外務委員会

1970-06-10 衆議院 全153発言

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会議録情報#0
昭和四十五年六月十日(水曜日)
    午後一時二十三分開議
 出席委員
   委員長 田中 榮一君
   理事 田中 六助君 理事 永田 亮一君
   理事 山田 久就君 理事 戸叶 里子君
   理事 大久保直彦君 理事 曽祢  益君
      石井  一君    宇都宮徳馬君
      北澤 直吉君    鯨岡 兵輔君
      小坂徳三郎君    田中 龍夫君
      中山 正暉君    加藤 清二君
      松本 七郎君    中川 嘉美君
      樋上 新一君    不破 哲三君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
 委員外の出席者
        外務省アジア局
        長       須之部量三君
        外務省アメリカ
        局長      東郷 文彦君
        外務省経済局長 鶴見 清彦君
        外務省条約局長 井川 克一君
        通商産業大臣官
        房審議官    室谷 文司君
        通商産業省繊維
        雑貨局長    三宅 幸夫君
        労働省職業安定
        局審議官    小鴨 光男君
        外務委員会調査
        室長      吉岡 俊夫君
    —————————————
委員の異動
五月十二日
 辞任         補欠選任
  石井  一君     谷垣 專一君
  山口 敏夫君     大石 武一君
同日
 辞任         補欠選任
  大石 武一君     山口 敏夫君
  谷垣 專一君     石井  一君
同月十三日
 辞任         補欠選任
  楢崎弥之助君     加藤 清二君
六月十日
 辞任         補欠選任
  木村竹千代君     北澤 直吉君
  豊  永光君     田中 龍夫君
同日
 辞任         補欠選任
  北澤 直吉君     木村竹千代君
  田中 龍夫君     豊  永光君
    —————————————
五月十三日
 一、国際情勢に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件
     ————◇—————
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田中榮一#1
○田中委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸叶里子君。
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戸叶里子#2
○戸叶委員 私は最初に沖繩の毒ガスの問題がたいへんに沖繩で騒がれており、これは当然の問題でございますので、政府のお考えを問いただしていきたいと思います。
 昨年の七月に沖繩の米軍の基地の中で神経ガスが漏れて二十数名の中毒者を出したことで、米軍の沖繩基地に非常に多くの毒ガス兵器が貯蔵されているという事実が明るみに出されたのは、この委員会でも問題にされたところで、御承知のとおりでございます。
 そこで、その当時アメリカは、十二月に沖繩の毒ガス兵器は、ワシントン州のバンゴーに運ばれ、それからオレゴン州のハーミストンに近いウマティラ陸軍貯蔵所に輸送する、輸送作業は七〇年春に完了の予定というような発表をいたしまして、先月のジュネーブ議定書の審議のときにも、外務大臣がはっきりと、アメリカ側は公に、ことしの春までに沖繩から毒ガス兵器を撤去する約束をしており、現在運搬がおくれているのはアメリカ側の国内事情で現地に危険がないということを説得しているから、もう少し待ってくれというような了解を求めているのが現状でありますと、こういうことをあの当時答弁をされております。さらに外務大臣は、致死性のガスはもうなくなった、あるいはなくなりつつあるんだ、これはもうはっきり明確な事実でございますと述べております。私たちといたしましては、沖繩から毒ガスが撤去されるのは時間の問題だとばかり思っておりました。
 ところが先月の二十三日、この半年も前から公に約束しておりました米本国のオレゴン州への移送計画を中止するということが発表されて、その代案として今度はコージアク島を候補地にあげたわけですけれども、このアラスカの州の人たちも反対するということで、今度はどこへ持っていっていいかわからないというのがアメリカの現状のようでございます。
