社会保障と税の一体改革に関する特別委員会
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会
会議録情報#0
平成二十四年六月八日(金曜日)
午前九時三分開議
出席委員
委員長 中野 寛成君
理事 武正 公一君 理事 鉢呂 吉雄君
理事 古本伸一郎君 理事 松本 大輔君
理事 和田 隆志君 理事 逢沢 一郎君
理事 伊吹 文明君 理事 西 博義君
網屋 信介君 石井登志郎君
磯谷香代子君 稲富 修二君
江端 貴子君 岡田 康裕君
勝又恒一郎君 岸本 周平君
櫛渕 万里君 篠原 孝君
白石 洋一君 田中美絵子君
田村 謙治君 平 智之君
玉木 朝子君 永江 孝子君
長尾 敬君 橋本 博明君
浜本 宏君 早川久美子君
藤田 憲彦君 三村 和也君
三宅 雪子君 宮島 大典君
向山 好一君 室井 秀子君
湯原 俊二君 柚木 道義君
渡部 恒三君 石田 真敏君
加藤 勝信君 金子 一義君
鴨下 一郎君 齋藤 健君
田村 憲久君 竹下 亘君
野田 毅君 馳 浩君
町村 信孝君 竹内 譲君
塩川 鉄也君 小林 正枝君
中島 隆利君 山内 康一君
中島 正純君
…………………………………
参考人
(一橋大学経済研究所教授) 小塩 隆士君
参考人
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社執行役員調査本部長) 五十嵐敬喜君
参考人
(一般社団法人日本経済団体連合会経済政策委員会企画部会長) 村岡富美雄君
参考人
(法政大学教授) 小峰 隆夫君
衆議院調査局社会保障と税の一体改革に関する特別調査室長 佐藤 治君
—————————————
委員の異動
六月八日
辞任 補欠選任
江端 貴子君 網屋 信介君
岡田 康裕君 浜本 宏君
岸本 周平君 玉木 朝子君
田嶋 要君 橋本 博明君
柚木 道義君 磯谷香代子君
町村 信孝君 齋藤 健君
宮本 岳志君 塩川 鉄也君
豊田潤多郎君 小林 正枝君
同日
辞任 補欠選任
網屋 信介君 櫛渕 万里君
磯谷香代子君 柚木 道義君
玉木 朝子君 平 智之君
橋本 博明君 向山 好一君
浜本 宏君 岡田 康裕君
齋藤 健君 町村 信孝君
塩川 鉄也君 宮本 岳志君
小林 正枝君 豊田潤多郎君
同日
辞任 補欠選任
櫛渕 万里君 三宅 雪子君
平 智之君 岸本 周平君
向山 好一君 田嶋 要君
同日
辞任 補欠選任
三宅 雪子君 江端 貴子君
—————————————
本日の会議に付した案件
公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)
被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)
子ども・子育て支援法案(内閣提出第七五号)
総合こども園法案(内閣提出第七六号)
子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七七号)
社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七二号)
社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)
————◇—————
この発言だけを見る →午前九時三分開議
出席委員
委員長 中野 寛成君
理事 武正 公一君 理事 鉢呂 吉雄君
理事 古本伸一郎君 理事 松本 大輔君
理事 和田 隆志君 理事 逢沢 一郎君
理事 伊吹 文明君 理事 西 博義君
網屋 信介君 石井登志郎君
磯谷香代子君 稲富 修二君
江端 貴子君 岡田 康裕君
勝又恒一郎君 岸本 周平君
櫛渕 万里君 篠原 孝君
白石 洋一君 田中美絵子君
田村 謙治君 平 智之君
玉木 朝子君 永江 孝子君
長尾 敬君 橋本 博明君
浜本 宏君 早川久美子君
藤田 憲彦君 三村 和也君
三宅 雪子君 宮島 大典君
向山 好一君 室井 秀子君
湯原 俊二君 柚木 道義君
渡部 恒三君 石田 真敏君
加藤 勝信君 金子 一義君
鴨下 一郎君 齋藤 健君
田村 憲久君 竹下 亘君
野田 毅君 馳 浩君
町村 信孝君 竹内 譲君
塩川 鉄也君 小林 正枝君
中島 隆利君 山内 康一君
中島 正純君
…………………………………
参考人
(一橋大学経済研究所教授) 小塩 隆士君
参考人
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社執行役員調査本部長) 五十嵐敬喜君
参考人
(一般社団法人日本経済団体連合会経済政策委員会企画部会長) 村岡富美雄君
参考人
(法政大学教授) 小峰 隆夫君
衆議院調査局社会保障と税の一体改革に関する特別調査室長 佐藤 治君
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委員の異動
六月八日
辞任 補欠選任
江端 貴子君 網屋 信介君
岡田 康裕君 浜本 宏君
岸本 周平君 玉木 朝子君
田嶋 要君 橋本 博明君
柚木 道義君 磯谷香代子君
町村 信孝君 齋藤 健君
宮本 岳志君 塩川 鉄也君
豊田潤多郎君 小林 正枝君
同日
辞任 補欠選任
網屋 信介君 櫛渕 万里君
磯谷香代子君 柚木 道義君
玉木 朝子君 平 智之君
橋本 博明君 向山 好一君
浜本 宏君 岡田 康裕君
齋藤 健君 町村 信孝君
塩川 鉄也君 宮本 岳志君
小林 正枝君 豊田潤多郎君
同日
辞任 補欠選任
櫛渕 万里君 三宅 雪子君
平 智之君 岸本 周平君
向山 好一君 田嶋 要君
同日
辞任 補欠選任
三宅 雪子君 江端 貴子君
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本日の会議に付した案件
公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)
被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)
子ども・子育て支援法案(内閣提出第七五号)
総合こども園法案(内閣提出第七六号)
子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七七号)
社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七二号)
社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)
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中
中野寛成#1
○中野委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
本日は、各案審査のため、参考人として、一橋大学経済研究所教授小塩隆士君、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社執行役員調査本部長五十嵐敬喜君、一般社団法人日本経済団体連合会経済政策委員会企画部会長村岡富美雄君、法政大学教授小峰隆夫君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位には、税制改革と財政及び経済等につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それでは、議事の順序について御説明申し上げます。
まず最初に、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。委員の質疑時間は限られておりますので、お答えはできるだけ簡潔明瞭にお願いをいたします。また、委員の皆さんも、御答弁をいただくという時間も認識の上で、質疑の時間をとっていただきたいと思います。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることとなっております。また、衆議院規則の規定により、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきをお願いいたします。
それでは、まず小塩参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
本日は、各案審査のため、参考人として、一橋大学経済研究所教授小塩隆士君、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社執行役員調査本部長五十嵐敬喜君、一般社団法人日本経済団体連合会経済政策委員会企画部会長村岡富美雄君、法政大学教授小峰隆夫君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位には、税制改革と財政及び経済等につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それでは、議事の順序について御説明申し上げます。
まず最初に、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。委員の質疑時間は限られておりますので、お答えはできるだけ簡潔明瞭にお願いをいたします。また、委員の皆さんも、御答弁をいただくという時間も認識の上で、質疑の時間をとっていただきたいと思います。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることとなっております。また、衆議院規則の規定により、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきをお願いいたします。
それでは、まず小塩参考人にお願いいたします。
小
小塩隆士#2
○小塩参考人 おはようございます。一橋大学経済研究所の小塩と申します。きょうはどうぞよろしくお願いいたします。
私は三つのことを申し上げます。一番目は、今回の一体改革あるいは消費税率の引き上げをどういうふうに考えるのかという点であります。二番目は、消費税の問題点としてよく指摘されます逆進性をどういうふうに考えるのかという点です。それから三番目は、もう一つ消費税の大きな問題点として指摘されることが多い消費税引き上げのデフレ効果をどう考えるのかという点であります。
お手元に参考図表という横長の図表をお配りしておりますけれども、それに基づいて簡単に御説明いたします。
まず一点目ですけれども、今回の一体改革あるいは消費税率の引き上げをどういうふうに考えるのかということです。
そこで、まず図一をごらんください。
ここで二つの点が確認できると思います。この図を見ていただきますと、この二十年間におきまして、社会保障給付が拡大傾向を見せているということがわかります。そのほとんどは高齢者向けの社会保障給付の増加で説明することができる、これがわかります。そのほかに重要な点がございまして、この上の方を見ていただきたいんですけれども、税や社会保険料がどういうふうに推移したかというのを見ますと、この二十年間でほぼ横ばいで推移しているということです。この間にはインバランスが発生しているということなんですけれども、そのインバランスは、それにほぼ対応するような形で、財政赤字を生み出しているということであります。
これは一体何を意味するのかということなんですけれども、要するに、私たち国民は、高齢者向けの社会保障給付の増加分を、私たち自身で負担するというのをいわば拒否して、次の世代に先送りするというふうな選択をしてきたということであります。これは非常に重要なことでありまして、例えば、私たちの子供たち、孫たち、あるいは将来生まれてくる子供たちがどういうふうに私たちの判断を評価するのかというのは、改めて考えておく必要があると思います。
ただ、負担の先送りを反映する財政赤字が発生したとしても、それをファイナンスするために政府が国債を発行したとしてもですけれども、私たちがその分だけ次の世代の人たちのために貯蓄をふやしているのであれば、将来世代の人たちはその貯蓄を取り崩して将来の増税に備えることができますので、特に問題は発生しない、ツケは将来世代に回らないということなんですけれども、そこで図二をごらんください。
これは日本の国全体の貯蓄をまとめた図でございます。日本全体の貯蓄というのはどういうふうにとらえるかということなんですけれども、家計、それから企業だけじゃなくて、政府の貯蓄も含めております。政府の貯蓄というのは、税収や社会保障の収入から経常的な経費、社会保障給付等々も入っておりますけれども、それを差し引いたものであります。その国全体の貯蓄を計算しようということですね。さらに、今まで企業あるいは政府が積み上げてきたいろいろな設備や資本ストックのメンテナンスのために必要な減価償却、経済学では固定資本減耗と申しますけれども、それを差し引いたネットのベースの貯蓄を見ております。
これを見ていただきますと、一九九〇年ぐらいをピークにいたしまして、その後、日本の貯蓄は明確な減少傾向を示しております。現在では、このような形で捉えた貯蓄はほぼゼロになっているということですね。私たちは、今や、将来世代に残すべき大切な富にもどうやら手をつけ始めているというふうな状況です。
こういうふうな状況のもとで現在の一体改革とか消費税率の引き上げを考えてみる必要があるというふうに思います。消費税率の引き上げというのは非常に私たちにとってつらいことなんですけれども、将来世代に負担の先送りをするという私たちの行動に一定のブレーキをかけるというふうな意味がありますので、それ自体は私は肯定的に評価してよいというふうに思います。
ただ、ここで注意していただきたいんですけれども、今回想定されている五%ポイントの税率で社会保障の給付を大幅に拡充する、現行制度よりも立派なものにするというところまで言えるかどうかというのは、私はちょっと疑問がございます。
そこで、図の三をごらんください。これは、政府が一体改革を説明する際に、五%ポイントの消費税率の引き上げの使い道を説明するときによく用いる資料というふうに伺っております。
現行の社会保障制度は、もともと、基礎年金の国庫負担の比率を引き上げる等々に代表されるように、五%ポイントの消費税率の引き上げを想定してでき上がって、それで走っているということですね。ですから、今回、仮に五%消費税率が引き上げられたとしても、ようやくその財源的な裏づけができたということにとどまるわけでありまして、これで全然これから何もする必要はないというわけでは決してないということですね。
今回の改革をさらに一歩進めて、高齢者向けの社会保障給付をさらに拡充したり、あるいは、若い人たち向けの社会保障給付を拡充するということを目指すのであれば、追加的な負担というのは私は必要になるのじゃないかと思います。逆に、消費税率の引き上げはもうこれでおしまいだということであれば、社会保障給付についてはある程度の圧縮は避けることはできないというふうに思います。
こういうふうに、社会保障や税のあり方をどういうふうに考えるのか、大きな政府と小さな政府のどちらを選ぶのかという選択は、むしろ一体改革の後に私たちが直面する問題だろうというふうに思います。
今回の一体改革は、私たちがそういう少子高齢化に立ち向かう改革を進めるためのいわば発射台をつくる作業であるというふうに思います。今までは発射台すら存在しませんでしたので、この作業は非常に重要だというふうに思います。
とはいっても、消費税には大きな問題があるということです。その問題をどういうふうに考えるのかという点についてお話を進めます。
一点目は、消費税の持っている逆進性の問題ですね。所得の低い層ほど負担が大きくなるということなんですけれども、それが一体どの程度かというのを図の四で御説明したいと思います。
これは、総務省の家計調査に基づきまして、所得階級別に、いろいろな税や保険料の負担がそれぞれの家計にどれだけの重みを持っているのかというものを調べたものであります。全部で日本の家計を十に分けまして、所得の低い層から高い層に並べたものであります。
