予算委員会
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会
会議録情報#0
昭和三十四年二月二十四日(火曜日)
午後一時二十七分開議
出席委員
委員長 楢橋 渡君
理事 植木庚子郎君 理事 小川 半次君
理事 重政 誠之君 理事 西村 直己君
理事 野田 卯一君 理事 井手 以誠君
理事 小平 忠君
井出一太郎君 内田 常雄君
小澤佐重喜君 川崎 秀二君
上林山榮吉君 北澤 直吉君
久野 忠治君 小坂善太郎君
篠田 弘作君 周東 英雄君
田中伊三次君 田村 元君
綱島 正興君 床次 徳二君
中曽根康弘君 古井 喜實君
保利 茂君 水田三喜男君
八木 一郎君 山口六郎次君
山崎 巖君 早稻田柳右エ門君
石村 英雄君 岡田 春夫君
黒田 寿男君 河野 密君
小松 幹君 櫻井 奎夫君
多賀谷真稔君 西村 榮一君
出席国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
文 部 大 臣 橋本 龍伍君
農 林 大 臣 三浦 一雄君
通商産業大臣 高碕達之助君
運 輸 大 臣 永野 護君
郵 政 大 臣 寺尾 豊君
労 働 大 臣 倉石 忠雄君
建 設 大 臣 遠藤 三郎君
国 務 大 臣 青木 正君
国 務 大 臣 世耕 弘一君
国 務 大 臣 山口喜久一郎君
出席政府委員
内閣官房長官 赤城 宗徳君
内閣官房副長官 松本 俊一君
法制局長官 林 修三君
大蔵事務官
(主計局長) 石原 周夫君
労働事務官
(大臣官房長) 澁谷 直藏君
委員外の出席者
専 門 員 岡林 清英君
—————————————
二月十九日
委員久野忠治君、二階堂進君、岡田春夫君及び
小松幹君辞任につき、その補欠として藤本捨助
君、綱島正興君、河野密君及び櫻井奎夫君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
委員藤本捨助君辞任につき、その補欠として久
野忠治君が議長の指名で委員に選任された。
二月二十四日
委員今澄勇君、櫻井奎夫君及び島上善五郎君辞
任につき、その補欠として岡田春夫君、小松幹
君及び多賀谷真稔君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
委員河野密君及び多賀谷真稔君辞任につき、そ
の補欠として今澄勇君及び島上善五郎君が議長
の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
分科員及び分科会主査選任に関する件
昭和三十四年度一般会計予算
昭和三十四年度特別会計予算
昭和三十四年度政府関係機関予算
————◇—————
この発言だけを見る →午後一時二十七分開議
出席委員
委員長 楢橋 渡君
理事 植木庚子郎君 理事 小川 半次君
理事 重政 誠之君 理事 西村 直己君
理事 野田 卯一君 理事 井手 以誠君
理事 小平 忠君
井出一太郎君 内田 常雄君
小澤佐重喜君 川崎 秀二君
上林山榮吉君 北澤 直吉君
久野 忠治君 小坂善太郎君
篠田 弘作君 周東 英雄君
田中伊三次君 田村 元君
綱島 正興君 床次 徳二君
中曽根康弘君 古井 喜實君
保利 茂君 水田三喜男君
八木 一郎君 山口六郎次君
山崎 巖君 早稻田柳右エ門君
石村 英雄君 岡田 春夫君
黒田 寿男君 河野 密君
小松 幹君 櫻井 奎夫君
多賀谷真稔君 西村 榮一君
出席国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
文 部 大 臣 橋本 龍伍君
農 林 大 臣 三浦 一雄君
通商産業大臣 高碕達之助君
運 輸 大 臣 永野 護君
郵 政 大 臣 寺尾 豊君
労 働 大 臣 倉石 忠雄君
建 設 大 臣 遠藤 三郎君
国 務 大 臣 青木 正君
国 務 大 臣 世耕 弘一君
国 務 大 臣 山口喜久一郎君
出席政府委員
内閣官房長官 赤城 宗徳君
内閣官房副長官 松本 俊一君
法制局長官 林 修三君
大蔵事務官
(主計局長) 石原 周夫君
労働事務官
(大臣官房長) 澁谷 直藏君
委員外の出席者
専 門 員 岡林 清英君
—————————————
二月十九日
委員久野忠治君、二階堂進君、岡田春夫君及び
小松幹君辞任につき、その補欠として藤本捨助
君、綱島正興君、河野密君及び櫻井奎夫君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
委員藤本捨助君辞任につき、その補欠として久
野忠治君が議長の指名で委員に選任された。
二月二十四日
委員今澄勇君、櫻井奎夫君及び島上善五郎君辞
任につき、その補欠として岡田春夫君、小松幹
君及び多賀谷真稔君が議長の指名で委員に選任
された。
同日
委員河野密君及び多賀谷真稔君辞任につき、そ
の補欠として今澄勇君及び島上善五郎君が議長
の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
分科員及び分科会主査選任に関する件
昭和三十四年度一般会計予算
昭和三十四年度特別会計予算
昭和三十四年度政府関係機関予算
————◇—————
楢
楢橋渡#1
○楢橋委員長 これより会議を開きます。
この際委員長として一言申し上げます。去る十九日以来最低賃金法案をめぐる両党の紛糾から本委員会が開会するに至らなかったことは、本予算の今国会における重要性にかんがみ、遺憾に存ずる次第であります。なおその間におきまして自社両党の理事並びに委員諸君が、本委員会の開会を促進するため御努力賜わりましたことは、この際委員長として深く感謝の意を表する次第であります。すでに六日間の空費をした本委員会といたしましては、今後の審議促進のために諸君の一段の御協力を切にお願い申し上げます。
