法務委員会

1965-08-06 衆議院 全96発言

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会議録情報#0
昭和四十年八月六日(金曜日)
   午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 濱田 幸雄君
   理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君
   理事 鍛冶 良作君 理事 小島 徹三君
   理事 田村 良平君 理事 坂本 泰良君
   理事 細迫 兼光君 理事 横山 利秋君
      唐澤 俊樹君    小金 義照君
      四宮 久吉君    中垣 國男君
      森下 元晴君    井伊 誠一君
      神近 市子君    長谷川正三君
      志賀 義雄君    田中織之進君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 石井光次郎君
 出席政府委員
        法務政務次官  山本 利壽君
        検     事
        (刑事局長)  津田  實君
        法務事務官
        (入国管理局
        長)      八木 正男君
        自治事務官
        (選挙局長)  長野 士郎君
 委員外の出席者
        警  視  長
        (警察庁刑事局
        捜査第二課長) 関根 広文君
        大蔵事務官
        (国税庁調査査
        察部長)    志場喜徳郎君
        専  門  員 高橋 勝好君
    —————————————
八月五日
 委員長谷川正三君辞任につき、その補欠として
 横路節雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員横路節雄君辞任につき、その補欠として長
 谷川正三君が議長の指名で委員に選任された。
    —————————————
八月五日
 木古内簡易裁判所等存置に関する請願(田中正
 巳君紹介)(第一一号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 法務行政及び検察行政に関する件
     ————◇—————
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濱田幸雄#1
○濱田委員長 これより会議を開きます。
 法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。坂本泰良君。
 なお、きょうは特にお暑うございますから、法務大臣並びに政府委員の方々上着をお脱ぎください。
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坂本泰良#2
○坂本委員 私は今回の参議院議員選挙に際しまして、選挙違反が続出しているのをまことに遺憾とするものであります。一番いま問題になっておりまするのは、専売公社関係の小林章氏の関係、これは官権候補といわれています。もう一つは全共連と申しまして、全国共済農協連合会の会長であり、立候補いたしました岡村氏の関係、これは金権候補だ、こういわれておるわけです。その他これに類する選挙違反は多数あると存じますが、この二つの選挙違反につきましてがいま非常に問題になっておりますから、まずこの二つの選挙違反に焦点をしぼりまして所見をお伺いしたいと思います。
 その第一は、選挙違反と申しますと、公職選挙法違反に対する事実を摘発して、それに対して処罰をする。さらには連座規定でその当選を無効にする、こういうことに焦点をしぼられるのでありまするが、私はここにさらに考えなければならないと思うのは、共済連の岡村候補は、動いた金は五、六千万円に達するのではなかろうか、こういわれておりまするが、岡村氏自身にはこのような金はないと私は思います。どこからこの金が動いたかと申しますると、やはり全共連を中心とした全国の農協、ことに農協中央会、これから出た金ではないかと思うのであります。したがって、私はこの際大臣にお聞きしたいのは、この行為は、これは選挙違反になると同時に、さらに刑法上の背任、横領の問題に関係すると思うのであります。したがってこの取り調べにあたりましては、単に選挙違反だけでなく、背任、横領の刑法上のこの責任が、私はさらに重大ではなかろうかと思います。それに対するところの捜査の方針等について承りたい。
 なお、あわせてこの小林章氏の関係、これは先日来参議院の議院運営委員会におきまして、阪田総裁並びに官房長官も出られまして、その責任を認めておった、そういうことの経過がありまするが、これは単に総裁がやめるだけの問題ではない。この専売公社に関連して選挙違反に問われた者は、公金を流用しておる。公金流用というのは、公金に対する背任、横領の問題だと私は思うのであります。したがって、捜査においては、刑法上の問題については、選挙違反に対しても重大でありまするけれども、なお重大だ、こういうふうに考えまして、双方を捜査して、そうして処分をしなければならない、こういうふうに考えますが、まずこれに対する大臣の御所見を承っておきたいと思います。
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石井光次郎#3
○石井国務大臣 今度の参議院選挙の違反事犯につきましては、厳正なる態度をもってこれに向かうように検察当局に特に指令をいたしまして、いまその方針に従って検討を行なって、まだ終了いたさないのでございますが、その中で、お尋ねの小林章、岡村文四郎、この両人に関連いたしましての選挙違反事項というのは非常に広範にわたっておりまして、まだ完全に調べ上がっている状態ではありませんが、たくさん全国であがりました中でも一番目立った存在だと思うのでございます。その内容につきましては、まだはっきりしない点も多々あると思いまするが、いままでわかっておりまして、申し上げ得る点につきましては詳しく刑事局長から申し上げさせることにいたします。お聞き取り願いたいと思います。