ここで、消費税の負担はどれぐらいなのかと見ていただきますと、ちょうど真ん中辺に黒い太い枠で囲ったところがそれに対応いたします。ここからもわかりますように、現行の消費税五%でも、低所得層ほど負担が重くなっているということです。具体的に見ますと、第一分位、一番所得が低い層で四・八%、一番所得の高い第十分位で三・二%となっておりますから、一・六%ポイントの逆進性が発生しているということであります。
しかし、この程度の逆進性は、その上の方にあります所得税とか住民税でかなり相殺できるというふうに考えていいのではないかと思います。さらに、負担だけじゃなくて、下の方に書いておりますけれども、給付を私たちは受けているということです。その社会保障給付を見ますと、所得の低い層ほど厚くなっているということになりますので、全体として見ますと、消費税の逆進性というのは、よく言われているほど問題にする必要はないんじゃないかというのが私の印象です。
ただし、消費税を一〇%、二〇%と引き上げていけば、もちろん逆進性の問題は今以上に重要になってくると思います。ただ、その場合でも、そのほかの手段、ほかの税や保険料のあり方、あるいは給付のあり方を見直すことによって十分対応できるレベルではないかというふうに思います。
この点に関連いたしまして、食料品や生活必需品の税率を低目にしたらいいんじゃないか、いわゆる複数税率化を主張する向きもあります。私は反対です。といいますのは、複数税率化が公平性の追求という政策目的から見て効果的でないというふうに思うからであります。といいますのは、食料品や生活必需品に対する税率を低くしても、そのメリットは、所得の低い人に限定的に発生するんじゃなくて、所得の高い人にも発生して、余計な効果が発生するということですね。
ですから、複数税率化というのは、公平性の追求という点から見ると、余りいい政策とは言えないということです。
むしろ、所得の低い方々に対する支援という点では、給付つきの税額控除というふうな形で、ターゲットを絞って、より重点的に支援するという方が効果的です。この点は、日本だけじゃなくてイギリスでも問題になっております。ノーベル経済学賞を受賞した有名な経済学者、マーリーズという先生がいらっしゃいますけれども、その先生の出しましたマーリーズ・レビューという報告書がございます。その中でも、複数税率化をするんじゃなくて、直接、所得の低い層に支援する方が効果的であるというふうな議論が展開されています。
それから、二番目の消費税率引き上げの問題点といたしまして、デフレ効果をどう考えるかという点があります。消費税を引き上げると、ただでさえデフレで困っているのにさらにデフレになるのは困ったことだ、やめた方がいいというふうな議論があるわけですね。
それに対して私たち経済学者は、前回の消費税率引き上げのときのデフレ効果は余り大したことはなかったです、あるいは、財政赤字の削減で将来不安が払拭されて、それで消費がむしろ上向くんじゃないかとか、あるいは、五%から段階的に消費税率を引き上げることによって、むしろ駆け込み需要が発生するからいいぞというようなことを言うわけですけれども、一〇〇%額面どおり受けとめる必要はないというふうに思います。消費税率の引き上げは増税ですから、デフレ効果が発生するのは当然のことであって、それに目を背けるというのは無理な話であります。
ただ、そうはいっても、今までと違いまして、消費税率の引き上げとか財政収支につきましても、短期的な景気の話という次元で捉えるだけじゃなくて、もう一つ違う次元で捉える必要があるんじゃないかということです。それは、世代間の公平性を追求する、世代間の利害調整を考えてみるという視点だと思います。
確かに、消費税率を引き上げますと私たちは困るわけですね。今いる世代の人たちは非常に困ったことになるわけです。ただ、その一方で、負担の先送りを軽減される将来世代の人たちはメリットを受けるわけです。逆に、私たちが、消費税率の引き上げは嫌だ、むしろ景気を浮揚してほしいというふうに政府にお願いして公共投資をふやしたら、それだけさらに国債残高が高まって、その償還財源を増税で将来世代は引き受けなければいけない。また、インフラのメンテナンスのためにコストがかかるということですね。
というふうに、財政収支の問題とかあるいは増税の問題というのは、世代間の公平性の追求という点から考える必要があると思います。
こういうふうに考えることは、人口が増加傾向にあれば全然なかったわけです。子供がどんどん順調にふえていけば、その人たちが私たちの負担をちゃんと処理してくれた。全然問題はなかったわけですけれども、子供たちの頭数がどんどん減っていくということになりますと、なかなかそういう負担の先送りというのは難しくなるんじゃないかというふうに思います。
そういうふうに考えますと、それ以上の負担の先送りをやめるためにも、それから社会保障制度の根底を揺るがせないようにするためにも、ある程度の負担の引き上げというのは、私たち、今いる世代の人たちは引き受けざるを得ないんじゃないかというふうに思います。
その一方で、真に困っている人たちに対して重点的に支援を行うということ、それから民間企業のインセンティブを高める、ダイナミズムを高めるというふうな政策を別途行うというふうな、一種の共同戦線を政策で張ることによって一体改革を進めるということが重要ではないかと思います。
以上で私の説明を終わります。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私は三つのことを申し上げます。一番目は、今回の一体改革あるいは消費税率の引き上げをどういうふうに考えるのかという点であります。二番目は、消費税の問題点としてよく指摘されます逆進性をどういうふうに考えるのかという点です。それから三番目は、もう一つ消費税の大きな問題点として指摘されることが多い消費税引き上げのデフレ効果をどう考えるのかという点であります。
お手元に参考図表という横長の図表をお配りしておりますけれども、それに基づいて簡単に御説明いたします。
まず一点目ですけれども、今回の一体改革あるいは消費税率の引き上げをどういうふうに考えるのかということです。
そこで、まず図一をごらんください。
ここで二つの点が確認できると思います。この図を見ていただきますと、この二十年間におきまして、社会保障給付が拡大傾向を見せているということがわかります。そのほとんどは高齢者向けの社会保障給付の増加で説明することができる、これがわかります。そのほかに重要な点がございまして、この上の方を見ていただきたいんですけれども、税や社会保険料がどういうふうに推移したかというのを見ますと、この二十年間でほぼ横ばいで推移しているということです。この間にはインバランスが発生しているということなんですけれども、そのインバランスは、それにほぼ対応するような形で、財政赤字を生み出しているということであります。
これは一体何を意味するのかということなんですけれども、要するに、私たち国民は、高齢者向けの社会保障給付の増加分を、私たち自身で負担するというのをいわば拒否して、次の世代に先送りするというふうな選択をしてきたということであります。これは非常に重要なことでありまして、例えば、私たちの子供たち、孫たち、あるいは将来生まれてくる子供たちがどういうふうに私たちの判断を評価するのかというのは、改めて考えておく必要があると思います。
ただ、負担の先送りを反映する財政赤字が発生したとしても、それをファイナンスするために政府が国債を発行したとしてもですけれども、私たちがその分だけ次の世代の人たちのために貯蓄をふやしているのであれば、将来世代の人たちはその貯蓄を取り崩して将来の増税に備えることができますので、特に問題は発生しない、ツケは将来世代に回らないということなんですけれども、そこで図二をごらんください。
これは日本の国全体の貯蓄をまとめた図でございます。日本全体の貯蓄というのはどういうふうにとらえるかということなんですけれども、家計、それから企業だけじゃなくて、政府の貯蓄も含めております。政府の貯蓄というのは、税収や社会保障の収入から経常的な経費、社会保障給付等々も入っておりますけれども、それを差し引いたものであります。その国全体の貯蓄を計算しようということですね。さらに、今まで企業あるいは政府が積み上げてきたいろいろな設備や資本ストックのメンテナンスのために必要な減価償却、経済学では固定資本減耗と申しますけれども、それを差し引いたネットのベースの貯蓄を見ております。
これを見ていただきますと、一九九〇年ぐらいをピークにいたしまして、その後、日本の貯蓄は明確な減少傾向を示しております。現在では、このような形で捉えた貯蓄はほぼゼロになっているということですね。私たちは、今や、将来世代に残すべき大切な富にもどうやら手をつけ始めているというふうな状況です。
こういうふうな状況のもとで現在の一体改革とか消費税率の引き上げを考えてみる必要があるというふうに思います。消費税率の引き上げというのは非常に私たちにとってつらいことなんですけれども、将来世代に負担の先送りをするという私たちの行動に一定のブレーキをかけるというふうな意味がありますので、それ自体は私は肯定的に評価してよいというふうに思います。
ただ、ここで注意していただきたいんですけれども、今回想定されている五%ポイントの税率で社会保障の給付を大幅に拡充する、現行制度よりも立派なものにするというところまで言えるかどうかというのは、私はちょっと疑問がございます。
そこで、図の三をごらんください。これは、政府が一体改革を説明する際に、五%ポイントの消費税率の引き上げの使い道を説明するときによく用いる資料というふうに伺っております。
現行の社会保障制度は、もともと、基礎年金の国庫負担の比率を引き上げる等々に代表されるように、五%ポイントの消費税率の引き上げを想定してでき上がって、それで走っているということですね。ですから、今回、仮に五%消費税率が引き上げられたとしても、ようやくその財源的な裏づけができたということにとどまるわけでありまして、これで全然これから何もする必要はないというわけでは決してないということですね。
今回の改革をさらに一歩進めて、高齢者向けの社会保障給付をさらに拡充したり、あるいは、若い人たち向けの社会保障給付を拡充するということを目指すのであれば、追加的な負担というのは私は必要になるのじゃないかと思います。逆に、消費税率の引き上げはもうこれでおしまいだということであれば、社会保障給付についてはある程度の圧縮は避けることはできないというふうに思います。
こういうふうに、社会保障や税のあり方をどういうふうに考えるのか、大きな政府と小さな政府のどちらを選ぶのかという選択は、むしろ一体改革の後に私たちが直面する問題だろうというふうに思います。
今回の一体改革は、私たちがそういう少子高齢化に立ち向かう改革を進めるためのいわば発射台をつくる作業であるというふうに思います。今までは発射台すら存在しませんでしたので、この作業は非常に重要だというふうに思います。
とはいっても、消費税には大きな問題があるということです。その問題をどういうふうに考えるのかという点についてお話を進めます。
一点目は、消費税の持っている逆進性の問題ですね。所得の低い層ほど負担が大きくなるということなんですけれども、それが一体どの程度かというのを図の四で御説明したいと思います。
これは、総務省の家計調査に基づきまして、所得階級別に、いろいろな税や保険料の負担がそれぞれの家計にどれだけの重みを持っているのかというものを調べたものであります。全部で日本の家計を十に分けまして、所得の低い層から高い層に並べたものであります。
ここで、消費税の負担はどれぐらいなのかと見ていただきますと、ちょうど真ん中辺に黒い太い枠で囲ったところがそれに対応いたします。ここからもわかりますように、現行の消費税五%でも、低所得層ほど負担が重くなっているということです。具体的に見ますと、第一分位、一番所得が低い層で四・八%、一番所得の高い第十分位で三・二%となっておりますから、一・六%ポイントの逆進性が発生しているということであります。
しかし、この程度の逆進性は、その上の方にあります所得税とか住民税でかなり相殺できるというふうに考えていいのではないかと思います。さらに、負担だけじゃなくて、下の方に書いておりますけれども、給付を私たちは受けているということです。その社会保障給付を見ますと、所得の低い層ほど厚くなっているということになりますので、全体として見ますと、消費税の逆進性というのは、よく言われているほど問題にする必要はないんじゃないかというのが私の印象です。
ただし、消費税を一〇%、二〇%と引き上げていけば、もちろん逆進性の問題は今以上に重要になってくると思います。ただ、その場合でも、そのほかの手段、ほかの税や保険料のあり方、あるいは給付のあり方を見直すことによって十分対応できるレベルではないかというふうに思います。
この点に関連いたしまして、食料品や生活必需品の税率を低目にしたらいいんじゃないか、いわゆる複数税率化を主張する向きもあります。私は反対です。といいますのは、複数税率化が公平性の追求という政策目的から見て効果的でないというふうに思うからであります。といいますのは、食料品や生活必需品に対する税率を低くしても、そのメリットは、所得の低い人に限定的に発生するんじゃなくて、所得の高い人にも発生して、余計な効果が発生するということですね。
ですから、複数税率化というのは、公平性の追求という点から見ると、余りいい政策とは言えないということです。
むしろ、所得の低い方々に対する支援という点では、給付つきの税額控除というふうな形で、ターゲットを絞って、より重点的に支援するという方が効果的です。この点は、日本だけじゃなくてイギリスでも問題になっております。ノーベル経済学賞を受賞した有名な経済学者、マーリーズという先生がいらっしゃいますけれども、その先生の出しましたマーリーズ・レビューという報告書がございます。その中でも、複数税率化をするんじゃなくて、直接、所得の低い層に支援する方が効果的であるというふうな議論が展開されています。
それから、二番目の消費税率引き上げの問題点といたしまして、デフレ効果をどう考えるかという点があります。消費税を引き上げると、ただでさえデフレで困っているのにさらにデフレになるのは困ったことだ、やめた方がいいというふうな議論があるわけですね。
それに対して私たち経済学者は、前回の消費税率引き上げのときのデフレ効果は余り大したことはなかったです、あるいは、財政赤字の削減で将来不安が払拭されて、それで消費がむしろ上向くんじゃないかとか、あるいは、五%から段階的に消費税率を引き上げることによって、むしろ駆け込み需要が発生するからいいぞというようなことを言うわけですけれども、一〇〇%額面どおり受けとめる必要はないというふうに思います。消費税率の引き上げは増税ですから、デフレ効果が発生するのは当然のことであって、それに目を背けるというのは無理な話であります。
ただ、そうはいっても、今までと違いまして、消費税率の引き上げとか財政収支につきましても、短期的な景気の話という次元で捉えるだけじゃなくて、もう一つ違う次元で捉える必要があるんじゃないかということです。それは、世代間の公平性を追求する、世代間の利害調整を考えてみるという視点だと思います。
確かに、消費税率を引き上げますと私たちは困るわけですね。今いる世代の人たちは非常に困ったことになるわけです。ただ、その一方で、負担の先送りを軽減される将来世代の人たちはメリットを受けるわけです。逆に、私たちが、消費税率の引き上げは嫌だ、むしろ景気を浮揚してほしいというふうに政府にお願いして公共投資をふやしたら、それだけさらに国債残高が高まって、その償還財源を増税で将来世代は引き受けなければいけない。また、インフラのメンテナンスのためにコストがかかるということですね。
