法務委員会

2017-03-21 衆議院 全238発言

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会議録情報#0
平成二十九年三月二十一日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 鈴木 淳司君
   理事 今野 智博君 理事 土屋 正忠君
   理事 平口  洋君 理事 古川 禎久君
   理事 宮崎 政久君 理事 井出 庸生君
   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君
      赤澤 亮正君    安藤  裕君
      井野 俊郎君    奥野 信亮君
      門  博文君    菅家 一郎君
      城内  実君    鈴木 貴子君
      辻  清人君    野中  厚君
      藤原  崇君    古田 圭一君
      宮川 典子君    宮路 拓馬君
      山田 賢司君    吉野 正芳君
      若狭  勝君    枝野 幸男君
      階   猛君    山尾志桜里君
      大口 善徳君    吉田 宣弘君
      畑野 君枝君    藤野 保史君
      松浪 健太君    上西小百合君
    …………………………………
   法務大臣         金田 勝年君
   法務副大臣        盛山 正仁君
   法務大臣政務官      井野 俊郎君
   外務大臣政務官      武井 俊輔君
   最高裁判所事務総局総務局長            中村  愼君
   最高裁判所事務総局人事局長            堀田 眞哉君
   最高裁判所事務総局家庭局長            村田 斉志君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 高木 勇人君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制部長)          小山 太士君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    小川 秀樹君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    林  眞琴君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君
   法務委員会専門員     齋藤 育子君
    —————————————
三月十七日
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)
 裁判所法の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件
     ————◇—————
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鈴木淳司#1
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官高木勇人君、法務省民事局長小川秀樹君、法務省刑事局長林眞琴君及び外務省大臣官房審議官水嶋光一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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鈴木淳司#2
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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鈴木淳司#3
○鈴木委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局家庭局長村田斉志君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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鈴木淳司#4
○鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
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鈴木淳司#5
○鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若狭勝君。
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若狭勝#6
○若狭委員 皆さん、おはようございます。自民党の若狭でございます。
 本日は、民法の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと存じます。
 私は法律家であり、三十五年間ぐらい法律家をやっていて、民法も極めて、これまで法務省の職員に民法を教えたりしていた立場ですから、非常に思い入れが強いわけでございます。
 まず最初に、民法というのは、やはり国民にとっては極めて生活に直結する、あるいは経済にも直結する基本法ですから、この国会において必ず成立させる、しかも、そのためには衆議院をなるべく早く通過させる、そのためには法務委員会において一日も早く採決をするということが必要だとかねがね思っております。