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津田實#4
○津田政府委員 ただいまお尋ねの小林章派の選挙違反につきましてでありますが、同事件は、日本専売公社地方局、支局、出張所の職員が、その地位に伴う影響力を利用いたしまして、全国区候補者小林章のために選挙運動を行なったという公務員等の地位利用、すなわち公職選挙法第百三十六条の二、第二百三十九条の二の事犯を中心とする全国的な規模にわたる選挙違反でございます。現在、これらの違反につきましては東京、山形その他合計二十九検察庁におきまして、個々の違反事件の実態はもとより、これに関連して供されたとうわさされる資金関係につきましても、鋭意捜査を進めております次第でありまして、次第にその違反の全貌が明らかにされつつあるのであります。
 八月四日までに法務省に入りました報告によりますると、小林派の違反事件におきまして検察庁が受理いたしました違反者の人員は、公社職員関係で百九十五人、業者関係で百二十九人、合計三百二十四人でございます。
 それらの者の違反の態様といたしましては、公務員等の地位利用をはじめといたしまして、事前運動、文書違反、戸別訪問、供応、買収等の多岐にわたっており、そのほか証拠隠滅関係も若干存在するようであります。
 なお、右人員中に公社職員関係の相当数の者は逮捕、勾留をされて取り調べを受けておりまして、また、これまでの報告によりますと、すでに東京、水戸、山口、山形の各地方検察庁におきまして、合計十三人を公務員等の地位利用によりまして公判請求をいたしております。
 以上が小林幸派の選挙違反の現況でございます。
 次に、岡村文四郎派の選挙違反でありますが、同事件は、全国共済農業協同組合連合会長である岡村文四郎候補のため、同連合会の幹部役職員が主体となりまして、全国農業協同組合中央会、全国販売農業協同組合連合会等と関係団体及びこれら傘下の各種団体の役職員等を交えて行なわれたものでありまして、買収、文書違反、戸別訪問等の各種事犯が検挙されております。これらの違反は、東京をはじめ約十七地方検察庁において鋭意捜査を進めておりまして、次第にその全貌が明らかにされつつあるのであります。
 八月四日までに法務省に入りました報告によりますと、岡村派の違反事件で検察庁の受理いたしました人員は百十人であります。そのうち四十六人が身柄を拘束されております。その内訳は、買収六十一人、戸別訪問三十人、文書違反四十六人となっております。なお、これまでの報告によりますと、すでに東京及び水戸の各地方検察庁におきまして六人を買収及び文書違反で起訴いたしておるのでございます。
 なお、お尋ねの小林派及び岡村派の違反で買収資金として流れた資金の関係であります。選挙資金ないし買収の疑いを持たれております金員の額及び出所につきましては、目下検察当局において鋭意捜査中でありまして、遠からずその真相が判明するものと考えられるのでありますが、現段階におきましては、まだお答え申し上げられるものはないわけでございます。
 なお、この選挙資金ないし買収の疑いを持たれる金員が、日本専売公社または全国共済農業協同組合連合会等の資金から、これらの団体の事業目的と無関係に支出されたものであるかどうかという点が問題になるわけでありますが、もし無関係に支出されたものであることが明らかになった場合には、それらの支出行為が横領、背任等の刑法犯に触れることの疑いも生ずるわけでありますが、その点につきましては、目下鋭意捜査中でありまして、いまだ確定的なお答えを申し上げる段階には至っておりません。
 以上であります。
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坂本泰良#5
○坂本委員 そこでもう一つ、これは刑事局長でけっこうですが、この岡村派の事件でこの選挙の主体となるものは入院あるいは逃走をしておる。これは新聞によりますと、計二十一人が岡村派については逮捕されておりますが、さらにこの総括主宰者、全共連黒川泰一常務理事、これは入院中としてある。それから出納責任者、農政研究会職員細江芳久、岡村議員の秘書、全共連秘書室能勢調査役、いずれも逃走中、こういうのがございますが、これについては、厳重にいまのうちに、逃走中のはこれをあばき出してやらなければいかぬ。入院中というのは、こういう地位の高い者で金の自由になる者は、病気を仮装して入院する者がある。そういう点については厳重にこれを究明してその捜査を進めなければならぬ、こういうふうに考えられるわけですが、その点についての処置はどういうふうになっておりますか。
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津田實#6
○津田政府委員 ただいま御指摘の具体的な人につきましては、一々調査をいたしておるわけではございませんが、入院者等が出る場合ももちろんございますので、その場合には厳格な医者の診断を受けさせることによりまして、これが取り調べにたえ得るかどうかということを十分検討いたしまして、取り調べにたえ得る者につきましては取り調べを行なっていく、こういう態度を堅持いたしておるわけでございます。
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坂本泰良#7
○坂本委員 なぜ私がこういうことを質問するかと申しますと、従来の例によりますと、入院中とか逃走中といって——いわゆる選挙についてはある一定の時期に捜査の打ち切りということがある、それをのがれればいいというので、結局選挙違反については、大きい選挙違反であり、また有名人その他、こういう地位にある人の選挙違反については、竜頭蛇尾の感がある。幸いにいま外務大臣をしておる人の選挙違反については、その主宰者が、沖繩に逃げかかっているのが鹿児島でつかまりましたから、その全貌がわかるということになった。なお、前回の参議院選挙の際の鮎川義介氏親子の選挙違反については、これはその捜査が急速に進められまして、その内容が判明いたしましたから、ついに両氏は、当選したせがれのほうも、その当時参議院議員であった鮎川義介氏も、その職をいさぎよくやめられて、そうして前非を悔いて、その裁判に対しての情状の点については、これは相当考慮があったと思いますが、そういうような処置に出られた点もあるわけです。