 一方、移転先もきまらないのに、保利官房長官も米側は早期撤去の方針に変わりはないというようなことを発表されまして、何かしら日本政府の口先だけの約束、こういうものが私どもは信じられなくなってきたわけです。これは私たち本土の人たちは当然ですけれども、沖繩の県民は一刻も早い撤去というものを望んでおりますけれども、そうしてまたテレビ等でも、高校の生徒がテレビに出まして、そうして私たちも人間性、人道主義の上からも毒ガスを撤去してもらいたい、こういうことを訴えておりますけれども、政府としては一体どういうふうなお考えで今日いらっしゃるのか、この点をまず最初にお伺いしたいと思います。
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愛知揆一#3
○愛知国務大臣 沖繩の毒ガスの問題については、ただいま御質疑がございましたような経過並びに現状でありますことを、政府といたしましてもまことに遺憾に存じておる次第でございます。
 で、前国会の当時に、私あるいはそのほかの者から申し上げましたのは、その当時の実情であり、政府としての考え方を明らかにいたしたものでございまして、基本的にはそれに何らの変わりはございません。したがいまして最近の事情、御承知のことと思いますけれども、念のため御報告を兼ねて申し上げますと、政府といたしましても、本件については重大な関心を持たざるを得ないので、さっそくアメリカ政府側に対しましてできるだけの措置、あるいは申し入れを行なっておる次第でございます。
 まず五月の二十五日東郷アメリカ局長から、スナイダー在京米公使を招致いたしましてアメリカの本件兵器の撤去方針には変わりはないことの確認を求め、アメリカ側としての確認をさせたわけでございます。同時に、二十七日でございますが、下田駐米大使からアメリカ国務省ジョンソン次官に対しまして、毒ガス兵器撤去先の変更にもかかわらず、沖繩よりの撤去の方針に変わりはないとの米国政府の基本方針の確認を求めました。あわせて、この基本方針に基づいて、撤去がすみやかに現実に行なわれるようにという日本政府としての申し入れを行ないました。これに対してジョンソン次官から、沖繩から毒ガスを撤去するという米国の方針には何ら変更がないことを確認すると同時に、撤去が現実にできるだけすみやかに実現し得るよう最大限度の努力を払うのは、米国政府の方針である旨の確言をとったわけでございます。
 さらに本月五日、私はマイヤー駐日米国大使に対しまして、沖繩の毒ガスの撤去について、重ねていま申しましたような要請あるいは確認をあるいは実行等を求めたわけでございます。これに対しまして、マイヤー駐日大使は早期の撤去という米国の方針を再確認するとともに、すみやかに善処を約束をいたした次第でございます。これが政府として本件につきまして、とっております最近における対米折衝の状況でございます。
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戸叶里子#4
○戸叶委員 いま外務大臣から正式にアメリカに対して撤去の申し入れをされたという、その具体的な事実を日付けをもってお伝えになったわけですが、実は先月の二十五日にわが党の伊藤教宣局長がアメリカの大使館に抗議に行って、そしてエリクソンという参事官にお会いしたところが、まだかつて日本政府が正式に毒ガス撤去を要請したことがない、こういうようなことを言われまして、私ども驚いたわけでございますが、いま外務大臣のおっしゃったところによりますと、ちょうどこの日から申し入れをされているようでございます。五月二十五日からされているようでございます。ただ問題は、そうした正式な交渉をされているにもかかわらず、アメリカ側はそれに対して撤去をいたしますとそういう約束をされている。すみやかに撤去をしなさい、すみやかに撤去をいたします、こういうふうなやりとりだけで、一向にこれの撤去をされるような様子が見当たらない。そればかりか、これの受け入れ体制というものがアメリカの側のほうではないようです。たとえば、どこどこの島に持っていこうと言えば、その島の住民が断わる。こういうようなことで、なかなか問題ははかどらないのではないかと、たいへんに私どもは沖繩の人たちばかりでなく、本土の人たちも心配をしておりますけれども、一体お見通しのほどはどのようでございましょうか。
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愛知揆一#5