というふうに、財政収支の問題とかあるいは増税の問題というのは、世代間の公平性の追求という点から考える必要があると思います。
こういうふうに考えることは、人口が増加傾向にあれば全然なかったわけです。子供がどんどん順調にふえていけば、その人たちが私たちの負担をちゃんと処理してくれた。全然問題はなかったわけですけれども、子供たちの頭数がどんどん減っていくということになりますと、なかなかそういう負担の先送りというのは難しくなるんじゃないかというふうに思います。
そういうふうに考えますと、それ以上の負担の先送りをやめるためにも、それから社会保障制度の根底を揺るがせないようにするためにも、ある程度の負担の引き上げというのは、私たち、今いる世代の人たちは引き受けざるを得ないんじゃないかというふうに思います。
その一方で、真に困っている人たちに対して重点的に支援を行うということ、それから民間企業のインセンティブを高める、ダイナミズムを高めるというふうな政策を別途行うというふうな、一種の共同戦線を政策で張ることによって一体改革を進めるということが重要ではないかと思います。
以上で私の説明を終わります。ありがとうございました。拍手
中
五
五十嵐敬喜#4
○五十嵐参考人 おはようございます。五十嵐でございます。
私は、きょう、社会保障と税の一体改革の一環として検討されております消費税率の引き上げをめぐる論点の幾つかについて、日ごろマクロ経済の分析に携わっている者として、所見を申し述べたいというふうに思います。
私だけお土産を持ってまいりませんでした。申しわけございません。それと、箇条書きのメモでお話をしようと思っているうちに、だんだん膨らんでまいりまして、原稿を読むような形になろうかと思いますが、ここもちょっと御了承いただきたいと思います。
初めに、財政の健全化を図る上では、今年度で九十兆円にも上る歳出というのは、当面八十兆円強ぐらいに削減することが望ましいとはいたしましても、我が国で高齢化が急速に進行していることを考えますと、中期的には歳出がある程度増加していくということは避けがたい、こういうふうに思います。したがいまして、より一層重要になってくるのが歳入を増加させることでありまして、そのためには、もちろん経済が成長して税の自然増収が実現することが最も望ましいということは言うまでもありませんけれども、常に理想論を唱えるだけではなくて、より現実的な道として増税を模索する必要もあるんじゃないか。
実際、名目GDPを見ますと、二十年前に比べて、むしろ今の方が低いというような状況もあるし、ここ何年にもわたって日本経済がデフレから脱却できないでいるということも踏まえますと、増税も選択肢だろう、こういうふうに考えます。
そこで、次に増税の形態について申し上げたいと思いますが、どんな形で増税するかについては、今後とも少子高齢化が進んでいくということ、つまり労働力人口が数でいっても比率でいっても下がっていくということを考えますと、消費税への依存度を高めることというのは十分正当化できるのではないかというふうに考えております。
その場合、本来であれば、増税の目的の第一は財政の健全化であるべきでありまして、初めから歳出に充当することを約束して大型の増税をするのは望ましいことではないというふうに思います。とはいえ、それでも消費税を社会保障の目的税にせざるを得ないということであれば、現在は別の財源から社会保障に充当している分が消費税を持ってくることによって浮くわけですから、その分を国債の発行額削減に充当すべきであろうというふうに考えます。つまり、消費税の社会保障目的税化が別の歳出をふやす隠れみのに使われないようにすべきであるというふうに考えております。
また、一体改革の必要性というのは税体系全体についても言えることでありまして、将来、消費税を一〇%超に引き上げることを検討する際には、税体系全体でどうするかという中で考えるべきであろうというふうに思います。
次に、消費税増税と景気や物価との関係について申し上げます。
消費税増税で景気が悪化するということにつきましては、引き上げ前の駆け込み需要と引き上げ後の反動減によって景気が波を打ってしまうということを除きますと、全体としては私は余り大きくないというふうに考えております。
消費税八%経済と消費税五%経済というものを比較したときに、八%経済の方が成長率が低くなるということは言えないと思います。もしそれが言えるというのなら、消費税に相当する付加価値税率が二〇%近い欧州各国は成長なんかできない、こういうことにもなろうかというふうに思います。
消費税収がそのまま歳出に振り向けられるとか、あるいは家計が消費税の負担を毎月の貯蓄額を削減するというような形で対応するということであれば、マクロ的には景気への悪影響は極めて軽微なものになるのではないかというふうに考えます。
もちろん、一般論としましては、消費税の増税によって消費者物価が上昇する、一方で、家計の収入が見合って増加しないということであれば、実質可処分所得が減少して消費が下押しされるというのは間違いないわけでありまして、この点につきましては、機械的に概算いたしますと、消費税が三%上がると消費者物価は二%程度上昇する、結果として、GDP成長率が〇・五%弱低下するのではないかというふうに私どもは計算しております。
デフレのもとで消費税を引き上げてもいいのかという問題もあるわけですけれども、この点について特段の問題はないと考えております。一般論として、価格支配力に乏しい中小企業にとっては消費税を価格転嫁できないじゃないか、こういう指摘もあるわけですけれども、転嫁が難しいかどうかと経済の状況がデフレかデフレでないかということは直接の関係はないというふうに思います。逆に、インフレのときだったら転嫁はしやすいのかといえば、必ずしもそうとは言えないわけですから、直接の関係はないと考えております。
景気のよしあしと消費税増税のタイミングをどうするのかということにつきましては、これは事前にうまく調整することはおよそ不可能であるというふうに考えます。例えばリーマン・ショックのように、経済が著しく大きな危機に直面するというようなときは別としましても、消費税の引き上げというのは私は淡々と実行すべきであろうというふうに考えております。
次に、国民負担の問題を申し上げます。
マーケットは、我が国の増税余地はかなり大きいと考えているというふうに思います。実際、我が国の税負担というのは諸外国と比べますとかなり低い。租税収入の対GDP比率をOECD三十四カ国の中で比較しますと、我が国の比率は、二〇〇九年ですけれども、メキシコに次いで下から二番目だ、極めて低いという事実があります。
さらに、租税収入に第二の税と言われます社会保険料を加えたいわゆる国民負担額、これの対GDP比率ということで比較いたしましても、低い方から七番目、上からだと二十六番目ということでありまして、国際比較において我が国は国民負担率が低いので、逆にその増加余地は相当大きいというふうに特にマーケットは考えているというふうに思います。
私は消費税の増税は必要だと考えておりますが、一方で、リスクもあるなというふうに考えております。
そのリスクは何かといいますと、巨額の税収入が入ってくるわけですけれども、それが結局歳出の増加に全部吸収されてしまって、結果として財政の健全化が全く進まないというような事態になってしまったら怖いということであります。
それから、名目GDP成長率が期待どおりに上昇しないというようなことになりますと、自然増収も十分に得られませんし、プライマリーバランスの対GDP比率、これが消費税を一〇%に上げれば半減するという見通しですけれども、これが達成されない、大幅に未達に終わるというようなことになりますと、これはマーケットを相当深く失望させることになって、レッドカードを突きつけられるというおそれもあろうかというふうに思います。
そこで、次に、消費税をめぐるマーケットの反応について申し上げます。
消費税を増税しても財政の健全化が進まないというようなことがもし起こった場合には、日本国債の大幅な格下げというのは必至だろうと思います。ただ、そのことが国債価格の暴落を引き起こすかどうかは、これはわかりません。我が国の国債保有構造というのが圧倒的に金融機関に偏っているという、そのことがむしろ暴落を防ぐ可能性もあろうかというふうに思います。
しかし、市場が突きつけるレッドカードの中身、もう一つとしましては、為替市場で円が大幅に下落するという可能性も十分あるだろう。為替は世界じゅうの誰でも売り買いできる、こういうものですから、マーケットがここにレッドカードを示してくる可能性があると思います。
市場としましては、我が国では、五%を一〇%に上げて財政の健全化が進まなかったのなら、一〇%を仮に一五%に上げたってそれは無理だろうと。つまり、よほど、追加的に入ってくる税収を全て皆さんに還元しますとでも言わない限り、一〇%超の消費税率の引き上げは実現しないだろう。とすれば、この日本という国では、消費税を幾ら引き上げても全て歳出に回ってしまって、健全化が一向に進まないというふうにマーケットに受けとめられてしまうと、これは非常に危険だろうというふうに考えております。
最後に、では、円が大幅に下落したらどうなるのかということを申し上げたいと思いますが、ドル高やユーロ高の裏腹としての円安ではなくて、円が売られての円安というのは非常に危険だというふうに思います。これは、下手すると、国内でハイパーインフレが発生するということですけれども、一部には、このハイパーインフレこそが国債という大借金の究極の解決策だ、こううそぶく人もいるわけですけれども、これはもう全くの誤解である。
例えば、消費者がガソリンを購入することを考えますと、インフレによって、同じ量を買うにしても、消費者は以前より相当多い支出をしないといけないわけですけれども、追加的に払った分は誰の懐に入るのか。国内の誰の懐にも残らないで、全て産油国に行くわけです。輸入物価が上がったせいで国内で起こったハイパーインフレで、消費者が余計に払ったお金は全て海外に出ていく。つまり、日本国民は貧乏になるわけでありまして、貧乏になったときに借金の返済負担が軽くなるはずはないわけです。
一般に、インフレが借金の返済負担を楽にするというのは、インフレにはあと二種類あるわけでありまして、一つは、需給インフレといいまして、景気が過熱して物不足で起こるインフレ、もう一つは、賃金インフレ、賃金が何かの理由で上がって、これが価格転嫁されて起こるインフレ。この二つのインフレは、消費者が余計に払ったお金は国内の誰かの懐に残りますので、これは物価が仮に倍になっても給料も倍になる類いのインフレで、その場合には借金の返済負担は楽になるわけですけれども、日本で近い将来ハイパーインフレが起こるとしたら、それは景気が過熱したせいでしょうか、賃金が暴騰したせいでしょうか。まずあり得ないわけでありまして、恐らく円が暴落して起こるハイパーインフレである。この場合には、みんなが貧乏になるわけで、そんなことで借金問題の解決なんかは全くできない。
つまり、最も避けないといけないシナリオでありますけれども、それはどうして起こるかというと、消費税を増税して大幅な税収を得ておきながら、財政の健全化が全く進んでいない、こんな事態が引き起こされることだけは何としても避けないといけない、こんなふうに考えております。
以上でございます。拍手
この発言だけを見る →私は、きょう、社会保障と税の一体改革の一環として検討されております消費税率の引き上げをめぐる論点の幾つかについて、日ごろマクロ経済の分析に携わっている者として、所見を申し述べたいというふうに思います。
私だけお土産を持ってまいりませんでした。申しわけございません。それと、箇条書きのメモでお話をしようと思っているうちに、だんだん膨らんでまいりまして、原稿を読むような形になろうかと思いますが、ここもちょっと御了承いただきたいと思います。
初めに、財政の健全化を図る上では、今年度で九十兆円にも上る歳出というのは、当面八十兆円強ぐらいに削減することが望ましいとはいたしましても、我が国で高齢化が急速に進行していることを考えますと、中期的には歳出がある程度増加していくということは避けがたい、こういうふうに思います。したがいまして、より一層重要になってくるのが歳入を増加させることでありまして、そのためには、もちろん経済が成長して税の自然増収が実現することが最も望ましいということは言うまでもありませんけれども、常に理想論を唱えるだけではなくて、より現実的な道として増税を模索する必要もあるんじゃないか。
実際、名目GDPを見ますと、二十年前に比べて、むしろ今の方が低いというような状況もあるし、ここ何年にもわたって日本経済がデフレから脱却できないでいるということも踏まえますと、増税も選択肢だろう、こういうふうに考えます。
そこで、次に増税の形態について申し上げたいと思いますが、どんな形で増税するかについては、今後とも少子高齢化が進んでいくということ、つまり労働力人口が数でいっても比率でいっても下がっていくということを考えますと、消費税への依存度を高めることというのは十分正当化できるのではないかというふうに考えております。
その場合、本来であれば、増税の目的の第一は財政の健全化であるべきでありまして、初めから歳出に充当することを約束して大型の増税をするのは望ましいことではないというふうに思います。とはいえ、それでも消費税を社会保障の目的税にせざるを得ないということであれば、現在は別の財源から社会保障に充当している分が消費税を持ってくることによって浮くわけですから、その分を国債の発行額削減に充当すべきであろうというふうに考えます。つまり、消費税の社会保障目的税化が別の歳出をふやす隠れみのに使われないようにすべきであるというふうに考えております。
また、一体改革の必要性というのは税体系全体についても言えることでありまして、将来、消費税を一〇%超に引き上げることを検討する際には、税体系全体でどうするかという中で考えるべきであろうというふうに思います。
次に、消費税増税と景気や物価との関係について申し上げます。
消費税増税で景気が悪化するということにつきましては、引き上げ前の駆け込み需要と引き上げ後の反動減によって景気が波を打ってしまうということを除きますと、全体としては私は余り大きくないというふうに考えております。
消費税八%経済と消費税五%経済というものを比較したときに、八%経済の方が成長率が低くなるということは言えないと思います。もしそれが言えるというのなら、消費税に相当する付加価値税率が二〇%近い欧州各国は成長なんかできない、こういうことにもなろうかというふうに思います。
消費税収がそのまま歳出に振り向けられるとか、あるいは家計が消費税の負担を毎月の貯蓄額を削減するというような形で対応するということであれば、マクロ的には景気への悪影響は極めて軽微なものになるのではないかというふうに考えます。
もちろん、一般論としましては、消費税の増税によって消費者物価が上昇する、一方で、家計の収入が見合って増加しないということであれば、実質可処分所得が減少して消費が下押しされるというのは間違いないわけでありまして、この点につきましては、機械的に概算いたしますと、消費税が三%上がると消費者物価は二%程度上昇する、結果として、GDP成長率が〇・五%弱低下するのではないかというふうに私どもは計算しております。
デフレのもとで消費税を引き上げてもいいのかという問題もあるわけですけれども、この点について特段の問題はないと考えております。一般論として、価格支配力に乏しい中小企業にとっては消費税を価格転嫁できないじゃないか、こういう指摘もあるわけですけれども、転嫁が難しいかどうかと経済の状況がデフレかデフレでないかということは直接の関係はないというふうに思います。逆に、インフレのときだったら転嫁はしやすいのかといえば、必ずしもそうとは言えないわけですから、直接の関係はないと考えております。