 ところがこの専売公社の問題につきましては、阪田総裁が責任をとると申しましたけれども、小林章氏は自民党と離党しただけで、何ら責任の点を考えていない。岡村氏派の選挙違反につきましては、その総括責任者は入院をしておる、その重要なる選挙の参画に当たった者は逃走中である。もしこれをいまにして逮捕し、あるいは入院者に対しては臨床尋問、こういうことでもして急速にやらなければ、その真相の把握はできない、こういうふうに考えられるわけであります。本件については、小林氏についても岡村氏についても、本人自身は何ら反省の色がない。ただ自分の所属する政党に迷惑をかけてはならないというところで離党しておる。しかしながら、選挙というのは参議院議員の選挙であり、当選をしておる。その当選をした者が、このような選挙違反が出た以上は、半年あるいは一年後の裁判の処置を待つまでもなく、この参議院議員の職を辞して天下にその恥をさらし、天下に申しわけないということを証明しなければならない。私は法は違反者を処罰するだけではなくて、それによって当選した議員そのもの自身は反省をしなければならない、それでなければ選挙の粛正も、公明な選挙も、幾ら口に言い、かね太鼓で騒いでもその実現はできない、こういうふうに思うわけであります。したがってこの岡村派の捜査については、その重要な者が逃走中であり、入院しておる、こういうことになっておりまするが、この点については早急に、どういうお考えを持っておりまするか、ひとつ大臣の御所見を承っておきたいと思います。
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石井光次郎#8
○石井国務大臣 岡村派の嫌疑を受けた人たちが、どういうふうになっておるかということは、私は個々の場合は承知いたしておらないのでありまして、どういうような情勢で、入院中の診断が——そこで調へるというようなことが不適であるやいなやということも研究いたしまして、それができることでありますれば、事件を早く片づけるという意味におきましても、入院中でも調べをやれるというものならばやっていくというぐらいな心組みで話は進めていきたいと思います。十分調査した上でいろいろやっていきたいと思います。
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坂本泰良#9
○坂本委員 時間がございませんから、個々のいろいろの問題についてはまた別の機会に譲りまして、もう一つお伺いしたいのは、これだけの、全共連にしましても、五、六千万円の金が動いておる、これに対して私は、岡村氏自身の金は、これは失礼だけれども持ち合わせがないと思うのです。やはり全共連に関係して金が支出されておるし、なお全共連にしても、これだけの金を支出する以上は、岡村氏に関係なしに、また岡村氏の承知なしにこういうような金の支出はできないと思うのです。私は、当選をすればその者に対しては捜査をあまり強くやらない、そこに欠点があると思うのです。やはりこれだけの金を動かした岡村君に対しては、刑法上の関係があると私は確信をいたします。この点について私は厳重な捜査を進めてもらいたいと思うのであります。
 さらに、この専売公社の関係にいたしましても、公金の流用ということがいわれておる。この事件は地位の利用もありまするが、やはり専売公社の公金が買収その他に使われていると思う。その点については厳重なる捜査を進められると同時に、これを支出するについてはたばこ業者との重大な関連を持つところの小林氏に関係なしにこういうことはできないと私は思う。したがって私は、小林、岡村両人に対して徹底的な捜査の手を進めなければ、ほんとうの今度の選挙違反の核心はつかめない、こういうふうに思うわけですが、この両名に対する捜査の方針はどういうふうに考えておられるか。
 さらにもう一つは、この公金の流用並びに全共連その他農協関係の金が出ておることについての問題は、先ほど刑事局長の御説明では買収としてのことを中心にして調べられておりまするが、いわゆる背任、横領の問題、この問題についての捜査はどういうふうにしてやっておられるか、買収が明らかになればそれに付随して背任、横領の問題も自然と出てくるから、その際に起訴をするとか、そういうふうな捜査を進めるか、こういう点について承っておきたいと思います。
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津田實#10
○津田政府委員 先ほども申し上げましたように、当該事件に関連する選挙資金、ないしは買収の疑いが持たれている議員につきましては、検察当局において、その出所等に関して鋭意捜査中であると申し上げましたが、そういう意味において資金の出所を捜査中であり、また資金の支出関係について、背任、横領等があれば当然これは捜査の対象にいたしておることも先ほど申し上げましたとおりでございまして、その方針で進んでおるわけであります。でありますが、具体的にどういう内容を持った事実が明らかになっておるか、あるいはどういう証拠をつかんでおるかという点につきましては、私はもちろんただいま存じませんし、またこれはちょっと申し上げかねる次第でございます。
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坂本泰良#11
○坂本委員 小林、岡村この両人に対する捜査は進めておられるかどうか、どういうふうにされるか、その点承りたい。
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津田實#12
