文教委員会

1974-04-25 参議院 全248発言

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会議録情報#0
昭和四十九年四月二十五日(木曜日)
   午前十一時三十一分開会
    —————————————
   委員の異動
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     高橋 邦雄君     中村 登美君
     黒住 忠行君     若林 正武君
     平島 敏夫君     志村 愛子君
     今泉 正二君     二木 謙吾君
     平泉  渉君     亀井 善彰君
     渡辺  武君     加藤  進君
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     亀井 善彰君     高橋 邦雄君
     二木 謙吾君     黒住 忠行君
     若林 正武君     高橋雄之助君
     小野  明君     宮之原貞光君
    —————————————
  出席者は左のとおり。
    委員長         世耕 政隆君
    理 事
                斎藤 十朗君
                内藤誉三郎君
                片岡 勝治君
                小林  武君
    委 員
                梶木 又三君
                金井 元彦君
                黒住 忠行君
                志村 愛子君
                高橋 邦雄君
                高橋雄之助君
                中村 登美君
                二木 謙吾君
                鈴木美枝子君
                宮之原貞光君
                矢追 秀彦君
                松下 正寿君
                加藤  進君
       発  議  者  加藤  進君
   衆議院議員
       修正案提出者   西岡 武夫君
       修正案提出者   受田 新吉君
   国務大臣
       文 部 大 臣  奥野 誠亮君
   政府委員
       内閣法制局長官  吉國 一郎君
       内閣法制局第一
       部長       角田礼次郎君
       警察庁警備局長  山本 鎮彦君
       文部政務次官   藤波 孝生君
       文部大臣官房長  井内慶次郎君
       文部省初等中等
       教育局長     岩間英太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        渡辺  猛君
    —————————————
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (当面の文教行政に関する件)
○学校教育法の一部を改正する法律案(第七十一
 回国会内閣提出、第七十二回国会衆議院送付)
○義務教育諸学校等の女子の教育職員の育児休暇
 に関する法律案(第七十一回国会安永英雄君外
 三名発議)(継続案件)
    —————————————
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世耕政隆#1
○委員長(世耕政隆君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 教育、文化及び学術に関する調査中、当面の文教行政に関する件を議題といたします。
 本件について、質疑のある方は順次御発言を願います。
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片岡勝治#2
○片岡勝治君 きょうは、過般行なわれました春闘にかかる日教組に対する弾圧問題について若干質問を行ないたいと思います。
 御承知のように、今回の日教組のストライキに関しましては、私は、いままでの状況とたいへん異なったものがあるのではないかと思う。つまり、春闘が国民春闘といわれるごとく、そして政府自身が狂乱物価時代と認めるごとく、国民大衆にとってはたいへんな時代を迎えておる。まさにやむにやまれぬ労働者、国民大衆の抵抗の姿が今回の国民春闘といわれたものであっただろうと思うのであります。したがって、そういう背景の中に行なわれた日教組のストライキについては、当然政府あるいは文部省あるいはこれを取り締まらんとする警察当局においても、そういう特異な背景について十分考慮し、配慮するということはこれは当然であろうと思います。こういう点について大臣は、そして警察はどのように考えておるのか。
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奥野誠亮#3
○国務大臣(奥野誠亮君) 今度の四月十一日の日教組のストライキにつきましては、昨年の群馬県の前橋におかれました大会において、四十九年の春闘の際には、まる一日のストライキをやるんだということを決定されているわけでございます。その際にも、多くの政治的な課題が掲げられておったわけでございまして、同時にまた、今回の春闘にあたりましてまる一日のストライキをやる、戦術会議等におきましても多くの政治課題が掲げられておったわけでございまして、私は、単に職員の勤務条件の維持改善をはかるための労働運動とは趣をかなり異にしたものじゃないだろうかというふうな感じを従来から持っておりまして、非常に政治的色彩の濃い運動だと。先生方は特に政治的な活動は慎しまなきゃならない職種でありますだけに、ぜひ、そういうような行動はやめてほしいということをいろいろな機会を通じまして、あらゆる方途を講じて、先生方に徹底するように努力してまいったわけでございます。しかし、遺憾ながらそういうことが行なわれ、また、警察の捜査というようなことにまで発展をいたしまして、たいへん残念だったと。私の力が及ばないで今日の事態を見るに至ったこと、たいへん残念だと、こんな気持ちを深くいたしているわけでございます。
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山本鎮彦#4
○政府委員(山本鎮彦君) 御承知のとおり、公務員は法律によって争議行為をすることが禁止されておるわけであります。これをあおる等の行為については、刑事罰が定められておることは御承知のとおりでございます。この法律の規定は、昨年の四月二十五日の最高裁の判例によって憲法に違反するものではないという判断も確立しておるわけでございます。したがって、公務員が争議行為をするということは、その目的のいかんを問わず許されないわけでございまして、日教組がかつてない大規模な争議行為を行ない、公立学校の業務が著しく阻害された、授業に多大の影響があったということは非常に残念なことであります。われわれとして、犯罪の容疑が認められている事案について、やはり必要な捜査を行なわざるを得ないわけであります。これは警察の責務であるというふうに考えて、これが捜査を行なったわけでございます。
