商工委員会

1999-05-19 衆議院 全60発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成十一年五月十九日(水曜日)
    午前九時十四分開議
  出席委員
   委員長 古賀 正浩君
   理事 伊藤 達也君 理事 小此木八郎君
   理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君
   理事 大畠 章宏君 理事 松本  龍君
   理事 大口 善徳君 理事 西川太一郎君
      岡部 英男君    奥田 幹生君
      木村 隆秀君    木村  勉君
      新藤 義孝君    田中 和徳君
      竹本 直一君    武部  勤君
      牧野 隆守君    村田敬次郎君
      茂木 敏充君    山口 泰明君
      山本 公一君    山本 幸三君
      奥田  建君    河村たかし君
      島津 尚純君    樽床 伸二君
      中山 義活君    中野  清君
      福留 泰蔵君    青山  丘君
      小池百合子君    金子 満広君
      吉井 英勝君    前島 秀行君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  与謝野 馨君
 出席政府委員
        環境庁企画調整
        局長      岡田 康彦君
        通商産業省基礎
        産業局長    河野 博文君
 委員外の出席者
        議員      奥田  建君
        議員      佐藤謙一郎君
        厚生省生活衛生
        局水道環境部環
        境整備課長   入江登志男君
        建設省建設経済
        局建設業課長  中島 正弘君
        商工委員会専門
        員       野田浩一郎君
委員の異動
五月十九日       
 辞任         補欠選任
  奥谷  通君     田中 和徳君
  林  義郎君     山本 公一君
  渡辺  周君     河村たかし君
同日       
 辞任         補欠選任
  田中 和徳君     木村  勉君
  山本 公一君     林  義郎君
  河村たかし君     渡辺  周君
同日       
 辞任         補欠選任
  木村  勉君     奥谷  通君
本日の会議に付した案件
 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案(内閣提出第八八号)
 特定化学物質の排出量等の公開等に関する法律案(佐藤謙一郎君外四名提出、衆法第一六号)
    午前九時十四分開議
     ————◇—————
この発言だけを見る →
古賀正浩#1
○古賀委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案並びに佐藤謙一郎君外四名提出、特定化学物質の排出量等の公開等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西川太一郎君。
この発言だけを見る →
西
西川太一郎#2
○西川(太)委員 与党の立場として質問をさせていただきます。
 本日の審議でいわゆるPRTR法案の質疑は終局を迎えるわけでありますが、これまでの各党の御議論を拝聴しておりますと、情報公開とリスクコミュニケーションのあり方、二つ目には、いわゆる環境ホルモンを対象物質に含めるか否か、そして三つ目は、事業者から排出量データの届け出先などに都道府県も含めるかどうかというような問題が大きな論点としてあったと思うわけであります。私は、我が党として、また与党として、これらの問題を終局に当たって整理をしてみたい、こういうふうに、自由民主党の皆さんの御了解もいただきまして、最後の質疑を私が仰せつかったわけであります。
 そこで、まず政府にお尋ねをするわけでありますけれども、極めて基本的なお尋ねでございますけれども、このPRTRの法制化を急ぐ必要性と、閣法のねらいはどこにあるのかということであります。
 私は、化学物質というものが有用性を持っていることは何人も認めざるを得ないと思います。人工的につくられたものが世界じゅうで十万種類ぐらいあって、我が国でもそれはもう大変な数があると言われて、私たちの生活には欠くことができないものになっているわけであります。しかし、便利で有用な化学物質も、程度の差こそあれ、人の健康や生態系にさまざまな影響を及ぼす可能性を持っているということも承知をいたしております。