○津田政府委員 ただいま申し上げましたように、本件ですでに起訴をされておりますし、またあるいは犯罪容疑で捜査している者が多数にのぼっているわけであります。その捜査に関連いたしまして、いまの選挙資金あるいは買収にかかる金の出所というものを捜査いたしておるわけであります。その間に、どういう端緒をもってこの候補者自身に捜査の手が伸びるかどうかということについては、いま何とも申し上げかねる次第でございます。
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坂本泰良#13
○坂本委員 これで質問を打ち切りますが、やはりこの事件は小林、岡村両君の選挙に際して生じたものであり、この町名が、そのみずからの多数の選挙違反に対して関連がないとは申し上げられないと思うのです。ですから、その点について十分留意して、その派の選挙違反を調べる。付随的の調べでなくて、もっと積極的に、小林にしても、その地位の利用についても、あるいはたばこ業者の買収等についても、公金の流用については小林自身が関係があると思う。またこの全共連その他農協関係の五、六千万の金が出るということについては、これはやはり刑法上の因果関係が必ず岡村氏自身にあると思う。これを厳重に捜査をし、そうして処罰しないことには、やはり大ものに対する、またこういったものに関連しておるものの選挙違反の今後の戒めにも私はならないと思うのでありますから、ひとつ大臣はじめ、この点については現在の国民感情に反しない、また竜頭蛇尾に終わらないような捜査を進め、厳重な司法上の処置を要求されるということを要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
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濱田幸雄#14
○濱田委員長 横山利秋君。
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横山利秋#15
○横山委員 この機会に、大臣就任以来初めてでございますから、やや一般的な問題も含めて大臣の所見を伺いたい。
 まず第一に、南漢宸氏に対する法務省と外務省との扱いに、いささかニュアンスの違いがあるようであります。法務省は、新聞の伝うるところによりますと、原水禁大会参加のためという入国目的からは逸脱しているが、内政干渉的な発言として過大視する必要はないとの判断から、特に政治問題として取り上げない方針をきめた。外務省のほうは、明らかに内政干渉と見て取り上げておる。法務省の立場はそれより多少弱いのであるが、八木入管局長は、南氏の入国に対して代理申請をした日本原水協関係者に遺憾の意を伝え、今後南氏らが慎重な行動をとるように要望を伝えられておる。他方、失礼な話でありますが、大臣が国民政府並びに韓国と非常にじっこんな歴史的な関係があるという意味において、これは近く来日する国民政府の外交部丘に対する、まあ気がね的な政治的な意味があって、取り上げるならとことんまで取り上げてもいいんだけれども、国民政府向けにこの問題を取り上げておる。政治的に南漢宸氏の発言を取り上げておる。いままででもこういうことはあったのだけれども、特に外交部長向けにこの問題の処理を考えたという政治的判断があると伝えられておるのでありますが、南漢宸氏に対する問題について、法務大臣としてどういうお考えなのであるか、率直な御意見を伺いたいと思います。
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石井光次郎#16
○石井国務大臣 南漢宸氏並びにその御一行二十数名が日本の原水協の会に列席するために出てくるということでの話は、日本側の世話人から申し入れがございました。昨年は十五名ほどの人を許しておった。あるいはそのくらいの人を許したらどうかという意見もあり、いろいろな考え方があったわけでございますが、ずっとその人たちの経歴等を調べまして、特にこの際この人はいま日本に来ては好ましくないという人を取り上げて指名する必要はないようである。それならばこの際人数や期間で値切ってみたって同じことだから、きれいに許そうじゃないか。そのかわりに、その人たちにはひとつ注文を出しておいたらよかろう。日本においでになって、そうして日本の公安を害するような、日本の平和を乱すような言動があってはならぬことはもちろんでありますが、友好国との関係を悪くするような言動は十分慎んでいただきたいということをよく話しておいて、それを了承して来ていただくように言ったらよかろう。これは事務的に取り扱おうというので、これは私が私の配下で扱うただ入国管理の問題として、入国管理局長から、それぞれの関係部署にそれだけの注意をして入国を許したわけであります。ところが、奇異なことに、この間の南漢宸氏の歓迎会においての発言は、あまり好ましい発言とは私も思っておりませんが、発言があったわけです。この間の入国の際の約束とは少し離れておる。で、当該局長から日本の世話役の人に、これは入国の際、君らを通して御本人たちにも伝えてあるはずだが、少しくそれておると思うのだがということ、決してそれをそのまま認めておる心持ちではないということをはっきりと伝えておいたほうがよかろうということを、私は当該入国管理局長に話をいたしまして、入国管理局長から事実を確かめて世話役の人に伝えたか、伝えることにしておるわけであります。それはまだ伝えてないかもわかりません。外務省とどういうふうな関係になっておりますか、私は外務大臣とは打ち合わせも別にやっておりません。内政干渉になるとかならぬとか、そういうふうな打ち合わせも別にいたしておりませんが、これはおのずから別問題でありまして、法務省としての扱いといたしましては、そういう関係のみで、非常に事務的に、冷静に扱って冷静な態度でやる。私がコレアン・ロビーとかフォルモサ・ロビーとか言われる。言われたって一つも何とも思いませんが、それがためにこういうことを右左するようなちっぽけな考えは持っておりません。
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横山利秋#17
