外務委員会

1954-04-27 衆議院 全103発言

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会議録情報#0
昭和二十九年四月二十七日(火曜日)
    午前十時四十七分開議
 出席委員
   委員長 上塚  司君
   理事 今村 忠助君 理事 富田 健治君
   理事 福田 篤泰君 理事 野田 卯一君
   理事 並木 芳雄君 理事 穗積 七郎君
   理事 松平 忠久君
      北 れい吉君    佐々木盛雄君
      宮原幸三郎君    喜多壯一郎君
      須磨彌吉郎君    上林與市郎君
      福田 昌子君    細迫 兼光君
      河野  密君    西尾 末廣君
 出席国務大臣
        国務大臣    木村篤太郎君
 出席政府委員
        保安政務次官  前田 正男君
        保安庁次長   檜原 恵吉君
        保安庁長官官房
        長       上村健太郎君
        外務事務官
        (国際協力局
        長)      伊関佑二郎君
        特許庁長官   石原 武夫君
 委員外の出席者
        保安庁課長
        (保安局調査課
         長)     綱井 輝夫君
        検事
        (刑事局公安課
        長)      桃澤 全司君
        外務事務官
        (条約局第一課
        長)      高橋  覺君
        専  門  員 佐藤 敏人君
        専  門  員 村瀬 忠夫君
    —————————————
四月二十七日
 委員戸叶里子君辞任につき、その補欠として松
 平忠久君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 理事戸叶里子君の補欠として松平忠久君が理事
 に当選した。
    —————————————
本日の会議に付した事件
 理事の互選
 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案(
 内閣提出第二四号)
 日本国における国際連合の軍隊の地位に関する
 協定の締結について承認を求めるの件(条約第
 二八号)
 日本国における合衆国軍隊及び国際連合の軍隊
 の共同の作為又は不作為から生ずる請求権に関
 する議定書の締結について承認を求めるの件(
 条約第一七号)
 万国農事協会に関する条約の失効に関する議定
 番への加入について承認を求めるの件(条約第
 一三号)
 けしの栽培並びにあへんの生産、国際取引、卸
 取引及び使用の制限及び取締に関する議定書の
 批准について承認を求めるの件(条約第一四
 号)
 第一次世界大戦の影響を受けた工業所有権の保
 護に関する日本国とスウェーデンとの間の協定
 の締結について承認を求めるの件(条約第二〇
 号)
    —————————————
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上塚司#1
○上塚委員長 これより会議を開きます。
 日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保議法案を議題といたします。質疑を許します。河野密君。
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河野密#2
○河野(密)委員 この秘密保護法につきまして少し基本的な問題をお尋ねしたいと思います。第一番に、先般衆議院を通過いたしました日米相互防衛援助協定の第一条の一のとこるに書いてありますこと、それから第三条の一に書いてありますこと、それから附属書のBに誓いてあるところと秘密保護法との関係について、お尋ねをしたいと思います。
 この防衛協定の第一条の一に若いてありますところによりますと、「装備、資材、役務その他の援助を、両職名政府の間で行うべき細目取極に従つて、使用に供するもの」、こういうことになつておるわけであります。そうすると、この防衛協定ができたからといつて、ただちにアメリカの方からいろいろなものが来るというわけではないのであつて、細目のとりきめに従つてそういう行政協定というものができ上つたなら、は、それに従つて向うから装備、資材、役務その他の援助が来ることになるのであります。そうすると、その細目の協定ができてから、しかる後にこの秘密を要するものがあるというならば、これを又取締るために秘密を保護するという法律をつくつてもおそくないと考えるのでありますが、これは防衛協定に従つて結ばるべき細目とりきめとこの秘密保護法との関係は、一体どうなるのであるか、これをまず第一にお尋ねしたい。