○愛知国務大臣 この点は、私も率直に申しますと憂いをともにしているわけでございまして、その後におきましても六月五日以後におきましても、アメリカ国内におけるいろいろの情報などを収集するとともに、おりあるごとに具体的な早期の撤去、駐日大使の言います早急なる善処の内容について監視しているわけでございまして、すみやかなる実行策が行なわれて沖繩県民をはじめ、われわれが安心できるようにいたしたい。これを念願して、さらにできるだけの努力をいたしたいと思っております。
  〔委員長退席、永田委員長代理着席〕
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戸叶里子#6
○戸叶委員 いま私お見通しのほどを伺いましたが、政府自身もどのように、どうやって解決されていこうというような見通しもお立ちにならないようでございまして、私はたいへんこれは心配だと思うのです。と申しますのは、この毒ガス兵器の一部には、その容器がもうすでに耐用年数が限度にきていて、たいへん危険な状態におかれているということも伝えられているわけでございまして、こういうことももちろんその情勢を把握していらっしゃるとは思いますが、こういうことも御存じでございましょうか。これもあわせお伺いしたい。と申しますのは、ちょうど六月五日に、わが党の江田書記長がランパート米高等弁務官にお会いして、毒ガス兵器の即時撤去の要求をされましたところ、同弁務官は、沖繩での毒ガス兵器の安全管理は万全であります。御心配は要りませんということを強調しておられたわけです。ところがそういうように述べたその日に、皮肉にも原水爆禁止沖繩県協議会が明らかにしたところによりますと、美里村の米軍第二六七航空中隊近くの池でガスの入った容器が数百個見つかった。そしてこの容器は十数年前に製造されたもので、表面にM28という記号があった。そうして容器内のガスは人間の皮膚や目を刺激する毒ガスではないか、こういうふうに言われているわけでございまして、いわゆる容器自体も非常に危険なものになっている、年数が非常に古くなっている、こういうことが現地からも伝えられてきているわけでございますが、こういう状態を政府自身も把握していらっしゃるでしょうか。この点も念のために伺いたいと思います。
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愛知揆一#7
○愛知国務大臣 事実関係等につきましては、いろいろに報道されていることについて、必ずしも米側当局がさように——何と申しますか観察しているわけでもない点が多いようでありますが、それはともかくといたしまして、私ここにも現にいまも持っておりますけれども、本日は十日でございますけれども、十日の朝現在におきましても米側との間の現実における交渉、話し合いもいたしておるわけでございまして、率直に申しまして米側当局としての積極的な検討が鋭意進められておる。決して一部に報道されるような悲観的な、いつまでも置かれるとか危険な状態が放置されるというようなことは絶対にいたしません。積極的に検討を進め実行に移ろうとしておる。ただ、ただいま、すなわち本日朝の状況において撤去の日にち、時間をまだ決定的に申し上げることができないのを、先方としても遺憾である、こう言っておりますのがただいまの状況でございます。
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戸叶里子#8
○戸叶委員 国会でも始まっておりますと、私どももこうして委員会で政府にやんやと追及できますけれども、国会が始まっておりませんと、ただ、まだ撤去されない、まだ撤去されないといういらだたしさを感じるだけで、たいへん心配でございます。
 そこで、きのうの新聞を見ましても、アメリカが早期にガス兵器の撤去を日本に約束したものの、どうも引き取るところがなくて困っているんだというようなことも聞いておりますし、それからまた下田さんとジョンソン国務次官とが約束をされたにもかかわらず、早期に撤去すると約束をされたにもかかわらず、なかなかこれもむずかしい、こういうふうなこともいろいろ報道されているわけでございます。いまの大臣の御答弁を伺っておりますと、まあ日時ははっきり言えないけれども、早期に撤去するような話もあるようにもおっしゃっておられます。一方アメリカにおいてはガス兵器持ち込みを禁止するというような法案を作成したり通したりしているわけでございまして、私どもとしてはたいへんに心配でございますけれども、一体秋の選挙までにこれを通すというようなことはアメリカは考えているでしょうか。それともきょうおっしゃったニュアンス、外務大臣がアメリカ側と交渉をした話の中では、日時をいま言えないことは残念だということは、たいへん早い機会に、それは十日なり一週間ぐらいの間に撤去するであろうというような見通しが持てるようなニュアンスをお感じになっていらしたかどうか、この点を、やはり非常に心配ですから、もう一度お伺いさせていただきたいと思います。
