法務委員会

2023-04-04 衆議院 全250発言

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会議録情報#0
令和五年四月四日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 伊藤 忠彦君
   理事 谷川 とむ君 理事 藤原  崇君
   理事 牧原 秀樹君 理事 宮崎 政久君
   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君
   理事 沢田  良君 理事 大口 善徳君
      東  国幹君    五十嵐 清君
      石橋林太郎君    岩田 和親君
      奥野 信亮君    加藤 竜祥君
      神田 潤一君    熊田 裕通君
      鈴木 馨祐君    田所 嘉徳君
      高見 康裕君    土田  慎君
      西野 太亮君    鳩山 二郎君
      平口  洋君    平沼正二郎君
      宮路 拓馬君    山口  晋君
      山下 貴司君    渡辺 孝一君
      鈴木 庸介君    中川 正春君
      山田 勝彦君    吉田はるみ君
      米山 隆一君    阿部 弘樹君
      漆間 譲司君    日下 正喜君
      平林  晃君    鈴木 義弘君
      本村 伸子君
    …………………………………
   法務大臣         齋藤  健君
   法務副大臣        門山 宏哲君
   法務大臣政務官      高見 康裕君
   最高裁判所事務総局総務局長            小野寺真也君
   最高裁判所事務総局民事局長            門田 友昌君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 佐野 裕子君
   政府参考人
   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 柴田 紀子君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制部長)          竹内  努君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    金子  修君
   政府参考人
   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 中村 和彦君
   政府参考人
   (外務省大臣官房参事官) 片平  聡君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議官)           戸高 秀史君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房審議官)           笹川  敬君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房技術審議官)         奥田  薫君
   法務委員会専門員     白川 弘基君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月四日
 辞任         補欠選任
  東  国幹君     土田  慎君
  岩田 和親君     山口  晋君
  鳩山 二郎君     宮路 拓馬君
  深澤 陽一君     平沼正二郎君
  山下 貴司君     渡辺 孝一君
同日
 辞任         補欠選任
  土田  慎君     東  国幹君
  平沼正二郎君     神田 潤一君
  宮路 拓馬君     西野 太亮君
  山口  晋君     岩田 和親君
  渡辺 孝一君     山下 貴司君
同日
 辞任         補欠選任
  神田 潤一君     深澤 陽一君
  西野 太亮君     鳩山 二郎君
    ―――――――――――――
四月四日
 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 仲裁法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
 調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の実施に関する法律案(内閣提出第二九号)
 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
     ――――◇―――――
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伊藤忠彦#1
○伊藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、仲裁法の一部を改正する法律案、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の実施に関する法律案及び裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官佐野裕子君、こども家庭庁長官官房審議官野村知司君、法務省大臣官房審議官柴田紀子君、法務省大臣官房司法法制部長竹内努君、法務省民事局長金子修君、出入国在留管理庁次長西山卓爾君、外務省大臣官房審議官中村和彦君、外務省大臣官房参事官片平聡君、経済産業省大臣官房審議官戸高秀史君、国土交通省大臣官房審議官笹川敬君及び国土交通省大臣官房技術審議官奥田薫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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伊藤忠彦#2