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檜原恵吉#3
○檜原政府委員 このいわゆるMSA協定に基きまして供与される装備、資材、役務等の援助は、今河野委員の仰せになりましたように、両署名政府の間で行うべき細目とりきめに従つて使用に供するものであります。但しそれは、しからばその細目とりきめができたあとで、秘密の保護をするということでいいのではないかというお尋ねでありましたが、これはそうはならないと思うのであります。大体どういうものをよこそうかという腹づもりをつくつて、両政府の間でとりきめを行り、この三条にしろ附属書Bにしろ、これは一体として協定をなしておるものでありまして、この協定全体の趣旨に鼠いて日本と米国の政府の間でとりきめを行うということになるわけでありまして、秘密保護の措置がとられておるという前提で供与すべきものを腹づもりし、とりきめをつくるということになるのであります。一体として三条及び附属書Bを読んでいただき、同時にそれに基くものとして秘密保護法を同時につくる、こういうふうに考えておるわけであります。
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河野密#4
○河野(密)委員 今の御説明を承りますと、ちよつと満足が行きかねるのでありますが、この協定の第一条の一に仕つて、とにかく細目の協定ができない限りにおいては、向うから何が来るべら、どういうものをよこすやら、そういうことは一向にわからないのであります。わからないにもかかわらず、まずこちらから秘密保護の法律をつくつておくということは、私は筋が通らぬと思います。この点は重ねてお尋ねします。
 そこで今度は第三条の一を見ますと「祕密の物件、役務又は情報についてその秘密の漏せつ又はその危険を防止するため、両政府の間で合意する祕密保持の措置を執るものとする。」こういうことになつておるのでございますが、この合意をなす秘密保持の措置とは一体どういうものを言うのか、これがとられなければ、この協定というものは、かりに批准をしたとしても、この国会の承認が得られたとしても、これはアメリカとしてはそういうふうに認めないのであるか、本協定を有効ならしめる条件に、この秘密保護法というものが必要になるのか、ここの点をひとつお尋ねしたいのであります。
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檜原恵吉#5
○檜原政府委員 第一条の関係は重ねての御質問でありますが、この協定に暴いて、たとえば艦船、艦艇等を貸与してくれるということは、大体の方向はきまつておると言つてもいいですが、何を何隻くれるということがはつきりしない、だけであります。そういうものの中には一部分、秘密を要するものというようなものがあるわけであります。そうしたものを供与しようという心持で、今細目とりきめの下相談をやつておるという段階でありまして、いわゆる秘密保護の規定というものは、どうしても同時に御審議をぜひ願いたいという趣旨であります。
 それから第三条についての御質問でありますが、外務大臣等からお答えいたしてあるのでありますが、この協定に基いて法律をつくる義務というものは、日本政府は負つておりません。しかしながら、この協定を実行に移す上において、日本政荷として秘密保護の措置を、とる適当な方法というものは、やはり法律をつくることがよろしいというふうに判断をしたしたわけでございます。その判断に基いて防衛秘密保護法を一提案をし御審議を願つておるのであります。この秘密保護法によりまして、第三条の措置がとれるというふうに日本政府としては解釈をいたしておるわけであります。
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河野密#6
○河野(密)委員 そこでもう一つお尋ねしたいのですが、附属書Bによりますと「第一条1に従つて執ることに同意する秘密保持の措置においては」云々と書いてありますが、この附属書に規定してあるところのものは、これは第三条の一に従つて日本政府の判断においてとられる秘密保護法、今われわれに審議を託されておる秘密保構法の上に、さらに日本政府としてこれだけの責任を負うという趣旨なのでありますか、それとも第三条の1の秘密保持の内容は、附属書のBに書いてある程度でよろしいという趣旨なのでありますか。秘密保護法の上になおかつ政府としては附属書に書いてあるより加重されたるこの責任を負担する、こういう趣旨なのですか。