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片岡勝治#5
○片岡勝治君 非常に抽象的なお答えですね。私の質問の焦点に合わせたぜひ答弁をお願いしたいと思います。
 つまり、今次春闘の特徴は何か、どういう背景のもとに行なわれたのだ、こういうことなんです。一年前にストライキをきめたからといっても、率直に言わしてもらえるならば、ほんとうに労働組合が強いのならば、何も一年前にきめる必要はないのです。三日でも四日でも前に、よし、なら、ストライキをぶて、こういうことになると思うのです。遺憾ながら、日本の労働組合はそれまでまだ強くない。強力な組織、強力な運動というものが必ずしも万全ではない。したがって、事前に十分な体制を整えて、権力に対してあるいは使用者側に対して抵抗していくというのが日本の労働運動の実態です。これは大臣だってよく御存じであろうと思うのです、諸外国の労働組合と比べれば。したがって、この日教組が一年前にきめたということは、それだけまだ弱さがあるということなんです。それから従来日教組がさまざまな要求を掲げて、文部省なり政府に対して要求をしてきた。遺憾ながら、団体交渉さえ応じないということがしばしばあった。いや、しばしばどころではない、ほとんどそういう正当な要求に対して拒否をしていくというきわめて冷たい仕打ちが行なわれてきたことは、これは大臣も御存じだろうと思う。それやこれやずっと歴史的な積み重ねがあって、しかも、福田大蔵大臣の言明のごとく、狂乱物価時代だ、その中でどうして生活を守ろうとするのか、こういう今次春闘の特徴の中で、私は、いままでの状況とはたいへん違うのだということは、これは大臣として同情ある見方をすべきではないのかと思うわけなんです。そういう角度から焦点を合わせたお答えを願いたい。
 同じような立場で、これは警察にも、同じような質問を繰り返してみたいと思う。あなたの答弁はもう教科書どおり。私も長く県会議員をやっておりました。しかし警察の捜査、そういうものについては、これはそのときの状況を十分配慮して通常やってきております。かりに違法行為があったとしても、しかし、それによってたいへん大きな被害があったという場合はいざ知らず、ほとんど実害がない、違法行為はあったけれども実害がない、あっても非常に少なかった、あるいは情状やむを得なかった、こういう場合には、ほとんど手入れをしてないということは、その例は一ぱいあるわけであります。今次春闘に対して警察側としても、いままでとは違ったのだと、違っているのだという認識はあってしかるべきだろうと思うのです。ほとんどそういう認識がなかったとすれば、これはもはや国民不在の警察行政と言われてもいたし方があるまい、そういう角度で、法律の条文を私は聞いているのじゃないのです。社会的な、あるいは経済的なそういう背景を一体警察当局はどうとらえていたのか、この点もう一度お答え願いたいと思います。
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奥野誠亮#6
○国務大臣(奥野誠亮君) 日本教職員組合は、私は、弱い組合じゃなくて、わが国における最強の組合の一つだと、こう判断をいたしております。だからこそ、その推薦する多くの国会議員を衆参両院に送っておられるのだと、こう思っておるわけでございます。これほど多くの推薦国会議員を衆参両院に送っておられる組合はほかには例を見ない、こう思っておるわけでございまして、かなり大きな見方の違いがあるということを感じさせられました。
 第二には、組合は勤務条件の維持改善をはかることを目的とすると地方公務員法に明記されておるわけでございます。勤務条件の維持改善をはかるためであるならば、とことんまで話し合いをして、万やむを得ない場合に、ストライキに訴えるというのが労働基本権の本来の行使の姿だろうと、こう私は判断をいたしておるわけでございます。私は、日教組に会わないわけじゃございません。文部大臣になりましてからも何回も会っておるわけでございます。同時に、勤務条件の維持改善をはかるための戦いであるというならば、国会におきまして、いわゆる人材を教育界に導き入れるための法律も成立さしていただいたあとのことでございますので、いささか、国会の権威にかんがみまして、あのような行動が単に勤務条件の向上を目ざして行なわれたものだと受けとれるものだろうかということに大きな疑惑を持つものでございます。
 第三には、また、かりに狂乱物価というような問題があるにいたしましても、それは国会において大いに論ぜられるべき事柄じゃないだろうか。国民が自分のかってな行動に終始してよいものではない。私は、わが国の国民主権というものは、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動するということが憲法の前文にも明記されているところでございまして、それぞれの個人がかってに、国会において十分論議されなければならぬことを、自分たちなりに国会に対してストライキをもって強圧をするとかいう性格のものではない、もし、それであるならば、それは労働基本権の行使とかけ離れた政治運動だと断ぜざるを得ないのじゃないだろうか、こう考えるわけでございます。基本的には、ストライキが許されるものではございませんけれども、同時に、かりに許されるといたしましても、今度の場合は、私は、労働運動だとは考えられない、政治運動だと断ぜざるを得ないのじゃないだろうかという疑問を非常に深く持っておるものでございます。
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山本鎮彦#7
○政府委員(山本鎮彦君) やはりわれわれとしては、この争議がきわめて大規模なものである。しかも、いま御質問ありました実害がないのじゃないかというような御判断のようでございますが、われわれとしてはやはり、実害があり、著しくいろいろな業務が阻害されたという判断に立って捜査をしたわけでございまして、特に政治的、その他の意図を持ってやったわけでございません。
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片岡勝治#8
○片岡勝治君 私もかって教員をしておりましたし、日教組の一組合員であったことがあるわけでありますけれども、私は国民に選ばれて国会議員になった一人であります。この点の認識は大臣としても、十分認識を変えていただきたいと思うわけであります。日教組から推薦して国会議員になれる、そういうシステムにはなっておりませんから。