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
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伊藤忠彦#3
○伊藤委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所事務総局総務局長小野寺真也君及び民事局長門田友昌君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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伊藤忠彦#4
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
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伊藤忠彦#5
○伊藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。平林晃君。
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平林晃#6
○平林委員 皆様、おはようございます。公明党の平林晃と申します。
 本日は、質問の機会を与えていただきましたこと、関係の皆様に心より感謝を申し上げます。また、大臣を始めまして御答弁いただく方、皆様、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、早速質問に入らせていただきます。
 まず、仲裁法の一部改正について伺います。
 仲裁とは、当事者が紛争についての判断を中立的な第三者である仲裁人の判断に委ね、それに従うことをあらかじめ合意して行われる紛争解決制度であります。とりわけ国際事案に関しまして、国ごとに異なる裁判制度と異なり、国際的な中立性を確保できるということから、国境を越えた紛争解決は仲裁によることが世界標準になりつつあるということでお聞きをしております。
 国際仲裁の件数は世界的に増加をしており、とりわけアジアにおいて、香港国際仲裁センターはこの十年で三百件前後、シンガポール国際仲裁センターでは、この五年間では四百件以上、韓国の大韓商事仲裁院でも三百件から五百件程度で推移をしているということです。これに対して、我が国の日本商事仲裁協会、いわゆるJCAAにおいては、年間十件から二十件程度と低調に推移しているというふうに聞いております。
 そこで、法務大臣にお伺いをいたします。
 我が国における国際仲裁の利用件数が非常に低調である原因をどのように分析しておられますでしょうか。さらに、この状況を転じて国際仲裁を活性化させることは我が国にどのような利益があるとお考えでしょうか。御答弁をお願い申し上げます。
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齋藤健#7
○齋藤(健)国務大臣 委員御指摘のように、我が国における国際仲裁の利用は、我が国の経済規模に照らしますと、諸外国に比して相当に少ないのが現状であります。その理由といたしましては様々指摘をされておりますが、内閣官房に設置された国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議が平成三十年四月に取りまとめました国際仲裁の活性化に向けて考えられる施策、これによりますと、国際仲裁のユーザーである企業において国際仲裁の有用性に関する理解が十分でなく、また、海外へのマーケティングが不足していること、それから、国際仲裁に精通した人材が不足をしていること、それから、世界的に著名な仲裁機関や仲裁専門組織がないことなどが指摘をされております。
 一方で、国際仲裁は、訴訟に比べまして外国での執行が容易であること、非公開であり企業秘密が守られることなど、様々なメリットがあり、国際商取引における紛争解決のグローバルスタンダードとなっているのが現実であります。
 その上で、社会経済のグローバル化に伴いまして、日本企業の海外進出を更に後押しするためには、海外における取引から生ずる法的紛争がグローバルスタンダードな手続によって解決できる仕組み、これが整っていることが重要であると考えています。
 また、外国企業を我が国に呼び込むなど、海外からの投資を促すためにも、我が国における取引から生ずる法的紛争が、同じくグローバルスタンダードな手続によって、かつ英語で解決できる仕組みが整っていることが重要であります。
 このように、我が国において国際仲裁を活性化し、司法インフラとして整備することは、我が国の経済成長に貢献するものと考えているところです。
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平林晃#8
○平林委員 大臣、御丁寧な御答弁、ありがとうございます。