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檜原恵吉#7
○檜原政府委員 御質問の趣旨がよくわかりかねたようなところもあつたのでありますが、この協定の三条に基いて、両政府の間で合意をして秘密保持の措置をとる、この条項を全うするために秘密保護法を制定し、これを施行するならばよろしいという判断を日本政府としてはいたしておるわけであります。それと附属書Bの関係がどうかということでありますが、附属書Bは秘密保持の措置についてアメリカ合衆国において定められおる秘密保護の等級と同等のものを確保する、これを日本政府は約束をするわけであります。その月六体的な手段は防衛秘密保護法における措置でよろしいというふうに解釈をいたしておるわけであります。
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河野密#8
○河野(密)委員 私の言う趣旨が少しく徹底を欠いたかと思いますが、この第三条の1によりますと、この「秘密保持の措置を執るものとする」——一般的な措置でありますから、これについては今お話のように日本政府の判断において、秘密保護法というものも当然入るというお考えのようでありますが、そうするとそのほかに秘密保護の等級と同等のものを確保するというので、これは秘密保護法の中に規定するわけになるのだ、そのほかにもう一つ日本国が受領する秘密の役務または情報については、日本政府の職員または委託された者以外にその秘密を漏らしてはならない、こういう責任を日本政府は二重に負う結果になるのですか。
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檜原恵吉#9
○檜原政府委員 この附属書Bの後段にありますのは、多少観点をかえた方向から見たものでありまして、日本国が受領する秘密の物件、役務または情報を日本国政府の関係ある職員または委託を受けた者以外のものに漏らす場合には、事前にアメリカ合衆国政府の同意を得なければならない。これは防衛秘密保証法の趣旨からは当然には出て来ないとも解釈できるものでありまして、これは条約上別の一つの制約とごらんを願つていいと思います。
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河野密#10
○河野(密)委員 私の聞きたいのは、「秘密保持の措置を執るものとする。」という協定の日本政府に対する制約の中には二つ含まれている。一つは秘密保護法に現われておるこの要件、もう一つは、日本政府としてはこういう秘密保護法に規定あるといなとにかかわらず、委託を受けた秘密を漏らしてはならない、こういう責任も負うのだ、こういう二つの責任がある。この秘密保護法が秘密保持の措置のすべてではないのだ、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
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檜原恵吉#11
○檜原政府委員 第三条に基く秘密漏洩の危険を防止する措置としては、秘密保護法という形のものでいいと日本政府は判断をいたしておるわけであります。その場合解釈のいたし方としては、秘密を他に漏らしてはならない——秘密を知りえる者は、業務上これに関与する者でありますから、そういう意味で趣旨としては、日本国政府の職員または委託を受けた者以外の者が秘密を知ることは、法律上当然にあつてはならないとも解釈はできると思います。しいて別のものと解釈をする必要はなろうかとも考えます。秘密保持の措置としては、秘密保護法では、秘密を漏らした者については罰則をもつてこれを措置する、手段が講じてあるわけであります。ただこの附属書Bの後段に書いてありますものは、そういうものもアメリカ合衆国政府の承諾を事前に得たならば、その秘密を漏らすことが合法的になり得るという点を書いておるにすぎない、こう考えます。
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河野密#12
○河野(密)委員 どうも私の質問してえる趣旨が徹底しないようですが、私の言うのはこういふうに御理解願えればいいと思うのです。秘密保護に関する規定、罰則その他は、今言う秘密保護法で尽きておるのかということが一つもし尽きておらないとすれば、たとえばここに今あなたが解釈されたような点で行けば、日本国政府がアメリカ政府に負つておる秘密保持の義務にある程度違反した問題が起つた、その当事者をこの秘密保護法によつて罰する場合と、今の行政処置によつてあるいは懲戒にするとかいう問題、そういう問題もこの後段によつて起り得る、こういうふうになるのか、これが私の質問してある趣旨であります。