昭和三十四年度一般会計予算、昭和三十四年度特別会計予算、昭和三十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
質疑を続行いたします。河野密君。
この発言だけを見る →この際委員長として一言申し上げます。去る十九日以来最低賃金法案をめぐる両党の紛糾から本委員会が開会するに至らなかったことは、本予算の今国会における重要性にかんがみ、遺憾に存ずる次第であります。なおその間におきまして自社両党の理事並びに委員諸君が、本委員会の開会を促進するため御努力賜わりましたことは、この際委員長として深く感謝の意を表する次第であります。すでに六日間の空費をした本委員会といたしましては、今後の審議促進のために諸君の一段の御協力を切にお願い申し上げます。
昭和三十四年度一般会計予算、昭和三十四年度特別会計予算、昭和三十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
質疑を続行いたします。河野密君。
河
河野密#2
○河野(密)委員 私は、去る十八日に労働問題懇談会におきまして結論を出されましたILO条約批准の問題に限定いたしまして政府の所信を承わりたいと存ずるものであります。
御承知のように、去る十八日に労働問題懇談会におきましては、一年有半にわたる審議を終えまして最終的な結論を出し、答申としてこれを政府に伝達したはずでございます。政府はしばしば本国会を通じまして条約第八十七号については労働問題懇談会の議を経まして、そこで結論が出されまするならば善処をする、こういうことを言明いたして参りました。しかるに現在、労働問題懇談会はその最終的な結論を出したのであります。しかもその答申案の第一項には、「ILO第八十七号条約は批准すべきものである。」こういうことが一点の疑問を差しはさむ余地のない明らかさをもって打ち出されておるのであります。従ってわれわれは当然政府はこのILO第八十七号条約を批准するという批准の手続を直ちにとるべきであると存じますが、総理大臣並びに労働大臣の所見を承わりたいと存じます。
この発言だけを見る →御承知のように、去る十八日に労働問題懇談会におきましては、一年有半にわたる審議を終えまして最終的な結論を出し、答申としてこれを政府に伝達したはずでございます。政府はしばしば本国会を通じまして条約第八十七号については労働問題懇談会の議を経まして、そこで結論が出されまするならば善処をする、こういうことを言明いたして参りました。しかるに現在、労働問題懇談会はその最終的な結論を出したのであります。しかもその答申案の第一項には、「ILO第八十七号条約は批准すべきものである。」こういうことが一点の疑問を差しはさむ余地のない明らかさをもって打ち出されておるのであります。従ってわれわれは当然政府はこのILO第八十七号条約を批准するという批准の手続を直ちにとるべきであると存じますが、総理大臣並びに労働大臣の所見を承わりたいと存じます。
岸
岸信介#3
○岸国務大臣 ILO八十七号の批准の問題に関しましては、今御質問にもりました通り、政府は労働問題懇談会にこれが審議を求めておりまして、その結論を得た上において、これを尊重して、その線に沿うていきたいという意味のことを申し上げております。すでに答申が出てきましたので、その線に沿うて準備を始めております。
御承知の通り、八十七号を批准いたすとするならば、当然公労法、地公労法の規定において条約と相いれない条文を改正しなければならぬことは言うを待ちません。と同時に、これらの公共企業体事業の正常なる運営を確保するために、法制的に各種の、この公労法や地公労法にも他に改正すべき点がございますし、またそり他の法制につきましてもこれを整備する必要があるということは、答申の中にも明らかに述べられておるし、また政府としてこれらの事業の公共性にかんがみまして、それらの準備をした上においてこれは批准すべきものであるという考えのもとに準備を進めております。しかしながら、今申します通りの準備が、前提条件が作り上げられる必要がございますので、政府としては関係方面におきまして真剣にこれらの検討を始めております。
この発言だけを見る →御承知の通り、八十七号を批准いたすとするならば、当然公労法、地公労法の規定において条約と相いれない条文を改正しなければならぬことは言うを待ちません。と同時に、これらの公共企業体事業の正常なる運営を確保するために、法制的に各種の、この公労法や地公労法にも他に改正すべき点がございますし、またそり他の法制につきましてもこれを整備する必要があるということは、答申の中にも明らかに述べられておるし、また政府としてこれらの事業の公共性にかんがみまして、それらの準備をした上においてこれは批准すべきものであるという考えのもとに準備を進めております。しかしながら、今申します通りの準備が、前提条件が作り上げられる必要がございますので、政府としては関係方面におきまして真剣にこれらの検討を始めております。
倉
河
河野密#5
○河野(密)委員 ただいま総理から諸般の準備をして批准の処置をとりたいと、こういうことでございますが、政府はすでに一年半前に労働問題懇談会にこの問題を付議しております。前の石田労働大臣の時代においても、すでに労働問題懇談会の結論が出るならばこれを尊重して善処をすると申しております。岸総理大臣もたびたびそういう言明をいたしております。倉石労働大臣は就任の初めに当って同じようなことを申しております。すでに一年半の間に政府はどういう準備を進めてこられたのでありますか、承わりたいと思います。
この発言だけを見る →倉
倉石忠雄#6