 私が聞いておるのは、国会で何でもきめると、そういういろいろ御説明があったわけでありますが、もちろん、議会制民主主義というものは、日本の一つの政治システムとして確立をしなければならぬと思うのであります。しかし、いま大臣がおっしゃったように、何でも国会でということじゃないんです。つまり、憲法に認められた基本的な権利として、たとえば労働基本権というものについては、これは侵すべからざるものだ、つまり国会できめればそれでストライキ権というものを否定できるかというと、憲法はそういう点については幾つかの、ストライキ権だけではなくして、国会の機能そのものでも侵すべからざる基本的な利益というものは認めておるわけであります。オールマイティではないということなんです。あくまで憲法の定めた範囲内、その中で国会の機能というものを果たしていくわけですから、労働組合が賃金引き上げのために労働組合をつくり、あるいはストライキ権を行使して、みずからの生活を守るということは、これは侵すべかざる基本的な権利なんです。たまたま公務員の場合には、法律によってこれを禁止をしているという形にはなっておりますけれども、まあ、われわれが考えるならば、これは侵すべからざる一つの権利なんです。しかし、だからといって、公務員すべてが全く一般労働者のとおりにやっていいのかどうかということについては、それはいろいろ立場があるだろうけれども、基本的にはそういう考えに立つということが、これは民主主義の常道だろうと思うのです。そういうことからするならば、特にそれに加えて、今日の狂乱物価といわれる、まさに戦後の混乱した一時期を除けば、たいへんものすごいインフレ高物価時代に対して、労働者が立ち上がって、大規模なストライキをする。これは、通常の場合と違って、私は率直に言って相当同情すべき時期にある。その中における公務員のストライキについては、これはそういう背景というものが十分配慮されてしかるべきなんだということを主張しているのです。そういう配慮が全然ないところに、国民不在、労働者不在の警察行政、あるいは政府の政治姿勢があるのではないか、このように考えます。この点については、たいへん私はいまの両者の答弁を聞いておりまして、非常に冷たい政府の態度だな、もうちょっと同情ある態度の片りんでも見せてもらえればということを期待しておったのですが、たいへん冷たい。その冷たさを私を痛切に感じました。
 第二番目として、今回の春闘は、相当一定の時期を設定をして、その主張を実現しようということで計画をされたわけでありますけれども、十一日のストライキの夜手入れをした、こういうことなんです。そもそもストライキというのは、一つの争いがあるわけですからね。ストライキをだれもが好むわけではありません。これは労働者だって何も好んでストライキをやるわけではない。われわれもまた、国民の一人として、教職員が、あるいは運輸交通関係者がストライキをできればやらないでほしい、これはだれだってそう考えておる。どしどしやってください、やったほうがいいんだということは、そんなことを考えている人はだれ一人もおらぬわけであります。しかし、なぜストライキが行なわれるか、これは民間といわず、公務員といわずストライキに一つの争点がある。かりに賃金の値上げの問題にしても、三万円上げてくれ、いや二万五千円だ、そこに主張の差があるわけですから、争いがあるわけです。しかも今次春闘のような、国民春闘といわれる国民全体の生活を高めるための春闘ということになれば、まず、この争いに対して政府が、これは文部大臣も、警察もその争いに対してすみやかに解決をしていくということが本筋ではないのか。しかるに、ストライキということが、その形だけをとらえて好ましくないからといって一斉に手入れをして、警察権力によってこのストライキを事実上やめさせようという、こういう態度については、これはわれわれとして理解ができない。これは私どもの社会党という立場だけではなくて、国民の中においても、あるいは率直に言ってそれは一つの世論を代表するものといわれておる新聞の社説においても、ちょっとひどいじゃないか、当日の夜いきなり大規模な手入れをするということは、明らかに春闘を押える、そういう機能を果たすことになるのではないか。それよりも争いが一体何なのか、そういう点について、まず文部大臣、その争点の打開のために東奔西走するということであれば、これはまあわかるわけです。そういうことをしないで、いきなり大規模な捜索を開始したというところに私は今回の非常に特徴的な意味がある。一体文部大臣は、今次春闘のこの争点についてどれだけこの時点で努力をされてきたのか、具体的にひとつ御説明願いたいと思います。
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奥野誠亮#9
○国務大臣(奥野誠亮君) 一つは、議会制民主政治のことについての御意見がございました。私も議会制民主政治のワクから一歩もはずれて民意の反映をはかることがいけないという気持ちはさらさら持っておりません。しかし、ストライキというのは、労使が平等に話し合える態勢をつくるために、労働側には団結権、スト権が与えられ、また、使用者側にはロックアウトの権限が与えられ、そして対等の立場を保障しているんだと、こう考えているわけでございます。表現の自由というものは、国民に保障されておるわけでございますので、大いに民意を反映させる努力あってしかるべきだと思いますが、それはやはり勤務時間の外でやっていただかなきゃ国民が迷惑をするんじゃないかと、こういう判断をしているわけでございます。公務員は、憲法で全体の奉仕者だときめられておるわけでございまして、全体の奉仕者ということは、全体の利益をより伸ばすために努力をすべき性格のものだと、こう思うんでございまして、一般私人といえども、公共の利益を害しないようにしなきゃならないわけでありますが、公務員はより以上に公共の利益をもっと伸ばしていかなきゃならない私は使命を帯びているんだと、こう思うんでございますが、ストライキに訴えて児童生徒をほうりっぱなしにしてしまう、公共にたいへんな損害を与えてしまうことでございますので、それはやはり表現の自由とかけ離れた行動ではないだろうかと、こんな気持ちを持ってお答えをさせていただいたわけでございます。
 第二番目に、日教組の考え方を大いに聞いて話し合えるものなら話したらいいじゃないか、話し合ったらいいじゃないかということは、私もそのとおりだと思います。決してそういう話し合いを拒否したことはございません。ございませんが、ただ、よく御承知だと思うんでございますけれども、昨年の前橋大会に出されております運動方針等を見ましても、われわれは階級闘争の立場に立つ大衆組織なんだと、資本家階級の政府を打倒するんだと、われわれに対して政治活動の制限をきめておるのはよくないことなんだと、この制限を一つ一つ空文化する戦いを強めていくんだと、こういうことを述べておられるわけでございまして、そういう一連の考え方のもとに、昨年の半日ストライキは一昨年おきめになっているわけでございまして、ことしの一日ストライキは昨年きめておられるわけでございます。団結を強める、団体行動を強化していくというようなことでございますが、それが政治運動につながっているところに私はたいへん心配をしておるわけでございます。そういうこともございまして、一人一人の先生にまで自覚を求めたい、そういうことで、文部広報にこの問題を取り上げまして、そして全部の先生方にお読みいただくというような手配もしたわけでございまして、今日のような事態を招かないように私としてはこいねがってまいったわけでございます。不幸にして、こういうことになったわけでございますけれども、今後といえども健全な組合にぜひなってもらいたい、組合員一人一人に自覚をぜひ強めていただきたいという希望を持ち続けておるわけでございます。今後もそういう面につきまして最善の努力を続けていきたい、かように存じております。
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世耕政隆#10
○委員長(世耕政隆君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま亀井善彰君が委員を辞任され、その補欠として高橋邦雄君が選任されました。