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檜原恵吉#13
○檜原政府委員 少し御趣旨のわかりにくいところがあるのでありますが、この附属書Bにおいては、条約上の一つの義務として、日本政府がアメリカ合衆国政府の事前の同意を得ないでは、こうした秘密の物件、役務、情報について秘密を漏らさない。政府はアメリカ合衆国にそういう約束をしておるわけでありまして、これを反面からいいますと、アメリカ合衆国の事前の同点を得たならば、こういう秘密を漏らしてもよろしいという解釈になるわけであります。防御秘密保護法は、法律に書いてありますように、こうした獲備品等に関する秘密芸当な方法で探知するとか、あるいは業務上これを探知した者が漏らすとかいう者を処罰することによつて、秘密の保護をはかろうとしているというふうに御解釈を願つたらいいと思います。
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河野密#14
○河野(密)委員 もう少し先に進むとわのずから私の趣旨がわかると思いますから、先の方に進んでお尋ねしたいご思います。その次に私がお尋ねしたいのは、この秘密保護法案と、現在アメリカ軍の駐留に基いてできております刑事特別法との関係であります。刑事特別法の第六条には、「合衆国軍隊の機密」という文中が使つてあります。それからこの法案においては「防衛秘密」という文章が使つてあります。この合衆国軍隊の機密というのに括弧して、「合衆国軍隊についての別表に掲げる事項及びこれらの事項に係る文書、図画若しくは物件で、公になつていないものをいう。」こういうことが書いてあります。別表にはこまかいことが書いてありますが、この合衆国軍隊の「機密」というのと、今ここに私たちが審議を託されておりますこの秘密保護法案にある「防衛秘密」というのとは、範囲においてどの程度の違いがあるのか、これをひとつ具体的にお示しが願いたいと思うのであります。私の見るところによると、この合衆国軍隊の機密ということを書いてあるこの刑事特別法の文句を、そのまま持つて来て、これを秘密保護法にしておると思うのでありますが、その合衆国軍隊の機密というのと、それからここにいう防衛秘密との関係をひとつお尋ねしたいと思います。
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桃澤全司#15
○桃澤説明員 刑特の関係がございますので、私から御説明申し上げたいと存じます。いわゆる刑事特別法の第六条の規定の仕方は、ただいま申し述べられましたように、今回の秘密保護法案の立て方と大体同様でございます。刑事特別法の第六条に規定しております合衆国軍隊の機密は、この法律の別表に掲げております事項でございまして、この別表の規定するいわゆる合衆国軍隊の機密と、本法案の防衛秘密との関係について申し上げますと、別表中二号のハすなわち「艦船、航空機、兵器、弾薬その他の軍需品の構造又は性能」これが大体同様でございます。似ておりますのは一号のホに「部隊の使用する艦船、航空機、兵器、弾薬その他の軍需品の種類又は数量」とございますが、これがこの法案の「品目及び数量に一部分合致する点があるのでございます。すなわち本法案で規定しております防御秘密は、刑事特別法の第六条に規定しております合衆国軍隊の機密よりも非常に狭い範囲で規定されている点が大いに相違する点かと存じます。しかし実質的に防衛秘密と合衆国軍隊の機密と迷うかと申しますと、これは大体同一であるということになると存じます。刑事特別法の第六条に規定しております合衆国軍隊の機密は、日本の機密ではなくて、どこまでもアメリカの機密であるわけでございますが、同じような装備品等を日本が供与されました場合には、その供与された物件については、日本の防衛秘密として守れる、かような関係になるのでございます。従いましてそれが供与された秘密であるか、あるいは合衆国軍隊で持つている秘密であるかという点で、いずれの法律が適用されるかという区別が出て来るのでございますが、その本質は同様であろう、かように応じます。
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河野密#16