○倉石国務大臣 政府の態度はもちろんしばしば本委員会でも関係委員会でも申し上げております通り、自由にして民主的な労使関係が確立されるように希望する、と同時にまたそういう精神の建前でできておりますILOの機構については全面的に協力をする、こういう立場を声明もいたしておりますし、その通りにやって参りました。そこで労働問題懇談会に前大臣以来付議いたしておりましたILO八十七号条約をいかにすべきかということにつきまして、答申を待って私どもの政府の態度を決定したい、こういうことでございますから、その答申がどういうものが出るかによって、私どもといたしましてはそれぞれの研究を進めなければならない。
そこで御承知のように、今御指摘になりました中山会長のILO第八十七号条約批准に関する答申の第一には、「ILO第八十七号条約、すなわち結社の自由及び団結権の擁護に関する条約は批准すべきものである。」これは第一の建前であります。従って政府がこれからなすべきことは、この建前に基いて、第二にあります「右条約を批准するためには公労法第四条第三項、地公労法第五条第三項を廃止しなければならない。この廃止に当っては関係諸法規などについての必要な措置が当然考慮されることになるであろうが、要は労使関係を安定し、業務の正常な運営を確保することにあるので、特に事業の公共性にかんがみて、関係労使が国内法規を順守し、よき労働慣行の確立に努めることが肝要である。」こういうことをいっておるのでありまして、こういう比較的短かい文章に表われました過程においては、河野さんも御承知のように、条約小委員会及び石井委員会が設けられまして、そこで、いろいろな論議が行われた記録も添付して会長から私に申し出ておるわけであります。そこでそれらの小委員会等において論議され、そうしてその後に公益、それから労使双方の三者構成でやっております労働問題懇談会の一致した見解としてそれを集約してここに答申を得たのでありますから、これに基いて政府は関係機関を動員いたしまして急速に調査研究を始めた、こういうことであります。
この発言だけを見る →そこで御承知のように、今御指摘になりました中山会長のILO第八十七号条約批准に関する答申の第一には、「ILO第八十七号条約、すなわち結社の自由及び団結権の擁護に関する条約は批准すべきものである。」これは第一の建前であります。従って政府がこれからなすべきことは、この建前に基いて、第二にあります「右条約を批准するためには公労法第四条第三項、地公労法第五条第三項を廃止しなければならない。この廃止に当っては関係諸法規などについての必要な措置が当然考慮されることになるであろうが、要は労使関係を安定し、業務の正常な運営を確保することにあるので、特に事業の公共性にかんがみて、関係労使が国内法規を順守し、よき労働慣行の確立に努めることが肝要である。」こういうことをいっておるのでありまして、こういう比較的短かい文章に表われました過程においては、河野さんも御承知のように、条約小委員会及び石井委員会が設けられまして、そこで、いろいろな論議が行われた記録も添付して会長から私に申し出ておるわけであります。そこでそれらの小委員会等において論議され、そうしてその後に公益、それから労使双方の三者構成でやっております労働問題懇談会の一致した見解としてそれを集約してここに答申を得たのでありますから、これに基いて政府は関係機関を動員いたしまして急速に調査研究を始めた、こういうことであります。
河
河野密#7
○河野(密)委員 私は今の倉石労働大臣の御答弁を承服するわけには参らないのであります。この労働問題懇談会の結論として出されましたものを率直に読んでみますと、今お読みになりましたが、第一に「ILO第八十七号条約に批准すべきものである。」こういうことを大前提としてあげております。これは一点の疑いのないものであります。第二には「右条約を批准するためには公労法第四条第三項、地公労法第五条第三項を廃止しなければならない。」従って条約を批准するについての唯一絶対の条件は、公労法第四条三項と地公労法第五条三項を削除するをもって足るのであります。その際いろいろなことが書いてありますが、これはいわば道義的な規定と申しましょうか、よき労使慣行を確立しなければならないとかいうことは、これは法律上の用語でいえば、注意事項ともいうべきものでありまして、この批准しなければならないということと、批准のための唯一絶対の条件はこれである、こういうことは何人が読んでも疑うことのできないものであります。これだけ明確な結論が出されたにかかわらず、政府がこの批准をちゆうちょされ、いろいろな理屈をおつけになる理由は一体どこにあるのでありますか。
この発言だけを見る →倉
倉石忠雄#8
○倉石国務大臣 ILO条約の批准ということには、今お話のありました二点だけが前提条件であるというふうに御説明がございましたが、中山会長から答申案を私に手渡しますときに、第一の批准すべきものであるということは、これは原理原則を標榜いたした答申であります、こういうことであります。つまり政府も原則としてはILO条約批准についてなるべく多く批准をしたい、こういうことはひとり政府のみならず、かつて終戦後の当国会において当時の自由党と社会党とがともに一致いたしましてILO条約をできるだけ多く批准せよという決議案を上程いたしました。私はその当時の趣旨弁明をいたしたものであります。そういう建前は私どもにおいても政府においても依然として変らないのであります。従って、ILO条約八十七号についても、私どもは原則としてはなるべく多く批准をしたい、そういう批准という建前に立って、しかもこの八十七号条約は御承知のように自由にして民主的なる労使関係を作っていくのだ、こういうILOの精神に立脚いたしておるのでありますから、原則論として私どもは、この批准は、ここに答申に出たものについてはまことに妥当であると考えます。