 日本企業が進出していくためにも、また、日本に入ってきていただくためにも、やはりこの法制度は重要なんだろう。
 また、今、低調である原因として、様々ありましたけれども、有用性への理解が低い、あるいは人材、プロモーション不足、仲裁機関の知名度、こういったことが様々指摘されまして、こういったことをしっかりと進めていかなくてはいけないと認識をしたところでございます。
 続きまして、仲裁に関する法律の制定状況ですが、国連国際商取引法委員会、いわゆるUNCITRALにおいて、モデル法は一九八五年に制定をされ、これに準拠して、我が国は二〇〇三年に仲裁法が制定をされている。ところが、三年後の二〇〇六年に国際的なモデル法の一部が改正をされて、仲裁廷による暫定保全措置の執行等に関する規定が国際モデル法には設けられた。この部分について、我が国が、現行法が対応できておらず、今回の改正により整備しようとしていると理解をしております。
 ここで、この暫定保全措置についてお聞きいたします。
 現行法第十五条によれば、仲裁合意の当事者は裁判所に保全処分の申立てをすることができ、それを受けた裁判所は保全処分を命じることができます。
 この保全処分と暫定保全措置命令とはどのように異なるのか、政府の見解を伺います。
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金子修#9
○金子政府参考人 お答えいたします。
 保全処分と暫定保全措置命令は、いずれも当事者の権利を保全することを目的とする点では共通しておりますが、保全処分は裁判所が命ずるものであるのに対し、暫定保全措置命令は仲裁廷が命ずるものである、この点が大きな違いでございます。
 そして、国際的な事案では、保全処分については、当事者がその発令を求める保全処分ごとに管轄を有する各国の裁判所から発令を受ける必要があるのに対し、暫定保全措置命令については、仲裁廷から発令を受ければ足りるという点で違いが生じてまいります。
 例えば、被申立人が複数の国に財産を保有しており、その保全を図ろうとする場合、当該国の仲裁法制が国際商事仲裁モデル法に対応しているときは、仲裁廷から暫定保全措置命令の発令を受けることにより複数の国でその執行を求めることが可能であるのに対し、同じ内容の裁判所の保全処分の方を求めようとしますと、各国の裁判所においてそれぞれ申立てをしなければならないということになります。
 このように、暫定保全措置命令は、裁判所に対する申立てをせずに、仲裁手続の中で権利の保全に係る命令を受けることができるため、仲裁手続において紛争を解決しようとする当事者のニーズにかなうものと言うことができます。
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平林晃#10
○平林委員 ありがとうございます。
 当事者の権利を保全する目的は共通しているけれども、発令主体が裁判所と仲裁廷で異なるということでありました。
 そもそも、仲裁制度を選択して、仲裁廷の判断に基づくということを合意しているのであれば、権利保全に関しても仲裁廷の中で実施していくということができる制度である、このように理解をしたところでございます。
 続いて、この暫定保全措置命令は、迅速性、これが重要ではないかと考えております。その意味におきまして、暫定保全措置命令が発出される、あるいはその後の執行等認可決定がなされるまでにはどの程度の時間がかかると想定をしておられるのか。相当程度の時間がかかるのであれば、仮に今回の法改正が成立をして暫定保全措置の執行規定が整ったとしても、実効性に疑問を感じます。
 この点について、政府の見解を伺います。
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金子修#11
○金子政府参考人 お答え申し上げます。
 暫定保全措置命令につきましても執行等認可決定につきましても、審理に要する時間は個別の事案に応じて様々でございますので、判断がされるまでの標準的な日数等をお答えすることは困難であることを御理解いただければと思います。
 暫定保全措置命令につきましては、申立人の権利を保全するという制度の趣旨に照らしまして、仲裁廷において迅速な審理、判断がされるということを期待しているところでございます。
 また、執行等認可決定につきましては裁判所が関与しますが、執行拒否事由の有無のみを審理するということとしておりますことから、裁判所において迅速な審理、判断がされることを期待しているところでございます。
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平林晃#12
○平林委員 ありがとうございます。
 執行等認可決定については、裁判所が拒否事由の有無のみを判断するということで迅速性が期待できる。一方、暫定保全措置命令は、あくまで仲裁廷が成立してから発出される、申立ての内容もあって難しい、発令までの時期については一概に述べられないと。仲裁廷の構成に数か月はかかるのかな、そういう意味では、暫定保全措置命令の発出にも相当の時間がかかるのではないかというふうに考えられますので、やはり迅速性については疑問が残るかなと考えております。
 今回の法改正事由が、あくまで改正モデル法との整合であり、その意味で、暫定保全措置の執行規定を整えることに関しては理解をしておりますが、実質的な意味という部分では、引き続きの御検討をお願いできれば幸いでございます。
 続きまして、条約実施法について伺います。