  〔永田委員長代理退席、委員長着席〕
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愛知揆一#9
○愛知国務大臣 アメリカの政府といたしましても、正規の外交チャンネルを通してかつ高いレベルにおける折衝においての公の約束でございますから、アメリカ政府といたしましても非常に苦慮していることと私は考えております。それから国会のお話がございましたが、先ほども申し上げましたように私どもとしても非常に憂慮にたえませんので、国会のあるなしなどにはかかわらず政府としてもう連日のようにこの話は続けているわけでございますから、先ほど申し上げましたように日本時間の十日の午前八時現在における先方の態度がこうだということを申し上げたわけでございます。先方としては、具体的なタイミングをいまの時間で申し上げられないことは遺憾だけれども、誠意を尽くして早期撤去について積極的に検討しておる。
  〔永田委員長代理退席、委員長着席〕
 それからある場所はこれを移転する先として不適当であるとか、それが移転する先として適当でないと決定したとかいう報道もあるようだけれども、そういう点も含めてアメリカ政府といたしましては早期撤去について、つまり移転について積極的に努力しておりますということを繰り返し現在言っているわけであります。したがって、そういう状況でございますから、私からそれ以上に推測を交えて来月何日にどうこうとか、あるいは今日午後何時にどうこうというようなタイミングを申し上げる立場にまだなり得ていないということを率直に申し上げて、御答弁とする次第でございます。
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戸叶里子#10
○戸叶委員 相手のあることですからとは思いますけれども、事は人道上の問題ですからほんとうに強く要求をしていただきたいと思います。と申しますのは、アメリカの国民が自分のところへ持ってきてもらっては困るのだと言って断わるとするならば、日本の国民も自分のところに置いてもらっては困ると言って断わる権利があると思うのです。アメリカの国民は断われるけれども、日本にはこれは置いてもいいのだ、日本人は犠牲にしてもいいのだ、そういうふうな立場に沖繩の人たちはいま置かれているわけでございまして、白色人種優先というようなことさえもややもすると考えざるを得ない。こういうふうな状態に置くということは日米関係にとっても私はいいことではないと思います。したがいまして、この問題は、いま外務大臣の御答弁を伺っておりましても、なかなか苦しいようでもあり、そしてまたアメリカ側も一応は早期撤去いたしますというようなことを言っておられるようですけれども、どうもめどがつかないでたいへん私は心配だと思います。きょうの国会の強い意見をぜひもう一度アメリカに交渉の内容としてぶつけていただきたい。人道主義的な立場からぜひ考えるようにということをもう一度交渉していただきたい、こういうふうに私は考えますが、いかがでございましょうか。
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愛知揆一#11
○愛知国務大臣 いまお述べになりましたことはもう全くごもっともで、私も同感でございます。さように善処いたします。
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戸叶里子#12
○戸叶委員 毒ガスの問題でもう一つ伺いたいのは、安保条約の中の地位協定の十七条の十項の(a)に「合衆国軍隊の軍事警察は、」つまりMPは「それらの施設及び区域において、秩序及び安全の維持を確保するためすべての適当な措置を執ることができる。」こういうふうに書いてございまして、その適当な措置の中に、MPは催涙ガスを使うことができるかと楢崎さんがこの前質問をされました。ところが井川局長は、日本の法律の警察官職務執行法程度の内容の範囲であると考えられ、催涙ガスは可能であるということを答弁されたのでございますけれども、私はこれに対して非常に疑問を持つものです。MPが催涙ガスを一体使うことができるのかどうかというふうなことでございますが、たとえば日本の警察の催涙ガスの使用の法的な根拠というのは警察官職務執行法の七条によるものでありますけれども、しかし、アメリカの警察の武器使用というものはもっと限られたものではないか、こう考えますけれども、この点について、井川局長にも関係があるので御答弁を願いたいと思います。