 もともと民法というのは、いろいろな問題点は確かに検討しなければいけないんですが、法制審議会においてこれだけ審議され、そして、一つのルールですから、早いところ、これをしっかりと国民に示す。周知期間を含めて、国民に直結する利害関係のある点も多いので、一日も早くというのがやはり国会議員としてあるべき姿だと思っております。
 しかも、法律家の立場から申し上げますと、改正がされるかどうか、いつされるかというのは、今の法律関係あるいは契約書をつくる際に極めて不安定な状態にある。つまり、数年後の裁判になったときに、どちらの法律が適用されるのかとかいうようなことも不透明になるわけですから、こうした期間が、非常に実務家あるいは民法に極めて関係している人にとってみると冷や冷やものであります。一刻も早くこの改正案をスタンスを決めて通すこと、それが国民の負託に応えることだと思っているということをまず申し上げさせていただきたいと存じます。
 そして、本日は、大きく分けて二点について法務省の方にお聞きしたいと思います。
 一点は、我が国において認知症は極めてこれからも多くなる、その認知症の人たちに対してこの改正案というのが、どういう形できちんと保護されているか、担保されているか、そういう点。
 特に、私の経験でいいますと、いわゆる制限行為能力者として家庭裁判所で指定された者はいいというか、それは保護されるんですが、実は、隠れ認知症というのが数多くいらっしゃいまして、そういう人たちをターゲットにする、そういうやからも多いわけです。ですから、必ずしも家庭裁判所の審判において制限行為能力者に指定されていない、そういう人たち、いわゆる隠れ認知症の人たちに対しても、やはり何らかの法的な観点から考えていかなければいけないのではないかとかねがね思っております。
 その意味も込めまして、本日は、まず、そうした認知症などの保護、それからもう一点は、いわゆるテロリスト等の反社会的集団の構成員ないし準構成員との契約関係、これが今後の改正案においてどのような効果があり、あるいはその限界がどこにあるのかという点についてお聞きしていきたいと思います。この二点でございます。
 まず最初に、認知症ないし隠れ認知症の人の保護という点において、今回の改正案はどういったところがこうした人たちに対する保護につながっているのか、それについてお聞きしていきたいと思います。民事局長にお答えいただければと思います。
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小川秀樹#7
○小川政府参考人 お答えいたします。
 我が国において急速に進展する高齢化社会に対応していくことはもちろん非常に重要なことでありまして、今回の民法改正においても、これに対応する観点から、さまざまな改正を行っております。
 まず一点目は、意思能力の点でございます。現行法のもとでは、意思能力を失った者がした法律行為は無効となるという意思能力の制度、これは判例、学説上異論なく認められておりまして、判断能力の低下した高齢者などを保護する役割を果たしておりますが、この点に関し、民法に明文の規定はございません。
 そこで、今回の改正においては、意思能力を有しない者がした法律行為は無効であるということを明文化することとしております。また、これとあわせまして、意思表示の相手方が意思能力を有しない場合の、意思表示のいわゆる受領能力に関しまして規定を整備することとしております。
 それから、二点目は、これは制限行為能力者に関するものではございますが、御説明させていただきますと、高齢等のため判断能力の低下した制限行為能力者が同様に判断能力の低下した制限行為能力者の法定代理人である、こういう場合におきまして、現行法は、この法定代理人が本人にかわってした行為についても、行為能力の制限を理由に取り消すことができないということとしておりますが、これでは、本人である制限行為能力者の保護が十分になされないおそれがございます。
 そこで、今回の改正では、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、例外的に行為能力の制限による取り消しを可能とすることとしております。
 それから、三点目、これは一般的な御説明になろうかと思いますが、判断能力の低下した高齢者などが目的物の性能などを誤解するなどして不当に不利益をこうむること、こういった点を防ぐ観点からは、いわゆる錯誤に関する規定をわかりやすく整備することも有益であると考えられるわけでございます。
 そこで、今回の改正においては、いわゆる動機の錯誤を理由に意思表示の効力を否定する判例の考え方、これを明文化するなど、必要な規定の整備を行っているところでございます。
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若狭勝#8
○若狭委員 そのように、いろいろな観点で、高齢者ないしそうした制限行為能力者等の保護をしているということはわかりました。
 ここで一点、ちょっと確認の意味も込めて条文的なところをお聞きしたいと思います。先ほども民事局長の説明の中にございましたが、意思表示の受領能力者の、九十八条の二の規定でございます。