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片岡勝治#11
○片岡勝治君 公務員が全体の奉仕者であるという、そういう考えについて私は否定するわけじゃないのです。しかしだからといって、それでは、公務員が労働者としての権利をすべて否認することができるかどうかというのはまた別な問題なんです。だから公務員にかりにストライキ権が与えられたことによって、全体の奉仕者としての任務というか、そういう性格が全くほごになるか。ほごというのは守るということじゃなくて、だめになるかというと、そういうことではないと。これは諸外国の例を見ても同じようなことがいえるということでありますが、諸外国においては公務員の争議権を認めておる、先進国はむしろそういうほうが多いわけであります。それと公共の利益を守るということとは別の問題である。しかしなおかつ、そういうことを国民ががまんをして、みんなががまんすることによって、それぞれ人間としての、個人としての権利というものが守られていくんだと、そういうことだろうと思うわけなんです。もし、文部大臣のこの考え方によれば、これを広くやっていけば、公労協のストライキについても全く否定されるような考えになるわけですね。しかし、これはいままでの裁判の結果を見ても、御承知のように、公務員でも違法性の少ないストライキについては、憲法はこれを許容しているんだという判決も出ておるわけです。これは大臣の考え方はたいへんおくれている。必ずしも憲法の趣旨に沿っていないというふうにいえると思うのです。私がいま聞いたのは、この春闘の山場といわれている交通ゼネスト直前にして、あるいはゼネストに入ったときに、政府関係者は非常に努力をしておりました、官房長官にしても、担当の副長官にいたしましても。しかし——官房長官や関係担当大臣は私はたいへん努力したと思うのです。総評の幹部に会い、あっちに会い、たいへん飛び歩いていた。春闘の担当の大臣ですから、これは前面に立つのが当然だろうと思うのです。少なくとも、日教組があれだけの要求をして春闘の一環として戦っていくならば、私は、文部大臣も朝から晩まで東奔西走して、この争点、先ほど申し上げました春闘の争点の打開のためにもっと——全然努力をしていなかったとは私は思いませんけれども。もっと前面に立って、政府と日教組の間に立つなり、あるいは何なりして、争点の打開のために東奔西走する、全的な努力を傾注する、そういう姿があってしかるべきだと思う。しかし新聞、テレビ等の私どもの得る情報からはあんまりそういうことが見られなかったのはたいへん残念だ。そして、そのあげくの果てに強行捜査ということになれば、これはどうもちょっとひどいじゃないか。つまり先ほど申し上げました春闘の背景、あるいはいま言ったようなことを考えると、通常ストライキというものについて批判的な人も、今度のやり方はひどい、確かにひどいということが言われると思うのです。そういう点について、もう少し私は政府関係者の御努力というものがあってしかるべきだろうと思うのです。
 それから先ほど警察の警備局長は、昨年の判決というものを一つ取り出して、公務員のスト権というものについて、一定の解釈を示しましたけれども、御承知のように、四十一年の全逓中郵事件の判決、あるいは四十四年の都教組判決というものによって、公務員のスト権、まあ内容によれば多少幅があるわけでありますけれども、スト権が認められた、そういう判決が出たのは御承知だろうと思う。私たちはこの判決で、ああなるほど公務員にもスト権があるんだ、そういう認識を公共企業体の職員もあるいは公務員も持つということはこれは常識だろうと思うんですよ。そういう判決が出たということについて、それをすなおに受けとめる感じというものが出てくるのは当然だろうと思う。なるほど、その後それを否定するような判決が出たけれども、しかし、かつてそういうストライキを認めた判決が出れば、これは労働者の感情としてそういうストライキが必ずしも全面的に否定されているものではないという認識に立つのは常識でしょう。そういう歴史的な経過を何ら踏まえずに、いきなり強制捜査に突入をしたということは、そのことからすれば、これは政治弾圧だといわれてもいたし方がないではありませんか。しかも、憲法に基本的に労働基本権が認められているという、そういう考え方からすれば、むしろ、積極的に権利が認められるんだという期待感からすれば、労働者が、公務員といえどもストライキというのは認められているんだという認識に立ってストに突入をした、これは常識的に考えられるわけであります。それが全く否定されるということになれば、これは政治的な意図があったといわれてもいたし方がないと思う。この辺のからみはどういうふうにお考えですか。
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奥野誠亮#12
○国務大臣(奥野誠亮君) 日教組とのお話し合いにつきましては、私は決してこれを拒むような考え方は持っておりません。
 また、ストライキの前にも、教職員定数の改善等について事務当局にお話があったようでございました。それを聞きましたときに、それはやはり正確にお答えをしなさいよということを事務当局に申しました。事務当局から書いたメモをお渡しをしたということもあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、いろいろな議論はありましても、わが国の国法の上では教育公務員はストライキをしてはならないという明文の規定が置かれているわけでございますし、また、教育基本法にもそういう趣旨の規定が置かれているわけでございます。労働基本権をどこまで認めていくかということは公共の福祉とのかね合いで立法政策に属することじゃないか、こう考えるわけでございます。あくまでも国会の場において十分論議が尽くされて決定をしていかなきゃならない、その決定された法律に従っていかなきゃならない、かように考えているわけでございます。
 私は、いろいろ論議はありますけれども、裁判の判例の中におきましても、認めることは一切いけないんだという式の判例を私知らないんですけれども、やはり少なくとも法治国家でございますだけに、法律上もこれは公務員は特に尊重していかなければならない性格のものではなかろうか、かように存じておるものでございます。
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山本鎮彦#13
○政府委員(山本鎮彦君) ただいま最高裁の判決について御質問ございましたけれども、われわれ警察といたしましては、四・二判決によって、このスト権の問題について限定解釈がなされて、一定の条件を満たさなければそれは違法行為として問擬できないんだというような、大ざっぱにいえばそういうような判決であり、それに従ってわれわれとしては捜査はしておった。やはりスト権は場合によっては違法になるというたてまえであったことは当然だと思うわけです。ただ、昨年の四・二五判決によって今度はそういう限定的な制限が取り払われたということで、そういう形でまた捜査を始めるということであって、われわれとしては四・二判決にも十分従いますし、今度改正といいますか、それがくつがえされて四・二五判決にも従う。われわれとしては、やはり民主主義国家において違憲立法審査権を持っておる最高裁の判例というものに忠実に従ってただ捜査を進めていくだけであるという、そういう立場に立ってわれわれの責務を全うしたいということでございます。