○横山委員 重ねて別な角度からお伺いいたしますが、先般、吉田書簡には、三木通産大臣によって、政府は拘束されないという答弁がありました。要するにそれは貿易関係に関しましては、三木発言はゆるやかな線をとる、こういうふうに考えたものだと思うのであります。さすれば、これは明らかにひとり通産大臣のみならず法務大臣としても、入国管理に関しましては、貿易の問題については、今回の三木発言並びにそれに関連する政府閣僚の発言と同じように、いままでよりはゆるやかな立場で考える、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
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石井光次郎#18
○石井国務大臣 三木発言が少し誇張されて伝えられているのじゃないかと私は思うのであります。三木君の発言も、要するにあれは私信であると言うたのでありまして、私信に違いないのでありまして、法律上にそれが日本の政府の行動を縛るものでないことは当然のことであります。これは前からきまっております。総理大臣も年じゅうそれを聞かれていることであります。だから、いまさら三木君のああ発言したことを、新聞の諸君が取り上げているのがおかしいのでありまして、いままでと変わらないわけであります。私も新聞出身ですが、よほどそのとき紙面があいておったのだろうと思っている。それは冗談でありますが、私は中共との貿易は前向きでやってけっこうだという意見なんです。前向き論者です。ただこの前からの輸銀の問題の扱いについては、私は反対意見、私は法務大臣としてでなく、政治家として反対意見を持っている。これは政経分離という立場から、商売されるなら、商売は商売でやったらいいじゃないか、商売ベースでやるもので、日本の商売人も輸銀なんかにたよらないで、自分の商売ベースで市中銀行と話し合ってやったらいいじゃないかということが、私の非常に素朴な考え方なんでありますが、それはそれとして、貿易は盛んにすべしという考え方であります。三木君の発言のあるなしにかかわらず、貿易はやっていく、盛んにしてよろしいという考え方であります。ただいま、何だか中共との貿易はとまっているような状態に見えるのは、ニチボーのプラント輸出の問題に輸銀問題、それからもう一つは、日立造船の場合の問題というようなときに、かってに輸銀問題の話が出ておって、中に入った人がかってなことを言うておったかどうか知りませんけれども、意思がお互いに疎通し合ってなかったんだろうと思うのであります。それだからちぐはぐになってしまった。どちらも約束違反じゃないと思うのでありますが、意思の疎通がなかったんだと思うんです。ああいうことのないようにちゃんと話し合いをして、できるものならできる、できないものならできないということでやったらいい。輸銀問題などは、これは日本の国の政府が、日本の国が自主的に考えるべき問題であって、台湾から言われたからあれは断わったとかなんとかいうものじゃないと思うんです。そのときも私はそう言いました。台湾に行ったときにも、台湾の諸君にもそう言ったんです。これは台湾の蒋介石政権の反対があってやめたんでも何でもありません。日本は日本の自主的な立場によってやるのであります。これは私はそう思っておる。今後もこの問題は日本は自主的に考えていくべき問題だと思っています。貿易はやっていくという方向も打ち出しておる。この間の三木君の発言によって、あらためて日本の政府が中共と貿易をしようというんじゃないのです。中共のほうが輸銀問題ですねられたようなかっこうになっておったのを、平たい心持ちになって、そうして商売を商売のベースによってやろうとされる行動がどんどん起こってくれば、私どもはそれに賛成の意を表します。その関係で日本に来られるような方たちに対しましては、できるだけの便宜をはかりましょう。それにかこつけてほかの行動をされる場合には反対するかもわかりません、そのビジネスのためならどんどん賛成します。文化交流その他の交流では、いままで反対しておることは一つもありません、そうそう心組みです。
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横山利秋#19
○横山委員 さすがに、失礼ですが大物大臣といわれますが、歴代の法務大臣に比べますと、率直に所信を披瀝されたことを感謝します。ただ私の理解からいいますと、吉田書簡は、大臣が言われるほど形式論の問題ではないように私は理解しておるのであります。といいますのは、吉田書簡が出されるときには、総理もこれについて了解を与えられたという節が当時あるのであります。今日それは政府の知らぬことだ。いま大臣のおっしゃるような単なる、と言っては失礼ですが、形式論としてその当時から取り扱えばいいのでありますが、一たん政府が拘束されるということを議会で言ったのであります。それがいま拘束されないという答弁に変わったのであります。その点はきわめて私は重視せざるを得ないのであります。いま大臣がおっしゃるように、貿易ならどんどんやってくれ、そして輸銀を利用するかせぬかは輸銀で自主的に判断すればいい、こういうふうにそれだけおっしゃるならば、私も翻然として了解いたすのでありますが、あなた個人としては輸銀を使うことに反対だ、こういうふうにおっしゃるし、それから歴史的なそういう拘束される、されないという経緯がありますだけに、三木さんの発言というものが政治的に角度を変えたんだという私の主張は国民がそう思っておるんだ。
 それでは、あらためて二点お伺いいたします。輸銀を使用するかしないかについては、これは政府の関知したことではない、輸銀の自主的な判断にまかせると理解してよろしいかということ。
 もう一つは、ほかの例を引きますけれども、貿易であるならばどうぞ御自由に、共産圏といえども入国を認めるにやぶさかでないということは、北朝鮮の貿易問題についても同様に言い得られるものであるかどうか。その二点をお伺いいたします。
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石井光次郎#20