そこで中山会長は、さらに、それをやるについては今御指摘のありましたように、公労法四条三項、地公労法五条三項は抵触していると思われるから修正すべきものである、しかしながら関係諸法規等についての必要な措置が当然考慮されることになるであろうが、ということについては、当然という文字は、批准前、批准後において当然関係諸法規の改廃が考慮されるであろうという意味のことであるから、さよう承知してもらいたい、こういうことであります。同時に、労使関係を安定して業務の正常なる運営を確保することが、ILO八十七号を尊重することになるのであるから、政府の労働政策としては、その労使関係の安定と円満なる運営を確保して、その公共性に期待しておる国民の期待にそむかないように労働政策を進めてもらいたいというのが、中山会長がこれを私に提出いたしましたときに付言いたしました言葉であります。
同時にまた、河野さんもよく御存じの通りに、この答申に盛り込まれる前にありました石井報告によりましても、この石井報告では明らかに、ILO八十七号条約を批准するとすれば、まず第一に、公労法関係等を整備しなければならない、第二には、公労法第十八条の問題及び十七条の問題等についての再検討をすること、こういうことをいっております。それからまた第四には、公労法第四条三項を削除することに伴い、要すれば公労法中のその他の規定についても新たに技術的な調整を加える必要がある。第五には、公労法第四条三項の削除に伴い、公共企業体等の業務の正常なる運営を確保するために必要な法的措置について検討すること、これも要求いたしております。同時にまた地公労法、そういうものについて検討すべし、こういうことをいっておられるのでありまして、政府といたしましては行政を担当いたしております立場から、この条約を批准し公労法を改正するというには、やはり関係諸法規の整備をいたさなければならない。これは労使、公益三者が答申をされました趣旨を尊重して、政府としてはそういう措置をなるべく早く取りつけて批准に持って参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
この発言だけを見る →そこで中山会長は、さらに、それをやるについては今御指摘のありましたように、公労法四条三項、地公労法五条三項は抵触していると思われるから修正すべきものである、しかしながら関係諸法規等についての必要な措置が当然考慮されることになるであろうが、ということについては、当然という文字は、批准前、批准後において当然関係諸法規の改廃が考慮されるであろうという意味のことであるから、さよう承知してもらいたい、こういうことであります。同時に、労使関係を安定して業務の正常なる運営を確保することが、ILO八十七号を尊重することになるのであるから、政府の労働政策としては、その労使関係の安定と円満なる運営を確保して、その公共性に期待しておる国民の期待にそむかないように労働政策を進めてもらいたいというのが、中山会長がこれを私に提出いたしましたときに付言いたしました言葉であります。
同時にまた、河野さんもよく御存じの通りに、この答申に盛り込まれる前にありました石井報告によりましても、この石井報告では明らかに、ILO八十七号条約を批准するとすれば、まず第一に、公労法関係等を整備しなければならない、第二には、公労法第十八条の問題及び十七条の問題等についての再検討をすること、こういうことをいっております。それからまた第四には、公労法第四条三項を削除することに伴い、要すれば公労法中のその他の規定についても新たに技術的な調整を加える必要がある。第五には、公労法第四条三項の削除に伴い、公共企業体等の業務の正常なる運営を確保するために必要な法的措置について検討すること、これも要求いたしております。同時にまた地公労法、そういうものについて検討すべし、こういうことをいっておられるのでありまして、政府といたしましては行政を担当いたしております立場から、この条約を批准し公労法を改正するというには、やはり関係諸法規の整備をいたさなければならない。これは労使、公益三者が答申をされました趣旨を尊重して、政府としてはそういう措置をなるべく早く取りつけて批准に持って参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
河
河野密#9
○河野(密)委員 ただいま労働大臣からお話がございましたが、この労働問題懇談会の答申案を率直に読んでみますと、第一に、まず批准すべきものである、批准するについては、これこれの法律は廃止しなければならない、そのほかの問題は批准してからやるか、あるいは批准する前にやるかとかいうようなことを少しも書いてはおらぬのでございます。批准するについてはこれだけのものが必要であるということだけを書いてあるのでありまして、批准するという政府の方針であるならば、この唯一絶対の条件である二つのものをやって、なぜ即刻に批准の手続をとることができないのでありますか。私が先ほど申しますように、この問題はすでに数年にわたる問題であります。倉石労働大臣も野におられる時分にこれを批准せよということを叫ばれた一人であるし、現に倉石労働大臣が就任されたときに、石田前労働大臣と同じように、これは労働問題懇談会の結論が出されたならば、それに従って直ちにその手続をとるんだということを何べんか繰り返して言われておるのであります。それにもかかわらず、待ちに待ったその答申が出されたときにおいて、言葉を二、三にしてこの批准をおくらせようとなさる理由が私には了解できないのでありますが、どういう理由なんでありますか。
この発言だけを見る →倉
倉石忠雄#10