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片岡勝治#14
○片岡勝治君 つまり、組合員、労働者の側に立った認識の問題として私は聞いているんです。少なくとも、中郵事件あるいは都教組事件の最高裁の判決は、なるほど全面スト認定ということにはなっておりません。一定の条件というものがありますけれども。少なくとも、最高裁の判決によってスト権というものが限定的であれ容認されたということは、これは厳然たる事実なんですね。だから、いま文部大臣が言うような理解ですと、これはたいへん間違っていると思うんです。同時に、組合員あるいは公務員の側に立って見れば、少なくとも、ああいう判決が出たことについて、ストライキが全く否定されているんだという認識には立っていないんです。一部認められたんだという認識に立っていることは間違いですか。間違いと私思いませんよ、そういう判決が出た以上。しかし、いま文部大臣の答弁や警察側の答弁によると全くそれを否定するがごときことでは、これは前進にはならないんじゃないか。何か見解があれば聞きたいんです。私の言っていること間違いじゃないでしょう。
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奥野誠亮#15
○国務大臣(奥野誠亮君) おそらく、都教組事件の判決、四十四年でございましたでしょうか、そのことを基本にして御意見をお述べになったんじゃないかと思うんですが、もしそれだとしますならば、刑事事件に問う場合には、ストライキによって起こした影響、それとのかね合いで判断、適用すべきだという趣旨の論旨だったと思うのでございます。それが昨年の判決におきまして、そういう影響のいかんを問わず、法が禁止しておること、それはそのとおり認めるべきだという趣旨であったように理解をしているわけでございます。したがいまして、ストライキが許されているんだというようなことで組合員が行動されたとするならば、それは誤解もはなはだしいんじゃないか。それぐらいのことは組合員は御承知あってしかるべき性格のものじゃないだろうかな、かように思うわけでございます。
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片岡勝治#16
○片岡勝治君 少なくとも、最高裁がそういう判決を出した以上、すべてそういった争議権というものが否定されてはいないんだという認識を持つことが、これは大臣誤りですか。最高裁がそういうことを出した以上、全くスト権あるいは争議権、そういう労働基本権というものが否定されているんだという認識だけに立つということはどうなんですか。いいでしょう、それは多少そういう感情を持ったって。私はそれを聞いているんです。
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奥野誠亮#17
○国務大臣(奥野誠亮君) 片岡さんの御意見に賛成できなくて恐縮なんですけれども、私はそういう判断はおかしいんじゃないか。昨年の四月二十五日の最高裁の判決、これはもう明らかに否定しているわけでございます。同時にまた、公務員につきましても、職種によりまして団結権も認められていない職種もある、団結権と交渉権の認められている職種もある、あるいはまた、民間の組合でありましても、電力事業のように電力の供給に支障を起こすような同盟罷業は許さないというような立法も講ぜられているわけでございまして、それぞれによって労働基本権を保障していくそのしかたが区々であること、これはもうよく御理解いただけると思うのであります。
 そうしますと、教育公務員でございますだけに、ストライキやることが、これはもう否定されているわけじゃないんだというようなことを考えておられる方は、私はいらっしゃらないんじゃないだろうかなあ、もしいらっしゃるとすれば、一体先生たるに値する資質を備えておられると言えるかどうか疑問に思うなという感じを私起こさざるを得ないわけでございます。たいへん恐縮でございますけれども、ちょっと片岡さんの御理解と私の判断との間に食い違いがあるように思います。
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片岡勝治#18
○片岡勝治君 いまこの教育関係法や公務員法の私は解釈から言っているのじゃなくて、少なくとも、かつて最高裁からそういう判決が出たという事実は否定するわけにはいきませんね。そうなりますと、全く公務員といえどもストライキが——これはいま警察答弁しておられましたよね。両方の要素を十分考えているんだ、すべてが否定されているんじゃないということは答弁にありましたね。しかし、文部大臣は全くそれは否定されているんだということになれば、これはちょっとおかしいんじゃないか。私は、そういう意味では文部大臣、それは意見に賛成するわけにはいかないんです。全く否定されているんじゃないということの証左として判決があるんです。いや、あんな判決はでたらめなんだと、そんなものはなかったんだということならば別ですよ。少なくともあの判決が出た、そういう判決があったということは、それは一〇〇%と私は言っているわけじゃない。あの判決内容自体も一定の条件のもとにおいて、という趣旨の判決ですから、そういうことからすれば、全く一〇〇%禁止されているんじゃないということを私は言っているんです。大臣が一〇〇%ということになれば、これはたいへんな問題ですよ。この辺は硬直化した警察のほうがゆるやかな理解をしていますよね。いま両方の要素があるんだ、こういうことを言っているんですから。山梨県警へ私はこの問題で調査に行きました。本部長にも会いました。いや、半日ならいいと言うんです、半日ならば、といっているんですからね。だから半日のところは一斉手入れはしません、その程度のことは、これは許されていいんだ、そういうことなんです。だから、じゃなぜあなた山梨で一斉捜査に入ったのかと言ったら、半日か一日かさだかでない。それは山梨の事情はちょっと違いますよ、ストライキの様相が。つまり半日とも考えられるし、しかしそうでもない、一日という理解もできるのだ、だから山梨は一斉捜査に入ったのだと、こういうことです。これはわれわれ国会議員が大ぜい行って本部長といろいろ話し合ったときの最後の話はそうです。そうすると、やっぱりこの警察本部長の見解も全くストは否定されているわけじゃない、そのときにも言いました。これは小野さんがおとといですか質問をしたように、他の公務員だってやったじゃないか、なぜ手入れを教職員だけやるのかと言ったら、いや、それほど大きな被害があるわけじゃないんだ、一日のストライキということになると被害がある、あの程度のことは認められているのだと、公務員といえどもそういう理解です。ですから手入れはしないのだと、捜査はしないのだと、こういうことですから、この点はひとつ文部大臣、むしろ私の意見に賛成なされたほうが、なるほど文部大臣も理解があると、進歩的な大臣だと、こういうことになろうと思うんです。この点はひとつ見解を改めていただきたいと思うんです。