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井川克一#13
○井川説明員 はっきりしたことばづかいをちょっと覚えておりませんけれども、私、御答弁申し上げました趣旨は、この十七条十項によりまして、この「施設及び区域において、秩序及び安全の維持を確保するためすべての適当な措置を執ることができる。」ということの内容の催涙ガスの問題でございますけれども、私の記憶によりますと、そのとき、たとえば犯人が部屋に閉じこもってピストルを撃つというふうな場合には、催涙ガスというのですか、催涙弾というものですか、そういうものが当然使われることはあるであろう、ということを申し上げました。そしてここの権限は、普通に考えられますことは、もちろんアメリカの国法、アメリカの軍隊の法令というものがあるわけでございますけれども、一般的に考えまして、それは日本の警察官職務執行法とそう違うものではなかろうし、そういうふうな意味において完全にその催涙ガスを使うことができないという意味には全く解されない、こういうふうに申し上げたことが私の記憶でございます。
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戸叶里子#14
○戸叶委員 井川さんの答弁は、日本の法律の警察官職務執行法程度の内容の範囲であると考えられ、催涙ガスは可能であります、こういうふうに答えているわけです。ですから、日本の警察官職務執行法と同じようなもので、そしてこの催涙ガスは使えるのだ、こういう答弁をされているのです。
 ところが、六〇年の安保の審議のときに国会に出されました合同委員会合意書にはっきりとこういう問題が書いてある。それは刑事裁判管轄権に関する事項の中に、「日本国刑法第三十六条第一項」、それは正当防衛です、それから、「又は第三十七条第一項」緊急避難「に該当する場合のほかは武器を使用してはならない。」と書いてあるわけです。つまり警察官職務執行法よりも狭い範囲だけしか使えないことになっているわけです。この日米合同委員会の合意書の中にはそうはっきりしているわけです。
 ところが、たいへんに広い範囲に解釈をされて、そしてMPは使えるのだというようなことを言われますと、私どもはあの当時に出されました文書とは違って、たいへん広い範囲に解釈して、MPが催涙ガスも使えるのだということになると問題になると思うのです。非常にMPをかばって催涙ガス——もしたとえば日本で何か暴動が起きたときにMPがこの催涙ガスを乱用するおそれがある。こういうことを非常に心配する。合同委員会の合意書の中と答弁が違っているわけです。ですから私は、どうしてそういうふうな広い解釈でMPをかばわなければならないか、たいへんに心配になるわけでございますが、この点についてはっきりさしていただきたいと思います。
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井川克一#15
○井川説明員 合同委員会の文書をたまたま持ち合わせておりませんので申しわけないわけでございますけれども、ただ私が先ほど申し上げ、またこの前申し上げましたことは、私、決して違ったことを申し上げているつもりでもございませんし、またMPの権限というものを特に拡大して申し上げているつもりは全くございません。通常の場合に、警察官職務執行法等によって日本の警察が使い得るような場合、先ほど申し上げました例のような場合には、これはまた当然使えるわけでございまして、その他の場合にも、十七条十項にお主まして「秩序及び安全の維持を確保するためすべての適当な措置を執ることができる。」と規定されておりますし、また第三条の管理権というものも持っておりますから、それをあえてきわめて限定的に制限している規定というものはないと思います。合同委員会のあれを持ち合わさないので申しわけないのでございますけれども、その点はそういうふうに、ことに基地内におきましてはっきり限定しているということはないと思います。
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戸叶里子#16