 私どもの国では、一九七〇年代の公害問題の経験を経て、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、化審法を初めとする化学物質の規制法の体系ができております。これらの法律は、有害性はもとより、人の健康との因果関係が判明した化学物質を対象に必要な規制を行ってきたと承知をしておりますが、地球環境問題への対応という観点から、オゾン層保護法や地球温暖化対策推進法がこれまた制定され、そのときそのときの環境保全の法体系はきちっとできていると、これも理解いたしております。
 しかしながら、今日、ダイオキシンや環境ホルモンという問題が、数年前にはほとんど国民が名前さえ知らなかったようなものが化学物質の課題として緊急に上がってきている。そこで、今国民が求めていることは、この化学物質と安全裏に共生できるというのですか、そういうものを求めていると思うわけでありますが、必要な化学物質を人間のために有用に使う、こういうことは、単に規制を後から後からと事後的にやるのではなくて、いろいろな手段を活用して未然に防止するということも大変重要なのではないかというように思います。
 一九九六年にはOECDからの勧告が出ています。そこで、我が国においてもPRTRへの取り組みを急ぐ必要がある。私はそのように思いますが、与謝野通産大臣のこの点に関する御所見を承りたいと思います。
この発言だけを見る →
与謝野馨#3
○与謝野国務大臣 先生の御質問は、PRTRの取り組みに対する政府の基本的な方針はどうかということだというふうに伺いました。
 これはもう先生よく御存じなのであえて答弁をする必要があるかどうかと思いますが、PRTRについては、欧米諸国においては既に法制化が進められているということ、また、一九九六年に加盟国がPRTRの導入に取り組むようOECDから勧告が出されていること、こういう背景が実はございます。我が国においても、化学物質の管理の改善の促進と、化学物質による環境汚染の未然防止の観点から、早急に制度化を図ることが必要であるとの認識に立ちまして、本法案を提出させていただいたところでございます。
 本制度は、環境保全上の支障を未然に防止するための新たな枠組みとして、これまでの環境規制法制と比べましても一歩進んだものだというふうに私は考えますし、また、本制度によって得られた排出量等の情報が国民、事業者、行政において広く活用され、事業者による化学物質の自主的な管理の改善の促進が図られ、環境の保全上の支障の未然防止がなされるよう最大限の努力をいたす所存でございます。
 したがいまして、本法案が一刻も早く成立するよう願うところでございますし、そのための御審議を委員の各議員の方々にお願いをするところでございます。
この発言だけを見る →
西
西川太一郎#4
○西川(太)委員 次に、環境庁にお尋ねしたいと思います。
 ただいまも質疑の中で申し上げましたが、危険を未然に防止するという観点は、この立法には欠くべからざる視点だと思うのですね。
 と申しますのは、この政府案を検討いたしますと、事業者による化学物質管理を促進し、環境汚染の未然防止を図るという、いわば化学物質の管理対策と環境保全対策が表裏一体になっている、だから連合審査にもなじむということで我々は理解して進めてきたわけであります。十四日の参考人質疑の中でも、財界の方は、近年、化学物質を取り扱う企業がふえて、また同時にそのために社会的責任というものを自覚して、環境リスクコミュニケーションの取り組みの姿勢、または一般的な言葉で言う環境対策、こういうものをしっかり組み入れている、こういうことであります。
 私は今、通産大臣に、後追いの規制法律であってはいけないと。私の個人的な考え方を言うと、インセンティブ・ベースド・アプローチという、別にそんなことあれかもしれないですが、これはエコノミック・リポート・オブ・ザ・プレジデントという、ことしの二月に議会が大統領に送ったものでありますけれども、その中にも、企業がただこれはだめだ、これはだめだというのじゃなくて、環境問題に協力することによって企業のインセンティブを引き出して、そして新たな発明発見、改善、こういうものをしていかなければ、環境問題というのは、エコロジー・イズ・エコノミーという言葉もあるけれども、しかしその意味は、環境が企業を殺すような、そういうことになってしまってはいけないということであって、共存を否定しているわけではもちろんないわけですから。
 だから私は、そういう意味で、インセンティブ・ベースド・アプローチというのを日本でもやるべきだ、こう思っておりますことを申し上げて、そこで、環境庁には、今度の政府案の枠組みというのは、環境汚染を未然に防ごう、こういう意図が十分盛り込まれているのかどうか、この点を再度お尋ねしたいと思います。