 それから次に、警察のほうのいままでの答弁によると、今回の強制捜査について適正な判断、適正な捜査ということを繰り返しお答えになっておるわけですが、しかし、これは率直に申し上げまして警察側の主観です。適正な捜査、適正な判断、これは私がもし立場を変えてその席に行って質問を受けた場合にきっとそういう答弁をするでしょう。しかし、これはあくまでも主観であって、そこに裏返せばいろんな問題が出てくるのは当然です。警察といえども神ではない、未熟な点もあるだろうし、若干のあやまちをおかすこともあるだろう。これは人間のやることですからこれはいたしかたのないことであります。そこで自分としては適正な判断としてやった、誤りない捜査をやっているんだ、そう自負されておっても、しかし、絶えず謙虚に耳を傾けることが必要であろうと私は思うんです。その場合に、あなた方は一体どういう基準というか、状況をもとにして、みずからやっておる捜査のいわゆる適正であるか、適正でないか、そういう反省の材料になされますか。率直にもっと具体的に申し上げるならば、たとえば新聞の社説についても、今回のやり方はひでいじゃないかと、こういうことがありましたね。これは私は、警察に対して、警察側は適正な捜査をやっているんだ、そういう主観に立った考え方に立つのはあるいは当然かもしらぬけれども、こういった世論に対してどういうふうに反省をなされるのか。もし見解があれば承りたいと思います。
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山本鎮彦#19
○政府委員(山本鎮彦君) 今度の日教組の事件についての捜索、差し押えの問題について何か反省する点はないかというようなお話だと思いますけれども、われわれとしては、先ほど申し上げましたように、無法状態をほうっておくわけにはいかない。しかもその規模、態様、影響から見てまさに地公法違反の容疑に該当するということで厳正な捜査を続けて、法律に基づいた適正な手続で、しかもその法律は昨年の四・二五判決によって憲法に違反しないという最高裁の判断が下されている、その判断に従った運用をもって進めてきたことについて、これはまさに民主主義の原則に基づいて進めてきた手続に全く遺漏はないという信念を持ってわれわれは仕事をしておるわけでございます。
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片岡勝治#20
○片岡勝治君 だから警察側として絶えず自分のやっていることは適正だと、誤りがない、そういう自信を持つのはけっこうです。しかし、それはあくまでも主観であって、やることなすことがすべて正しいんだということは私は独善だと思うんですよ。たとえばいま言ったように、新聞の社説において、その警察の行動について批判があった場合には、ああ、そうかということで、いままでの捜査方針を変える、変えないは別問題として、そういう世論に対して謙虚に反省をしていく、あるいは振り返ってみる、そういう態度が必要だと思うんです。あなたの答弁を聞いてみると、さらさらそういう意見がないというのは私はたいへん残念に思います。これは地方の警察というのはもっと謙虚ですよ、そういう点について。直接民衆とつき合っていますからね。いろんな問題で警察に言っていった場合に、ああ、そうかと、それは警察が悪かったと、それは謙虚に改める、そういう声があった場合には。だから国会において私どもがこうした意見を出すことも一つのそういう意味では振り返ってみるという機会にもなるだろうし、新聞の論調もそうだろうし、あるいは春闘共闘委員会が警察のほうに文句を言っていった、こういうあらゆる機会を通じて、しかしすなおに反省をしていく、こういう態度は私はあっていいと思うんですが、どうですか。迷惑かけそうですか、そういうことについて。
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山本鎮彦#21
○政府委員(山本鎮彦君) もちろん、私はいま私どもの立場を原則的に申し上げたわけでございまして、われわれの仕事に対する、やり方に対する批判、意見、そういうものはわれわれとしてはもちろん当然そういうものを十分われわれの何といいますか、内省の資料として考えていきたいと思うわけでございますが、それら個々についてもまた、われわれとしても、それに対するまた意見もあるわけでございまして、そういうもの全体を通じて現在の心境からいえば、われわれのこれにとった措置というものは公正妥当であるというふうに考えているわけでございますが、もちろん先生のおっしゃる、あるいはさらに具体的なこまかい点について末端において具体的にこの捜索、差し押えが行なわれたというような問題になりますと、それはいろいろな状況によっていろいろな問題が起きている、あるいは起きるおそれもある、そういう点はやはり万全ではない、人間のすることでありますからいろいろあると思いますが、そういうものは個々の状況に応じて、あるいは間違いがあればそれを是正をするにはやぶさかでないという気持ちでおります。
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片岡勝治#22
○片岡勝治君 次に、今回の問題につきましてはたいへん大きな問題であるということは、捜査の対象が教職員であるということですね。したがって、かりに警察が強制捜査に乗り出すという方針を——まあ事実きめたわけてありますか、それに対する批判は別として、捜査をする場合に教育的な配慮というものがあってしかるべきだ。しかし、これは警察側はあまりそういうことを配慮していくと、警察の方針が必ずしも十分に達成できないということで、本来そういうものを配慮しないのが原則だろうと思う。しかし、たまたまここに文部大臣と同席をしているから、私はそういう面では文部大臣のほう、つまり教育行政機関のほうが警察に対して強くそういうことを求めるという態度があってしかるべきだろう。これは山梨の例でありますけれども、山梨県の教育委員会あるいは教育長さんは、そういう面ではたいへん努力をされております。事前に、もしそういうことが起こったにしても、教育的な配慮、児童生徒に与える影響、教職員に対する心理的な影響、そういうものについて警察は十分配慮してくれ、これはもう再三再四話し合っておったようであります。私はたいへんこれは感銘を深くいたしました。なるほど地方の現場にいる教育行政機関というものはそうあってしかるべきだろう。かりに公務員法違反で一斉捜査に乗り出す、そして全国何千人の先生に対して一斉に家宅捜索をする、あるいは学校に乗り込む、また参考人に対して、まあ山梨の例ですと、全部の教職員の数が約四千人強ですか、それに対して三百人か四百人の参考人の呼び出し状をかけておる。こういうやり方について、はたしてこれが教育的配慮があったのかどうかと思うと、たいへん私は大きな疑問を感ずるわけであります。この間の答弁によると、文部大臣は、警察の良識をというか、そういう配慮は十分してくれると思うから何も言わなかったというんですが、これは文部大臣として私はたいへん大きな手落ちだったろうと思う。すでにこの教組に対して手入れが行なわれるということは数日前から漏れておった。これは警察内でもたいへん論議があったようであります。論議があって、良識的な一部の警察官は、そんなこと言ったって無理だろう、いややるべきだといういろいろな意見の対立なり論議があったために、今度は手入れがあるらしいということがもう二、三日前から漏れておりましたね。これは私は率直に言って警察内部のそういった論議があった一つの証左だろうと思う。しかし、文部大臣は、そういうことを知ってか知らずか全く沈黙をしておった。なぜ一言警察側に対して、できればやらないでほしい、もしやるんならばそういう教育的な配慮を十分やってもらいたいと、こういうことを言うべきではなかったかと思うわけであります、現実にふたを開いたときの捜査の状況を見れば。これから具体的に申し上げますけれども。この間は何にも警察には言わなかったというんですが、これはあとの祭りになりますが、いまでもそうお思いですか。教育的な配慮をもって捜査に当たれと、そういうことを言うべきではなかったのかということです。地方ではみんなやっていますからね。