○石井国務大臣 輸銀関係の問題は、原則的に私はいま申しましたとおりのことは当然だと思っております。実際問題といたしまして、いま起こるべきことではないと私は思っておりますが、趣旨としてはそのとおりである。そしていつかはそういう問題がもっと用いられるときもある、用いられないときもあるというような時代がいろいろくるということもあり得る。そういうことには、よそのほうの指図は受けない。平たく言えば、中共からも指図を受けない、台湾のほうの蒋介石政権からも指図を受けない。日本は日本自身で考えたいという心持ちだということに御了承願いたいと思うのであります。
 それから北のほうの朝鮮から、経済的に貿易あるいはプラント輸出とか何とかいう問題のときに来る場合はどうだという問題でありますが、これはただ商売をしたいから入国さしてくれというだけでは、いまのところ簡単に許せない。と申しますのは、ただそういうだけなら、おれは商売するつもりだといってかってにどんどん来られると、自由交通と同じことですから、目的欄に商談のやめ、貿易のためと書けばいいというだけでは私はいかぬと思う。ところが具体的に何らか話し合う、たとえばどこかのプラントを日本から買おうという話が進んだ、しかしそのプラントをぜひ見て、その部分品の工場なんかはどうなっておるのか、自分のほうでできるのか、あるいはこちらの部分品の工場もついでに見ておくとどうなるかというような、そこまでくらい、資金の手当はこういうふうにできておる、もう話がほとんどコンクリートのものにだんだんなっておるというような場合になって、これにはこういう技術者とこういう技術者と、こういう関係者が日本に来てもらいたいんだということが、日本側と向こう側の話し合いの当事者から申し出があれば、それは私は許すつもりです。
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横山利秋#21
○横山委員 大臣としては、きわめて常識的な話だ。ところが大臣、そのこと自身もいままで許さなかったのですよ。私も二、三体験をしたことがありますが、やはりブラント輸出があって、横浜付近に工場がある、その工場を引き取りに行くために、検査のために、来日を許してもらいたいということも、二、三年前は具体的事件でありますがだめだった。大臣が、それじゃあらためて過去を調べてみる、そういうことはいかぬから、もう一ぺん変えるとはおっしゃらないと思いますが、少なくとも北朝鮮からの貿易上の入国については、いままではきわめて厳格に、もうネズミの子一匹も通さぬ、来させぬという状況であったということだけは、大臣ひとつ御認識を願いたい。大臣がいまおっしゃるように、純然たる貿易で取りきめがきちんとできておるならば、ケース・バイ・ケースで認めていこうというふうに公式におっしゃったことは、私はきわめて意義のあることだと思います。そういうことについては過去、あるいは御存じなかったかもしれませんけれども、今日以降そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
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石井光次郎#22
○石井国務大臣 いまあなたもおっしゃったとおり、ケース・バイ・ケースで審査いたしまして、現に一つ話が私の耳に入っているのがあります。書類で出ておるかどうか知りませんが、それは、話を聞きまして、それはよかろうじゃないかということで、口頭で私は賛意を表しております。そういうものが話が進んでくるようになれば許すつもりであります。
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横山利秋#23
○横山委員 次は、先ほどの選挙違反の問題でありますが、私は法務大臣であるあなたと、閣僚であるあなたと、両方から質問をしたいのであります。
 先ほど坂本さんからいろいろお話が出ました。もっぱら法務大臣としては、閣僚としてのお立場のようでありましたから、その意味で御意見を伺いたいのでありますが、私は岡村派といい、小林派といい、その選挙違反が出てくるべき条件があった。たとえばたばこの小売りの認可であります。三十八年までは、小売りの認可の期限は三年の更新だった、それを二年に変えた。だから二年になったから、ことしの参議院議員選挙の直前に認可の期限がきたわけであります。そうしたら、今度はまたそのときに三年にしたわけであります。三年にしたか、未来永劫小売りの認可をするのは参議院議員選挙の直前になったわけであります。ですから、今回あったことは、三年後も六年後も九年後も同じ条件に参議院選挙でわっとなっているときに、小売りの認可をする時期にくるわけであります。それを大蔵委員会で私数日前指摘しましたら、それじゃ二年ごとにまたするということに直したわけであります。そういうことを変えたことはともかくとして、変え方がまた私は、今度は別な角度で問題になる。先ほども理事会で、同僚委員諸君と笑っておったのでありますが、お酒の認可は、これは期限の更新はないのであります。一たん認可したら、悪いやつは取り消しをする。今度は参議院選挙には関係ないけれども、お酒と全く違って、たばこと塩は、いままでは三年だったものを今度は二年ごとにいじめられる。だから私は、あなたが選挙違反を厳重に公務員のあり方として追及をし、違法なものは処分をさせるという立場をとられると同時に、閣僚として、今度の参議院選挙によって学び得た経験というものを、一番よく知っている立場になるわけでございますから、この問題を前向きに解決をしてもらいたいと思います。
 もう一つは、いま言った小売りの認可の問題の方法であります。酒が未来永却、悪いことをしたら取り消すけれども、悪いことをしなかったらずっと認可される。たばこと塩だけは、三年ないし二年ごとにいやらしいことを言われる。専売公社の総裁に言わせれば、今度だって、取り消しをしたものは二百軒か三百軒くらいしかないんだから、こうおっしゃっておる。しかしあとの数万軒の人たちは、いやらしい顔をして見られるわけです。そのいやらしい顔は、今度どういう顔をして言われるかということになってくる。