 国際商事紛争の解決手段として、世界的に国際調停の利用が進み、仲裁と同様に調停の利用を促進するなどの観点から、二〇一八年、平成三十年ですけれども、国際連合総会において、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約、いわゆるシンガポール条約が採択をされています。
 同条約では、商事紛争に関する調停により成立した当事者間の国際的な和解合意について、一定の要件を満たす場合に執行力を付与するなどの規律を設けており、二〇二〇年九月十二日に発効しております。
 そこで、まずお聞きをいたします。
 シンガポール条約、二年半程度前の成立ですけれども、その署名国や締約国の現状と今後の推移の見通しはどのようになっているのか、あわせて、本条約は我が国にとってどのような意義を有するのか、政府の認識を伺います。
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片平聡#13
○片平政府参考人 お答えいたします。
 調停に関するシンガポール条約は、商事紛争の解決方法である調停の利用を促進するため、調停による国際的な和解合意の執行等に関する枠組みについて定めるものでございます。
 現在、本条約の締約国は十一か国でありますが、署名国は米国等を含め五十五か国に上っており、今後、締約国の増加が期待されるところでございます。
 我が国が早期に本条約を締結することは、商事紛争を適切に解決するための環境を整備し、外国企業による投資活動の予見可能性を高め、ひいては日本企業の海外展開の促進及び外国からの投資の呼び込みに資するものであると思っております。このように、本条約の早期締結は我が国の経済発展に寄与するものであると考えております。
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平林晃#14
○平林委員 ありがとうございます。
 今、締約国、十一というふうなお話でしたけれども、レクのときは十というふうにお聞きしていましたので、一つ増えているのかなと理解をしたところであります。
 今後も締約国の増加が期待されるのではないかなと。また、本実施法が成立し、条約締結も承認されれば、我が国も締約国拡大に積極的に取り組むと認識をしております。
 仲裁法同様に、この条約を承認することによって、我が国への国際的信用が向上し、諸外国からの投資の呼び込みなどにつながるとも考えておられる。だから条約締結が重要であるということであり、私も理解をするところであります。
 そして、この条約実施法の中では、第四条におきまして、個人が当事者となっている紛争、個別労働関係紛争、人事、家事に関する紛争にはこの法律の規定が適用されないこととなっています。その意図がどのような点にあるのか、政府の見解を伺います。
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金子修#15
○金子政府参考人 お答えいたします。
 条約実施法第四条第一号は、民事法の契約又は取引のうち、その当事者の全部又は一部が個人であるものに関する紛争に係る国際和解合意については条約実施法の適用を除外する旨を定めております。この規定は、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の規定に沿ったものであり、その趣旨は、同条約が国際的な商事紛争に係る和解合意を対象として作成されたものであることに鑑み、企業間における紛争に係る和解合意のみを適用対象とするということにございます。
 それから、条約実施法第四条第二号は、個別労働関係紛争に係る国際和解合意について条約実施法の適用を除外する旨を定めております。この規定も調停に関するシンガポール条約の規定に沿ったものであり、その趣旨は、一般的に、労働者と事業者との間には交渉力や情報等の不均衡があることが想定され、当事者の真意に基づかない和解合意が成立するおそれが類型的に高くなると考えられることから、当事者間の合意を根拠に執行力を付与することが相当でないということにございます。
 さらに、条約実施法第四条第三号は、人事に関する紛争その他家庭に関する紛争に係る国際和解合意について条約実施法の適用を除外する旨を定めております。この規定も調停に関するシンガポール条約の規定に沿ったものであり、その趣旨は、家庭に関する紛争は、身分関係を形成又は変更し、その結果が当事者以外の第三者に効力を有するものであるという点において、公益性、後見性を有する紛争類型であること、特に強制執行の場面においては、各国固有の法的な文化や公序と衝突しやすいことから、当事者間の合意を根拠に執行力を付与することが相当でないと考えられることにございます。
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平林晃#16
○平林委員 ありがとうございます。
 あくまでシンガポール条約の規律と同内容のものであり、基本的な趣旨としては、商事紛争に関わる和解合意にのみ強制執行を適用する、こういう規定であるというふうに理解をさせていただきました。
 続きまして、現在、我が国の国際調停機関における調停件数は本当に少ないというふうに伺っております。年間一件、二件というような数字であると。一方、諸外国の機関において、これは二十件から三十件程度ではないかということで、資料にも記載がございまして、拝見をいたしました。