○河野(密)委員 私の考えていた通りなのであります。私も今お話のように別表の中の二のハだけが防衛秘密になるものである。こういうふうに一応は考えられるのであるが、しかしアメリカ軍が日本に駐留をし、アメリカの兵器その他の装備品が日本の保安隊に贈られるといたしますならば、かりにアメリカの方でジエット機ならジェット機というものを日本に渡す場合に、これをジェット機と言わずに、軍用暗号に従つてアルフアかなんとかいう言葉で使うというと、そのアルフアというものの内容は何だというようなことを現わしたもので、もしそれが日本のいわゆる秘密保議法に該当しなければ、アメリカの刑事特別法によつて処罰される。いずれにしても日本の防衛秘密、秘密保護法案に規定してあるところのものは、範囲がきわめて狭いように言われておるけれども、この一方で処判されないものが、ここの刑事特別法によつて処罰される。刑事特別法とこの秘密保羅法案とは表裏一体をなす関係において、きわめて広い範囲の——日本でいうならば、かりに秘密の武器が渡つたとしても、ここに書いてあるように、今度の秘密保護法案によれば構造とか性能とか、いわゆる装備品に関する点だけが取締られるように見えるのでありますが、アメリカの軍隊が同じものを使つておるという関係によつて、そのものが今度は日本の方で処罰されない場合であつても、これはアメリカの軍の秘密を処罰するという刑事特別法によつて処罰される、こういう場合が非常に多いと私は思うのであります。この意味において、秘密保護法案の範囲が非常に狭い、だから秘密保護法案はごく範囲の狭いものを取締るものだという政府の説明は、当らぬと私は思うのであります。その点いかがですか。
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桃澤全司#17
○桃澤説明員 非常に狭いと申し上げますのは、刑事特別法の別表に足めておりますところは、防衛の方針とか、部隊の隷属系統とか、部隊の任務とか、部隊の使用する軍事施設の位置とかその他たくさん規定があるのでございます。こういうものは本法案が成立しても何ら関係なく、刑事特別法だけが取扱つている問題なのでございます。それでただいま河野委員の仰せられましたいわゆる構造または性能の点でございますが、日本でアメリカから供与を受けました装備品等の構造、性能というものは、秘密保護法案の予定しているところでございます。もしも日本が供与されないでアメリカだけが使つているというものにつきましては、この法案の関係するところではございませんので、これは本来刑事特別法の取扱うところである、かような関係になりますので、本法案ができましても、それで刑事特別法が特別に動いて来る、こういう関係にはならないと存ずるのであります。
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河野密#18
○河野(密)委員 私の申し上るのは、かりに日本の今度の秘密保護法案では、あなたもおつしやり、私も最初に考えたように、二のハ、艦船、航空機、兵蹄、弾薬、その他の物品の構造または性能、こういうようなものを主として取締りの対象にするものであつて、きわめて範囲の狭いもののように解釈される、しかしそのものが日本に渡され、たまたま日本に駐留しておるアメリカ軍もまたこれを使つておる、ですから、そのものの秘密を漏らしたとかいうようにごとにばると、かりに日本の力においては構造また性能、製作、保管の技術、修理等に対する技術等の技術面、使用の方法とか、そういつたように点しか実際は取締りの対象にならないようであるけれども、それらのものを漏らすごとによつて、あるいはアメリカ合衆国の軍隊の機密に関係しておるところの軍用暗号だとか、あるいは軍の輸送計画とか、あるいは刑事特別法の別表の一の二に書いてあるような「部隊の使用する軍事施設の位置、構成、設備、性能又は強度」というようなものに、これは触れて来るということがあり得るのであつて、こちらの秘密保護法の方では処罰がされない問題であつても、今度は逆に刑事特別法の方でこれは処罰の対象になり得る、こういうことになる場合が非常に多かろうと思う。そうすると防衛秘密というものは表面上は非常に狭く解釈されるように考えておるが、実際においては現実に具体的に適用される場合になつて来ると、これはアメリカ合衆国軍隊の機密という広い範囲のものと実際の適用は同じになるのじやないか、こういうのが私のお尋ねしておる趣旨なのであります。合衆国軍隊の機密というものと防衛秘密というものとがほとんど合致してしまうではないか、そういう結果になるじやないか、こちらの法律で処罰されなければこちらで処判される、こちらの法律で処罰されなければこちらで処罰される、こという関係になるのじやないか、こう私は尋ねているのです。
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桃澤全司#19