この発言だけを見る →
岡田康彦#5
○岡田政府委員 お答え申し上げます。
 環境汚染の未然防止という観点が盛り込まれているかどうかという点については、まず結論から申し上げれば、先生既に御引用のように、第一条の目的のところからして掲げているところでございます。
 本法案では、事業者はみずからの化学物質の排出量等を把握して、化学物質管理の状況につきまして国民の理解を深めるよう努力することが求められているほか、排出量等のデータは集計、公表されるとともに、個別排出量データも請求に応じて開示される仕組みが用意されておるわけでございまして、こうした本法に盛り込まれましたさまざまな措置を通じまして、事業者は自主的に化学物質の管理を徹底し、環境への排出量等を減らす努力を進めるものと期待されているわけであります。
 また、行政サイドの点におきましては、多くの化学物質の排出量等のデータは、国や地方公共団体が環境行政を推進する上で極めて重要な基礎情報になりまして、これをもとに未然防止の観点に立った環境行政が推進できるという点がまず挙げられると思います。さらには、本法案の十二条に規定しておりますように、PRTRの結果を勘案しながら環境モニタリングを進める、あるいはその他の科学的調査を進める、こういうことが規定されているわけでございまして、化学物質と人の健康影響等に関しての重要な知見を与えるものにもなるわけでございます。
 この調査の成果につきましても積極的に公表するとともに、必要があれば既存法令等も活用しまして、環境保全施策に速やかに取り組むことによりまして、最初に申し上げました法律第一条の目的のところに沿った運営ができるものと考えております。
この発言だけを見る →
西
西川太一郎#6
○西川(太)委員 そこで、具体的に化学物質の管理指針についてお尋ねをしたいと思うのですが、政府案は、PRTRによって事業者から排出量等の情報を国が集め、公表するだけではなくて、事業者がどのように化学物質の管理を改善していけばよいかについて、環境庁長官と通産大臣が指針を定めることとなっております。そして、この指針の策定に当たっては、事業の実態に詳しい関係行政機関の協力を得ること。
 私の意見を言わせていただければ、単に環境庁、通産省だけではなくて、関係省庁が力を合わせてこういうものに取り組もうという姿勢は大変いい、こういうふうに思っておりまして、ぜひそういうふうに努力をしていただくわけでありますけれども、そこで通産省にお尋ねをしたいのは、この指針の効果と、具体的にどういうことをねらっていくのかということを、前段述べた線に沿ってお尋ねをしたいと思うわけであります。
 MSDSをPRTRと一体的に法制化することによって、どんな効果を生み出すと考えておられるのか、通産省の御見解をいただきたいと思います。
この発言だけを見る →
河野博文#7
○河野(博)政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘をいただきました化学物質の管理指針、そしてMSDS、こういったものをこの法案に盛り込んでおりますのは、御指摘のとおり、政府提案の特徴だというふうに思っております。
 化学物質を取り扱います広範な事業者の皆さんに管理の改善を促進していただくということを意図しているわけでございますけれども、事業者の方々の中には、化学物質に関します情報が必ずしも十分でないために、その管理や使用の合理化の方法について理解が十分とは言えない方々もおられるわけでございます。
 この法律の第三条には、化学物質管理指針を定めることとしておりまして、その中には、排出抑制につながるような方法、あるいは使用量の減少につながるような技術的な情報等々を盛り込んだ指針をつくることにいたしておりまして、これによりまして、洗浄あるいは反応などのような主要なプロセスごとに、各業種におきます対象化学物質の実態を踏まえた管理方法をお示しすることができるのではないか。このガイドラインを提示することによりまして、事業者の皆さんに化学物質の管理が効果的、効率的に改善していただけるように、こういうことをねらっているのでございます。
 また、MSDSをPRTRと一体的に法制化するということがこの法案の特徴の一つでございますけれども、これによりまして、化学物質の成分情報などが使用者の皆さんに提供されることになりまして、化学物質を受け取った事業者の方々がPRTR制度に基づく排出量などを把握することに役立つことはもちろんでございますけれども、さらに、化学物質の管理の改善を促進していく際にも重要な情報として役に立つものと認識しております。
この発言だけを見る →
西
西川太一郎#8
○西川(太)委員 ぜひそうなるようにお願いをいたしておきます。
 それから、環境庁に、具体的にこれから政府案の問題点とされていることを三つ四つお尋ねをします。