○倉石国務大臣 お言葉を返すわけではありませんが、河野さんの誤解に基くのではないかと存じます。政府は先ほど来申し上げておりますILOの趣旨に従って、公共事業の安定性を確保するという建前、正常なる労使慣行が行われるということを建前にして、ILO八十七号条約というものは、労働問題懇談会の答申を尊重して批准するという態度を打ち出したのでありますから、その批准に要する手続について、政府部内において諸般の検討をすみやかに開始をして、そしてなるべく早く批准をしたい、こういうことでありまして、批准のことにつきましては、お釈迦様に説法のようでありますが、条約に抵触するようなおそれのあるものについては国内法を整備して、そうして批准の手続をとる、こういう工合になっておりますので、従って、昭和二十八年の十二月八日当時の政府の閣議決定でも、条約批准の場合には、まずそれに抵触のおそれありと思われるような国内法の調整をして、しかる後に批准の手続をいたす、こういうことになっておるのでありますから、その準備に着手いたしたのでありまして、もはやわれわれは批准に踏み出しておる、故意におくらせるとかなんとかいうお話がありましたが、そういう意思は毛頭ありません。政府及び自由民主党は、先ほど申し上げておりますように、ILO機構には全面的に協力するという建前でありますから、外部から要望されたとかされないとかいうことではなくして、せっかく一年半前に前大臣が労働問題懇談会という権威者に付託したのでありますから、その答申が出てきたらそれを尊重して態度を決定するということを申しておったのでありまして、その答申の趣旨を尊重して、諸般の準備を整備して、整備し次第、批准の——もちろんその前に法律の改正案を出して、そうして批准の準備に移る、こういうことでありますから、御了解を願いたいと思います。
この発言だけを見る →河
倉
倉石忠雄#12
○倉石国務大臣 答申案によりますれば、この条約を批准するとすれば、公労法四条三項、地公労法五条三項は改正しなければならない、こういうことであります。それを言っておるのであります。
この発言だけを見る →河
河野密#13
○河野(密)委員 今倉石労働大臣の言われることでも、この条約を批准するについて、条約と抵触する法律は公労法第四条三項と、地公労法の第五条三項だけである、こういうことが確認されました。では、なぜ、その手続をとられないのですか。
この発言だけを見る →倉
倉石忠雄#14
○倉石国務大臣 河野さんが参加された内閣がここにできておるといたしまして、あなた方が責任の立場においでになる政府としては、そういう公労法四条三項、地公労法五条三項というもつのに修正を加えるというときには、それに関連した諸般の問題を検討しなければならないということは、河野さんも御了解ができると思います。従って、政府としては、そういうふうな諸般の準備を大事にいたしまして、どういうような関連性をその他に持ってくるかということを十分検討した上で、国民の期待に沿うような万全の措置をとることは、私は政府としての義務であると存じますので、急いでそういう関係のものの研究を開始しておるのでございますから、さように御了解願いたいと思います。
この発言だけを見る →河
河野密#15
○河野(密)委員 この八十七号を批准するについての抵触する法律は二つしかない。私はあとから読み上げますが、一つこれは岸総理大臣にもよく聞いていただきたいと思うのです。岸総理大臣も昭和三十三年の十二月十九日、社会労働委員会における赤松委員の質問に答えて、「懇談会においてもその方の専門家なり、各労働問題についてのいろいろ権威の方々が十分に検討されておりますから、その結論を待って政府としては処置する、こういう従来通りの方針でおるわけであります。」こう答えております。処置するとはっきりと答えております。それから同じ日の赤松君の質問に答えて、「懇談会の結論がそういうふうに出まするならば、」——いわゆるこの答申が批准すべしと出た場合にはということでありますが、「懇談会の結論がそういうふうに出まするならば、十分それを尊重して政府としては処置していきたいと思います。」こういうことを言っております。また同じ日に、「今お答し申し上げましたように、私は尊重するということを申しております。必ずその通りに実行するということは、政府としての責任において決定しなければならぬと思います。」こう言っておる。「その通りに実行するということは、政府としての責任において決定しなければならぬと思います。」こう答弁しておるのであります。
さらに衆議院の本会議におけるあれもありますが、それはしばらくおくといたしまして、倉石労働大臣も社会労働委員会におきまして、これも赤松委員の質問に答えておりますが、自分が就任した場合においては、石田労働大臣と全く同じことであって、石田労働大臣の言われた通りに自分は実行する方針である、こう言っておりますが、その石田労働大臣が、参議院におきまする社会労働委員会でございますが、こういうことをはっきりと言っておるのであります。「そう遠くなくその結論が出るものと期待いたしておりまするので、その結論が出次第、その結論に従って処置をいたしたい、こう考えている次第でございます。」こう答えておるのであります。これによりますると、一点の疑いのないように、この労働問題懇談会の結論さえ出たならばその通りにやる、岸総理大臣も言っておられるし、倉石労働大臣も何べんか言っておるのであります。
そればかりではありません。国際的にも、国際労働会議で政府を代表する藤林政府代表が演説をいたしまして、「一九四八年の結社の自由、団結権の擁護に関する条約に関しては、日本政府は三者構成の委員会を設けているが、この委員会はこれまでにも数回の会合を開き、この問題を慎重に検討しているが、その結論が出ることも間近くなっておる。結論が出次第、これを十分尊重して、政府はこの条約批准の可能性に関し、その最終的態度を決定することになっている。」こう言って演説をしているのであります。
もしこれを食言とするならば、単に国会の中のわれわれを欺瞞したというだけでなく、国際的の政府の信義を問われてもやむを得ないことだと私は思うのであります。岸総理並びに倉石労働大臣の明快なる御答弁を願いたい。
