法務委員会

2013-12-03 参議院 全183発言

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会議録情報#0
平成二十五年十二月三日(火曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十八日
    辞任         補欠選任
     古賀友一郎君     宮沢 洋一君
 十二月二日
    辞任         補欠選任
     宮沢 洋一君     石井 正弘君
     森 まさこ君     宇都 隆史君
 十二月三日
    辞任         補欠選任
     宇都 隆史君     豊田 俊郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         荒木 清寛君
    理 事
                吉田 博美君
                若林 健太君
                小川 敏夫君
                真山 勇一君
    委 員
                石井 準一君
                石井 正弘君
                宇都 隆史君
                豊田 俊郎君
                溝手 顕正君
                柳本 卓治君
                山下 雄平君
                有田 芳生君
                江田 五月君
                前川 清成君
               佐々木さやか君
                仁比 聡平君
                谷  亮子君
                糸数 慶子君
       発議者      小川 敏夫君
       発議者      前川 清成君
       発議者      真山 勇一君
       発議者      仁比 聡平君
       発議者      糸数 慶子君
   委員以外の議員
       発議者      藤末 健三君
       発議者      福島みずほ君
   国務大臣
       法務大臣     谷垣 禎一君
   副大臣
       法務副大臣    奥野 信亮君
       外務副大臣    岸  信夫君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  平口  洋君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   岡 健太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫟原 利明君
   政府参考人
       法務大臣官房長  黒川 弘務君
       法務省民事局長  深山 卓也君
   参考人
       弁護士
       早稲田大学大学
       院法務研究科教
       授        榊原富士子君
       なくそう戸籍と
       婚外子差別・交
       流会       田中須美子君
       弁護士      中井 洋恵君
       立命館大学法学
       部教授
       法学博士     二宮 周平君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○戸籍法の一部を改正する法律案(小川敏夫君外
 七名発議)
    ─────────────
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荒木清寛#1
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、古賀友一郎君及び森まさこさんが委員を辞任され、その補欠として石井正弘君及び宇都隆史君が選任されました。
    ─────────────
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荒木清寛#2
○委員長(荒木清寛君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法の一部を改正する法律案及び戸籍法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、弁護士・早稲田大学大学院法務研究科教授榊原富士子さん、なくそう戸籍と婚外子差別・交流会田中須美子さん、弁護士中井洋恵さん及び立命館大学法学部教授・法学博士二宮周平君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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荒木清寛#3