景気のよしあしと消費税増税のタイミングをどうするのかということにつきましては、これは事前にうまく調整することはおよそ不可能であるというふうに考えます。例えばリーマン・ショックのように、経済が著しく大きな危機に直面するというようなときは別としましても、消費税の引き上げというのは私は淡々と実行すべきであろうというふうに考えております。
次に、国民負担の問題を申し上げます。
マーケットは、我が国の増税余地はかなり大きいと考えているというふうに思います。実際、我が国の税負担というのは諸外国と比べますとかなり低い。租税収入の対GDP比率をOECD三十四カ国の中で比較しますと、我が国の比率は、二〇〇九年ですけれども、メキシコに次いで下から二番目だ、極めて低いという事実があります。
さらに、租税収入に第二の税と言われます社会保険料を加えたいわゆる国民負担額、これの対GDP比率ということで比較いたしましても、低い方から七番目、上からだと二十六番目ということでありまして、国際比較において我が国は国民負担率が低いので、逆にその増加余地は相当大きいというふうに特にマーケットは考えているというふうに思います。
私は消費税の増税は必要だと考えておりますが、一方で、リスクもあるなというふうに考えております。
そのリスクは何かといいますと、巨額の税収入が入ってくるわけですけれども、それが結局歳出の増加に全部吸収されてしまって、結果として財政の健全化が全く進まないというような事態になってしまったら怖いということであります。
それから、名目GDP成長率が期待どおりに上昇しないというようなことになりますと、自然増収も十分に得られませんし、プライマリーバランスの対GDP比率、これが消費税を一〇%に上げれば半減するという見通しですけれども、これが達成されない、大幅に未達に終わるというようなことになりますと、これはマーケットを相当深く失望させることになって、レッドカードを突きつけられるというおそれもあろうかというふうに思います。
そこで、次に、消費税をめぐるマーケットの反応について申し上げます。
消費税を増税しても財政の健全化が進まないというようなことがもし起こった場合には、日本国債の大幅な格下げというのは必至だろうと思います。ただ、そのことが国債価格の暴落を引き起こすかどうかは、これはわかりません。我が国の国債保有構造というのが圧倒的に金融機関に偏っているという、そのことがむしろ暴落を防ぐ可能性もあろうかというふうに思います。
しかし、市場が突きつけるレッドカードの中身、もう一つとしましては、為替市場で円が大幅に下落するという可能性も十分あるだろう。為替は世界じゅうの誰でも売り買いできる、こういうものですから、マーケットがここにレッドカードを示してくる可能性があると思います。
市場としましては、我が国では、五%を一〇%に上げて財政の健全化が進まなかったのなら、一〇%を仮に一五%に上げたってそれは無理だろうと。つまり、よほど、追加的に入ってくる税収を全て皆さんに還元しますとでも言わない限り、一〇%超の消費税率の引き上げは実現しないだろう。とすれば、この日本という国では、消費税を幾ら引き上げても全て歳出に回ってしまって、健全化が一向に進まないというふうにマーケットに受けとめられてしまうと、これは非常に危険だろうというふうに考えております。
最後に、では、円が大幅に下落したらどうなるのかということを申し上げたいと思いますが、ドル高やユーロ高の裏腹としての円安ではなくて、円が売られての円安というのは非常に危険だというふうに思います。これは、下手すると、国内でハイパーインフレが発生するということですけれども、一部には、このハイパーインフレこそが国債という大借金の究極の解決策だ、こううそぶく人もいるわけですけれども、これはもう全くの誤解である。
例えば、消費者がガソリンを購入することを考えますと、インフレによって、同じ量を買うにしても、消費者は以前より相当多い支出をしないといけないわけですけれども、追加的に払った分は誰の懐に入るのか。国内の誰の懐にも残らないで、全て産油国に行くわけです。輸入物価が上がったせいで国内で起こったハイパーインフレで、消費者が余計に払ったお金は全て海外に出ていく。つまり、日本国民は貧乏になるわけでありまして、貧乏になったときに借金の返済負担が軽くなるはずはないわけです。
一般に、インフレが借金の返済負担を楽にするというのは、インフレにはあと二種類あるわけでありまして、一つは、需給インフレといいまして、景気が過熱して物不足で起こるインフレ、もう一つは、賃金インフレ、賃金が何かの理由で上がって、これが価格転嫁されて起こるインフレ。この二つのインフレは、消費者が余計に払ったお金は国内の誰かの懐に残りますので、これは物価が仮に倍になっても給料も倍になる類いのインフレで、その場合には借金の返済負担は楽になるわけですけれども、日本で近い将来ハイパーインフレが起こるとしたら、それは景気が過熱したせいでしょうか、賃金が暴騰したせいでしょうか。まずあり得ないわけでありまして、恐らく円が暴落して起こるハイパーインフレである。この場合には、みんなが貧乏になるわけで、そんなことで借金問題の解決なんかは全くできない。
つまり、最も避けないといけないシナリオでありますけれども、それはどうして起こるかというと、消費税を増税して大幅な税収を得ておきながら、財政の健全化が全く進んでいない、こんな事態が引き起こされることだけは何としても避けないといけない、こんなふうに考えております。
以上でございます。拍手
中
村
村岡富美雄#6
○村岡参考人 おはようございます。経団連で経済政策委員会の企画部会長を務めております村岡でございます。
本日は、私どもの考え方、経済界の考え方を述べさせていただく機会を頂戴しまして、まことにありがとうございます。
初めに、我が国経済が置かれております状況について手短に申し上げた後に、成長戦略とそれから財政再建を同時に進めていくための方策について、経済界としての考え方を述べさせていただきたいと存じます。
御高承のとおり、我が国の経済は、本格的な人口減少社会、とりわけ生産年齢人口の急激な減少を迎える中、グローバル化に対応するためのTPP交渉への参加を初めとする経済連携協定は遅々として進んでおらず、二十年にも及ぶデフレからの脱却や、あるいは震災後の電力の安定供給確保、さらには財政の健全化に向けた道筋も展望できておりません。
経済界は、こうした状況が今後とも放置されるということになれば、国内の産業空洞化が進行し、既に相当落ち込んでおります世界における日本の存在感あるいは国際競争力がますます低下して、日本経済そのものが沈没しかねないという強い危機感を持っております。
このような問題意識から、経団連は、先月五月十五日、成長戦略の実行と財政再建の断行を求める提言を公表いたしました。これまで経団連が訴えてきました成長促進型の施策の総動員と財政再建への取り組み強化を同時に行うよう、政府や与野党の皆様方に働きかけているところでございます。
お手元の資料の一枚目をごらんください。
1の問題意識、これは先ほど申し上げたとおりでございます。
次に、その下の2、成長戦略の実行と財政再建の断行に向けた具体策でございますけれども、左の(1)にございますとおり、成長戦略につきましては、まずは何よりも早期の実行が必要であるというふうに考えております。
政府の新成長戦略が取りまとめられましたのは、今から二年前、二〇一〇年の六月でございますけれども、そこで掲げられた施策は、経済界が求める成長戦略の方向性と軌を一にしております。しかし、先般のレビュー結果にもあるとおり、その実現状況は必ずしもはかばかしくございません。
政府が目標として掲げる実質二%、名目三%を上回る経済成長、この実現は、これまでの政策遂行のおくれから、極めて困難な情勢となっております。新成長戦略で掲げた施策は全てパッケージとして実現していかなければ、こうした目標は達成できないと思っております。
そこで、具体化が進んでいない施策につきましては危機感を持って速やかに実行に移していただきたいと存じますけれども、デフレからの脱却と持続的な経済成長を図る上で、二の早期実現が求められる施策としてお示しする次の五つの施策については、特に効果的であると考えられますので、優先的に実現をしていただきたいと思います。
中には、制度的な制約から早期実現が困難と見られる施策も含まれておりますけれども、政策予見性が向上し、将来への展望がはっきりと見通せれば、企業は足元でも、国内への設備投資や雇用機会の創出など積極的な行動のうねりを起こしていくというふうに考えられます。したがいまして、政策の実行を前もってコミットし、中長期的な道筋を明確にしておくことが政策運営上極めて重要となります。
まず一点目は、震災からの早期復旧復興であります。
東日本大震災からの早期復興は、企業による創意工夫の発揮と、それから迅速な行動が欠かせません。震災復興に向けた取り組みを経済成長の起爆剤として位置づけ、復興特区を活用し、前例にとらわれない思い切った税、財政、金融、規制、行政上の措置を迅速に講じていくことが重要となります。また、将来的には、復興特区で生まれた成功事例を国内外の他地域、産業にも展開していくことで、東北の復興を日本全体の成長に結びつけ、国際社会における存在感を高めることも可能となります。
二点目は、事業環境のイコールフッティングの実現であります。
国内産業の空洞化を回避するとともに、海外からの対内直接投資を呼び込む観点から、まずは、歴史的な円高や、依然として高水準にあります法人実効税率、経済連携協定締結のおくれ、電力供給不足といった企業の自由な活動を妨げる要因、私ども、いわゆる六重苦と呼んでいますけれども、これらを着実に解消していかなければなりません。中でも、法人税や社会保険料を含む企業の公的負担を軽減することで、立地競争力の強化を図ることが不可欠であります。米国、英国において、法人実効税率のさらなる引き下げが現実の課題となっていることにも留意をすべきであります。
二〇一二年度の税制改正によりまして、我が国の法人実効税率は恒久的に五%引き下げられ、同時に、三年間の復興特別法人税が加算されておりますが、その終了を待つことなく、さらなる減税への道筋をつけていくべきであると考えます。特に、地方法人特別税につきましては、税制の抜本改革までの間の暫定措置であり、消費税率の引き上げとあわせて速やかに廃止をしていただきたいと存じます。
三点目は、イノベーションの促進であります。
イノベーションは、生産性のさらなる向上や潜在的な需要の喚起など、新たな成長の源泉を生み出します。イノベーションの創出、加速には、企業の潜在能力が最大限発揮されることが前提となりますけれども、そのためには、我が国経済社会のあり方を、イノベーション創出に親和性の高い体質に変えていかなければなりません。
まずは、第四期科学技術基本計画で掲げられました政府研究開発投資対GDP比一%、総額二十五兆円、この目標の着実な実現や、研究開発促進税制の拡充、イノベーション創出を担う人材の育成など、イノベーション促進策の実行が不可欠であります。
四点目は、規制改革を通じた国内需要の発掘であります。
規制改革を通じて国内の新たな需要を発掘し、需給ギャップを解消していくためには、とりわけ農業、医療、都市・まちづくり、この三分野におきまして大胆な改革を進めていく必要がございます。
まず、農業分野では、競争力強化、成長産業化を図るため、農業生産法人の構成員要件など農地保有規制の緩和や、農地の集積、有効活用に向けた税制、財政、金融面での支援が求められます。
医療分野では、医療関連産業の生産性向上と競争力強化に向け、遠隔診療要件の緩和や、特区における株式会社の診療領域の拡大、現在政府でも検討されておりますけれども、ドラッグラグ、デバイスラグの解消などが欠かせません。
都市・まちづくり分野では、例えば、区分所有建物に係る管理組合総会の決議要件の緩和や借地借家法の正当事由の見直しにより、老朽化した建築物の建てかえ、大規模修繕、再開発や、木造密集地域等における耐震化、不燃化に向けた合意形成を促すことが考えられます。
五点目は、海外需要の取り込みであります。
アジア新興国へのパッケージ型インフラ輸出や、二〇二〇年のFTAAP構築を視野に入れましたTPP交渉への早期参加、観光振興への取り組みなどを通じまして海外需要を積極的に取り込むことで、国内の需給ギャップを解消していくべきと考えております。
経団連は、これらの成長戦略の施策をパッケージとして総動員するとともに、右にお示しをしています(2)の財政再建を着実に実行することにより、経済と財政との間に好循環が生まれると考えております。
財政再建に向けた取り組みとしまして、第一に、消費税を中心とした安定財源の確保と、医療、介護、子育て、年金といった社会保障各分野におきます給付の効率化、重点化を含む1)の社会保障と税の一体改革が急務であります。
資料の二ページ目をごらんください。経団連が五月二十四日に公表しました提言、「社会保障・税一体改革の着実な推進を求める」の全文をお示ししております。
本文の一にございますとおり、消費税法等改正法案は、一体改革を歳入面から担保するものであり、我が国財政に対する国際的な信認を維持するためにも、まずは今国会の会期中に確実に成立させることが不可欠であります。
ただし、同法案では、さきに述べました法人実効税率のほかにも、積み残しの課題が多数ございます。住宅の取得に係る負担軽減措置、燃焼関係諸税とのタックス・オン・タックスの排除、車体課税の簡素化、負担軽減、印紙税の負担軽減等につきまして、早期に成案を得て、確実に実施をしていただきたいというふうに考えております。
なお、消費税につきましては、少なくとも今回の改革においては単一税率を維持していただきたいと存じます。
次に、社会保障制度改革につきまして、その下の二にお示ししておりますように、現行の政府案は、給付の効率化、重点化あるいは財源の見直しが不十分な内容にとどまっております。今後も国民的な検討を深め、社会保障の自助、共助、公助、このバランスを見直し、成長や雇用創出と両立する持続可能な制度へと抜本改革を行うべきであります。
また一ページ目にお戻りをいただきたいと思います。給付の効率化、重点化の具体策として、例えば、医療・介護分野における給付費の自然増を経済成長率以下に抑制することや、子育て分野では、児童手当の支給対象、金額を見直すことが求められます。さらには、年金分野では、デフレ下でのマクロ経済スライドの発動も重要であります。
また、現在、中期財政フレームに基づき、基礎的財政収支対象経費に対して約七十一兆円の歳出キャップが設定されておりますが、それだけでは、抜本的かつめり張りのある歳出抑制を図る上で不十分と言わざるを得ません。そこで、2)の新たな歳出プログラムとしまして、一定期間の歳出キャップを社会保障、公共投資、人件費など主要な費目ごとに設け、抑制を働かせる仕組みを導入すべきであります。
最後に、以上で示した政策を一つのパッケージとして断行する改革推進ケースにつきまして、経団連のマクロ経済モデルを用い、将来試算を行いました。資料の三枚目をごらんいただきたいと思います。
経済成長率につきましては、二〇二〇年度以降、実質二%、名目三%程度で推移をし、公債等残高の対名目GDP比は二〇二〇年代半ばに二五〇%程度で頭打ちとなります。さらには、産業空洞化が抑制されるということで、雇用者数は、成長戦略や財政再建を全く行わない現状放置ケースに比べまして、二〇二〇年度に約百万人増、二〇二五年度には約百五十万人増となります。
こうしたことからも、成長戦略の実行と同時に、年金を初めとする社会保障制度や財政に対する国民の将来不安をスピード感を持って払拭するということが極めて重要であると存じます。
私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、私どもの考え方、経済界の考え方を述べさせていただく機会を頂戴しまして、まことにありがとうございます。
初めに、我が国経済が置かれております状況について手短に申し上げた後に、成長戦略とそれから財政再建を同時に進めていくための方策について、経済界としての考え方を述べさせていただきたいと存じます。