 一番目は、情報公開とリスクコミュニケーションの問題であります。
 情報公開をすればそれで事足れり、または、耳なれない化学物質の排出量を示されるだけで、これでもう後は住民の責任だなどと言われたのでは国民はたまったものではなくて、情報公開というのは元来、住民の不安を解消するためにあるわけでありまして、不安をあおるようなことにつながったらこれは絶対にいけないわけであります。行政や事業者が公開をすればそれで責任が果たせたなどということにも実はなりかねない性格のものであります。
 そこで、積極的に企業が社会的責任としてリスクコミュニケーションの努力をしていく、またそのいろいろなノウハウを相互に交換しながら、住民に対して十分な情報公開の実質的な実を上げていく、これは非常に大事でございまして、そういう意味では、環境庁はどういうふうにして事業者のリスクコミュニケーションを促進していくのか。その場合には、後ほど触れますが、地方公共団体と国の役割というのはどうなっているのか。これをお尋ねしたいと思います。
この発言だけを見る →
岡田康彦#9
○岡田政府委員 お答え申し上げます。
 事業者がリスクコミュニケーションを進めやすいようにするために、化学物質管理指針におきまして、事業者のリスクコミュニケーションのガイドラインとなるべきものをまず示すということを定めております。
 そのほかに、先生御指摘のように国としてきちんと体制づくりをしていかねばなりませんので、リスクコミュニケーションが円滑に実施されるための基盤整備といたしまして、化学物質全般に係る情報をわかりやすい形で提供することができるデータベースの整備などを、まず国が率先して進めていこうということを定めております。
 また、御指摘の国と地方公共団体の役割についてでございますが、この連携ということが極めて重要でございます。
 したがいまして、事業者に対する技術的助言を行うこと、環境教育等を通じた国民の理解の増進を図ること及びそれらに必要な人材の育成を進めること等につきましては、この法案の十七条の三項、四項、五項に定めているところでございますが、これが実の上がるものになるように連携体制をきちっとつくっていく。そのためには、既にいろいろと企画をしておりますし、知事会等とも相談を始めておりますが、例えば国と地方の間の協議会のようなものをつくって、そこが万全の体制で臨めるようなことを考えていこうと思っております。
この発言だけを見る →
西
西川太一郎#10
○西川(太)委員 ぜひ、リスクコミュニケーションの体系をきちっと、国、地方を包含してやっていただきたいと思います。
 さっき三つ問題点を挙げました。二つ目は環境ホルモンについてなのでありますが、対象物質にこれを書き込んでいないという点がこの政府案の問題点だと指摘をされてきたわけであります。有害性に対する科学的知見とかデータというものがなくても、疑わしきは罰するというような感じでこれを入れろと。しかし、私はその意見は一つの御見識だと思うのですが、そういたしますと、リスクコミュニケーションというものを実施する場合、無用な混乱を時には招いてしまうのではないか、こんなふうにも心配しております。
 有害性に関する科学的根拠を充実していくということはもちろん不可欠でございますけれども、これらの解明について、現在、環境庁としては、喫緊の課題であるというふうに当然認識しておられるとは思いますが、早くこれらの科学的解明をするためにどんな御努力をしておられるのか、環境庁の取り組みを伺いたいと思います。
この発言だけを見る →
岡田康彦#11
○岡田政府委員 お答えいたします。
 いわゆる環境ホルモン問題は、環境保全上の重要な課題でございまして、この問題に対する国民の不安を解消するために対策を急ぐ必要があるということで、真剣に取り組んでいる課題でございます。
 このため、環境庁におきましては、昨年五月には環境ホルモン戦略計画、SPEED98、頭文字をとってそういう略称をつけておりますが、こうしたものを公表いたしまして、国立環境研究所における専門の研究施設の建設を進め、内分泌攪乱作用が疑われている化学物質の環境中の分布状況の調査、野生動物の異常の確認とその原因の究明のための調査などに積極的、重点的に取り組んでいるところでございます。
 また、本問題の解決に必要な内分泌攪乱作用の試験方法の早期確立に向けまして、関係省庁が協力いたしまして、OECDにおける多数の化学物質について国際的に統一された試験方法を開発するとともに、その開発された手法に基づいて物質を各国で分担しながら検査、調査をしていこうという体制に積極的に参加しているところでございます。