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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荒木清寛#4
○委員長(荒木清寛君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法の一部を改正する法律案及び戸籍法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長深山卓也君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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荒木清寛#5
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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荒木清寛#6
○委員長(荒木清寛君) 民法の一部を改正する法律案及び戸籍法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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宇都隆史#7
○宇都隆史君 自由民主党の宇都隆史です。
 まず、委員長を始め委員の皆様方に、質問する権利いただきましたこと、御礼を申し上げます。
 その上で、谷垣大臣、この民法改正、嫡出子、非嫡出子それぞれの子供の権利は平等だと、この理念というのには共鳴する立場でありながら、ここまで来るに至っては、自民党の政策決定プロセスの中でもいろんな議論がありました。この民法改正に関して、やはり問題点を指摘する声も多かったように思います。今日は、与えられた短い時間でありますけれども、この論点をこの国会という場で改めて確認をさせていただく、そういう場にさせていただきたいと思います。
 まず、第一点目として、まずこれは最高裁に確認をしたいんですが、これまで最高裁の判決でも、一貫して嫡出子、非嫡出子の相続額の差異についてはあくまで合憲の範疇内であるという判断がなされてきたわけですけれども、ここに来て突然百八十度違う判決が出た。その間に一体どのような環境の変化があったのかということに関しては、なかなか判決文を読んでも、国民も、ああ、なるほどと理解ができるようなものになっていないような気がするんです。
 最高裁の方で、この辺りをちょっと御説明いただけませんか。
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岡健太郎#8
○最高裁判所長官代理者(岡健太郎君) お答えいたします。
 ただいまの御質問は、九月四日の大法廷決定がその結論を導くに至った理由をお尋ねになっているものと理解しております。
 決定の理由につきましては、その決定書きに記載されているとおりでございまして、最高裁の事務総局としてそれ以上のことをお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
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宇都隆史#9
○宇都隆史君 恐らくその程度の答弁しか来ないだろうなと思ったんですけど、やはり国民には、どうしてこういうふうな判決が出てしまうんだろうかという、納得がいかないという声の方が多いように思うんですね。
 実際に、昨年十二月の内閣の世論調査によると、現行法のままでいいのではないかという数値が三五・六%、いやいや、相続額を同じにすべきじゃないか、子の平等だということで回答された方は二五・八%。やはり現行法のままの方が上回っているわけですよね。これ、もう最高裁の判決が出たということで、非常に急いでこの法改正をしようということで、たしかパブリックコメントもなされていないやに聞いておりますけれども。
 片や特定秘密保護法案、いや、世論の反発が、世論が、パブリックコメントでも二週間しかしなかったと片や別の委員会でやっておきながら、この民法改正に関しては、何でここ、ささささっとやってしまうのかなというような疑問があるわけなんです。
 そこで、谷垣大臣にお尋ねしたいんですけれども、配付している資料一でございます。
 J—ファイルにおいて、昨年、衆議院選挙、今年の夏の参議院選挙において、我が自民党はJ—ファイル二百八十六番目で、家族のきずなを深め、家庭基盤を充実させ、全員参加型社会の実現へということで、家族の重要性、これうたいました。国民の皆さんの中には、非常に自民党、家族を守るといいながら、違う方向性のちょっと民法改正をしようとしているんではないかという、自民党支持者の中にも反発の声があるやに聞いております。この辺りを大臣のお言葉で御説明いただきたい。
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谷垣禎一#10