御高承のとおり、我が国の経済は、本格的な人口減少社会、とりわけ生産年齢人口の急激な減少を迎える中、グローバル化に対応するためのTPP交渉への参加を初めとする経済連携協定は遅々として進んでおらず、二十年にも及ぶデフレからの脱却や、あるいは震災後の電力の安定供給確保、さらには財政の健全化に向けた道筋も展望できておりません。
経済界は、こうした状況が今後とも放置されるということになれば、国内の産業空洞化が進行し、既に相当落ち込んでおります世界における日本の存在感あるいは国際競争力がますます低下して、日本経済そのものが沈没しかねないという強い危機感を持っております。
このような問題意識から、経団連は、先月五月十五日、成長戦略の実行と財政再建の断行を求める提言を公表いたしました。これまで経団連が訴えてきました成長促進型の施策の総動員と財政再建への取り組み強化を同時に行うよう、政府や与野党の皆様方に働きかけているところでございます。
お手元の資料の一枚目をごらんください。
1の問題意識、これは先ほど申し上げたとおりでございます。
次に、その下の2、成長戦略の実行と財政再建の断行に向けた具体策でございますけれども、左の(1)にございますとおり、成長戦略につきましては、まずは何よりも早期の実行が必要であるというふうに考えております。
政府の新成長戦略が取りまとめられましたのは、今から二年前、二〇一〇年の六月でございますけれども、そこで掲げられた施策は、経済界が求める成長戦略の方向性と軌を一にしております。しかし、先般のレビュー結果にもあるとおり、その実現状況は必ずしもはかばかしくございません。
政府が目標として掲げる実質二%、名目三%を上回る経済成長、この実現は、これまでの政策遂行のおくれから、極めて困難な情勢となっております。新成長戦略で掲げた施策は全てパッケージとして実現していかなければ、こうした目標は達成できないと思っております。
そこで、具体化が進んでいない施策につきましては危機感を持って速やかに実行に移していただきたいと存じますけれども、デフレからの脱却と持続的な経済成長を図る上で、二の早期実現が求められる施策としてお示しする次の五つの施策については、特に効果的であると考えられますので、優先的に実現をしていただきたいと思います。
中には、制度的な制約から早期実現が困難と見られる施策も含まれておりますけれども、政策予見性が向上し、将来への展望がはっきりと見通せれば、企業は足元でも、国内への設備投資や雇用機会の創出など積極的な行動のうねりを起こしていくというふうに考えられます。したがいまして、政策の実行を前もってコミットし、中長期的な道筋を明確にしておくことが政策運営上極めて重要となります。
まず一点目は、震災からの早期復旧復興であります。
東日本大震災からの早期復興は、企業による創意工夫の発揮と、それから迅速な行動が欠かせません。震災復興に向けた取り組みを経済成長の起爆剤として位置づけ、復興特区を活用し、前例にとらわれない思い切った税、財政、金融、規制、行政上の措置を迅速に講じていくことが重要となります。また、将来的には、復興特区で生まれた成功事例を国内外の他地域、産業にも展開していくことで、東北の復興を日本全体の成長に結びつけ、国際社会における存在感を高めることも可能となります。
二点目は、事業環境のイコールフッティングの実現であります。
国内産業の空洞化を回避するとともに、海外からの対内直接投資を呼び込む観点から、まずは、歴史的な円高や、依然として高水準にあります法人実効税率、経済連携協定締結のおくれ、電力供給不足といった企業の自由な活動を妨げる要因、私ども、いわゆる六重苦と呼んでいますけれども、これらを着実に解消していかなければなりません。中でも、法人税や社会保険料を含む企業の公的負担を軽減することで、立地競争力の強化を図ることが不可欠であります。米国、英国において、法人実効税率のさらなる引き下げが現実の課題となっていることにも留意をすべきであります。
二〇一二年度の税制改正によりまして、我が国の法人実効税率は恒久的に五%引き下げられ、同時に、三年間の復興特別法人税が加算されておりますが、その終了を待つことなく、さらなる減税への道筋をつけていくべきであると考えます。特に、地方法人特別税につきましては、税制の抜本改革までの間の暫定措置であり、消費税率の引き上げとあわせて速やかに廃止をしていただきたいと存じます。
三点目は、イノベーションの促進であります。
イノベーションは、生産性のさらなる向上や潜在的な需要の喚起など、新たな成長の源泉を生み出します。イノベーションの創出、加速には、企業の潜在能力が最大限発揮されることが前提となりますけれども、そのためには、我が国経済社会のあり方を、イノベーション創出に親和性の高い体質に変えていかなければなりません。
まずは、第四期科学技術基本計画で掲げられました政府研究開発投資対GDP比一%、総額二十五兆円、この目標の着実な実現や、研究開発促進税制の拡充、イノベーション創出を担う人材の育成など、イノベーション促進策の実行が不可欠であります。
四点目は、規制改革を通じた国内需要の発掘であります。
規制改革を通じて国内の新たな需要を発掘し、需給ギャップを解消していくためには、とりわけ農業、医療、都市・まちづくり、この三分野におきまして大胆な改革を進めていく必要がございます。
まず、農業分野では、競争力強化、成長産業化を図るため、農業生産法人の構成員要件など農地保有規制の緩和や、農地の集積、有効活用に向けた税制、財政、金融面での支援が求められます。
医療分野では、医療関連産業の生産性向上と競争力強化に向け、遠隔診療要件の緩和や、特区における株式会社の診療領域の拡大、現在政府でも検討されておりますけれども、ドラッグラグ、デバイスラグの解消などが欠かせません。
都市・まちづくり分野では、例えば、区分所有建物に係る管理組合総会の決議要件の緩和や借地借家法の正当事由の見直しにより、老朽化した建築物の建てかえ、大規模修繕、再開発や、木造密集地域等における耐震化、不燃化に向けた合意形成を促すことが考えられます。
五点目は、海外需要の取り込みであります。
アジア新興国へのパッケージ型インフラ輸出や、二〇二〇年のFTAAP構築を視野に入れましたTPP交渉への早期参加、観光振興への取り組みなどを通じまして海外需要を積極的に取り込むことで、国内の需給ギャップを解消していくべきと考えております。
経団連は、これらの成長戦略の施策をパッケージとして総動員するとともに、右にお示しをしています(2)の財政再建を着実に実行することにより、経済と財政との間に好循環が生まれると考えております。
財政再建に向けた取り組みとしまして、第一に、消費税を中心とした安定財源の確保と、医療、介護、子育て、年金といった社会保障各分野におきます給付の効率化、重点化を含む1)の社会保障と税の一体改革が急務であります。
資料の二ページ目をごらんください。経団連が五月二十四日に公表しました提言、「社会保障・税一体改革の着実な推進を求める」の全文をお示ししております。
本文の一にございますとおり、消費税法等改正法案は、一体改革を歳入面から担保するものであり、我が国財政に対する国際的な信認を維持するためにも、まずは今国会の会期中に確実に成立させることが不可欠であります。
ただし、同法案では、さきに述べました法人実効税率のほかにも、積み残しの課題が多数ございます。住宅の取得に係る負担軽減措置、燃焼関係諸税とのタックス・オン・タックスの排除、車体課税の簡素化、負担軽減、印紙税の負担軽減等につきまして、早期に成案を得て、確実に実施をしていただきたいというふうに考えております。
なお、消費税につきましては、少なくとも今回の改革においては単一税率を維持していただきたいと存じます。
次に、社会保障制度改革につきまして、その下の二にお示ししておりますように、現行の政府案は、給付の効率化、重点化あるいは財源の見直しが不十分な内容にとどまっております。今後も国民的な検討を深め、社会保障の自助、共助、公助、このバランスを見直し、成長や雇用創出と両立する持続可能な制度へと抜本改革を行うべきであります。
また一ページ目にお戻りをいただきたいと思います。給付の効率化、重点化の具体策として、例えば、医療・介護分野における給付費の自然増を経済成長率以下に抑制することや、子育て分野では、児童手当の支給対象、金額を見直すことが求められます。さらには、年金分野では、デフレ下でのマクロ経済スライドの発動も重要であります。
また、現在、中期財政フレームに基づき、基礎的財政収支対象経費に対して約七十一兆円の歳出キャップが設定されておりますが、それだけでは、抜本的かつめり張りのある歳出抑制を図る上で不十分と言わざるを得ません。そこで、2)の新たな歳出プログラムとしまして、一定期間の歳出キャップを社会保障、公共投資、人件費など主要な費目ごとに設け、抑制を働かせる仕組みを導入すべきであります。
最後に、以上で示した政策を一つのパッケージとして断行する改革推進ケースにつきまして、経団連のマクロ経済モデルを用い、将来試算を行いました。資料の三枚目をごらんいただきたいと思います。
経済成長率につきましては、二〇二〇年度以降、実質二%、名目三%程度で推移をし、公債等残高の対名目GDP比は二〇二〇年代半ばに二五〇%程度で頭打ちとなります。さらには、産業空洞化が抑制されるということで、雇用者数は、成長戦略や財政再建を全く行わない現状放置ケースに比べまして、二〇二〇年度に約百万人増、二〇二五年度には約百五十万人増となります。
こうしたことからも、成長戦略の実行と同時に、年金を初めとする社会保障制度や財政に対する国民の将来不安をスピード感を持って払拭するということが極めて重要であると存じます。
私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。拍手
中
小
小峰隆夫#8
○小峰参考人 おはようございます。法政大学の小峰でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、当特別委員会におきまして私の意見を申し述べる機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
お手元に、「財政再建と日本経済について」という二枚紙のペーパーをお配りしておりますので、これに基づきまして説明をさせていただきます。
この点につきまして私が申し上げたいポイントは、ここにまとめております五つでございます。
まず第一は、財政再建は国民福祉の向上という観点からも急務であるということです。
財政再建は、言うまでもなく、財政赤字をコントロール可能な範囲に、サステーナブルな形に保っていくということで大変重要な目標なんですけれども、これは最終目標ではなくて、最終的には国民生活の安定、国民福祉の向上を実現するための中間目標であるという位置づけが必要であるというふうに思います。
しばしば指摘されておりますように、現在の日本の財政事情というのは、フロー、これは毎年の財政赤字の規模、それからストック、これは政府債務残高の規模、どちらを見ても先進国の中で最悪の状態にあって、非常に深刻な状態にあるということは、これは誰でも知っていることだと思います。大変問題なのは、政府の債務残高のGDP比率というのが、ずっと上昇し続けているカーブに乗っているということです。
したがって、このままいきますと、政府の債務残高比率が無限に上がるということはあり得ないことですので、どこかで必ず財政が破綻する、つまり、マーケットが日本の国債を信用しなくなるという局面が必ず来る、それは不可避だというふうに思います。要すれば、現在のギリシャのような状態になるということです。
そういうことになりますと、そのとき具体的に何が起きるかというのは、想定するのは非常に難しいんですけれども、いずれにしても国民生活に相当大きな打撃が及ぶということは間違いないということですし、また、日本ほどの経済大国が仮にギリシャのような状態になったら、これは世界経済全体に相当大きな影響を及ぼす。我々自身がギリシャの混乱から相当大きなマイナスの影響をこうむっているわけですけれども、今度は日本が世界に大変大きなマイナスをまき散らすことになる。
したがって、財政を再建するということは、日本の国民のために、また、将来世代のために、また、世界経済全体のためにもどうしても必要であるということであると思います。
それから二番目は、その財政再建のために残された時間が急速になくなってきているということであります。
現在、先ほど申し上げましたように、日本のフロー、ストック、いずれも財政事情は世界の中でもかなり深刻だ、数字だけを見ますとギリシャよりも深刻だということなんですが、日本の国債が依然として安定的に消化されている、市場の信頼を維持しているというのはなぜなのかということを、もう一度よく考えてみる必要があると思います。
これは三つの背景があるということですが、一つは、国内の投資が非常に少ない、したがって、お金が余っているということです。
これは、国内の銀行が、貸出先が非常に少ないので、喜んでというわけではないと思うんですけれども、やむを得ず国債をどんどん買っている。ほかに買うものがない、投資先がないということで国債をどんどん買っている。これは、ある意味では、国内の投資が不活発であるというありがたくない恩恵を国債が受けているということだと思います。
それから二番目は、日本の経常収支が依然として黒字を維持しているということであります。
貿易収支は昨年赤字になったんですけれども、投資収益の受け取りが非常に大きいものですから、経常収支全体としては依然として黒字である。経常収支が黒字であるということは、全体として日本の国内の貯蓄が余っている、お金が余っているということですので、簡単に言えば、外国に国債を引き受けてもらわないでも済む状態であるということになります。
三番目は、これは先ほども五十嵐さんのお話にもありましたが、マーケットは、日本はまだ消費税を引き上げて自力で財政を改善する余地が大きいというふうに判断をしている。これも大変大きいというふうに思います。
こういった条件に支えられて、今のところ日本の国債は信用を維持しているということなんですけれども、ただ、これは、先ほど申し上げましたように、いつまでもは続かないということになります。
日本のエコノミストの間では、今しばしば議論されているのは、日本の財政が破綻するかしないかということではなくて、このままいったらいつ破綻するのかということがかなり真剣に議論されております。これは、マーケットの信認がいつ崩れるのかという非常に難しい問題ですので、なかなかいつというふうに特定することはできないんですけれども、今行われている議論では、幾つかのメルクマールからこれを判断しようということで、例えば、今申し上げました経常収支の黒字がなくなるのはいつかという計算があります。
これは、日本の高齢化の影響によりまして日本の貯蓄率がどんどん下がっていきますので、やがては日本の経常収支の黒字は赤字に転ずるだろうというのがエコノミストの常識なんですけれども、いろいろな見方がありますけれども、二〇二〇年度前後には相当経常収支の黒字が赤字に転ずる日が近くなる、その辺がかなり危なくなってくるんじゃないかという意見が強い。
それからもう一つの見方は、家計の貯蓄が全部国債になってしまうという日がいつかということなんですけれども、これも、家計貯蓄を、ある前提を置いて、それで、このまま国債がふえていくという前提で考えますと、やはり二〇二〇年度前後に家計貯蓄を全部国債に充てないと間に合わないということになる。
もちろん、こういったメルクマールを過ぎると突然日本国債の信用がなくなるというわけではないんですけれども、ほかになかなかメルクマールになるものがないものですから、そういった計算をしている。