 なお、今先生の御指摘のこの法案との関係で申しますれば、私ども、内分泌攪乱の作用というものも有害性の一つのものだということは十分承知しておりますが、先生御指摘のように、一方でいわゆる環境ホルモンにつきましてはまだわからないことがいっぱいあるということで、先ほど申し上げましたようなOECDでの分担に積極的に参加するということはもちろんですが、それぞれの化学物質につきまして、積極的に、内分泌攪乱作用の有無、どの程度のものかということの解明を急ぎまして、内分泌攪乱作用が確認され次第PRTRの対象物質とするということで、個々に取り組んでいこうと思っております。
 先般来申し上げておりますように、私どものSPEED98では、現在まで各国の文献上示されているものといたしまして六十七物質を掲上しております。その中での環境ホルモンとしての内分泌攪乱作用の強さ弱さ、あるいは場合によってはないかもしれないということも含めて、一つ一つつぶしていかなきゃならぬわけであります。
 それはともかくといたしまして、現在でも既に十七物質は、内分泌攪乱作用の有無を確認するまでもなく、発がん性、生態毒性などの有害性を有するということが明らかでございまして、私どものパイロット事業でも既に対象としておるところでございますし、残り二十三物質のうちでも十七物質については、有害性に関する情報はそれなりに整備されてきているという状況もございます。
 したがって、先ほどの脈絡で言いますと、PRTRの実施に関して言いますと、特に科学的知見が不足している残り六物質について重点的に調査研究を進めてまいりたいというふうに考えているような次第でございます。
この発言だけを見る →
西
西川太一郎#12
○西川(太)委員 環境庁の見解を聞いていると、すべて完璧にやっているように聞こえるけれども、私はそうは思わない。
 やはり与党といえども、与党だからかもしれないけれども、化学物質が国民の健康に重大な影響を持っている、これを未然に防ぐということは当然のことであって、さっきから言っているように後追いの規制法ではなくて、ダイオキシンで大変な被害を受けたとか、また過去にもいろいろ、この審議を通じてそういう事故の事例が、アジア諸国の例なども示されて、我が国にそういうことが起こっていないからということで安心してはいけないという御議論もありました。また、大きくはカドミウムの事件とか、いろいろなものも我が国に実際あったわけでありまして、私は、こういうものを後追いで規制すれば事足れりという、その姿勢を伺っているんじゃないんですね。もっと積極的にそういうものを見つけ出してほしい。
 それは、私が先ほどもちょっと申し上げましたけれども、いわゆるインセンティブ・ベースド・アプローチという方法は、そういうものを未然に発見することによって、そんなものは我が社の製品には使っておりませんということを明示することによって、その企業にはインセンティブが働くんですね。社会的にも、経済的にも利益が得られるんです。そういうインセンティブ、誘因があって初めて企業の行動と環境保全というのは一致するわけですね。
 だから、エコロジカルエコノミーというものは、そういう極めて狭い隘路をたどっていかなきゃいけない。企業の論理もきちっと確立しなければいけない、同時に環境保全もやらなきゃいけない、こういう道をたどっていかなきゃいけない。私は今回のPRTRはそういうものでなきゃならぬと実は思っているわけです。
 これは事前通告していない質問でありますが、通産大臣、いかがでございましょうか、こういう見解について。
この発言だけを見る →
与謝野馨#13
○与謝野国務大臣 この法律の中にあります思想というのは、昔は環境問題を議論するときに経済との調和という言葉をよく使っていたわけでございますが、今回の思想は、調和ということではなくて、二つのことを同時に実現するという考え方です。
 調和という考え方は、どっちかが引っ込むことによって調和する。いずれかの、両方引っ込むとかそういうことで全体を調和させていこうという思想が、実は初期の段階の環境問題を論ずるときにあった思想です。今回のこの法律の思想は、環境問題もあるいは安全管理の問題も、法律の中に書いてありますことに関しましては、調和ということよりは、目的をすべて同時に達成するという考え方が書かれているんだろうというふうに私自身は理解をしております。
 そういう中で、やはり企業が環境問題をしっかりとらえ、また環境問題に対応した施策を企業自身としてやっていくためには、何らかのインセンティブが必要だろうという思想を先生おっしゃっていると思います。それも一つの、目的ではありませんで、目的を達成するための手段を論じているわけですから、目的は同じ、手段はいろいろ、目的をよりよく達成するための手段というものは、それは一つの思想としては十分考えられる思想ではないかなというふうに、先ほどから先生の御質問を伺いながら自分で考えていたわけでございます。
この発言だけを見る →