 このように国内での処理件数が非常に少ない現状において、仮にこの条約実施法が成立をし、シンガポール条約が承認をされ、国内における調停の需要が、環境が整って需要が増加した場合、その需要に応えるだけの人材や施設は国内に整っているのでしょうか。この点に関しまして政府の認識を伺います。
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金子修#17
○金子政府参考人 お答えいたします。
 我が国の調停機関である日本商事仲裁協会、JCAAにおいては、外国語に対応可能な調停人候補者が二百名以上登録されております。また、京都国際調停センター、JIMCにおいても、我が国在住の調停人候補者が六十名以上登録されております。
 また、国際的な調停は、近時、オンラインで手続が進められることが多いと承知しておりますけれども、対面で手続を実施する場合には、調停機関や法律事務所の会議室等が利用されるものと承知しております。そして、我が国においては、さきに述べた調停機関において、国際調停のための施設や、オンラインによる調停期日の実施方法について適切にサポートしているものと承知しておるところでございます。
 このような状況を踏まえますれば、我が国においても国際調停の件数の増加には十分対応できるものと考えております。
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平林晃#18
○平林委員 ありがとうございます。
 十分に受け入れる体制は整っているということでございました。
 この法案、しっかりと議論をして成立することによって、我が国の国際的信用が向上することを期待するものであります。
 続きまして、三本目の法律に関しまして伺っていければと思います。ADR法改正案でございます。
 平成十六年に成立した裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律、これがいわゆるADR法ですけれども、紛争当事者がその解決に適した手続の選択を容易にし、国民の権利の適切な実現に資することを目的としているということであります。民間の紛争解決事業者が法定の基準や要件に適合していることを法務大臣が認証された場合には、認証紛争解決事業者となります。この認証紛争解決事業者による民間紛争解決に関し、所定の要件の下に法的効果が付与されるということになります。
 ここで法務大臣に伺います。
 公平中立性を保つため、認証紛争解決事業者になるための基準は厳格ですが、その数は、平成十九年の十事業者から、現在は百六十程度に増加していると伺っております。この一方で、受理件数はそれほど変化がなくて、二〇一〇年以降、千件を超えた辺りで推移をしている。この数字は、民事調停、家事調停の合計十六万件に比べれば圧倒的に少ない数となっております。
 この理由をどのように捉え、改善をどのように考えておられるでしょうか。法務大臣の御見解を伺います。
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齋藤健#19
○齋藤(健)国務大臣 御指摘のとおり、近年の認証ADRの利用件数は年間千件程度でありまして、認証ADR事業者の数からすれば十分に利用されているとは言い難い状況にあると認識をしています。
 その要因は様々考えられるところでありますが、認証ADRによる和解合意に基づく強制執行ができず、その実効性が十分に確保されないという制度上の課題があるだけではなくて、認証ADRの存在やそのメリット等が国民に十分認知されていないことも大きな要因であると考えられるところであります。
 そこで、法務省といたしましては、認証ADRにおける紛争解決の実効性を高めるため、今般、強制執行を可能とする制度を創設することといたしたところでございます。また、法務省ホームページへの掲載や相談機関等へのパンフレットの配布等を通じて認証ADRに関する情報発信を行っているほか、昨年度からは、ADR週間等を設定した上、関係団体等と連携した一体的かつ集中的な広報の実施等の取組を始めているところであります。
 さらに、ADRに情報通信技術を活用したODRを推進するためのアクションプランを策定し、ADR、ODRの周知、広報に加え、ODRの実証実験を通じた課題の抽出と対応策の検討等、ODRの社会実装に向けた環境整備のための取組を順次行ってきているところでございます。
 法務省といたしましては、ADRが国民にとって紛争解決の選択肢として広く利用していただけるよう、引き続き必要な取組を積極的に進めてまいりたいと考えています。
 先ほどの私の答弁で一点訂正をさせていただけたらと思うんですけれども、国際仲裁の利用件数が低調な原因の中で、世界的に著名な仲裁機関や仲裁専門施設がないことと申し上げるべきところを仲裁専門組織がないことと申し上げたところは、訂正をさせていただき、おわびをさせていただきたいと思います。
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平林晃#20
○平林委員 ありがとうございます。
 強制執行に関しましてお話がまず冒頭ございましたけれども、まず、それが認知度が低い、それを改善するための取組として広報活動をしっかりやっていくということで、ADR週間、昨年十二月に第一回が開催されたと承知をしております。こういったことをしっかりと今後継続して取り組んでいただいて、国民全般にも知らしめ、また、当事者に関しましては法テラスなどでしっかりと御紹介をしていく、こういった取組を進めていただければなと思います。