 それから第二番目の問題として、今回の選挙違反の問題が、ほとんどといっていいほど、地位利用であります。つまり、過ぐる選挙制度の審査会で与野党が一致していたしました高級公務員の立候補制限、そこに前向きに問題を持っていかなければ、百年河清を待つようなものではないか。大臣は、民間出身の方でございますから、この点がよくわかっていただけると思うのでありますが、そういう高級公務員の立候補制限のほうに問題を前向きに持っていかなければならぬのではないか。あるいは公社の内部監査制度、私は公社の公社たるゆえんは、一つの自主経営の幅を認めるということであるから、それを監督権限を強めるということについては、私は角をためて牛を殺すたぐいであり、これは賛成しません。しかし公社としても、それぞれりっぱな人がおるはずだから、なぜ内部監査制度をもっと徹底して行なわれないのか、内部監査の制度を徹底をするという方向に持っていくべきではないか。
 それから最後は、総理がおっしゃっていらっしゃる姿勢を正すということであります。総裁は今度おやめになりますけれども、何といいますか、おやめになる雰囲気というのは、必ずしもいい条件、いい雰囲気ではなく、まあ追われ追われてやむを得ずやめるというような雰囲気、これは総理大臣や、あなたがこの間ここでおっしゃったような姿勢を正すというような立場においておやめになったのではないような雰囲気でございます。そういうような高級公務員の姿勢を正すことに、ひとつ法務大臣として、閣僚として御努力を願いたい。あなたのこの間本委員会における所信表明を承りましたところ、非常に私感銘をしたわけでありますが、大臣におなりになったときに、自分が法務大臣でおることによって、おのずから一つの威圧といいますか、動かざる威圧、沈黙の威圧といいますか、それだけの自信を持ってあなたは法務大臣におなりになったと思うのであります。この経験を前向きに生かすようにひとつ御努力願いたいと思いますが、二、三、例をあげました問題について御意見を承りたいと思います。
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石井光次郎#24
○石井国務大臣 まことに適切な御忠言でございまして、公務員が国民から信頼感を失うということは、やがて政治に対する信頼感を失うということになる大きな点でございます。これについて、どう公務員を信頼せしめるかというような問題に、今度のような問題は一つの転機となりまして、考えなければならぬ問題が幾つかあると思うのであります。いま専売のたばこ、あるいは塩等の認可の期限、そういうことによって、やむを得ずいやいやながらこういった選挙の渦の中へ巻き込んでしまうというようなこと等も、十分考慮しなくちゃなりませんし、また第二におっしゃった公務員の立候補は、一体公務員をやめてすぐしていいものか、これは前からよく話がある問題でございまして、何とかもう少し進んで規制をすべきではないかという声は、在来ともあるわけでございます。こういう問題等も取り上げまして、そうしていまおっしゃった、われわれとともに公務員が、ちゃんと姿勢を正して仕事ができるというような方向に持っていけるように、私も閣内において、党の諸君とも、国会の方々の御援助を願いまして、そういう方向に話を進めるよに努力いたしたいと思います。
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横山利秋#25
○横山委員 ちょっとだめを押すようで恐縮でございますが、高級公務員の立候補制限につきましては、法務大臣としては、御賛成と承ってよろしゅうございますか。
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石井光次郎#26
○石井国務大臣 方向は賛成でございます。
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横山利秋#27
○横山委員 次は、森脇事件であります。森脇事件はその後本委員会も参議院選挙で取り上げておりませんが、現状いまどういうことになっておりますか。まず、その後の経過を伺いたいと思います。
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津田實#28
○津田政府委員 いわゆる吹原産業関係の事件のその後の捜査状況でございます。お尋ねの件につきましては、東京地方検察庁におきまして、本年四月二十三日から七月十九日までの間におきまして、吹原弘宣、森脇将光、株式会社森脇文庫平本方、大和銀行京橋支店の元支店長東郷隆次郎、及び同支店長代理木村元を、詐欺、私文書偽造、同行使、恐喝未遂、法人税法違反、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反及び商法違反(特別背任罪)によりまして、それぞれ東京地方裁判所に起訴をいたしております。起訴済みの概況につきましては、吹原弘宣と森脇将光との共謀関係におきまして詐欺罪による三つのものがございます。
 第一は、すでに当委員会で申し上げました三菱銀行長原支店から通知預金証書合計額面三十億円を騙取した事実、これは本年五月十四日起訴いたしました。
 次には東洋精糖関係でありまして同じく吹原、森脇共謀の上、額面五億円の約束手形、額面二億円の小切手、時価約三億円相当の宅地建物の権利書を騙取した事実、これは本年七月十二日起訴いたしました。
 また同じく吹原、森脇共謀関係におきまして額面十三億二千五百万円の約束手形、時価七億二千万円相当の株式約四百万株、被害者は朝日土地興業株式会社、これも本年七月十二日公判請求をいたしました。
 さらに吹原単独の詐欺罪といたしまして、時価約十三億円相当の株式七百五十万株を伊藤忠商事から騙取した事実であります。これにつきましても本年七月十二日起訴、公判請求をいたしました。