西
西川太一郎#14
○西川(太)委員 最後の質問でございますけれども、ついでに言うと、インセンティブ・ベースド・アプローチズと言うのですね、本当は複数なんですよ。だから、今大臣がおっしゃったとおりいろいろなアプローチがあっていいわけでありますが、今の大臣の御理解と私が持っている気持ちは基本的には一緒でございますので、どうぞこの法律ではそういう点も十分よろしくお願いしたいと思っております。
 最後の質問は、今はリスクコミュニケーションと情報公開、そして環境ホルモン、三つ目の問題は届け出の窓口です。
 これについて、PRTRは国が責任を持ってきちっとやるということが審議を通じてはわかってきたわけです。しかし、例えば私どもが専門にしております中小企業、雇用されている方々も日本の全就業人口に対して占める割合は圧倒的であります、また企業数でも同じくであります。こういう方々の理解を広めて、届け出の確保というものをできるだけ数多く出していただくようにするためには、やはり地域の中小企業や地場産業の実情を承知しておられる都道府県の関与というのは欠くべからざるものじゃないか。
 一方、秘密というのはできるだけ窓口が少ない方が確保されることは言うまでもないので、だからここは、企業秘密という、または営業秘密というものを、企業にとっては死活問題でありますから、これはきちっと確保しながら、しかし同時に、その地域から出てくる声をできるだけ身近なところで吸い上げるということは、決して矛盾しない。
 こういうふうに私どもは考えておりますが、これについて通産大臣の御意向を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
この発言だけを見る →
与謝野馨#15
○与謝野国務大臣 国の制度と申しますか、日本全体の制度は一体どういうふうになっているのかというと、国がやりますことと地方がやりますことをある種区分けしようという考え方で、地方自治に関しては、地方自治の本旨に基づいてこれを行うという、私、正確な文章ではございませんが、そういうことは憲法に書いてあります。したがいまして、憲法が予定している制度というのは、いわば国の固有の事務と地方の固有の事務ということを分けて、それで日本全体がうまく治まっていくような、そういう制度を憲法が書いているわけでございます。
 このPRTR制度というのは、一体、国の固有の事務として国に帰属させるべきか、あるいはこれは地方に関与させて地方の固有の事務なのかという議論を進めてまいりますと、どうも、全国統一的な基準をつくって、統一的なルールを皆さんに守っていただいて、いろいろな報告とか数字とかというものをどこか一カ所に集めて、一元的に物事をきちんと進めていく。それから、化学物質が仮に危険なものであるとすれば、これは地方住民にとっても危険なんですが、国全体にとっても危険だという意味で、どういう側面から考えても、これは国の固有の事務であるというふうに私は考えております。
 国の固有の事務だからといって、例えば都道府県を排除するのかということを議論していきますと、そんなことはなくて、現行の地方自治法においても、国の事務なんだけれども実際には県知事に国の機関委任事務として権限を渡しているという例がたくさんございます。
 これは、いずれ新しい地方自治法ができてまいりますと、機関委任事務というのは法定受託事務というふうに変わっていくわけですから、国、地方の関係で、国の事務を、現在では機関委任事務、将来は法定受託事務ということで、都道府県に一定の関与というもの、あるいは一定のかかわりを認めるということは、制度としてはあり得る話でございます。
 制度としてあり得るときに、どこからどこまでのかかわり合いをということは、やはり政府が考え、国会と御相談をしながら決めていくことでございまして、都道府県の関与というものを頭から否定する議論というのは、今回の答弁でも政府は一連の審議の中でしていないと私は思っております。
この発言だけを見る →
西
西川太一郎#16
○西川(太)委員 終わります。どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →
古賀正浩#17
○古賀委員長 吉井英勝君。
この発言だけを見る →
吉井英勝#18
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 私は、最初に伺っておきたいと思いますのは、九二年の国連環境開発会議で採択されたアジェンダ21の十九章で、PRTRについて、有害化学物質の適切な管理を明記して、九六年にOECD理事会が加盟各国に対して、PRTRの実施勧告と附属書「PRTR制度構築に係る原則」を出したわけです。もちろん日本政府も参加しているわけですが、日本の今回のPRTR法は、この一連の国際的取り決めや約束に基づいて始まっているものであります。