○桃澤説明員 ただいまの別表に規定しておりますところは非常に広範囲でございまして、この規定もしかし前の軍機保護法等に比べますと、相当制約したというふうに聞いておるのでございますが、今回の秘密保護法案に比べますと、相当広範囲になつているのでございます。しかしながらこのことは、いわゆる刑事特別法の規定するところでその範囲がきまつておるのでございまして、そのことは今度の秘密保護法案の成否にかかわらず、これは客観的にきまつているところなのでございます。かりに秘密保護法案が成立いたしましたといたしましても、ただいま申し上げましたように、特にそれによつて範囲が広くなるという問題ではないのでございます。ただ私の申し上げましたのは、構造または性能という限度においては、その内容が同一なものもあり得るであろうというだけでございまして、もしもこの秘密保護法案が成立しなかつたという場合に、ただいま河野委員の御心配になりましたような別表に掲げる事項については少しもかわりなく、第六条の合衆国軍隊の機密として取締りの対象になる、かような関係になるのでございます。
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河野密#20
○河野(密)委員 それでは念のためにお尋ねしますが、刑事特別法が制定になりましてからこの刑事特別法に違反した事件というのはどの程度にありますか。
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桃澤全司#21
○桃澤説明員 正式に事件として立件いたしましたのは、私の聞いておりますところによりますと二件でございます。そのほかに内偵程度の事件が数件あつたと考えておりますが、前回の本委員会におきまして申し上げましたように、いずれも不起訴処分になつております。
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河野密#22
○河野(密)委員 そこでお尋ねしたいのですが、刑事特別法との関係において、防衛秘密を取扱う国の行政機関の長というのは、一体だれを指さすのでありますか。この防衛秘密であるものとないものとの関係は、今刑事特別法との関係において別表にこれだけのいろいろな事項があがつておりますが、そのどの部分とどの部分とが防衛秘密に属するか、この防衛秘密に属するものと属しないものとの範囲、限界がきわめて明確を欠くと思うのでありますが、この点はどういうふうに防衛秘密というものの限界を引くのでありますか。
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桃澤全司#23
○桃澤説明員 防衆秘密であるかどうかという点は、第一条の第三項に規定してあるのでございまして、私どもはこの防衛秘密というものは自然秘である、かように解しているのでございます。すなわち自然秘である、その性質上相当高度な秘密である、かように考えております。前の軍機保護法などにおき・ましては指定秘の制度もつとておつたのでございます。すなわち保安庁の長官がこれは秘密にしておこうというもので指定したものが秘密になる、かような立て方も考えられるのでございますが、この法案におきましては、自然秘としてそれ自体高度な秘密である、これを防衛秘密といたしたのでございます。しかしそれではどの程度かわからないのでございますが、実際的にはアメリカにおいて秘密として守られているもの、これの通知を受けまして、その範囲で秘密としての取扱いがされるか、ようなことになると思うのであります。
 なお第三条の規定するところは、「防衛秘密を取り扱う国の行政関機の長は、政令で定めるところにより、防衛秘密について、標記を附し、関係者に通知する等防衛秘密の保護上必要な措置を講ずるものとする。」となつておるのでございます。この点は標記を付したから防衛秘密になる、かような関係ではないのでございまして、その事柄の性質上それが秘密であるものは最初から秘密である、かように解釈する次第でございます。
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河野密#24