この発言だけを見る →さらに衆議院の本会議におけるあれもありますが、それはしばらくおくといたしまして、倉石労働大臣も社会労働委員会におきまして、これも赤松委員の質問に答えておりますが、自分が就任した場合においては、石田労働大臣と全く同じことであって、石田労働大臣の言われた通りに自分は実行する方針である、こう言っておりますが、その石田労働大臣が、参議院におきまする社会労働委員会でございますが、こういうことをはっきりと言っておるのであります。「そう遠くなくその結論が出るものと期待いたしておりまするので、その結論が出次第、その結論に従って処置をいたしたい、こう考えている次第でございます。」こう答えておるのであります。これによりますると、一点の疑いのないように、この労働問題懇談会の結論さえ出たならばその通りにやる、岸総理大臣も言っておられるし、倉石労働大臣も何べんか言っておるのであります。
そればかりではありません。国際的にも、国際労働会議で政府を代表する藤林政府代表が演説をいたしまして、「一九四八年の結社の自由、団結権の擁護に関する条約に関しては、日本政府は三者構成の委員会を設けているが、この委員会はこれまでにも数回の会合を開き、この問題を慎重に検討しているが、その結論が出ることも間近くなっておる。結論が出次第、これを十分尊重して、政府はこの条約批准の可能性に関し、その最終的態度を決定することになっている。」こう言って演説をしているのであります。
もしこれを食言とするならば、単に国会の中のわれわれを欺瞞したというだけでなく、国際的の政府の信義を問われてもやむを得ないことだと私は思うのであります。岸総理並びに倉石労働大臣の明快なる御答弁を願いたい。
岸
岸信介#16
○岸国務大臣 先ほど私がお答えを申し上げましたように、また労働大臣もお答え申し上げております通り、政府は、今回答申されました労働問題懇談会の答申を尊重して、その線に沿うてすべてこれはやっていく考えのもとにその準備を始めております。結論としては、今お話の通り、われわれは答申のごとく批准する、批准するに必要な前提条件を満たして——これも答申の中にちゃんと書いておるのでありまして、それらを至急に整えた上において一切の手続を終りたい、こういうふうに思っておりまして、従来答弁していることと少しも違っておらないのであります。
この発言だけを見る →倉
倉石忠雄#17
○倉石国務大臣 河野さんの御指摘のように、政府はしばしば、労働問題懇談会の答申を待って善処いたしたいということを申し上げております。従って、その通りに答申が出ましたから、その趣旨を尊重して批准をすべきものであるということに態度を決定いたしました。そこで、この懇談会の答申にございますように、河野さんは法律の改正のことだけお話がございますけれども、中山会長の答申がこの短かい文章に集約されるまでの間に、労働問題懇談会において多く取り上げられました小委員長の報告、これがここに集約されて出ているという御説明でございますので、私どもは、そういう全般的のことについて答申の趣旨を尊重して検討を始めたということでございまして、少しも後退いたしているわけではないのであります。
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河野密#18
○河野(密)委員 私には、今の労働大臣並びに総理の御答弁は納得がいかないのであります。労働問題懇談会の結論が出たら、その結論を十分に尊重してその通りにやるのだというが、その通りにやるということは一体どういうことなんですか。その通りにやるということは、結論の通りにやることであって、今労働大臣自身も、この条約を批准するために抵触する法律は二つしかないと言われたが、この二つの法律を廃止するという手続をとれば批准はできるじゃありませんか。それから先のことはそれから先のことで考えればよろしいのであって、それ以上のことを何も労働問題懇談会は要求しておらない。あとは注意事項である。
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倉石忠雄#19
○倉石国務大臣 河野さんは、この中山会長の答申について十分御存じの上にお話があることと思います。私が先ほど中山会長との会談の要旨を申し上げましたように、法律の改正ということについては二つしか言っておりません。しかしながら、自由にして民主的なる労使関係ということと、この三公社の関係いたしております事業の公共性、すなわちこれは国民の財産でございますから、普通の民間産業の労使関係とはそこに趣きを異にする、この公共性保持のために、政府としては適当なる措置が講ぜられなければならぬだろうということが、中山会長の報告の源になっております前田多門小委員会と、それから石井小委員長の報告にも盛り込んであることは、よく河野さん御存じの通りであります。従って、こういうような諸般のことについて、この公労法改正ということがどういう影響を持ってくるかということについても十分の調査研究をいたした上で、政府としては、この答申の要求いたしております公共性の保持、同時にまた自由にして民主的なる労使関係、及び労使関係を安定し、業務の正常な運営を確保することに、このILO条約の批准の目的があるのだというのでありますから、そういうふうに答申の趣旨に沿うためにはどのようにしたらいいかということをあわせて検討をいたしまして、そうして政府としての腹をきめて法律の改正なら法律の改正という手段に出るべきである、こういうふうに今検討を開始いたした、こういうことであります。
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河野密#20
○河野(密)委員 倉石労働大臣に伺いますが、中山会長が、今そういうあなたが言われたような趣旨のものは、これは文書にして出したのでありましょうか。それとも中山会長の個人の見解として述べたのでありましょうか。しかし、私はこれほど公けの機関のものを、会長たりといえども自分の私見をまじえてもし発表したとするならば、これはゆゆしき問題であって、中山会長をここに呼んでわれわれは究明しなければならない。事の真相を問わなければならないと思いますが、これは労働大臣が、そういう中山会長の言われたことを判断したのでありますか。中山会長自身が文書によってそれを提出したのでありますか、明確にしていただきたい。