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、私どもは、J—ファイルをお示しになったように、家庭基盤を充実させていく、家族のきずなを強めていくことが極めて大事であるという主張をしておりまして、私自身も全く現在もそのように思っております。
 そこで、問題は、今回のこの法律の改正が家族のきずなを弱めるものではないか、家庭基盤を掘り崩すものではないかというふうにお考えの方もいらっしゃるかもしれません。もっとも、今度の法改正がどういう効果を呼んでいくか、結果を招来するかというのは、将来予測で、必ずしも現時点で確定的なことは申しませんが、私の認識としては、日本では、法律婚、明治の初め、明治民法ができましたころは、なぜ結婚したときに役所に届け出なきゃならないのかということもなかなか理解がなかったと思います。しかし、長い間にやはり法律婚というのは大事にしなければならないという意識は浸透してきまして、国民の間にも法律婚を中心に考えていくという意識は私は定着している、それが家族のきずなの基盤にもなっているというふうに思っております。
 今回の改正がそれにどういう影響を与えるかということでありますが、法律婚を尊重するその家族観、それからその家庭基盤というものは私はしっかり根付いていると思っております。それから、法律の中身を見ましても、何というんでしょうか、例えば事実婚の内縁の妻ということになりましょうか、そういう者には相続権というのは認めていないわけですね。やっぱり配偶者間で相続権があるのは法律婚である、こういう前提は崩れておりません。私はやはり、今おっしゃったような我々のJ—ファイルに今回の結論は必ずしも矛盾するものではないと、このように考えております。
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宇都隆史#11
○宇都隆史君 大臣、ありがとうございました。非常におっしゃることよく分かりました。
 ここの部分は、若干その見解の相違の部分もあるとは思うんですけれども、私は、やっぱり相続制度の在り方というのは、親が持っている因果というのがそのままやはり子に報われてくる、そういうようなベースに成り立っていると思うんです。ですから、親が非常に頑張った子供たちの相続額が多いのはこれは当然ですし、親が負債を抱えてしまえば、それは子供が背負わなきゃいけないというのもこれは当然でございますし、ただ、その中で……ヤジちょっと済みません、外野、静かにしてください。その中で、先ほど法務大臣が言われた法律婚、この意識、これはしっかり根付いているであろうから、この民法改正が行われたからといって今の家族制度が崩壊するものではない、この考え方はもちろん理解できますが、ただ、この民法改正が行われると、実際に相続額、お金がここに発生してきますよね。実際に、御主人を失った家庭に非嫡出子がいれば、実際の額としてお支払をしなければならないという部分が出てきます。
 この法改正によって一体どこまでの影響が及んでくるのかなというのは、やはりこれは改正して今後運用していく過程の中で次第に明らかになってくる部分だと思うんです。中には、実際にお支払いできるような財産、お金という面でですね、現金という意味での財産はなくて、仕方なく今自分が住んでいる家を売り払わなければならない、あるいは、一緒に経営していた会社であれば、会社を一旦潰してお金に換えてその分を払わなきゃいけない、こういうことも出てくるのではないかなというふうに思っているんです。
 その辺りの他に与える影響、ここはやっぱり、どちらかというと、司法が判決したからすぐに我が立法府がそれを履行するというのではなくて、立法府として様々な影響を調査をしながら、やはり司法が下した判決どおりの民法改正と同時に、影響を最小限に抑えるための新たな法案、こういうのはやっぱりセットにして考えていくべきだとは思いますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
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谷垣禎一#12
○国務大臣(谷垣禎一君) 自民党の中の法務部会でいろいろ御議論があって、やはり家族基盤を、家庭基盤というものを充実させていくための施策を自民党としても考えるべきではないか、そのようなプロジェクトチームといいますか、調査会と申しますか、そういうものをつくって議論しようという御意見があるのは十分私も承知しております。
 そして、それと同時に、法務省におきましても、相続法制その他、家庭基盤の充実をどう図っていくかということでいろいろ検討しなければならないだろうと、このように考えております。恐らく自民党の法務部会でも法務省はそのような答弁をしているのではないかと思いますが、こういう仕組みを考える上に当たっては、今回の法改正がどのような影響を与え得るのかということを十分に見ながらそのような検討もしなければいけないと考えているところでございます。
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宇都隆史#13
○宇都隆史君 大臣、ありがとうございました。