 ODRと強制執行の件、続いてお聞きしていければと思います。
 まず、強制執行に関しまして、ADR法制定時の議論について、執行力濫用のおそれ、あるいは執行力が存在することによる利用者の萎縮が応諾率や和解成立率を低下させるのではとの懸念があったとお聞きしています。こうした懸念から、ADR法制定時の執行力の付与が見送られたと認識をしております。
 今回の法改正においてはこれを付与するということですが、こうした懸念、制定以来のおよそ二十年間で払拭されてきたとお考えでしょうか。政府の見解を伺います。
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金子修#21
○金子政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、平成十六年のADR法制定時やその後の見直し時の議論におきましては、主に、債務名義をみだりに作成するような団体が出現するなど制度の濫用のおそれがあるとの指摘や、強制執行の可能性を認めることにより債務者を萎縮させ、かえって和解が成立しにくくなるおそれがあるとの指摘がされ、成立した和解に基づく強制執行の実現については将来の課題とされておりました。
 今般のADR法の改正では、まず、制度の濫用のおそれにつきましては、国民において認証紛争解決手続が定着しつつあること、潜在的に当事者間の力の不均衡等が想定される消費者契約等に係る紛争や個別労働関係紛争につきましては適用除外としていること、和解に基づく強制執行が公序良俗に反するなどの場合には裁判所が強制執行を許さないものとすることなどとしておりまして、制度の濫用のおそれは払拭されているものと考えております。
 また、債務者の萎縮のおそれ等につきましては、強制執行を可能とするかどうかは債務者が民事執行をすることができる旨の合意をするかどうかに委ねられているため、債務者が強制執行されることを恐れて和解の成立が妨げられるといった懸念も払拭されているものと考えております。
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平林晃#22
○平林委員 ありがとうございます。
 濫用のおそれについて、また萎縮懸念に関しましても、様々な理由から懸念が十分に払拭されていると考えているということでございました。
 更に伺ってまいります。
 特定和解の執行規定の適用除外に関しまして、ADR法改正案と条約実施法においては微妙に異なる部分があります。すなわち、条約実施法で除外されている人事、家事に関する紛争において、養育費等の金銭債権については除くこととしている。除外の除外ですので、すなわち執行規定が適用されることとなっています。
 この養育費等の金銭債権には民事執行が適用されることの意義を政府に伺います。
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金子修#23
○金子政府参考人 ADR法の一部改正法案におきましては、人事、家事に関する紛争は身分関係の形成又は変更に関わる紛争類型であり、当事者間の合意を根拠に一律に強制執行を可能とすべきでないと考えられることから、原則として強制執行を可能とする対象から除外することとしております。
 そのようにしつつ、養育費等に係る金銭債権につきましては、次の理由から、新しい強制執行の制度を利用することができることとしております。
 まず、子の福祉の観点等からその支払いの履行の確保が喫緊の課題となっていること。家庭に関する紛争ではあるものの、身分関係を形成又は変更するといったものではないこと。現行の民事執行法においても、強制執行を容易にする観点から様々な民事執行の特例が設けられていること。このような観点から適用対象としているものでございます。
 養育費等の金銭債権について、新しい強制執行の制度が適用されることは、その支払いの履行の確保を容易にするものであり、子の福祉等に資するものとして意義があるものと考えております。
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平林晃#24
○平林委員 ありがとうございます。
 本件、我が党も、大口委員をリーダーとする不払い養育費問題対策プロジェクトチームが提言を提出するなど、積極的に取り組んできたと承知をしておりまして、大いに評価するところでございます。
 それでは、最後に、オンライン紛争解決手続、先ほどの大臣の御答弁にもありましたが、ODRについてお聞きできればと思います。
 その名のとおり、ODRは、ADRをオンラインツールによって実施するというもの、また、加えてAI技術も活用できるようになれば、利便性はより一層向上すると考えられます。ODRの推進に関する現在の取組、また、AI技術の活用に関する検討状況について政府の見解を伺います。
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竹内努#25
○竹内政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、ADRに情報通信技術を活用するODRは、司法アクセス向上に資する重要なインフラであると認識をしております。
 法務省におきましては、ODRの一層の推進を図るため、昨年三月に策定したアクションプランに基づきまして、ADR、ODRの一体的広報やODRの実証実験を通じた課題の抽出と対応策の検討など、ODRの社会実装に向けた環境整備のための取組を進めているところであります。