○戸叶委員 私がそれでは申し上げましょう。合同委員会の合意書の中で刑事裁判管轄権に関する事項、そういう中で日本国刑法第三十六条第一項、これは正当防衛です。または第三十七条第一項、緊急避難に該当する場合のほかは武器を使用してはならない、こう書いてある。そうすると、日本の警察官職務執行法の場合にはもっと広い範囲で使えることになっているわけです。この場合にはこの二つのものに限られているわけです。ところが職務執行法と全く同じで使えるんだということになると非常に幅広く使えることになるわけで、毒ガスといいますか、催涙ガスなどをそういう形で使うことを許しますと、非常に今後において問題がある。しかも合意書の中ではっきりきめているのですよ。それよりもワクを広げて解釈する必要はないんじゃないでしょうか。
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井川克一#17
○井川説明員 文書を持ち合わせませんで引用して申し上げることができないのが遺憾でございまするけれども、おそらく戸叶先生のお話しの点は、いままでの点は完全に基地内の問題でございまするけれども、合同委員会の刑事小委員会でございますか、そこにおける合意が基地外の場合にも合意があるわけでございまして、その場合に、特に正当防衛及び緊急避難の場合のみに武器を使えるということが書いてあったと記憶いたしております。そして私どもの解釈では、いわゆる催涙ガスもその武器の中に含まれる。したがいまして、そういう正当防衛及び緊急避難の場合にのみ特に基地外においては催涙ガスが使える。しかし正当防衛、緊急避難の場合でございますから、催涙ガスがその場合の武器であっても、現実に正当防衛、緊急避難に該当するかどうかというふうなことは個々の場合をとってみなければわからないと思います。
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戸叶里子#18
○戸叶委員 私はここで法律的な論争をしていますと時間がなくなってしまいますからいたしませんけれども、これは井川局長、よく研究しておいていただきたい。というのは、あなたの御答弁もよく読んで、そして一体そういうふうな拡大解釈していいものかどうかということは私は非常に疑問です。しかも日米安保条約というのがこの二十二日に一応検討期になって、これを政府自身は自動延長をしようとしている。しかもこの地位協定というものはほとんど十分に審議されなかった。十分に審議されない中に、いま洗っていけばずいぶんいろいろな問題があるわけです。しかも政府の答弁とあわせてみますと、こういう点が心配だ、心配だというところがあるわけです。ですから、これをいい機会にこの問題もよく統一した解釈をはっきりわかるように出していただきたいし、このほか私どもは二十二日の前後に委員会を開くなり国会を開くなりということをお願いしたいんですけれども、とてもそういうことがありそうもないもんですから、もしないとすれば——ぜひ開いていただきたいのですが、もしないとすれば、せめて地位協定のいろいろな問題を、具体的な例をあげながら一つの資料をつくって、そして提示していただきたいと思うのです。私どもの知らない問題がずいぶんあると思います。私は、行って、一生懸命読んで、調べて、そしてこれはこういうふうに解釈するのか、こういうふうに解釈するのかということを勉強いたしますけれども、一般にはまだわからない問題があると思うのです。ですから、この際この地位協定の内容等につきましての問題点、裁判管轄権の問題だとか基地の内部の問題、いろいろあると思いますが、そういうふうな点について具体的な事例をあげながら、たとえばこういう問題、毒ガス使用の問題などもその一部ですが、そういうことを例をあげながら一つの参考資料みたいなものも何らかの機会に出していただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
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井川克一#19
○井川説明員 先ほど来の問題の十七条の十項の規定につきましては、私もさらに勉強いたしまして、戸叶先生のところへでも伺いましてお話しを申し上げたいと思います。また先ほど来申し上げておりますとおりに、基地外の正当防衛、緊急避難の場合、武器の使用はその場合のみに認められるということでございまするけれども、はたしていわゆる催涙ガスの使用がそういうふうな場合に該当するかどうかということは非常に疑問でございまして、原則としてそういう催涙ガスの使用というものは、緊急避難、正当防衛に該当する場合はほとんどないのじゃないだろうかと私は思っております。
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戸叶里子#20