一方、日本の政府の今の計画では、二〇二〇年度にプライマリーバランスを黒字にするというのが目標になっております。したがって、二〇二〇年度前後に至るまでのいわば競争になっている。つまり、日本がみずからの力で財政再建に筋道をつけることができるのか、マーケットの信頼を失ってしまうのか、どちらが早いかという競争を今やっているということでございます。
三番目は、消費税の引き上げは今の段階ではもはや当然というふうに考えられますけれども、それでもまだ財政再建には不足であるということであります。
財政再建の基本はいろいろありますけれども、基本中の基本は、基礎的財政収支、プライマリーバランスをゼロまたは黒字にするということで、これは、我々、過去からの負債をたくさん負っているわけですけれども、それを処理しようとするときに我々自身が新しい借金をしてはいけない、それのメルクマールが、プライマリーバランスがゼロまたは黒字になるということですので、これをまず達成する必要があるということは当然のことだと思います。
ただ、今の計算では、仮に、消費税を予定どおり一〇%まで上げ、かつ名目成長率が三%というかなり理想的な経済成長が実現したとしても、なおかつ二〇二〇年度の基礎的財政収支は相当な赤字が残るということですので、今しきりに議論されております消費税を引き上げるということは第一歩にすぎない、引き続き真剣な対応が必要であるということなんですが、そのとき、どうしても歳出の見直しというのが欠かせないというふうに思います。
歳出の中では、これは小塩先生のお話にもありましたけれども、社会保障関係費の増分が非常に大きい。高齢化を踏まえて、これからもふえていくということを考えますと、この社会保障の見直し、合理化というのがどうしても必要だというふうに思います。社会保障について安定的な制度を築くということは、国民の将来に対する安心感を築くという点からも大変重要なことだというふうに思います。
しばしば、歳出の削減というふうに言いますと、無駄を省く、無駄を省いてから増税をお願いするべきだということがあるんですけれども、この無駄を省くという響きの中には、国民は迷惑をこうむらない、国民に痛みは及ばないというニュアンスがあるように思われます。これはしかし、その程度の無駄では恐らく財政再建には全く不十分。したがって、国民に痛みがある程度出るような歳出削減でないと、真の意味での財政再建はできないのではないかというふうに思います。
それから四番目は、これまでの参考人の方々の意見にも出ております、消費税の引き上げが景気にどういう影響を及ぼすかという点でございます。
私の判断は、これは当然、増税なんですから景気にマイナスである、これは否定できない。しかし、それが耐えがたいほどひどいマイナスの影響かというと、それほどでもないというのが私の判断でございます。
二ページ目に行っていただきまして、そういうふうに申し上げても、何らかの数値的な目安がないとなかなか理解が難しいということだと思いますので、二ページ目の真ん中に表を掲げております。これは、内閣府の研究所の計量モデルを使いまして、一%消費税を上げると経済にどういう影響が及ぶかということを計算した結果でございます。
これを見ていただきますと、実質GDP、成長率ですけれども、一年目で〇・一五%のマイナスという結果になっております。したがって、三%引き上げますと〇・四五%。先ほど五十嵐さんの方から〇・五%という数字がありましたが、ほぼ近い数字になります。
どうしてこういうことになるかというと、これは当然ながら、消費税を上げますと物価が上がる、しかし所得は上がらないということになりますので、実質的に我々が受け取っている所得が目減りする、それによって消費が減る。この計算でも、消費が一年目に〇・二一%減るということになりますので、簡単に言えば、消費が減ることによって成長率がダウンするということになります。これは避けがたいということだと思います。
それから、この表では下の段に民間消費デフレーターというのがありますが、これが大体消費者物価に相当するというふうに考えていただければいいと思いますが、これが、一%につき〇・七四%物価が上がるということになります。それから、下の段の右の方に、財政収支の名目GDP比が〇・四二%、これは改善するということです。
このように、消費税を上げると、景気にはマイナスの影響がある、物価が上がる、そのかわり財政収支は改善するという、いわば当たり前の結果が出るということなんですけれども、この程度のものだという感覚からしますと、ここに書いてあるようなことが言えるのではないか。
一つは、しばしば、消費税を引き上げると景気が相当悪くなる、例えば九七年の消費税の引き上げの後、あれだけ景気が悪くなったではないかということがありますが、この計算でいけば、あのときは二%引き上げたわけですから、〇・三%程度の影響だったはずだということになって、消費税の引き上げだけで九七年、九八年のような大不況になるということはあり得ないということが言えます。
それから二番目に、これも、消費税の引き上げで景気が悪くなって、かえって法人税とか所得税が減ってしまって税収が減っちゃうんじゃないかという指摘もあるということですが、これは、この計算からいっても、消費税を上げればそれなりに財政収支の改善効果はあるという結果が出ます。
それから三番目に、景気の局面によって消費税をいつ上げるかということを考慮すべきではないかという意見があります。
これは、もちろん、景気がいいときに上げた方が国民の負担はそれだけ軽くなる、景気が悪いときに消費税を上げますともっと悪くなってしまうということは事実なんですけれども、よく考えてみますと、景気がいいときに上げたからといって、国民の負担が減るわけではない。
つまり、簡単に言えば、ここで例えば〇・五%成長率が落ちるというのが国民の負担であるというふうに考えると、これは、景気がよくても〇・五%負担する、景気が悪くても〇・五%負担するということですので、景気のよしあしによって国民の負担が軽くなったり重くなったりするわけではないということが言えると思います。
それから最後に、第五のポイントですけれども、これは、財政再建とともに成長戦略の着実な推進で、サステーナブルな形で成長率を引き上げていくことが必要だということです。
日本の経済を見ますと、二〇一二年度は、復興需要もありますので比較的高い成長が実現するというのがほぼコンセンサスになっておりますが、これはいわば大規模なケインズ政策をやっているようなものですから、大規模な公共投資によって景気がよくなるということがことしは起きるということなんですが、これは明らかにいつまでも続かないということを考えておくべきだというふうに思います。こういった復興需要に支えられている間に次の成長の芽をできるだけつくっていくということがどうしても必要だというふうに思います。
このとき、しばしば、財政再建と経済成長というのが、経済成長をしっかりやってから財政再建をやるといったように、どちらが先かとか、どちらを優先すべきかといったような議論がありますが、私は、これは相反する目標なのではなくて、両方同時に追求すべきものだ。つまり、財政が赤字であっても黒字であっても、なるべく高い成長を実現するということは同じように必要なことだということですので、この二つはぜひ、財政再建だけに目をとられるのではなくて、同時に着実な成長戦略というのも実行していくということが必要だというふうに思います。
私の考えは以上でございます。どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、当特別委員会におきまして私の意見を申し述べる機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
お手元に、「財政再建と日本経済について」という二枚紙のペーパーをお配りしておりますので、これに基づきまして説明をさせていただきます。
この点につきまして私が申し上げたいポイントは、ここにまとめております五つでございます。
まず第一は、財政再建は国民福祉の向上という観点からも急務であるということです。
財政再建は、言うまでもなく、財政赤字をコントロール可能な範囲に、サステーナブルな形に保っていくということで大変重要な目標なんですけれども、これは最終目標ではなくて、最終的には国民生活の安定、国民福祉の向上を実現するための中間目標であるという位置づけが必要であるというふうに思います。
しばしば指摘されておりますように、現在の日本の財政事情というのは、フロー、これは毎年の財政赤字の規模、それからストック、これは政府債務残高の規模、どちらを見ても先進国の中で最悪の状態にあって、非常に深刻な状態にあるということは、これは誰でも知っていることだと思います。大変問題なのは、政府の債務残高のGDP比率というのが、ずっと上昇し続けているカーブに乗っているということです。
したがって、このままいきますと、政府の債務残高比率が無限に上がるということはあり得ないことですので、どこかで必ず財政が破綻する、つまり、マーケットが日本の国債を信用しなくなるという局面が必ず来る、それは不可避だというふうに思います。要すれば、現在のギリシャのような状態になるということです。
そういうことになりますと、そのとき具体的に何が起きるかというのは、想定するのは非常に難しいんですけれども、いずれにしても国民生活に相当大きな打撃が及ぶということは間違いないということですし、また、日本ほどの経済大国が仮にギリシャのような状態になったら、これは世界経済全体に相当大きな影響を及ぼす。我々自身がギリシャの混乱から相当大きなマイナスの影響をこうむっているわけですけれども、今度は日本が世界に大変大きなマイナスをまき散らすことになる。
したがって、財政を再建するということは、日本の国民のために、また、将来世代のために、また、世界経済全体のためにもどうしても必要であるということであると思います。
それから二番目は、その財政再建のために残された時間が急速になくなってきているということであります。
現在、先ほど申し上げましたように、日本のフロー、ストック、いずれも財政事情は世界の中でもかなり深刻だ、数字だけを見ますとギリシャよりも深刻だということなんですが、日本の国債が依然として安定的に消化されている、市場の信頼を維持しているというのはなぜなのかということを、もう一度よく考えてみる必要があると思います。
これは三つの背景があるということですが、一つは、国内の投資が非常に少ない、したがって、お金が余っているということです。
これは、国内の銀行が、貸出先が非常に少ないので、喜んでというわけではないと思うんですけれども、やむを得ず国債をどんどん買っている。ほかに買うものがない、投資先がないということで国債をどんどん買っている。これは、ある意味では、国内の投資が不活発であるというありがたくない恩恵を国債が受けているということだと思います。
それから二番目は、日本の経常収支が依然として黒字を維持しているということであります。
貿易収支は昨年赤字になったんですけれども、投資収益の受け取りが非常に大きいものですから、経常収支全体としては依然として黒字である。経常収支が黒字であるということは、全体として日本の国内の貯蓄が余っている、お金が余っているということですので、簡単に言えば、外国に国債を引き受けてもらわないでも済む状態であるということになります。
三番目は、これは先ほども五十嵐さんのお話にもありましたが、マーケットは、日本はまだ消費税を引き上げて自力で財政を改善する余地が大きいというふうに判断をしている。これも大変大きいというふうに思います。
こういった条件に支えられて、今のところ日本の国債は信用を維持しているということなんですけれども、ただ、これは、先ほど申し上げましたように、いつまでもは続かないということになります。
日本のエコノミストの間では、今しばしば議論されているのは、日本の財政が破綻するかしないかということではなくて、このままいったらいつ破綻するのかということがかなり真剣に議論されております。これは、マーケットの信認がいつ崩れるのかという非常に難しい問題ですので、なかなかいつというふうに特定することはできないんですけれども、今行われている議論では、幾つかのメルクマールからこれを判断しようということで、例えば、今申し上げました経常収支の黒字がなくなるのはいつかという計算があります。
これは、日本の高齢化の影響によりまして日本の貯蓄率がどんどん下がっていきますので、やがては日本の経常収支の黒字は赤字に転ずるだろうというのがエコノミストの常識なんですけれども、いろいろな見方がありますけれども、二〇二〇年度前後には相当経常収支の黒字が赤字に転ずる日が近くなる、その辺がかなり危なくなってくるんじゃないかという意見が強い。
それからもう一つの見方は、家計の貯蓄が全部国債になってしまうという日がいつかということなんですけれども、これも、家計貯蓄を、ある前提を置いて、それで、このまま国債がふえていくという前提で考えますと、やはり二〇二〇年度前後に家計貯蓄を全部国債に充てないと間に合わないということになる。
もちろん、こういったメルクマールを過ぎると突然日本国債の信用がなくなるというわけではないんですけれども、ほかになかなかメルクマールになるものがないものですから、そういった計算をしている。
一方、日本の政府の今の計画では、二〇二〇年度にプライマリーバランスを黒字にするというのが目標になっております。したがって、二〇二〇年度前後に至るまでのいわば競争になっている。つまり、日本がみずからの力で財政再建に筋道をつけることができるのか、マーケットの信頼を失ってしまうのか、どちらが早いかという競争を今やっているということでございます。
三番目は、消費税の引き上げは今の段階ではもはや当然というふうに考えられますけれども、それでもまだ財政再建には不足であるということであります。
財政再建の基本はいろいろありますけれども、基本中の基本は、基礎的財政収支、プライマリーバランスをゼロまたは黒字にするということで、これは、我々、過去からの負債をたくさん負っているわけですけれども、それを処理しようとするときに我々自身が新しい借金をしてはいけない、それのメルクマールが、プライマリーバランスがゼロまたは黒字になるということですので、これをまず達成する必要があるということは当然のことだと思います。
ただ、今の計算では、仮に、消費税を予定どおり一〇%まで上げ、かつ名目成長率が三%というかなり理想的な経済成長が実現したとしても、なおかつ二〇二〇年度の基礎的財政収支は相当な赤字が残るということですので、今しきりに議論されております消費税を引き上げるということは第一歩にすぎない、引き続き真剣な対応が必要であるということなんですが、そのとき、どうしても歳出の見直しというのが欠かせないというふうに思います。
歳出の中では、これは小塩先生のお話にもありましたけれども、社会保障関係費の増分が非常に大きい。高齢化を踏まえて、これからもふえていくということを考えますと、この社会保障の見直し、合理化というのがどうしても必要だというふうに思います。社会保障について安定的な制度を築くということは、国民の将来に対する安心感を築くという点からも大変重要なことだというふうに思います。
しばしば、歳出の削減というふうに言いますと、無駄を省く、無駄を省いてから増税をお願いするべきだということがあるんですけれども、この無駄を省くという響きの中には、国民は迷惑をこうむらない、国民に痛みは及ばないというニュアンスがあるように思われます。これはしかし、その程度の無駄では恐らく財政再建には全く不十分。したがって、国民に痛みがある程度出るような歳出削減でないと、真の意味での財政再建はできないのではないかというふうに思います。
それから四番目は、これまでの参考人の方々の意見にも出ております、消費税の引き上げが景気にどういう影響を及ぼすかという点でございます。
私の判断は、これは当然、増税なんですから景気にマイナスである、これは否定できない。しかし、それが耐えがたいほどひどいマイナスの影響かというと、それほどでもないというのが私の判断でございます。