 一方、その内容の方については、勧告に先駆けてアメリカ、カナダ、オランダ、英国などのPRTR制度の構築と、中でもアメリカのTRI、有害化学物質排出目録制度がPRTRのモデルとなり、また、オーストラリアなどのパイロットプロジェクトの取り組みなどが実施に当たっての準備過程で参考になってきたものと思います。
 アメリカでは、八六年に市民の知る権利を保障する立場からTRIとして制定されたわけですが、国民の生存権にかかわってくる有害化学物質の環境への排出については、国民はそれについて知る権利がある、こういう人権思想、民主主義の観点が貫かれているというふうに私は思うわけです。日弁連や市民団体からも、法律に知る権利の明記が求められてきたわけでありますが、政府はこの知る権利を明記することを非常に嫌がってこられた。その理由は何ですか。
この発言だけを見る →
与謝野馨#19
○与謝野国務大臣 知る権利というのは、我々、通常使っている言葉であることは間違いございません。情報公開法の議論のときも先生よくそれをフォローされていたと思いますので、知る権利に関しましては、現に知る権利という言葉が広く一般に使われている、そういうことは実はございます。それは私は否定しませんし、知る権利という言葉があることはよく知っておりますし、そういう内容も漠然とわからないではないわけでございます。
 ただ、残念なことには、法案をつくりますときには言葉の法律的な概念というものがしっかりしていなければなりませんし、そういう意味では、知る権利というものを法律学的にうまく定義できないという問題が実はございます。
 それは、憲法に実は書いてないということが一つその前提、考え方が難しくなることの原因でございます。憲法に知る権利というような概念が使われているとすれば、それは直ちに引用できるわけですが、知る権利を憲法の問題から論じるときに、知る権利というのを憲法の第何条のどこから引き出していくのかということがなかなか法律学的に難しいという問題があります。
 しかし、憲法に書いてないからといって言葉の定義ができないわけではないのですが、仮に裁判所の判例で知る権利というものの内容が判例的に与えられていたとしたら、恐らくそれは大変使いやすい用語だったと私は思います。ところが残念ながら、最高裁の判例のどこを探しても、実は知る権利という言葉の定義を使った判例を探すことは難しいということでございます。
 しかし、知る権利という言葉をそういうことで法律学的に使うことは難しくても、例えば情報公開法の中での、何人も情報開示を請求できるということを書いてありますことは、まさに先生が指摘されているように、我々一般の会話の中で使っている言葉の内容に命を与えているという話でございまして、知る権利という言葉を使わなかったことによって制度としての欠陥が出てきているということでは多分ないのだろう。
 今回も、情報公開法もございますし、今回のこの法律の中にも情報公開に関することはきちんと規定されているわけでございますから、知る権利という言葉は私どもは使いませんが、国民が十分知り得る立場にこの二つの法律によってなっているということは先生にもお認めをいただきたい、そのように思っております。
この発言だけを見る →
吉井英勝#20
○吉井委員 憲法上でも、知る権利というのは文言としてはなくても、それを規定する立場はきちんと憲法上明記されているんだという学者の議論もありますし、私は確かにそうだというふうに思っております。国民の生存権にかかわってくる有害化学物質の環境への排出については、私は、まさに生存権、基本的人権の問題として、知る権利というものをきちっと本来明記するべきだというふうに思うのです。
 大臣は今の御答弁の立場ですから、ただ、重ねて伺っておきたいのは、文言上はないけれども、知る権利を保障するという立場でこの法律を組み立てて出したんだ、こういうお考えだというふうには理解していいですか。これは大臣の方から伺っておきたいと思います。
この発言だけを見る →
与謝野馨#21
○与謝野国務大臣 これは、情報公開法でも、何人も情報の開示を請求できるわけですけれども、プライバシーにかかわることとか、あるいは法人情報とか、あるいは捜査の情報とか、国家の外交上の機密とかというのは除外をされています。
 しかし、今回のこの化学物質については、法律に書かれているように、国民といえども、あるいはその他の団体といえども、必要な情報を知り得る立場になったということは、それを権利と呼ぶか立場と呼ぶかは別にいたしまして、内容は、そういう必要な情報を知り得る立場になったということはこの法律に書いてあるとおりでございます。