 大臣がおっしゃるように、自民党のこの政策了承のプロセス、部会においてはもう本当に議論が紛糾したんですけれども、最終的に了としようと、必要な法案だから上に上げて国会に提出するのを了承しようというふうに至った最終的な落としどころといいますか、みんなが納得した結果は、まず党の中に家族のきずなを守る特命委員会、こういうのを設けようと。そして、改正が社会全体に与える影響をしっかりと把握をして、例えばですけど、正妻の相続税の見直しをするとか、あるいは住宅の居住権を、これを法的に保護してあげるような法整備を整えようとか、あるいは、それまでに財産構築をした貢献度に応じた遺産分配制度、そういうのも検討しようじゃないかと。
 これは、当時部会に出席していただいた、今日御出席いただいていますけど、官房長も一緒になって、おおむね一年間をめどに、党だけに任せるのだけではなくて法務省も一緒になってこの特命委員会と結論を出していく、その努力をやるからどうにかこの部会で了承していただきたいと、そういうお話であったように思います。
 官房長、もう一度この場所で、しっかりとそれをやってまいりますと法務省としてお答えを願えませんか。
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黒川弘務#14
○政府参考人(黒川弘務君) ただいま委員から御指摘もございまして、また大臣からも御答弁がございましたが、今回の最高裁判所の決定及び民法改正の影響について、その実態把握に努めるとともに、相続法制等の在り方について検討を進めるためのワーキングチームを直ちに設置することとしております。
 また、今そのワーキングチーム設立に向けた準備を開始しているところでございますけれど、このワーキングチームを速やかに立ち上げた上で必要な検討を進めまして、御指摘のとおり、一年を目途として相続法制等に関する諸施策の取りまとめを行いたいと考えております。
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宇都隆史#15
○宇都隆史君 官房長、非常に前向きな、部会で我々に約束をしていただいたとおりの答弁、本当にありがとうございました。
 やっぱりバランス、必要だと思うんですね。子の平等、これをしっかり守っていくと同時に、それによって今までなかった不利益を被る人がないようなバランスをきっちり構築していく。また一緒になって努力させていただきたいと思います。
 最後に、大臣、これは御意見を賜るというだけで終わりたいんですが、一点だけ大臣に御質問といいますか、大臣の御所見を伺いたい点がございます。
 三権分立におけるお互いのチェック・アンド・バランスという件に関して、これは私の見解なんですけれども、現在、司法、これの様々な判断に対する立法府あるいは行政府あるいは国民からのチェック機能というのが果たしてどれだけ働いているんだろうか。例えば、司法に対するチェック機能としての制度としては弾劾裁判所というのがあります。あるいは、国民が衆議院選挙のときに同時に行う国民審査というのがありますけれども、どちらにしても非常に形骸化しているんではないかなと。いわゆる法曹界が一つの緊張感を持って、その判決を出すに当たって、主権者たる国民に対して、あるいは立法府、行政府に対して、揺るぎないといいますか、自分たちがどこに出しても恥ずかしくないような判決を出していく。もしそれが世に問われるような事態になればそれなりのやっぱりチェック機能が働く体制になっているんだろうかというような疑義を感じるわけです。
 このチェック・アンド・バランスの関係の在り方、あるいは今後のこの国民審査、弾劾裁判の在り方に関して谷垣大臣の御所見があれば一言伺いたいと思います。
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谷垣禎一#16
○国務大臣(谷垣禎一君) 三権分立におけるチェック・アンド・バランスに関してはいろんな見方がございますし、それからいろいろな国の制度の立て方、あるいは歴史的伝統によっても様々だと思うんですね。しかし、私は大きな意味で、裁判所はもちろん独立で職権を行使するということになっておりますが、その職権を行使するに当たっては、立法府の作った法律に従って裁判しなければならないということになっております。したがいまして、やっぱり立法府がこういう立法で裁判をしてくれといえば、裁判所はそれに従わざるを得ないわけですね。
 しかし、ただ一点、ただ一点、果たして立法府の作った法令が、これはいろんな場合があると思います。社会事情の変遷によって違憲になっていく場合もあれば、あるいは当初から疑義があるという場合もあるいはあるかもしれません。ただ一点、裁判所は、憲法に照らしてこの法律が違憲であるという点については立法府の作った法律を覆すことができると、そういう形でチェック・アンド・バランスが一つ働いていると思います。それは私は機能していると思うんですね。
 ただ、今おっしゃった、例えば裁判官のチェックをするということに、選挙のたびにチェックをするということになっております。それについては今までも、従来もいろいろな議論がございました。ただ、私は基本的に、これも内閣が任命するということに、最高裁判所の裁判官もですね、それであとの裁判官は独立に裁判所がお選びになるという形でございますが、そういう辺りも私は長い目で見てうまく機能しているというふうには思っております。これは宇都委員とまたちょっと意見が違うかもしれません。