 ここは、要するに、相手方から意思表示された方がそうした意思能力のないときなどについての規定だと思うんですが、九十八条の二の今回の二号の「意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方」という条文について、私としてはちょっと確認的に、今後の解釈の点で確認したいんですが、この二号の「意思能力を回復し、」というのは、少なくとも、制限行為能力者と指定されている者に関しては多分ここには当てはまらないと思うんですね。
 ですから、条文的には、明確にするとしたら、恐らく「意思能力を回復し、」というところの後に、括弧書きか何かで、ただし、制限行為能力者である人を除くとか、そういう形で、やはり括弧書きか何かをしていると明確にはなると思うんですが、その辺の条文的なところとしては、これは今の私のような理解でいいのかどうかということを確認させていただきたいと思います。
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小川秀樹#9
○小川政府参考人 お答えいたします。
 少し九十八条の二の御説明もさせていただきたいと思いますが、改正法案第九十八条の二、本文では、意思表示の意味を理解する能力を失っているということに着目して、意思表示の相手方が意思能力を有しないことと未成年者または成年被後見人であることを、その相手方に対して意思表示を対抗することができなくなる事由、いわゆる受領能力の問題として定めております。
 その上で、九十八条の二のただし書きでは、相手方に生じていたこれらの事由が解消された場合において、相手方がその意思表示を知った後等については、既に相手方が意思表示を理解する能力を回復していると言えること、このことに着目し、その相手方に意思表示を対抗することができることとしております。
 そこで、御指摘いただきました点でございますが、例えば意思表示の相手方が成年被後見人であり、かつ意思能力を有していなかった場合において、その者が意思能力を回復したとしても、なお成年被後見人である限りは、その者には意思表示を対抗することができないというふうに考えるべきだと理解しております。
 このように解することが成年被後見人保護という観点から適切であると考えておりまして、御指摘いただきましたように、さらに非常に詳細に書こうとすれば、先ほどのような括弧書きで指定するとか、あるいは、意思能力を欠き、かつ制限行為能力者である場合についての規定を設けるなり、非常に細かくすることは可能だと思うんですが、いわば、趣旨から見まして、これは私が申し上げましたように解するのが当然であるということで、こういう規定となっております。
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若狭勝#10
○若狭委員 私も法律家ですから、今の局長のお話はそのとおりだと思うので、法律家が解釈すれば多分そういう話になると思うんですが、一般の人が読むとちょっとわかりづらいところがあるので、念のためということで、今後成立したときに、そうした一般の人が読んだときにわかりづらい場合をあらかじめ想定して、一応確認ということで質問させていただいた次第でございます。
 そして次に、九十五条の錯誤の規定でございます。
 今回の改正案においては、一層、いわゆる動機の錯誤などについても明文的に規定を置いたということですが、この錯誤の規定によって、先ほど私がお聞きしました、いわゆる認知症あるいはその予備軍あるいは隠れ認知症の人に対して保護が十分かどうか、そういった点についてお聞きしたいんです。
 恐らく、認知症の予備軍ないし隠れ認知症の人というのは、多分この錯誤の点というのが一番関係する条文だと思うんですね。その意味において、そうした人たちに対して改めて錯誤規定を整備したわけですが、これがそうした人たちに対する保護として十分かどうか、それについてお聞きしたいんです。
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小川秀樹#11
○小川政府参考人 お答えいたします。
 現行法は、表示の錯誤と動機の錯誤と区別して規定しておりませんが、改正法案では、表示の錯誤と動機の錯誤、つまり、意思表示の内容の前になります動機の部分で誤った認識をして当該意思表示をしてしまったというような動機の錯誤との区別を規定しておりまして、動機とした事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていなければ、動機の錯誤による意思表示の効力を否定することはできないということとしております。
 また、現行法は、法律行為の要素に錯誤があることを錯誤による意思表示の効力を否定するための要件としておりますが、改正法案におきましては、それにかえて、錯誤に基づき意思表示がされていたことと、錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らし重要なものであることをその要件とすることとしております。
 これらは、基本的には現在の判例を明確化するものでございまして、ルールの明確化という観点から、高齢者の方に対する保護にも十分資するものというふうに考えております。
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若狭勝#12
○若狭委員 今の現行法においては、いわゆる錯誤の場合は無効という規定になっておりますが、今度の改正案においてはいわゆる取り消しということになるわけですが、先々裁判になったりなんかした場合には、無効であろうと取り消しであろうと同じような効果だと私も思います。ただ、裁判に至る前の段階で、少なくとも無効ということだと、契約が成立していないわけですから、非常に効果的な面があると思うんですね。