○戸叶委員 井川さんのいまのような答弁だったら、この前の委員会でああいうふうなあいまいな答えをしないでいただきたかったと思います。
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井川克一#21
○井川説明員 私は基地内の問題と基地外の問題とを分けて申し上げているつもりでございまして、先日の御答弁は基地内の問題に限って御答弁申し上げたつもりでございます。ただいまの後段の最後のところは基地外の問題のつもりでございます。
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戸叶里子#22
○戸叶委員 この問題あとではっきりさしていただきたいと思います。
 そこで、外務大臣にお尋ねやら意見を出したいと思うのですが、ガス兵器の持ち込みにつきまして、私どもはもちろんガス兵器などを持ち込まれては困るわけですけれども、沖繩の例を見たりあるいはまた日本に基地があるからにはやはりそういうふうな心配も一応考えなければいけないと思うのですが、ガス兵器の持ち込みにつきましては、事前協議の対象にすべきではないか、私はこういうふうに思うわけです。安保条約の事前協議の内容もたいへんあぶなくなってきております。大体においてイエスと言うのではないかというようになってきておりますけれども、事前協議というものは交換公文で認められて、そしてその内容の一々の問題については公文書で話し合いの中できめられているわけですね。たとえば装備とか配置の変更とかそれから戦闘作戦行動に出る場合とか、こういうふうな話し合いの中でされているわけですから、今後話し合う場合に、やはりガス兵器というようなものの持ち込みも当然これは事然協議の対象にすべきであるというような話し合いをするために持ち出すべきではないのかと思いますが、この点については外務大臣はどういうふうにお考えになるでしょうか。
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愛知揆一#23
○愛知国務大臣 そういう意見も私はごもっともな点もあると思いますけれども、政府といたしましては、毒ガス兵器というものは、絶対に持つべきではない。また現に沖繩の問題は先ほど申し上げましたようなことでございますけれども、沖繩が返還になりました場合はもちろんのこと、現に毒ガス兵器というものはないわけですから、ことさらにこれを事前協議の対象にして協議するというような必要はない、私はかように考えております。
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戸叶里子#24
○戸叶委員 大体持ち込むこと自体が問題なのですから、そういうふうなことをさせないという意味からも私ははっきりチェックする意味でしてほしいと思うわけですが、大臣のお考えは違うようです。そこで、安保条約のいわゆる検討期というふうなことで、政府自身は自動延長ということに踏み切ったようでございますけれども、自民党の中にも固定延長というような意見も前にあったようでございます。そこで、今後この七〇年代を通して非常に流動的な面なども国際情勢などに出てきたりする、そういうふうな場合にアメリカ側が望むかもしれないし、また日本の内部からもこれを固定延長すべきであるというような意見が出ないとも限らないと思いますが、そういうような意見が出てきたときには、そうしてまた情勢が変わってきたときには、そんなことも政府はお考えになっていらっしゃいますか、どうでしょうか。こういう点も念のために伺っておきたいと思います。
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愛知揆一#25
○愛知国務大臣 実はまだ政府としても最終決定しているわけじゃございませんけれども、十年の期限が参りますこの機会に安保条約というものに対する考え方というものをまとめまして、ひとつ政府声明のような形ででも全国民に訴えることがどうであろうか、こういうふうにも考えております。まだ二十二、三日まで若干の日の余裕もございますけれども、十分ひとつ考えまして、政府の意のあるところを明確にいたしたい、かように存じております。
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戸叶里子#26
○戸叶委員 政府はいままでおきめになった態度を一歩もくずさないようなお考えのようでございますし、私どもとしても、ぜひこの国会をその日だけでも開いて、そしてこの問題をもう一度振り返って検討してもらいたいというふうに考えるわけですが、外務大臣はそれをお望みにならないようでございますけれども、念のためにこれをひとつ伺いたいと思うのです。