 ただ、どういう制度がいいかというのは、やはり諸外国の例もいろいろございますから、十分にこれはそれぞれのお立場で検討さるべきことではないかと、このように思っております。
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宇都隆史#17
○宇都隆史君 大臣、ありがとうございました。
 今回の判決は、裁判所が出した法令違憲ですか、判決としては刑事事件以外に民法で出したのは初めてというやには聞いております。いろんなやっぱりそれに対する、国民の意識に対する影響というのはありますから、是非この民法改正に対しても引き続き、この中身の説明、そして決して家族制度を壊すようなものではないんだという説明を法務省には引き続きお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
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山下雄平#18
○山下雄平君 自由民主党の山下雄平です。
 私、今回の質問に立つに当たり、自問しました。今回のこの問題について私が質問する資格があるのかと悩みました。私は今年で三十四歳になりましたけれども、いまだに独身です。もちろん、子供もいません。望んで独身でいようと居続けたわけではないんですけれども、不幸にも恐らく今年も独身で年を越すことになりそうです。
 そんな私が、結婚して子供を産み、そしてその後、また別の異性の方と関係を持って、そしてその方とも子供をつくってという、私とは大分ちょっと人生のステージの違う方の問題について発言することが、おまえに分かるわけないだろうというような批判も恐らくいただくんじゃないだろうかというふうに思って、私でいいのかと考えましたけれども、私の理想とする社会というのは、世の中の皆さんが他者が置かれている状況のことを自分のこととして考えられる、そういった社会が理想だと。だからこそ、私とは多少置かれている状況が違う問題ではありますけれども、私は質問に立とうという決心をしました。
 結論から申します。私はこの民法改正案については賛成です。やはり、生まれてきた子供に責任はないのに相続で差別されるのはおかしい、子は親を選べないと、そういった主張に関して、それを覆すだけの理屈は私には見当たりませんでした。
 ただ、いろんな議論を聞いておると、この問題に関して慎重な意見を持っていらっしゃる方もいることも事実です。立法府に身を置く者として、そうした慎重な意見の方の思いも胸に刻みながら議論をしていかなければいけないと、そういった視点から私は今日質問をさせていただきたいと思っております。
 今回の問題に関して、最高裁は平成七年に現行の規定を合憲とされました。しかし、今回、最高裁は、合憲から違憲と判断を変えた根拠として、家族形態の多様化、国民の意識の変化、外国の立法の趨勢、批准した条約、委員会からの指摘、嫡出子、非嫡出子の区別にかかわる法令等の変化などにより、家族という共同体の中における個人の尊重が明確に意識されてきたということを挙げております。
 国民の意識という問題に関してはなかなか、それを客観的にどういう指標で調べるのかというのは、調査によって変わるかもしれません。しかし、この家族形態の多様化ということに関しては、我が国においても、晩婚化だったり核家族化だったりと一定程度変化は起こってきているんだと思います。
 では、この婚外子の問題に関しては、嫡出子、非嫡出子の数はどのような変化があったんでしょうか。この合憲としたときの平成七年から今回の違憲とした平成二十五年で、嫡出子、非嫡出子の数の変化というのはどうなったんでしょうか。
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深山卓也#19
○政府参考人(深山卓也君) まず、平成七年の合憲の決定があった年の嫡出でない子の出生総数に占める割合は一・二四%、人数にして一万四千七百十八人でございました。その五年後の平成十二年は、同じ数字が一・六三%、一万九千四百三十六人。更に五年後の平成十七年には、割合の方は二・〇三%、人数は二万一千五百三十三人。更に五年後の平成二十二年は、割合が二・一五%、人数が二万二千九百八十六人。そして、直近の平成二十四年は、比率で二・二三%、人数で二万三千百三十八人と推移しておりまして、一貫して増加傾向にあるものと考えられます。
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山下雄平#20
○山下雄平君 非嫡出子の数は増えているということですけれども、これをもって、じゃ家族形態がどうだというのはなかなか一概には言えないとは思うんですけれども、今回の議論の中で、この民法の改正をすることによって非嫡出子の数がどんどん増えていってしまうんじゃないかというような懸念も出されました。