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奥野誠亮#23
○国務大臣(奥野誠亮君) 片岡さんのように、捜査以前にこの問題について何も知りませんでした。この間もお答えをしましたように、夕刊で初めて事件を知りました。しかし、私が文部大臣になりまして以来、こういう事態にならないように、あらゆる努力を傾けてきたことは、これは、私は御承知いただけるんじゃないか、こう思います。ぜひ今後、先生方が法秩序を守るように、御努力をいただけぬもんだろうかという期待を持っているわけでございます。それぞれ、担当分野ごとに責任を負っておるわけでございますので、あまり干渉がましい態度は避けたほうがいいんじゃないか、こういうことは基本的に思っております。今後もし、教育界が警察の捜査その他で長く混乱をさせられるというようなことになりますと、あるいは私からお願いをしなきゃならないような事態が生ずるかもしれませんけれども、また、私は、おそらくそんなことはないだろうと思うし、警察は警察として、教育の世界にあまり混乱を起こさせないようにという配慮は当然持っていただいていると思います。したがいまして、この段階で私からいろいろな注文がましいことを言うことは避けるべきだろう、おのおのが責任を持っておるわけでございますので、その責任をお互いに果たしていかなきゃならない、こう思っておるわけでございます。
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片岡勝治#24
○片岡勝治君 文部大臣がこの件について何も知らなかった——たいへんうかつなことだろうと思うんです。私たちはいろんな情報からある程度知っておりましたからね。文部大臣たろうものが、この大規模な警察の捜査について、何も御存じなかった。はたしてそれて——これが交通関係のストライキの拠点に捜査の手入れをするのと違うんですよ。文部大臣、言うなれば、教育行政の、あなた、最高責任者ですからね。その現場に、そして働いている学校の先生の家宅に、何千人の警察官が乗り込んで捜査をする、このことを察知できないということは、私は、いまの政府のこれはやっぱり欠陥じゃないですか。おそらく部下の者は相当知っていたと思うのですが、そのことも大臣の耳に入れない。たいへん残念に思います。
 それよりもまして、私は警察庁の態度というもの、これはもう許せないですね。少なくとも、学校や教職員の手入れをする場合に、一言、なぜ文部大臣の耳に入れなかったのか。実は、こういうことで警察としては手入れをせざるを得ない、できるだけ教育的な配慮をするけれども、まあお知らせしておきますぐらいのことはあってしかるべきだろうと思う。ここに今日の日本の警察の仕打ちの冷たさというものを私は感じますね。文部大臣にいまのことを耳に入れることによって、捜査に大きな支障があるとは私は思いません、いまの文部大臣の態度ならば。そうして文部大臣も、その声に、まあしかしあまりひでいことをやるな、やってくれるなというふうなことは一言あるでしょう。そのことによって警察が大きな圧力を受けて捜査に支障を来たすということはないだろうと思う。つまり、それは、もう警察行政、教育行政以前の問題じゃないですか、その程度のことが行なわれるということは。今日たいへん教育が精神的に荒廃をしているというのは、その辺にもありますね。私は率直に、感じます。どうですか、警察として。——一言もないでしょう、これには。
 さて、具体的に、もう一、二点聞きたいと思いますけれども、つまり、教育的配慮がなかったという事実は、いまさらここで述べるまでもなく、この間、小野さんからもるる訴えがございました。たいへん大規模な家宅捜索を行なった。つまり、学校の先生の自宅に警察が乗り込んでいって、大きな捜査を開始いたしました。この捜査のやり方について、一部においてたいへん行き過ぎがあったということは、この間も指摘をされたわけであります。これほど膨大な家宅捜索が一体必要なのかどうか、たいへん私は疑問でありますけれども、率直に申し上げましょう。これは、何か戦前のこの種の捜査のことに関して、こういうことをだれか言ったことがある。これは元警察官であります。この種の捜査というものは、証拠物件をあげることが目的ではないんだ、大量の家宅捜索、ここに意味があるんだと述懐をされた戦前の人がおったわけであります。漏れ承ると、文部大臣もかつてそういう警察行政をやられた経験があるから、これは十分理解がいく点だろうと思います。つまり、大ぜいの学校の先生あるいはたくさんの学校に対して乗り込んでいって調べる、そのこと自体に意義があるんだと、いみじくも言いましたけれども、私は今回の捜査の状況を見たときに、ちょっとそれに似通ったことがあるのではないか。この点はどうですか。
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山本鎮彦#25
○政府委員(山本鎮彦君) この種の地方公務員法違反事件の捜査、これは組織を背景とする犯罪に対する捜査でございますので、その経緯とか態様、きわめて複雑であり、関係者も非常に多数である。しかも、あおり行為というようなことを立証するには組合の末端組織にまで捜索を実施しなければ具体的なことはわからないし、あるいは参考人等についてもかなり多数の方々からいろいろと事情を聞かなければそういう行為の立証というものはむずかしいという、全く法律に基づく捜査の技術的な問題でこのように多数の個所を捜索する、あるいは多数の人からいろいろと事情を聞かざるを得ないということでございます。
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片岡勝治#26
○片岡勝治君 つまり、文部大臣は警察側の良識を期待をしたと、期待をしているというようなお話でありましたけれども、結果を見れば、常識的に考える以上の多くの先生方の家宅捜索をやっている。しかも夜の大体八時から十一時、すでにこれは眠る時間です。暴力団の手入れだって通常朝やるわけです。夜の夜中に学校の先生の自宅に押しかけていって、中には子供部屋あるいはたんすの奥さんの下着のところまで全部引っかき回してさがし回す。こういう行動はどうもこれはわれわれとして理解できない。やはり戦前の警察がやった家宅捜索というのは、証拠が目的ではないんだ、捜査そのものが、しかも大量やることに意義があるんだ、こういうふうなことが現実の問題として出てきているような気がする。さらに私は、たいへん大量な参考人を呼んでおりますね。これは全国で数万人になるんじゃないですか。しかし、たいへんこれもいま私が指摘をしたごとく、参考人を呼んで尋ねることに意義があるんだというような気持ちが率直に言ってするんです。何々の用件についてお尋ねしたいことがありますから、次の日時、場所においてください——何も書いてないのがあるんですよ。空白の用件について、そういうのが大量にあるんです。