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倉石忠雄#21
○倉石国務大臣 答申のありました日の午後四時ごろ、中山会長が私に面会を求められまして、中西次官、労政局長同席の上で、口頭で今のようなお話がございました。口頭であった、ないにかかわらず、それももちろんのことでありますが、第二項でうたっておりますことについて私が申し上げておりますことは、労使関係を安定し、業務の正常なる運営を確保することにある。ILO条約の批准という建前はそういう精神にのっとっておるのだ、こういうことを言っておるのであります。今の公労協の状態がこういう趣旨に沿っておるかどうかというふうなことについても、政府部内として検討する必要がありますし、それから、直接ILO条約批准には関係がないかもしれませんが、第三にこういうことをいっております。「ILO条約の趣旨とする労使団体の自主運営並びにその相互不介入の原則がわが国の労使関係においても十分取り入れられるよう別にしかるべき方法で現行労使関係法全般についても再検討することが望ましい。」こういうことをいっておるのでありまして、こういうこともすべて労使公益三者の労働問題懇談会の一致した答申であります。
私は、ILO八十七号条約には、この三項のことは直接関係を持っておらないということを、今河野さんに前提にして申し上げましたけれども、御承知のように、たとえばILO条約八十七号を批准するということによって四条三項を削除するということになれば、この審議の途中でも当然多くの問題になりましたように、ユニオン・ショップの問題とか、いろいろ新しい法律問題が出てくるでありましょう。そういうことまで心配していろいろ付議して簡単に答申をされた。しかし私どもが答申を承わっておりますのには、前段として先ほど申し上げましたような条約小委員会及び石井小委員会において会長に答申をされましたそういうようなことについて全般的な検討をしなければならないということは、河野さんも御了解願えることだろうと思います。
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河
河野密#22
○河野(密)委員 今倉石労働大臣の言われたことをかりに容認するといたしましても、一体日本の労働組合の状態が、あなたが言われるようなふうになったということをだれが認定するのですか。そうすれば、もし政府なら政府が、一方では一般に日本の労働運動はまだそういう段階に到達していないという見解を持つならば、このILO条約は、政府は批准するという声明にもかかわらず、永久に批准ができないという結果になると私は思うのであります。これはどうですか。一体だれが日本の労働運動がそうなったということを判定をするのですか。
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倉石忠雄#23
○倉石国務大臣 ILO条約八十七号の精神、それからそれにつけ加えております勧告、宣言等を読んでみますと、先ほど来しばしば申し上げておりますように、自由にして民主的なる労使関係が行われるということをILO条約は期待いたしておるのでありまして、私は、今河野さんのお話のようなことにつきましては、一般的に見て、客観的に見て、労使関係が正常であるとか正常でないとかいうことはいろいろ論議があると思います。しかしながら、あの答申の要望いたしておりますものは、そういう労使関係を安定化する、正常なる運営ができるというふうにこの際希望するのだという意味のことを、先ほど私が読み上げましたように申しておるのでありますから、そういうことについて政府の立場としてできるだけのことをやはりしなければいけないと思っておるのでありますが、そういうことについてどういうふうな調整をしたらいいかということについて、ただいま政府部内で研究を開始した。なるべく早く結論を得て批准が行われるように持って参りたい、こういうふうに作業の途中であるというふうに御了解願ってけっこうだと思います。
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河野密#24
○河野(密)委員 倉石労働大臣の言われるところは、だんだんと明確になって参りましたが、このILO条約を批准するについては、抵触するものは二つの法り律しかないんだ、しかしその前提条件ではない、これは付随的なものであるけれども、政府としてはそういうことも考慮するんだ、こういうような趣旨のように聞えるのであります。そこで政府はいろいろと言われるが、しからば、この間の二十日の閣議において、「ILO条約の批准について右の法的措置のほか、この際公共企業体労働組合が国内諸法規を誠実に守り、正常な労働慣行が確立されるよう諸般の施策を講ずることとする。なお本条約の批准が全逓労組の違法状態を正当化する趣旨のものでないことは当然であって、条約批准の手続は、その労使関係が正常化されるまではとらないものとする。」一体これはどういうわけですか。全逓の労働組合の問題が正常化するまでは、この条約の批准はしないんだ、手続はとらないんだ、これは一体今まであなたの答弁したこととどういう関係があるのですか。
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倉石忠雄#25