 では、各国ではどうなっているんでしょうか。嫡出子と非嫡出子の相続を同等にした各国では、その後、嫡出子と非嫡出子の割合、数の変化はどのようになったんでしょうか。
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深山卓也#21
○政府参考人(深山卓也君) 嫡出でない子と嫡出子の相続分を同等にした諸外国三つ挙げますと、イギリス、アメリカ、韓国の数字を把握しております。
 まずイギリスにつきましては、一九八七年の法改正で相続分の同等化が図られました。そして、嫡出でない子の出生割合は、一九六〇年の時点では五・二二%だったものが、その後増加を続け、改正の前々年である一九八五年には一八・八九%、法改正の前年の一九八六年には二〇・九九%、改正がされた一九八七年には二二・九%、翌年の八八年は二五・一五%、さらに翌年の八九年は二六・六%ということでございます。
 また、アメリカですけれども、アメリカは一九七七年に連邦最高裁判所で嫡出子と嫡出でない子の相続分に差異を設けることが違憲であるという判断がされておりますが、その前後を比較しますと、まず、一九六〇年の時点では四・九%の割合でしたけれども、その後、嫡出でない子の出生割合は増加を続けまして、一九七五年には一四・三%、七六年には一四・八%、違憲判断がされた年である七七年には一五・五%、翌七八年には一六・三%、さらに翌々年の七九年には一七・一%でございました。
 もう一つ、韓国を御紹介しますと、韓国は一九九〇年の法改正で男女とも嫡出子と嫡出でない子の相続分を同等化いたしました。嫡出でない子の出生割合は、統計を取り始めた一九八一年は一・一二%でしたが、その後やや減少いたしまして、一九八八年には〇・八三%、法改正の前年の八九年には〇・八一%、法改正がされた九〇年には〇・九五%、翌九一年には一・〇二%、さらに翌々年である九二年には一・一五%まで増加しましたが、その後、一九九四年から減少に転じまして、一九九七年には〇・六三%に減少し、その後また増加をしていると、このようなことでございます。
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山下雄平#22
○山下雄平君 今の数字を聞いていると、法改正によってこの嫡出子、非嫡出子の数が変化、影響を与えるということが明確に言えるということではないというふうに感じました。
 今回の改正について、中には、日本は法律婚主義の国であると、法改正をしてしまうと法律婚主義がないがしろになってしまうというような懸念も出されました。そうした意見についてはどうお考えになりますでしょうか。
 政務官、よろしいでしょうか。
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平口洋#23
○大臣政務官(平口洋君) 今回の民法の改正の趣旨でございますが、これは最高裁により憲法違反とされた嫡出子と嫡出でない子の相続分における差別を解消するというところにございます。
 現行法におきましては、法律上の婚姻関係にある夫婦の一方配偶者には相続権を認めながら、事実婚の関係にある男女の場合にはその一方に他方の相続権は認めていないという、こういうことでございまして、このように、民法第九百条第四号ただし書の規定以外にも法律婚の尊重を目的とする法制度が設けられているというところでございまして、今回の改正はこれらの法制度を変更するものではないと、このように思っております。
 さらに、我が国におきましては、法律婚を尊重する意識が国民の間に幅広く浸透しておりまして、このことは今回の最高裁の決定においても指摘されているところでございます。そういたしますと、今回の改正が婚姻をめぐる国民の意識にどのような影響を与えるかは、将来の予測的判断にかかわるので一概に申し上げにくいものの、直ちに法律婚がないがしろにされるというような事態は生じないものであると、このように考えております。
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山下雄平#24
○山下雄平君 政務官がおっしゃったように、法律婚主義は変わらないということでした。
 先ほど宇都議員がおっしゃったように、今回の法改正とともに、法律婚主義、法律婚の配偶者をより保護するような法制度も必要だという意見も多数出ております。その中で、法律婚を保護するために、夫の死後、法律婚の配偶者の居住権を強化すべきだと、そういった意見も聞かれますけれども、そのことについての所見をお伺いしたいと思います。
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深山卓也#25
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、今回の法改正に当たって、配偶者が相続開始後も自宅不動産に引き続き居住することができるように、その居住権を法律上保護するための措置を講ずべきであるといった意見が各方面から出されたことは十分承知をしております。もっとも、相続の場面における生存配偶者の居住権の保護という問題は、相続人に嫡出子と嫡出でない子が存在するこの民法九百条四号ただし書の適用場面だけではなくて、相続一般に大きな影響を及ぼす問題でございますので、関係者間の利害調整を含めた多角的な検討が必要になる課題だと思っております。