 その意味においては、やはり、認知症や何かの人が法律行為を結んだとしても、それはそもそも無効なんだという場合と、いや、一応契約は成立していて取り消しをするんだというのだと、若干ニュアンスというかグレードというか、段階において違いがあるのではないかと思うんですが、その辺の、今回の改正案においては、取り消しというようなことをすることによって、高齢者保護あるいはそうした認知症などの人に対する保護としては十分だ、大丈夫だというふうには言えるところでしょうか。
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小川秀樹#13
○小川政府参考人 今御指摘いただきました点でございますが、現行法の九十五条によります無効の主張につきましても、いわゆる民法の理解では、誰もが主張できる、あるいは無効を主張することができる期間に制限はないということになるわけですが、錯誤による意思表示の効力を否定するのは、表意者を保護するため、意思表示をした者を保護するためでありまして、相手方や第三者が無効を主張することを認める必要は、要するに、先方の方から意思表示の無効を主張する必要はございませんので、その意味では、実質上、取り消しと同様と考えることに大きな問題点はないというふうに考えております。
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若狭勝#14
○若狭委員 私も法律家としては今の説明は理解できるところでございますが、一般的な面からいくと、一般の人からすると、やはり無効と取り消しとは違うんじゃないかというように思いがちだと思います。
 その意味では、民法の改正案は、これはこれでよろしいんだと思うんですが、認知症ないしその予備軍、隠れ認知症の人の保護としては、この民法にだけ頼るわけではなく、やはり、そうした周りの人間等々も含めて、その辺の対応、対処というのが当然必要になってくる。それをセットにした上で、今回の改正案というのも十分にそうした認知症などの人の保護としては成り立っていける、十分だというような解釈でいくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
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小川秀樹#15
○小川政府参考人 もちろん、民法はいわば一般法でございますので、それに加えて、消費者保護の観点から、例えば消費者契約法などで、一定の意思表示についての、いわゆる瑕疵のあるような意思表示についての対応などがございますので、それとセットということだと思います。
 加えて、私ども法務省といたしましても、成立後は、先ほどの、御指摘いただきました意思表示の受領能力の点なども含めまして、周知徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。
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若狭勝#16
○若狭委員 それでは、続きまして、いわゆるテロリストなどの反社の人との契約関係についてお聞きしたいと思います。
 我が国においては、今後、いわゆる民泊がどんどんと普及というか盛んになっていくところだと思いますし、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、そうした民泊というのも極めて供給源として大事になってくると思います。
 その際に、いわゆるテロリストがそうした民泊などを利用する場合というのもあると思うんですが、その民泊の際の契約関係というのはどういう契約になるのでしょうか。
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小川秀樹#17
○小川政府参考人 お答えいたします。
 いわゆる民泊制度、私ども、必ずしも十分承知しているわけではございませんが、基本的には、宿泊の申し込みに対してその施設を持つ者が宿泊させるという、いわゆる宿泊の契約だというふうに理解しております。
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若狭勝#18
○若狭委員 そうしますと、いわゆる法律行為、特に契約ということで、意思の合致、契約に向けての気持ちが双方一致するということが必要だと思うんです。その際に、いわゆる民泊を提供している一般の人がテロリストに宿泊契約を結んでしまったという場合の事後処理なんですけれども、そうした場合というのは、気がついたらこの人怪しい、テロリストかもしれないというようなことを思った場合には、契約関係というのはどういうふうになるのでしょうか。
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小川秀樹#19
○小川政府参考人 お答えいたします。
 基本的には契約は拘束力があるわけでございますが、先ほど来お話がございましたように、錯誤があるような場合、つまり、意思表示に一定の瑕疵があるような場合には効力を否定する、今回の改正法案で申しますと取り消しということになりますが、錯誤の主張をすることは十分考えられようかと思います。
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若狭勝#20