 また、アクションプランでは、AI技術の多様な活用の可能性等の検討やAI技術活用に寄与するデータベースの検証など、ODRの推進策を掲げておりまして、まずは、AIに関する現在の技術水準を踏まえつつ、具体的にODRのどのような場面での活用が考えられるかについて、本年度から検討を進めていく予定にしております。
 法務省といたしましては、ADRが国民にとってより利用しやすい紛争解決手段となりますよう、引き続き必要な検討を積極的に進めてまいりたいと考えております。
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平林晃#26
○平林委員 ありがとうございます。
 オンラインの活用については、もう私も全く異論のないところであります。平日夕刻、あるいは土日、こういった時間にも対応いただけるとのことで、また、会いたくない当事者同士もオンラインであれば何とかできるなどの利便性があるということは、本当にそのとおりであると思います。
 一方で、AI技術、本年度から検討されていくというお話でしたけれども、二年前の取りまとめの中にも様々書いてあって、質問させていただいているんですけれども、期待感がある一方、技術レベル、信頼に足るものではない、その活用の在り方、まだまだ検討が必要ということだと認識をしております。
 AI技術については、今般の国会でも様々な議論があるようですが、現在、世界でどちらかというと懸念の報道が様々見受けられます。米国では、イーロン・マスク氏らがAIシステムの開発を六か月停止するよう提案をし、千三百を超える署名が集まった。イタリアでは、チャットGPTの使用を一時的に禁止するということが発表された。こうした動きで示されている懸念、まさにカーツワイルが論じた技術的特異点、シンギュラリティーですね、あの議論をほうふつとさせるものであります。
 いずれにしましても、重要なことはあくまでADRの信頼性である、その上で、今後のAI技術の発展を注視しながら、仮にAIがADRの利便性向上に資する、ODRに使えると判断すれば活用を検討するなど、慎重な態度で臨んでいただくことが適切かと考えております。
 時間となりました。以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
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伊藤忠彦#27
○伊藤委員長 次に、鈴木庸介君。
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鈴木庸介#28
○鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。今日もよろしくお願いを申し上げます。
 まず、今日の質疑に立つ上で御指導いただきました、立教大学法学部教授で観光ADRセンター長の安達栄司先生と、家族のためのADRセンター、小泉道子さん、また、いつもながら法務調査室の皆様にも、心より御礼を申し上げたいと思います。
 まず、仲裁法の改正から伺わせてください。
 今回の改正前と改正後では具体的に何がどう変わるのか、教えていただけますでしょうか。
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金子修#29
○金子政府参考人 お答えいたします。
 現行法の下において、仲裁廷が行う仲裁判断につきましては、仲裁地が外国であったとしても、我が国の裁判所が仲裁判断に基づく民事執行を許す決定、執行決定といいますが、をした場合には、我が国において強制執行を行うことが可能でございます。また、現行法の下においても仲裁廷が暫定保全措置命令を発令することは可能なのですが、暫定保全措置命令に基づく強制執行を可能とする規定がないため、当事者の任意の履行に期待するほかなく、実効性が弱いという面がございました。
 そこで、改正法では、この部分につき、モデル法の規律を踏まえ、仲裁廷の暫定保全措置命令については、仲裁地が外国であったとしても、我が国の裁判所が暫定保全措置命令に基づく強制執行等を許す決定、執行等認可決定をした場合には強制執行をすることができる旨の規定を新設することとしております。
 また、申立人に生ずる損害や危険の発生を防止するために必要な措置や原状回復を命ずるもの、予防・回復型の暫定保全措置命令につきましては、確定した執行等認可決定のある暫定保全措置命令に基づく強制執行をすることができます。例えば、商品の供給を命ずる暫定保全措置命令につきましては、確定した執行等認可決定があれば、我が国の裁判所における強制執行として商品の供給を受けることが可能となります。
 これに対して、財産の処分禁止や証拠の廃棄禁止など一定の行為を禁止する命令につきましては、執行等認可決定を受けた上で、当該暫定保全措置命令の違反又はそのおそれがある場合に裁判所が違反金支払い命令を発令します。この確定した違反金支払い命令に基づいて強制執行ができるようになります。例えば、証拠の廃棄禁止を命ずる暫定保全措置命令につきましては、裁判所から執行等認可決定及び違反金支払い命令の発令を受けた上で、我が国の裁判所において強制執行の手続を行うことにより、違反金の支払いを受けるということが可能となります。
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