
○神崎委員 公明党の神崎武法でございます。
 最初に、先ほどお話も出ましたけれども、国家免除に関します日本の判例の動向についてお伺いをいたします。
 日本の判例は、一九二八年の松山事件の大審院決定に基づき、長い間、絶対免除主義の立場をとってきましたけれども、二〇〇六年七月二十一日の最高裁判決によって判例変更がなされ、制限免除の立場を明らかにしたと言われております。
 最高裁の制限免除の立場、射程距離について、大臣から御説明をいただきたいと思います。
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森英介#23
○森国務大臣 ただいま委員から御指摘がありましたように、最高裁判所は、平成十八年七月二十一日の判決で、昭和三年の大審院の決定を変更し、外国国家は、その私法的ないし業務管理的な行為については、原則として我が国の民事裁判権に服するとの判断を示し、制限免除主義の立場に立つことを明らかにしました。
 もっとも、この判決は商業取引にかかわる裁判手続について判断したものであり、それ以外にどのようなものが私法的ないし業務管理的な行為に該当し、外国が我が国の民事裁判権に服するのかについて、この判決だけからは必ずしも明らかではありません。
 そこで、法務省としましては、外国がいかなる場合に我が国の民事裁判権に服するのか、その範囲を明らかにするためにこの法律案を提出させていただきました。
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神崎武法#24
○神崎委員 わかりました。
 それでは、法律案の中身に入りますけれども、商業的取引という言葉をこの法律案では使っております。商業的取引について例示規定を置いているわけでありますけれども、主権免除法制の整備に関する調査・研究報告書によりますと、商取引という言葉は、商行為に基づく取引であることを想起させ、誤解を招くから、私法的取引という言葉を使っております。あえて法律案で商業的取引の言葉を使ったのはどういうことでしょうか。
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倉吉敬#25
○倉吉政府参考人 御承知のとおりでございますが、私法的取引にするか商業的取引にするかというのは一つの論点でございました。
 この法律案第八条では商業的取引としたわけでございますが、これに対応する国連国家免除条約の文言、これがどうなっているかというところが問題でございまして、コマーシャルトランザクション、こうなっております。これを日本語訳で当てはめるならば、商業的取引、こうなるんだろうと思います。
 実は、これは国際的な関係で使う法案ですので、この法案がもし国会で御承認いただいて成立するということになれば、これをまた英語やフランス語やドイツ語に訳して外国に示す、こういうことになるわけでございます。
 このように、基本的に、条約でコマーシャルという文言が用いられているにもかかわらず、商業的という文言を用いず、私法的という文言を用いますと、今度は国連国家免除条約とこの法律案がそごするのではないか、意味が異なるのではないかという誤解が生じるおそれがあります。そこで、この法律案では、商業的取引という文言を用いることにしたわけであります。
 先ほど、例示ということをちょっと委員が御指摘でございましたが、そこのところを明らかにするために例示も入れた、こういう関係でございます。
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神崎武法#26
○神崎委員 試案の段階では、甲案、乙案、両案がありまして、甲案は、定義も例示も置かないものとする、乙案は、例示を掲げるとともに、雇用契約が含まれないことを示す、こういう案があったわけでありますけれども、乙案を採用した理由についてお伺いいたします。
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倉吉敬#27
○倉吉政府参考人 要するに、商業的取引という言葉を使いました。ところが、商業的というか、商というと、日本ではどうしても商取引を思い浮かべる、それでは狭過ぎるではないかという問題が起こりました。
 今委員の御指摘のとおりでありまして、この国連国家免除条約で言うコマーシャルという言葉は、日本法における商の概念よりも広く、営利性や事業性の有無を問わないものと解されております。このことは明らかにしなきゃいけないということで、法律案の第八条では、商業的取引の説明として括弧書きで、民事または商事に係る物品の売買、役務の調達及び金銭の貸借その他の事項についての契約または取引、こういうふうに例示を挙げて定義づけたわけでございます。
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神崎武法#28
○神崎委員 商業的取引の判断基準につきまして、二つの案が試案の段階ではあったわけです。甲案は、特段の規定を置かないものとする、乙案は、性質説に依拠しつつ、目的等も考慮に入れられる余地を残した規定を置くものとする、こういう両案があったわけでありますけれども、研究会では甲案を支持する意見が多数であったということでありますし、法律案でも同様な考え方に立っておりますが、その理由について伺いたい。
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倉吉敬#29
○倉吉政府参考人 委員の御指摘は大変大事なところでございまして、我々も非常に考えたところでございます。
 商業的取引に該当するか否かの判断基準については、大きく分けて二つの考え方がございます。一つは、契約または取引の動機や目的に着目して判断する、こういう考え方。もう一つは、契約または取引の性質に着目して判断する、こういう考え方でございます。
 目的に即して判断する、仮にこの立場をとりますと、国が、外国が買うものであるということになれば、基本的に国家目的に決まっている。そうすると、どんなものを買おうとすべて国家目的だ、だから免除の対象になる、こうもなりかねない。つまり、その判断が恣意的になるおそれがあります。したがって、この判断基準としての客観性を維持するためには、先ほど申し上げました性質に着目して判断する考え方、これが基本的に相当であるとまず考えました。
 しかしながら、契約または取引の性質に着目する限りは、商業的取引に該当し得るような場合でも我が国の民事裁判権からの免除を認めないとすることが外国等の主権を侵害するようなケースが全くないとは言えません。皆無ではないということであります。これは実は平成十八年の最高裁判決も触れているところでございまして、我が国における民事裁判権の行使が当該外国国家の主権を侵害するおそれがあるなど特段の事情がない限り、こういう留保を付しているところでございます。したがって、このような場合には、例外的に、この契約や取引の目的等も考慮して、我が国の民事裁判権からの免除を認める必要があるということになるわけでございます。
 それでは、では、条文にどう書くか、こういう話になるわけですが、仮に商業的取引の判断基準について、性質だけに基づいて判断するんだ、こう書いてしまいますと、今の例外的な場合というのが読み込めないというおそれが生じます。しかし、かといって、例外的なケースを、今、どんなケースがこれから出てくるかわからないときに、すべて書き切れるかというと、これはなかなか困難である。無理にこれを抽象的な言葉で書き込もうとすると、かえって外国を免除してしまう場合が広がってしまうのではないか、こういうおそれもございます。
 そこで、そういったことを考慮した結果、この法律案においては商業的取引とだけ書いて、その判断基準については解釈にゆだねるというのが相当であると。基本的に、最高裁も、性質に即して考えろということを言っていて、先ほどの、ごく特段の事情がある場合には、こう書いているわけですから、裁判官は普通はこれに則して考えていくであろう、こういうこともあるということでございます。
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