二ページ目に行っていただきまして、そういうふうに申し上げても、何らかの数値的な目安がないとなかなか理解が難しいということだと思いますので、二ページ目の真ん中に表を掲げております。これは、内閣府の研究所の計量モデルを使いまして、一%消費税を上げると経済にどういう影響が及ぶかということを計算した結果でございます。
これを見ていただきますと、実質GDP、成長率ですけれども、一年目で〇・一五%のマイナスという結果になっております。したがって、三%引き上げますと〇・四五%。先ほど五十嵐さんの方から〇・五%という数字がありましたが、ほぼ近い数字になります。
どうしてこういうことになるかというと、これは当然ながら、消費税を上げますと物価が上がる、しかし所得は上がらないということになりますので、実質的に我々が受け取っている所得が目減りする、それによって消費が減る。この計算でも、消費が一年目に〇・二一%減るということになりますので、簡単に言えば、消費が減ることによって成長率がダウンするということになります。これは避けがたいということだと思います。
それから、この表では下の段に民間消費デフレーターというのがありますが、これが大体消費者物価に相当するというふうに考えていただければいいと思いますが、これが、一%につき〇・七四%物価が上がるということになります。それから、下の段の右の方に、財政収支の名目GDP比が〇・四二%、これは改善するということです。
このように、消費税を上げると、景気にはマイナスの影響がある、物価が上がる、そのかわり財政収支は改善するという、いわば当たり前の結果が出るということなんですけれども、この程度のものだという感覚からしますと、ここに書いてあるようなことが言えるのではないか。
一つは、しばしば、消費税を引き上げると景気が相当悪くなる、例えば九七年の消費税の引き上げの後、あれだけ景気が悪くなったではないかということがありますが、この計算でいけば、あのときは二%引き上げたわけですから、〇・三%程度の影響だったはずだということになって、消費税の引き上げだけで九七年、九八年のような大不況になるということはあり得ないということが言えます。
それから二番目に、これも、消費税の引き上げで景気が悪くなって、かえって法人税とか所得税が減ってしまって税収が減っちゃうんじゃないかという指摘もあるということですが、これは、この計算からいっても、消費税を上げればそれなりに財政収支の改善効果はあるという結果が出ます。
それから三番目に、景気の局面によって消費税をいつ上げるかということを考慮すべきではないかという意見があります。
これは、もちろん、景気がいいときに上げた方が国民の負担はそれだけ軽くなる、景気が悪いときに消費税を上げますともっと悪くなってしまうということは事実なんですけれども、よく考えてみますと、景気がいいときに上げたからといって、国民の負担が減るわけではない。
つまり、簡単に言えば、ここで例えば〇・五%成長率が落ちるというのが国民の負担であるというふうに考えると、これは、景気がよくても〇・五%負担する、景気が悪くても〇・五%負担するということですので、景気のよしあしによって国民の負担が軽くなったり重くなったりするわけではないということが言えると思います。
それから最後に、第五のポイントですけれども、これは、財政再建とともに成長戦略の着実な推進で、サステーナブルな形で成長率を引き上げていくことが必要だということです。
日本の経済を見ますと、二〇一二年度は、復興需要もありますので比較的高い成長が実現するというのがほぼコンセンサスになっておりますが、これはいわば大規模なケインズ政策をやっているようなものですから、大規模な公共投資によって景気がよくなるということがことしは起きるということなんですが、これは明らかにいつまでも続かないということを考えておくべきだというふうに思います。こういった復興需要に支えられている間に次の成長の芽をできるだけつくっていくということがどうしても必要だというふうに思います。
このとき、しばしば、財政再建と経済成長というのが、経済成長をしっかりやってから財政再建をやるといったように、どちらが先かとか、どちらを優先すべきかといったような議論がありますが、私は、これは相反する目標なのではなくて、両方同時に追求すべきものだ。つまり、財政が赤字であっても黒字であっても、なるべく高い成長を実現するということは同じように必要なことだということですので、この二つはぜひ、財政再建だけに目をとられるのではなくて、同時に着実な成長戦略というのも実行していくということが必要だというふうに思います。
私の考えは以上でございます。どうもありがとうございました。拍手
中
中
勝
勝又恒一郎#11
○勝又委員 民主党の勝又恒一郎でございます。
きょうは、四人の参考人の皆様方、貴重な時間をお使いいただいて大変意義深いお話をいただきまして、ありがとうございます。
率直に、四名の先生方それぞれに、非常に、オーソドックスな経済理論、あるいは財政に対するお考え、社会保障に対するお考えをいただいたというふうに思っております。
私も若いころ、少しばかり学校で経済学を勉強しましたが、その当時のことも思い出しながら、当時の指導教官から、学問というのは俗説に惑わされてはいけない、まず俗説を疑って、しっかりと真実を追求することなんだというふうに教えられたことを今改めて思い出します。
そういう中で、財政をめぐる議論にもさまざまな俗説がありまして、いろいろな意味で、改革をとめよう、あるいはゆっくりやろうという、いろいろな議論が出てくるわけです。
財政の健全化についてさまざまな議論があるんですけれども、一般的に、こういう俗説がよく流布されているように思います。今の日本の国債というのは俗に言う内国債なんだから、これはいわゆる破綻にはつながっていかないんだ、こういう議論をされる方がおられます。きょうも、小峰先生でしょうか、お話がありました。日本は経常黒字国なんだから破綻はしないと。
こういうような議論が声高に出るときがあるんですけれども、こういう俗説について専門家としてどのようにお答えになるのか、まず、これについては五十嵐参考人にお伺いをしたいなというふうに思います。
この発言だけを見る →きょうは、四人の参考人の皆様方、貴重な時間をお使いいただいて大変意義深いお話をいただきまして、ありがとうございます。
率直に、四名の先生方それぞれに、非常に、オーソドックスな経済理論、あるいは財政に対するお考え、社会保障に対するお考えをいただいたというふうに思っております。
私も若いころ、少しばかり学校で経済学を勉強しましたが、その当時のことも思い出しながら、当時の指導教官から、学問というのは俗説に惑わされてはいけない、まず俗説を疑って、しっかりと真実を追求することなんだというふうに教えられたことを今改めて思い出します。
そういう中で、財政をめぐる議論にもさまざまな俗説がありまして、いろいろな意味で、改革をとめよう、あるいはゆっくりやろうという、いろいろな議論が出てくるわけです。
財政の健全化についてさまざまな議論があるんですけれども、一般的に、こういう俗説がよく流布されているように思います。今の日本の国債というのは俗に言う内国債なんだから、これはいわゆる破綻にはつながっていかないんだ、こういう議論をされる方がおられます。きょうも、小峰先生でしょうか、お話がありました。日本は経常黒字国なんだから破綻はしないと。
こういうような議論が声高に出るときがあるんですけれども、こういう俗説について専門家としてどのようにお答えになるのか、まず、これについては五十嵐参考人にお伺いをしたいなというふうに思います。
五
五十嵐敬喜#12
○五十嵐参考人 経常収支が黒字であるということはどういう意味かといいますと、国内に、国債に限らない、企業の債務もそうですけれども、全ての債務を国内で購入できるだけの、ファイナンスできるだけの金があるということでありまして、黒字であるということは、一〇〇%あるということですので、国債を一〇〇%、社債を一〇〇%、全部買うこともできるということであります。
そうなんですけれども、買うことができる金があるというだけで、買う義務があるわけではもちろんありませんので、買ったそばから値下がりすると思えば、それは誰も買いたくないということで、日本国債、値下がりするというふうに思われ始めたら、国内の人たちも買わなくなる。
九五%を日本人が今持っているから安心だという話もありますけれども、私に言わせますと、あれは、日本人しか買えない商品性だから日本人しか買っていないんだということであります。
海外の人が日本国債を買おうと思ったら、円でしか買えませんから、ドルをまず円にかえるわけですけれども、八十円というような相場でかえますと、一年持ったら〇・八%ぐらいしか利回りがないわけで、一年後に八十円が八十一円になったら一・二%円安なわけですから、もうそれで損するわけです。それで、そんなものを買えるかということでありまして、それでも五%を外国人が買っているのは、銀行が日本で商売しようと思うときに担保に積むとか、あるいは売ったり買ったりすればもうかるかもしれないと思う外国人が買っている程度でありまして、およそ買える代物ではない。
とすれば、日本人が買いたくないと思い始めたら、もう誰も買う人がいないということですから、内国債であるとか経常黒字であるとかいうことは一切何の保証にもならないというふうに思います。
この発言だけを見る →そうなんですけれども、買うことができる金があるというだけで、買う義務があるわけではもちろんありませんので、買ったそばから値下がりすると思えば、それは誰も買いたくないということで、日本国債、値下がりするというふうに思われ始めたら、国内の人たちも買わなくなる。
九五%を日本人が今持っているから安心だという話もありますけれども、私に言わせますと、あれは、日本人しか買えない商品性だから日本人しか買っていないんだということであります。
海外の人が日本国債を買おうと思ったら、円でしか買えませんから、ドルをまず円にかえるわけですけれども、八十円というような相場でかえますと、一年持ったら〇・八%ぐらいしか利回りがないわけで、一年後に八十円が八十一円になったら一・二%円安なわけですから、もうそれで損するわけです。それで、そんなものを買えるかということでありまして、それでも五%を外国人が買っているのは、銀行が日本で商売しようと思うときに担保に積むとか、あるいは売ったり買ったりすればもうかるかもしれないと思う外国人が買っている程度でありまして、およそ買える代物ではない。
とすれば、日本人が買いたくないと思い始めたら、もう誰も買う人がいないということですから、内国債であるとか経常黒字であるとかいうことは一切何の保証にもならないというふうに思います。
勝
勝又恒一郎#13
○勝又委員 時間が少ないので、端的に私も質問させていただきます。
今回のこの一体特の委員会の中で一つ重要な論点になっている部分に、きょうも何名かの先生がお触れになりましたが、消費税の持つ逆進性をどう考えるか、あるいは低所得者対策をどう考えるか、どのように対応していくかという議論が非常に明確な論点として出ております。
私も地域でいろいろな方々と話をする中で、国民の皆さんの中には、軽減税率、いわゆる複数税率をとってもらえるとうれしいな、食料品を軽くしてくれるとうれしいな、わかりやすいなというような声が私にも確かにたくさん入ってきます。
まず、この複数税率、軽減税率という対策について、社会保障と税の一体改革を考える上で賛成か、余り賛成できないか、四名の先生方に端的にそれぞれ伺いたいと思います。
この発言だけを見る →今回のこの一体特の委員会の中で一つ重要な論点になっている部分に、きょうも何名かの先生がお触れになりましたが、消費税の持つ逆進性をどう考えるか、あるいは低所得者対策をどう考えるか、どのように対応していくかという議論が非常に明確な論点として出ております。
私も地域でいろいろな方々と話をする中で、国民の皆さんの中には、軽減税率、いわゆる複数税率をとってもらえるとうれしいな、食料品を軽くしてくれるとうれしいな、わかりやすいなというような声が私にも確かにたくさん入ってきます。
まず、この複数税率、軽減税率という対策について、社会保障と税の一体改革を考える上で賛成か、余り賛成できないか、四名の先生方に端的にそれぞれ伺いたいと思います。
小
小塩隆士#14
○小塩参考人 ありがとうございます。
先ほど私の説明の中で申し上げましたけれども、私は明確に複数税率には反対であります。低所得者の方々に対する支援は、より直接的な方法で行うべきだというふうに思います。
以上です。
この発言だけを見る →先ほど私の説明の中で申し上げましたけれども、私は明確に複数税率には反対であります。低所得者の方々に対する支援は、より直接的な方法で行うべきだというふうに思います。
以上です。
五
村
村岡富美雄#16
○村岡参考人 私も同じような意見でありまして、まず、軽減税率、複数税率を設けることは、どの品目を対象にするかという線引きの問題もありますし、高所得者に対してもこの軽減税率の恩恵が及ぶというようなところの問題もある。したがって、今の段階では、五%から一〇%まで引き上げる段階では一本化が望ましい。それ以降、一〇%以上になったときに検討される問題ではないかなと認識をしてございます。
この発言だけを見る →小
小峰隆夫#17
○小峰参考人 私も複数税率には賛成できません。
いろいろな方がいろいろな理由を申し上げておりますが、恐らく、複数税率にして例えば食料品は軽減ということにすると、何が食料品で何が食料品でないかという線引きをめぐってかなり大きな議論になって、なるべく食料品にしようと課税逃れの工夫をする人が出てくるんですが、せっかく工夫するならもっと建設的な工夫をしてもらいたいというふうに思います。
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勝
勝又恒一郎#18
○勝又委員 それぞれにわかりやすいお話をいただきました。
今のお話で、小塩先生にちょっとお伺いをしたいんですが、先生が書いておられるある書き物を読んだときに、政府提案というのは給付つき税額控除だけれども、一方で複数税率を設定するという議論がありますねと、これは逆進性ということが非常に政治的な色彩を持って議論されているからではないかというような趣旨のことを書かれておられますけれども、その心をもう少しわかりやすくお話をいただけますか。
この発言だけを見る →今のお話で、小塩先生にちょっとお伺いをしたいんですが、先生が書いておられるある書き物を読んだときに、政府提案というのは給付つき税額控除だけれども、一方で複数税率を設定するという議論がありますねと、これは逆進性ということが非常に政治的な色彩を持って議論されているからではないかというような趣旨のことを書かれておられますけれども、その心をもう少しわかりやすくお話をいただけますか。
小
小塩隆士#19
○小塩参考人 これも先ほど御説明した点に関連するんですけれども、先ほどお配りした資料、参考図表の最後のページに、所得階層別に見た消費税、そのほかの税の負担の度合いを調べたものなんですけれども、これを見ていただいてもわかりますように、消費税の逆進性というのはそれほど大きなものじゃない、ほかの政策を組み合わせることによって十分対処できる問題ではないか、それ以上に、政策的にいろいろ議論されているというふうな印象を私は持っている、そういうことでございます。
この発言だけを見る →勝
勝又恒一郎#20
○勝又委員 きょうは、いろいろ、それぞれの皆様の御指摘で大変参考になるわけですが、今の小塩先生の話に私自身は大変興味があるんですけれども、逆進性についてはそれほどそこまで過敏に話さなくてもいいのではなかろうかという御指摘をされています。