 次に、商法違反関係であります。これは特別背任でありますが、これは吹原弘宣と、先ほど申し上げました大和銀行の支店長の東郷隆次郎、木村元と共謀のものでありますが、被害総額二百九十四億七千七百万円、これは大和銀行関係の被害、これは本年五月三十一日に起訴、公判請求をいたしました。二百九十四億円と申しますのは、これは累計額でありまして、一時期においてかような高額に上っておるものではありません。
 なお、これに関連いたしまして、さらに捜査いたしました結果、株式会社森脇文庫についての法人税法違反、すなわち脱税の事実が明らかになって、これを起訴いたしました。これは昭和三十七年二月から昭和四十年一月三十一日までの三年度にわたりまして合計三十八億五千二百三十八万八千八百六十円の法人税法違反によって、株式会社森脇文庫及び森脇将光を起訴いたしました。
 さらにこのほかに株式会社森脇文庫の業務に関しまして、昭和三十七年十一月一日から昭和三十八年十月十五日までの間、前後二百三十回にわたり大橋富重なる者に対しまして合計四百八億七千六百四十六万四百円を貸し付けるにあたりまして、法定利息百円につき一日三十銭までは処罰されないわけでありますが、その利息合計十八億九千八十四万二千百二十四円を、二十六億二千四百四十五万七千四百七十六円こえる合計四十五億一千五百二十九万九千六百円の利息の契約をしたという出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反、この事件につきまして株式会社森脇文庫及び森脇将光を起訴いたしました。
 それから、なおこのほかにいわゆる黒金念書等関係の私文書偽造がございまして、その私文書偽造につきまして、およそ九つの事実について起訴いたしております。これは吹原及び森脇の共謀にかかるものでございます。
 そのほか森脇につきまして、三菱銀行に対して通知預金証書にかかる預金の返還を求めるに際して恐喝の行為がありました。その恐喝未遂の行為につきまして起訴をいたしておりますが、これはすでに前回の国会で御説明申し上げたとおりであります。
 大体、現在までは以上の点につきまして、処分を終わっておるわけでございます。
 それで、現在なお捜査中の事件といたしましては株式会社リコー関係、間組関係、あるいは藤山氏関係、平和相互関係の詐欺事件がありまして、これはいずれも告訴にかかる事実であります。この事実につきましては目下鋭意捜査中でございまして、まだ結論を得ておりません。
 なお、前国会におきまして、吹原弘宣をめぐる金銭の出入りについても、各事件関係におきまして鋭意調査をいたしておることを申し上げておりますが、その調査につきましても引き続き調査をいたしておりますが、まだ最終的な結果を得るに至っておりません。
 以上が現状でございます。
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横山利秋#29
○横山委員 大臣は参議院に行かれるそうでありますから、ちょっと本件に関しまして大臣にお伺いしたい点だけを申し上げて、大臣参議院に行っていただきたいと思います。
 それといいますのは、前法務大臣が参議院選挙の直前に、いきなり病院から出てこられて閣議に出て、新聞記者に会われて二つのことを言われたのであります。一つは、本件は参議院選挙前に片づくとおっしゃったこと、一つは政治家には関係がないとおっしゃったこと、この二つを言われましたので、衆参両院の法務委員会は一斉にこれを取り上げて、まだ捜査——検察陣が主力をあげて調査しておるうちに、これに水をぶっかけたようなものだ、これは明らかに第二の指揮権発動に類しておる。政治家に関係がないならば、ない理由を示せ、いま言わなければならない理由は何があるか、明らかにこれは自由民主党の選挙対策に類するものではないか、こう言って鋭く追及をいたしたわけであります。私は新任の法務大臣として、そのような世間に誤解を与えるようなことをおっしゃるまいと思いますが、大臣になられてから、いわゆる森脇、吹原事件について、いまどういうようなお考えで督励をしていらっしゃるか。
 それに関連いたしまして、実はこの森脇事件が驚くべき脱税事件に発展をいたしまして、いま国税庁でやっておるわけであります。あとでその具体的な点は刑事局長並びに国税庁にお尋ねするのですが、私の承知したところによりますと、三年だけやっておる。なぜ脱税事犯に関連する五年までさかのぼらぬか、こういうことが私のあとで聞きたい点でありますが、庶民としては、おそらくこれはとれないだろう。いやとれないのではなくて、ようとらないのであろう。中小企業やあるいはその他零細企業についての非常な追及がありながら、森脇のようなべらぼうもない、数十億、概算いたしますと国税、地方税を含めますと百億に達するといわれる脱税事犯について、ようとらない、それだけの度胸がないだろう。あらゆる法網をくぐっておる脱税でありますから、形式論、法理論からはあるいは問題があるかもしれないけれども、結局それだけの勇気がないであろう、こう庶民は言っておるわけであります。こういうようなことは、あとで具体的にお伺いをすることでありますけれども、検察当局と国税庁との連絡なり、関係なりは、一体どういうことになっているだろうか。なぜ一体五年まで脱税がとれるのに、三年しか訴追をしないのであろうか。話によりますと、刑事訴訟法の二百五十条によって、四年、五年になると、裁判になると負ける、公訴ができない、だからとても四年、五年は自信が持てないから三年にとどめる。脱税の問題は五年までできるのでありますけれども、国税庁もみすみすやらない、刑事訴訟法もそれを結局空文化している、こういうような法理論があるようであります。この事実についてはあとでお伺いをするわけでありますが、結局大山鳴動してネズミ一匹で、私どもに言わせれば、政治家に関係あるらしいんだけれども、そいつは指揮権発動で政治家はポイしちゃった。それで、脱税はこんなにあるといいながら、結局はようとらない、最後には、森脇、吹原に問題をしぼっちゃって、問題をあいまいにしてしまうのではないか、こういう庶民の検察陣並びに国税庁当局に対する非常な不信の感がいまあるわけであります。こういう点について、大臣の御意見を伺いたいと思います。
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