○河野(密)委員 その標記を付したから秘密になるのではない、事柄の性質上最初から秘密であるものは秘密である、そのことが、われわれとしては秘密の限界というのがきわめてあいまいだと思うのであります。その秘密が高度のものであるというが、何を標準にして高度のものというのか、これは一体何を標準にするのか、きわめてあいまい模糊としていると思うのであります。これはたとえば原子爆弾のことについての一般的になつたものはこの程度であつて、これから先が秘密であるというようなことは、普通の人にはわかるはずはないのであります。そういうものは一体何を標準にして秘密であるのとないのと——ここにいう防衛秘密というものの限界は何であるか、標記があるとか標記を付したものはこれは防衛秘密だ、この施行令にあるように「極秘」というのもある、「秘」というのもあるというようなことであれば、標記のあるものは常識的に考えて、これは言つてはならぬものであるというようなことはわかるかもしれませんが、これをただ漠然とこれは自然秘なのだ、それは標記があるから秘密になるのではない、元来秘密であるべきものだから秘密になるのだ、こういうような説明では、これは法律の適用上非常に困難だと思うのでありますが、いかがですか。
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桃澤全司#25
○桃澤説明員 お説のように、秘密とは一体何であるかということを抽象的にきめるということは、非常にむずかしいかと存じます。ただ実情を申し上げますと、アメリカでこれは窮事上の秘密だということをきめて、その保護措置を強度にとつているという性質のものは、これは日本におきましても、おそらく相当高度の秘密であろうと私どもは考えている次第でございます。アメリカからこの部分をわれわれの国では秘密にしているのだという通知がございますと、その通知のあつた事項についてのみ、私どもはやはり秘密として扱つていいのではなかろうか、そういたしますと、あとでかつてにこれは秘密であるというふうなことで、だんだん範囲が広まるという心配もないので現実的には相当しぼられてこの法律が運用されるということになるのではなかろうかと考えます。ただ、抽象的に申し上げますと、アメリカでは秘密であるというふうな措置をとつておりましても、だんだん日本の技術が発達して参りましても、そういうことは秘密でも何でもないというふうな事項も、あるいは秘密として通告を受けるかも存じません。これは私の所管でなくて申訳ありませんが、そのときにはおそらくこういう点は日本ではもう明らかになつているのだから、そういうものは秘密にしないという申入れが、可能であるのではなかろうかと存ずるのであります。
 なお自然秘といたしましたために、その事項が防衛秘密に該当するかどうかということは、究極的には裁判所が自由な立場から決することができる、かようなことになるのでありまして、その点実務上からいつても、私は御心配のような点は避けられるのではなかろうかと考えている次第でございます。
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河野密#26
○河野(密)委員 だんだん私の考えているところに近づいて来るので、非常に私としては都合のいい答弁なのですが、アメリカで秘密とするものは日本でも秘密だ。私もそうだろうと初めから考えておつたのであります。それから秘密というものを裁判所が決定するのだ、そうなると、これもあとでお尋ねしますが、これは秘密になるだろうか秘密にならないだろうかということを伺いを立てなければならない。憲法で禁止しておる検閲の制度とかいうような問題にも触れて来る。だんだんあなたの答弁を聞いていると、私の思うつぼにはまつて来るような感じがするので、非常にけつこうなのでありますが、そこで先に返つてお尋ねします。今の御答弁を聞いておりますと、防衛援助協定の第三条第一項に計いてあります「両政府の間で合意する秘密保持の措置を執るものとする。」こういうことでその条件の中にすでにこの法案は入つているのだ、法案の内容というものがもうすでに協定の中に入つているのだと、われわれは推測せざるを得ないのでありますが、これはその通りでありますか。両国政府で合意する秘密保持の措置と称するものの中には、その内容は秘密保護法案であり、そうして秘密保護法案の内容はさつき私がお尋ねいたしましたように、すでに刑事特別法に基いて書いてあります条文とまつたく同じ行き方をしておる条文である、その書き方はまつたく同じであります。そういたしますと、この法律案というものも実は日本政府の自由なる意思によつてつくられた法律案ではなくして、アメリカ政府との、すでに防衛協定を結ぶについて合意に基いて出て来た法律案であるというふうに私どもは解釈いたすのでありますが、その通りでありましようか。
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檜原恵吉#27