 そこで、法務省においては、今後、ワーキングチームを省内に設けて、配偶者の居住権を法律上保護するための措置を始めとする相続法制全般の在り方について検討を進めていく所存でございます。
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山下雄平#26
○山下雄平君 今回の問題に関して自民党内の議論の中でもう一つの論点というのは、立法と司法の在り方でした。今回の判断について議員の中には、ちょっと立法の裁量権に司法が踏み込んできたんじゃないかというような意見もありました。
 例えば、安全保障の問題なんかだと、高度な政治性を有する国家の行為については、司法の法律判断が可能であっても審査の対象から外すというような統治行為論を採用する場合もあります。また、国会議員の選挙に関しては、衆議院選に関しましては、さきの最高裁は一票の格差問題に関して立法の裁量権を割と広く認めました。一方で、参議院選挙については、今隣に石井議員がいらっしゃいますけれども、広島高裁岡山支部は立法の裁量権を狭くとらえて当選を無効というような判断もされました。
 時には、その司法の判断が若干恣意的なんじゃないかというようなことを感じることもあります。その境というのが、立法と司法の境というのが非常に曖昧なんじゃないかということも感じます。今回の婚外子の相続の問題についても、九月の最高裁決定でも、相続制度をどのように定めるかは立法府の合理的裁量の範囲に委ねられているとも指摘しております。
 では、違憲立法審査権が及ぶ範囲というのはどの辺りまでなんでしょうか。その境と立法の裁量権、その境というのはどこにあると考えればいいんでしょうか。谷垣大臣の所見をお伺いしたいと思います。
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谷垣禎一#27
○国務大臣(谷垣禎一君) なかなか難しい御質問で、上手に答えられるかどうか自信がないんですけれども、先ほど来御答弁を申し上げておりますように、立法府は基本的に、法律を作るに当たっては、立法府の判断、つまり裁量権を持っているわけですね。しかし、他方、憲法八十一条は「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と定めまして、法律の合憲性についての判断権を最高裁判所に認めていると。だから、抽象的に申し上げれば、立法府の裁量権は憲法の枠内であると、こういうことになると思うんです。
 私が大学で法律学の講義を聞きましたのは昭和四十年代の初めでございますが、そのときも、講義を聞きまして、今、山下委員がおっしゃいましたように、じゃ、どこまでが立法府の裁量権で、どこまでいけば違憲ということになるんだろうかというのを様々迷いました。昭和四十年代の初頭に比べますと、現在は、判例も随分積み重なって、その判例の中でも、判例といいますか、どういうふうにして憲法判断をしていくかという枠組みについても、判例も、それから学説もかなり蓄積ができてきたと私は思っております。
 そういう意味では、何というんでしょうか、大きな恣意的な枠組みで判断するのではなくて、基準が少しずつ積み重なってきている状況ではないかと、このように思っております。
 昨日、アメリカのキャロライン・ケネディ大使がお見えになりまして、ケネディ大使が、自分が最初に書いた本は憲法の本であると、こうおっしゃいましたので、私は、日本はかなりアメリカの違憲立法審査権の在り方を参考にしながら人権等々の解釈の基準を定めてきたということを申し上げたんですが、そんなふうに思っておりまして、今委員は例えば統治行為論なんかにもお触れになりましたけれども、私は、法務大臣としてその運用がいいとか悪いとか言うのは差し控えなければならないと思っておりますが、全体としてはそのようなルールは成長しながら今日まで来たという理解をしております。
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山下雄平#28
○山下雄平君 もう時間がなくなってきたので、最後端的にお伺いしたいと思うんですけれども、先ほど大臣が、基準が積み重なってきたと、成長してきたという話もありました。ただ、今回の選挙制度の問題に関しても、今隣にいる議員の地元での判断と最高裁の判断が、衆議院選でのと違ったりとか、若干戸惑う場面もあって、そうした中で、違憲立法審査権に対して否定的な意見を言われる方も実際いらっしゃいます。今日的な違憲立法審査権の意義、そして三権分立の意義について大臣の所見をお伺いできればと思います。
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荒木清寛#29
○委員長(荒木清寛君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
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