 それで最後にもう一つお尋ねしたいのは、時間がきてしまいまして、私も六月にきょう一度しか開かれないのならもう少しいろいろな質問をしたいと思いますが、これは半分しかできないわけです。ぜひ委員長にもお願いして、なるべく早い機会にもう一度外務委員会を開いていただきたい。これを要望いたします。
 最後に、いま私が外務大臣にお聞きしたこととあわせて御答弁願いたいことは、あとから同僚の加藤議員から質問をしていただきます繊維の問題ですが、一言外交上の問題として伺いたいことは、アメリカのほうではミルズ法案というもの、輸入規制法でございますけれども、これを出そうとして、アメリカの国会をこれが通ることはガットの精神がくずされることだ、こういうことをいいながら、しかも最終的な態度決定を、十八日にはアメリカの下院に報告をする、こういうふうな言い方で日本に迫ってきているようでございますが、私ども日本人から考えますならば、このガットの精神に違反するのはアメリカであって、日本には別に関係のないことである。そしてミルズ法というような輸入規制の法案を通すということは、これはアメリカが通したければ通したらいいし、そしてもしガットの精神をこわすならば、それはアメリカの考えだからしかたがないのじゃないかというふうに考えるのですが、政府がそれに動かされて、そういうことになっては日米関係がどうのこうのというふうなことに結びつけると、私はとんでもないと思うのです。こういうところに日本の軟弱外交ということがいわれるわけですから、き然とした態度を持っていただきたい。そしてまたアメリカがいかに十八日というふうに期限を切ってこられましても、そういうものには縛られないというような断固たる気持ちを持っていっていただきたいと思いますが、この点に対しての信念のほどを外務大臣にお伺いいたしまして、この繊維問題は同僚の議員にバトンをタッチしたいと思います。
 以上の点についての御答弁をお願いしたいと思います。
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愛知揆一#27
○愛知国務大臣 まず安保条約の問題ですが、これは実はいまさら申し上げるまでもないことでございますが、安保条約の規定それ自体に従ってとられる態度でございますから、あらためてその点について御審議云々ということは、これは政府の立場から申すべきことではないかと思いますけれども、私としては、あらためて御審議というほどのことはないのではないか、かように考えております。
 それから繊維の問題につきましては、御承知のように私も昨年の五月の初めにスタンズ商務長官を迎えて実は大激論をいたしました。今日まで私の考えは変わっておらないつもりでございます。御激励をいただきましてたいへん恐縮に存じますけれども、日本の国益というものを中心にいたしまして十分善処したいと考えております。
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田中榮一#28
○田中委員長 石井一君。
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石井一#29
○石井(一)委員 私は本日北方領土の返還について外務大臣の御意見を伺いたいと思うわけでございます。
 去る四月十日に本委員会におきまして、私、一つの仮定でございますけれども、もしソ連側から現在の日本の政府の基本的な方針、すなわち安全保障体制であるとか防衛力の問題というふうなものを曲げずに、またそういう形で米軍の軍事基地は北方領土に置かないということ、さらに自衛隊の駐留ということも最小限度に押える、そういうふうな形でもしソ連側がこの北方領土に対して前向きの姿勢を示すといった場合に、政府の見解はどうかということをお伺いしたわけでございますが、そのとき愛知大臣より、「いまの非常に示唆のある御意見につきましては、私どもも十分考えていきたい。そういうところまでこぎつけて、まず返還になることに全力をあげていきたいと考えております。」こういう御回答をいただいて私の質問を終わったわけでございます。その時点からの継続を続けたいと私は思うわけでございますけれども、もう一歩突っ込んでソ連側の提案でなしに、そういう提案を日本政府から積極的にソ連側に提示する御意思はないだろうか。この点について政府の御見解をお伺いいたしたいと思います。
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