○倉石国務大臣 公務法四条三項のことにつきましては、沿革を考えてみればだいぶ実情はわかることでありまして、河野さんもすでに御存じのことだと思いますが、公共企業体等労働関係法というものが、第二国会か第三国会かにかけられましたときは、御承知のように、英文で書いてきました公労法の中にも四条三項というものはなかったのであります。ところが、その当時に例の二・一ゼネストがマッカーサーの声明によって抑止されましたときに、政府の現業の者は切り離して公共企業体というものにしてやる。そのかわり、それには労働関係法を別に作れ、こういうことで公労法ができましたときの原案としては、英文でGHQからきましたけれどもなかった。ところが当時の経営者も、労働組合側も、一致して私ども立法に携わっておる者にああいうものが必要だということを言ってこられました。それは何のことであるかといえば、いわゆるレッド・パージというものがあって、共産党の人を組合から排除しようという考え方が労使双方にあったのであります。従ってそういうものが入れられた。その後長い間そういうものについてとかくの問題はありませんでしたけれども、私どもILOに復帰をいたしますときに、なるべく多くの批准をすべきものであるという建前でこういうことを取り上げ、当時の政府部内でも研究いたしたのでありますが、最近になりましてとかく非合法的な争議をいたした理由をもって馘首されたものが組合に残っておる。その人たちをどういうふうにするかというふうなことから非常に議論がやかましくなりまして、私どもはそういう議論がやかましくなったことは別問題といたしまして、やはり日本の政府の労働政策としては、できるだけ早くこういうものは批准すべきものである、こういう考えでありますからして、現在あります法律は、そういう沿革によって定められた法律であって、その法律に基いて労使双方とも労働関係は規制を受けておるのでありますから、願わくは、労使双方とも法律は守ってもらわなければいけない。従って今回ILO八十七号条約を批准することによって、現在行なっております全逓労組の非合法行為が合法化するのであるというふうな考え方を持たれることは間違っております。やはり労働組合も、現行法の範囲内においては同じ公労協内部である国鉄労組及び機関車労組等はいわゆる藤林あっせんを尊重して、正常化の方向に努力していて下さるのであるから、私どものようにことに労働大臣として労働組合に一番関係の深い者としては、親心として、良識を持った全逓労組がだんだんとこういうことは改めていただくということを期待いたしておるわけであります。
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河野密#26
○河野(密)委員 いろいろ言われましたが、私の質問の趣旨には答えにならないのです。その批准の条件として、全逓の問題がある限りは批准の手続はとらないというのは、一体これと労働問題懇談会の答申とどういう関係があるのですか、そういうことを聞いているのです。
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倉石忠雄#27
○倉石国務大臣 先ほど申し上げましたように、第二項のところで、「要は労使関係を安定し、業務の正常な運営を確保することにあるので、特に事業の公共性にかんがみて関係労使が国内法規を順守し、よき労働慣行の確立に努めることが肝要である。」と、これはやはり労働政策を担当いたしておる私どもの立場からいたしますならば、この答申の精神がうたっておりますように、労使双方に法を順守してもらうというふうに仕向けていかなければならない、こういうことを言っているのであります。特に違法な行為をわざわざ故意にやられるようなものが出てくるという段階においては、私はやはりこの条約批准というものについては慎重な態度をとらなければならないだろうと思います。
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河野密#28
○河野(密)委員 今の倉石労働大臣の御答弁によりますと、この答申案の第二項の終りの方の、私が先ほど何べんか申し上げましたように、一種の注意事項として書いてある。しかもこれは国内法規を順守するということが批准の条件になるということを言いましたのは、この労働問題懇談会の答申案がきまるときに、経営者側の委員だけが言ったことなんでありまして、ほかの公益関係の委員も、それから労働関係の委員もそういうことは言わなかった。使用者関係の代表者だけがそういうことを言ったのであります。それを政府が取り上げられて、そうしてしかも閣議決定の条項の中に、全逓の労組の労使関係が正常化されるまでは批准の手続をとらない。——これは私はどうしても理解することができない。これは一つ総理並びに労働大臣から明快に答弁してもらいたい。閣議決定事項ですよ、これは。
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倉石忠雄#29
○倉石国務大臣 ILO条約の批准ということは、政府ももちろん日本国民も、このILOの精神を尊重するということにすべてが集約されてこなければならないと存じます。そこでILO八十七号条約の第八条の一項には「この条約に規定する権利を行使するに当っては、労働者及び使用者並びにそのそれぞれの団体は、他の個人又は団体化された集団と同様にその国の法律を尊重しなければならない。」ということをいっているのであります。従ってその国の法律が厳存している以上は、やはりその法律を守っていただくということにしなければならない。従って今私どもがいろいろ労働組合側とどの労働組合とも緊密におつき合いをいたして、よき労働慣行を作るために努力している最中でありますから、いろいろなことを公けのところで言うことはなるべく遠慮して、そうして自主的にその労働組合がこのILOの精神を尊重してもらうように御相談を進めておるわけでありますから——ひとり全逓に限らずほかでもそうであります。従って私どもの精神がそういうところにあるということを御理解を願って、一つ御協力をお願いしたいと思います。
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