○若狭委員 錯誤の規定でいわゆる取り消しということになるというお話ですが、実際は、それはいわゆる、今度の改正案における動機の錯誤的なところにひっかかってくるのでしょうか。
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小川秀樹#21
○小川政府参考人 これはさまざまとしか言いようがないところでございます。
 例えば、現行法のもとで、相手方が反社会的勢力であることを知らずに契約をした当事者が、後に相手方が反社会的勢力に該当するということを知って、錯誤により契約が無効であると主張して争った複数の裁判例が下級審レベルでございます。
 錯誤による無効を認めた裁判例としては、契約中に反社会的勢力による利用を拒絶する旨の規定が設けられていたことや、あるいは、その業界が作成しているモデル約款の中にもそういった内容の規定が設けられていたために予測可能性があったことなどを根拠としているもの、あるいは、契約当事者が反社会的勢力と一切関係を持たないことについての取締役会決議をしていたことや、同じ業種の他の企業がその相手方との取引を拒絶していたという事実があったこと、こういったことを根拠としたものがございます。
 他方で、認めなかった例、錯誤を認めなかったものとしましては、契約締結時に相手方が反社会的勢力でないことの調査を行っていなかったことや、その契約において暴力団関係者を相手方とする契約を解除することができる旨の契約条項が設けられていなかったことなどを根拠としているものがございます。
 こういった裁判例の傾向を総合いたしますと、事前に相手方が反社会的勢力であるか否かを確認する取引慣行があったか、その契約中に反社会的勢力との取引を拒絶しまたは契約を解除することができる旨の条項が設けられていたか、そのような条項が業界が作成する約款中に設けられていたかといった点を踏まえて錯誤と判断するかどうかを決めているものというふうに考えております。
 それに応じまして、契約の内容、いわゆる要素の錯誤になるのか、あるいはその前段階としての動機の錯誤になるのか、これは個別の事案によろうというふうに考えられるところでございます。
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若狭勝#22
○若狭委員 個々具体的になるとはいうものの、やはり、ここにおいても無効と取り消しというのは、その民泊提供者、一般の人の感覚からすると、錯誤だから無効だというふうに言えるのか、一応契約は成立していたけれども取り消しなんだというようなことにするのかというのは、やはり一般の人の受けとめ方としては若干グレードの違いがあるのではないかというふうに思うんです。
 それはさておいても、今後、今のお話のように、やはり反社の人との契約が無効になるかどうか、取り消しができるかどうかというのは、契約の中身においてどのような約款とかそういうものができていたか、要するに、法律以外のところでどういう仕組みができているかというのが大事だと思うんですね。
 その意味では、やはり、この法律ができたとしても、民泊の問題を今後考える際には、そうしたものをきちんとあらかじめ盛り込んだ契約条件みたいなものをきちんとつくっておくということが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
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小川秀樹#23
○小川政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げました裁判例におきましても、それまでの対応として、例えば、モデル約款がどうなっていたか、あるいは調査の体制が整っていたかどうかといった点なども十分考慮要素とされておりますので、そういった点からも、業界側の方できちんとした対応をされるということ、これは、法律関係を明確にし、あるいは紛争を予防するという観点からも非常に重要な点ではないかというふうに考えております。
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若狭勝#24
○若狭委員 私の方はこれで終わります。
 ありがとうございました。
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鈴木淳司#25
○鈴木委員長 次に、吉田宣弘君。
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吉田宣弘#26
○吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。
 本日も、法務委員会においてこのように質問の機会を賜りましたこと、委員長また理事の先輩の皆様、委員各位に心から感謝を申し上げる次第でございます。
 私も、若狭先生に引き続き、民法について少し質問をさせていただきたいと思います。
 私は、本日、民法の債権の各論の中で、売買及び贈与について質問をさせていただきます。
 まず、売買について質問させていただきますけれども、現行民法の五百七十条、特定物売買における売り主の担保責任というふうな規定がございます。この担保責任の法的性質、これは従来、法定責任説と契約責任説が鋭く対立をしてきた条文であるというふうに承知をしております。