地公法違反ともあるいは槙枝委員長のあおり行為とか何とか、そういう法律の内容も書いてないで、大量に呼び出しをかけている。そういうようなことがありますし、まあ、捜査の個々の具体的なことを持ち出せばこれは限りがありません。先ほど警察あるいは文部大臣は、つまり今回のストライキによって被害があった、法律違反によって被害があった。なるほどストライキによって子供の教育を受ける機会を失った、これは事実であります。そのことを私は否定をいたしません。しかし、十一日の場合には、全部が全部教師のストライキによってその教育を受ける機会を失ったわけではありません。これは交通ストライキがありましたからね。ストライキに突入をしなかった学校においても授業ができなかったというところはたくさんあるわけであります。それはさておいて、しかしそれによって被害を受けた、教育を受ける機会を失った。なるほど公益を侵害されたということになるかもしれませんけれども、しかし、その後、この警察のやり方、冷たい仕打ち、膨大な数に及ぶ家宅捜索こういうことによっていま教職員は大きな心理的ないろんなものを感じておるわけであります。学校の先生が、何千人の先生が警察本部の前に集まって不当弾圧反対、そういう集会をやる。シュプレヒコールをやる。まさに、私はこれはたいへんな問題だろうと思うんです。そういうことによって受ける教育に対する影響というものははかり知れないものがある。かりに二時間、三時間の授業がカットされたとしても、これを挽回することは可能であります。私も教師の経験があります。いろいろな事故で授業ができなかった。それは年間通して取り返すように学校の先生はほんとうにがんばるんです。しかし、いま言ったように、四千人の山梨県の教職員の一割にも及ぶ先生を呼び出しをかける、あるいは数百人の先生の家宅を捜索する、このことによって与える影響というものはたいへん甚大であります。一体、そういう影響力を警察は考えたことがあるのか。どういう影響があるのか、おそらく考えなかったんじゃないかと。どうですか。
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山本鎮彦#27
○政府委員(山本鎮彦君) その点は、捜査の結果いろいろな影響があったということは、これまでも日教組についても捜査は何回も過去において行なっておりますので、いろいろな影響があるということは十分承知いたしておりますけれども、そういう影響があるにしろないにしろ、われわれとしては、この純粋に警察に与えられた今度の違法ストに対する捜査というものは、厳正な立場に立ち返って、——そういういろいろな影響があるかもしれないが、やはり法律を守るという立場、これを厳守して捜査しなければならないということで、われわれは捜査に踏み切ったわけでございます。
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片岡勝治#28
○片岡勝治君 まさに語るに落ちたという感を深くするわけであります。つまり、警察としては、そういう影響というものはあってもやむを得ないんだと。だから、大臣私は言っているんです。警察はそういうことは考慮しないんです。山梨県ではいろいろな事例がありましたけれども、これも同じであります。しかし、若干考慮した点も私は認めた点がありますけれども。しかし、警察は、いまの答弁のようにきわめて冷酷無比です。教育効果のことなんかは二の次なんです。だから、一たんこういうことが起こった、それに対して捜査を行なう上に、教育的ないろいろな悪影響というものを最小限度に食いとめる努力というものを教育行政の立場にある大臣が関係者として当然やるべきではなかったのか。これが行なわれなかったということについて私はたいへん大きな不満を感ずるわけなんです。この点は文部大臣どうですか、いまのああいう警察の側の態度に対して。——お答えがないようですから、もう一、二の問題について伺います。
 これは教師と、つまり、教育の影響だけではなくて、教育と警察官との関係にたいへん重大な要素をかもし出しております。警察官はみんな学校に子供を送っておるわけであります。しかし、いま率直に言って、教師の警察に対する感情というものはよくありませんね。これは当然だと思います。あまりにもひどいじゃないかという、そういう感情がみなぎっていることは、これは教職員といえども人間ですからやむを得ないと思います。山梨県の話を聞くと、それまでは学校の先生もおまわりさんも一緒に協力して子供の交通事故をなくそう、あるいはいろんな事故をなくそうということでたいへん手をつないでしっかりやってきた、お互いに理解し合いながらやってきた。しかし、その一斉手入れの結果、そういった非常に好ましい関係というのがぷっつり切れて口もきかない、なるほど警察は違法事件があったから捜査をするんだ、それは警察の立場はあるかもしらぬけれども、われわれからするならば、なぜもっと事こまかな配慮というものができ得ないのか。そして、なぜ教育委員会なり文部大臣なりがそういう点について配慮をするような措置をとれないのか。これは政府の責任だろうと思うわけです。文部大臣だけじゃなくて。この点はひとつ十分肝に銘じていただきたいと思うわけであります。もし、このままの関係が続くとするならば、私は、たいへんな問題に派生しかねないと思う。この際、文部大臣は、こうした問題がここで論議をされた結果からしても、警察に対して私は一言あってしかるべきだと思いますよ、率直に申し上げまして。どうですか。
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奥野誠亮#29
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど片岡さんは、児童生徒の授業ができない、一日だけのことじゃないか、あとでまた取り返しがつくじゃないかという式の御発言がございました。その点につきましては、私と片岡さんとの間に大きな開きがあるわけでございます。私はやはり、将来の国家社会をになう国民を育てていくわけでございますので、やはり、国家社会の秩序というものを守る国民が育ってこなければ健全な国家社会をつくり上げることはできない、こう思っているわけでございます。その児童・生徒が見習っていこうという先生が平気で法秩序をお破りになる。これは私は精神的に非常に大きな悪い影響を児童生徒に与えた、取り返しのつかないような大きな悪い影響を与えている、こう思っているわけでございまして、そこにお互いの認識の間に大きな違いがあると思います。私は、将来ぜひ、先生方には法秩序を守る先生方として御努力いただきたいものだと、こう念願をしているわけでございまして、不当弾圧などといって抗議される前に、ぜひ、将来いかにあるべきかということを教師の皆さん方でまず考えた上で次の行動を御検討いただきたいものだと、こう念願をしているわけでございます。
 警察の活動の問題につきましては、私の立場上いろいろ申し上げることは避けさしていただきたいと思います。私といたしましては、あくまでも先生方には法秩序を守る先生方として情熱を教育の上にささげてもらいたいものだと、また、法秩序を守るような児童生徒を育てあげていただきたいものだと、そのために今後もあらゆる努力を払っていきたい決意でございます。
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