○檜原政府委員 この協定によりまして政府が約束をしたところは、両国政府の間で合意する秘密保持の措置をとるということを約束しようということであります。そうしてそれに基いて政府としては、防衛秘密保護法を制定しようというので、御審議を願つておるわけであります。この協定をつくつたときに合意のものとして防衛秘密保護法をつくつたわけではございません。協定は協定として相談をしてつくりまとた。防衛秘密保護法は、法律をつくるということは約束をしておらぬのでありますが、法律をつくることが適当であると日本政府が判断をして、防衛秘密保護法をつくりまして御審議を願つておるということであります。
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河野密#28
○河野(密)委員 もしあなたのおつしやる通りであるとするならば、日本政府がこの法律をつくることを適当として考えられるならば、私が冒頭に質問をいたしましたように、私は今はこの法律なつくるのに最も適当でないと思うのであります。何となれば、等一条によつて何が来るか、どういう種類の装備、資材、役務その他の援助が来るかということは、これからきめるのであります。どの程度のものが来るかということは、これからの組員協定、行政協定によつて来るのであります。その行政協定によつて内容がわかつてから、その秘密を保持するために法律をつくるということが、最も適当なのであります。そうでないただ秘密保持の措置をとるという約束だけだとするならば、何もここに刑事特別法と同じような行き万をした法律をあらかじめつくつておく必要は私はないと思う。刑事特別法は、日米安保条約並びにその行政協定に基いてできた法律でありますから、これは前提があるからよろしい。ここに日米防衛協定ができた、それに基いて行政協定ができた、その行政協定に基いて来るものが大体わかつた、そういうことになつたら、その秘密保持をしなければならぬというので、具体的な法律をおつくりになるのが、私は立法措置としては当然なことだと思うのであります。しかるにあらかじめ日米行政協定に基く刑事特別法と同じ内容を持つた秘密保護法案というものをつくつておくというならば、この秘密保護法案の内容も条文も、すでにその行政協定の秘密保持の措置というものの中にあらかじめ入つておるものである、こういうふうに解釈する以外には、私は解釈のしようがないと思うのであります。そうなつて来ると、これは条約によつて日本の法律をつくるという結果になると思うのでありますが、この点についての見解を重ねて承りたい。
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檜原恵吉#29
○檜原政府委員 先ほども申し上げたのでありますが、このMSA協定が結ばれますと、どういうものをくれるか細目はきまつておりませんが、たとえば陸の部隊といたしますと、本年の予算はすでに両院において可決になつておりますが、この予算に基きますと、大体二曹区分の陸の部隊を増員する。一管区分の増員に対して、米国としてはこれに必要な装備品を供与しようということは、大体において了解がついておるわけであります。船になりますと、私の方からは十ヒ隻を供与もしくは貸与されたいという申入れをしておりますが、それが何隻になりますか、まだ具体的でありませんけれども、とにかく相当のものをよこすことについては、向うの内諾というか、了解があるわけであります。飛行機その他のものについても同様でありまして、百四十三機を要求しておりますが、百四十三機ぴつたりそのものでなくても、大体よこすということは了解がついております。従いまして、そうしたものの中に、秘密保護を要するものが予想されておるわけであります。でありますから、何をくれるかがきまつて、その中に秘密保護のものがあればそのときに法律をつくつたらどうか、それも一つの考え方ではありましようが、もともとこうしたMSA協定をつくります際に、防衛秘密を保護するというような規定を特につくらなければならぬというのは、他の国には実は例がないのであります。御承知のように、およそ今までMSA協定を米国と結びました国は、すべていわゆる軍機保護法というものを持つておるので、こうしたものを特につくる必要がなく、単に武器その他の供与の約束だけをすればよかつたわけでありますが、わが国はそういうものが全然ありませんので、特にこういうとりきめを一つ入れなければならなくなつた。そうしてそれは何が来るかということをきめる前に、やはり秘密保護を要するものが入るのだという予想と前提のもとに、こういう措置をとることが適当である、その措置は条約上は何も法律をつくる約束はしておりませんが、日本政府は自己の判断において、やはり法律としてこういう秘密保護の措置をとることが適当であるという判断を下しまして、防衛秘密保護法案を提案いたしておる、こういうふうな順序になるわけであります。
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