 法定責任説というのはどのような考え方かと私なりに理解を申し上げれば、いわゆる特定物売買なので、ある物を売り渡してしまえばそれで責任が済むということであって、それ以上の責任は負いませんよということについて、後の質問にも関連をしますけれども、その特定物の中に何か見えない不良部分があったりしたときには、その部分についてはしっかり責任を負ってくださいという、いわゆる法律が特別に責任を課したというふうな考え方というふうに承知をしております。
 一方で、契約責任説というのはそうではなくて、不特定物売買、これも後の質問にも関連しますけれども、例えば、これを売り渡して、渡してしまえばおしまいということではなくて、おかしなところがあったらまた別のものでも持ってこいというふうなところまで責任として負い得るような、そういった考え方を言っておったわけです。
 条文上、この二つの考え方について必ずしも明らかでなかったということからすれば、国民の立場からすれば非常にわかりづらい法律の規定の仕方であったのかなというふうに思います。
 今般の改正でこの論点が解消されたのかについて、確認をさせていただきたいと思います。
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小川秀樹#27
○小川政府参考人 お答えいたします。
 売買の目的物にふぐあいがあった場合に買い主にどのような救済手段があると解すべきか、この点に関しまして、現行法は、今御指摘いただきましたように、五百七十条において、売買の目的物に隠れた瑕疵があったときに、買い主は損害賠償請求と契約の解除をすることができるとしております。
 その内容について、学説上は、今御紹介いただきましたような法定責任説と契約責任説、これもさまざま内容がございますが、例えば法定責任説の内容としましては、よく紹介されますのは、特定物売買については、瑕疵のないものを給付することは不可能であるということを前提に、売り主は瑕疵の有無にかかわらず目的物を現状のまま引き渡す債務を負うんだ、これを根本とする考え方、これが法定責任説でございます。
 それから、特定物であるか不特定物売買であるかを問わず、売り主は契約の内容に適合したものを引き渡す債務を負うとする、これが契約責任説でございまして、この二つの説が激しく対立しておりまして、判例の立場も明瞭ではございません。
 そこで、このような状況を改めまして、明快で合理的なルールとする必要があると考えられるわけでございます。
 現代社会においては、売買の目的物は大量生産され、ふぐあいがあった場合には部品の交換や代替物の給付など履行の追完が可能であるものが多く、実際の取引においてもそのような対応が一般化しております。また、問題となった取引が特定物売買であるか不特定物売買であるかの判別は必ずしも容易ではございませんで、法定責任説のように両者を截然と区別してその取り扱いを大きく変えるということも、取引の実態に合致していないという指摘もございます。
 そこで、売り主は、特定物売買と不特定物売買とを区別することなく、一般に、種類、品質及び数量に関して売買契約の内容に適合した目的物を引き渡す債務を負うことを前提として、引き渡された目的物が契約の内容に適合しない場合には債務は履行されていないという整理をして、買い主は売り主に対して契約の内容に適合させるように求めることができることなど、救済手段を具体的に明文化するのが合理的であると考えられます。この考え方は、現在の学説でいえば契約責任説に相当するものと考えられます。
 この考え方に基づきまして、今回の改正では規定を整備し、修補や代替物の請求あるいは代金減額請求、四百十五条の規定による損害賠償請求、五百四十一条、五百四十二条の規定による契約の解除をすることを認めるなどという手当てをしております。
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吉田宣弘#28
○吉田(宣)委員 今局長から総論的なお話がございまして、今後の質問にもかかわりますけれども、確認の意味で一つ一つ論点を潰させていただきたいと思います。
 現行の五百七十条、これは先ほど局長からもお話がありましたとおり、隠れたる瑕疵というものに限定をしていたということでございます。ただ、どんな場合に隠れたる瑕疵があるというふうに言い得るのか、国民の立場からすれば、いま一つよくわからないし、わかりづらかったというふうな印象を私は持っております。
 この点、今般の改正でどのように改善をされたかについて、法務省からお聞きしたいと思います。
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小川秀樹#29
○小川政府参考人 従来から、瑕疵という言葉、これは非常にわかりにくいという御指摘もございました。
 客観的に多少の傷などがあっても、契約の内容に適合する限り瑕疵はないと扱われているなどの点から見ましても、かえって誤解を招くおそれがあるという点もございました。また、隠れたという要件も、判例は、買い主が瑕疵について善意無過失であるということを意味するものとしておりますが、この点も理解が難しい点がございます。
 そこで、改正法案では、「隠れた瑕疵」という要件を端的にその具体的な意味内容をあらわすものに改める、こういう趣旨で、「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しない」、こういう要件と改めておりまして、これによりまして理解は容易になったものというふうに考えております。
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