そしてまた、先生が指摘されている中で、非常におもしろい御指摘で、高齢化時代の社会保障というのは、年金にせよ、介護保険にせよ、高齢者医療にせよ、若い人からお年寄りに向けて所得移転をしていくということが、自然にそれが膨らんでいってしまうんだ、そのことによって逆に若い人が疲弊をしていく、いわゆる社会保障の財政を支える若者たちがどんどんどんどん疲弊をしていって社会保障の財政が弱まってしまうんだ、そういう意味においては、この部分をある程度考えていかないとこれからの社会保障と財政の関係というのは難しいのではなかろうかというようなことをいろいろなところで先生は御指摘されております。
そしてまた、年齢的なものをメルクマールにするだけじゃなくて、これからは、本当に困っている人を豊かな人がある程度助けていくというような、素朴ないわゆる再分配の仕組みが必要じゃないかというようなことを先生は御指摘されておられます。
そういう意味において、そういう観点から、今回の一体改革の意義というものをどのようにお考えになっているか、お教えいただきたいと思います。
この発言だけを見る →そしてまた、先生が指摘されている中で、非常におもしろい御指摘で、高齢化時代の社会保障というのは、年金にせよ、介護保険にせよ、高齢者医療にせよ、若い人からお年寄りに向けて所得移転をしていくということが、自然にそれが膨らんでいってしまうんだ、そのことによって逆に若い人が疲弊をしていく、いわゆる社会保障の財政を支える若者たちがどんどんどんどん疲弊をしていって社会保障の財政が弱まってしまうんだ、そういう意味においては、この部分をある程度考えていかないとこれからの社会保障と財政の関係というのは難しいのではなかろうかというようなことをいろいろなところで先生は御指摘されております。
そしてまた、年齢的なものをメルクマールにするだけじゃなくて、これからは、本当に困っている人を豊かな人がある程度助けていくというような、素朴ないわゆる再分配の仕組みが必要じゃないかというようなことを先生は御指摘されておられます。
そういう意味において、そういう観点から、今回の一体改革の意義というものをどのようにお考えになっているか、お教えいただきたいと思います。
小
小塩隆士#21
○小塩参考人 先生、私の考えを的確にまとめていただきまして、恐縮でございます。
今回の改革を私の立場からどういうふうに考えるかということなんですけれども、これも先ほどちょっと御説明いたしましたけれども、私が理想としているような社会保障の見直しという点については、その議論をするための発射台をつくったという、そういう意味で重要だと思うんですね。今までは、そういう議論をすることもできなかった、財政の裏づけが十分整っていなかったという点があったんですけれども、それが改められたということだと思います。
ただ、それを超えてさらにどういうふうな社会保障のあり方を考えるのかという点につきましては、私は、これから議論をする必要があるというふうに思います。
以上です。
この発言だけを見る →今回の改革を私の立場からどういうふうに考えるかということなんですけれども、これも先ほどちょっと御説明いたしましたけれども、私が理想としているような社会保障の見直しという点については、その議論をするための発射台をつくったという、そういう意味で重要だと思うんですね。今までは、そういう議論をすることもできなかった、財政の裏づけが十分整っていなかったという点があったんですけれども、それが改められたということだと思います。
ただ、それを超えてさらにどういうふうな社会保障のあり方を考えるのかという点につきましては、私は、これから議論をする必要があるというふうに思います。
以上です。
勝
勝又恒一郎#22
○勝又委員 次に、小峰先生にお伺いをしたいんですけれども、これも、小峰先生の書き物をちょっと読んだときになるほどなと思った議論があったものですから、ぜひお心を伺いたいんです。
近年、世論調査というものが非常に多用されます。我々のところにも毎週のように世論調査が来て、そして、総理も含めて、そういうことには一喜一憂しないんだということを言っておられます。私も、そのとおりだと最近思っています。
先ほどの軽減税率の議論なんかも、いわゆるエモーショナル、感情的には国民の皆さんが複数税率、軽減税率を希望されるのはわかるんですけれども、本来の政策目的からいったらどうなのかというようなことをきちんと冷静に議論していく、そういうことが大事だと思うんです。
同じような意味ではないのかなと思うんですが、小峰先生が、あるところに、本来の政治主導というのは、民意をそのまま酌むのではなくて、むしろ民意のバイアス、偏りを修正して、長期的に政策を誤らせない、進路を誤らせないことが大事ではなかろうかというようなことを先生は指摘されている。いわゆる政治主導を間違ってはいけないというようなことを言っておられるんです。
そういう観点から、今の国会における社会保障と税の一体改革をどのように見ておられるか、感想をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →近年、世論調査というものが非常に多用されます。我々のところにも毎週のように世論調査が来て、そして、総理も含めて、そういうことには一喜一憂しないんだということを言っておられます。私も、そのとおりだと最近思っています。
先ほどの軽減税率の議論なんかも、いわゆるエモーショナル、感情的には国民の皆さんが複数税率、軽減税率を希望されるのはわかるんですけれども、本来の政策目的からいったらどうなのかというようなことをきちんと冷静に議論していく、そういうことが大事だと思うんです。
同じような意味ではないのかなと思うんですが、小峰先生が、あるところに、本来の政治主導というのは、民意をそのまま酌むのではなくて、むしろ民意のバイアス、偏りを修正して、長期的に政策を誤らせない、進路を誤らせないことが大事ではなかろうかというようなことを先生は指摘されている。いわゆる政治主導を間違ってはいけないというようなことを言っておられるんです。
そういう観点から、今の国会における社会保障と税の一体改革をどのように見ておられるか、感想をお伺いしたいと思います。
小
小峰隆夫#23
○小峰参考人 冒頭、委員長の方から率直に意見を言えということがありましたので、率直に意見を申し上げさせていただきます。
しばしば、世論調査の結果、民意の結果というのをいかに踏まえるかということが大変重要な観点として出てくるんですが、もし世論調査でいろいろな問題を決めていいというのであれば、実は、私のような専門家は要らないということになります。全部世論調査で決めればいいということです。
世論調査には、民意なら民意のバイアスがある。つまり、恐らく、短期的な、今どうなるか、または自分の周りがどうなるかということを中心に世論調査はできているんだろうというふうに思います。
しかし、短期的にマイナスを避けようとして、かえって長期的にマイナスが大きくなってしまうということは、よくある。また、自分自身のマイナスを避けようとして、回り回ってやはり自分自身がより大きなマイナスをこうむってしまうということもある。したがって、そのバイアスを避けるのが私は間接民主主義だというふうに考えております。
したがって、政治主導というのは、そういった民意の持つバイアスを避けて、政治家の方が、本当に国民のために長期的に何が望ましいかというのを考えていただいて、それが仮に現在の民意と違うということであれば、民意の方を説得していただきたいというふうに思います。
この発言だけを見る →しばしば、世論調査の結果、民意の結果というのをいかに踏まえるかということが大変重要な観点として出てくるんですが、もし世論調査でいろいろな問題を決めていいというのであれば、実は、私のような専門家は要らないということになります。全部世論調査で決めればいいということです。
世論調査には、民意なら民意のバイアスがある。つまり、恐らく、短期的な、今どうなるか、または自分の周りがどうなるかということを中心に世論調査はできているんだろうというふうに思います。
しかし、短期的にマイナスを避けようとして、かえって長期的にマイナスが大きくなってしまうということは、よくある。また、自分自身のマイナスを避けようとして、回り回ってやはり自分自身がより大きなマイナスをこうむってしまうということもある。したがって、そのバイアスを避けるのが私は間接民主主義だというふうに考えております。
したがって、政治主導というのは、そういった民意の持つバイアスを避けて、政治家の方が、本当に国民のために長期的に何が望ましいかというのを考えていただいて、それが仮に現在の民意と違うということであれば、民意の方を説得していただきたいというふうに思います。
勝
勝又恒一郎#24
○勝又委員 大変我々も、今、指針となるべきお話をいただいたように思います。
次に、給付つき税額控除について小塩先生にちょっと伺いたいと思います。
小塩先生は、給付面というのは確かに社会保障の再分配の役割を果たすけれども、今後、負担面でも、税と社会保障が連動して逆進性を改善していく、低所得者対策をしていくようなことが重要じゃないかというようなことを御指摘されておられます。
しかし、一方で、国民の皆さんからすると、まだ、この給付つき税額控除の意義とか中身とか、ちょっとわかりにくい部分もあります。
そういう意味において、この給付つき税額控除というものを、今回の一体改革の中で、先生は意義をどういうふうにお考えになっておられるか。あわせて、所得税の改革の今後のあり方も含めてお話をいただければありがたいです。
この発言だけを見る →次に、給付つき税額控除について小塩先生にちょっと伺いたいと思います。
小塩先生は、給付面というのは確かに社会保障の再分配の役割を果たすけれども、今後、負担面でも、税と社会保障が連動して逆進性を改善していく、低所得者対策をしていくようなことが重要じゃないかというようなことを御指摘されておられます。
しかし、一方で、国民の皆さんからすると、まだ、この給付つき税額控除の意義とか中身とか、ちょっとわかりにくい部分もあります。
そういう意味において、この給付つき税額控除というものを、今回の一体改革の中で、先生は意義をどういうふうにお考えになっておられるか。あわせて、所得税の改革の今後のあり方も含めてお話をいただければありがたいです。
小
小塩隆士#25
○小塩参考人 給付つき税額控除というのは、所得の低い層にターゲットを絞って、そういう人たちに直接支援の手を差し伸べるという点で、私は高く評価できると思います。
もう一つ、さらに踏み込んで申し上げますけれども、きょうはお話をしませんでしたが、逆進性という点で問題なのは、むしろ、消費税じゃなくて、社会保険料の負担なんですね。特に、定額で負担している部分というのは、所得の低い層にとって大変です。それから、保険料を払わないと後でそのメリットを受けられないというふうな大きな問題があります。
そういうのを考えますと、所得税のあり方とセットにして、所得の低い層には税額控除をするんだけれども、その税額控除した分で保険料を払ったというふうに解釈して、セーフティーネットにとどめて、それで社会保障のメリットを受けていただく、そういうふうな、税と、特に所得税ですね、所得税と社会保障をそれこそ一体にした改革というのが必要になると思います。
この点については、残念ながら今回の改革では踏み込まれていないというふうな印象を正直なところ持っています。
以上です。
この発言だけを見る →もう一つ、さらに踏み込んで申し上げますけれども、きょうはお話をしませんでしたが、逆進性という点で問題なのは、むしろ、消費税じゃなくて、社会保険料の負担なんですね。特に、定額で負担している部分というのは、所得の低い層にとって大変です。それから、保険料を払わないと後でそのメリットを受けられないというふうな大きな問題があります。
そういうのを考えますと、所得税のあり方とセットにして、所得の低い層には税額控除をするんだけれども、その税額控除した分で保険料を払ったというふうに解釈して、セーフティーネットにとどめて、それで社会保障のメリットを受けていただく、そういうふうな、税と、特に所得税ですね、所得税と社会保障をそれこそ一体にした改革というのが必要になると思います。
この点については、残念ながら今回の改革では踏み込まれていないというふうな印象を正直なところ持っています。
以上です。
勝
中
齋
齋藤健#28
○齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健です。
四人の参考人の皆さん、本当にきょうは貴重な御意見をありがとうございました。
時間も限られておりますので、本質的な質問だけ幾つかさせていただきたいと思います。
まず初めに、小塩参考人から、軽減税率よりも給付つき税額控除の方がいいと、これは低所得者対策としてというお話だと思いますが、このお話がありました。
確かに軽減税率にも、実行するに当たってなかなか難しい問題があるのは承知をしておりますが、一方、給付つき税額控除の方も、所得の捕捉の問題、それから資産の捕捉の問題等、大変難しい問題があるというふうに認識しております。
どのようにしたらこれが実行可能性のある制度になるのかという点について、先生の御意見を伺わせていただけたらと思います。
この発言だけを見る →四人の参考人の皆さん、本当にきょうは貴重な御意見をありがとうございました。
時間も限られておりますので、本質的な質問だけ幾つかさせていただきたいと思います。
まず初めに、小塩参考人から、軽減税率よりも給付つき税額控除の方がいいと、これは低所得者対策としてというお話だと思いますが、このお話がありました。
確かに軽減税率にも、実行するに当たってなかなか難しい問題があるのは承知をしておりますが、一方、給付つき税額控除の方も、所得の捕捉の問題、それから資産の捕捉の問題等、大変難しい問題があるというふうに認識しております。
どのようにしたらこれが実行可能性のある制度になるのかという点について、先生の御意見を伺わせていただけたらと思います。
小
小塩隆士#29
○小塩参考人 御質問ありがとうございます。
給付つきの税額控除については、理想論としては非常にいい面があるんですけれども、実際上どういうふうに実行に移すのかという面があります。
そこで一番問題になるのは、やはり所得の捕捉という面であります。
これにつきましては、私は、社会的なインフラが必要ではないかというふうに思います。別に、箱物をつくるというわけじゃなくて、人々の所得をできるだけ簡素な形で把握することができるような仕組みというのが必要になると思います。
これは、今までいろいろ議論されておりました納税者番号制度、あるいは社会保障番号制度というようなものもありますけれども、最近ではマイナンバーというんでしたっけ、そういうふうに、税の、あるいは社会保障の負担を把握する場合に、所得をできるだけ透明な形で、役所も個人が納得する形で把握するというふうな仕組みを整備する必要があると思います。これは消費税を引き上げる場合でも必要ですし、そうでない場合でも必要だというふうに思っております。
この発言だけを見る →給付つきの税額控除については、理想論としては非常にいい面があるんですけれども、実際上どういうふうに実行に移すのかという面があります。
そこで一番問題になるのは、やはり所得の捕捉という面であります。
これにつきましては、私は、社会的なインフラが必要ではないかというふうに思います。別に、箱物をつくるというわけじゃなくて、人々の所得をできるだけ簡素な形で把握することができるような仕組みというのが必要になると思います。
これは、今までいろいろ議論されておりました納税者番号制度、あるいは社会保障番号制度というようなものもありますけれども、最近ではマイナンバーというんでしたっけ、そういうふうに、税の、あるいは社会保障の負担を把握する場合に、所得をできるだけ透明な形で、役所も個人が納得する形で把握するというふうな仕組みを整備する必要があると思います。これは消費税を引き上げる場合でも必要ですし、そうでない場合でも必要だというふうに思っております。