 用語の問題は、なかなか法律学的に、法律の専門家に聞くと難しいことを言われますので、にわかに先生に知る権利が書いてあるのかと言われますと私は素直には答えられませんが、知り得る立場に置かれたということは、そういう権利が、権利と申しますか、そういうはっきりした立場が書かれているということは、それと同等の意味をほぼ持っているのではないかなというふうに私自身は解釈をしております。これは、法制局的な厳密な法律用語の解釈とはまた別の話で御答弁を申し上げているわけでございます。
この発言だけを見る →
吉井英勝#22
○吉井委員 次に、OECDの勧告附属文書「PRTRシステムの構築に関する原則」の十三項で、目標、目的の必要性を最もよく満足するメカニズムについて関係関連団体と合意すべきであるとしているわけです。そこで、この法案作成過程におきまして、日弁連、NGO、生協や種々の市民団体の皆さんとこのPRTR法について合意をされているのかどうか、これを伺っておきたいと思います。
この発言だけを見る →
岡田康彦#23
○岡田政府委員 お答え申し上げます。
 本法案のベースになりました審議会の議論というのが化学品審議会あるいは中央環境審議会においてなされたわけでありますが、そうした場合におきましては、労働団体あるいは消費者団体等を含めた幅広い分野から委員として参加をいただいたのみならず、市民団体を含めまして、参考人からの意見の聴取、パブリックコメントの聴取などを行い、取りまとめたものでございます。
 各方面の御意見を踏まえて、まず中間報告なり中間答申ができ、これをベースにして今回この法案をまとめさせていただいたという意味で、その精神は生かされていると考えております。
この発言だけを見る →
吉井英勝#24
○吉井委員 いや、私が聞いておりましたのは、意見は聞いたと。合意には至っていないということだったんですか。
この発言だけを見る →
岡田康彦#25
○岡田政府委員 いろいろな考え方が、委員の先生あるいは参考人の方々の御意見が集約された形で、先ほど申し上げました化学品審議会の中間報告であるとか中央環境審議会の中間答申という形になっておりますので、それは、広い意味では皆さん方の御意見の集約がこの報告なり答申であり、それをまとめたものがこの法案だというふうに御理解賜りたいと思います。
この発言だけを見る →
吉井英勝#26
○吉井委員 意見を聞いて集約をしたということですが、しかし、さまざまな意見を私たちも寄せていただいて、伺っております。ですから、これは国会の方でも各党がみんな力を尽くして、そういう市民の皆さん方の意向が一層反映したものにしていくということが大事だというふうに思います。
 次に、ことし三月十五日に覚書を交わした建設省の課長に伺っておきたいんですが、その覚書の二の1、3で言う下水汚泥というものについてですが、指定化学物質を含んでいても下水汚泥としては指定化学物質に該当しないという意味であり、またその排出量、移動量は把握の対象にはならないということを意味していると理解していいですか。
この発言だけを見る →
中島正弘#27
○中島説明員 まことに申しわけないのでございますが、御通告を受けましたのが別の事項でちょうだいしまして、下水道を担当する課長が本席におりませんので、お手元に覚書がございますが、この範囲で御理解いただくようにとしか私の立場では申し上げられませんので、御理解いただきたいと存じます。
この発言だけを見る →
吉井英勝#28
○吉井委員 私、この覚書について確認するという質問をしておきました。
 それで、確かに課長は、経済局の建設業課長とそれから下水道部下水道企画課長と二人が署名しておられるわけですが、しかし、この覚書を交わす話し合いには出ていらっしゃるわけだから、だから、少なくとも、よく議論をされたときに内容について詰めていらっしゃったのは当たり前だと思うんだが、書いてあるとおりだということだからそれでいくと、下水汚泥というのは、指定化学物質を含んでいる下水汚泥であっても下水汚泥としては指定化学物質に該当しないという意味であり、またその排出量、移動量は把握の対象にはならない、そうしたらこういうふうに書いてあるとおり素直に理解させておいてもらっていいんですね。そのことだけは確認しておきたいと思います。
この発言だけを見る →
岡田康彦#29
○岡田政府委員 お答え申し上げます。
 私の方からお答えさせていただきますが、下水汚泥を原料とした製品を移動することと言っておりまして、下水汚泥そのものの移動を言っているわけではないという、先般来申し上げておりますように、これはあくまで、解釈についてそれぞれが意味合いを違ったふうにとってはいけないという確認の事項でやっておりますので、そういう分野についてのみ、これはその移動をもってそれがその移動量の把握の対象となるわけではないということを言っているものと理解しています。
この発言だけを見る →
← 戻る